ページ番号1005994 更新日 平成30年2月16日

クラスター油ガス田開発にみる技術革新 ―北海油ガス田を中心に―

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レポートID 1005994
作成日 2002-03-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 技術探鉱開発
著者
著者直接入力 岡津 弘明
年度 2002
Vol 35
No 2
ページ数
抽出データ クラスター油ガス田開発にみる技術革新―北海油ガス田を中心に―岡 津 弘 明*北海油ガス田は成熟期に入ってきている。今後同海域からの生産量を維持して行くには,中核となる油ガス田からの増進回収を含む生産だけでなく,周辺の小規模の既発見未開発構造群を,既存インフラを最大限活用し,CAPEX/OPEXを抑制し効率的に一体開発することが求められている。本稿では,この視点に立ち技術革新の現状をまとめた。先ず背景となる北海のクラスター油ガス田開発の鍵となる技術的課題を整理する。次ぎに既存施設の活用,CAPEX/OPEX削減を目標とする具体例として,①小型軽量無人化プラットフォーム,②特殊ブイの生産施設としての利用,③関連生産施設技術について,幾つかの注目に値する技術を紹介する。これら技術は多岐にわたり,かつ一部には現在開発・試験中のものも含まれるが,ここにみる技術革新の目標は,どの油ガス田開発に対しても共通である。技術革新は如何に進んでいるのか,またそれらが如何に積極的に開発に取込まれているかと言う点において北海を中心とした技術の現状は,注目に値し,かつ学ぶべきことが多い。1.技術革新の背景:北海におけるクラスター油ガス田クラスターフィールド(Cluster Field)という用語が最近使われている。その意味するところは中核となる油ガス田地域周辺の,従来よりサテライト油ガス田と称されているものを含む油ガス田群を意味するものである。(英領)北海の探鉱状況については,拙稿「増進回収法(EOR)は北海を復興できるか?:英領北海油田における現状」(石油天然ガスレビュー1月号掲載)で触れたとおり,1990年以降停滞し,新規発見油ガス田は小規模化している。今後の北海の油ガス田開発については,以下の3つの方向性が考えられる。b既生産油ガス田からの生産の増大:増進回収法の適用を含む。*本稿は,ロンドン事務所副所長 岡津弘明(E-mail:okatsu@jnoc.org.ok)が担当した。b既発見周辺小規模油ガス田の経済的開発b新規探鉱発見油ガス田の開発本稿では,この2番目の点に注目することにする。小規模油ガス田の開発を考えると,単独開発よりも,幾つかを組み合せ,さらに既存のインフラを最大限に活用することが経済性を高めることにつながる場合がある。その意味で周辺油ガス田をまとめた形でのクラスター油ガス田としての開発が今後進むものと考えられる。図1?1は,英国政府および石油ガス産業のタスクフォースである「Pilot」プロジェクト(*注1)において取りまとめられた2000,2010および2020年における英領北海における油田開発対象域の変遷予測を示している。同図は30kmのタイバックを開発前提としている。この図から指摘されることは,今後既存油田周辺のクラスター域のポテンシャルが期待され,同域を中心に開発が進むが,2020年には開発対象域は大幅に縮小することである。―73―石油/天然ガス レビュー ’02・3}1?1 英領北海油ガス田開発対象域変遷予想(Pilot資料による:Pilot¬2001)図1?2 地域別クラスター油ガス田群の埋蔵量規模 (Pilot資料による:Pilot¬2001)(注1)英国政府と産業界のタスクフォースである「Pilot」プロジェクトは,英国石油ガス産業の国際的競争力を改善し,英国海洋における探鉱開発を継続させることを主目的としている。具体的な数値目標は幾つかあるが,その一つとして2010年において3百万bpdの生産量確保を目指している。また石油ガス産業の活性化のために,幾つかの具体的なアクションプログラムを進めており,その内の一つが既発見未開発油ガス田の開発である。石油/天然ガス レビュー ’02・3―74―ソなみに上記タスクフォースプロジェクトでは,英領北海における315の発見未開発油ガス田の開発促進を目標としており,そのため地域的なクラスター開発,サテライト開発促進,技術上のチャレンジを主要な柱として位置付けている。また,同タスクフォースでは,英領北海を地域的に21のクラスターに分類しているが,その規模および数をまとめたものが図1?2である(貿易産業省(DTI),IHS,WoodMckenzieのデータに基づく)。多いところでは1Quadrangle(30ブロックからなる鉱区群)当り20近いクラスター構造がある。しかしクラスター油ガス田群としての埋蔵量規模は押しなべて20百万bbl以下,個々の油ガス田は数十万?数百万bblと小規模である。英領北海のクラスター油ガス田について,Kemp他は海域毎にその分布(クラスター油ガス田群数,生産流体,埋蔵量規模,既存インフラとの距離)を調べている。その一例として中部北海における分布を図1?3に示す。ここでは開発計画が未だ決まっていない油ガス田を対象としている。同図から指摘できる点としては,地域全体に開発生産が進んでいる中部北海においてさえ,多くの未開発油ガス田が,既存インフラあるいは構造近辺に存在することである。主要インフラとの距離も20km以下(さらにハブ開発を実施した場合のハブまでの距離も同様)であり,海底仕上等を中心とした技術による開発の可能性が高いことも指摘される。2.クラスター油田開発のための技術課題上記の様に,北海においては,油ガス田の小規模化とともに,既存油ガス田およびインフラ周辺の発見構造が,未開発のまま残っている。これらを開発して行くためには何が必要かという点について考えてみたい。具体的なクラスター油田開発のための技術革新として,以下に関するものが指摘される。b再使用可能なサテライト構造用無人プラットフォームb特殊ブイb海底設置生産処理施設b遠距離タイバックまたは大偏距井bスマート坑井と坑内処理(施設)技術b浮遊式生産システム図1?3 英領中央北海におけるクラスター油ガス田の分布(A. Kemp. L, Stephen,“The Economics of Field ClusterDevelopments in the UKCS-North Sea Pape 77-2000”より引用)―75―石油/天然ガス レビュー ’02・3Nラスター油ガス田開発の場合,小規模油田開発に必要なことに加え,油ガス田群の一体開発により,如何に経済性をあげるかが重要な点となる。この点に関連して上記技術革新の背景には,以下が考えられる。b既存油ガス田のインフラの最大活用,施設の共用化:既存処理施設への繋ぎ込み,既存プラットフォームからの大偏距井による周辺構造開発等により,新規開発油ガス田についてのOPEX/CAPEX削減が期待。ただし,今後は通常単独開発の際にも,将来の周辺油ガス田群の開発を視野に入れた開発手法が求められる。b新規施設の簡素化:上記とも絡み新規開発分については,極力スリム化を図る。海底仕上技術の進歩に伴う施設の海底設置,小型軽量プラットフォーム/特殊ブイの利用に代表される構造物の簡素化,塔載施設の軽量化等につながる。b操業自動,簡素化,無人化:周辺油ガス田の一体集中管理,操業人員配置最小化等によりOPEXの削減を図る。前述の英国政府/企業のタスクフォースでは,クラスター油ガス田保有会社にとって,何が開発上の障害となるかの調査を行なっている。その結果は大きくコスト/商業化の問題,技術上の問題,その他に分類されるが,回答数の多い順に以下の項目があげられている。①埋蔵量②地下での技術上の問題③坑井能力(生産レート)④コスト:掘削開発,輸送,インフラ開発,⑤商業性⑥オペレーター,パートナーの数⑦油価,ガス価⑧インフラからの距離とアクセス⑨ガス市場⑩流体技術上の問題⑪地上での技術上の問題⑫投資に対する世界的な競争力⑬地下技術についての人的資源不足⑭環境,政治的問題⑮地上技術についての人的資源不足特定クラスター油田ガス開発における具体的な技術チャレンジ事項の例として,Gullfaks油田に対しオペレターであるStatoilが指摘する点は以下のものである。b油層/構造関係:構造把握の改善,生産方針最適化,油層導通の不確定性の把握b生産関係:ガス油比と水の生産の最小化,低生産性ゾーンからの生産b坑井施設関係:仕上技術,テンプレート生産の最適化,坑井作業これらの指摘について考える場合,確かに小規模のクラスター油ガス田開発の最大の前提として,正確な埋蔵量,油層状況,生産挙動の把握といった地下の(油ガス層に係わる)課題は重要である。ただし,この点については,クラスター油ガス田開発に特定される課題ではなく,油ガス田開発に共通した課題といえる。生産処理施設も共通課題とも言えるが,CAPEX/OPEX削減の観点から特に重要視されるものと言える。以上述べた背景を踏まえて,本稿においては生産(処理)施設に関連する技術革新について,北海での適用・検討を中心に紹介する。3.技術革新の紹介3.1 海洋構造物について:小型軽量プラットフォーム3.1.1 北海における無人化プラットフォーム適用の変遷NUI(Normally Unattended Installation)Unmanned Platformという用語が用いられる様になってきている。これは,(通常)無人プラットフォーム(海洋構造物)を意味している。北海油ガス田の開発においても,プラットフォームの無人化(および小型軽量化)が,進められている。この目的は,以下の点であり,経済的な開発が必要とされる背景がある。また既存インフラ使用による施設削減が可能となっている点もあげられる。b小型軽量化によるCAPEXの削減b無人化によるOPEXの抑制:操業管理/メン石油/天然ガス レビュー ’02・3―76―?ス設置の難かしさ ・製作インターフェイス高コスト ・風力発電の低稼動性  (→Gallahadに反映) スタックドデッキ製造高コスト ・下部構造物製造高コスト  (→Vikingに反映) ジャッキアップ改良によるジャ  ケットの再方位調整 ・Deck-Kentledgeを避けるための  下部構造の改良 ・デッキを降ろすことで建造コス  ト削減 ・ガス燃料発電上の問題  (→Wonnich/Neptuneに反映) HSEがデッキ重量を左右すること ・水深に対する設計限界  (→SAWプラットフォームに反映) 設置コストはパイリングに影響  (→SAWプラットフォームに反映) ・ ・ ・ ・ ・ ・数脚ジャケット onopod ・Stacked Deck(500t) ・低コスト緊急用設備適用 ・Monopod設計により重量 500t削減 ・風力発電の利用 ・composit materialの利用 ・防ガスハッチ使用 ・3脚格子構造/2段デッキ:  標準設計 →下部構造重量300t ・オープンプランデッキ  (製造容易) ・ガス発電使用 ・下部構造の再方位調整 ・ディーゼル発電 ・Deck Steelの有効利用 atherer ・2分割構造 ・ジャッキアップ設置 ・軽量デッキ ・ボート接舷アクセス ・電気および太陽光発電 複 複 複 M M G G G S表3?1 北海におけるNUIプラットフォームの変遷 油ガス田 (オペレーター) プラットフォームコスト (百万ポンド) 構造物タイプ/適用技術他     問題/習得技術 数脚ジャケット 数脚ジャケット/6坑井用) 人員常駐のためデッキ重量に影響 ・重量1000t ・下部構造重量がまだ重い  (→Davyに反映) 年 1990 evenspurn (Hamilton) 1995 annymede (Conoco) 1995 orth (Hamilton) 1995 avy (Amoco) 1997 allahad (Mobil) 15 onopod ・2分割構造 1998 iking (Conoco) 12 atherer 1999 eptune (BG) 13 atherer 1999 onnich (Appach) 2000 oton (BP) (目標) uction Buckets Jack-Up ・メンテナンス計画頻度:  3日/年 (Granherne社資料に基づく) ―77―石油/天然ガス レビュー ’02・3 23 20 18 14 8 6 R G N D G V N W H eナンス作業のための人員派遣回数抑制。b安全性の改善海洋油ガス田開発の場合,開発域の水深によりその方法が選択される。開発コストについてみれば,一般的に水深が深い場合は海底仕上井による開発が有利であるが,Granherne社の試算によると水深400ft以浅において条件によってはプラットフォームによる開発が安価となる由である。この場合,特に無人化プラットフォームが有利となる。ただし,無人化プラットフォーム(以下NUIプラットフォームと略)が適用される背景には,近年の設計技術上の改善,無人化のための制御システムの信頼性と効率性の確立等がある。Granherne社は無人化プラットフォームの設計(適用)に際し常に求められる重要条件として,以下を指摘している。b簡素な設計b頑丈さと耐久性b最低限の電力消費b人員派遣作業の頻度が低いことb安全性1990年以降,南部北海を中心にNUIプラットフォームの適用と技術改良および開発コストが著しい。表3?1は代表的な適用油ガス田毎のコスト変遷と技術改良について整理したものである。開発コストで見た場合,1990年のHamiltonから1999年のHotonまでおよそ1/3に減少していることがわかる。この内訳上,特にプラットフォーム設置,デッキ製造,マネージメントについてコスト削減が図られている。また短期間に,前例の問題点を把握,技術を習得して,次ぎの設計に反映させ改良を図ってきたことが注表3?2 北海における代表的NUIプラットフォームの軽量化変遷      年 1997 1998 1999 ガス田(オペレーター) Heron(Shell) (Amerada Hess) Tamber(BP) 来型4脚構造との重量比 ?25 % ?50 % ?35 % Hybrid tower/tripod base designed for jack-up interface Gatherer tripod transition base Gatherer design 16 2400 te 50?120m 750 te 有 ?大坑井数 ャケット形式 ャケット重量 用水深 ップサイド重量 リデッキの有無 の他 油 従 最 ジ ジ 適 ト ヘ そ 油 坑 デ 61,100 te 70m 700 te 有2001 2240 te 6800 te 70m 660 te 有 ?1996 4500 te表3?3 北海における代表的なNUIプラットフォームのデッキ重量変遷 (Granherne社資料に基づく) コイルドチュービング ユニット有 ガス田(オペレーター) Gannymede (Conoco) Gallahad (Mobil) Hoton(BP) 1995 61,000 te    設置年 井数 ッキ重量 石油/天然ガス レビュー ’02・3―78―(Granherne社資料に基づく) レされる。表3?2,3は,これらのプラットフォームの内,英領中央北海で設置された幾つかものについて具体的にプラットフォームの軽量化,デッキの軽量化の変遷を整理したものである。油ガス田の状況も異なるので一概に単純な比較はできないものの,ここ10年で軽量化,小型化が進められてきたことがうかがえる。3.1.2NUIプラットフォームの設計に係わる要素技術革新NUIプラットフォームは単に構造自体を小型簡素自動化して無人化すればよいものではなく,以下の点に係わる技術について改良/革新が必要とされる。(1)作業の安全性操業人員が常駐しないNUIプラットフォームの場合,安全性が問われるのは,作業時の人員派遣移動時であり,特に海象状況が厳しい場合はなおさらである。荒天時の人員移送に係わる死亡事故等は,ヘリコプターによる移動や梯子等により船舶から直接プラットフォームに乗り移る際に発生している。このリスクを削減するために,モーションコンペンセーション式リフトシステム(Ocean Neptune System)や作業船を直接吊り上げ/吊り下げる方式(SeaAccess Davit - Caley Ocean Systems)等が開発されている。これらによると死亡率はヘリコプターや船舶からの直接移動に比して100倍近く減少している。ヘリコプターによる人員移送の必要がなくなることは,OPEXの削減,さらにヘリデッキ除去からくるCAPEX削減にもつながることが指摘される(ちなみにGranherne社の1試算によると,ヘリデッキ等を除去することでCAPEXとして30?50%,OPEXは最大75%まで削減可能としている)。(2)発電システムの改良電力消費の抑制はプラットフォームの無人化の一つの鍵であり,同時に発電システムの改良も,プラットフォームの小型軽量化に貢献すると指摘されている。さらに近年の環境に優しい発電システムについても適用が検討されている。幾つかの新たな発電システムを以下示す。b波力発電:BP/Harding(スタディーのみ)b風力タービン:TotalFinaElf/karinab熱電気発電機:天然ガス/プロパン/ブタンを燃料に持いる。発電量は0.1?1KWであるが,年数時間の保守作業で20年間稼動する様に設計されている。Apache/Wonnich(豪州)で使用。bRankineサイクルタービン:天然ガスおよび軽油燃料。発電量1?5KW。Agip/ IvanaおよびBarbara(アドリア海)で使用。bマイクロタービン:天然ガスおよび軽油燃料。発電量は20?50KW。冷却機や熱交換器が不要であり,40-50%エネルギーが節約できる利点あり。BP/西Akhen(エジプト)で使用。さらにデッキサイズの小型化に貢献するプロセス制御法としてElectric Actuationシステムがあげられ,BPのAndrew油田で適用されている。同システムは,直接的な電気作動のため信頼性が高いことともに,従来の作動用ハイドロリック,圧縮空気のためのパワーパックが不要となることが指摘されている。(3)グリーンプラットフォーム:環境対策としての新技術昨今の環境問題への対応・規制から,環境に優しい”グリーンプラットフォーム”と称するものが提唱されている。これが目指すものとしては,以下の項目があげられている。b抑制(“ノーあるいはゼロ”)対象となるもの:フレアリング/排気,排出物の漏洩,燃焼排出物,オゾン層破壊物質使用,掘削流体/カッティングス投棄,廃棄物投棄,海洋油投棄,海洋ケミカル投棄b総エネルギーの最大効率化b耐久性材料の使用b施設の再使用とリサイクルb設置物移動後の動植物生息環境の復帰この内,抑制対象となるガス排気の原因は,余剰の生産ガス(施設の点から再圧入不可),バルブ制御媒体であるガス漏れ,フレアシステムへの空気の侵入を防止するためのパージ用炭化水素ガス等が指摘されている。フレアリングを行わない場合,緊急/シャットダウン時のリリーフ弁からの,またプロセスの減圧のための―79―石油/天然ガス レビュー ’02・3Kス放散への対処が課題となる。フレアリングについては,完全に実施しない場合と,ルーチンで実施しない場合があり,共にフレアガス回収用のコンプレッサー設置を前提とする。ただし,施設コストで比較すれば,完全なノー・フレアリングの場合1800?2000万ポンドであるのに対し,ノー・ルーチンフレアリングとした場合は,300?500万ポンドとなると,Granherne社は試算している(ちなみに後者の場合,大気中への排気ガス量は1.25万scfdとしている)。排気ガスを伴うガスやディーゼルの燃焼発電システムについては,先に触れた用に天然エネルギー(太陽光,風力,波力)を用いたものが代替として一部で適用されている。ちなみに,この様な代替発電システムの場合のCAPEX(英領中部北海適用と想定)は,太陽光発電で640万,風力で80万,波力で20万ポンドとなる。さらに陸上からのケーブルによる送電についても検討されてきている。PirelliやAlcatel社は最大40MW-100kmの直流電流用複芯(Multi-cored)ケーブルを,さらにAlstom社はHVDCコンバーターを用いて長距離間,効率的に交流電流を送電しうる単芯(Single-cored)ケーブルを開発しており,これらが使用されることが考えられる。またケーブルによる陸上からの送電については,ハブとなる油ガス田(プラットフォーム)を設け,それに向けて送電した後に周辺に分電することが考えられている。3.1.3 新たなタイプのプラットフォーム:設置/再使用の観点から今後,計装制御技術の進歩と共にNUIプラットフォームの適用はさらに増えるものと考えられる。将来のNUIプラットフォームのための具体的な開発・適用項目として,Granherne社は以下の点を指摘している。b自設置/移動機能b再使用可能インフラbトップサイド完全電化bグリーンパワー適用bSea Access保守b保守回数の最小化bシステムの簡略化b掘削の低コスト化ちなみに同社では将来,NUI技術の進展に伴い,南部北海において2坑井で開発を実施する場合の開発費を予想しており,2004年においては1996年当時の開発費の半額になること評価している。CAPEX/OPEXを削減する要素に,プラットフォームの設置(移動)/再使用を如何に容易に実施できるかがある。将来の油ガス田のデコミッショニングの問題とも絡むこと,また小規模油ガス田は生産期間が短いこともこの背景にある。またこれらは油ガス田のトータルライフでみた場合に大きな影響となって出てくるものと言える。表3?4に,北海を中心に検討・適用の進められているプラットフォームについて自設置型,バージ設置型,ジャッキアップ型とタイプ別に整理する(必ずしもNUIプラットフォームではない)。共通して指摘されることは,設置が容易で再使用が可能であることを目的としており,また設置に際し従来のプラットフォームの場合に必要とされる特別あるいは大規模なバージ船が不要である点である。3.2 海洋油ガス田用ブイユニバーサルブイシステム(以下UBSと略)は,油ガス田(生産)制御,ケミカル注入施設から,水圧入による油層圧力維持,さらに電動ポンプ制御/電力供給配分等の機能を有する。UBSは,既存のインフラから離れた油ガス田のプロセスおよび海面下貯蔵施設として設計開発されてきたものである。既存技術手法(プラットフォームや海底仕上)とUBSを比較すると,UBSによる開発は,CAPEX上大きな利点を有することに加え,OPEX分析からも,さらにNPVおよびライフサイクルコストにおいても有利である点が指摘されている。またUBSは,デコミッショニング/移設が容易であり,環境的にも優しいこと,再使用に適していることも指摘される。さらに浅海,大水深の開発に共に適用可能である。石油/天然ガス レビュー ’02・3―80―\3?4 新たなタイプのプラットフォーム例(Granherne社資料に基づく) 概  要 概念図 Granherne¬20011)自設置構造?サクションパイル型 (Self-Installing Structure - Suction Piles) ・適用プロジェクト例:BP/Hoton(水深30m/概念設計のみ) ・設置特徴等  □安定性の面から適用水深およびデッキ重量に制限(水深<100m,トップサイド重量<300t)。  □サクションバケットを用いた迅速/低コスト設置可(2日間)。  □再使用可能(低コストでの再設置)  □実際の適用はないが,モデル試験は実施。  □より深い水深域への適用時,デッキおよび上部構造部設置にはジャッキアップの組合せ要。  □設置時海象条件:波高2m以下。  □Suction Pile Technology社特許による。 2)バージ設置構造?サクションバケット  (Barge installed Structures - Suction Buckets) ・適用プロジェクト(4基既設置):  Cryde Petroleum/P2NE,SE,P6-S(オランダ1997年),  Burlington/West Millon(アイリッシュ海:水深32m,2000年) ・設置特徴等  □構造物は陸上建設後バージで輸送。港で脚部およびサクションバケットを取付。  □ストランジジャケットによる迅速/低コスト設置可(2日間)。  □再使用可(低コストでの再設置)。  □Suction Pile Technology社特許による。  □設置時の海象条件:波高1.5m以下。 3)バージ設置構造?グラビティーベース (Barge installed Structure - Gravity Base) ・適用プロジェクト例:  BP/Hoton(水深30m 2000年/スタディーのみ)  UNOCAL/Halfweg Q1(水深37m 1995年) ・設置特徴等  □標準適用水深<120m  □下部構造物は陸上建設。ドッグからバージで輸送。  □リフトによるデッキ設置またはバージ輸送(4脚の場合)  □ストランドジャッキによる迅速/低コスト設置可(2日間)  □再使用可(低コストでの再設置)  □Ocean Engineering Resources社特許による。  □設置時の海象条件:波高1.5m以下。  □デッキベース大。  □CAPEXは従来型プラットフォームの40-60%。構造物としての維持・検査コストは従来型の10%。 4)ジャッキアップ設置構造?パイル固定 (Jack-up installed Structure - Pilled)  ・適用プロジェクト(12基以上既設置)  Apache/Wonnich(オーストラリア,水深30m 1999年)  BHP/Buffalo(チモール海,水深30m 1999年) ・設置特徴等  □ジャッキアップの最大高が高さの制限となる。複数の分割構造が必要とされることもある。  □深度の深い場合,構造物構成物はgroutingまたはswaggingにより固定される。  □パイリングに時間を要する:10-15日の実績。  □遠隔地設置では、掘削作業の動復員とシェアできることで最大のポテンシャル。 ―81―石油/天然ガス レビュー ’02・3 5)ジャッキアップ設置構造?サクションバケット (Jack-up installed Structure - Suction Buckets) ・適用プロジェクト(1基設計)  BP/Hoton(水深30m 2000年) ・設置特徴等  □ジャッキアップの最大高が高さの制限となる。複数の分割構造が必要とされることもある。  □深度の深い場合,構造物構成物はgroutingまたはswaggingにより固定される。  □基礎ユニットはサクションバケットとともに曳航でき,ジャッキアップにより海底に降ろされる。  □サクションバケットにより迅速な設置(2日間)  □遠隔地設置では、掘削作業の動復員とシェアできることで最大のポテンシャル。 3.2.1UBSの概要:シー・コマンダーを例にとって(1)開発経緯油ガス田生産施設としてのUBSの例として,Ocean Resources社のシー・コマンダー(SeaCommander)ブイを取り上げ,概要を説明する。これは,英国およびオーストラリアにおけるモデルテスト,実際の海洋油ガス田への適用による検証を踏んでいる。同ブイシステムの開発経緯は以下のとおりである。b1981?1987年:データ採取ブイの開発(海面下データ採取)b1997年:特許取得b1995年:East Spar油田における最初の適用図3?1 各種ブイの開発/適用例 (Ocean Resouces社資料による;Ocean Resouces¬2001)石油/天然ガス レビュー ’02・3―82―1997年:レーダーデータ採取ブイ(SeaSentinel Radar Buoy)設置(アイリッシュ海)b1999?2000年:Moss Gas E-M油田における適用先ずデータ採取ブイ(Sea Sentinel Buoy)と称される海洋状況監視機器を組みこんだブイが,環境,汚染等の各種データを採取する目的で開発された。同ブイは,北海Statfjord油田海域(大水深,および浅海域)に設置され,成功を収めている。一つは,約7年にわたり,特殊データ採取プログラムの一環として設置されている。現在までに,Exxon-Mobil社のZafire油田におけるフレアブイを含む,8つの同ブイが使用されている。これらにおいて,リアルタイムの操業データが連続採取され,その揺動応答特性についても,コンピューターによる分析結果と照合,検討されてきた。同ブイシステムは頑丈で,確実で,経済性のある,広いレンジでのデータ採取に活用しうるシステムと評価されている。さらに建造,設置のみならず,操業および維持について経験が蓄積されることで,同社はさらに改善された信頼性のある設計が可能としている。(2)UBSの構造概要同ブイシステムは,海底に設置されたグラビティーベースと,マスト/デッキ(施設部を塔載)からなるハル(ブイ本体)から構成される。ブイはグラビティーベースに垂直的にアンカーで固定される。標準的なハルは,直径9mで排水量600トンである。シー・コマンダーブイシステムは,浅海(最浅水深70m)および大水深(3000m)における遠隔域,無人制御油ガス田開発を対象に設計されている。また確立されたエンジニアリング,技術に基づくものであるが,設計はフレキシブルであり,油ガス田の開発状況に対応し,以下に示すような,一般的または,特定の仕様を組みこむことができる。b発電機の搭載b海底施設のハイドロリック,またはハイドロリック/電気方式の直接制御b海底施設の監視・制御b流体タンク搭載(ブイ上に100?200トン),またはグラビティーベース内での流体貯蔵。bケミカル注入:坑井,マニフォールド,およびフローラインに対するものbケーブル,衛星または他の方法による伝送b迅速な制御と反応b単数あるいは複数の係留鎖(Tether)システムb重力式,パイル打ち固定,あるいはサクションアンカーシステム利用。(3)UBSの安定性・安全性揺動(Motion):波高30mでブイの安定性は良好であり,直立姿勢を保つ。有人時において最大波高が1.5?2.5mの条件下では揺動は知覚されず,操業要員がブイ上で作業することは問題ない。安全性:有人時の(高レートの)換気システム完備。無人モードでは一般的に防水状態にシール。ブイシステムについては,特別な保安概念が設定されている。致命的事故レート(Fatal Accident Rates: FAR)および年間人命損失(Theoretical Annual Loss of Life : TALL)については,通常のプラットフォームと比較して,より高い安全性が求められている。通常の無人ブイとは,外郭破壊に起因する沈没に対する時間,火災時の酸素の最小化の観点から,完全に区別されるものである。なお,無人期間中の施設としての保安の問題(テロリズム等)については,依然として問題が残る。USBは基本的に無人操業システムであることから,通信伝送/制御/電気システムが充分に信頼性のあるものである必要がある。例えば通信伝送システムについては基本的なUHFシステム2ユニットの内一つがスタンバイ用である他にINMARSAT衛星による緊急用システムを有している。制御システムについても原則的に不要なシャットダウンを回避するべく設計されている。UBS全体に影響を及ぼす点から電気システムについても充分な設計と信頼性が必要とされる。―83―石油/天然ガス レビュー ’02・3\3?5 UBS(シー・コマンダーブイシステム)概要 ●ブイの外形と大きさ Ocean Resources¬2001(Ocean Resources社資料に基づく) ●シー・コマンダーブイシステムの特徴点  □遠隔油ガス田の制御  □低CAPEX/OPEX(および低ラフサイクルコスト)  □高度な完全性  □高い信頼性(稼動率:99.5%以上)  □環境への影響の最小化  □再使用可能  □2000m以深の大水深域への適用  □6ヶ月の保守期間(同期間は無人)  □4MWの自家発電  □ヘリまたはボートによるアクセス  □最大波高:28m  □水深:70?3000m  □通信制限距離:なし  □塔載能力:200t  □海底貯蔵量:制限なし  □海底制御システム:海底坑口数10。  □ハイドロリック若しくは電気制御。  □設計耐用年数:25年 基本仕様 ●(4)設置手法ブイシステムの設置技術は実証されている。具体的な作業手順として,図3?2を参照されたい。同技術は,central tetherを制御して,グラビティーベースを安定させ,海底に下げるもの。実績では開始から設置終了までの作業時間は,約2.5時間。Multi-tetherシステムの場合,central tetherが除去,あるいは移動させる前に設置する。実施時間は,装着設備の複雑性による。(5)UBSによる油田開発例実際にUBS(シー・コマンダーブイシステム)が使用された開発例として,East Spar油田における開発概念を図3?3に示す。ここでは,UBSは複数の海底仕上井とそれぞれの海底設置制御装置および海底マニホールドを制御している。この様にサテライト構造が遠隔に複数点在する場合に,UBSがこれらを集約的に制御するクラスター油ガス田開発のハブ的存在になる一つの例である。3.2.2 その他のブイシステムの紹介上記のシー・コマンダーブイ以外にも,幾つかのUBSシステムが開発されており,それらについて簡単に触れる。(1)C-Fastブイ同ブイの概念は,シー・コマンダーとC-fast技術の利点を合体させた,海底での生産・圧入を安全に制御するための無人遠隔施設である。C-Fastは水圧入と油層圧力維持のために最低限に処理した海水を圧入するシステムで,簡単に言えば同システムを有するUBSである。同USBの場合,装置の信頼性が鍵となるが,最大2MWポンプモーターを,清潔かつ制御可能な環境に設置できる点で,ポンプの海底設置より利点があるとされている。この場合,従来手法(海水処理/ポンプ搭載)と比較してCAPEXは40%以上の節約となるとのこと。(2)シー・ブースター(Sea Booster)ブイC-Fastブイ同様に,本概念は海底における生産/圧入施設を安全に制御する遠隔無人システ石油/天然ガス レビュー ’02・3―84―tェーズ?1:ワイヤーラインの設置 A Pull-Down船が予め設置している係留ラインを引く。 B コントロール船からROVにより設置ワイヤー取りつけ。 フェーズ?2:ブイ到着後の作業 A 設置ワイヤーによりブイを垂直位置にコントロールする。 フェーズ?3:Tethersへの荷重移動 A ROVにより、荷重をPull-Downラインから係留鎖(Tethers)に移動。 B アンビリカルラインを接続し、設置ワイヤーを除去。 図3?2 ブイシステムの設置手順(Ocean Resources社資料に基づく;Ocean Resources¬2001) 図3-3:Apache/East Spar油田におけるシー・コマンダーブイを用いた開発(Ocean Resources社資料による;Ocean Resources¬2001)―85―石油/天然ガス レビュー ’02・3?をUSBに組みこんだもの。具体的には,坑内の電動ポンプまたはマッドラインの多相流ポンプを制御する機能を有する。電力供給およびモーター制御とともに,同USBで重要な点は,信頼性と保守管理性である。海底への電力供給(5MW)とモーター速度制御については,すでにかなりの開発が行われているものの,これを含むUSBはこれまでトラックレコードがない。(3)シー・プロデューサー(Sea Producer)ブイ同ブイは,低コスト生産施設である。現在までのスタディー結果では,浅海域のプラットフォームや海底仕上/タイバックへの強力な対抗策であり,基本仕様として,水深150mでの適用,処理能力30000bpdといった値があげられている。石油ガス生産施設はハルに収められ,3つのデッキ上に生産施設,熱交換器,制御システムが搭載される。分離処理後の原油は,海底の貯蔵施設に供給され,タンカー積出あるいは出荷用施設に送られる。生産分離ガスは,発電および分離効率改善のための加熱用燃料として使用される他,余剰分については,油層への再圧入若しくは出荷も考えられる。現在の北海での安全思想に基づくスタディーの結果,シー・プロデューサーの施設設計上,内在する致命的事故レート(fatal accident rate)は,同規模のプラットフォーム施設のそれの1/3と評価されている。(4)大水深システムブイシステムは,大水深環境下への適用も可能であり,最大水深3000mまでの開発に対して実証分析が実施されている。Ocean Resources社は,大水深用シー・コマンダー,シー・プロデューサーを含む各種大水深ブイのオプションについて詳細スタディーを実施してきた。W.S.Atkins Aquaプログラムにおいてはブイシステム適用を目的としてダイナミック分析を実施。大水深ブイシステムは,最も苛酷な環境においても充分に対応しうる。Faroe海域を対象とした,最大水深1650m,最大波高32.7mの条件下でも,ブイシステムは技術的に経済的に適用可能という結論が得られている。Mentol社は,大水深係留システムの設計,建造,設置に実績を有し,幾つかの大水深Toptensioned steel catenary (SCRs)ライザーシステムの開発・設置に成功している。初期の概念設計において,同ライザーシステムは経済的で,ミッドウォーターフロート若しくはブイをサポートするものとされた。ベース基盤はグラビティー型,あるいは従来式の垂直アンカリングシステムである。3.2.3 その他:経済性の試算Ocean Resources社では,北海油ガス田操業会社の具体的データに基づくコスト分析を行なっている。詳細な条件説明は省略するが,坑井数は生産井3,水圧入井2のケースについて,タイバックおよび2つのUBSを用いた場合の比較を実施している。既存施設からの距離が20km以上の場合のUBSの優位性が示される結果となっている。3.3 生産施設技術上の革新小規模,クラスター油田開発に関連する生産技術の革新として,施設の低コスト化,簡素化,効率化に係わる海底仕上・設置,坑内設置施設技術について,幾つかの例を以下説明する。この様な生産技術の革新を押し進める要因として,Helsingは以下の点があることを指摘して表3?6 UBSとタイバックによる経済性比較検討結果(Ocean Resources社試算による) シー・コマンダーブイ シー・ブースターブイ 約20km 20% 50% 約20km 10% 25% イバックと等コスト(距離) イバック距離40kmのコスト削減率 イバック距離100kmのコスト削減率 タ タ タ石油/天然ガス レビュー ’02・3―86―「る。b収入の改善:生産の加速,長距離タイバックによるbインフラ上の制限解決:プラットフォーム上の水処理能力,フローラインの制限,ユーティリティーの制限に係わる解決策が必要とされることb流動(生産)上の問題解決:ハイドレート/ワックス析出,砂,スケール析出,スラギングbCAPEX/OPEXの削減3.3.1 生産流体分離技術生産流体分離について,最近の技術として,海底設置型,坑内設置型びプラットフォーム塔載型小型セパレーターが開発されてきている。この内,海底設置型の分離処理装置としては,前報においてTrollシステムとして紹介した。その他にも最近ではKvaerner社が同様の重力分離式でコンパクト化されたもの等を開発中であるが,以下,坑内分離および従来の重力式分離とは異なる遠心分離型および超音波利用の新しい概念に基づくセパレーターを紹介する。(1)坑内設置型セパレーター:重力分離型とハイドロサイクロン型従来は地上施設であるセパレーターを,坑内の限られたスペースに設置し生産水を分離処理する技術が開発されてきている。この技術により,地上施設での処理負担を抑えることが可能となり,プラットフォーム塔載施設の重量を軽減できることと,含水率の上昇により,全体の生産水量がプラットフォーム上の分離施設の処理能力限界まで達している場合に,既存施設の処理能力内での生産継続が可能となり,新たな施設投資が避けられることが指摘される。また既存のインフラおよび処理プロセスを用いるサテライト構造に対しては,プラットフォーム上での分離処理の必要がないことから,安価な開発につながる。さらに加えて以下の利点も指摘される。b坑内におけるリフト効率の改善b管内のハイドレート析出および腐食抑制高粘度エマルションによるフローラインの圧力損失抑制b分離水を再圧入することで,生産流体に対する処理用のケミカル添加が抑えられことから,環境面にポジティブな効果が得られることb坑底状態(高温/高圧)において,大方の流体は地上状態と比べてより迅速に分離可能(油水の分離の場合,地上では含水率としては20?30%以上が必要とされ一方で,同じ流体が坑底では5-10%以下の含水率で分離可)現在,坑内分離の概念としては,主に2つのタイプ,すなわちハイドロサイクロン式と重力分離式がある。坑底遠心分離についても研究されてきたが,設置坑内スペース上の問題がある。Grammeは,これら2タイプを比較しており,ハイドロサイクロン型に比して重力分離型のセパレーターは性能的に優れることを指摘している。Norsk Hyado社はKnaerner,Weir pump社表3?7 ハイドロサイクロン型および重力分離型セパレーターの比較 ハイドロサイクロン型 50%以上必要 10?15気圧 15%以上 300?800ppm 重力分離型 0?100%処理可能 1気圧以下 0.5%以下 500ppm以下 低い場合のみ処理可能 高い比率でも処理可能 制限あり C-Fer 32既設置 高流量/高含水率用開発中 高 Kvaerner―87―石油/天然ガス レビュー ’02・3圧力降下 分離油中の水分 分離水中の油分 ガス/液体比 ターンダウン比 代表的な製造社 その他 水率 含ニ共同して水平坑井用坑内重力分離式セパレーターシステムを開発商品化している。このシステムは2000年8月に開催されたOffshore NorthSea 2000会議で発明賞を受賞している。このシステムは水平坑部への設置に限定されているが,このことは油ガス田開発で水平坑井が広く用いられていることの一つの裏づけでもある。同システムの特徴は,輸出性状(含水率0.5%以下)の分離原油が得られることと,良質の圧入水(油濃度500ppm以下)を同時に達成できることである。この他としては以下の特徴を有している。b分離水を再圧入するポンプとセパレータは独立して設置。ハイドロリック水ポンプを用いることにより,フラクチャー圧力(250気圧)以上での圧入が可能b頑丈で簡素b如何なる含水率(連続体の如何に問わず)も取扱可能bシステム内の圧力降下によるスケール発生抑制可能bセパレーターを坑内から引き上げることなく,検層や坑井作業の実施可能典型的な仕上の場合,坑井流体は生産ゾーンのライナーを通じ坑内に入る。油および水は水平分離部で分離される。ハイドロリック水圧入ポンプは,セパレーターの下流に配置され,圧入水はセパレーター中央のパイプを通じて,(セパレーターの上流部,ただし高水生産レート下での高圧力損失を防ぐために,生産ゾーンの手前に)圧入される。坑底ポンプ(ハイドロリック水圧入ポンプ)は地上からの圧入水によって作動する。駆動水(power water)および生産/分離水は,共に圧入される。同システムについては,これまでに地上パイロットテスト,北海油田(Brage, Osberg,Troll等)での生産をモデルとしたフルスケールセパレーターの検討が実施されており,現在Brage油田の実坑井におけるパイロットテストが準備中である。(2)遠心分離型セパレーターFramo Engineering社とExxonMobilは共同で遠心分離型セパレーターを開発している。このセパレーターはExxonの特許に基づくもので,電気モーターによる回転により遠心分離を起こす。究極の目的は,従来型の地上(プラットフォーム)設置式重力分離型セパレーターに比してコンパクトな施設を開発することにより,重量/スペースの大幅な削減を図り,総コストの低下に資することである。仕様については表図3?4 坑底水平型重力分離式セパレーターシステム(Kvaerner社資料による;Kvaerner¬2001)石油/天然ガス レビュー ’02・3―88―R?8に整理するが,省スペース(縦型設置のため),軽量の他に,遠心分離による高重力下での効果的分離(エマルション生成防止用ケミカルが不要となる点も合わせ),FPSO設置の際に船体の揺動に分離が影響されないといった点も特徴としてあげられるとのことである。同セパレーターは,地上の試験ループでの実証で良い結果が得られており,1995年にはペトロジャールに塔載,その後北海のBlenheim油田においてテストが実施された。海上におけるテストにおいてもトラブル等を起こしていないとの由である。さらに同社では,この遠心分離型セパレーターを組みこんだ海底処理モジュールを開発している。(3)超音波利用セパレーター「Twister」超音速セパレーター・ガス処理システム(以下,「Twister」)は,ShellInternational E&Pにより開発された技術でありる。これは,従来の重力分離式セパレーターやケミカル添加を伴うガス処理法とは根本的に異なるプロセスであり,超音速下での流体流動の利点を活用した技術である。その気液分離過程は以下のとおりである。bLavalノズル(下図のThroat部)により,低温/低圧下で膨張した処理流体(ガス)を超音速に加速。b水および炭化水素の密集(核化: nucleation)・凝縮。b液滴がウィング部(下図のSupersonic wing)に接触すると高速の渦が発生し,液滴は壁面に遠心分離。bガスと液体が分離。b出口側の圧力は,初期(流入)圧力の約65?75%。構造的には「Twister」は,LavalノズルおよびVortex管,Supersonic-Wing:気液分離装置およびDiffuser(分離後のガスの再圧縮)の3部からなる。「Twister」の主要な特徴は以下の点である。b小型軽量(約12インチ長/管径1インチ)であるが,流量,処理能力は非常に大きい(現在の処理能力は35?175百万scfd/管)こと。このことから施設重量/スペース利用上の最適化にもつながる。また周辺の状況に合わせて垂直にも水平にも設置が可能である。更に可動部,再生システムを伴わないために,操業の簡略化,無人操業への適用が可能であること。つまり海洋プラットフォームの小型化/簡素化(塔載施設の小型・軽量化),さらに無人化に貢献し,CAPEX/OPEXの削減に資する。b原理的に装置内の滞留時間が非常に短いため,ハイドレートを発生する恐れがなく,ケ表3?8 遠心分離型セパレーター概要 ●基本仕様(Framo Engineering社資料による)  □流体処理能力:50?75000bpd  □含水率:30?95%  □ガス体積比率(入口):0?50%  □分離水中油分:40ppm以下  □分離油中水分:0.5%以下  □リテンションタイム:2?4秒  □システムを含む総重量:18t  □サイズ:9.0×4.0×5.0m ●ペトロジャール塔載の処理能力  □総流体処理能力:25000bpd  □最大油/水量:18000/12000bpd  □設計圧力:20気圧  □設計温度:80度C  □設計回転数:3600rpm 遠心分離型セパレーター断面 (Framo Engineering社資料による ;Framo Engineering¬2001) ―89―石油/天然ガス レビュー ’02・3avalノズル/Vortex管部                Diffuser部  ↓                                 ↓図3-5:Twisterの構造と概念 (Twister社資料による;Twister¬2001)ミカル添加の必要がない。またクローズドシステムであり,一般的なガス処理施設で用いられるグリコール再製ユニットからのBTX(芳香族系炭化水素溶剤)の様な排出物がない。施設からのノイズが少ないこともあわせて環境上の問題が少ないこと1997年以降,「Twister」は,オランダ,ナイジェリアの天然ガスプラントでテストされており,2001年5月には最初の商品がマレーシア海洋で適用されることとなった。図3?6は,オランダ・ロッテルダム近郊のBarendrechtガスプラントの写真である。ここ図3?6 従来式ガス処理施設と比較したTwister施設 (Twister社資料による;Twister¬2001)(上部楕円に囲まれたものが従来式施設,下部楕円に囲まれたものがTwisterによるユニット)石油/天然ガス レビュー ’02・3―90―ナは,従来型のグリコール圧入型ジュールトムソン膨張/低温分離施設と「Twister」を用いたユニットの簡潔性が並んで設置されており,同ユニットの小型化が指摘される。なお,「Twister」システムも海底設置での使用が検討されている。現在はそのフィージビリティースタディーの段階にあり,2003?4年にかけて海底施設での稼動を計画している。既存のインフラのガス圧縮能力に限界がある場合への対応が可能となる。これらはクラスターガス田,特に海底仕上井による開発や,プラットフォームの小型軽量化に資するものである。2001年4月にKvaerner社はノルウェーFramおよびGjoaの開発に際して2.5MWの大型遠心分離型コンプレッサーモジュールの設計に参加することを発表している。同開発プロジェクトは3.3.2 多相流ポンプシステムクラスター(サテライト)油ガス田の場合,遠隔坑井から処理施設への移送の際に,生産流体を対象とした昇圧が必要とされる場合がある。また昇圧することにより坑口圧力を1次セパレーターまで低下できることで生産量の増加が期待できる。このための昇圧ポンプが開発されているが,特に海底に設置することでプラットフォーム塔載重量の軽減にもつながる。代表的な例として,1994年以降ノルウェー北海のDraugen油田(オペレーター:Shell,水深270m)におけるFramo Engineering社製品の適用があげられる。3.3.3 海底設置型ガスコンプレッサーガスコンプレッサーを海底に設置することにより,遠隔地へのガス移送,ガス圧入,さらに図3?7 北海Draugen油田の多相流ポンプを用いた開発概念(Framo Engineering資料による;Framo Engineering¬2001)―91―石油/天然ガス レビュー ’02・3仕様   流量      圧力   ガス容積比      速度 適用状況等 112m3/hr 8気圧 42% ? Draugen(Shell):北海:海底設置 Gullfaks(Statoil):北海プラットフォー         ム設置 North ETAP(BP):北海 Topazio(Mobil):西アフリカ大水深         サテライト開発 Lufeng(Statoil):中国 0?2000m3/hr 0?70気圧 0?100% 1500?2000rpm 地上設置用は120の稼動実績。 海底設置用は開発テスト中(?2002.2) 表3?9 代表的な多相流ポンプの仕様 Framo Engineering社 (仕様はDraugen油田適用のもの) Kvaerner社 ンプタイプ Helico-Axial/Rotodynamic Principle Twin Screw Principle ポ002年半ばの完了を目指しており,実プロジェクトにおいて海底ガスコンプレッサーを適用する世界ではじめての例となる。同社ではすでに850KW8段式のコンプレッサーを製作して1200時間にわたるテストを実施している。同様の海底設置型ガスコンプレッサーは,他社(Framo Engineering)でも,電動式インペラを有し軽量かつウェットガスを取扱えるものを開発中である。ノルウェー北海では今後多くのガス田が開発されることが考えられるため,この適用機会は増加するものと考えられる。3.3.4 パイプ/チューブ技術クラスター油田ガス等の海底仕上および海底設置施設の制御のためには従来の生産ラインのみでなく,制御のための電気ケーブル,ハイドロリックライン,またモニタリング装置のためのケーブル類が数多く必要となる。加えて水深が深い場合は,生産流体の性状によっては生産ラインの保温の必要も生じる。このため,これらの複数のライン・ケーブルを1つに組み合せたパイプが使われるようになってきている。図3?8はノルウェー北海Gullfaksサテライト油田(オペレーター:Statoil)の開発に用いられたパイプラインの構造および,Kvaerner社の製品である生産用アンビリカルバイプ(Integrated Production Umbilical)である。後者はフローライン内でのハイドレートやワックスの析出を防ぐために加熱用ケーブルと保温材でのカバーが特徴である。4.おわりに北海油田の今後を考える際,幾つかのキーワードは「成熟油ガス田の開発」であり,「周辺(小規模)油ガス田の効率的開発」である。この現状に鑑み,筆者は先ず前報で,前者の観点から増進回収法の現状についてまとめた。増進回収法は油層に直接はたらきかける技術である。これに対し後者の観点から生産施設について見た場合,「既存インフラの効率的活用」や「CAPEX/OPEXの節減」というやや間接的な,しかし開発会社が実際に求めるポイントが浮かび上がってくる。実際それに向けて北海では技術革新が進むと共に,新技術を果敢に適用している。本報では,施設技術として構造物と施設を構成する要素技術について,新たな技術の現状をまとめてみた。いささかテーマを広げすぎた感もあるが,これが北海油ガス田を取り巻く技術的環境であろう。筆者は,約15年前中国渤海湾海洋油田開発に従事した経験があるが,「小規模」で「クラスター」的に分散し,さらに高流動点/高ワック図3?8 生産用アンビリカルパイプ(左:Gullfaks油田適用,右:Kvaerner社製品)(Statoil社及びKvaerner社資料による;Statoil¬2001,Kvaerner¬2001)石油/天然ガス レビュー ’02・3―92―X原油を産する発見油ガス田群の開発に頭を悩まされた。無論,海底状況等には差異はあるものの,現実としてクラスター化した北海油ガス田が開発に向かっている状況に対しては何とも言えない感慨をもつ。先に上げた「既存インフラの効率的活用」や「CAPEX/OPEXの節減」という点は観念ではなく,現実として何ができるのか,今後如何に取り組んで行くのかである。その意味から北海油ガス田の現状から得る教訓は大きい。最後に,本報をまとめるにあたり,紹介した技術開発を進めているGranherne,OceanResources, Kvaerner, Framo Engineeing,Twister Norsk Hyaro, Statoilの各社,クラスター油ガス田の開発についてPilotプロジェクト,更にAberdeen大学Kemp教授から資料/図版使用の許可を頂いている点につき,この場を借りて深謝したい。参考資料・B. Robinson;“The Contractors Contribution ;from Marginal to Profitable”SPE ContinuingEducation Seminar“Recent Advances inProduction Facilities”(2000.3)・B. Robinson; “Marginal Developments TheContractors Contribution to making theseprofitable”Smi Conference “Offshore Production Technology”(2001.2)・Granherne社Web資料・Personal Conversation with Ms J. Roberts(Granherne)(2001.7.24)・A. Wilson;“The Application of AutonomousBuoy Technology in Conjunction withSubsea Processing for the Development ofMarginal or End-of-Life Fileds”(2000.11)・MENTOR社Web資料・Ocean Resource社Web資料・P. E. Gramme;“Gravity Separation inHorizontal Wellbores”IBC conference(2000.5.)・Press Release;“Innovation award for H-Sep”Offshore Northern Seas(2000.8)・J. A. Veil;“Downhole Oil/Water Separators- What’s New?”(2000)・C. Shaw et al.; Downhole Separation as aand EnvironmentalStrategic Water Management Tool”SPE61186(2000)・C. P. Henderson;“The Ins and Outs ofDownhole Separation”(2000)・JPT March 2000; Technology Applications・“Quantum leap in Downhole Separation”・Kvaerner Oilfield Products社Website・Twister社 Factsheet 1.0?3.0・F.T.Okimoto/M.Betting“TWISTERSUPERSONIC SEPARATOR”・Twister社Twister News Report September2001-09-26・D.Page et.al“Twister - a revolution in gasseparation”Exprolation and ProductionNewsletter November 1999・T.Knott“Twist in the tale”OffshoreEngineer July 2000・“March: Subsea Processing: SeabedProcessing Comes of Age”Hart’s E&Pnet Oct. 2001・“Kvaerner to develop new Oil & Gastechnology for Norsk Hydro”WEBBOLTBusiness News, Research & Intelligence.Nov.2001・“Subsea as dehydration system indevelopment”Oil and Gas International 2001・Framo Engineering社Web資料・Framo Engineering 社Technical BulletinApril 1996,1999, 2001, May 1999・A.Kemp et al.”Economics of Field ClusterDevelopments in the UK Continental Shelf”ibc Conference“Optimising Cluster Fields”Nov. 2000・B. Johannesen et al“Gullfaks satellitedevelopment”ibc Conference“ClusterFields”Nov.2001・M. Routh“The Easington Catchment Areaand Juno Development(UK SNS)”同上Nov.2001 ・A. Macleay“Reusable structure using―93―石油/天然ガス レビュー ’02・3acking techniques”同上Nov. 2001 ・T. Haroun“Subsea field control using highstability buoys”同上Nov. 2001 ・S. Paterson“PILOT sponsoured cluster; aprogress report”同上Nov. 2001 ・J. Svaeren“World wide operationexperience for Framo subsea multiphasepumps”同上Nov.2001 ・P. Helsing“Next generation subseatechnology for cluster and satellite fielddevelopment”同上Nov. 2001石油/天然ガス レビュー ’02・3―94―
地域1 欧州
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2002/03/30 [ 2002年03月号 ] 岡津 弘明
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