ページ番号1006003 更新日 平成30年2月16日

戦略的アウトソーシングによる探鉱オペレータープロジェクト ―豪州で活躍する日本企業と米国企業のアウトソーシング導入事例―

レポート属性
レポートID 1006003
作成日 2002-05-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業探鉱開発
著者
著者直接入力 加藤 恒男 伴 慎介 三田寺 久男 池田 寛
年度 2002
Vol 35
No 3
ページ数
抽出データ 戦略的アウトソーシングによる探鉱オペレータープロジェクト?豪州で活躍する日本企業と米国企業のアウトソ?シング導入事例?加 藤 恒 男*,伴   慎 介*,三田寺 久男*,池 田   寛*E&P企業の資産である石油及び天然ガス埋蔵量を維持・成長させる方法として,探鉱,資産買収,企業買収の何れかの方法があるが,初期投資に対して成功すれば最もプレミアムが期待できる投資は探鉱である。そして,自ら探鉱のオペレーターシップをとることにより,企業の経済的利得は一層拡大する。オペレータープロジェクトは,探鉱,開発,生産の3つの段階においてそれぞれ異なる技術と能力が求められる。1997年以降,西豪州北西大陸棚からチモール海にかけての沖合鉱区において,4つの日本企業探鉱オペレータープロジェクトが立ち上げられ,現在も探鉱事業を継続している。各社とも豪州パースに探鉱プロジェクト実施のためのオフィスを設立し,人材やHSE(環境・安全)・危機管理などの専門分野でアウトソーサーを積極的に活用し,豪州初めての探鉱オペレータープロジェクトに挑んだ。豪州の探鉱オペレータープロジェクトを本社からの統括責任者1名だけで他の人材及び業務全てをアウトソーシングで対応しているKerr-McGeeやバユ・ウンダンのオペレーターであるPhillips Petroleumのアウトソーシングの活用状況,豪州で探鉱オペレータープロジェクトを実施している3社,出光オイルアンドガス開発㈱,国際石油開発㈱,日本石油開発㈱の現場の最高責任者からの各社の豪州探鉱オペレータープロジェクトの概要とアウトソーシングの利用状況などについての寄稿をもとに実際のアウトソーシング利用に際して留意すべき事項などについて報告する。本稿では,1.米国大手石油会社の豪州E&Pアウトソーシング,2.出光オイルアンドガス開発㈱(豪州プロジェクトIB RESOURCES),3.国際石油開発㈱(豪州プロジェクトINPEX BROWSE, LTD.),4.日本石油開発㈱(豪州プロジェクトNOEX(Vulcan))について述べる。はじめにE&P企業の資産である石油及び天然ガス埋蔵量を維持・成長させる方法には,探鉱,資産買収,企業買収の何れかの方法を選択すること*本稿は次の執筆者が担当した。加藤恒男(出光オイルアンドガス開発㈱IB RESOURCESPTY. LTD. パース事務所長)伴慎介(国際石油開発㈱探鉱第二部担当部長,前パース鉱業所長)三田寺久男(日本石油開発㈱技術部担当部長,前パース事務所長)池田寛(石油公団シドニー事務所長)になる。どの方法をとっても異なる複数のリスクを適切に評価しマネージメントする必要があり,また,ビジネスの機会とアプローチ方法もそれぞれ異なるが,初期投資に対して成功すれば最もプレミアムが期待できる投資は,探鉱である。そして,自ら探鉱のオペレーターシップをとることにより,成功すれば企業の経済的利得は一層拡大する。オペレータープロジェクトの実績とその遂行能力を持つことは,国際的に競争力のあるE&P企業としての能力とプレゼンスを示すものであり,E&P企業としての認知,格付けとしても重要な意味を持っている。日本企業のオペレ―31―石油/天然ガス レビュー ’02・5[タープロジェクトは,石油公団が直接資金面で支援を行ったプロジェクトだけでも過去76件ある。この中には準オペレータープロジェクトの形態も含まれるが,中東,インドネシア,マレーシア,ミャンマー,ベトナム,カンボジア,ベネズエラ,中国,エジプト,カナダ,そして豪州などがある。オペレータープロジェクトは,探鉱,開発,生産の3つの段階においてそれぞれ異なる技術と能力が求められる。この3つの段階のオペレータープロジェクトを円滑に実施することができ,出資先に配当できるようなP/L(損益)ベースでの利益を上げることができて初めて国際的に競争力のあるE&P企業と言える。もちろん,ジョイントベンチャーのノンオペパートナーとして,ニッチ戦略で資産を維持・成長させていくビジネススタイルも一つのE&P戦略である。日本のE&P企業が国際的に競争力が弱い部分があるとしたら,それはオペレータープロジェクトの能力もその一つであるかもしれない。これまで海外でオペレータープロジェクトのマネージメントに携わった方々には,こうした認識は不要であり,むしろ特定国のオペレータープロジェクトのマネージメント能力や技術力の向上などについてより具体的な課題と目標を持っているに違いない。個々の人材の経験,知識,能力が企業のパフォーマンスに結びつくことを考えれば,E&P企業としての能力を長期的視野で向上させる上では,探鉱から開発,生産の全てにおけるオペレータープロジェクトのマネージメント能力と技術力を確保することは,今後一層その重要性を増すものと考えられる。豪州ではこの10年間,日本企業の活動が大変活発であり,国際石油開発㈱,三井物産㈱,三菱商事㈱,出光オイルアンドガス開発㈱,日本石油開発㈱,石油資源開発㈱,コスモ石油㈱,大阪ガス㈱,東京ガス㈱,東京電力㈱などが探鉱,開発及び生産プロジェクトに参画している。各社の豪州における戦略アプローチはそれぞれ異なるが,豪州において生産キャッシュフローを生み出す資産を既に保有している企業は,探鉱費の経費化等税制面で大きなメリットがあるため,探鉱投資にも積極的である。1997年以降,西豪州北西大陸棚からチモール海にかけての沖合鉱区において,4つの日本企業探鉱オペレータープロジェクトが立ち上げられ,現在も探鉱事業を継続している。既に当初計画の掘削事業を終了し評価中のプロジェクトもあるが,4社とも豪州パースに探鉱プロジェクト実施のためのオフィスを設立し,豪州において初めての探鉱オペレータープロジェクトに挑んだ。各社とも,探鉱プロジェクトの実施に当たり,豪州におけるオペレーションの経験と実績のあるアウトソーサーを積極的に活用している。E&Pビジネスにおいては,昔から分業が進んでいるため,必要な各サービス分野においてサブコントラクターを使って探鉱,開発,生産のオペレーションを行うのが一般的である。欧米においては大手E&P企業をターゲットに,財務・経理,人材管理,IT,物流・ロジスティック,経営計画立案などの分野で戦略的アウトソーシングとそのサービスを提供するアウトソーサーがここ数年話題を呼んでいるが,E&Pビジネスのサブコントラクターは,アウトソーシングの概念と重複する部分とそうでない部分があるかもしれない。そういう意味では,豪州でオペレーターとしてE&Pビジネスを行う海外企業のアウトソーシングの対象は,プロジェクトの実施体制の構築にかかる人材,HSEや危機管理などの専門分野のマネージメントサービスに焦点が絞られるかもしれない。しかし,実際には,現地でプロジェクトのマネージメントに携わる欧米人は,自社の資源を利用しなければ全てアウトソーシングという広義の定義を使っている人も多いので,今回は定義付けには余りこだわらず,むしろ探鉱オペレータープロジェクトを遂行する際に実際どのようにアウトソーシングが利用され,利用に際してはどのような問題や課題があるのかを中心に報告するものである。豪州で探鉱オペレータープロジェクトを実施した日本のE&P企業各社は,他国ではオペレータープロジェクトの経験はあっても豪州では経験と実績がある訳ではなく,新しい土地の慣習や規制を理解しながら,アウトソーシングを上手に活用して探鉱オペレーションを実施して石油/天然ガス レビュー ’02・5―32―「る。こうしたオペレーションの実績は,現地にてプロジェクトに直接参加した人材の知識と経験の蓄積ばかりでなく,企業の能力向上にも中・長期的に貢献するはずである。そして,探鉱オペレータープロジェクトのアウトソーシング利用やその管理能力は,豪州と同様の環境や人材が整っていれば,他国でも活用できるはずである。本稿では,豪州の探鉱オペレータープロジェクトを本社からの統括責任者1名だけで他の人材及び業務全てをアウトソーシングで対応しているKerr-McGeeやバユ・ウンダンのオペレーターであるPhillips Petroleumのアウトソーシングの活用状況と,豪州で探鉱オペレータープロジェクトを実施している3社,出光オイルアンドガス開発㈱,国際石油開発㈱,日本石油開発㈱の現場の最高責任者から,各社の豪州探鉱オペレータープロジェクトの概要とアウトソーシングの利用状況などについて報告いただいた大変貴重な内容となっている。ご寄稿いただいた出光オイルアンドガス開発㈱ 加藤恒男パース事務所長,国際石油開発㈱ 伴慎介探鉱第二部担当部長,日本石油開発㈱ 三田寺久男技術部担当部長の各皆様にはここで改めてお礼申し上げたい。開発井(cid:0)合 計(cid:0)821出所:APPEA Exploration and Development Drilling Statistics【豪州の石油・天然ガス埋蔵量ポテンシャル】(cid:0)生 産 物(cid:0)(cid:0)単  位(cid:0) (cid:0)原油(cid:0)コンデンセート(cid:0)天然ガス(cid:0)出所:Powell 2001 APPEA Journal百万bbl(cid:0)百万bbl(cid:0)TCF(cid:0)95%(cid:0)1577(cid:0)1740(cid:0)33Probability(cid:0)Average(cid:0)5030(cid:0)6035(cid:0)114(cid:0)5%(cid:0)9846(cid:0)11870(cid:0)228―33―石油/天然ガス レビュー ’02・524(cid:0)15(cid:0)10(cid:0)5(cid:0)4(cid:0)3(cid:0)3(cid:0)2(cid:0)2(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)779(cid:0)2(cid:0)9(cid:0)(cid:0)(cid:0)1(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)5(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)1(cid:0)2(cid:0)試掘井(cid:0)評価井(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)【2001年E&Pオペレーター企業の豪州海上掘削実績】(cid:0) オペレーターApache(cid:0)Woodside(cid:0)Exxon Mobil(cid:0)OMV(cid:0)Santos(cid:0)BHP Billiton(cid:0)Origin(cid:0)Chevron(cid:0)Kerr McGee(cid:0)出光オイルアンドガス㈱(cid:0)日本石油開発㈱(cid:0)Newfield (cid:0)Tap Oil(cid:0)Roc Oil(cid:0)Coastral(cid:0)Coveyork(cid:0)Bass Strait Oil(cid:0)Eagle Bay(cid:0)10(cid:0)13(cid:0)1(cid:0)4(cid:0)4(cid:0)2(cid:0)1(cid:0)2(cid:0)2(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)1(cid:0)48合  計(cid:0)P.米国大手石油会社の豪州E&Pアウトソーシング池 田   寛*豪州では,地元のWoodside,Santos,BHPPのほかにも,欧米メジャーから中堅企業に至るまで数多くのE&P企業が探鉱,開発,生産の各事業においてオペレータープロジェクトを実施している。探鉱オペレータープロジェクトを実施するためには,地震探鉱から掘削作業までの一連の作業に加え,HSE(環境安全)マニュアル作成とマネージメント,政府申請手続,クライシスマネージメント(危機管理),メディア対応,経理・税務,など豪州の規制や慣習に直接かかわる数多くの付帯業務が存在する。こうした業務をどの程度アウトソーシングして対応しているのかについて,Kerr-McGeeとPhillips Petroleumの例を紹介する。Kerr-McGeeは本社から1名だけを派遣し,あとは全て現地の資源を利用して探鉱オペレータープロジェクトを遂行しているという究極的なスタイルである。一方,Phillips Petroleumは,主要ポストには本社からの人材が派遣されており,探鉱から発見したバユ/ウンダン・ガスコンデンセート・プロジェクトのオペレーターとして必要な業務やサービスについてアウトソーシングを利用している。(1)Kerr-McGeeのアウトソーシング活用状況①豪州E&Pプロジェクトの概況Kerr-McGeeは,1929年米国オクラホマ州オクラホマシティに設立され,1956年にはニューヨーク証券取引所に上場した。設立当時の同社のビジネスは,沖合掘削サービスであったが,国内の石油生産量が需要に対して過剰であったため,石油を発見することよるも石油の買手を見つけるほうが重要であった。1945年オクラホマ州内の精製企業を買収し下流事業に進出した。また,1945年から米国メキシコ湾において*石油公団シドニー事務所長E-mail: ikedah@jnoc.net探鉱を開始し,1947年同地域で最初の商業的な油田を発見した。同社は,米国メキシコ湾における沖合掘削サービスビジネスと自らのE&P事業により資産の成長を図り,その後石炭開発などにも進出したが,1990年代に入り,沖合掘削サービス,精製及び販売,石炭のビジネスから撤退し,現在ではコアビジネスをE&Pに集中させている。海外では,1976年北海で同社としては最初の油田を発見している。現在,収益の8割はE&P事業で占め,残り2割は化学部門である。豪州では1985年当時,メルボルンに拠点を置く小さいな探鉱会社を所有していたが,有望な探鉱鉱区を取得できなかったために解散し撤退した。そして,1999年2月,メキシコ湾や北海に生産資産を保有していたORYXを買収した際に,ORYXが豪州のバユ/ウンダンの権益及び探鉱資産も保有していたため,豪州での探鉱活動を再開する形となった。Kerr-McGeeのコア生産資産は,米国陸上,米国メキシコ湾,北海の3つであり,このほかにエクアドル,インドネシア,中国,カザフスタンにおいて小規模な生産資産がある。豪州では,ORYX買収によりバユ/ウンダン・ガスコンデンセートプロジェクトの権益11.2%を保有することになり,2003年からのコンデンセート生産開始により新たなキャッシュフローを生む生産資産となる。Kerr-McGeeの探鉱戦略の強みは,同社Annual Reportの表紙に「DEEPWATERPOTENTIAL, DEEPWATER SUCCESS」と記載されているように,深海での探鉱事業である。同社の沖合掘削サービスビジネスの歴史から裏付けられた経験と実績を最大限に生かそうという戦略である。豪州においても,石油ポテンシャルのプロスペクトをターゲットに,今後,未開の深海地域における探鉱を視野に入れている。深海探鉱戦略は,豪州のほうかにガボン,ノバスコシア,ブラジルなども対象としている。1999年のORYX買収を通じて豪州のE&P事業を再開することになったKerr-McGeeは,買収を通じて西豪州沖合9鉱区,北部準州沖合1石油/天然ガス レビュー ’02・5―34―z区の計10鉱区を保有することになった。2000年6月から2001年8月までに西豪州チモール海ボナパルト盆地の3鉱区において義務井6坑の試掘作業を完了し,3坑でガスを発見した。このうち2鉱区(WA-276-P,WA-277-P)は放棄し,WA-278-P鉱区についてはリテンションリースを申請している。豪州Kerr-McGee最高責任者(ManagingDirector)であるジム・ボートメス氏と2000年8月29日に初めて面談した際,同氏は,ORYXからの承継探鉱資産の6坑が義務井でなければ,最初から深海をターゲットとする探鉱戦略を導入することができたのだが,と述べていた。西豪州北西大陸棚カーナボン盆地WA-295-P鉱区は深海に位置しており,同鉱区で1坑試掘する計画を持っている。2002年3月,再びジム・ボートメス氏から,同社の探鉱オペレータープロジェクトのアウトソーシング活用状況について話しを伺った。2000年6月から2001年8月までに6坑の試掘を実施した探鉱プロジェクトは同社がオペレーターであった。対象鉱区(WA-276-P,WA-277-P,WA-278-P)の同社権益シェアは39%,他のジョイントベンチャーのパートナーは,3鉱区とも同じで,PanCanadian 39%,Tap Oil12%,SK Corporation 10%である。②豪州E&P人材資源の最大限の活用Kerr-McGeeは海外においてE&Pプロジェクトを実施する際,その国において必要なE&Pスキルを持った人材がいない場合には,本社や北海のオペレーションチームから必要な人材を調達している。ガボンなどアフリカにおけるE&Pプロジェクトではこの方法が採用されている。一方,豪州ではE&Pスキルを持った優秀な人材が豊富にいるので全ての業務を現地の人材で行っても全く支障はないと考えている。同社が海外においてE&Pプロジェクトを行う場合,通常,本社から当該国の総括責任者であるCountry Managerが1名派遣される。各国のCountry Managerには原則として探鉱や地質を専門分野とする社員は派遣されない方針となっている。理由は,探鉱の専門家は政府や税制などの法規やプロセスに対する対応に慣れていないためとしている。Country Managerの資格基準としては,プロジェクトマネージメントの経験が豊富であることが求められている。そして,Country Managerは米国本社以【Kerr-McGeeの豪州探鉱鉱区】(cid:0)試掘井(cid:0)Saratoga-1(cid:0)Intrepid-1(cid:0)Defiant-1(cid:0)Endeavor-1(cid:0)Prometheus-1(cid:0)Rubicon-1(cid:0)結果(cid:0)Gas, P&A(cid:0)Dry, P&A(cid:0)Dry, P&A(cid:0)Dry, P&A(cid:0)Gas, P&A(cid:0)Gas, P&A(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)(cid:0)権益シェア(cid:0)*39.00%(cid:0)*39.00%(cid:0)(cid:0)(cid:0)*39.00%(cid:0)(cid:0)33.33%(cid:0)33.33%(cid:0)33.33%(cid:0)*50.00%(cid:0)50.00%(cid:0)50.00%(cid:0)PERMIT(cid:0)WA-276-P(cid:0)WA-277-P(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)WA-278-P(cid:0)WA-302-P(cid:0)WA-303-P(cid:0)WA-305-P(cid:0)WA-295-P(cid:0)WA-301-P(cid:0)WA-304-P(cid:0)BASIN(cid:0)onaparte(cid:0)(cid:0)(cid:0)B西豪州チモール海(cid:0)rowse(cid:0)(cid:0)(cid:0) B西豪州チモール海(cid:0)arnarvon(cid:0)(cid:0)C西豪州北西大陸棚(cid:0)imor(cid:0)(cid:0)T北部準州チモール海(cid:0)注:*はKerr-McGeeがオペレーターであることを示す。(cid:0)AC/P1533.33%(cid:0)―35―石油/天然ガス レビュー ’02・5Oでは海外においての最高職となっている。しかし,プロジェクトの運営において必要な場合には本社から豪州に人材を派遣する。例えば,大規模な石油又はガス資源が発見され,開発が必要となった場合には,本社から開発を担当するマネージャーが派遣される。このポジションの資格条件は,本社の業務の流れや行程を十分に理解していることが第一条件となっている。しかし,こうしたマネージャーの業務についても,極力プロジェクトの立ち上げ時期に限定し,事業が進むにつれて現地社員に引き継ぐことを会社の方針としている。そして最終的には,現地に適切なスキルを持つ人材が見つかれば本社のスタッフは全て米国に引き上げることも考えている。③豪州の探鉱プロジェクト体制の構築Kerr-McGeeは豪州でオペレーターとしては探鉱プロジェクトのみを行っており,チモール海バユ/ウンダンプロジェクトではジョイントベンチャーのパートナーとなっている。海外でE&P事業を実施する場合には,人材資源の獲得においては,まず現地にオフィスを設立し,そして,プロジェクトを遂行するに当たり足りないや部分や問題点を明らかにした時点で,同社にとって何が必要であるかを見極め,必要なスキルを持った人材を獲得するようにしている。また,海外探鉱プロジェクトのオフィスは可能な限り小規模にまとめ,本社から派遣するCountry Managerを1名に限るようにしている。豪州Kerr-McGeeには,地震探鉱及び掘削などの担当者が6名いるが,それらのスタッフは全て現地採用の契約社員である。現地での人材確保は,人材派遣業者の利用や海外での人脈ネットワーク(知り合いなどを通しての)など形式に頼らないリクルーティングを行うことによって,必要な人材の確保を行っている。例えば,最高責任者ジム・ボートメス氏は同氏が他国で仕事を共にしたことのある掘削マネージャーを豪州にリクルートしたということなどもその一つである。豪州の技術的な業務全般はヒューストンで行われている。これによって,技術的評価などのコスト節約や専門技術の活用を可能としている。Kerr-McGeeは技術的業務のほとんどはデスクワークであるので,本社の技術スタッフは豪州にいる必要がないと考えている。④Kerr-McGeeのアウトソーシング活用状況豪州Kerr-McGee最高責任者ジム・ボートメス氏は,実際には探鉱プロジェクトに関する全ての業務をアウトソーシングに頼ることも可能であると述べている。同社は現在,豪州では掘削マネージメント,HSE(環境安全),会計・税務など主要な業務のほぼ全てを現地採用の人材とアウトソーサーに頼っている。Kerr-McGeeは豪州に化学薬品事業部を置いており,その部門がE&Pの会計業務も担当しているが,同氏によれば,これも論理的には社内アウトソーシング業務であると説明している。また,財務資料の作成は全て米国本社で行われている。豪州Kerr-McGeeの掘削マネージャーと技術スタッフは契約社員である。現在同社がオペレーターとして実施しているプロジェクトは探鉱のみであり,生産操業を継続的に行っている訳ではないので,探鉱分野でもフルタイム(正社員)の社員は必要ないと考えている。掘削マネージャーの契約社員は,契約においては豪州Kerr-McGeeのマネージメント・チームのメンバーとなり,同社を代表して掘削や船舶のコントラクターとの契約に関する話し合いを行っている。こうした契約社員の雇用条件は,契約の範囲内の責任を負うことになる。契約社員は,正社員と同じような待遇を受けるが,福利厚生に関するスーパーアニュエーション(年金)や有給休暇の取得権利は持たないことが大きな違いとなっている。豪州Kerr-McGeeは人材派遣会社との契約により契約社員を採用し,手数料を支払っている。契約社員が最低限必要とする保険は人材派遣会社が保険料の支払いも含めて担当する。これは,税金納入の面においても好都合な仕組みとなっている。⑤アウトソーシング利用の意思決定者Kerr-McGeeでは各国のCountry Managerが石油/天然ガス レビュー ’02・5―36―エ則としてアウトソーシング利用の意思決定者になる。アウトソーシングの利用決定は,プロジェクトを実施する上で何が不足しているか,或いは,何が必要であるかの査定が十分に行われた後,Country Managerはそのアウトソーシング利用についてのプロポーザルを米国本社に提出する。それは大抵の場合本社の了解を得ることになるが,場合によっては却下されることもある。最終決定はCountry Managerの裁量にかかっている。⑥アウトソーシングの長所と短所アウトソーシングを利用する場合には別途のコストや手数料が発生することにはなるものの,様々な探鉱プログラムに柔軟に適応し得る方法であり,アウトソーシングの長所は「柔軟性」と「様々な探鉱プログラムを実行する上で総合的なコストが安い人材調達法である」と考えている。アウトソーシングの短所は「現地情報及び知識の社内蓄積が困難であること」を指摘している。Kerr-McGeeではアウトソーシングの利用に一定の制限を設け,本社のコアグループからの現地サポート体制をとり,海外E&Pプロジェクトの実施により得られる知識や情報の共有と蓄積に常に注意を払っている。⑦豪州でE&Pオペレータープロジェクトを実施する企業へのアドバイス「日常業務や本社の承認済みの作業や操業内容については,現地のマネージャーに決定権を与える」ということが重要であると考えている。例えば,Kerr-McGeeではバユ/ウンダンプロジェクトにおいては,現地の担当マネージャーが迅速な決断を下さなければならない。日常的に起こる問題については,迅速な決断が必要となる。財務や操業の業務においては,本社の承認無しに決定を下すことが可能な業務についてのガイドラインを定め,現場で即断即決の体制を整えておくことが重要だと指摘している。金額の規模が大きく重要な決定事項に関しては,それらが企業の戦略や会社の財的・人的リソースに適合するものであるかどうかの確認を本社で行う必要があるので,Kerr-McGeeの場合,通常どの事項が本部の意見を必要とするものであるか,或いは,そうでないのかについては,事前に明確なガイドラインが設定されており,その専決事項のガイドラインに沿って現場と本社の意思決定がなされている。(2)Phillips Petroleumのアウトソーシング活用状況①豪州E&Pプロジェクトの概況Phillips Petroleumは,1917年米国オクラホマ州バートルズヴィルに設立された。主なビジネスは,E&P,精製・販売,化学・石油化学である。所有資産は150億米ドル,年間売上は140億米ドル,世界全体の従業員総数は14,600名である。2000年4月ARCOのアラスカ資産を買収し,保有埋蔵量を倍増させ,生産量も70%増加した。世界17カ国(米国,ノルウェー・英国・デンマーク領の北海,ナイジェリア,カナダ,ベネズエラ,中国,豪州,チモール海など)においてE&P活動を行っており,うち9カ国で原油または天然ガスを生産している。ARCOのアラスカ資産買収により,全生産量の3分の2は,米国からのものとなっている。同社は豪州では約40年間に渡りE&P事業を行ってきた。豪州のE&P事業は同社400%子会社数社によって行われていたが,2000年7月それらの子会社はPhillips Petroleum CompanyAustralia Pty Ltd.の名の下に統合された。同社はバユ/ウンダンガス・コンデンセート田の発見に伴い,チモール海でのガス開発の機会に新たな焦点を当てている。アラスカ天然ガスの生産,処理・加工,供給などにおいて主要な地位を占めており,先進的かつ効率の高いガス処理・加工技術の特許を幾つか取得している。これはチモール海の天然ガス資源から価値を生み出すことに有利な条件を与えている。同社の豪州チモール海ガス戦略は,探鉱と資産・企業買収の組み合わせによりバユ/ウンダン,グレーターサンライズのガス資産ポジションを獲得していった。2003年から2004年にかけて,バユ/ウンダンのガスリサイクリング開発―37―石油/天然ガス レビュー ’02・5ノよるコンデンセートの生産が開始される予定であり,その後,ダーウィンまでのガスパイプライン及びLNG液化施設を建設しガスの輸出を行う計画である。本年3月12日,東京電力及び東京ガスはPhillips Petroleumからチモール海バユ・ウンダン・ガス/コンデンセートプロジェクトの上流権益10.08%を買収するとともに,同プロジェクトからのLNG300万トン/年を購入する売買基本合意書を締結したことから,米国とアジアの両面でLNGマーケティングを行ってきたが,日本向LNGの輸出となる。PhillipsPetroleumにとっては,自社のガス権益のファームアウトにより,信頼できる日本のバイヤーからのコミットを得ることができた訳であり,E&P企業として持てるカードを大変有効に活用した賢い戦略だと言える。②豪州E&P人材資源の活用豪州Phillips PetroleumはE&Pプロジェクトの実施に際しては可能な限り,現地の人材を採用する方針としている。ただし,豪州Phillips Petroleumの最高責任者(ManagingDirector,社長)やプロジェクトの重要な要職,財務の最高責任者(CFO)などの主要ポジションについては,本社から人材を派遣している。これは,同社のカンパニーカルチャーに起因するものであるが,このような役職につく人材は,事業がどのようにして行われるかを十分に把握することができ,Phillips Petroleumという会社を良く理解している者でなければならないためである。Phillips Petroleumでは,プロジェクトを遂行する上で様々な経験を積んだ者のみが,現地の最責任者や財務の最高責任者に就くことができる。特に,開発プロジェクトや高リスクを含む探鉱事業においては,特に十分な経験が必要となるためである。現在,豪州Phillips PetroleumのExplorationManagerなど主要なラインマネージャーは,本社からの人材が派遣されているが,将来,こうしたポジションについて現地の人材に引き継がせる計画も進められている。豪州PhillipsPetroleumにおいてマネージメント・レベルの地位(ラインマネージャー以上)に就いている現地採用社員は,HR Managerのみである。この役職も,つい最近までは本社から人材が派遣されていた。基本的には現地に適切な人材が見つかれば,本社からの人材は本国に帰されることになる。一方,現地で人材を確保できない場合は,本国から社員を調達することになる。コスト管理の面からみると,現地で人材を採用する方が人件費の節約になることは歴然としている。現在,豪州Phillips Petroleumには,本社からの駐在社員49名,現地採用社員95名いる。また,同社は,豪州で学位取得者プログラムを実施し,豪州の大学で教育を受けた優秀な人材発掘に役立てようとしている。この奨学金プログラムの設立趣旨は,人材発掘だけではなく,将来のPhillips Petroleumが採用したいと考えている人材にとって魅力的な存在となるよう努力する必要があるとの考えにも立っている。同社は現在,ニューサウスウェールズ大学,カーティン工科大学,西豪州大学などを対象として【Phillips Petroleumのチモール海ガス資産ポジションの推移】(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)M&A(cid:0)当初権益(cid:0)Parker & Parsley(cid:0)チモール海(チモールギャップ)(cid:0)バユ(cid:0)37.5%(cid:0)60.0%(cid:0)ウンダン(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)ユニット(cid:0)(cid:0)年(cid:0)1995(cid:0)1996(cid:0)1999(cid:0)2001(cid:0)2001グレーターサンライズ(cid:0)累積埋蔵量(cid:0)(MMBOE)(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)13.6%(cid:0)―(cid:0)30.0%(cid:0)118(cid:0)189(cid:0)520(cid:0)578(cid:0)779(cid:0)16.8%(cid:0)26.9%(cid:0)50.3%(cid:0)58.5%(cid:0)―(cid:0)BHPP(cid:0)Petroz*(cid:0)Woodside―(cid:0)―(cid:0)―(cid:0)42.4%(cid:0)57.4%(cid:0)―(cid:0)注:*は豪州企業買収。なお,2002年3月12日に発表された東京電力及び東京ガスへのバユ/ウンダンガス権(cid:0)  益10.08%のファームアウトは含まれていない。(cid:0)石油/天然ガス レビュー ’02・5―38―ァ学金プログラムを実施している。③Phillips Petroleumのアウトソーシング活用状況同社はアウトソーシングを利用する際,アウトソーシングの市場調査を行い,アウトソーシング企業(アウトソーサー)の入札を行う。入札によりアウトソーシング企業から得られる専門業務の内容,能力,過去の実績に関する資料をとりまとめ,アウトソーシング企業の質やリスクに関する評価を行い,利用するアウトソーシング企業を選定している。アウトソーシング利用の主な目的はコスト節減であるため,業務が毎日必要とされるものであるかどうかについて社内で一定のガイドラインを設定し,アウトソーシングの利用について最終的な決定を行っている。豪州Phillips Petroleumは,法律業務はFreehill Hollingdale Page社,労使関係業務はMallesonsの弁護士Rob Lilburn氏に任せている。また,パースオフィスの人材については,人材派遣会社Downing Teal社と契約している。財務・税務に関する監査に関してはErnest &Toung会計事務所,豪州駐在社員の税務・給与業務についてはPricewaterhouseCoopers(PWC)会計事務所を利用している。プロジェクト業務に関しては,豪州で正社員を雇用するが,その雇用の方法については,通常,正式採用までの一定の雇用期限が定められており,その期間に採用した人材に求めている能力が備わっているかどうかの確認が可能となる。そして,その人材に能力のあることが確認できれば正式雇用の運びとなる。④アウトソーシング利用の意思決定者豪州Phillips Petroleumでは,アウトソーシング利用に関する決定権は,各業務のラインマネージャーに委ねられており,ラインマネージャーが,自分たちの業務に関するアウトソーシング利用に関して責任を持つ。例えば,Exploration Managerは,自分自身の業務に何が必要とされるかについて考え,予算枠を考慮しながら,必要なアウトソーシング利用の提案を現地最高責任者(Managing Director)に提出する。豪州Phillips Petroleum社内の各部門ごとに戦略が設定されており,予算範囲を考慮に入れながらビジネスプランを作成し,それを基準としてアウトソーシングの利用についても決定することになる。最終的なアカウンタビリティー(報告義務)の対象は,Executive Management Teamの各執行役員である。これは,執行役員は重要な意思決定に関し株主代表訴訟などのリスクを負うためである。このリスクが存在するために,執行役員は現地のラインマネージャーに全権を委任することは困難な要素となっている。ラインマネージャーの執行役員に対するアカウンタビリティーには,アウトソーシング利用の意思決定プロセスも含まれる。⑤アウトソーシングの長所と短所Phillips Petroleumがアウトソーシング利用で特に注意を払っている点は,内部情報の管理である。アウトソーシングの契約手続きの過程において,企業情報が漏れないようにすることに神経を尖らせている。重要な企業情報の漏洩を防ぐために,Phillips Petroleumでは社内に企業情報の漏洩防止に関するガイドラインを定めている。具体的には,豪州PhillipsPetroleumでは,アウトソーシングの契約社員に対して,担当する業務の労働時間,その業務に関連する社内情報へのアクセス方法,取得した情報や記録の内容などについて,正確に記録することを義務付けている。同社はこのような情報管理をアウトソーシングの契約社員と協力して行っている。そして社員の倫理や規則遵守に関する境界線も明確に定めている。雇用と解雇については,契約社員は雇用されたその日に解雇されることも可能な条件となっている。正社員にはそのような規定は適用されない。採用に当たっては,「商品の購入前の試用期間」と似たような雇用仮期間の条件が定められている場合があり,その期間が問題なく終了すれば,正規雇用の運びとなる。E&Pの専門スキルを持っている人材の確保は,アウトソーシングを利用すれば,選択の範―39―石油/天然ガス レビュー ’02・5ソけ負っている。Downing Teal社のクライアントは次の二つの種類に分けられる。①年に1?2回,特別な機会において業務を依頼するクライアント②長期間,継続的に業務を依頼するクライアンowning Teal社は,通常,E&P企業のラインマネージャーと契約を交わし,同社に登録され管理されている人材をクライアントに派遣する。このような人材はコンサルタントとも呼ばれている。契約社員の報酬はDowning Teal社が全て管理することになり,エージェントから支払われる報酬にはスーパーアニュエーション(年金)と年次有給休暇(リーブ)が含まれる。このような雇用権利関係は全てパッケージ化され契約社員に提供される。PhillipsPetroleumなどのE&P企業は契約社員に対し,直接的な給与の支払いや恩恵の提供は行わない代わり,Downing Teal社に対して手数料を支払っている。トDDowning Teal社が現在派遣している人材は,パプアニューギニアのハイズガス田プロジェクトに対して52名,Phillips Petroleumのバユ/ウンダンプロジェクトのエンジニアリング業務に対する約140名の技能保持者(ホワイトカラー35名,ブルーカラー105名),などがある。パプアニューギニアについては操業が開始しされてから継続的に人材を派遣しており,現在に至っている。Downing Teal社は,これらの契約社員の報酬,保険,スーパーアニュエーション(年金),労働組合などの全てを管理している。Phillips Petroleumにとっては,Downing Teal社を利用することは,米国本社からの社員又は現地採用社員でこのような業務を行うよりもコストが高くなるというデメリットもあるが,その結果,人材管理面で発生が予想されるリスクや新たなコスト増を低減することが可能となっている。(4)豪州E&Pサブコントラクターとアウトソーサー企業豪州ではE&Pプロジェクトを実施に関連する各業務について,地震探鉱から掘削作業まで囲が広がるだけでなく,適切なスタッフが見つかった場合でもすぐに雇用を行わず後日雇用契約を結ぶということも可能である。また,アウトソーシングを利用すると税納入の方法が異なり,また,契約社員は労災及びその他の労働補償について自分自身で責任を持つことになるので,採用会社の事務手続きは軽減されることになる。コスト管理面で重要な事項に掘削オペレーションに関するものがある。Phillips Petroleumに限らずE&P企業は,計画通りに掘削作業を完了し,契約期限までに掘削リグをリリースすることが重要となってくる。リグを1日でも待機させればそれだけコストが増大していく。掘削サービスをアウトソーシング利用で行う場合,期日までに掘削リグをリリースできなかった場合,リグ掘削労働者の契約業者が全面的な責任を負い違約金を支払うことになる。リグ掘削労働者の派遣契約には,労働法が適用されており,掘削に携わる人間はこの契約に目を通しておかなければならない。リグ掘削労働者に関する契約を交わした場合,労使に関する問題も事前に把握しておく必要があり,これは非常に重要な点である。例えば,開発生産設備を建設する際,豪州海上労働組合に加入している労働者を雇うとする。彼らがストライキを起こし建設に遅延が生じたとすれば,労働者の契約業者が違約金を支払うことになる。契約においては,労働者の契約業者がこの責任を遂行することを明確にしておく必要がある。これに関連する書類は,労使文書(Labour Relations Document)と呼ばれている。掘削リグ労働者や海上オペレーションの労働者が加入している豪州海上労働組合の活動は活発であるので,契約上の取り決めを明確にしておくことが特に重要であると豪州Phillips Petroleumは指摘している。(3)Project Manager人材派遣エージェント豪州Phillips Petroleumも利用している人材派遣会社Downing Teal社は,豪州の大手鉱業・石油・ガス企業の大半を顧客として石油・ガスプロジェクトに関するエンジニアの雇用契石油/天然ガス レビュー ’02・5―40―lough Engineering(cid:0)Fluor Australia Pty. Ltd.(cid:0)(cid:0)Halliburton KBR(cid:0)(cid:0)Kvaerner Engineering & Construction(cid:0)(cid:0)PGS Australia(cid:0)(cid:0)RBT Petroleum Associates International(cid:0)Shedden Uhde Pty Ltd(cid:0)Baker Hughes(cid:0)Oil Drilling & Exploration Ltd(cid:0)Diamond Offshore General Company(cid:0)Schlumberger Oilfield Australia Pty Ltd(cid:0)(cid:0)Transocean Sodec Forex(cid:0)Atwood Oceanics Australia Pty Ltd.(cid:0)Fugro Airborne Survey(cid:0)(cid:0)Veritas DGC Australia Pty Ltd.(cid:0)PGS (cid:0)Recon(cid:0)(cid:0)Schlumberge(cid:0)(cid:0)Seismic Australia(cid:0)(cid:0)OmniStar(cid:0)ERG Training (Crisis Management)(cid:0)Prevention(IFAP) (HSE)(cid:0)Ecos Consulting Australia (HSE)(cid:0)(cid:0)Gavin Anderson & Company(cid:0)Ernst & Young(cid:0)(cid:0)KPMG(cid:0)PricewaterhouseCoopers(PWC)(cid:0)(cid:0)Allens Arthur Robinson(cid:0)Oil and Gas Industry Contracts Advice(cid:0)(cid:0)Baker & McKenzie(cid:0)Oil and Gas Industry Contracts Advice(cid:0)(cid:0)Freehills(cid:0)(cid:0)M&A Advice(cid:0)Clayton Utz(cid:0)(cid:0)Blake Dawson Waldron(cid:0)KPMG(cid:0)Minter Ellison(cid:0)Downing Teal Pty Ltd(cid:0)Resource Recruitment(cid:0)Petro People Australia Pty Ltd(cid:0)Dare Personnel【豪州E&P主要サブコントラクターとアウトソーサー】(cid:0)&P Project Management Service(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)Erilling Contracting Service(cid:0)ublic Affairs & Media Adviser(cid:0)ccounting, Tax and Auditing(cid:0)(cid:0)AR Recruitment(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)Hegal(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0) LSE Management(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0) Hurveying(cid:0)(cid:0)Crisis Management(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0) D(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)S(cid:0)P注:上記のほかにも、掘削オペレーションに付帯するサービス、施設建設エンジニアリングや総合的なコンサルタントなど数多くのアウトソーサー、サブコントラクターが存在する。こうした情報は、APPEAのDIRECTORYからでも連絡先を知ることができる。(cid:0)―41―石油/天然ガス レビュー ’02・5フ一連の作業に加え,HSE(環境安全)マニュアル作成とマネージメント,政府申請手続,クライシスマネージメント(危機管理),メディア対応,経理・税務,などのサービスを提供するアウトソーサーやサブコントラクターがパースや操業現場を中心に存在する。以下は主要リストである。日本企業の探鉱オペレータープロジェクトも全てパースにオフィスを開設し,オペレーションを実施した。パースは規模は違えども米国のヒューストンと全く同じ環境であり,インフラだけでなく人脈や操業情報の面でも豪州のオイルセンターとなっている。石油/天然ガス レビュー ’02・5―42―Q.出光オイルアンドガス開発㈱(豪州プロジェクトIB RESOURCES PTY.LTD.)?豪州の石油業界の現状?加 藤 恒 男*はじめに弊社は,1999年8月4日,西豪州政府から正式に北西大陸棚鉱区WA-292-P鉱区を付与され,オペレーターとして,パートナーであるAgipAustraliaAustraliaLtd(OMV)と共に石油・ガスの探鉱作Pty業を進めることとなった。Ltd(Agip)及びOMV探鉱期間は第一探鉱期間(3年間)及び第二探鉱期間(3年間)の計6年間である。第一探鉱期間の1年目(物探測定作業及び地質物探評価作業)及び2年目(試掘一坑及び地質物探評価作業)を終えて,現在3年目(試掘一坑及び地質物探評価作業)の義務作業を果すべく,試掘2号井の掘削準備作業を実施中である。本プロジェクトは,弊社にとって,中国,マレーシア,ミヤンマー,ベトナム,そしてカンボジアに次ぐ海外におけるオペレータープロジェクトである。豪州は,今まで経験してきた国と異なり,インフラの整備された先進国であり,発展途上国で経験した操業上の問題はほとんど避けて通れるものと期待して,勇躍乗り込んだが,豪州には豪州特有のやり方があり,他とは一味違った苦労を経験することになった。ここでは,西豪州でのオペレータープロジェクトを通じて垣間見た豪州の石油業界の現状をご紹介する。(1)政府機関の役割我々の仕事は他人の家の庭で仕事をさせてもらうようなもの。従ってその家主である豪州政府(探鉱開発に関る許認可の審査は連邦政府?キ図1 【WA-292-P鉱区位置図】*出光オイルアンドガス開発㈱IB RESOURCES PTY.LTD.パース事務所長E-mail: katotsuneo@ibresources.com.au―43―石油/天然ガス レビュー ’02・5ャ塔xラと西豪州政府で行われる)との約束事や決り事を守りながら作業を進める関係上,政府機関との接触がかなり多いが,豪州のお役所の存在感は他国に比べかなり薄いと言うのが率直な印象である。これは豪州の鉱区付与形式が利権契約であること,また,探鉱開発作業に対する法規制が大まかで簡潔なルール(Petroleum1967)となっており,実質的には作業の全ては企業の責任と裁量に任されていることにもよる。SubmergedLandAct生産分与契約(ProductionSharingContract)で鉱区を付与する国のように政府がサービス契約や資材調達契約まで無理難題を持ちかけて,操業がディスターブされることはほとんどなく,所謂大人の行政指導を行っている。但し,昨今騒がれている地球に優しい環境ということでHS&E(Health,SafetyAndEnvironment)については厳しく管理されている。因みに試掘を行う際の関連部署への申請書類は以下の通りである。その中でもHS&E関連申請書は,専門家をそろえていることの少ない日本企業にとってはアウトソーシングに任せる他にないし,その方がより効率的でコストの低廉化にも繋がる。①Referral FormEnvironment Protection And BiodiversityConservation Act 1999(EPBC)に従い,下記②の申請書を下に作成された海洋試掘作業による周辺海域での環境への影響調査報告書(Referral Form)― これには試掘海域での鯨や海亀等を含めた海洋生物に対する影響の有無も含まれている― を連邦政府環境局に申請する。このフォームが電子掲示板等で4週間に亘り一般公開され,政府ばかりでなく一般国民からのチェックを受けることになる。その結果,何らクレイムがなければ最終的に政府から承認が下りることになる。/ HS&E Plan Environment Plan / Principal Safety CaseBridging Document /Emergency Response Plan / Oil SpillContingency Plan等。同申請に対する承認は,何も問題がなければ申請後約1カ月後に下りる。従って,①,②夫々の申請内容に何ら問題がなければ約1カ月で掘削開始が可能となる。安全操業面での州政府担当官との具体的な関りの一例を紹介する。昨年の試掘1号井は,掘削リグSedco702を用いて掘られたが,前の企業の作業中にBOP(BlowPreventor:海底暴噴防止装置)が正常に機能せず,掘削作業に支障をきたした。その後にSedco702を引継ぐことになっている我々の掘削計画申請に対する州政府の承認条件は,掘削開始前までの第3者によるBOPインスペクションの実施であった。Out通常は掘削請負会社のSubseaEngineerによるインスペクションで十分とすることが多い。しかし,州政府担当官の指示は,第3者による検査であり,それを行うことは当然余計な検査費用がかかると言うことだ。州政府担当官の指示は,自分でやるか,第3者でやるかの最終決断は企業自身の問題であり,州政府の問題ではない,しかし,州政府の行政指導?に従わずに事故を起こした場合は全て企業側に責任があると言うものである。そうまで言われたら,素直にその指示に従わざるを得ない。弊社の後に引続いてSedco702を用いることが決っていた数社と折衝し,この第3者による検査費用をシェアーすることで話をつけ,コスト削減に努めた。この例は豪州のお役人の典型的な対応例を示しており,石油業界関連ばかりでなく,一般的な日常生活においてもお役所は,出切るだけ個人的問題には直接関与せず,個人マターは個人で処理しろと言う基本姿勢に通じるものがある。②Application To Drill(西豪州MineralAndPetroleumDrilling Program & Well Proposal/Resources:MPRへの申請)豪州では大小合わせ200以上の石油会社が石油・天然ガス探鉱開発事業を行っている。それらの大方は地元企業で,中には単なる投資を主(2)石油会社の形態石油/天然ガス レビュー ’02・5―44―氓ノPty.Limited(Pty目的とした小規模の企業の存在も多く目につく。豪州の株式会社の種類,形態はLimited(Ltd),ProprietaryLtd),No?Liability(NL)の3種類に分類される。このうちでLtd.会社は上場企業の一般的形態であり,商法上最も融通のきく会社形態である。Ltd.会社は商法上色々な制限があり未上場の企業に限られる。個人経営の会社は全てこの形態だが,必ずしも中小企業に限られているわけではない。最後のNL会社は事実上,中小の上場探鉱開発会社に限られる。この形態の会社の場合,株主の責任は株式の額面分ではなく払込分のみに限られており,未払い込み分の株式に対してはNoLiabilityなのである。このような特殊な形態のため,事実上NL会社は中小探鉱開発会社に限定されているが,探鉱開発会社にとっては探鉱資金を市場から募るには都合が良いものとなっている。このような特殊な会社形態が発達したのも,かつてゴールドラッシュ時代での資金調達方法や探鉱に対するリスク分散を模索して来た結果であろう。このような歴史を経て個人投資家が気軽に探鉱開発会社に投資できる環境が出来あがった。その一方で当然ながら株主に対する経営責任は重いものとなり,株主対策の一つとして試掘作業状況を含めた企業運営状況を随時閲覧できるホームページを設け,株主や一般投資家へのIRサービスを惰りなく行っているわけである。(3)パブ情報このように個人投資家が多いわけであるから,当然ながら情報入手が最重要となってくる。ここでもゴールドラッシュ時代からの情報入手の仕組みが独創的なものとして発展し,今に伝わってきている。それは巷での噂,即ちパブ情報である。豪州では,日本人のサラリーマンがアフターファイブに赤提灯の下,仕事や上司の悪口を言って憂さを晴らすのと同様に,パブで憂さ晴らしをする。その喧騒の中で時にはマル秘情報が大声で交わされ,あっという間に街中に広まってしまうこともあるのではなかろうか。西豪州自体はとてつもなく広いが,パースのビジネス街は東の端から西の端まで20?30分ほどで歩ききってしまう程の小さな街なのである。そこにほとんどの企業が集中しているわけで,口コミ情報の伝播速度は思った以上に早く,夕方に一人がクシャミすると明朝には関係者全員がクシャミをしていると言うのも大袈裟な話しではない。この業界は思った以上に狭く,皆が顔見知りなのである。ファームイン/アウト活動が日常茶飯事に行われている豪州では,オイルマン(女性の石油企業への進出が際立っている為,オイルパーソンと言うべきか)に要求されるのは,重要で且つ正確なパブ情報をいかに人より早く且つ多く掴み取って来ることであったとしても驚かない。更に州政府による定期的な情報公開(MPRDay)等の場も結構多いのである。そOpenこでは新規公開鉱区情報から,よろず相談まで担当官と差しで話すチャンスもある。この様に政府のサービスが行き届いている背景には,1851年,当時の植民地NSWの西方の町バサーストで,豪州で始めて金が発見された時の政府(その当時は植民地政府)の採った政策が受け継がれて来ているのかもしれない。豪州での金発見の3年前にカリフォルニアで金鉱が発見されたが,その当時厳しい植民地生活に将来を失望していた豪州移民(元囚人で後に自由民となった移民も含め)の多くがカリフォルニアを目指した為,肝心の植民地での労働力が減少することになった。そのような時にバサーストでの金発見であった為に植民地政府は労働力を確保する為に金鉱山のありかをシドニーモーニングヘラルド紙上で公表したのである。その時の政策がそのまま受け継がれてきているのではと想像するのだが。(註:遠藤雅子著豪州物語)この他に,朝食つきの情報交換会やビジネスランチ等,この種の情報交換の場はふんだんと用意されており,政府関連諸機関を含めた石油企業は苦せずして有益な情報を入手し易い社会環境となっているのである。―45―石油/天然ガス レビュー ’02・5i4)操業上の特徴石油業界は,過去二回の石油危機等を経て,自身のスリム化を図るべく熟練した専門家を含め大量の技術者をリストラして来た為,多くの優秀な技術者が再就職やコンサルタントとして生延びる結果となった。一方,豪州においても石油探鉱開発が西豪州の北西大陸棚へ集中して以来,企業が抱えることになった問題は,如何にしたら小規模油田を立ち上げることができるかであった。埋蔵量規模もそうだが,周辺には既存インフラが少なく,且つ国内での需要にも限りがある等,開発移行への決断を妨げる要因が少なくなかった。結果,当然の如くFPSOU等の簡易生産システムが採用されてきたわけだが,その他に操業コストの削減努力も図られ,その努力は各企業の組織の見直しや探鉱開発への取組み姿勢にもおよび,現在に至っている。即ち,①徹底したアウトソーシング活用,②企業間の協力体制,③情報公開によるより精度の高い,効率的な探鉱計画の策定等,がその一例である。①アウトソーシング(コンサルタント)の活用前述したように,豪州にはマネージメントだけを抱えた小規模企業も少なくはなく,必要に応じて専門家をアウトソーシングすることになる。一方,大企業でも管理費削減の一環としてリストラが行われスリム化が進められてきた結果,仕事量の変動による人員不足をアウトソーシングでカバーする必要に迫られることになった。従って,豪州には必然的に様々なアウトソーシング供給会社を生じさせる温床があったことになる。弊社のように限られた人員で,初めての土地での操業を考えればアウトソーシングは必要不可欠な対応策である。しかも掘削要員の派遣ばかりでなく,掘削作業に関る全ての業務を委託するProject Management Serviceをコンサルタント会社と締結することになったのも自然の流れであった。過去に掘削現場を直接スーパーバイズして来た我が身にとってはこの試みは始めてであり,当初は靴の上から痒い所を掻くような思いがなくはなかったが,北西大陸棚での探鉱作業に通じたプロのサービスを最大限に活用できたし,結果的に掘削コストも計画予算内に収めて終えることができた。また,一味違うアウトソーシングにCrisisServiceがある。所謂企業の人Management間に代わって広報サービスを行ってくれるものである。特に,企業全体或いは社会全体の利益に反するような事故発生時のメディア関係への広報サービスは,企業イメージを良く保つ上でも重要なものとなってくる。その際,地元メディアに対しては,言葉にも不慣れな日本人が事情説明するよりはその道のプロに任せた方が企業イメージを損なわずにすむ。このサービスに表1 掘削操業時の組織図石油/天然ガス レビュー ’02・5―46―ヘ広報の他に,企業側のメディアに対する対応の仕方等の指導サービスも含まれている。今後アウトソーシングをより効率良く活かしていくためには,彼等の技術や操業ノーハウを速やかに習得すると共に,彼等の力を最大限に発揮させる環境作りとマネージメント能力の向上に努力する必要がある。また,暴噴事故や油流出のような緊急事態が発生した場合は,緊急対策要領に従って,各自の役割を確実に遂行出切るよう,お互いに報連想を徹底させる等の点が重要となってくる。②企業間の協力体制昨年1年間,西豪州海域で掘られた坑井数は試掘井だけで約50坑もあるにも拘わらず,豪州全海域内の掘削リグ数はセミサブ4基,ジャッキアップ2基の計6基であった。掘削本数や掘削時期は各企業の年次計画やサイクローンシーズン(12月?3月)等により変動するが,不思議と掘削作業が同時期に集中し,リグマーケットがタイトとなる。だから自分で好きなリグを国外から持ってくれば自分の掘りたい時に使えるので問題は解決するのだが,中々そうもいかない。豪州海域内でさえ掘削リグを回航するとしても,場合によってはかなりの移動距離となることがある。例えばバス海峡から西豪州のフリーマントルまでリグを回航するのに20日ほどかかる。我々のように単発の掘削作業では自分だけで高い動復員費を覚悟してまで国外や遥か彼方の国内海域からリグを回航する気にはならない。従って,自ずと新規リグの導入のチャンスが少なくなり,鉱区の近場で活動しているリグを当てにすることになる為,リグマーケットがタイトとなり,延いては近隣諸国海域のリグコストよりも割高なものとなる。その結果,お互いにリグの遣り繰りを検討したり,動復員費を折半したりして協力し合う。このような企業間の協力は,この他に上述した第3者によるBOPインスペクション費用の折半,不足資機材の貸し借り,緊急資機材の融通等にもおよび,余剰資材やバックアップ資材等をできるだけ持たない,無駄のない,低廉な掘削作業が行える環境が整っている。③公開情報前述した巷情報の他に,鉱区を付与された企業には坑井・震探データ等基礎データは取得後2年後以降,解釈データ等は鉱区放棄後5年後以降に公表義務があり,お金さえ払えば誰でもその情報を入手できる。作業を始めるに当っての必要な周辺情報は,それらの公表データを入手し,より精確な作業計画を検討し,コスト削減に結びつける努力がなされる。また,パースでは石油業界関連情報誌等に各社の一般動向の他に掘削状況も随時掲載される。これは,上場している企業はIRサービスの一環で情報を公開せざるを得ないからやむを得ないことなのだろうが,上場しておらず公開する必要もない企業の情報も流れ出てしまう傾向にある。掘削開始前に情報公開を望まないことを関連部署に明言しておかないと必ず状況が掲載されることになる。情報リークを防ぎたい場合には徹底した箝口令を敷く必要がある。(5)ロジスティックス本プロジェクトを運営する為の事務所は何のためらいも無くパースに設置された。ほとんどの同業者やコントラクター,州政府事務所が同市にあり,その他外国人の日常生活の基盤となる諸設備,サービスが西豪州内で完備しているのはパースしかないし,日本からの直行便も週3便あリ,外部からのアクセスも容易であることが大きな理由である。一方,資材基地は,サプライボード等が緊急時に掘削現場に速やかにアクセスできる場所が最適であり,事前調査結果,WoodsideのLNGプラントがあるダンピアに設置された。WoodsideのダンピアでのLNGプラントの建設を契機に,荷役業者や他コントラクター等関連業者もそれまで使っていたポートへドランドを引払って,ダンピアに移ったのである。掘削位置との関係ではポートへドランドの方が最短距離にあるが,いかんせん港湾施設はあるものの,関連業者が近場にほとんどいないと言うのが決定的であった。―47―石油/天然ガス レビュー ’02・5pースから資材基地のあるダンピアまでは直線距離で約1600Km,ダンピアから掘削リグまでは240Kmあまりある。かつてのマレーシアやミヤンマーも事務所から現場までは相当離れており,且つインフラが整備されていなかった等の理由で前線事務所を設立せざるを得なかったが,豪州ではこの遠大な距離でも関係ないのである。これを可能にさせたのは,このような環境下でも確実に物を動かすことが出来るアウトソーシングの存在であり,確立された専門業者の存在と流通ネットワークであり,携帯電話やインターネットワーク等のめざましい通信技術の発展によるものが大である。(6)パートナーとの共同操業パートナーであるAgip及びOMVは鉱区入札前からの共同スタディグループの一員である。特にAgipとは,他国でのオペレーター・ノンオペレータープロジェクトを通じて何度か一緒に付き合ってきた間柄で,お互い何者であるかは知っている関係にあるが,OMVとは初めての経験である。かつてのPectenShellを相手にオペレータープロジェクトを経験してきた筆者にとっては,今回は胃薬を必要としない相手であると思っていたが,現地に乗り込んでみたらそうも甘くないことを早々にして知ることとなった。両社は外国企業だが,OMVはCultusの買収に伴い,元従業員も複数引継いだ結果,ウィーンから派遣されたキーパーソン(総責任者,財務責任者,物探技術者の3名)の他は全て現地採用のスタッフで構成されている。一方,当初はお互いにインターナショナルスタンダードの旗を掲げ,我が方の味方についていたAgipもBorneoを傘下にした為,パース事務British所とその社員(全て豪州人)をそのまま引継ぎ,会社の名前だけが変ると言う結末となってしまった。これで両パートナーはローカル化を遂げてしまい,我々は孤独な戦いを強いられることとなったのである。彼等が現地化した理由は,ローカルのノーハウの有効活用と人件費の低廉化である。わざわざ人件費の高い自国の人間よりは,現地に通じたローカルを有効活用したほうが一石二鳥以上のメリットがあると言うことだ。しかし,日本企業の場合は,その商い習慣の違いや言葉の問題等も考えると,マネージメントのローカル化は今だもって難しい問題だ。その様なわけで弊社の掘削作業時の人員体制は,日本人マネージャーが3人,出張ベース1人の計4人(当初は常駐5人),他に必要な人員はアウトソーシングと本社からの支援を仰ぐと言う体制となった。(掘削作業時の組織図参照)。当初の陣容でも過去の経験からするとかなり少数化されたもので,現地管理費を低く抑えた点でパートナーに誇れるものであると信じていたのだが,それでもローカル化されたパートナーから見ると高過ぎるのである。しかし,現地管理費低減の最も大きな要素は,その企業の保有しているプロジェクト数にある。豪州では,前述したコスト削減のもう一つの方法,即ちリスクマネー削減の為の権益分散が頻繁に行われている。その結果1社で数プロジェクトの権益を保有,管理しており,それが大方の地元企業の経営方針ともなっている。この面から見ても弊社のように,豪州で限られた探鉱活動をしているのでは,現地管理費の低減には余り寄与しない。また,マネージメントスタイルの違いもはっきりしている。弊社ではマネージャーと言っても管理業務の他にも担当業務も持っている。従って,担当セクションの動き全体を掌握しているのはもちろん,他セクションでの未決事項や問題点等についても毎週の連絡会で確認しており,事務所全体の動きを全員が把握している状態にある。一方,パートナーの言うマネージャーとは担当部署の管理業務だけを行い,マネージャー自ら震探解釈作業や掘削作業計画作成等の担当業務は行わない,完全な縦割りスタイルである。従って,マネージャーは担当者から(或いはその逆)報告を受けて初めてその案件を知るわけで,両者のどちらかが不在であったりするとその案件について知っている者は誰もいなくなるのである。かくしてパートナーからの返答はどんどん遅れ,共同操業の運営に支障をきたすことになる。石油/天然ガス レビュー ’02・5―48―アの様に豪州における外国企業のほとんどがローカル化された背景には,前述した理由の他にインフラが整備されており,カントリーリスクが小さく,しかも公用語が英語であることも上げられる。そして,それに付け加えて豪州特有のマイトシップ(Mate-Ship)精神が数多くの企業間でも遺憾なく発揮されて豪州石油鉱業界の慣習ができあがった。それが現在,各企業の探鉱開発運営上の一つのスタンダードとなっている。その様な環境が,ローカル化していない外国企業のプロジェクト運営に様々な影響を与えているのである。我々が過去に他国で経験し,習得してきたインターナショナルスタンダードにあくまでも拘り続けるならば,この国でのプロジェクト運営はスムーズに行かないのは必至である。ものによっては「郷(豪)に入っては郷(豪)に従え」通り,豪州スタンダードを踏襲する等,柔軟な対応を採りながらプロジェクトを進めていく必要がある。最後に日本企業が豪州でオペレーターシップを持ちながら共同操業を運営していく為には,マネージメントを含めた人員のローカル化が必要である。人員のほとんどを日本人で占め,必要最小限をアウトソーシングに頼ってきた今までの人員体制では地元企業にとってオペレーターとしては魅力に乏しい相手として映るであろう。もちろん,複数プロジェクトを同時に運営して現地管理費等を分散する等してコスト削減ができる状態ならば話しは多少変るとは思う。最後に,パートナーとの共同操業を行う理由には,リスクマネーの分散の他にノーハウの蓄積及び共有化が挙げられるが,後者について振り返ってみたい。各企業は夫々が夫々のノーハウを持っているわけで,特に現地化している我がパートナーは豪州についての知識は我々よりも優れ,慣れており,それらの知識経験を共有化できることは非常に有益である。その反面,パートナーとの折衝が繁雑であり,また,縦割り組織や豪州時間での対応(これも豪州スタンダードの一例)により,非効率的なことが多い。従って,豪州で共同操業を組む場合にはパートナーに何を期待し,何を期待しないのかをはっきりと理解し,覚悟しておく必要がある。―49―石油/天然ガス レビュー ’02・5R.国際石油開発㈱(豪州プロジェクトINPEX BROWSE, LTD.)? 豪州における探鉱オペレータープロジェクトの実際 ?伴   慎 介*はじめに豪州北西海上鉱区WA285Pにおける探鉱作業は,弊社にとってインドネシア国外で初めての探鉱オペレータープロジェクトであり,幸運にも第一次掘削キャンペーンの試掘井3坑すべてで,ガス・コンデンセートの胚胎を確認する事ができた為,今後,商業開発の可能性を期待しつつ,さらなる試探掘井掘削を実施するべく,現在3D震探データの解釈,及びPre-FeasibilityStudyを実施中である。ここでは,これまでの弊社の豪州における事業経験に基づき,豪州における石油・ガス探鉱プロジェクト運営の実際についてご紹介する。(1)豪州オペレータープロジェクトへの道程豪州(JPDA:旧ZOCAを含む)における弊社の探鉱事業は,今から16年前BHPP社をオペレーターとし,CONOCO社とJoint Ventureで入札し落札したAC/P7鉱区での作業に始まる。以後,他社とのJoint studyに基づく共同入札や,単独Farm-inにより取得した11鉱区でBHPP,Mobil,Phillips各社をオペレーターに,また,Mobil,Santos,Petroz,Woodside,Agip,KERR-MCGEE等の各社をパートナーとしたノンオペレータープロジェクトで,39構造に試掘を実施,その内,22構造で油・ガスの胚胎を確認した。これらの発見構造の内,Griffin/Chinook/Scindian構造は,1994年よりGriffin油田として,またElang/Kakatua/Kakatua N構造は,1997年よりElang/Kakatua油田としてそれぞれ生産を開始した。これらの油田は現在も生産を続けており,他に2004年以降の生産開始に向けてBayu/Undanガス・コンデンセート田の開発作業やVincent油田の開発計画が現在進行中である。一方,弊社はこの間,探鉱評価済み4鉱区の放棄も行っており,これらのプロセスを経て,探図1 WA285P鉱区位置図*国際石油開発㈱探鉱第二部担当部長,前パース鉱業所長E-mail: sban@inpex.co.jp石油/天然ガス レビュー ’02・5―50―zプロジェクトに関する,技術評価に基づく鉱区の取得から開発移行に至るまでの流れや,探鉱権の効率的維持管理,それらに伴って必要となる州・連邦各政府との交渉等について一通りの知識とその理解を得る事ができた。但,これらはすべてノンオペレータープロジェクトを通してオペレーター経由で得られたものであった。探鉱事業をオペレーターとして推進するか,ノンオペレーターとして参画するかの判断は石油開発会社としてのポリシーの問題であるが,これまでの既探鉱成果と豪州における事業のさらなる拡大の必要性を考慮した結果,次のステップに進む時期にさしかかったと判断されるに至った。このような背景から,弊社は1998年,豪州で初のオペレータープロジェクトを取得する為,積み重ねた探鉱経験と技術評価から有望と判断されたBrowse Basinに位置するWA285P鉱区に単独で応札し,これを落札した。(図1参照)(2)WA285P鉱区オペレータープロジェクトの運営と現在までの成果本鉱区は6年間の探鉱期間の内,最初の3年間(第一探鉱期間)に4500kmの2D震探収録(1年目)と3坑の試掘井掘削(2年目2坑,3年目1坑),次の3年間に500kmの2D震探収録(4年目)と2坑の試掘井掘削(4年目1坑,5年目1坑)からなる義務作業量を提示して探鉱権を付与された。本プロジェクトをオペレーターとして推進するにあたり次の各点を考慮して組織体制づくりを行った。bインドネシアにおけるオペレータープロジェクトをはじめ,並行して進行中であった弊社の他地域探鉱プロジェクトとの関係から日本人スタッフは少人数とし,現地コンサルタントを積極的に起用する。bまず,現地探鉱事情に詳しい経験者と契約し,現地スタッフの採用をはじめ,政府への各種報告,許認可申請等のプロセスにつきアドバイザーとして機能させる。bオペレーション事務所は政府側窓口である西豪州州鉱山エネルギー局が在り,同州のみならず,豪州の石油産業の中心地となり図2 掘削作業時のPerth鉱業所組織図―51―石油/天然ガス レビュー ’02・5ツつあったPerthに開設する。b坑井掘削作業資材ベースはクルーチェンジの効率を考慮(Perthから1日で作業現場へ移動可)し,Broomeとする。b今回豪州で採用する掘削作業に係わるコンサルタントは,弊社のインドネシアでのオペレータープロジェクトにも投入できる事を条件とする。これらの前提に基づき構築されたパース鉱業所の組織図を図2に示す。尚,本組織図はオペレーターとして最も作業量の多い坑井掘削時のものである。現地スタッフの採用はパース鉱業所開設準備と並行して,これに先立ち契約した現地の技術系アドバイザーと共に約1ヶ月間にわたる面接を経て行われた。人材の発掘には時間的制約もあり,他プロジェクトのオペレーターからの評判等を参考に,人材派遣会社2社を通して候補者を集め,業界紙等による公募は行わなかった。最初の現場作業は,試掘井掘削位置選定の為の2D震探データ収録作業であり,パースにおいて,アドバイザーや,短期契約の物探QC(Quality Control)コンサルタントと共に作業実施の為の対政府許認可申請手続きを行い,鉱業所開設前の98年10月末には本作業実施に漕ぎつけた(現場作業は36日で4673kmのデータを取得)。物探船上での記録,処理及び陸上での処理実作業のQCは,弊社の日本人ChiefGeophysicistと物探QCコンサルタントによって,また現場作業中の対政府,対本社との調整(作業進捗,HSE関連問題の報告及び作業計画変更等)は,物探会社のパース事務所を通じて弊社Exploration Managerと物探QCコンサルタントによって,それぞれおこなわれた。98年12月に弊社のオペレーター事務所として,パース鉱業所が開設され,ワークステーションや解釈ソフトウエアの導入に引き続き,日本人と現地スタッフとの混成チームによる取得データを用いた地質,物探解釈作業が本格的に開始された。本解釈作業により99年6月に試掘対象構造が選定され,これらの掘削に向けたオペレーション準備作業が同年7月より開始される事になる。掘削作業開始のターゲットを2000年3月1日として,本社より日本人Operation managerがパース鉱業所へ赴任し,弊社の条件を満たす職種の派遣が可能と思われる人材派遣会社2社を通してコンサルタントの人選を行いつつ,順次赴 任 し た 日 本 人 Senior DrillingSuperintendant,Logistics staffと協力して,掘削リグと各種サービスカンパニー(Subcontractor,以下サブコン)に対する入札を始めた。その結果,10月にはDrilling rig契約に調印,11月には掘削関連コンサルタントの採用も終わり,州政府への掘削作業許認可申請手続きは,日本人スタッフと現地コンサルタントの混成チームにより行われた。2000年1月には,日本人Logistics Superintendantが掘削作業の資材基地となるBroomeへ移動,2月にはLogistics コンサルタントも採用され,3月の開坑に向けた準備が完了した。弊社の第一次掘削キャンペーンは,いずれも下部白亜系砂岩を第一目的層,ジュラ系砂岩を第二目的層とした3坑井,DINICHTHYS-1,GORGONICHTHYS-1,TITANICHTHYS-1かテスト結果(テスト対象層/チョークサイズ)(cid:0)ガス21.3MMSCFD,コンデンセート933BCPD(cid:0)(下部白亜系砂岩/40/46”)(cid:0)ガス30.5MMSCFD,コンデンセート203BCPD(cid:0)(ジェラ系砂岩/56/64”)註1(cid:0)ガス40.6MMSCFD,コンデンセート2,305BCPD(cid:0)(下部白亜系砂岩/64/64”2テスト合計)(cid:0)水深(cid:0)264m(cid:0)(cid:0)ORGONICHTHYS-1(cid:0)(cid:0)GITANICHTHYS-1(cid:0)T坑井名(cid:0)DINICHTHYS-1(cid:0)掘り止め深度(cid:0)4562m(cid:0)(cid:0)260m(cid:0)4767m(cid:0)(cid:0)247m(cid:0)4605m註1:GORGONICHTHYS-1の下部白亜系砂岩は電検及びMDTサンプリングにて他2坑と同様ガス,コンデンセートの胚胎を確認した。(cid:0)石油/天然ガス レビュー ’02・5―52―逅ャる(坑井名は巨大化石魚に由来)。それぞれ掘削作業に困難や今後の改善課題を残したものの,結果は,3坑井のすべてにおいて,ガス,コンデンセートの胚胎を確認することができた。3坑井の試掘結果概要は下記の通り。1号井は2000年3月2日に開坑,そのテスト作業終了後継続して掘削された2号井は高温用テストツール調達が必要となった為,7月30日にテスト待ち休止井とされた。これら2坑井の試掘結果から3号井の掘削位置が選定され,他社の掘削作業を終えた同じリグで,同年9月25日に3号井開坑,テストを実施した。その後引き続き休止井とした2号井のテスト作業を実施,2001年2月6日に,第一次試掘キャンペーンは終了した。これらの試掘結果により本鉱区は4年目以降の第2探鉱期間へ移行する価値があるものと判断され,第4探鉱年の探鉱作業方針が決定された。2002年3月現在,これら3坑井から得られた物探情報やコアを含む多くの地質サンプル,地層流体サンプルの分析評価作業結果を用いて,社内,社外でそれぞれ実施した発見構造埋蔵量評価に基づき,開発の可能性を模索するPre-Feasibility Studyを実施中である。また,これと並行して,2001年5月から10月にかけて,試掘井から得られた地質・物探データを基に仕様を定め,本発見構造群をカバーするべく弊社QCのもとで取得,処理されたWestern Geco社のNon exclusive 3D震探データ約1300km2を購入し,より精度の高い埋蔵量評価,適正な試探掘井掘削位置の評価等を行うべく解釈作業中である。今後これらを総合し,2003年第2四半期に試掘井,探掘井からなる第二次掘削キャンペーンを開始する予定である。尚,本3D震探データ取得作業は,本鉱区落札条件である義務作業外である事から,政府(州,連邦)との交渉に基づき,この3D震探データ取得をもって,4年目以降の残存義務作業のうち,試掘井1坑と500km2D震探作業を相殺する事ができた為,今後,第6探鉱年が終了する2004年8月までの本鉱区における残存義務作業量は試掘井1坑のみとなっている。(3)豪州オペレータープロジェクトから得られた知見最近の豪州の石油開発関連産業とそれを取り巻く環境には,次の様な特徴や傾向が認められる。b油価や国際経済環境の変化に伴う作業量,事業規模の変化により柔軟に対応する為,各社とも自社スタッフの数を低くおさえ,コンサルタントを多用する。b必然的に定職を失った社員はコンサルタントと成らざるを得ず,コンサルタント人口が増える。この為,企業対コンサルタントの構図が生じ,両者の間に,企業のニーズに見合ったコンサルタントを斡旋する人材派遣ブローカーが発生する。bここ数年,業界では企業買収や合併の動きが活発化しており,これに伴い,社員のコンサルタント化が促進される結果となっている。bさらに,企業数の減少は,サブコンの市場規模に影響を与え,石油開発の歴史の永い他地域(例えばインドネシア)と比較すると,しばしばサービスの質の低下(資機材,サービスの供給量減少や調達所要時間の増大等)として反映される。b政府側の業界窓口は,連邦管轄鉱区も州管轄鉱区も共に州政府鉱山局(州により名称は異なる)という形で一貫しており,真摯な姿勢で臨む限り,各種案件に対する対応は常識的であり,連邦政府との役割分担も明確に為されている。また基本的には,業界の立場に理解があると言える。b海洋石油開発の歴史から考えると,比較的若い国である事から,石油開発関連の法整備が業界を取り巻く各種環境の変化に必ずしも追いついていない。各種規制基準の見直しやガイドライン作りが現在進行中。先進国を自認する立場からも,原案として欧米先進国のものを採用する傾向があり,作業実施に際して要求される水準は高い。b但,政府組織内部の本業界担当者数は決して潤沢とは言えず,実際の企業実態監査能―53―石油/天然ガス レビュー ’02・5ヘには限界がある為,実作業の実施に当たっては,各種の調査報告を企業側に義務付けた上,作業実施承認文書には,常に最終責任は企業側にある事が明記される。b業界を代表する団体としてAPPEA(Australian Petroleum Production &Exploration Association limited)があるが,その組織力,行動力,発言力 共に十分政府側に認識された団体であり,政府の業界関連政策に対して大きな影響力を持つ。b同国の国民性から,自然環境保護及び,先住民族の権利保護に関しては,非常に厳しく,政府も企業誘致の必要性を理解しながらも,これに関する案件についての各種判断は,民意を強く意識したものに成りがちである。必然的にマスコミの関心も高い。上記背景に関連し,豪州での探鉱オペレーター活動で配慮が必要と思われるものとして次の様な点が挙げられる。①コンサルタントの採用についてマンパワーの確保に当たっては,コンサルタントの分業化が進んでいる事から,特定の分野のスペシャリスト雇用は比較的容易である一方,マネジメント能力(広範な視野と経験に基づく判断力と指導力)を有する人材は相対的に少ない。この種の人材は,人員削減によるコスト削減を図る会社側にとってもコンサルタントのQCの為に不可欠であり,もともとコンサルタント市場に登場する機会が少ないものと考えられる。実際のプロジェクトにおいては,実作業は勿論,その運営までもコンサルタントに任せている会社があるくらいであり,操業現場では「昨日はWoodside,今日はSantos,明日はINPEX」といった具合にサブコンにもおなじみで,お互いに顔見知りのコンサルタント達が,どこかで常に作業中という状況が決して珍しくない。この様な状況下では,各種作業のやり方やスタイルに対し,コンサルタント/サブコン社会の中に「暗黙のルール」に基づく馴れ合い関係が成立し易く,会社側の意志をコンサルタント/サブコンに対し如何に的確に反映させるかは,経験と実力を伴った日本人スタッフを現場に投入しない場合,ひとえにコンサルタントの人選(「自分たちの暗黙のルール」から逸脱した会社側の要求をサブコンに納得させる技量はどうか)に依存する。「郷に入れば,郷に従え」と言われるが,筆者の個人的見解では,コンサルタントと日本人の混成チームをうまく機能させる為のコツは一言で言えば「Reconfirmation」であると感じている。彼らと日本人の仕事に対するスタンスの違いは,「責任範囲の認識」の微妙な差である様に思える。例えば,コンサルタントAを使ってサブコンBの作業を加速したい場合,AはBを一回催促してそれっきり,Bの作業は加速されず,となる場合をよく経験した。この種の対応に対する彼らの説明は,「自分はBを催促することによって自分の責任は果たした。作業が加速されないのは,Bの責任であり自分の責任ではない。」である。確かにその通りであるが,これでは仕事は前に進まない。もちろんJobdescriptionで,がんじがらめにするのも方法ではあるが,重要なのは,「彼らはこの種の考え方に陥りがちである」という事を肝に銘じて彼らと付き合う事であると思う。欧米では,もともと専門職コースとマネージメントコースが明確に分かれている上,豪州のコンサルタント人口で多数を占めるのは,上述した様に前者に属する人々である事もこの傾向の一因であると考えられる。ただ,豪州に限らず,この種の問題は最終的には個人の性格に依存している訳で,コンサルタントの採用には可能な限り時間を割き,出来るだけ多くの候補者との面接を行う事が基本である事には変わりない。特に「現在までの自分の経験に固執する事無く,柔軟な対応ができるか」という点は重要である。②サブコンとの契約前述した様に,相対的に市場規模が小さい為,資機材の調達に時間を要する点を考慮する必要がある。特に特殊な資機材に関しては,実際に石油/天然ガス レビュー ’02・5―54―K要となるタイミングよりかなり以前からの先行発注が必要となる場合がある。各種サンプルの分析サービスも同様で,分析要員の絶対数が少ない為,他オペレーターと作業が重なるとサービスが滞る。また,サブコンと会社の接点となるサブコン側担当者の質も現場実作業のパフォーマンスに大きな影響を与える。サブコン側も長期の契約が可能な会社に有能な人材を優先して供給する傾向が生じる。この傾向はどのサブコンにも共通して認められる。サブコンとの契約に際しては,市場の特殊性を考慮し,資機材調達に関する十分な背景調査を行った上,予想される問題に対する対処を契約内容に明記する交渉努力が必要。出来るだけ数量のまとまった掘削作業計画の立案が望ましい。また,サブコンによっては内部での連絡(現場と本社)が悪い為,タイムリーな資機材動員がかからない場合もあり,時として,会社側がサブコン内部組織の連絡確認調整をフォローする必要が生じる事もある。③政府との付き合い健全なオペレーションが行われている限り,政府側の業界に対する対応は好意的である。州政府(DMPR : Department of Mineral andPetroleum Resources)も連邦政府(DITR :Department of Industry, Tourism andResources)も,資源開発に伴う投資の拡大を期待しており,この基本線に何らかの形で結びつく案件に対しては,ほとんどの場合サポートが得られると考えられる。また,企業活動の経済的限界に関しても十分な理解がある為,オペレーターが誠心誠意,豪州の資源開発に努力した姿勢が認められ,かつその時点での義務作業量を達成している限り,たとえ作業結果が鉱区撤退に結びついたとしても,次の機会の再挑戦に関して理不尽な取扱を受ける事はない。さらに,多様な案件についてもかなり柔軟な対応が期待できる。(前述した様に,弊社オペレータープロジェクトでも,交渉の結果,実質的残存義務作業量低減が認められている。)弊社が現在までに経験したプロジェクトはすべて連邦管轄の海上鉱区である為,本来の窓口は連邦政府であるが,連邦は鉱区の管理運営実務を州に任せている為,州政府が実際の窓口となる。とは言え,最終判断は,州政府のRecommendationを参考に連邦政府が下し,それを州政府がオペレーターに伝達する為,各種の対政府交渉案件は,州政府と連邦政府の双方に対する個別交渉がより効果的である。但,州政府は本件に限らず,恒常的に連邦政府に対し各種権限委譲を求めている背景からも,最初の説明はあくまでも窓口である州政府に持ちかけるのが基本である。その後,州政府にも一報した上で,同じ内容の説明を連邦政府に対して行っておれば,その後のプロセスがスムーズになる。一方,資源産業界から提出された技術データの管理や独自の調査研究に基づき,政府の新規公開鉱区の設定や政府対企業の各種交渉に関する技術的側面をサポートする連邦政府機構にGA(Geoscience Australia,AGSOより改称)がある。最近は研究データや解釈レポートを積極的にコピー代金のみで公開する方針を打ち出しており(かつてはデータやレポートを販売していた),利用価値の高い情報をより安価に入手できるようになりつつある。この様に,現在の豪州政府の業界に対するアプローチは双方にとって合目的的である上,両政府とも業界とのチャネルは常に開かれている事から,日頃より親密な関係構築とその維持が望ましい。④APPEAとの係わり合い政府と業界のパイプ役として忘れてはならないものにAPPEAがある。現在の政府の業界に対する基本姿勢は,上述のごとく総論的には評価し得るものであるが,現実的には政府方針及びその組織構成はその時々の政権の考え方により変わり得る流動的な物でもある。APPEAは政府と業界の両方に接点を有し,双方の立場の変化とその背景を相互に伝えたり,双方の利害が対立する場合,その妥協点を調整したりする機能を有しており,業界にとっても,政府側に―55―石油/天然ガス レビュー ’02・5ニっても,最も信頼できる情報源として機能している。特に,政府側が業界全体に影響を与えそうな新しい政策や規則の導入を考える様な場合は必ずAPPEAに打診があるのが通例である。短期での対応が必要な案件については,APPEA事務局が直接業界からの意見を聴取する事もあるが,中長期に亘る業界内の意見調整が必要とされる様な案件については,APPEA内部に対象案件協議に積極的な各社からなる小委員会を設けこれに対応している。但,APPEA自体,会員各社からの会費を主要な財源としている為,専属人員は限られており,会員各社の規模も様々である事から,必然的にAPPEA活動に対し,人的,資金的貢献の大きな会社の意見が業界の意見となりがちな傾向が認められる事も事実であった。しかしながら,APPEA事務局はこの様な問題を十分に理解しており,規模の小さな会社や,他の少数意見(例えば外国企業)についても積極的にテーブルに上げる努力をしており,客観的説得力のある少数意見が,不当な取扱を受ける心配はない。この様に,我々も今後の豪州の産業政策についてAPPEAを通して十分意見する事ができ,場合によっては,政策に反映させる事が可能であるという認識をもって,APPEA諸活動への参加貢献をより積極的に行う事が望ましいと考えられる。⑤危機管理オペレーターとして現場作業を実施する以上,その作業に起因して生じる可能性のある多種多様な問題に対処する責任が課せられる事になり,それらの問題に迅速かつ適切に対応できる組織体制の確立が求められる。この種の問題はHSE(Health, Safety andEnvironment)問題に代表されるが,一般的な無事故安全操業を目指す企業努力に加え,最近の世界的意識の高まりと豪州の国民性によってクローズアップされる環境保護への企業努力が強く求められる。企業にまず求められるものは,HSE PolicyStandardの確立である。政府に提出される現場作業実施許可申請には必ず添付される事が義務付けられており,これによって企業は政府及び地域社会に対して作業安全管理や環境保護に対する対応理念を公約するものである。この内容は当然企業の自主性にまかされている訳であるが,少なくとも,豪州の関連基準をすべてクリアする事を謳う必要があるのは言うまでもない。メジャーや準メジャー級の企業は,昨今の国際環境の中でHSE マネージメントを誤ると巨額の損失に繋がる事を熟知している為,万全の組織体制に基づいた,さらに一歩踏み込んだ高い社内自主規制基準の適用を誇らしく記載している場合が多い。この種の公約は,必然的に政府側から歓迎される(事故に対して企業の対応が不十分だった場合,企業の次にその責任を追及されるのは,その操業を許可した政府であるため)。この危機管理基準や対応体制は,実際に事故が起こらない限り,形式的な対応でも問題が表面化しにくい点を正しく理解した上で作られることが重要である。我々の作業が原因で問題が生じた場合,メディアは一企業としてではなく日本企業の問題として取り上げるであろう点も忘れてはならない。また環境保護に関する規制は厳しくなる一方であり,これが資源産業の投資環境にマイナス要因となる事は政府も理解しているものの「盛り上がる民意には逆らえず」と言った状況である。坑井掘削作業や震探データ取得作業は気象海象条件に直接影響を受けるが,これに加えて,稀少海洋生物(鯨,海亀等)の回遊時期等も考慮する必要が有り,地域によっては,実作業実施が可能な期間が極めて制限される場合が有り得る点は考慮するべきである。最近導入されたEPBC Act(EnvironmentProtection and Biodiversity Conservation Act)は各種探鉱開発実作業実施の許認可に対して,政府監督官庁(DITR,DMPR)以外の連邦政府官庁(EA:Environment Australia:環境庁)の承認をも必要とする初めての規則である。この導入によってEAはオペレーターの探鉱開発作業実施計画をネット情報として広く一般に公開する事になり,結果としてオペレーターは,環境団体等の民間団体や個人との直接接触をも石油/天然ガス レビュー ’02・5―56―]儀なくされる事になる。この様に,HSE問題への対応は企業倫理として当然取り組むべき問題であると同時に,それを怠る事によってオペレーターが被り得る有形無形の損害を最小限に止める為の危機管理対策であるとの認識が必要である。おわりに以上,今までの弊社の経験に基づき,豪州での探鉱オペレータープロジェクト推進にあたって留意すべきと思われるポイントを概説してきたが,最後に豪州に限らず,汎世界的に進行していると思われる,オペレーター企業とサブコンの関係の変化について触れておきたい。オペレーター企業(特にメジャー)と言えば,操業に必要な人材や技術のほとんどすべてを自ら擁していたものであるが,最近,本稿で述べたように実作業実施においてサブコンやコンサルタントが担う部分が急速に拡大する傾向が顕著である。即ち,かつてオペレーター企業に属していた人材がサブコン組織に移動する傾向が顕著になっている。Schlumberger社は,かつて,電気検層の最大手サブコンとして有名であったが,今や他の各種サブコン企業の吸収や相互の合併を経て,その気になれば,探鉱作業から開発生産作業をオペレーターとして実施できるほどの人材と技術力を有している。ところが彼らは自らの事業展開においてオペレーターとしてのRiskは負わない姿勢(そのかわり大きな利益も追求しない)を明確にしている。一方では,現地に駐在する所長1名が現地のコンサルタントとサブコンを使って試掘井掘削を含む探鉱オペレーター業務を行っている企業もある。この状況は見方をかえると,オペレーター企業に必要な要素は,資金力,事業当事者責任能力及びサブコンの活用能力の3つに集約されることを示している。これらそれぞれに重い3つの要素の中で,たとえその気になっても,その形成と維持に時間と費用がかかるものは,サブコンの活用能力(所謂,技術力)であると考えられる。企業としての目的達成の為,事業の最大効率化を図った進化形が現在のオペレーターとコンサルタント/サブコン組織の二極化である為,日々進歩する技術の習得はそれを武器として生き残りをかけるコンサルタント/サブコン組織にとっては死活問題である。しかし技術力の維持は,オペレーター企業にとっても不可欠な要素であり,これを実際のオペレーションから得る為には,コンサルタント/サブコン組織と自社スタッフのバランスをよく考える事,さらにはオペレーションを継続する事が最も重要であるという結論に落ち着く。技術力と一口に言っても探鉱物探技術,坑井掘削技術,開発生産技術と広範におよび,それら自体が日進月歩である事から,弊社もオペレーターを継続しつつ,近い将来,開発オペレーター段階へと駒を進めたいものである。発見した埋蔵量の規模により,採算のとれる開発方式を検討し,効率良い生産を実現するのも石油開発会社の使命である。―57―石油/天然ガス レビュー ’02・5S.日本石油開発㈱(豪州プロジェクトNOEX(Vulcan))三田寺 久男*(1)豪州のオペレータープロジェクト取得の経緯弊社は,マレーシアSK-10鉱区における探鉱で,オペレーターとして一応の成功を収め,94年頃より次の探鉱オペレータープロジェクトを模索していた。弊社のような比較的経験の浅い技術陣が,オペレータープロジェクトを推進していくためには,現地における施設や人材が整っていることが不可欠ではないかという観点で豪州が第一候補として浮上してきた。さらに,豪州は年1?2回,鉱区の公開を行っており,義務作業量を基準とした入札結果で,探鉱鉱区が付与され,オペレーターとして事業を運営することが可能である。つまり,公平に機会が与えられ,チャンスも多いということである。弊社は91年からノンーオペレーターとして豪州に進出し,94年,95年とオペレーターを目指して入札に参加したが,いずれも義務作業量の差で落札できず。3度目の挑戦として,96年に公開された鉱区の内,北西大陸棚に絞って第一次スクリーニング作業を行い,有望と思われるAC96-6(現在のAC/P23)鉱区(図1参照)の共同スタディをすべく,内外の数社に打診を行った。96年8月より,現在のパートナー(TimorSea Exploration Pty Ltd…石油公団,三井物産,三井石油開発各社が株主)である三井物産(株)と,最終的に入札には参加しなかった欧米2社,計4社で共同スタディを実施した。当時,米社或いは豪社を中心とした2?3グループが入札図1*日本石油開発㈱技術部担当部長,前パース事務所長E-mail: hisao.mitadera@noex.nmoc.co.jp石油/天然ガス レビュー ’02・5―58― ノ参加してくるものと見られ,激しい競争が予想されたことで,最初の3年間の義務作業を試掘4坑,2D震探,3D震探で入札した。その結果97年4月の発表で落札を果たしオペレーター事業を獲得できたわけであるが,2番札は義務井2坑ということであった。早速,パース市内に事務所を設営すべく物件を探し,幸い現在の事務所スペースを確保し,7月に開所することができた。7,350km超の2D及び720km2の3D震探取得とその解釈を実施後,3年間で義務井4坑を掘削することは,探鉱スケジュール上,非常にタイトであることが認識されていたため,豪州政府に申請し,実際の探鉱パーミットの賦与は,2D震探作業開始とほぼ同時となる9月1日付けとしてもらった。さらに,同年11月より開始されたPGS社によるMulti Client Survey 3D震探に関しても,収録エリアにプライオリティをつけてもらったり,船上での初期処理済みデータを,随時パースの処理センターに空輸するなどして,時間短縮を図った。ここで,弊社パース事務所の人員体制に触れておく。豪州でオペレーター事業を行うにあたり,コスト面と地域に精通したレベルの高いコンサルタント(個人,会社)の雇用が可能なため,できるだけ日本人駐在員の数を押さえ,現地でコンサルタント等を活用する方針の基に体制を構築した。ただし,的確な事業遂行をスーパーバイズするため,最低限の日本人スタッフは派遣することにした。最初の掘削キャンペーン前の体制は図2のとおり,日本人スタッフは,所長(地質),副所長(経理,総務),探鉱マネージャー(地質),物探担当1名,掘削担当1名の計5人であった(後日,99年2月からの第一次掘削キャンペーンに合わせ掘削マネージャーを増員した)。一方,現地社員としては,経理,総務担当1名及び秘書1名のみを採用した。最初に,現地経験の少ないスタッフでの事業遂行を考え,先ず政府や現地企業の事情,コンサルタント市場に精通したコンサルタントを事業運営のアドヴァイザーとして起用したが,政府及び企業との人脈作り,現地での慣行を知るうえで非常に有効であった。(2)探鉱事業の実績①パーミット第1年(97年9月?98年8月)2D震探収録,3D震探収録,両データの処理,解釈作業および掘削準備作業(安全マニュアルの作成,資材手当て,リグ検討等)図2 ―59―石油/天然ガス レビュー ’02・5Aパーミット第2年(98年9月?99年8月)震探データ解釈作業の結果,第一次掘削キャンペーン試掘構造決定試掘位置のサイトサーベイ実施,リグ手当て,試掘井2坑(Columba-1, Circinus-1)掘削,試掘結果を踏まえ震探再処理,特殊処理,再解釈開始③パーミット第3年(99年9月?2000年8月)各種G&Gスタディ実施,試掘3坑目の構造決定,リグ手当て,試掘井1坑(Crux-1)掘削 4月?5月…ガス発見,試掘4坑目の構造選定検討④パーミット第3年延長(2000年9月?2001年2月)試掘4坑目の構造決定,リグ手当て,サイトサーベイ,試掘井1坑(Saucepan-1)掘削,Crux Gas Fieldの開発方法検討⑤パーミット第4年(2001年3月?2002年2月)Crux Gas Field及び周辺部の3D震探データ再処理,周辺構造に対する2D震探収録及び処理,再解釈,Crux Gas Fieldの開発方法検討継続(3)探鉱経緯と今後の課題当地域には既に全域に亘って2D震探がかけられていたが,12 vintageにも分かれており,さらに浅部カーボネイトの影響で,ターゲットとするUpper/MiddleJurassic近辺では非常に不明瞭であったため,鉱区全体の構造把握とプロスペクト摘出のため全域に2D震探をかけた。一方,入札前のスタディ時点で構造がある程度確認されていた2構造と,それを含む最も有望と考えられた地質区に対し3D震探をかけた。コスト節減のため,当時PGS社が計画していたMulti Client Surveyに加わることにした。収録,処理等は順調に行ったが,優先的にやってもらったものの最終処理が遅れ,構造が複雑なこともあり解釈作業が大幅に遅れた。第一次掘削キャンペーンは計画通り2坑でいくことになったが,上記遅れのため結局3D震探エリア外のColumba, Circinusの2構造を選択した。99年2月からColumba-1を1号井として第一次掘削キャンペーンを開始した。掘削は1000m付近のJhonson層で全逸泥,それによって引き起こされたGrebe層砂岩崩落によるドリルパイプスタック,サイドトラックのためのセメント全逸によりサイドトラックが不可能となり,結局,リドリルすることになった。この地域の掘削では,全逸泥が起こった場合は全逸泥のまま海水掘りである程度のところまで掘り,ケーシングを入れ逸泥を止めることが普通の方法である。しかし,本井ではPuffin砂岩層ホライゾンに震探上異常振幅が認められ,それはしばしばガス層を示すことがあり,その可能性がある以上,全逸泥のままではPuffin層に掘り込めないという判断があり,逸泥対策を繰り返した。目的としていたPlover層はかなり深くなると解釈されたため,目的層未達のまま掘り止めとした。最も基礎的ではあるが,震探の質が悪く,近くにコントロール井がない地域での震探解釈の難しさを再認識させられた。本井ではUpperVulcan層の砂岩2層でガスを確認したが小規模であった。引き続いて掘削したCircinus-1はツイストオフのトラブルはあったものの,掘削作業はほぼ順調に推移し,目的層であるMontara 層は側方変化で泥岩に変化していた。この第一次掘削キャンペーンの結果,次期掘削キャンペーンで対象とする地域を絞り込むと共に,部分的に震探データの再処理や特殊処理を行ったうえで再解釈を行った。2坑のドライホールを掘ってしまったため,次期掘削は期待埋蔵量規模やリスク面からも厳選されたもののみを候補とすることを余儀なくされた。3D震探地域の解釈は慎重な断層解釈,ホライゾン対比,深度変換を行い,Cruxが大きなホルスト構造として解釈が固まってきた。その結果,JVとしてCruxを第3坑井として掘削することが決定された。義務井2坑が残る中で,ドリラブルプロスペクトが一つのみという状況は,入札時点で最も危惧されたものであり,4坑目をどうするかパートナー間で何回も意見交換がなされた。2000年4月,期待を込めたCrux-1の掘削を開石油/天然ガス レビュー ’02・5―60―nした。掘削は過去の経験を活かし順調に行われたが,目的層と考えていたMontara層準に砂岩が出現しないまま,カロビアン不整合を掘りぬき,不整合直下に期待したPlover砂岩もないまま経過した。その直後,ドリリングブレークがあり,掘削をストップしボトムズアップして砂岩確認,ガス確認,重いガス成分もあるという報告が入った。ここで27mのコアをとることを決定した。その後もガス徴は続いたが油徴はあらわれず,結局250mほど続いて,砂岩はまだ続いていたがガス徴は消えた。ガスの場合は余程大きなものでなければテストはしないという方針であったため,テスト機材も油用しか用意してなかったが,相当量のガス埋蔵量が期待できるということで,そのままの機材でフローテストを行った。フローテストの結果は非常に良好で生産性の良い貯留岩であり,ガスはコンデンセートを含むことが確認された。本鉱区はこれまでいくつかの会社により探鉱され,Cruxのような大構造が掘削されずに残っていたということは,震探の質が悪く解釈の難しい地域はまだまだ探鉱余地があることを示唆している。Crux-1の成功を踏まえ,再度地質検討を行い,べースンモデリングとフルイドインクルージョン分析による油がガスによりフラッシュアウトされた痕跡を頼りに,油の集積が期待できると考えられるCrux構造からサドルを経て構造的に上位にあるSaucepan構造を4坑目として選択,2000年12月に掘削したが不成功に終わった。現在,海上遠隔地におけるガス田の開発につき,洋上GTL, LNG等の検討を行っているが,技術面,経済性の検証が十分でなく,技術革新や環境問題等による周辺状況の変化を待たなければならないと思われる。将来的には,発見ガス田を如何に有効利用していくかがエネルギー需給,環境規制をクリアーしていく鍵となることは異論がないところであろう。そのためには,日本企業も粘り強くこれに取り組む姿勢と体制を整備する必要がある。欧米のE&P企業と比べ体質のあまり強靭でない日本企業が,数年にも亘るこれらの取り組みを継続していくためには,国(石油公団)の特別のサポートが必要であり,一般的な石油探鉱,開発事業と区別して対応することが不可欠と思われる。(4)オペレーター事業におけるアウトソーシング総じて豪州にはコンサルタント・サービスが発達しており,外国企業が事業を行う場合,自社の人員を最小限にして事業を行える国であると言える。技術者は企業からスピンオフした者を含め,各分野に個人ないしは仲間と組んでコンサルタントを開業し活躍している者が多い。もちろん,やや大きな組織として技術サービスをする会社や,人材派遣を行う会社もある。多くの技術者が豪州石油開発業界での経験が長く,地域の特性に精通している。但し,地域或いは目的に精通した技術者を探すのに重要と思われるのは,人材斡旋業者を通す場合を含め,できるだけ多くの信頼できる知人から人物評,能力を聞くことが肝要であり,そのためには多くの知り合いを作っておくことが必要である。探鉱期間中,各分野で実績のあるコンサルタント会社,ないし個人コンサルタントを多く,場合によっては長期に起用した。その範囲は物理探鉱調査(コントラクター選定,政府申請書作成,収録作業品質管理),地質解釈,震探解釈,環境安全,掘削(掘削計画,政府申請書作成,現場作業)などに及ぶ。①物理探鉱作業2D震探データ収録,3D震探データ収録及び各データ処理については,特に他地域と異なるわけではなく,経験豊富な収録或いは処理会社に全て委託した。震探データの収録処理はテンダーにより決定したが,テンダー評価,契約や技術スペックに関する折衝,および船上QCにコンサルタントを用いた。また,2D作業については対政府作業申請文書の作成も上記コンサルタントに依頼した。環境保安問題への対処に関しても,地域に密着した適切な助言が得られ有効であった。3Dデータ収録は,前述したようにMultiClient Surveyに参加したので,対政府申請,―61―石油/天然ガス レビュー ’02・5錐?ニはかなり軽減された。また,後日,取得データの再処理,特殊処理等も外注したが,鉱区地質状況をふまえて行う必要のある速度解析の箇所は,コントラクター任せにせず,東京本社からの応援や,専任コンサルタントを用いておこなった。当然これらの物理探鉱作業については,当事務所の物探担当がスーパーバイズして推進した。パースとシンガポールの処理センターに対する処理QCを行ったが,本地域のような震探クオリティの難しいデータを扱うには,日ごろのコミュニケーションと監督を維持することの重要性が改めて認識され,全てパースのセンターで行うべきであったという反省点が残された。②地質検討作業当事務所探鉱マネージャーがスーパーバイズして解釈,検討作業を行ったが,短期間に相当量の解釈を実施するため,弊社担当に加え,各フェーズに亘り,当該地域の地質に詳しい2?3人の個人地質コンサルタントに委託した。解釈作業以外の分析作業やスタディ等についても,専門会社や専門家に委託することにより効率よく行うことができた。ただ能力には個人差があると言える。③掘削作業第一次掘削キャンペーンでは,Woodside社からリグ・アサイメント契約により,掘削リグともに掘削要員,関連サービス,供給基地とその人員にいたるまで一括の供給を受ける事となったが,Woodside社のような年間に十数本の井戸を掘る豪州のリーディングカンパニーと,年間に1?2本のSOHO的な弊社のカンパニー・カルチャーの違いによるオペレーション運営の差を痛感したキャンペーンであった。このリグ選定作業,アサインメント契約の締結,HSEシステムの構築・政府提出用掘削申請書類作成等の準備作業は中堅掘削コンサルタント会社に委託した。日本での石油開発業界はまだなじみの少ないHSE活動も豪州ではすでに実際のオペレーションに具体的な手法をもって実施されていた。当時試探掘の実施における体系的かつ適切なHSE施策をもたなかった当社も,HSEマネージメントシステムを構築し,自社の活動を管理する自主規制としてのSafety Caseを持つにいたったのは地元専門コンサルタントのノウ・ハウなしではなしえなかったものである。第二次(Crux),第三次(Saucepan)掘削は第一次キャンペーンにより培われた経験と人脈より,掘削コンサルタント会社に委託することなく下請けだった個人のコンサルタント,HSEコンサルタントとの直接契約により準備段階より自社で行った。またコンサルタント会社は登録された個人コンサルタントの中からクライアントに派遣し中間マージンを採ることから,この費用を削減するとともに,コンサルタント会社のオペレーションへの影響力を排除するために個人コンサルタントとの直接契約の方法をとった。実際人材確保におけるコンサルタント会社の介在は,突発的な離職による要員確保には有効であるが,最良の人材確保の点では必ずしも有効ではなかったためである。サービス契約書作成の際には老練なContractEngineer,石油開発サービス関連の契約に精通した弁護士,保険屋の3者との連携で対処した。この連携により厄介なLiability,HSE,保険関連条項の部分を交渉会議中に落としどころを押さえ瞬時にカウンターを出せたことで契約書取り纏めが極めて効率よく行えたと自負している。豪州には十分な知識と経験を持ち合わせた人材およびサービスが多いのは事実だが,個人コンサルタントとの直接契約は作業時期および契約期間に大きく左右されるため,作業のタイミングが相手に都合のよいものであったとしても年1?2坑程度の仕事量では必ずしも魅力的ではなく,優秀な人員の確保は簡単なことではない。掘削時の体制としては,パースはマネージメント全般,ダーウィンをオペレーションに特化した事務所として機能させた。パースで準備作業に従事した者がダーウィン事務所に移動,コンサルタント3人,および日本人1人が期間中常駐,リグ現場は会社側の人間としてはドリリ石油/天然ガス レビュー ’02・5―62―塔O監督2人(コンサルタント,2交代体制),HSE関係他では定期的,および必要に応じダーウィン事務所からリグに行くという体制であった。G&G関係は会社の人間はパースにおり,リグは地質2人(コンサルタント,2交代制)で行った。重要な局面ではパースからリグにいつでも行けるような体制を取った。テスト準備は基本的には東京からの技術者の指示でサービス会社が行い,テスト時には,本社から技術者がリグに乗り,作業監督を行った。④その他上記探鉱作業に関する外部委託の他に,探鉱パーミット上の解釈,及び政府への申請書作成は経験のあるコンサルタント(ランドマン)のアドバイスを受けた。石油,ガスの探鉱・開発・生産活動に関しての重要事項等を規定しているPetroleum Act及びGuidelineの解釈(変更されるので常に注意しておく必要あり),また,それに則った各種申請書の作成には,経験に裏打ちされたケースバイケースの対応が必要であり,コンサルタントの指導を仰ぎつつ進めた。一般の弁護士事務所では,条文の解釈がどうしても安全サイドに偏り,実際上の的確な対応が困難な場合が多く見られた。(5)豪州でのE&Pビジネス①資材の調達や従業員の雇用などの面において,当該国を優先させるようなPSC契約形態を採用している国と異なり,E&P活動に対する規制が緩やかである。但し,環境面の規制は多く,作業実施の際には確認のための諸手続きが必要であると同時に注意を要する。②義務作業等の実施についても,技術的観点或いは現実的状況が十分説明可能なものであれば,政府は一定の範囲内で柔軟に対応してくれる。もっとも,新しいガイドラインができて期間の延長には対応してくれるが,義務作業を減らすことは今は殆んど不可能である。Shellは義務を果たさずに放棄することは認められたが,その代わり,未達分の金額で公開鉱区で誰も取らなかった鉱区を取り,探鉱することになった。会社の交渉相手は州(準州)政府であるが,連邦政府との関係も大事にしておくことが肝要である。③ここ数年間で,豪州E&P企業の中堅どころが外国企業に買収され,BHP, Woodside,Santosなど大会社を除くと,小規模会社が多くなった。しかし,公開鉱区への入札で積極的に鉱区を取得する会社が多い。大きな資金を要する掘削段階で,多くはファームアウトするが,こういった形で少ない資金で多くの探鉱機会に参加するやり方を日本のE&P会社も学びたいものだと感じる。いずれにしてもこのような会社にマーケットを通じて資金が集まるわけであり,リスクビジネスが国全体に浸透しており,鉱業国とそうでない日本との国民性の違いを感じる。―63―石油/天然ガス レビュー ’02・5
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2 アジア
国2 日本
地域3 北米
国3 米国
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 大洋州,オーストラリアアジア,日本北米,米国
2002/05/30 [ 2002年05月号 ] 加藤 恒男 伴 慎介 三田寺 久男 池田 寛
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。