ページ番号1005995 更新日 平成30年2月16日

石油備蓄基地初の TPM 活動 ―備蓄コストの低減及び社員の育成を目指して―

レポート属性
レポートID 1005995
作成日 2002-03-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 備蓄
著者
著者直接入力 北海道石油共同備蓄株式会社
年度 2002
Vol 35
No 2
ページ数
抽出データ 石油備蓄基地初のTPM活動?備蓄コストの低減及び社員の育成を目指して―北海道石油共同備蓄(株)*北海道石油共同備蓄(株)北海道事業所は石油備蓄事業の使命である緊急出荷要請への即応力強化,安全の確保,さらには備蓄コストの低減,これらの活動を通じて社員の育成を図ることを目的として,社団法人日本プラントメンテナンス協会(略称:JIPM)が提唱・開発したTPM(TOTAL PRODUCTIVE MAINTENANCE)〈全員参加の生産保全〉手法を導入し,改善活動を展開している。そして,当所ではこの活動をHOTPM(ホットピーエム)活動と命名している。1996年から3年間HOTPMパート1活動を展開した結果,1999年には倉庫業で初めてTPM優秀賞第1類を受賞した。1999年7月からはHOTPMパート2活動を展開中である。TPM活動は,従業員全員参加により生産効率を極限まで高めるための活動であるが,HOTPM活動ではTPM手法を自分達の活動に合うように工夫・改善を加えて,当社事業所の全ての活動をHOTPMに包含し,「納得とこだわりの活動」すなわち「一人ひとりが納得するまで改善を行い,その完成度にこだわった活動」を展開している。その結果,経営面で保全費・運転費を大幅に削減する効果,また安全衛生・環境保全面ではISO14001の認証取得など顕著な成果を上げるとともに,社員一人ひとりの技術力も一段と向上が図られた。1.会社と事業所の概要1.2 事業所の概要当社事業所は我が国の石油備蓄基地としては,最北端に位置し,北海道苫小牧市と厚真町にまたがった苫小牧東部開発地域の広大な敷地内にある。現在,原油タンク31基と,隣接している苫小牧東部石油備蓄株式会社からの受託原油タンク16基,合わせて47基450万KLを管理している。2.HOTPM活動2.1 TPMのねらいと特色TPMとは「TOTAL PRODUCTIVEMAINTENANCE(全員参加の生産保全)」の頭文字をとったもので,日本プラントメンテナンス協会が開発提唱したものである。*本稿は,北海道石油共同備蓄(株)HOTPM事務局茂木正美(E-mail : mmogi@hjos.co.jp)が担当した。当社は1973年の第一次石油危機を契機として制定された「石油備蓄法」に基づき,石油公団と石油会社6社(現在は石油会社5社)の共同出資により,1979年3月設立された。1.1 会社の概要 東京都新宿区西新宿5丁目1番14号 1979年3月15日 205.8億円 50% ・石油公団 25% ・出光興産株式会社 ・昭和シェル石油株式会社 10% ・東燃ゼネラル石油株式会社 6% ・コスモ石油株式会社 5% 4% ・東邦石油株式会社 102名 倉庫業 本社所在地 立設資金本主と 株出資比率 員数種 社業―95―石油/天然ガス レビュー ’02・3n在所操業開始 敷地面積 備蓄能力 (貯油量) 北海道苫小牧市静川307番2 1982年7月 135ha(約41万坪) 備蓄方式 タンク型式 容  量 陸上タンク方式 ダブルデッキ浮屋根型 11.3万KL/基 当 社 分  31基  350万KL (305万KL)   合 計 47基 534万KL 受 託 分  16基  184万KL (145万KL)      (450万KL) 提唱当初は生産部門中心の活動であったが,現在ではスタッフ部門を含め全社的活動として展開している会社が多くなっている。TPMは「人と設備の体質改善による企業の体質改善」をねらいとしており,この活動では災害ゼロ,不良ゼロ,故障ゼロなど効率を阻害するあらゆるロス・ムダを徹底的に排除し,ロスをゼロにすることによって生産効率を極限まで高めるための活動である。またTPMの特色は,①トップから第一線従業員にいたるまで全員参加の重複小集団活動②設備を切り口とした改善活動③活動は区切りをつけたステップ展開の3点である。TPM活動は国内のみの活動ではなく,海外では米国,ベルギー,ヨーロッパなど各国の企業,特に製造業・組立加工業が導入・展開し国際的な広がりを見せている。2.2 HOTPMの由来と経緯に倉庫業で初めてTPM優秀賞を受賞,更に同年7月のHOTPMパート2活動を展開して,2002年のTPM優秀継続賞受賞に向け活動中である。2.3 HOTPMパート2の方針と目標当社のHOTPMパート2活動は全社中期経営計画の事業所版であり,活動テーマは完全に一致している。以下にパート2の方針と目標を記す。2.2.1 HOTPMの由来2.3.1 基本方針当社ではTPMの上に英社名の頭文字(Hokkaido Joint Oil Stockpiling)のHとOをつけ,HOT(ホット)とし,“熱い活動・独自の活動”にしていこうという想いをこめて「HOTPM」(ホットピーエム)と命名した。2.2.2 HOTPM活動の経緯当社が備蓄会社として,健全経営を継続し発展していくためには,安全操業を基本とし,当社の使命である緊急出荷要請への即応力を強化し,さらにはコスト低減を図る事が重要課題である。経営するのは人であり,全社員が現状に満足することなく成長し,さらにもう一段高い実力を身に付けるため,石油備蓄会社として初めてTPM活動を導入した。1996年4月にHOTPMパート1活動をキックオフし,1999年1.自ら考え・自ら決め・自ら実行する人の育成2.国家的使命である備蓄事業を全うし付託に応える3.基本を遵守し,無事故・無災害を継続する2.3.2 目指す姿『備蓄業界のリーディングカンパニー』・緊急出荷要請への即応力強化・社員の育成  ?外部に通用する人・低コストの追求?コスト競争力日本一・安全の確保  ?安全と万全が一目瞭然の設備石油/天然ガス レビュー ’02・3―96―Q.4.1 活動への認識合わせと達成目標の具体化活動に参加する全社員が共通認識を持って活動を展開するために,全員が徹底した話し込みを行ない,活動の目指す姿・数値化した具体的目標を掲げスタートした。そして,各テーマ毎に実行計画を立て,目標達成に向け活動している。また,個々の活動が後戻りしないように,活動スタート時にはキックオフ大会を開催し,それぞれに決意表明を交し活動を展開している。2.4.2 推進体制職制によるライン業務(重複小集団活動)との整合・連携を密接にとり,また横断的かつ有機的な活動が進められるように,活動の柱となる6つの部会組織を編成している。部会長にはラインの課長または係長を,部会員にはラインからの代表を配置することにした。―97―石油/天然ガス レビュー ’02・31.仕事と設備に強い人づくり2.ロス「ゼロ」の保全・運転・事務の体制づくり3.停止中設備の健全性が見える仕組みづくりベンチマーク 94年: 0 ― 96年: 0 94年: 0 目標値 35  00年11月 6      2  5  306  4 94年: 70 5.故障件数 94年: 1 6.改善件数 94年:1977.無災害延労働時間 (注1)SPEとは“Stock Piling Engineer”の略で、万件/年 万時間 備蓄エンジニアの事 2.3.4 個別目標項 目 単 位 % ― 人 台 件1.運転・保全費削減率 2.ISO14001認証取得 3.SPE3育成(注1) 4.停止時間の長い設備の管理体系の確立 2.3.3 ねらい2.4 活動の進め方Q.5 HOTPMパート2 マスタープラン16(注1)T・N・LとはTen Need Less「10の“いらず”」の意(注2)可動管理の「可動」は“べきどう”と読む2.6 HOTPM活動の特徴TPMは生産性向上活動としての捉え方が一般的であるが,当社は全ての業務をHOTPM活動としている。HOTPMの最大の特徴は「納得とこだわりの活動」すなわち「一人ひとりが納得するまで改善を行い,その完成度にこだわった活動」を展開していることである。具体的な活動の一部を下記に紹介する。2.6.1 個別改善活動(1)ロスの定義業務には必ず「ロス」・「無駄」が存在する。そのロスや無駄を発掘する観点としてロスを定石油/天然ガス レビュー ’02・3―98―`している。このことにより細かな視点で,ロスの発掘・改善活動の推進を図ることができ,ロス削減に繋がっている。またロスは大きく「保全」「運転」「事務」の3つに分け,その中を更に細かく分類している。ロス分類はパート1では14項目であったが,パート2から31項目に細分化している。開放可能な設備機器は,専門家の支援も受けながら可能な限り内部を開放,構造を勉強し知識を深めるとともに,故障の可能性がある欠陥の排除を行ない,維持基準を設け活動を展開してきた。(2)改善活動の展開方法個別改善は,コスト低減・業務効率化さらには付加価値を向上させるためのテーマを対象としている。発掘されたテーマは,事業所の改善テーマとして登録し,その活動計画書を作成・承認後,個人・直グループ,課グループ,課をまたがった担当グループ等さまざまな形態で活動を展開する。またその進捗はパソコンで管理しており,毎月各課の長が確認・フォローするとともに部会長会議で報告するという活動を展開している。2.6.2 自主保全活動(1)全設備を対象として活動を展開オペレーターを中心とした自主保全活動では,動機器,静機器,電気・計装機器の全設備機器,合計7,994台を対象にステップ展開という手法を活用して,全員一丸となり活動を展開している。ステップ展開については,TPM展開プログラム(装置工業編)をベ?スに7ステップ展開することとした。第1?第4ステップでは,設備機器1台1台を埃と泥にまみれ,額から汗を流し,全身真っ黒になりながら隅々まで清掃・点検し,隠れている微欠陥を探し,全て自分達の手で復元・改善した。(2)TNL(TEN NEEDLESS)「10の“いらず”」改善システムの確立日常業務の中には多くのロスが存在している。このロスに気づかせ,改善に対する目のつけどころを教え,活動の活性化と向上を図るためにTNL改善というシステムを作り運用してきた。その結果,現在8.986個所を改善し,作業の安全性向上,ヒューマンエラー防止,作業効率アップを図っている。また,TNL改善のレベルをさらに向上させるためのレベルを設定し,更なる改善を展開するとともに完成した改善を継続的に維持管理するしくみを構築中である。TNL改善1.昇らず改善  (高所点検作業削減)2.降りず改善  (低所点検作業削減)3.近寄らず改善 (遠隔点検の実現化)4.触らず改善  (触手点検作業削減)5.人いらず改善 (点検作業の少人化)6.間違わず改善 (複雑設備の色彩化)7.手間いらず改善(運転操作の簡素化)8.判断いらず改善(異常現象の定量化)9.かがまず改善 (点検作業の容易化)10.紙いらず改善 (現場での記入削減)―99―石油/天然ガス レビュー ’02・3i3)「可動(べきどう)管理」の仕組みを構築(第5ステップ)当社の設備は,備蓄基地特有の現象として「停止時間が長い」設備が多く,製造業のように連続運転している設備が非常に少ないという特徴がある。しかしながら重要な設備が多く,緊急時にはいつでも動き,その機能を100%発揮させなければならない。このような特殊な環境下での設備管理技術は,世間一般では確立されていない。そこで当社独自の設備管理方法として,停止時間が長い設備をいつでも運転できるように管理する方法「可動(べきどう)管理」を第5ステップで確立し,現在これに基づく設備管理を実施している。(4)オペレーターのバイブルを作成(第6ステップ)第1?第5ステップ活動の集大成として,設備にとって本当に必要な管理とは何か,オペレーターにとって本当に必要なスキル・知識は何かを追求するために,議論し,自分達のバイブルとでも言うべき「新運転操作要領書」「新点検基準表・点検表」を作り上げた。(5)5S総点検活動(第6ステップ)パート1でも5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動を徹底的に展開してきたが,一部の人がルールを守れず乱れることがしばしばあった。そこで「躾」を定着させるため,さらには大量の危険物を扱っていることから「躾」は安全の追求に不可欠であると考え,第6ステップでもう一度「躾」に重点を置いた活動を実施した。今回の活動は,狙いに「決められた事を守り続ける体質に変える」「工具・備品の管理方法確立による安全性の向上」さらには「工具・備品の要・不要を追求したコスト削減」という3本の柱を掲げた。対象は建屋及び車輌など工具・備品を保管している36箇所全ての場所とした。活動は,5Sに対する「人の意識」の改善を行うと共に,日常・定期作業における全ての必要工具・備品を洗い出し「根拠のないもの」をゼロにして,必要なものを何時でも安全に使用できる様に管理する改善を行った。さらに工具等を設置する棚は人間工学に基づき使いやすさを徹底的に追求し,改善した。この改善は廃品・廃材を用い,一人ひとりの特技を活かした「手作り改善」である。また,今回の5Sを永続的に維持管理するためのしくみを構築し展開中である。(6)自主保全活動と計画保全活動の連携強化設備の維持管理を確実に実施するためには,専門保全員が行う「保全」とオペレーターが行う「点検」の両輪が一体となって設備を管理することが重要である。オペレーターの管理する「可動管理」は前述した通り確立することができた。さらにパート2では専門保全員が中心となって実施している計画保全活動でRCM(ReliabilityCentered Maintenance 信頼性重視の保全)手法を導入し,専門保全からの[可動(べきどう)管理]を確立中である。運転・保全部門一体で当社事業所の設備にあった管理を構築している。2.6.3 教育訓練活動(1)SPE(StockPiling Engineer)育成システムの構築と運用当社では一人ひとりが設備を安全に運転するだけでなく,技術・技能に裏打ちされた実力のある多能な社員になり,自ら考え,自ら決め,自ら行動する人に成長することを目指している。このために,知識に偏重した従来の教育を改め,知識と共に実務に即した技術・スキルを身につけ,備蓄業務に精通した社員を育成するためにSPE(備蓄のエンジニア)という当社独自の育成システムを作り上げた。SPEには1?3のランクが設定してあり,各ランク毎に運転分野では「運転技術」・「防災技術」保全分野では,「設備管理」・「保全技術」に大別して修得項目を決めており,その総数1,820である。それぞれの職務毎の修得項目は,各人のレベルに従い,計画的に修得するこで,SPEを育成していくシステムになっている。石油/天然ガス レビュー ’02・3―100―XにHOTPMパート2では日勤スタッフのSPE育成システムを構築し運用を開始している。を活用し,外注工事の内製化を行ない保全費の低減に貢献している。2.6.4 安全衛生・環境保全活動当社は,石油備蓄会社として事故・災害を絶対に起こさないために,設備・運転の維持管理は勿論のこと,安全・衛生・環境管理を含めた木目細かな活動を展開している。1982年操業開始以来,無事故無災害記録を継続しており,1999年には第3種の無災害記録(270万時間),更に昨年9月には300万時間を達成した。また,2000年7月には労働局進歩賞等の表彰も受け,日頃の安全活動並びに各種教育・訓練等における全社員の努力が認められた。環境では2000年12月には地球環境にやさしい事業所を目指し,本社・事業所一体となってISO14001の認証を取得した。3.活動の成果(1)数々の改善を継続してきたことにより,保全費・運転費を大幅に低減でき備蓄コストの低減に寄与するとともに,故障件数が,20分の1以下に激減している。(2)技術力の向上という観点から,公的資格取得も強力に推進している。この資格と技術力(3)改善提案件数は1996年以降,5年連続7万件以上(50件/月・人)と飛躍的に伸び,改善活動が活性化したと共に,保全スキルも目覚しく向上した。また,日本プラントメンテナンス協会が主催し,全国の加盟企業が参加する“からくり改善くふう展”に出展し,3年連続でアイデア賞・努力賞・奨励賞の各賞に入選しHOTPM活動の成果は社外からも認められている。4.今後に向けてHOTPMパート2活動では,それぞれのメンバーが,後輩・同僚・先輩あるいは上司と,「なんのために」やるのかの自問自答と葛藤を繰り返し,方向性を共通認識した上で,全社員一丸となって活動を進めてきた。何事にも「納得とこだわりの活動」を展開し,一人ひとりが「徹底心」を身につけたことは今後への自信に繋がり,個人としても会社にとっても大きな財産となった。これからの環境変化に飲み込まれることなく,自分達の足元を見つめてさらに向上していくためにも,HOTPM活動をさらに進化させていく。―101―石油/天然ガス レビュー ’02・3
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2002/03/30 [ 2002年03月号 ] 北海道石油共同備蓄株式会社
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