ページ番号1005992 更新日 平成30年2月16日

豪州連邦政府の GTL 戦略 ―連邦政府の GTL 産業創出への意欲―

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レポートID 1005992
作成日 2002-03-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 非在来型探鉱開発
著者
著者直接入力 池田 寛
年度 2002
Vol 35
No 2
ページ数
抽出データ 豪州連邦政府のGTL戦略―連邦政府のGTL産業創出への意欲?池 田   寛*豪州の北西部海域には数多くの未開発大型ガス田が存在し,埋蔵量は130TCFを超える。このガス資源の貨幣化(Monetization)の手段としては,パイプラインによる国内ガス市場への供給又はLNGによる海外輸出があるが,国内市場の規模や成長には限りがある一方,海外LNG市場の獲得競争も激しいため,新たな市場獲得は容易ではない。このようなガス資源は「Stranded Gas」と呼ばれ,ガスの貨幣化(Monetization)が最大の課題となっている。こうした中,GTL(Gas-To-Liquids,天然ガス液体燃料化)技術によりガスを市場に送り込もうとする試みが世界の主要産ガス国で注目を集めており,豪州の連邦政府も国際的に競争力のあるGTL産業の創出に向けて動き出した。GTL技術そのものの歴史は古いが,一部を除きGTL製品市場が未発達であり,プラントの経済性も十分でないなどの要因があることから,豪州では連邦政府に対する産業界の期待は極めて大きい。本稿では,1.豪州のガス資源,2.連邦政府のGTL戦略,3.GTL戦略の最終答申の骨子,4.豪州のGTLプロジェクト計画,について述べる。はじめに西豪州の北西大陸棚からチモール海にかけてのカーナボン盆地(61TCF),ブラウズ盆地(19TCF),ボナパルト盆地(22TCF)には,100TCFを超える未開発ガス資源が存在している。これらのガス資源を保有する企業にとっての最大の課題は,ガス資源の貨幣化(monetization)である。ガスの貨幣化のための手段は,パイプラインによる国内ガス市場への供給又はLNGによる海外輸出がある。豪州において稼動しているLNGプロジェクトは,現在のところ,西豪州北西大陸棚LNGプロジェクトのみである。また,西豪州北西大陸棚から西豪州内へのパイプラインはあるが,チモール海から西豪州又は北部準州までのパイプラン・インフラはまだ整備*本稿は,シドニー事務所長 池田 寛(E-mail : ikedah@jnoc.net)が担当した。されていない。チモール海Bayu-Undanガス田から北部準州ダーウィンまでのパイプライン計画はあるが,まだ投資決定されていない。未開発ガスの市場については,西豪州内を除けば,近隣に十分なガス市場が無く,また,LNG市場の獲得も顧客次第ということもあり,各ガス田を保有する企業は,ガスの貨幣化に苦労している。このように,近隣に市場がなく,LNG等の開発が不可能なガス田は,「strandedgas」と呼ばれている。この未開発ガス資源を貨幣化する方法を模索する企業,GTLプロジェクトを推進する企業,そして国内に新たなガス産業創出を狙っている政府との思惑が一致し,連邦政府は,GTL産業創出に向けて,関係企業との連携を密にし積極的な役割を果たそうという戦略を打ち出した。連邦政府の狙いは,新しい産業の創出により,豪州の経済的利益を確保するとともに,ガスを液体燃料に転換することにより,石油の中東輸入依存に一定の歯止めをかける狙いもある。豪州の原油生産量は,ここ数年間,比較的大きな石油/天然ガス レビュー ’02・3―38―茁cの発見があり生産量は維持されているが,生産ライフは7年?10年と短いため,自主開発比率は年々低下していく傾向にある。ガス資源は,可採年数で100年以上もあるため,ガスを液体燃料などに転換し国内市場に供給できれば,原油輸入依存度を抑制することが可能である。連邦政府は,2000年2月18日,米国Syntroleum Corporationから,GTL(Gas-To-Liquids,天然ガス液体燃料化)技術ライセンスを30百万豪ドルで取得した。政府が自らこうしたライセンスを取得することは,世界的にも極めて珍しく,連邦政府のGTL戦略に対する強い意欲が伺える。そして,2001年に入り,産業科学資源省(DISR,2001年11月から産業観光資源省(DITR)に名称変更)とInvestAustralia(連邦政府の産業投資政策を担当)は,GTLタスクフォースを設置し,豪州の豊富なガス資源の開発促進とGTL産業の創出を目的とした具体的政策フレームワークの検討を開始した。GTLタスクフォースは,2001年6月,9月,関係業界も交えてGTLラウンドテーブルを開催し,10月初旬,ミンチンDISR大臣に対して,連邦政府のGTL戦略に関する最終答申を提出した。この答申に基づく連邦政府の具体的な支援措置は,これから包括的に審議されることになっているが,既存の支援制度を使った政策実施は可能であり,2001年12月にMethanexが西豪州バラップ岬に建設する予定のメタノール・プラントに対して,連邦政府は,85百万ドルの投資インセンティブを与えることを発表,GTLタスクフォースの答申提出後としては,最初の連邦政府支援プロジェクトとなった。1.豪州のガス資源(1)豊富なガス埋蔵量世界のガス資源量から豪州の位置付けを見てみると,カタール(390TCF),イラン(810TCF),アラブ首長国連邦(200TCF)には及ばないものの,豪州は全体で130TCFを超えるガス埋蔵量を保有している。豪州の年間ガス需要量は約1TCFなので,可採年数は130年となる。この豊富なガス資源は,海外LNG市場及び国内ガス市場に供給するだけでなく,将来的には,GTLプラントに対しても十分対応できるだけの量である。連邦政府の2030年までの豪州国内ガス需要見通しでは,LNG用原料ガス25TCF,国内供給11TCF,GTL用原料ガス24TCF,計60TCFのガスが必要になると見込んでいる。海外LNG市場を見てみると,世界のLNGグローバル市場は,①アジア,②欧州,③米州,の3つの需要ゾーンと3つの供給ゾーンにブロック化されており,アジアがLNG需要全体の70%を占めている。しかし,一方では,中東,アジアのLNG供給者間の市場獲得競争は激しく,バイヤーズマーケットの状況に変わりはない。ドイツ銀行の調査によると,世界のLNG需要は,2000年1億トン/年が,2015年には倍の2億トン/年になると予想されている。需要の年平均伸び率では,米国が32%と急激な伸びを示すと見込んでいる一方,アジアは6%,世界全体では平均8%と,米国市場に対するマーケティング活動が活発になると予想されている。豪州のガス資源保有企業も,LNG市場では,アジアのみではなく,米国もターゲットに入れてマーケティング活動を行っている。北部準州チモール海のバイユ・ウンダンプロジェクトの表1 世界のグローバルLNG市場 (万トン/年)合 計 10,795 750 0 17アジア市場 米国市場 欧州市場 7,339(68%) 627(6%) 2,829(26%) 733(7%) 世界LNG供給 ち豪州LNG供給 全 う出所:Wood Mackenzie, Deutsche Bank,石油公団天然ガス関係資料 ―39―石油/天然ガス レビュー ’02・3\2 アジア・オセアニアのガス埋蔵量とLNG輸出量 ガス埋蔵量(tcf) LNG輸出量(万トン/年) 750 2,698 1,521      国 名 オーストラリア インドネシア マレーシア 中国 タイ インド パキスタン ベトナム ブルネイ パプアニューギニア ミャンマー ニュージーランド フィリピン その他アジア・オセアニア アジア・オセアニア合計 全世界合計 出所:埋蔵量の数値はブルネイ、ニュージーランド、フィリピンの3カ国はWorld Oil、その他の国は2000年9月に開催されたガス国際会議GASEX2000、OGJ。埋蔵量には販売契約が未定のものも含まれている。LNG輸出量はNatural Gas In The World他。 130 123 84 48 40 23 22 19 14 11 10 3 4 20 551 5,278 ? ? ? ? ? 671 ? ? ? ? ? 5,640 10,795Phillips Petroleumは,2001年3月,米国西海岸市場向けに2005年から480万トン/年のLNGを供給するLOIをEl Pasoと締結,アジアだけでなく,米国市場との両面作戦でマーケティング活動を行っている。また,LNG市場の獲得に時間がかかる状況の中,GTLプロセスによる液体燃料,ワックス,潤滑油や合成ガスから製造されるメタノール,DMEなどの製品をターゲットとしたGTLプロジェクトが多数計画されている。豪州は原料ガスが豊富であることから,SasolChevron,Syntroleum,RD/ShellなどのGTLメジャープレイヤーを始め,豪州,日本の企業グループも,西豪州北西大陸棚,北部準州チモール海のガス資源を利用したGTLプラントの開発計画を検討している。豪州のガス供給源は,①南豪州クーパー盆地(ニューサウスウェールズ州,クイーンズランド州,南豪州に供給),②ビクトリア州バス海峡(ビクトリア州を中心に供給),③西豪州北西大陸棚(西豪州に供給),④北部準州アマデウス盆地(北部準州に供給),の4つのゾーンに分かれる。(2)国内ガス市場豪州のガス需要は,豪州唯一のLNGプロジ合 計 (bcf/年) 216 639 179 67 1,101表3 豪州の天然ガス生産 ガス生産量 LNG用ガス 216 240 179 67 702? 399 ? ? 399西豪州北西大陸棚 ビクトリア州バス海峡 北部準州ほか 合 計 豪州クーパー盆地 南石油/天然ガス レビュー ’02・3―40―Fクトである北西大陸棚プロジェクトのLNG液化用原料ガスが全体の36%を占め,残りは,国内市場で消費されている。一次エネルギー需要に占めるガスの割合は,18.1%であり,石油は34.6%,石炭は41.4%となっている。国内ガス市場は,地理的な関係から,東海岸(ニューサウスウェールズ州,クイーンズランド州),ビクトリア州,南豪州,西豪州,北部準州の5つの需要ゾーンに分かれる。発電用のガス利用の動きは,クイーンズランド州や南豪州においては比較的緩やか,あるいは中程度のものであるが,西豪州においては活発である。また,豪州国内の一般家庭,商業,工業用のガス需要は,年々着実に伸びており,伸び率は年2.5%と一次エネルギーの中で最も高い。しかし,短中期的には,西豪州北西大陸棚や北部準州チモール海の大規模な未開発ガス資源の開発を,国内需要単独で賄えるほどのガス需要の拡大は見込めず,新たなガス田開発の立ち上げには,海外LNG市場と国内では発電用,工業用向けの新規需要の確保が不可欠となっている。豪州国内ガス需要の51%を占める東海岸をターゲットに,パイプラインのインフラが整っているビクトリア州バス海峡周辺でのガス・ポテンシャルの探鉱活動は,近年活発である。生産ライフが5?8年程度の小規模のガス田でも,販売契約さえ締結できれば,極めて短期間に生表4 豪州のガス需要 (bcf/年) LNG輸出用(西豪州) 国内需要(6州) 合 計 399(36%) 702(64%) 1,101(100%) 産を開始し,キャッシュフローを確保することができるというメリットがあり,ガス上流ビジネスのニッチ戦略として注目されている。ビクトリア州バス海峡周辺からのガス供給は,歴史的にExxon MobilとBHP-Billitonのジョイントベンチャーによる市場独占が続いているが,Woodside,Santos,Originなどの豪州企業は,周辺地域でのガス・ポテンシャルの探鉱活動に積極的であり,相次いで中小規模のガス田を発見している。また,オーストリアのOMVは,Cultus買収を通じて取得したビクトリア州沖合24kmにあるパトリシア/バリーンガス田を開発することを決定し,Exxon MobilとBHP-Billitonの独占市場に初めて参入することになった。このプロジェクトは,Energexに対するガス販売契約が確保できたことから開発が実現したものだが,ガス田は小さく,石油と同じような生産カーブで減退していく。生産ライフは8年程度であるが,1年以内に開発,生産を開始できることから,ガスの貨幣化(monetization)としては,最も理想的なプロジェクトである。このプロジェクトには,三菱商事と東京ガスが,ガス権益の40%をOMVから取得し,豪州国内ガス・ビジネスに参入している。(3)ガス・パイプライン豪州の天然ガス輸送・供給網は,拡大し続けている。ガス・パイプラインの総延長は,1998年から1999年の間に76,352kmから87,680kmに伸びており,国内全体の平均伸び率は3.5%であった。拡張が行われた主な州は,ニューサウスウェールズ州,ビクトリア州,クイーンズラ表5 豪州国内6州のガス需要内訳 東海岸        ニューサウスウェールズ(NSW)州、ACT        クイーンズランド(QLD)州        ビクトリア(VIC)州        小 計 南豪州(SA) 北部準州(NT) 西豪州(WA) 合 計 (bcf/年) 103 75 179 357 81 24 240 702 (15%) (11%) (25%) (51%) (12%) (3%) (34%) (100%) ―41―石油/天然ガス レビュー ’02・3塔h州,西豪州であった。新規のパイプラインとしては,2000年,米国Duke Energyが,ビクトリア州ロングフォードとニューサウスウェールズ州シドニー間を結ぶ総延長800km(総工費4.5億ドル)のパイプラインを敷設した。これにより,東海岸3州のガス市場が一つに結ばれ,この市場では,ビクトリア州バス海峡からのガス供給と南豪州クーパー盆地からのガス供給と競合することになった。Duke Energyは,2001年,ビクトリア州ロングフォードとタスマニア州ベル湾間のガス・パイプライン(総延長350km,総工費3.8億ドル)の建設に着工,2002年中頃からガス輸送を開始する予定である。また,3つの大きな幹線パイプラインの計画もあり,Duke Energyが計画しているビクトリア州メルボルンと南豪州アデレード間(総工費2.5億ドル,総延長670km),Epic Energyが計画している北部準州ダーウィンと南豪州アデレード間(総工費15億ドル,総延長2,200km),APT/Petronasのグループが計画しているパプアニューギニアとクイーンズランド州グラッドストーン間(総工費30億ドル,総延長3,250km)などがある。Duke Energyが計画しているビクトリア州メルボルンと南豪州アデレードを結ぶガス・パイプラインは,2003年末の輸送開始を目標としている。ビクトリア州西部沖合にBHP-Billitonが所有するミネルバ・ガス田(未開発)など,ビクトリア州バス海峡のガス田を供給源とする予定である。輸送能力は年間60ペタジュール(LNG換算108万トン)を計画しているが,稼動を開始するためには,少なくともその半分の30ペタジュールの需要が必要である。また,北部準州ダーウィンと南豪州アデレード間のパイプラインが完成すると,西豪州を除く国内ガス市場が一つの市場となるが,投資決定するために必要なガス需要の見通しはまだない。パプアニューギニアと豪州クイーンズランド州間のガス・パイプラインは,豪州の電力や工業用など新規のガス需要をある程度確保しているが,パプアニューギニア側のインフラ資金調達の問題などもあり,最終決定されていない。(4)国内の大手ガス生産企業ガスの埋蔵量ベースで豪州ベスト8に入る企業の中で,豪州企業は,Woodside,BHP-Billiton,Santosの3社であり,ほか5社は,RD/Shell,Chevron,Exxon Mobil,BP,Phillips Petroleumの欧米大手石油会社である。欧米企業の中には,世界のメジャーLNGプレイヤーであるRD/Shell,Exxon Mobil,BPの3社が含まれている。豪州のメジャーガスプレイヤーの中には,もともとは石油ポテンシャルのプロスペクトをターゲットに探鉱を行った結果,石油ではなく,ガスを発見してしまったという経緯がある会社が多い。現在でも,Woodsideは国内において,30百万バレルから1億バレル規模の石油ポテン 表6 豪州メジャーガスプレイヤーのガス資産 ガス埋蔵量 (tcf) LNG生産量 豪州/世界(mmcfd) 石油埋蔵量 (mmbbls) 30 20 13 10 8 8 7 3  企 業 名   Woodside RD/Shell Chevron BHP-Billiton Exxon-Mobil BP Santos Phillips Petroleum 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 647 191 271 469 336 204 178 116187/187 187/2,524 187/187 187/187 0/1,318 187/1,056 547*/0 0/150 出所:Annual Report, Wood Mackenzie, Deutsche Bank *:Santosのみ国内需要向けガス生産量 石油/天然ガス レビュー ’02・3―42―Vャルの探鉱活動を積極的に行っているが,ほかの7社は,既存ガス田周辺のガス・ポテンシャルの探鉱・評価作業又は企業買収などにより自社のガス資産のポートフォリオを拡大しようとする戦略が強い。ガス資源が存在する地域は,西豪州北西大陸棚から北部準州チモール海にかけての海域であり,既存ガス田の埋蔵量は,探鉱・評価作業により,年々拡大を続けている。日本企業で,大型ガス田プロジェクトに権益を保有しているのは,北西大陸棚プロジェクトのMIMI(三井物産と三菱商事の現地ジョイントベンチャー法人),国際石油開発(INPEX)は,チモール海バイユ・ウンダンプロジェクトの権益11.70%を保有しているほか,2000年大阪ガスは,チモール海グレーターサンライズプロジェクトの権益10.00%を買収し,ガス上流事業に参入した。豪州の企業別のネット・ガス生産では,Santos,BHP-Billiton,Esso(Exxon Mobil),Woodsideの4社が,全体の60%を占めている。その他では,北西大陸棚プロジェクトのWoodsideを除く5社が,LNG原料用ガスの生産で残りのほとんどを占めている。また,ガスの市場別で見てみると,ビクトリア州バス海峡において独占的にガスを生産・供給しているBHP-BillitonとEsso(Exxon Mobil)の2社は,豪州ガス市場の25%を占めるビクトリア州内に独占的にガスを供給している。南豪州陸上クーパー盆地のムーンバにおいてガスを生産しているSantosは,このガス資産が同社のキャッシュフローの源泉となるコア資産であり,生産されたガスは,東海岸クイーンズランド州,ニューサウスウェールズ州,南豪州に供給されている。表7 豪州4大ガス生産企業 (bcf/年)Santos BHP-Billiton Woodside Esso(Exxon Mobil) その他(大半はNWS) 合 計 210(19%) 155(14%) 148(13%) 125(11%) 463(43%) 1,101(100%) 2.連邦政府のGTL戦略(1)連邦政府GTL戦略の背景豪州は,国内市場においても,海外市場においても,既に信頼のおけるガス供給者としての地位を確立している。豪州は1989年以来,北西大陸棚プロジェクトから生産されるLNGを海外(日本)に向けて輸出しており,豪州のLNG供給国としての高い評価は,今後,豪州が新しいガスプロセス技術によるGTL市場を開拓する上での堅固な土台ともなっている。遠隔地に埋蔵されているガス資源は,石油とは異なり,市場に運ぶのが難しく,こうした「stranded gas」と呼ばれるガス田開発において重要な要素となるのは,「輸送」の問題である。パイプライン輸送は,市場が遠く離れ,また,広域に渡っている場合には,費用がかかり,非効率なものとなる。そこで,タンカーで輸送できるようにガスを液化することが重要な決め手となる。豪州は,LNG技術によるガス供給国としては,既に重要な地位を占めている。LNG技術以外のガス資源商業化のために,豪州政府は,新しいガス液体燃料化技術によるGTLプロジェクトを積極的に促進する必要があると考えている。また,産業界も,政府に対して大型GTL投資の決定基盤となるような政策や財政的支援の枠組みの策定を期待している。現在の液体燃料の世界市場での取引量は7,000万b/dであるが,国際エネルギー機関IEA)は,2010年までに需要と供給の格差が生じ,中東OPEC加盟国の生産量がその他の地域全体の生産量を上回るようになると予想している。こうした中東依存度の上昇と需給格差による価格の動向は,GTLプロセスによる液体燃料市場の成長にはプラスの要因になると連邦政府では見ている。世界の液体燃料市場の中で中間留分(軽油,灯油,ジェット燃料)は2,600万b/dであるが,BP統計によると2015年までには30%増加し,3,400万b/dになると予想されている。地域別に見ると,アジア太平洋地域でのシェア伸率が最も高い。GTLプロセスにより製造されるディ―43―石油/天然ガス レビュー ’02・3[ゼルやジェット燃料などの液体燃料は,クリーンな燃料であり既製品に比べて高いプレミアムを持っているが,市場として成長して行くのはまだこれからの段階である。Shell,Sasol Chevron,Exxon Mobil,Sasol,BP,Mossgas,PDVSA,Sicorなどは,世界各地でGTLプロセスによる中間留分などの生産プラントの建設を商業規模で検討している。連邦政府は,ガスを原料とするGTLプロセス(フィッシャー・トロプシュ合成による液体燃料化)技術によるGTLディーゼル燃料の将来的需要をターゲットに,豪州がこの分野で国際的競争力を失う前に,早急にGTL産業を創出したいという強い意欲がある。豪州はカントリーリスクもなく,原料となるガス価格も欧州及び米国に比べれば安いという事情もあることから,連邦政府としては,GTLプロセスによる燃料製品の製造を新たな産業として位置付け,GTL燃料製品の商業的要素,GTL製品の市場ポテンシャルなどを調査・評価し,早急にGTLプロジェクトに対する投資誘因政策などを実施する必要があると考えている。原料となるガス価格については,米国に比べれば安いが,GTLプロジェクトの候補対象国となっているカタール,イランなどの中東,インドネシア,ナイジェリアなどと比べると,価格競争力は劣っている。連邦政府は,豪州においてGTLプロジェクトが安定した経済性を確保し,成長していくためには,産業の立ち上げ段階において投資や税制面での何らかの措置が必要であると考え,包括的なGTL産業創出のための戦略策定と具体的プログラムの検討を開始することになった。(2)連邦政府の具体的取り組み連邦政府は,2000年2月18日,米国Syntroleum Corporationから,GTL(Gas-To-Liquids,天然ガス液体燃料化)技術ライセンスを30百万豪ドルで取得し,GTL戦略に向けた最初の行動をとった。そして,2001年に入り,産業科学資源省(DISR,2001年11月から産業観光資源省(DITR)に名称変更)とInvestAustralia(連邦政府の産業投資政策を担当)は,GTLタスクフォースを設置し,豪州の豊富なガス資源の開発促進とGTL産業の創出を目的とした具体的政策フレームワークの検討を開始した。GTLタスクフォースは,2001年6月27日,9月4日の2回,キャンベラにおいて,GTLプロジェクトに関係する民間企業20社,北部準州政府,西豪州政府,連邦政府の関係6機関などから計50名が出席したGTLラウンドテーブルを開催した。石油公団シドニー事務所を始め,豪州で未開発ガス資源を保有する日本企業(国際石油開発,日本石油開発),日本DME(三菱ガス化学,三菱重工,伊藤忠商事,日揮)も招待され,会議に参加した。GTLラウンドテーブルの開催目的は,連邦政府のGTL個別プロジェクトに対する支援をとりまとめるためであり,GTL業界から意見を聴取した。そして,2001年10月下旬,GTLタスクフォースは,ミンチンDISR大臣に対して,連邦政府のGTL戦略に関する最終答申を提出した。この答申に基づく連邦政府の具体的な支援措置は,これから包括的に審議されることになっているが,既存の支援制度を使った政策実施は可能であり,2001年12月にMethanexが西豪州バラップ岬に建設する予定のメタノール・プラントに対して,連邦政府は,85百万ドルの投資インセンティブを与えることを発表,GTLタスクフォースの答申提出後としては,最初の連邦政府支援プロジェクトとなった。GTLタスクフォースは,GTL関連業界とのGTLラウンドテーブル用の資料として,「GTLIndustry Development Discussion Paper」を作成し,事前に出席者に配布した。この報告書には,豪州のGTL産業に関する主要な問題が提起されているほか,豪州GTLプロジェクトの製品ターゲット,GTL製品市場のポテンシャル,GTLプラントの経済性などについて調査・分析した結果も含まれている。また,GTLタスクフォースは,Gaffney,ClineAssociatesに対して「Review of A Gas toLiquids Industry for Australia(豪州のGTL産業レビュー)」というGTL産業に関する報告書の作成を依頼した。こうした資料は,GTL産石油/天然ガス レビュー ’02・3―44―ニを推進する企業グループから直接得た情報をもとに作成されており,GTLタスクフォースの検討作業の土台となっている。GTLタスクフォースは,その他にも,プラントの経済性評価や補足的な情報を産業界の関係者から直接入手している。GTLタスクフォースが作成した資料や報告書は,インターネットで公開されている(www.isr.gov.au/invest)。(3)連邦政府のGTL戦略の骨子GTLプロジェクトの獲得競争は,原料となるガス資源が莫大にあるアフリカ,アラスカ,中東,南米など世界中で繰り広げられており,この中の数カ国においては政府が新規GTLプロジェクトの促進を目的として,投資や税制面での優遇措置を既に導入し,GTLプロジェクトのコスト削減など経済性にプラスとなるようなインセンティブを与えている。連邦政府は,豪州におけるGTL産業のポテンシャルを高く評価しているが,GTLプロジェクトを獲得するためには単発的な奨励措置だけでは不十分であり,明確な戦略と包括的な支援策を立案することが不可欠であると認識している。連邦政府のGTL戦略の目標は次の通りである。①GTL関連業界が,西豪州北西大陸棚から北部準州チモール海にかけての遠隔地にあるガス資源の開発を促進し,ガスに付加価値を与えるために,新規投資,雇用の創出,技術の開発・導入などを進める。また,これらの地域の経済発展や豪州経済全体にどの程度の恩恵を与えることが可能かを評価する。②豪州の液体燃料生産を飛躍的に躍進させるような,またはその範囲を広げられるような,新しい輸送用液体燃料について適切な選択肢を見つける。③GTL産業に貢献するような専門技術分野が,豪州で発展するために取られるべき具体的措置は何であるかを認識する(エンジニアリングの支援,R&Dの促進,海外技術への依存度削減,国内のGTL関連技術・サービス産業の奨励など)。また,2001年10月下旬ミンチンDISR大臣に提出した最終答申の中には,次のような調査・分析結果が含まれるとしている。①豪州国内の未開発ガス資源(130TCF)は,世界規模のGTL産業を支えるだけの可能性がどれぐらいあるのか。②豪州における,GTL産業のビジネスチャンスとGTL製品の市場ポテンシャル。③GTLプラントの経済性及び政府の援助が限られる場合でも,豪州にGTL産業が確立される可能性があるのかどうか。④GTL産業に伴う,実質的な経済的恩恵及びそれらの潜在的恩恵を創出させるためには,政府の援助がどの程度必要となるのか。⑤環境汚染度の少ない輸送燃料(特に硫黄分が少ない燃料)や,新世代のエンジン技術の開発及びそれらの燃料が新しい規制基準や市場で占める位置。⑥豪州のGTL産業の成長が,既存の従来型精製産業に与える影響。⑦豪州でGTL技術に関する専門知識者が育成される機会の有無(国内及び海外におけるGTL産業のエンジニアリングや設計に貢献する専門知識者,GTL技術のニッチな部分における知識を備えたR&D専門知識者)。⑧豪州でGTL産業が発展する上で,障壁は存在するのかどうか。また,それが存在する場合,解決のために政府の援助が必要であるのかどうか。⑨外国政府が実施するGTL産業に対する支援内容の調査。(豪州政府のGTL支援策と比較して,外国政府の支援にどれだけ優れた誘引要素が備わっているのかどうかを検討)(4)連邦政府の支援に関する業界の要望Shell,Sasol Chevron,SyntroleumなどのGTLメジャープレイヤーは,豪州に限らず,世界中で,原料ガスの価格が安く,政府の支援も含めたGTLプロジェクトの経済性が有利な国を選択しようと必死である。豪州の原料ガス―45―石油/天然ガス レビュー ’02・3ソ格は,米国に比べれば非常に安いことが特徴であるが,西豪州北西大陸棚プロジェクトの陸上LNG基地のあるバラップ岬を除くと,遠隔地のガス開発に必要なインフラが全く整備されていない。こうしたことから,GTLメジャープレイヤーは,連邦政府に対して,インフラ整備への支援と大型GTLプロジェクトに対する優遇税制,具体的には,投資の加速償却を強く要望している。2000年7月1日政府売上税(GST,10%)の導入に伴い実施された税制改革により,LNGやガス・パイプラインなどの大型投資にそれまで適用されていた加速償却が廃止され,連立政権は,代替インセンティブを導入すると約束したものの,豪州国税庁(ATO)や財務省での具体的な代替インセンティブの内容が,2000年の税制改正以降,未だ明らかにされていない状態が続いており,リスクのある大型プロジェクト事業者にとっては,大きな問題となっている。GTLラウンドテーブルでも,石油ガス開発業界の代表として出席していた豪州石油生産探鉱協会(APPEA)のジョーンズ事務局長は,「GTL産業の創出には,大型GTLプロジェクト及び関連するパイプラインなどのインフラ投資に対しての優遇税制が必要不可欠である」と,GTLタスクフォース,DISRに対して,強く主張している。GTLメジャープレイヤーは,従来のLNGプロジェクトや従来型の液体燃料製造に比べて,GTLプロジェクトはリスクが大きく,GTL製品価格の競争力も不透明であるため,パイプラインなどの関連インフラも含めたGTL投資に対しては,5?8年以内の償却年数でなければ,初期投資を回収できず,プロジェクトの採算性が非常に悪くなると評価している。また,未開発ガス田の開発やGTLプラントの周辺インフラについては,誰が負担し,どの程度の連邦政府の支援が可能なのかについても関心が高い。2001年11月10日,連邦下院の全議席と上院の約半数を改選する連邦議会選挙が実施され,即日開票の結果,ジョン・ハワード首相(自由党党首)率いる与党自由党・国民党連合の勝利が確定し,ハワード政権の3期目の続投が決定した。新しく組閣も行われ,産業科学資源省(DISR)は産業観光資源省(DITR)に改組され,大臣も,ミンチン氏からマクファーレン氏に交代した。ミンチン氏は財務・行政担当大臣に昇格した。昨年10月初め,当時のミンチンDISR大臣は,GTLタスクフォースからGTL最終報告書を受領したが,当時既に連邦議会の選挙活動が真っ盛りで,議会も事実上休止していたため,最終報告書に対する内閣のアクションは,すぐには取られなかった。GTL支援策に対する協議の枠組みや具体的スケジュールは,新しく就任したマクファーレンDITR大臣のイニシアチブの下で実施されることになっている。一方,GTLメジャープレイヤーの中には,早急にGTLプロジェクトの経済性改善に貢献するような政府の具体的支援策が決定されなければ,豪州をGTL投資対象国から除外し,他の国にターゲットを移すことを考えている企業もある。GTLプロジェクトに対する優遇税制(加速償却)については,豪州国税庁(ATO),財務省も関係してくるため,DITR単独で政策決定することが極めて困難な事情がある。そのため,GTLタスクフォースが考えているGTL支援メニューでは,財源を確保すれば,DITR単独で政策決定できるような支援策,具体的には,個別プロジェクトへの補助金や州政府または企業が行うインフラ投資に対する補助金,などが有力候補となるのではないかと見られている。(5)GTLディーゼル・プラントの経済性ガスを原料とするGTL製品には,フィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)によるGTLディーゼル,GTLナフサ,高付加価値製品(ワックス,パラフィン,潤滑油)のほか,合成ガスから製造されるメタノール,DMEなどもある。この中で連邦政府がGTL産業創出に貢献する大規模な製造を前提としているのは,GTLディーゼル燃料である。BP統計によると,世界の自動車用ディーゼル燃料及びジェット燃料などの中間留分の需要は,2000年は26百万b/d,2015年には34百万b/dになると予想されている。ディーゼル燃料石油/天然ガス レビュー ’02・3―46―フ需要は,経済動向に大きな影響を受ける傾向にあるが,Gaffney,Cline and Associatesでは,今後5年から10年間は,平均して年2%増加していくと予想しており,アジアの中ではインドと中国の需要増が大きいと見ている。GTLディーゼルは,硫黄分,アロマ分を含有していないこと,また,自己着火性を示すセタン価が高いことから,今後強化される米国,日本及び欧州など先進国の自動車用燃料規制に適合するクリーンな燃料として注目されており,石油製品に対してプレミアムも持っている。また,最適なエネルギー・ミックスと供給安全保障及び供給源の多角化を図り,OPECに対する原油輸入依存度を抑える上でも,自国のガス資源を原料として,フィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)によるGTLディーゼルの製造・供給は,豪州のエネルギー政策においても重要な意味を持っている。豪州国内のディーゼル燃料の需要は,2000年205,000b/dで,過去5年間で平均年2.5%伸びている。豪州では,2006年から自動車用燃料規制を強化する計画であるが,この規制に適合する燃料を製造するために,既存の精製所が新たに設備投資しなければならない金額は,約13億豪ドル(約900億円)になると連邦政府では試算している。豪州の石油精製は,豪州資本は淘汰され,BP,Caltex,Shell,Exxon Mobilのメジャー4社で独占されているが,こうした企業が,利益率が小さい石油精製ビジネスを続けていく上で,追加的な設備投資をコミットすることができるかどうかは,現時点は,不透明な状況である。また,既存の石油精製設備では,原油から多用な製品を製造できるメリットを持っている反面,特定の製品割合を増加させるということは技術的に困難な問題もある。豪州の石油精製所では,現在,製品の50%以上がディーゼル燃料及びジェット燃料である。これに対し,ガスを原料とするGTLプロセスによるディーゼル燃料は,80%近くを製造することができ,製品の製造割合のコントロールも既存の精製所に比べて柔軟性が高い。既存の精製会社が,追加的な設備投資を行い,新しい規制に適合した燃料需要に対応できるかどうかは,極めて難しいと連邦政府では見ている。GTLディーゼルの石油製品のブレンド剤としての経済的価値は,国内のディーゼル燃料市場の需給特徴を反映し,通常の燃料と比較したプレミアムの度合いによって決定される。GTLディーゼルのプレミアムは,原油から精製されるものと比較して現在8.00US$/bbl程度との評価もあるが,Gaffney,Cline andAssociatesでは,5.20?4.20US$/bblと評価している。GTLディーゼル燃料を製造するプラントの経済性については,GTLタスクフォース,Gaffney, Cline and Associates,Sasol Chevron,BPのそれぞれが,基本的に同じ前提条件のもとで行った経済モデル分析結果がある。前提条件は,3万b/dのGTLディーゼル製造プラントを想定し,CAPEX(資本コスト)は,20,000ドル/BPDと25,000ドル/BPD,OPEX(操業コスト)は4.5US$/bbl,原料ガス価格は1.00US$/MMBTUと0.75US$/MMBTU,原表8 IRR(内部収益率)の比較         ガス価格0.75US$/MMBTU         ガス価格1.00US$/MMBTU CAPEX CAPEX CAPEX CAPEX odel M―47―石油/天然ガス レビュー ’02・325,000 US$/BD 20,000 US$/BD 25,000 US$/BD 20,000 US$/BD 11% 13% 9% NA14% 15% 11% NANA 15% 10% 9%17% 17% 12% 15% affney, Cline GDISR Sasol Chevron BP11:BPのみガス価格0.80US$/MMBTU、ブレント価格21.00US$/bblを前提。 出所:DISR GTLタスクフォース調査報告書 精ソ格22US$/bblを前提としている。GTL製品の価格は,ブレント原油価格+4.5US$/bblプレミアムとして計算,GTL製品の内訳は,ディーゼル67%,ナフサ28%,LPG5%としている。税引き後のIRR(内部収益率)は,4機関の各ケースにより,9?17%という結果がでている。GTLタスクフォースが行った経済性評価では,IRR(内部収益率)は13%?17%という試算結果を出している。経済性に影響を与える要因には,①原油価格を基準として算出されるGTLディーゼル燃料の価格,②原料となるガス価格,③GTLプラントのCAPEX(資本コスト),④GTLプラントのOPEX(操業コスト),が主なものであり,この他には,⑤減価償却などの税制条件,⑥資金調達コストなども関わってくる。Shellは,GTLプラントのCAPEX(資本投資)のユニットコストが2万ドルであるという連邦政府の前提に対しては10年先には可能性があるが,現時点の豪州における目標としては,2.5万ドル/BPDが現実的であり,また,原油価格22US$/bblという前提は,Shellにとっては楽観的な数字であると述べている。Shellは,豪州においては,合成ガスからメタノールを製造するコストが比較的低いということに着目し,メタノールやDMEを製造することも検討している。Shellが目標とするCAPEX(資本コスト)2万ドル/BPDの実現は容易ではなく,更なる技術革新が必要である。また,メタノールの市場については,メタノール生産が市場の規模に釣り合わないほどに成長し過ぎる恐れもある。GTLディーゼル燃料の価値の基準となる原油価格の前提については,連邦政府の前提となっている22US$/bblは,Shell以外の出席者からも楽観的な数字であるとの意見が多く,18US$/bblが現実的な水準ではないかとのことであった。また,GTLディーゼル燃料のプレミアムについては,平均4.50US$/bblを想定している点についても,もう少し調査分析するべきとの意見も出た。原料となるガス価格については,既存のガス田や随伴ガスである場合は,価格を想定し易いが,北西大陸棚やチモール海の「stranded gas」と呼ばれる遠隔地にある未開発ガス田をGTLプラントの原料ガスとして開発する場合には,200kmから500kmのパイプライン敷設が不可欠であり,こうしたパイプラインも含めたインフラ投資も含めて採算性を確認しなければならないとの意見も出された。Shellは,GTLプラントは,LNGプラントよりもコストがかかりリスクのある事業であるとし,インフラに対する政府の支援は不可欠であると認識している。また,GTLラウンドテーブルでは,新規大型ガス田開発の加速償却制度の必要性についても多数の意見が出された。原料ガス価格に影響を与えるガス田開発及びGTLプラントそのものに対して,政府がどの程度までのリスクを税制措置によって肩代わりすることができるのかが,業界の大きな関心事項である。業界が22US$/bblを前提とする連邦政府の経済分析を楽観的であると指摘するのには,加速償却に対する強い要望を背景としている。GTLタスクフォースは,原料ガス価格の前提は,GTLプラントの経済性にとって重要な要素である上,変動し易いため,適切な数字を選ぶのが難しかったと説明し,あくまでも,GTL戦略の政策実施のための考察という位置付けであるとしている。GTLタスクフォースは,GTL事業は早期に事業を始める者が有利性を得る傾向が非常に強く,豪州は,今,GTLプロジェクトを立ち上げるべきであると考えている。重要なのは,GTLプラントの規模とコストを十分に検討し,基盤的な顧客となる10?20社程度の産業ユーザーを早期に獲得することが,企業にとって大きな挑戦であるとしている。GTLタスクフォースは,GTLディーゼル・プラントの安定した経済性確保に向け,①基盤顧客の獲得,②実質的な経済的利益,③市場の落ち度(インフラ投資と支援の必要性),④GTL事業が与える外的影響(恩恵),⑤中立性を備えた競争の展開(WTO基準との整合性)などの点から多角的に検討を行うこととしている。(6)GTLプロセスと石油精製プロセスの経済性比較石油/天然ガス レビュー ’02・3―48―TLタスクフォースが行った経済性評価によると,Euro4など高規格ディーゼル燃料の生産を既存の豪州又はシンガポールの石油精製プロセスとGTLプロセスとで比較して見ると,税引前のIRR(内部収益率)では,GTLプロセスによる生産のほうに競争力があることが示されている。特に,新規石油精製設備の投資を行った場合には,CAPEX(投資コスト)が16,000ドル/BPDかかり,経済性はほとんど見込めないという結果が出ている。また,豪州の石油精製プロセスでEuro4規格のディーゼル燃料の生産を行うためには,75百万豪ドル(49億円)の追加投資が必要と見込まれている。(7)メタノール合成GTLタスクフォースが経済性評価を実施した豪州で計画されている9件のGTLプロジェクトのうち,5件が合成ガスからメタノールを製造するものである。連邦政府は,GTLディーゼル燃料を戦略ターゲットに置いているのに対し,企業は,短期的には,メタノール市場の可能性にも目を向けている。GTLタスクフォースのディスカッション・ペーパーでは,GTLディーゼル燃料以外の製品(メタノール,DME,高付加価値製品)については,それほどウェイトを置いていなかったため,GTLラウンドテーブルでは,出席者からメタノールを対象とするプロジェクトについても,経済性評価や市場ポテンシャル,政府の支援などについて検討するべきであるとの要望が出された。ガスから直接メタノールに転換させる直接法による技術は,商業ベースではまだ確立されていないため,合成ガスからメタノール合成を行い製造する間接法によるプラントを前提としている。合成ガスをフィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)によりディーゼル燃料,ジェット燃料などの中間留分の製品などを製造するプロセスをGTLプロセスと狭義に言っているが,GTLタスクフォースでは,合成ガスから製造されるメタノール,更に脱水により製造されるDMEなども含め広義にGTL製品の対象としている。表9 Euro4規格ディーゼル燃料生産のGTLプロセスと石油精製プロセスの経済性 既存 豪州 石油精製 既存 シンガポール 石油精製 新規 豪州 石油精製 (100KBD) (300KBD) (150KBD) GCA Indicative GLTプラント (30KBD) DISR's Future GLTプラント Scenario (+75KBD)産コスト(US$/BBL) 生Oil Feedstock Freight to Refinery Gas Feedstock OPEX CAPEX Freight to Market Total Cost of Production マージン(US$/BBL) Historical Singapore Refining Margin Refinery/Plant yield differences  from Singapore crack spread Euro 4/ GTL Fuel Premium Singapore Freight Cost Australian Average Product Value Indicative Pre-tax ROR19.90 1.20 0.00 1.80 0.70 0.00 23.60 2.87 0.40 1.00 1.90 25.17 6.7% 出所:DISR GTLタスクフォース調査報告書 19.00 0.60 0.00 1.10 0.70 0.90 23.30 2.87 0.00 1.00 1.90 24.77 6.3% 19.00 1.20 0.00 1.10 5.30 0.00 26.60 2.87 0.40 1.00 1.90 25.17 ?5.4% 0.00 0.00 8.90 4.50 7.77 1.45 22.62 2.87 0.63 1.00 1.90 25.40 12.3% 0.00 0.00 9.20 4.50 6.35 1.45 21.45 2.87 0.63 1.00 1.90 25.40 18.1% ―49―石油/天然ガス レビュー ’02・3A邦政府の資料によると,1999年の世界のメタノール需要は,27百万トンであり,今後,年3%程度増加していくと予想されている。また,世界のメタノール需要の内,36%がホルムアルデヒド(ホルマリン),29%が燃料添加剤(MTBE)として利用されている。米国カリフォルニア州では,ガソリン添加剤(MTBE)の使用を禁止する方向にあるため,米国市場に対する影響が懸念されているが,欧州ではMTBEの使用を制限する動きはない。メタノールの価格は,非常に変動が激しく,1994年に550US$/トンであったのに対し,1999年には75US$/トンにまで下がっている。ただし,過去の長期的な平均推移を見ると,100?200US$/トンの範囲で推移しており,平均では150US$/トン程度と見込まれている。2001年上旬では,225US$/トンとなっている。世界のメタノールの生産能力は,現在,約35百万トンある。地域別に見ると,北米24%,南米21%,欧州21%,中東・アフリカ17%,アジア・オセアニア17%となっている。米国や欧州では,原料となるガス価格が高くなっているため,メタノール生産企業は,マーケットからは離れるもののガス価格が安いチリ,赤道ギニア,中東,トリニダードなどの国にプラント拠点を移動しつつある。現在のメタノール・プラントの生産能力は,大規模化しており,1基当たり年間80万トンから85万トンとなっている。35百万トンの生産能力のうち,20%はシャットダウンされており,これらはガス価格が高い北米・欧州のプラントがその対象となっている。現在稼動中のメタノール・プラントも,ガス価格が安い国に建設される新しいメタノール・プラントの脅威にさらされている。メタノール生産では,Methanexが年間750万トンの売上げと650万トンの生産を誇り,次に三菱ガス化学(400万トン)と続いている。豪州国内では,BHPと三菱商事が共同開発した小規模なメタノール・プラントがビクトリア州のラバートンにあり,プラントの所有権は,現在,Coogee ChemicalsとMorgal Marineのコンソーシアムが所有している。豪州では,2001年12月,Methanexが西豪州バラップ岬に世界的規模の合成ガスから製造されるメタノール・プラントを建設することを発表した。総投資額は10億豪ドルで,連邦政府は85百万豪ドルの投資インセンティブを与えることを約束した。これは,GTLタスクフォースが行った連邦政府のGTL戦略に沿った措置であり,具体的な政府の支援が約束された最初のプロジェクトと言える。また,Methanol Australiaも同時期に,チモール海のエバン・ショールガス田からのガスを原料とする洋上メタノール施設の建設計画を発表している。総投資額は約24億豪ドルである。この計画は,メタノールのマーケティングがどの程度確保されているかは不明であり,前者のMethanexのプロジェクトに比べると実現の可能性については,まだ不透明な点が多い。合成ガスからメタノールを製造するプロジェクトを計画している企業は,この他にもGTLResources,Morgal Marineなどがある。(8)DME合成DMEは,合成ガスから製造されるメタノールを脱水して製造されるものである。LPGに近い性質を持っており,LPGのように貯蔵・輸送することが可能である。DMEの生産能力は,世界全体で年間15万トンとなっている。直接法による商業ベースの製造技術は研究開発段階にある。DMEは,日本では,殺虫剤などを噴射するガスとして大半が使用されている。LPGもその代替物として使用されているが,LPGはDMEに比べて溶剤能力が低く,臭いがあることもあり,DMEが利用されている。日本のDME需要は現在約1万トン程度である。将来のDMEの市場ポテンシャルとしては,ディーゼルの代替燃料としての需要が期待されており,このクリーン燃料の需要が成長すれば,DMEプロジェクトの経済性も更に向上するものと見られている。日本では,DMEエンジンの自動車試験走行(ボルボなど)やDMEエンジンの研究開発なども積極的に行われおり,クリーン燃料の規制に適合するDME市場のポテンシャルが期待されている。石油/天然ガス レビュー ’02・3―50―居Bでは,三菱ガス化学のコンソーシアム(三菱重工,伊藤忠商事,日揮),BP-Amoco,などがDMEプロジェクトのF/Sなどを実施し,DMEプロジェクトの経済性や市場調査を行っている。連邦政府も,将来の代替燃料としてのDME市場のポテンシャルを調査・分析しており,日本のDME市場の動向に強い関心を持っている。(9)GTLナフサナフサは,化学製品の原料としての市場が最も大きく,現在の市場規模は,17百万b/dであり,BP統計によると,2010年には23百万b/dになると予想されている。GTLナフサについては,付加価値は高いものの,過去10年間のナフサ価格の推移は,6US$/bblから1US$/bblという範囲で変動し,平均2US$/bblとなっていることから,商業ベースに安定して製造するためには,ナフサ価格に影響を与える原油価格と石油の需給状況をよく見極める必要があると考えられている。(10)高付加価値製品合成ガスからフィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)により製造される製品には,中間留分やナフサの他に高付加価値製品(潤滑油,ワックス,パラフィン)もある。これらの製品を製造している現在稼動中のGTLプラントには,Sasolの南アフリカ,Shellのマレーシアのプラントがあり,その市場を独占している。豪州ではSyntroleumのSweetwaterプロジェクトが,GTLディーゼル燃料,GTLナフサとともに,高付加価値製品を製造することを計画中である。FT合成から製造される高品質のワックスと潤滑油は,付加価値が高く,利益も大きいが,市場規模の成長はあまり期待できないため,こうした製品を大規模に製造するプロジェクトは現在想定されていない。(11)第1回GTLラウンドテーブルGTLタスクフォースは,2001年6月28日,キャンベラ国会議事堂内の会議室において,第1回GTLラウンドテーブルを開催した。議論の中心は,GTLプラントの経済性評価に対する連邦政府の前提条件及び投資コストの削減見通しと連邦政府の支援策として優遇税制措置(加速償却による支援)を検討するべき,との意見が大勢を占めた。会議には,豪州国税庁(ATO)の担当者も陪席していたが発言は求めず,GTLタスクフォース事務局から,「税制見直しに関する議論は,内閣で政治的に判断される問題であり,政府部内ではなかなかタッチできにくい問題である。他の産業支援とのバランスを図る必要もあることから,どの程度の文言で最終答申に記載するか,現時点では,微妙な問題である」,と説明し明確な回答を避けた。なお,クリーン燃料の利用促進に関する石油税(ExciseTax)の見直しの必要性については,明確に表明した。会議の冒頭,ミンチンDISR大臣が挨拶を行い,会議の趣旨と連邦政府のGTL産業創出への意欲を示した。大臣は,エネルギー市場で「中立性を備えた競争」(自由化されるエネルギー市場において,産業間の競争の均衡を図ること)を展開することにより,GTL産業の発展に障害となるものを排除する必要があり,政府の具体的支援策の必要性があることを述べた。また,大臣は,「豪州では,石油の埋蔵資源量が減少しつつある一方,ガスは継続的に発見されている。豪州は,豊かなガス資源を埋蔵する国であり,最近では,ビクトリア州沖合での新たなガス発見があった。ガスに可能な限りの価値を付加したいと望んでいる。50?100年先には,石油資源は枯渇すると考えられることから,ガスは貴重な資源である。従って,我々は,ガス産業を一層飛躍させていくために最大の支援を行うつもりである。豪州は,この産業に有利な条件を備えた国である。連邦政府はGTL企業を豪州に誘引するために,投資奨励措置を始めとする活発な支援措置を展開しようとしている。それらの投資奨励措置には,R&Dを対象とした税控除措置やGTL技術と関係するものも含まれる。現在,連邦政府はGTL産業の創出に本格的に取り組み始めたが,その姿勢が国際的な関心を集めていることは予期していなかったため,今回のようなGTLラウンドテーブ―51―石油/天然ガス レビュー ’02・3汲フ開催を行うことにした。私は,9月までにまとめられるGTL答申書に期待を寄せている」と述べた。大臣の挨拶の後,出席者から,「大臣は,GTL事業を広義的なエネルギー政策(BroadEnergy Policy-経済促進,環境保護などの要素も考慮に入れた,豪州のエネルギー政策)の一環に含むことを考えているのか」という質問があった。これに対して,大臣は,「我々は,COAG(Council of Australian Governments?豪州政府審議会?豪州の州及び特別地域の各政府によって結成された審議会)との協議において,エネルギー政策の見直しを強く主張している。豪州では,現在,エネルギー市場の見直しが必要とされており,電力,ガス産業の改革もそれに含まれている。特にガスに関しては供給の多様化を実現することが,我が国の長期的なエネルギー供給確保のためにも,非常に重要なことである」と述べている。また,他の出席者からは,「ATO(AustralianTaxation Office?豪州国税庁)は,今回の会議では直接の参加者ではなく,傍観的な立場であるが,税制については何らかの位置付けはされるのか」という質問があった。これに対し大臣は,「税制がこの問題に深く関わってくるのは,明らかなことである。財務大臣がGTL事業に関与することの重要性は大きい。これは,政府全体で対策を実行していかなければならない問題である」と,業界が強く要望している加速償却などの優遇税制の必要性については理解を示した。また,エネルギー市場の改革に関する連邦政府と州政府間の問題については,CSIRO(豪州連邦科学産業研究所)が,COAGのエネルギー政策に対する審議や一部の州の抱える問題,エネルギー市場やその供給源などに関する問題において,媒体的な役割を果たしていることを大臣は説明した。CSIROは,エネルギー政策と関連した問題の提言などで貢献しており,エネルギーに関する問題が連邦,各州政府間で幅広く話し合われることを目的として活動している。連邦政府は,6州政府とエネルギー政策に関する問題に有効な対策を打ち出すことを期待し,各州政府間でエネルギー政策に関する審議会(Ministerial Council of Energy)を結成したが,クイーンズランド州と南豪州の2州はエネルギー市場競争化に対する政策導入のタイムフレームワークにまだ賛同していないという問題もあり,足並みは揃っていない。GTL産業創出の問題に関しても,各州が共同歩調を取る必要性があることを指摘している。GTL戦略の目標としては,①未開発ガス資源の貨幣化(Monetization),②輸送用燃料の供給オプションの多様化,③GTL関連技術力の開発の3つを挙げ,戦略実現のための具体的支援方法については,①大規模プロジェクト設備基金(Major Project Facilitation:MPF),②フィージビリティ・スタディ基金(Feasibility Study Fund:FSF),③戦略的投資協力(Strategic Investment Coordination:SIC)の3つのプログラムを検討していることを明らかにした。また,クリーンなGTL燃料の利用促進のための政策としては,①クリーン燃料に対する短期的な燃料税率(Excise Tax)の削減又は補助金支給,②新規ガス資源開発に貢献するGTLプロジェクトに対するインセンティブ,③インフラ整備に対する支援,④研究開発(R&D)支援,が提示された。第1回GTLラウンドテーブルの結果をまとめると次のようになる。①豪州にはガス資源が豊富に埋蔵されている。しかしながら,他のガス資源国と比較すると,ガス価格が高い。ガスの商業化に関する投資コストの問題は,広い範囲での政策の中で検討する必要がある(上流事業に対する税制や加速償却などとのバランスを図る)。GTLプロジェクトは,GTLプロセスによる製品市場やGTL技術の向上の面については,長期的視野に立つ必要がある。②豪州のGTLプロジェクトは,競争的な国際市場を考慮に入れる必要がある。ガス資源を豊富に埋蔵する国は他にも数多くあり,これらの国々もGTLプロジェクトの促進に積極的である。石油/天然ガス レビュー ’02・3―52―B温室効果ガスの問題は,無視できない。この問題は,生産者から消費者までのバリュー・チェーンの全段階において重要性を持つ。温室効果ガスと二酸化炭素の排出量については,モデル分析を行う必要がある。④GTLプラントの経済モデル分析の前提条件については,現実性の高い条件を使用するべきである。豪州におけるGTL産業の立ち上げは,長期的なゲームとなるだろう。モデル分析においては,経済的恩恵のビジョンを明確なものとする必要がある(経済的恩恵はどこへ流れていくのか,そしてその恩恵が遮断される箇所はどこであるのか,など)。⑤GTL製品,特にGTL燃料に関しては,広い視野で物事を考察することが重要である。それは,非GTLプロセスによる製品も,燃料として将来使用される可能性があるためである。また,エタノールの存在,各輸送燃料が互いに及ぼし合う影響についても目を向けるべきである。この他には,GTL製品の価格競争力,メタノール燃料の市場ポテンシャル,二酸化炭素処理の問題,GTLナフサとDME合成の将来性,クリーン燃料促進目的の優遇税制措置,投資の加速償却の必要性,GTLの研究開発(R&D)政策などについて意見が出された。3.GTL戦略の最終答申の骨子GTLタスクフォースは,2001年9月4日,キャンベラのコンベンションセンターにおいて2回目のGTLランドテーブルを開催し,ミンチンDISR大臣に提出する連邦政府のGTL戦略に関する最終答申の骨子を説明した。GTL戦略の骨子は,①ガス資源の開発,②GTL燃料の供給,③GTL技術力の開発,の3項目から構成され,連邦政府の支援メニュー案が紹介されている。なお,ミンチンDISR大臣に提出された最終答申書は非公開であるため,GTL戦略に関する最終的な内容を正確に知ることはできないが,第2回GTLラウンドテーブルでGTLタスクフォースが説明した情報に沿ったものになっていると理解されており,その内容は次の通りである。(1)ガス資源の開発① 遠隔地で開発が滞っているガス(strandedgas)開発の促進国内のガス産業を支援し,遠隔地の「stranded gas」の開発を促進するために,奨励金スキームを導入する。奨励金には上限を設ける。連邦政府は,「stranded gas」を定義づけることは難しく,どのようなガス田がその対象となるかについては明確にしていないが,既にガス田の開発計画が提案されているものについては,その範疇に含めないとの方向であると説明している。ゴルゴンガス田ではChevron,グレーター・サンライズガス田では,Phillips,Shellがそれぞれ開発計画を提案しており,こうしたガス田開発は,この支援対象から除外される可能性がある。また,この他に開発が計画されているプロジェクトとしては,MorgalMarineとMethanol Australiaが計画している洋上メタノール・プラントなどもあるが,ガス田開発に対する資金支援の対象や詳細は,これから政府内で議論される予定である。② オフショア・ガス田の開発コスト削減奨励豪州ガス資源の国際的な競争力を高めるために,設備投資に対する減価償却など税制面での改善を検討する。オフショア・ガス生産設備の実質耐用年数に関する不利な条件が改善されれば,ガス田開発の経済性の向上が期待できる。ただし,償却期間の優遇措置を決定するためには,財務省,ATO(豪州国税庁)との調整が不可欠であるほか,石油ガス開発税制とのバランスを図ることも必要である。③ 必要な投資コストに関する再評価豪州国内の天然ガス市場は競争が激しいため,ガス産業の投資コストに関する情報収集を行う。豪州ガス産業の労働コストの問題を始め,市場競争と投資コストに関する再評価が必要である。COAG(Council of AustralianGovernments?豪州政府審議会)が独立機関に依頼して実施したエネルギー市場やGTL関連の―53―石油/天然ガス レビュー ’02・3イ査もGTLプロジェクトに関する戦略的な問題や経済的恩恵の分析に利用される。今後,新たにガス関連のインフラ・コストに関する商業リサーチなどを実施し,COAGが実施したGTLの投資コストに関する調査の再評価も行う。④ ガス/GTLプロジェクトのインフラ支援GTLプロジェクトに必要となる複数のユーザーによって共同で利用されるインフラに対して支援することを基本的な狙いとしている。対象となるインフラは,LNGの受け入れや輸出が可能な港湾施設,冷却用水の脱塩施設,工業用水の管理を行う施設などである。インフラ投資については,多角的な面から需要が生じる時期などを調査する必要があるが,最初のGTLプラントを建設されれば,それに続く2?3のプロジェクトは,インフラ投資を必要としない。現在は,北西大陸棚LNGプロジェクトの第4系列施設を除けば投資が決定しているインフラ投資はない。インフラの投資規模が,1億5,000万?3億ドル程度の場合には,連邦政府ではなく,インフラ建設候補地となる北部準州や西豪州の州政府が支援協力するべきであると連邦政府は考えている。インフラ投資が大規模になる場合には,連邦政府としても何らかの支援を行うべきであると考えており,複数ユーザーの使用が可能なインフラの建設案件を前提として,支援内容を検討する。具体的な支援策は,公的機関による資金調達への支援,ガス田開発のインフラ建設に対する資金援助などである。西豪州政府には,既にこうしたインフラ支援策があり活用されている。なお,連邦政府は,先駆的なGTLプロジェクトに関連するインフラに対して,民間企業よりも前面に出て援助を行うことは,コストの問題から積極的ではないという事情がある。これは,GTL産業の他にもインフラへの資金援助を必要とする産業が多くあるためであり,実現に当たっては更に検討が必要である。なお,業界は,パイプラインもインフラ支援の対象とするよう要望している。(2)GTL燃料の供給① GTLクリーン燃料の奨励連邦政府は,「GTL燃料プロジェクトの資本コストが下がるのを待つべきか」,「時間が経てば豪州のGTL投資は活発になるのか」を検証する必要があると考えているが,GTLプラントの経済性はこの先大幅に改善されることは容易ではない。GTL燃料市場の促進を図るために,低硫黄のディーゼル燃料の消費税を他の燃料よりも低く設定し,石油及びガスを原料とする精製業者にクリーン燃料への早期投資を奨励する。欧州及び米国では,2011年までにディーゼル燃料の規格を硫黄含有量10ppm以下とすることを目標としており,この動きは,2005年から始まる。英国,ドイツでは,低硫黄のディーゼル製造に対する奨励措置が既に設けられている。連邦政府は燃料税の見直しに関する審議を行い,2006年?2011年に硫黄含有量が10ppm以下のディーゼル燃料に対して1リットルあたり3.8セントの税優遇措置を適用する計画である。② クリーン燃料事業に対する償却の優遇措置GTL事業の経済性と国際的競争力の向上を図る上で,現在の豪州の税制は,燃料プラントの競争力に悪影響を与えている可能性がある。米国ではクリーン燃料の精製施設に対して,償却期間を7年までとする法律が最近定められた。GTL産業が競争力を維持していくのに望ましい減価償却期間は5?7年間であると考えられる。奨励の対象となる燃料には,CNG,LPG,エタノールなどもあるが,償却期間の優遇措置を2002年?2010年の期間に適用し,豪州のクリーン燃料プロジェクトの競争力を更に高める。優遇措置の対象となるクリーン燃料の製品種類や適切な償却期間などについて検討し,有効なプロセスを確立する。③ GTLプロジェクトに対する補助金GTLプロジェクトに対し,短期的,直接的な補助金の交付を行い,クリーン燃料の供給に関する選択肢を広げる。具体的には,豪州で初めてGTLプロセスからクリーン燃料の製造を実現したGTLプラントに対して補助金を支給する。補助金には上限を定め,スライディング・スケール(順応率)を使用しながら支給を石油/天然ガス レビュー ’02・3―54―sう。補助金は,豪州初のGTLプロジェクトのみが対象であり,「クリーン燃料供給の選択肢を広げ,豪州に恩恵を与える」ことが条件となる。GTLプロジェクトが一つ実現すれば,GTLディーゼル燃料市場に大きな影響を及ぼすことが期待されているためであり,2番目以降のGTLプロジェクトに対しては補助金を交付することは非常に難しいと考えている。また,WTOの基準とも整合性を図る必要がある。補助金の規模は現在検討中である。④ メタノール市場の拡大燃料ミックスの選択肢を広げるために,メタノール燃料の市場ポテンシャルを調査し,具体的な支援内容を検討する。連邦政府の環境大臣は,この問題に関しての報告書を2002年末までに作成する予定である。これは,EnvironmentAustraliaの豪州燃料規格諮問委員会(FuelConsultative Committee)が中心Standardsとなって行う。(3)GTL技術力の開発① GTL?CRC(CooperativeResearchCentre)の創設GTL?CRC(共同研究所)を設立し,GTLプロジェクトのコスト削減,豪州国内のGTL技術の開発・維持,豪州ガス資源(strandedgas)開発のために必要な技術開発,などについて調査・研究する。連邦政府は,GTLのR&D(研究開発)の支援に一層力を入れるべきであると考えている。ドイツでは,大学,産業,政府がCRCを通じた提携を行い,フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成技術の開発という顕著な成果を生んだ経緯がある。今後10年間,GTLプロジェクに必要な人材を確保し,世界規模でどのような手段をとっていくべきなのかが大きな課題である。また,他にも知的所有権を競争相手と共有することは,魅力的な手段でないという問題もあり,調査・研究の方法はよく検討する必要がある。豪州では光通信分野のCRCで同じ問題があった。府に予算要求の申請を行い,手続きを行う。また,運営は,審議会形式で行われることになっており,この審議会にはCSIRO石油部門のMr.DAVID TRIMが携わることになる。CRCの制度は,連邦政府から予算が配分されている既存プログラムであるので,新たに予算要求を行う必要がないという利点がある。この制度は,教育機関と産業とのつながりを強めるものであり,既存の技術的・人的リソースを豪州国内の諸大学との提携によって有効に活かそうとするものである。この件で最も重要な点は,「GTLに関連する業界が,GTL?CRCの利用者,研究者などの目的に見合うような協力を行うことが可能かどうか」という点と知的所有権の問題である。② R&Dの商業化新しいGTL技術の活用を実現させるために,連邦政府がベンチャー資本を提供する。連邦政府による投資には各種の制限が設けられているが,既に「ガス・燃料に対する商業化基金」がある。この基金からの政府出資の対象は,天然ガスを利用した燃料及びその他下流製品の製造,新種燃料の製造と関連した新技術の開発,資金調達を決定する前の段階にある事前調査的プロジェクトなどである。政府出資した例としては,AustralianMagnesiumのGladstoneプロジェクト,Laterite Nickelの西豪州プロジェクト,BHPのHBI(ホット・ブリケット)プロジェクトがある。連邦政府は10億ドル程度の大規模なプロジェクトに対しては出資することはできないが,投資決定以前の段階にあるような初期的プロジェクトに対しては出資することが可能である。また,豪州のGTLに関する専門技術や技術者の教育研修の質を把握することも重要であり,豪州は,GTL産業における建設や操業に関する教育研修を行うことができるだけの力を十分に蓄えなくてはならないと考えている。連邦政府が,GTL産業の人材育成に必要なことを事前に把握すれば,スキルを備えた人材を移民受け入れの形によって,海外から獲得するという選択肢も検討している。GTL?CRCの設立に関しては,CSIROが政現在,多文化問題省(The Department of―55―石油/天然ガス レビュー ’02・3ulticultural Affairs)と教育・訓練省(Department of Education and Training)は,各州政府とともに,人材不足や連邦政府及び各州政府の協力の必要性などについて取り組んでいる。連邦政府は,スキルの必要とされる箇所やプロジェクトの及ぼす影響などを調査している。連邦政府では,GTLプラントの建設には高度な専門知識を持つ人材が必要なため,民間の教育研修機関も積極的に参加させる必要があると考えている。GTLプラント建設のコストに関する報告が,生産性委員会(A ProductivityCommission)によって行われるが,これは,「雇用者の教育研修の開発」(Development ofLabour Training)の諸プログラムとの関わりを持つことになる。連邦政府と各州政府は,インフラの提供,人材教育研修の開発,GTLプロジェクトが人材育成に及ぼす影響,などについて,政策協議するための委員会を設立する計画である。4.豪州のGTLプロジェクト計画GTLプロジェクトの建設計画を検討している企業にとっては,GTLプラントコストの削減,市場確保の問題,資金調達,政府の支援程度など,安定的な経済性を確保するためには多くの課題とリスクがあるが,一方では,先駆的なプロジェクトの実施から得られる利益もあることから,豪州におけるGTLプロジェクトの実現に向け,多くの企業が商業ベースのGTLプラントの建設を計画している。現在,豪州で計画されているGTLプロジェクトは9件ある。ターゲットとしている製品は,①GTL燃料及びGTL高付加価値製品(潤滑油・ワックス)(3件),②合成ガスから製造するメタノール(4件),②メタノールを脱水して製造するDME(2件)である。プラントの候補地を選定する上で,どのガス田からの原料ガスを調達するかも大きな課題である。①既存ガスインフラのある地域(西豪州表10 GTL原料用のガス資源 オペレーター・権益シェア oodside 16.67% hillips Petroleum 50.03% oodside D/Shell 33.44% 50.00% hevron 28.57% oodside 50.00% xxon Mobil 50.00% antos100.00% W P W R C W E Sガス 埋蔵量 (tcf) 30 4 10 6 22 22 8 2LGN/国内 ガスプロジェクト 西大陸棚プロジェクト 既存3系列稼動中(750万t/年) 新規1系列建設決定(420万t/年) イユ・ウンダン レーター・サンライズ バンショール (チモール海共同開発の一つ) レーター・ゴルゴン (北西大陸棚に近接,CO2多い) レックノック・スコットリーフ (遠隔地) カボロ (北西大陸棚に近接,大水深) トレロ/ターン (チモール海共同開発の一つ) 北 バ グ エ グ ブ ス ペGLT原料 ガス供給の 優先度 NO.1 ガス生産中 供給可能 NO.2 ガス開発 計画中 NO.3 ガス開発 計画中 出所:Annual Report, Wood Mackenzie, Salomon Smith Barney, AGA,西豪州政府資料 石油/天然ガス レビュー ’02・3―56―k西大陸棚),②LNG又はメタノールを主とするガス田開発計画,③GTLプロジェクト単独のガス田開発計画,など西豪州北西大陸棚からチモール海にかけてのガス田は,①を除けば,計画段階のものである。原料ガスの調達先とガス価格が決まらなければ,GTLプラントの経済性評価も困難であるため,既存の生産中ガス田又は5年以内に開発・生産が見込まれるガス田を中心に原料ガスの調達先が検討されている。ガス価格も経済性に大きく影響するために,各企業とも,個別に価格について交渉や調査を行っている。2001年12月に合成ガスから製造するメタノール・プラントを発表したMethanexは,既存ガスインフラがある北西大陸棚のLNG基地がある地域を建設場所として選定した。また,Methanol Australiaは,洋上メタノール・プラントとして単独でチモール海のエバン・ショールガス田の開発による原料ガスの調達を発表している。計画されているプロジェクトの段階はそれぞれ異なり,投資決定しているプロジェクトは,既に政府の支援(条件付低利融資)を取り付け,資金調達を開始しているSyntroleumのSweetwaterプロジェクト(GTL燃料及びGTLワックス・潤滑油),2001年12月に投資決定を発表したMethanexのメタノール・プロジェクトの2件である。連邦政府は,GTLタスクフォースのGTL戦略の対象製品としては,長期的にはGTLディーゼル燃料に力を入れているが,企業は短期的には市場ポテンシャルのあるメタノールやGTL高付加価値製品にも注目している。GTLプロセスによりディーゼル燃料及びジェット燃料などの中間留分の製造を計画しているプロジェクト企業は,GTLプラントの経済性,連邦政府の支援程度,製品価格・市場動向などを見極めている企業がまだ多い。SasolChevron,Shellは,連邦政府の支援内容により,豪州をGTLプロジェクトの対象地域とするかどうかを決める姿勢であり,調達するガス価格とGTLプラントの経済性の改善が,政府の支援でどの程度可能かを慎重に検討している。豪州のGTLプロジェクト計画は表12の通りである。日本企業では,日本DME(三菱ガス化学,日揮,伊藤忠商事,三菱重工)がDMEプラントのF/Sを2002年6月頃までに完了することを目標として実施している他,日本石油開発は豪州チモール海で発見したクラックスガス田を対象に,世界初のFPSOによる洋上メタノール・プラントのF/Sを検討している。このFPSOの計画には,Morgal MarineとCoogee Chemicalのコンソーシアムが技術やライセンス面で関係している。また,国際石油開発(INPEX)も探鉱の結果,チモール海でガス田を発見しており,同社が保有する他の未開発ガス資源も含め,貨幣化(monetization)の選択肢の一つとして,GTL技術の活用に強い期待を寄せており,GTL技術の可能性に関する調査などを積極的に実施している。最後に,石油公団シドニー事務所では,連邦政府やGTL関連業界と,GTL技術,豪州日本企業のGTLプロジェクトの発展に貢献するような協力の可能性などについて幅広く意見交換を行っている。各企業のGTLプロジェクトに関する情報については,改めて報告する予定である。また,石油公団のGTL研究開発については,同誌2001年11月号「未開発ガス田を市場に導く石油公団GTL技術開発」に掲載されているので参照願いたい。―57―石油/天然ガス レビュー ’02・3 表11 GTL企業の操業実績 プロセス名 操業実績(b/d) GTL製品 SSPD SMDS ? 124,000 12,500 2ガソリンほか ワックス・軽油 ? 操業プラント 南ア連邦 マレーシア・ビンツル オクラホマ・タルサ asol RD/Shell Syntroleum S出所:JNOC GTLの市場に関する調査報告書,GTLタスクフォース報告書 TLプラント 規模(b/d) 投資規模 (MMUS$) 11,500500(2005?2006年 第一次開発 35,000? 40,000 開発予定) 第一次開発 200,000 (2015年) 2,000NA75,0002,000100万t/年 500100万t/年 500345万t/年 1,000120万t/年 600150万t/年 NA 表12 豪州のGTLプロジェクト計画 建設予定地 豪州カラッサ・ 西バラップ岬 補地選定中 候(西豪州カラッサ・ バラップ岬他) 原料ガス: 北西大陸棚(NWS) 企業名 GTL製品 現  状 SyntroleumGTL燃料,高付 加価値製品 資金調達,開発 計画評価中 Sasol ChevronGTL燃料 GTLナフサ,LPGF/S,原料ガス 候補地選定中 (西豪州カラッサ・ バラップ岬他) 原料ガス:検討中 補地選定中 候部準州 北ダーウィン 原料ガス:バイユ・ ウンダン 豪州カラッサ 西バラップ岬 原料ガス:北西大陸 棚(NWS) 部準州 北ダーウィン 原料ガス:エバン・ ショール 浮遊生産システム MFPSO 原料ガス:   クラックス モール海 チ補地選定中 (西豪州他) 候RD/Shell短期:高付加価 値製品(潤滑油, ワックス), メタノール 長期:GTL燃料, GTLナフサ,LPGF/S中 GTL Resourcesメタノール GTLディーゼル F/S中 Methanexメタノール Methanol Australiaメタノール F/S中 2001年12月 計画発表 F/S中 2001年12月 計画発表 Morgal Marineメタノール F/S検討中 日本DMEDMEF/S石油/天然ガス レビュー ’02・3―58―
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2
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国10
国・地域 大洋州,オーストラリア
2002/03/30 [ 2002年03月号 ] 池田 寛
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