ページ番号1006005 更新日 平成30年2月16日

北海における高圧高温(HPHT)フィールドの開発

レポート属性
レポートID 1006005
作成日 2002-05-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 技術探鉱開発
著者
著者直接入力 岡津 弘明
年度 2002
Vol 35
No 3
ページ数
抽出データ 北海における高圧高温(HPHT)フィールドの開発岡 津 弘 明*英国貿易産業省(Department of Trade and Industry:DTI)の石油ガス開発年報(通称「ブラウンブック」)には,主要な生産開発上の出来事が記載されている。その2001年版ではハイライトとして特にJade,Shearwater,及びElgin/Franklinの各フィールド(*注1)の開発,生産開始が取り上げられている。これらのフィールドに共通するキーワードは「高圧高温(HPHT)*注2)」であり,ここ数年,このHPHTと称される数々のフィールドが北海において脚光を浴びている。これらのフィールドの発見時期は最近のことではなく1980年代?1990年代初頭である。埋蔵量規模がありながら開発への移行が躊躇された理由は,高圧高温条件が与える掘削,油層評価,生産流体処理といった技術上の難しさに起因すると考えられる。中部北海から北部北海にかけては,当初通常方式による大規模なフィールドが開発された後に,既存のインフラを使用した小規模フィールドへと開発の対象が移行してきた。現在は,第3の方向として,重質油(例えばCaptain油田)やHPHTといった,技術的により難しいフィールドが開発対象となってきている。探鉱についても同じ傾向が指摘される。この様な傾向の背景には,開発/操業における安全面,掘削技術に代表される技術,及び環境政策(ガス利用拡大)等の他の関連要素上の改善も指摘される。これまで本誌において,北海フィールド(油ガス田)の現状を踏まえつつ,今後の開発上の技術的側面を中心として成熟油田に対するEORの適用性,周辺小規模フィールド群(クラスターフィールド)開発について報告してきた(*注3)。本稿では,北海の新たな探鉱開発対象としてのHPHTフィールドに焦点をあて,その開発状況,技術課題と実際のフィールドでの対処,今後の探鉱開発について報告する。注1):対象として油田,ガスコンデンセート田が含まれることから,フィールドという包括的な用語を用いることとする。注2):High Pressure High Temperatureの頭文字からHPHTと省略されることが多い。HTHP,HP/HTと記載されることもある。注3):「増進回収法(EOR)は北海を復興できるか?英領北海油田における現状」(石油・天然ガスレビュー2002.1),「クラスター油ガス田開発にみる技術革新:北海油ガス田を中心に」(同2002.3)1.高圧高温(HPHT)フィールドの特徴1.1.定義高圧高温(以下HPHT)フィールドとは何か?簡単に言えば,文字どおり貯留層が深部に*本稿は,ロンドン事務所副所長 岡津弘明(E-mail:okatsu@jnoc.org.ok)が担当した。あり高温高圧条件下にあるフィールドのことである。最近の論文や報告(DTI,英国石油協会等)では,数値的条件として,貯留層圧力10,000psi(690気圧)以上,同温度300度F(149度C)以上のフィールドをHPHTフィールドとして定義している。またSchlumbergerはその圧力条件として,より厳密に圧力勾配0.8psi/ftもしくは坑口の暴墳防止装置の対応圧力が10,000psiというを値をあげている。石油/天然ガス レビュー ’02・5―82―アれら条件としてあげた圧力や温度は,例えばイタリアのPo河流域,また北シベリアの深部貯留層でみられるものである。最近北海においても,この条件を満たすフィールドが開発されてきている。ちなみに図2?1は,世界の代表的な貯留層圧力/温度の高いフィールド(上記条件以下も含めて)の圧力と温度分布を示している。1.2.HPHT層からの生産流体HPHT層からの生産流体は,ガスの含有率が高い。これは一般的に高温下であるため,炭化水素の大きい分子構造はクラッキングを起こしていることに起因する。現在開発生産中のフィールドは油田,ガス田及び(ガス)コンデンセート田に分類されるが,油田の場合でもガス油比が非常に高い場合が多い。排油(ガス)エネルギーは大きく,高温状態で流体の粘性は低いことから,かりに貯留層が低浸透性であっても生産性は得られる。このため流体及びガスの生産レートが高いことが指摘される。HPHTフィールドは開発のための初期投資が大きい(エンジニアリング上の対応のため)にも係わらず,高レートでの生産持続が期待されることから,プロジェクト自体は高い経済性を示す。このことは技術的課題さえ解決しうるならば,HPHTフィールドは魅力のある開発対象であることを意味している。HPHT流体の特性の例として,Erskineフィールドの生産流体(コンデンセート)について紹介する。表2?1は,圧縮係数,密度及び粘度をErskineの生産流体(坑口),代表的な原油,ガス,水で比較したものであるが,このHPHT層の生産流体の物理的特性は,ガスよりも液体(水,原油)のそれに近いことが指摘される。坑口の温度が低い状態では,より液体の物性に類似する。同フィールドの場合について,生産に伴う貯留層内の流体の相挙動について簡単に触れる。先ず貯留層圧力が約6,000psiの露点圧まで低下する間,流体はガス単相である。それ以上の圧力低下に伴い,先ず坑井近傍の最も圧力の低い領域でコンデンセートが発生し,その後層内でも発生する。このいわゆるコンデンセートのバンキング現象は,ガスの相対浸透率の低下に伴表2?1 Erskineフィールドの生産流体物性(cid:0) 圧縮係数(×10?6/psi) 密度(lb/cf) 粘度(cp) Erskine生産流体 ガス(@2000psi) 8 36 0.2500 12 0.02水 3 62 0.5原油 10 50 2 (Allen et al. 2000より。SPE¬2000,reprinted by permission of SPE) 図1?1 高圧高温のフィールドを対象とした貯留層の温度,圧力分布(Fort 2000より。¬TotalFinaElf Exploration UK PLC reprinted by permission of auther)―83―石油/天然ガス レビュー ’02・5「生産性を低下させる。この結果プラトウ生産期間は終焉を迎え生産減退が始まる。一般的にErskineフィールドの様なコンデンセート田におけるプラトウレートの維持及びコンデンセートバンクの制御は,フィールドライフの半ばにおける油層/生産工学(油層管理)上のチャレンジ事項であると指摘されている。またElgin-FranklinフィールドのHPHT流体の圧力と温度に対する相挙動(PVT挙動)を図1?2に示す(同図中,Gがガス体,Lは流体,Sは固体の各状態領域を示す)。図1?2 Elgin-FranklinフィールドHPHT流体のPVT挙動 (Fort 2000より。¬TotalFinaElf ExplorationUK PLC reprinted by permission of the auther)1.3.貯留層の特徴地層が異常圧力勾配によって高圧状態になっているケースは多々ある。しかし貯留層として成立するかについては,地殻応力との関係からそのシール性が問題となる。広域に渡り異常圧力勾配下でのシール性を維持することは難しいとされるため,その地域分布が限られる(例えば,北海ではCentral GravenとViking Gravenに集中),あるいは大規模のフィールドは期待しがたいという点も指摘されている。最近のHPHT層を対象とした坑井テストの結果から,大深度においても孔隙率,浸透率得られることがわかっている。例えばCentralGravenのElgin-Franklinフィールドの貯留層の浸透率は1darcy,孔隙率は30%と性状として良好であることが指摘される。Osborneらは,中部北海における後期ジュラ系のFulmer層が,その深度,圧力に対して非常に高い孔隙率を示す原因について,HPHT条件下において石英のcementationが,高いオーバーバーデン圧や流体の流れ,さらに高塩分濃度によって抑制されることとともに,2次孔隙が形成されることを指摘している。しかしながら,多くのHPHTフィールドでは,その圧力/温度条件下における岩石特性(流体特性も),生産に伴う孔隙圧力低下時の岩石挙動について,参考となる事例はほとんどない。フィールドの評価に際しては,これらの特性把握のため,新たに特殊なラボテスト手法等の開発が必要とされ,オペレーターはそれらに対応している。例えば,Elgin-Franklinフィールドの探鉱開発を通じ,サンプリング/組成分析とPVT分析(新しい水銀フリーPVTセル)/HPHT状態に対応する状態方程式の改良,ロングコアによるラボ実験法,圧力減退に伴う基本的岩石物性の変化等についての研究開発が併行して実施されている。ちなみに前掲の図1-2において”PVT window”として示された領域は従来のPVT分析可能領域である。同フィールドの初期貯留層の圧力温度状態は図中に示すとおりこの領域外にあった。分析装置の改良によりHPHT領域の分析が可能となっている。2.北海における探鉱開発概要2.1.HPHTフィールド探鉱開発の変遷古典的なHPHTフィールド開発例としては,北海ではないが,米国陸上のThomasvilleが代表的なものとしてあげられる。同フィールドでは1970年代に多くの初期の技術開発がなされると共に経済的開発が実証された。また1980年代後半から,メキシコ湾のNorphlet trendにおける大型フィールドにおいて,海洋深部硫化水素石油/天然ガス レビュー ’02・5―84―\2?2 海域別HPHTフィールド埋蔵量(P?50)(cid:0)既開発及び生産中8フィールド 既発見未開発15フィールド 油/コンデンセート(百万bbl) ガス(億cf) 油/コンデンセート(百万bbl) ガス(億cf) 中部北海 北部北海 計 (Grist et al. 2001“HPHT-Hot Spot for UK Inuestiruent”(2001)より。Crown Copyriglit material is reproduced with the pernission of the Coutroller of HMSO and the Quean Printer foe Scotland) 1,572 1,072 2,644619 0 619203 37 2403,273 0 3,273(H2S)高含有ガス層が開発された。英国においては,当初HPHT層からの生産は期待されておらず,掘削及び坑井テストが難しかったことから1980年半ばまで開発は避けられてきた。1988年のOcean Odyssey の22/30b-3号井における事故*1)に起因する反対意見もしばしは主張され,この様な状況から,北海のHPHTフィールドとしてはノルウェーが最初に開発している。1980年代末期に,高圧条件下での掘削を可能とする15,000psiの暴墳装置及びホースの開発は一つのステップとなった。なお,初期の発見フィールドとしては,Rhum(1997),Puffin(1981)及びFranklin(1986)があげられる。一方,欧州でイタリアPo河流域,Vienna Basin及び米国等でHPHTフィールドが開発されるとともに,このためのエンジニアリングや技術が実証されてきた。英領北海におけるHPHTフィールド開発の第1ステップとしては,MarathonのNorth Braeにおける大規模な単独ガスコンデンセート田操業(1988年生産開始),Beinnフィールドの深層開発(1992年生産開始。また20,000psiの暴墳装置を適用したことも特記事項として上げられる)があげられる。これらのフィールドは比較的HPHTであるが,前述のHPHTフィールドの条件に必ずしも当てはまらない(例えばNorthBraeの場合,圧力:6,850psig,温度:245度F)。英領北海での文字どおりの最初のHPHTフィールドからの生産は,1997年12月のErskineフィ注1)1999年9月22日に掘削中のセミサブリグで発生した火災爆発事故。1名が死亡。海底の暴墳装置から漏洩したガスに引火。以降高圧下の掘削について充分な検討調査が加えられることとなった。ちなみに掘削位置は中部北海のHPHTフィールドの集中する海域である。ールド(ガスコンデンセート田:23/26鉱区。オペレーター:Texaco)であり,これにより中部北海Central Gravenでの深部HPHT層の開発が開始された。実に大半のHPHT層が発見されてから10年近い時を経たわけである。その後に,英国での最初の海底仕上フィールドとしてのMallard,Heron,及びEgretがShellにより開発され,海底における高温坑口とフローラインの課題に対処がなされた。これらのフィールドで開発適用された技術は,その後のHPHTフィールド開発のための技術的基盤となっている。DTIによると,現在生産及び開発中のフィールド以外に,英国海域で11のHPHTフィールドが発見されており,その内10がCentral Graven(ジュラ系層),1つがViking Gravenの南部に位置する。これらは全てガスコンデンセート田である。同発見フィールドには,CentralGravenにおけるShellのPuffin(1981年発見)及びBPのKessog(1987年発見)が含まれる。さらに北の海域では,TexacoがAlderを発見しており(1988年),一方北部北海では,BPがRhumを発見(1977年)している。BPはこれらの既発見フィールドは評価中であり,その内,Kessogフィールドに対しては来年に坑井を掘削する予定と発表している。2.2.英領北海でのHPHTフィールド埋蔵量表2?1はHPHTフィールドが存在する北部北海及び中部北海で海域別にみた埋蔵量(P-50)である。これらのHPHTフィールドの圧力と温度に対する埋蔵量分布を図2?1に示す。既開発及び生産中のフィールドは,かなり圧力温度の高い―85―石油/天然ガス レビュー ’02・580390400800(cid:0)600(cid:0)400(cid:0)200(cid:0)03003103203303401000(cid:0)Reserves(MMBOE)(cid:0)Temperature(psia)(cid:0)3503603700100001100012000130001400015000Pressure(psia)(cid:0)16000170001800019000200001000(cid:0)800(cid:0)600(cid:0)400(cid:0)200(cid:0)Reserves(MMBOE)(cid:0)図2?1 HPHTフィールド埋蔵量の分布(左:圧力、右:温度)(cid:0)(Grist et al. “HPHT-Hot Spot for UK Investment”(2001)より。Crown copyright material is reproduced with the permission of the Controller of HMSO and the Queen Printer for Scotland) (cid:0)厳しい条件下にあることが指摘される。ら,この割合の増加が考えられる。図2?2は,確認/推定/予想残存埋蔵量(P-50)にHPHTフィールドの占める割合を示している。これらは,ガスについては北部北海,液体(油及びコンデンセート)については中部北海において割合が比較的高いことを示している。今後HPHTフィールドが開発される一方で既存フィールドの生産が下がってくることか尚,現在開発の中心である中部北海のHPHTフィールドについて,会社別の保有ガス埋蔵量の割合で見た場合,上位6社(TFE,ExxonMobil,BP,ChevronTexaco,Shell,BG)で全体の埋蔵量の7割強,更にTFE,ExxonMobile,BPの3社で約5割を占めるとされている。NNS Oil/Condensate(MMstb)(cid:0)NNS Gas(BCF)(cid:0)HPHTNon HPHTHPHTNon HPHTNNS Oil/Condensate(MMstb)(cid:0)NNS Gas(BCF)(cid:0)HPHTHPHTNon HPHTNon HPHT図2?2 英領北海の埋蔵量に対するHPHTフィールドの割合(cid:0)(Grist et al. “HPHT-Hot Spot for UK Investment”(2001)より。Crown copyright material is reproduced with the permission of the Controller of HMSO and the Queen Printer for Scotland) 石油/天然ガス レビュー ’02・5―86― ax含有19.1?23.8% W海フィールドで最深。 世界最大級のHPHT開発。貯留層深度は北コンデンセート/ガス比:180-360bbl/MMSCF 2S:平均40ppm,CO2:3?4%含有 Hコンデンセート/ガス比:170bbl/MMSCF 2S,CO2:3%含有。水層は高塩分濃度。 H 塩分濃度:90,000ppm,Wax:10wt% H2S:33ppm,CO2:5.5mole%, 英領北海初のHPHTフィールド その他 P P F F F―87―石油/天然ガス レビュー ’02・50/2c(Central Graven) 9/5b(Central Graven) 2 3(Central Graven) 0/30c, 22/30b, 29/5b 0/30b(Central Graven) 2/24d(Central Graven) 2 2 2(Central Graven) 0/20a, 22/29 21/29(Central North Sea) 2(Central Graven) 23/26b, 23/26a 位置/鉱区No ade Jranklin lgin E Fhearwater Sgret Eeron Hallard Mrskine E フィールド37012,400ンデンセート:33百万bbl ガス   :109億m3 コ ガス   :256億m3NGL     :2.2百万t 396 16,194 ンデンセート:137百万bbl rassic T ulmar/Pentland コ387 16,199 ンデンセート:204百万bbl コulmar ガス   :240億m3 NGL     :3.6百万t ガス   :201億m3 NGL     :1百万t 375 15,400 ンデンセート:97百万bbl ulmar/Pentland コ ガス   :3億m3NGL     :10万t 340 12,568 ンデンセート:8百万bbl 350 12,882       :64百万bbl NGL     :50万t 310 10,550       :19百万bbl NGL     :10万t 339 13,952 ガス   :105億m3 コンデンセート:75百万bbl (度?F) 温度 (psia) 圧力 埋蔵量 entland/Skagerrak コentland/Skagerrak 油 油ulmar FFulmar/Pentland 対象層 表3?1 英領北海 生産中HPHTフィールドの概要(その1)(cid:0)\3?1 英領北海 生産中HPHTフィールドの概要(その2)(cid:0)生産量 (流体/ガス:2001年11月) 20,000 bpd/98百万cfd 8,000 bpd (Kittiwakeと合計) 53,000 bpd/81百万cfd (Heron/Egret/Skua合計) 31,000 bpd/175百万cfd 67,000 bpd/339百万cfd ,500 bpd/60百万cfd 4 発見 1985年1月 1990年9月 1988年1月 1991年8月 1983年6月 1991年5月 1985年10月 1996年3月 生産開始 1997年12月 1998年4月 1998年9月 1999年1月 2000年9月 2001年3月 2001年8月 2002年2月 生産流体 コンデンセート 油 油 油 ガス/コンデンセート ガス/コンデンセート ガス/コンデンセート ガス/コンデンセート オペレーター Texaco Shell Shell Shell Shell TFE TFE Phillipsフィールド Erskine Mallard Heron Eqret Shearwater Elgin Flanklon Jade表3?2 英領北海 生産中HPHTフィールドの概要(cid:0)特記事項 無人プラットフォーム及びまたパイプラインの完全保温が特徴。 Lomondへのパイプラインは多相用として北海で最長。 当初開発井の掘削に120日要。経験を積むことで90日まで短縮。 生産パイプライン破損による生産中断発生(2000年再設置)。 力維持のための水圧入が実施。同油田の操業におい海底施設及び坑井に対し,生産流体のHPHT特性に起因する問題は生じていない。 2001年2月にKittiwakeの2坑井が圧力低下に伴い生産停止。同時期の人員配置削減に伴いMallardも生産停止。 圧 ― ― 開発概要 開発概念は,無人(NUI)プラットフォーム(4脚の垂直タワー鋼製ジャケット)を用い,Lomondのホストプラットフォームに16”多相パイプラインでタイバック(距離は30km)。生産流体受け入れ処理のためLomondには追加モジュールを設置。ガスはEverestプラットフォーム移送後,CAT(Central Area Transmission System)により陸へ移送。流体分は,Forties施設を通過してBPのCruden Bayターミナルに移送。 開発井数:6 15km北西に離れたKittiwakeフィールドのサテライト構造として海底仕上井で開発。水平坑井1(生産井)及び水圧入井1。本開発に際してKittiwakeのプラットフォーム上で新たにセパレーター設置及びコンプレッサーを改良。 生産原油はKittiwakeの施設からタンカー移送。ガスはFulmerのT-junctionを経てSt.Fergusターミナルに移送。 約TAP(The Eastern Trough Area Project)としてMacha, Marnock, Mungo, Monan(以上オペレーターBP),Egret, Heron, Skua(同Shell)の総合開発。 海底仕上井3坑でMarnockプラットフォームへタイバック。開発井追加の予定。 生産流体は,油/コンデンセートはForties,ガスはCATパイプラインを通じて移送。 ETAP(The Eastern Trough Area Project)としてMacha, Marnock, Mungo, Monan(以上オペレーターBP), Egret, Heron, Skua(同Shell)の総合開発。 Mallardは単独海底仕上坑井でMarnockプラットフォームへタイバック。開発井追加の予定。 生産流体は,油/コンデンセートはForties,ガスはCATパイプラインを通じて移送。 Eフィールド Erskine Mallard Heron E gret 石油/天然ガス レビュー ’02・5―88―ウ15,000psiの坑口装置を世界 耐で初めて適用。 オペレーターのShellは同フィールドのプラットフォームは,これまで設計されたものの内で最も安全であり環境に優しい点を強調。 坑井ジャケット(4脚/2500t)の設置(1997年中)の後に掘削開始。坑井エンジニアリングでShellはMaersk Drillingと提携,使用リグはHPHT掘削プログラムに対応すべく装備改造。予定日程/予算を大幅に下回って実施。 Shearwater用の新しいパイプラインは,北海では最長。 高圧,震探解釈,掘削上課題等開発が難しい要素多。 コンデンセート輸送ライン内でのNGL混入は,蒸気圧の関係から割合に制限があるため,コンデンセート処理装置内にSplitterを設置する必要がある。Splitterからの軽質成分はガスラインに,重質成分はコンデンセートラインに圧入。 発投資額1,700百万ポンド。 開 ― 産期間は12年間でプラトウ期間は3.5年間を予定。生産施設は今後の周辺フィールド開発適用を考慮しさらに長い期間で使用しうるべく設計。 坑井プラットフォームとPUQ(生産施設,電力及び居住:Production, Utilities & Quarters)プラットフォームを設置。PQUプラットフォームは,海洋のガス処理プラント施設を塔載。処理装置として,坑井流体セパレーター,冷却施設,アミン吸収式脱硫装置,グリコールデハイドレーター,NGL除去用膨張装置及び大規模コンプレッサーが含まれる。 PQUのトップサイド重量は12,500t。425mmcfdの販売ガス及び90,000bpdの流体処理用に設計。 開発井数は6。内5坑Fulmar層,他1坑はPentland層を対象。 販売ガスはEast AngliaのBactonで陸上に。コンデンセートは径24”×8kmのパイプラインで輸出ラインに接続。 5.5km離れる両フィールドの一体開発。 2つの坑井プラットフォームとメインのPUQプラットフォームからなる。 Franklinは無人プラットフォームNUI(避難用居住区とヘリデッキ有)を使用。海底パイプラインでPUQプラットフォームに繋ぎ込み。 坑井プラットフォームは1997年夏にS-7000(Saipen社)を使用して設置。重量3,000t。設置海域水深は93m。デッキ重量は2,000t。掘削作業はSanta-Feが実施。 PUQプラットフォームには,ヘビーデューティー用ジャッキアッププラットフォーム(TPG500)を使用。これは海洋でのフックアップ作業をできる限り抑え,低設置コストを狙った結果。同プラットフォームは掘削装置を持たない。 開発井数はElginで7(5坑新掘,2坑は休止井の再使用),Franklinで6坑。 仕上システムの設計条件は深度6,100m,1,100気圧,400度F。 生産流体移送は既存のFortiesラインと新規SEAL(Shearwater Elgin Area Line)による。 生人(NUI)プラットフォームを使用し最低限の施設を塔載。多相パイプラインにより南に約15km離れたJ-Block・Judyプラットフォーム施設に繋ぎ込み。同プラットフォーム上で処理加圧されたガスはJudyの輸出用パイプラインでCATSプラットフォームへ移送。コンデンセートはEkifisk-Teesside Norpipeに入りTeessideのターミナルに移送。 開発井数は4. 無(図3?2参照) hearwater Slgin-Franklin E(図4?4参照) Jade3.英領北海における生産中のHPHTフィールドの概要3.1.生産中HPHTフィールドの概要2001年末時点で,英領北海では表3?1に示された8つのフィールドが生産中である。これらの内3つが高ガス油比油田,他はガスコンデンセート田である。西大陸棚に位置するMallardを除き,全てCentral Graven海域に位置する。これらのフィールドでは,ジュラ系(Erskine,Shearwater,Elgin,Mallard)及び三畳紀系―89―石油/天然ガス レビュー ’02・5}3?1:HPHTフィールド(生産開発中,既発見を含む)の分布域(Grist et al. “HPHT-Hot Spot for UK Investment”(2001)より。Crown copyright material isreproduced with the permission of the Controller of HMSO and the Queen Printer for Scotland)図3?2 HPHTフィールド開発概念の一例(Shea waterフィールド)(Stubbs et al, 1999より。SPE¬1999, reprinted by permission of SPE)石油/天然ガス レビュー ’02・5―90―iHeron,Egret)の開発対象としている。Jadeを除く7フィールドの2001年11月の平均日産量*1は,ガス:693百万cfd,流体(油及びコンデンセート):161千bpdであり,全英領北海での生産に対する割合は,それぞれで5.5%,7.2%に相当する。3.2.各HPHTフィールドの開発方式現在生産中のHPHTフィールドにつき,その開発方式の概要を表3?2に整理する。北海Central GravenのHPHTフィールドが集中した海域の水深は80?100mであり,通常の鋼製プラットフォーム,もしくは海底仕上井の適用が一般的である。開発方式としては,坑井生産流体をフローラインにより最寄のインフラへの繋ぎ込みや既存の輸送用インフラを使用した形式が多い。ガスコンデンセート田の場合,処理施設に隣接する独立した小型無人坑井プラットフォームを設置するケースが見られる。4.HTHPフィールド開発の技術的課題,特徴及び対応最近の北海のHPHTフィールド開発の原因が,技術的革新に基づくものであることについてはこれまでにも触れてきた。このことは言いかえれば,北海の厳しい環境の中で,既発見未開発であったHPHTフィールドの開発には,長年にわたる技術上の蓄積と克服が必要とされてきたということである。以下,具体的に何が技術上の課題であったかについて,実際にフィールド開発における実例を踏まえて説明する。基本的に課題は全て貯留層のHPHT状態に起因する。以下,坑井掘削,坑井仕上及び生産施設(及びパイプライン)に焦点を当てて説明する。4.1.坑井掘削技術HPHTフィールドに限らず,油ガス田の開発*1一部他フィールドとの合同計量。には高い安全性と費用効率が要求される。坑井掘削について,この点は顕著である。例えば,Elgin-Franklinフィールドでの掘削費用は20?25百万ポンド/坑と高価であるが,仮りに何らかの掘削上のトラブルが生じた場合,高圧であるがための危険性はもとより,その費用も急激に増加し40百万ポンドにもなる評価されることからプロジェクトの経済性にも大きな影響を与える。すなわち坑井掘削はHPHTフィールドの開発の鍵となり,厳しいHPHT条件に適合する掘削制御とそのための安定性の高い掘削流体の選択は重要である。4.1.1.掘削制御HPHTフィールドの坑井掘削における最大の課題は,キック制御とそのための掘削泥水比重の調整である。泥水比重は低すぎればキックの危険が増し,高ければ地層部にフラクチャー(亀裂)が入る危険が増加する。地層に亀裂が発生すれば逸泥の原因となり,新たな掘削制御上の問題となる。Elgin-Franklinフィールドにおける坑井掘削の難しさは,ダイナミックな泥水圧力を,孔隙圧力とフラクチャー圧力の差である40?70気圧といった非常に狭い幅の中で制御する必要があることである。この圧力幅は地上で評価しなくてはならないが,その評価のために,地表からビット先までの圧力降下,掘管回転数,流体カラム,超重質泥水のレオロジー等を把握する必要がある。またこの目的のため,特殊ソフトウェアの適用が必要と指摘されている。さらに逸泥防止の観点から坑底のアニュラス圧力測定の必要性についても指摘されている。加えて実際に掘削作業に従事する掘削クルーにとっても,この様な掘削の経験は充分とは言えないことからトレーニングプログラムが必要とされることが指摘されている。特にHPHT条件下であることを考慮すること,通常の掘削作業とは状況が異なるとの認識は重要で,徹底したトレーニングの必要性についてはErskineフィールド開発の実績を通じて指摘されている。HPHTフィールドとして最初に開発されたErskineフィールドで掘削の成功の鍵として指―91―石油/天然ガス レビュー ’02・5}4?1 Elgin-Franklinフィールドの孔隙圧力とフラクチャー圧力のプロファイル (Fort 2000より。¬TotalFinaElf Exploration UK PLC reprinted by permission of the auther)摘されたことは,泥水比重を使用可能な範囲で出きるだけ低く維持すること,逸泥を最小限に抑えるため逸泥防止剤を使用して制御すること,さらに低流量で等価循環密度を制限すること,回転数の制御,サージの最小化,bi-centredビットの使用,泥水のレオロジーの最適化等である。これらの点については,実際の坑井掘削を通じて習得され,後の坑井掘削に反映させることでパフォーマンスが改善された。なお,Erskineフィールドでは,HPHTゾーンに垂直に掘りこむために”S”プロファイルを採用している。この結果,高温用MWD装置,循環圧力の最小化の必要性がなくなるとともに,坑井制御を簡素化できた(Santa-Feと共同で開発した手法)。4.1.2.掘削泥水掘削流体の選定には多くの時間が費やされる。特に高圧下での掘削のため,高比重泥水の適用が必要となる。Elgin-Franklinフィールドの掘削においては,深度6,000mの掘削のため,掘削泥水比重は2.15が必要とされた。この場合n-alkane Synthetic-base mud(SBM)が効果を上げている。高比重の泥水作液に使用するケミカルとしては,熱安定性が高いこと,取扱い上の安全性,環境適用性や坑内機器との適用性を考慮する必要がある。最近の報告では,蟻酸セシウム(アルカリ金属塩では最も重く2.3までの比重調整可能)が英領北海で成功を収めているとのことである。4.1.3.掘削機器高温高圧条件が掘削機器の適用上の制限につながることもある。今後遠隔構造の(大)偏距井による開発が増加することが考えられる。しかしながら偏距井掘削に使用する坑底掘削モーターにエラストマーが使用されていることから,高温状態でシール性に問題を生じ適用できないことが指摘されている。最近ではこの点に鑑みモーター及び坑内機器については全てメタルシールの採用が可能となりつつある。またHPHTフィールドの坑井は深度が深いために,掘削リグとしてはジャッキアップが好ましいとの指摘がある。この理由は,半潜水式掘削リグの荒天時の坑井からの退避が容易であること,及びフレキシブルライザーを用いた場合の破損の危険性を回避するためである。4.1.4.生産開始後の坑井掘削生産開始後,貯留層内の圧力は減退する。石油/天然ガス レビュー ’02・5―92―lgin?Franklinフィールドにおいて,この様な状態での以下の3つの状況が掘削を難しくすることが指摘されている。① 流体の密度が高く,液体的な挙動を示すため圧力減退が非常に大きい。② 生産は複数層(最大11の異なる層)からなるため,縦方向での圧力の減退が均一でない。③ フラクチャー圧力も減退するが,これは油層圧程顕著ではない。しかし幾つかの層,漸移帯において孔隙圧力より低くなる可能性がある。同フィールドに対するスタディーの結果,貯留層内の岩石,流体挙動についての更なる情報が得られていないことから,貯留層の圧力が100気圧以上減退した場合,掘削は禁止する結論となった。この結果はフィールドの開発方式にも影響を与えている。すなわち,① 生産開始時に仕上がっているべく,早い段階で掘削開始する必要性があること。② プロジェクト承認に先だってリグを選定し確保しておく必要があること。③ プロジェクトの経済性のためには好ましくないが,投資プロファイルが前倒しになること。HPHTフィールドにおける開発井掘削で,経験を踏むことで作業パフォーマンスが改善された実例としてElginフィールドの実績を図4?2に示す。G8号井を除き,左側より経時的に掘削日数実績(白い棒)が減少していることが分かる。ちなみにG7号井においてはG4号井の掘削日数のほぼ半分である。4.2.坑井仕上技術4.2.1.Erskineフィールドの坑井仕上についての考え方。Erskineフィールドの場合,坑井仕上計画策定に当たっての基本的な考え方として,HPHT条件下での坑内作業を最小限に抑えること,リスクを最小化するためにすでにフィールドで実証されている技術を適用することがあげられた。さらに重要な点としてシンプルな仕上であることが求められた。これらの観点から,将来のより容易な改修,より低いチュービングストレス等を踏まえたデザインの結果,permanentpackerの代りにpolished bore receptacles(PBR)を用いた仕上法が採用された。またガスが酸性であることから耐腐食性合金を使用。さらにワイヤーライン作業でInsertバルブを坑内設置しうる様,single tubing retrievableSSSVを利用している。搾孔は貯留層のダメー(cid:0)G4G5G6坑井名(cid:0)G7G8200(cid:0)180(cid:0)160(cid:0)140(cid:0)120(cid:0)100(cid:0)80(cid:0)60(cid:0)40(cid:0)20(cid:0)0掘削日数(cid:0)図4?2 Elginフィールドにおける開発井掘削実績にみるパフォーマンス改善:P?50評価,P?10評価,及び実績(左から)の比較(cid:0)(Grist et al. “HPHT-Hot Spot for UK Investment”(2001)より。Crown copyright material is reproduced with the permission of the Controller of HMSO and the Queen Printer for Scotland) ―93―石油/天然ガス レビュー ’02・5Wを抑えるためアンダーバランスで実施。加えて坑口圧力が高い場合は,そのシールが難しいことから生産中のHPHT坑井でワイヤーラインの使用を避けることも重要なポイントとして指摘されている。4.2.2.一般的に考慮すべきポイント坑井仕上設計上,(個々の)HPHTフィールド特性と関連して,以下の点を考慮する必要がある。① 初期貯留層圧力が高いことから,フィールドライフを通じての孔隙圧力の多大な減退が予想されるとともに,地層の一部が崩壊し出砂障害を起こす可能性がある。Erskineフィールドの場合,生産開始後数週間でチョークが若干のエロージョンを受けているが,それ以後は安定。出砂のモニタリングのため同フィールドのプラットフォーム上2箇所に超音波利用砂検出器が設置されている。② 現在生産開発中の多くのHPHTフィールドでは生産流体に硫化水素(H2S)が含有されることが指摘されている。腐食効果を抑えるために耐腐食性合金を仕上機器に用いる他,フローラインからマニホールドまで使用することが必要となる。地上施設配管部では圧力が低下した段階でインヒビターの注入が容易になる。③ ワックス分含有率が高い場合,マニホールド上流でにワックス析出を抑える必要がある。Eskineフィールドでは坑井管理上の仕様としてワックス析出温度以上に保つべく最小流量とする他,マニホールド下流でインヒビターを注入している。貯留層圧力の減退後,高生産量維持が難しい場合,ワックス析出対処が難しいことも指摘される。④ 初期の高圧生産時に,チョーク部でジュール・トンプソン効果が起こり温度が上昇する。これはワックスやハイドレート析出を抑える上で好ましい。しかし貯留層圧力が減退した場合は,チョーク部やその下流部でハイドレート生成抑制のためメタノールの連続注入が必要となる。⑤ HPHTフィールドの一つの特徴は,塩分濃度が非常に高く(最大30万+ppm),生産層内(特に搾孔部)でスケール発生や鉱物沈積の可能性が高い。これらの条件下での,無機沈殿物の制御(HPHT条件下では,通常使用ケミカルはcompatibility,熱安定性の面から適切でない)。Erskineフィールドでは地層水の産出とともに施設配管内のスケールの沈着が考えられた。ここでの対処思想としては,出砂を誘導する恐れのある安定性の低いインヒビターを使用して,スケール発生を抑制するより,むしろ発生したスケールを除去する治療的手法とっている。本件は今後更なる対応が必要である。一般的に生産チュービングは,HPHTフィールドにおける高温下での強度減少に対応すべく大型化している。例としてElgin-Franklinフィールドでのケーシングの肉厚は1インチ以上であった。また坑井仕上流体の特性(塩水密度)は,高温高圧下の状況において,地上での測定値と大幅に変る。使用するケミカルとともに,これらの特性,特に仕上流体密度と圧力,温度の平衡状態を把握する必要がある。4.2.3.関連計測器について坑井仕上に関連して各種検層,計測器もHPHT状態適用可能となってきている。例えばSchlumbergerは,HPHTフィールド用検層機器を開発しており,メキシコ湾や中国等の44フィールドでテストを実施している。その中には430度C,2,200psiで6時間の測定も含まれる。特に同社のExtreme Array Induction toolは,縦方向の解像度1ftであり,通常のHPHT用ツールのそれの8ftから大幅に改善されている。ただし,計測器系については未だ完全ではなく制限はある。4.2.4.HPHTフィールドでの坑内トラブルの例坑井仕上と関連して,生産開始後に発生したトラブルの一例として2000年11月に発生したSheawaterフィールドでの生産チュービング漏洩について若干触れておきたい。これは同フィールドが生産開始して2ヶ月後に,生産されて石油/天然ガス レビュー ’02・5―94―Cプからの漏洩のため,その修理さらに保安上の調査等のためフィールドを2ヶ月に渡りシャットインする自体が発生している。生産処理プロセスや施設設計に際しては,その点を充分に認識する必要がある。Franklinフィールドを例にとると,密閉坑口圧力を12,500psiと見積り施設配管を設計している。また圧力安全バルブを使用しない代りに,HIPPS(High Integrity Pressure ProtectionSystem*1)を用いる形式を採用している。同フィールドでは施設の温度対応仕様として,全シスム165度Cの流体受入可能としている。生産流体の性状にあった施設配管の材質に対する考慮は必要であることはすでに指摘したとおりである。ちなみにErskineフィールドでは25%Cr Super duplex材を使用している。さらにフローラインは熱荷重/圧力により発生する応力を緩和し,必要なフレキシビリティーを与えるべく配置することが設計上必要となる。加えてまた通常の温度圧力条件下でのパイプライン操業を可能とするため冷却用のライザーやコイルを使用する。Elgin-Franklinフィールド開発における生産処理プロセス上の新技術としては,坑井テスト用の2相ベンチュリーメーター,12,500psi緊急坑内安全弁,900気圧用チョークバルブ等があげられる。さらに革新技術であり,潜在性の高いものとしては,海水を利用した冷却用チタニウム熱交換器の採用があげられる。これはいない1坑井のアニュラス部の圧力が,正常圧力を上回った。これについては生産チュービングの漏洩が予想されたが,実際の漏洩の原因については不明である。オペレーターのShellはフィールドの生産停止するとともに,同坑井抑圧のために高比重泥水を圧入し,坑底において漏洩部をセメントで埋めたてた。最終的に坑内機器は取り除かれテストが実施された。その際同フィールドから直ぐに生産は再開されず,生産停止期間は約8ヶ月に及んだ。この点についてShellは,「安全性を第一優先にし,生産再開の前に問題を完全に理解する必要がある」とコメントしている。これはHTHPフィールド開発の難しさを示す一例であり,1坑井のトラブルであっても全フィールドの生産に影響を与える結果となったことには注目する必要がある。当然坑内仕上については,この様な実績を踏まえて将来的に対応する必要がある。またShellのとった対処は,実績が少ないことからの慎重な対応と考えられる。(なお,圧力異常のあった坑井についてはその後生産井として再使用するためサイドトラックが実施された。2002年5月には同井からの生産が見込まれるとのことである。)4.3.生産施設技術4.3.1.生産処理プロセスHPHTフィールドからの高温流体の生産に際しては,ケーシング及びライザーパイプの膨張を伴うことからその材質の選択を含めた坑井設計が必要となる。同様に生産処理施設についても高温高圧流体の相挙動変化をそれを踏まえた設計が必要とされる。つまり施設はHPHT対応とし,配管はシャットイン坑口圧力に対応し得る様に設計する必要がある。高圧高温の流体を処理する点で,施設上のトラブルの操業に与える影響は非常に大きい。例えば,Shearwaterフィールドでは2001年12月にコンデンセートパ*1遮断/圧力開放バルブの様な独立した機械的な安全装置でなく,センサー/バルブ/検知制御機構からなる総合的な施設の高圧対応システム。施設全体の安全制御,高圧/高レート対応,環境規制対応等に利点があるとされる。図4?3 冷却用チタニウム熱交換器(Fort 2000より。¬TotalFinaElf ExplorationUK PLC reprinted by permission of the auther)―95―石油/天然ガス レビュー ’02・5hell and Tube式に比してコンパクトであるが製造が非常に複雑である。ただしこれによると従来式の水のループを削除でき,25百万ポンドのコスト削減につながると評価されている。4.3.2.構造物操業要員のリスクを最小に抑えるため,生産処理施設は通常は無人化する傾向にある。北海南部では無人プラットフォーム(NUI:Normally Unmanned Installation)の適用例は多いが,これらは陸地に近い位置で浅海に設置されたものである。一方HPHTフィールドにNUIを適用する概念は,プラットフォーム上で操業要員が費やす時間を最小化させてリスクを軽減することである。しかし支援基地から離れた中部北海でNUIを適用することは,新しい重要な操業上のチャレンジである。ここでは多量のケミカル,燃料やパイプラインピグの補給が必要とされる。メンテナンス作業も補充と同時に1日仕事で実施することになる。このためErskineフィールドのオペレーターであるTexacoは,計画立案,物品調達等のための独自の小規模の技術チームを組織している。ケミカルや燃料の補充を月1回計画し,シャットダウン後の生産再開時に追加の人員派遣することとしている。同フィールドにおいては,1998年移行最小の人員派遣により無人プラットフォームでの操業状況は良好とのことである。Elgin-Franklinフィールドではプラットフォームを3基,すなわち中央処理プラットフォーム,Elgineに対するPUQ(Production Utilities& Quarters)プラットフォーム及び2つの坑井プラットフォーム(ElginではPUQに橋脚で接続,Franklinはでケーブルで接続)からなる。Flanklinフィールドの坑井プラットフォームはNUIでPUQプラットフォームから制御される。PUQと坑井プラットフォームの分離は,HPHTフィールドの特性に関連する以下の考えに基づく。① 安全性の観点から坑井区域は危険であり(特に高圧の場合),PUQ機能を有する施設域から離しておくことが好ましい。図4?4 Elgin-Franklinフィールドにおけるプラットフォーム配置(2基のNUIプラットフォームと1基のPUQプラットフォームからなる)(Stubbs et al. 1999より。SPE¬1999, reprinted by permission of SPE)石油/天然ガス レビュー ’02・5―96―A 掘削作業は開発の早い段階で開始する必要がある。マッドラインでのタイバックは望ましくないため,軽量のジャケットを設置して掘削を開始する。掘削機能を有するPUQを開発の早期段階で適用設置するのは難しい。4.3.3.パイプラインHPHTフィールドの生産流体移送用パイプラインについては,フィールドの長期生産シャットイン時にハイドレート生成,ワックス析出を防ぐ目的から断熱保温構造がとられる。例えばErskineフィールドから30km離れたLomondプラットフォームへの移送用多相パイプラインは,炭素鋼製2重管設計となっている。2重のパイプ外面は保温のためThermallySprayed Aluminiumでコーティングされている。高温状態で操業する長距離パイプラインについては,生産が開始時の膨張,またシャットダウンの際の収縮差が大きい。同フィールドではパイプラインは蛇状に設置されたが溝を掘って埋められていないために,膨張/収縮の影響を受けることとなった。PhillipsのJadeフィールドのパイプラインは,圧力11,000psi,温度320度Fの流体を約18km南に位置するJudyプラットフォームにタイバック接続している。このパイプラインも多相流用の保温型のもの。管内管配置で,アニュラスには断熱物質を満たす構造である。またパイプラインを蛇状に配置するのではなく,膨張ループを用いることとで膨張と収縮の際の管長の変化に対応している。4.3.4.他の適用技術以下説明する技術は,HPHTフィールドに特定するものではない。ただし,掘削や施設に多大なコストがかかる懸念があるHPHTフィールド開発においては,CAPEXの抑制は重要なポイントである。Elgin-Franklinフィールドの開発では,生産用ジャッキアッププラットフォームを利用することにより,ヘビーリフト船舶を使用するフックアップ作業を不要とし,コストの削減を図っている(Ekgineフィールドの場合70百万ポンドがフックアップ作業にかかると評価されていた)。このジャッキアップ用生産プラットフォームTPG500は仏Technipによって設計されたものである。選択際しての理論的な根拠は,大型の生産ジャッキアップは,前もって組みたてられ図4?5 ジャケット式とジャッキアップ式生産プラットフォームのコスト比較(トップサイド重量による)(Fort 2000より。¬TotalFinaElf Exploration UK PLC reprinted by permission of the auther)―97―石油/天然ガス レビュー ’02・5ス大型トップサイドへ対応可能のみならず成長に対して寛容であること。分析では,コスト対トップサイド重量の曲線について,従来のジャケットと生産用プラットフォームを比較した場合,13,000?17,000tで両者が転換する。Elginフィールドの場合,トップサイド重量は21,500tと予測された。将来的にこれ以上の成長も考えられとリフト回数は3回が必要となり,従来型の場合コストが大幅に上昇することが指摘されるている(図4?5)。4.4.英国政府の技術開発支援英国において産業貿易省(DTI)は,初期よりHPHTフィールド用技術開発を支援・促進してきた。基本的な考え方は開発コストの助成及び市場の拡大であると考えられる。DTIが貢献した具体的な技術開発例としては,HPHT対応チョーク,溶接技術,多相流量計開発,光センサー及び伝送システム等があげられる。多相流量計の開発は無人プラットフォームにおけるHPHT坑井の流量計測にに適しており,DTIはHPHTフィールド開発のための一つのマイルストーンとして位置付けている。同様に光学センサー及びデータ伝送システムも,坑井の遠隔監視の改良に役立っている。また技術の共有という観点からは,掘削,坑井エンジニアリング,海底(長距離加熱)パイプラインについて,これまでの実績のシェアを呼びかけている。一例として,これまでの開発生産における,高温生産流体移送用海底パイプラインがあげられる。これまでのパイプラインシステム上の問題について,経験と理解を踏まえることで同技術は発展してきた。その一つは保温パイプライン(2重管)の新たな設計基準の設定であり,パイプライン製作及び設置方法の開発,設置に際しての品質管理の限度に対する更なる理解,さらに通常の操業監視及び監視の総合化が進んだことがあげられている。5.今後の技術開発:HPHTフィールドのオペレーターが指摘する具体的な技術課題上記のとおりHPHTフィールド開発のために多くの技術開発が進んでいる一方で,英領北海においてHPHTフィールド開発決定に際しては,技術とビジネスのギャップが依然障害となっているという指摘がある。これまでの開発実績を踏まえ,今後このギャップを埋めるべく,具体的にどの様な技術課題の解決が必要とされるのか,オペレーターの立場からの指摘を取り上げる。各社異なる見解を有する場合もあるが,基本的な鍵となる共通の技術課題として以下が認識されている。① 正確なシミュレーション及びモデリングに基づく,貯留層の減退挙動と貯留岩メカニズムの把握。② 枯渇したHPHT貯留層への掘削:不安定な頁岩,強度の低い減退期の貯留(砂)層に対する掘削。③ 地層/貯留層評価上,非汚染試料の採取,及びHPHT条件下で長期計測が可能なハードウェア(電気的/機械的に)技術の改良:特にMWD/LWDパッケージとゲージについて。④ フィールドライフを念頭に入れた坑井設計(セメンチング,ケーシングデザインを含む)⑤ マルチラテラル用ジャンクション及び防砂対策技術が適用可能な,坑井構造と設計の最適化⑥ 安定性,安全性及び環境を考慮した流体を必要とする貯留層沈下を伴う状態での坑井作業⑦ 油層障害抑制代表的なHPHTフィールドのオペレーター4社が指摘する技術的な課題は,表5?1のとおり整理される。BPは北海での実績から,将来,第2世代(小規模)HPHTフィールドの開発の次ぎに,サテライト構造を対象とする開発が新たな波になることを指摘している。その上で成功と失敗には明らかな理由があり,今後HPHTフィールド開発に際しては,石油会社と技術サービス会社間の共同作業とさらに詳細な注意が必要とされると指摘している。石油/天然ガス レビュー ’02・5―98―EHPHTフィールド探鉱/評価:探鉱開発投資を引出す改良技術開発 ・段階開発と臨時坑井:掘削に伴う,頁岩の不安定性と砂の強度 ・HPHT坑井設計とフィールドライフを通じての完全性:岩石メカニズムと仕上 ・非障害性坑井流体:安全かつ安定な高比重塩水及び坑井流体 ・貯留層評価:HPHT貯留岩及び流体のモデリング,高温下での電気機器/装置使用,適切な試料採取. 主要課題] [P B表5?1 オペレーター会社が指摘するHPHTフィールド開発のための技術課題(cid:0)課 題 / 項 目 主要課題] [会社 Shell ・枯渇HPHT貯留層に対する掘削 ・マルチラテラル坑井用ジャンクション ・防砂技術 ・HPHT用測定機 [具体的技術項目] ・掘削:泥水技術 ・仕上:新たなケーシングデザイン,新たな出砂防止,HPHT下でのマルチラテラル井,測定機 ・油層評価:MWD/LWD技術,新たな生産/テスト手法 ・ウェルヘッド及びクリスマスツリー [指摘の背景] 1)北海の第2世代のHPHTフィールドは,より小規模化かつ複雑化するとの予測。 2)典型的な深度は,15,000ft。大偏距井(16,000ft)の掘削は現在の技術がカバーしうる範囲外となる。  このため必要とされるものは, ・新素材 ・新しい掘削流体 ・コイルドチュービングによるラテラル坑の掘削 ・エクスパンダブルケーシング 主要課題] [FE ・枯渇HPHT貯留層に対する掘削 ・坑井構造の最適化 ・生産状況の異なる圧密状況下での改修 [具体的技術項目] ・掘削:泥水システム,セメンチング ・仕上:出砂防止,パッカーシステム ・油層評価:ガス計量,高温下で完全適用のLWD ・品質と信頼性 ―99―石油/天然ガス レビュー ’02・5・貯留層の枯渇と岩石メカニズムについての理解 ・枯渇貯留層に対する掘削 [具体的技術項目] ・掘削:低ECD/HPHT用掘削泥水,セメント(強度及びボンディング),ケーシング(改良物質),ケーシング/チュービングのコネクション改良 ・仕上及び坑井作業:高比重ブライン(仕上流体:環境対策及びコスト面),坑底及び遠隔操作機能バルブ ・装置品質 主要課題] [tatoil T S\5?2 代表的技術サービス会社の提供しうる技術(cid:0)将来の提供技術項目 ・HPHTテストリグ ・北米及びオランダにおける種々の研 究開発施設 ・裸坑のグラベルパック ・エクスパンダブルサンドスクリーン ・ジオメカニクス ・掘削:電池及びケーシング肉厚 ・地層/流体評価:サンプリング ・仕上:仕上層分離バルブ 岩石力学 ・油層評価 ・掘削(掘削流体/セメンチング含) ・エクスパンダブルチューブ ・仕上 ・坑井テスト ・・MWD/LWDツール ・セメンチング ・ワイヤーラインツール ・仕上及びテストサービス ・坑井作業 ・ライナーシステム ・プロダクションパッカー ・流量制御システム ・坑底安全システム DSTシステム ・alliburton Haker B現状での提供技術項目 掘削 ・会 社 chlumberger Sこの点に関連して,Schlumberger,Halliburton,Bakerの3社に例を取り技術サービス会社が現状及び将来においてHPHTフィールド開発にどの様な技術を提供しうるのか整理したものが表5?2である。6.今後の北海におけるHPHTフィールド探鉱開発について6.1.探鉱余地最近の技術開発,HPHTフィールド開発実績より,探鉱の観点から前向きな以下の成果が得られており,今後HPHTフィールドを対象とした更なる探鉱ポテンシャルが高まりつつある。① HPHT層の坑井テストの結果から,大深度(18,000ft以深)で孔隙率,浸透率が維持されることが分かっている。この結果,CentralGraven海域における通常の油ガス層深度以深での探鉱の機会が開けた。② HPHTフィールドの開発井でシーリングフォールトが確認されたことから,HPHT状態でも,断層のシールは機能し,ダウンフォールトプレイが可能であることが示された。③ 2D及び3Dのロングオフセットに代表される震探データ採取技術の進歩によって,より深層からの反射波イメージが可能となり,非掘削構造のマッピングの精度が向上した。以前はイメージングが難しかった鋭い断層やサブソルトについても可能となった。震探処理の進歩によって,より正確に構造を把握し,掘削のリスクを低下することが可能となった。前掲の図3?1には,HPHTフィールドの主要構造地域と考えられる領域が示されている。最近の発見の傾向が示す様に,初期段階と比較して,HPHTフィールド域は西に向って展開している。ただし,開発及び発見は,CentralGravenに集中しており,また外部での発見井は,ジュラ系のプロスペクトがしめしている。また更なる三畳紀系のポテンシャルがあり,ここの油層特性は良好とのことである。Viking Graven南部,その他発見構造は,HPHT層/流体及びシール性の状態がさらに広石油/天然ガス レビュー ’02・5―100―ュ存在していることを示している。クラスター構造の存在が期待される。Viking Graven南の厚い堆積層は魅力的であるとDTIは指摘している。6.2.開発の方向性:クラスターフィールドとしてのHPHTフィールドの開発今後の追加開発対象フィールドの名前と位置は図3?1参照。これらのフィールドの開発により生産量はさらに増加することとなり,将来のHPHTフィールドの生産ポテンシャルは高まる。これらの内の幾つかは,Central Graven海域以外にある。生産が開始されれば,これらのフィールドは北部油ガス田のインフラに接続される。またこれらは全てジュラ系貯留層が対象となる。今後開発が考えられるフィールドの埋蔵量は表6-1に整理するものである。Alder,Glennelg,Puffin,Kessog,Rhumの各フィールドは2004?2005年に生産開始が予定され,各フィールドの生産量はピーク時で10?30千bpd,100?120百万cfdが期待されている。クラスターフィールドの開発は,北海油ガス田開発の主要トレンドの一つであるが,HPHTフィールドについてもこの点が指摘される。ETAPプロジェクト(The Eastern TroughArea Project:Macha, Marnock, Mungo,Monan(以上オペレーターBP),Egret, Heron,Skua(同Shell)の総合開発)は,その既開発例であり,異なった生産流体と生産プロファイルを有する多くのフィールドが,総合流体処理及び輸送を伴うクラスターとして効率的に開発されている。いくつかの未開発のHPHTフィールドには,この様なアプローチが利する可能性がある。最近のDTIのスタディーでは,HPHTフィールドを含む4?6の小規模ガスコンデンセート田のクラスターは,新しい中央処理施設を元に経済的に開発しうることが確認されている。いくつかの発見においては,伝統的な近隣のホストプラットフォームへのタイバックがより容易である。クラスターフィールドへのアプローチと個々のフィールドのタイバックはともに海底技術の応用に頼っているが,これはすでにHeron及びMallard両フィールドで実証されている。海底坑井仕上及び坑口のエンジニアリングについては,広い特性の油層流体が取扱い可能となるべく,特別の手当てが必要となることが指摘される。クラスターフィールドの他には,既存生産層の深部層が開発の対象となることも考えられる。この場合,生産流体のHPHT特性から既存の生産処理施設ででは使用上の問題が生じることがある。この場合,一つの解決策としては,浅層からの生産とコミングルで採取する方法があり,すでにMallard及びKittiwakeフィールドで実践されている。7.終わりに本誌で3回にわたり北海油ガス田を対象とした技術の現状について報告してきた。これまでの2回のキーワードは「成熟油田」であり「クラスターフィールド」である。今回は「HPHT」をキーワードとして北海の新しい開発対象とその開発のための技術に焦点を当てた。これらを通じ改めて認識したことは,あたりまえのことであるが,適切な技術は埋蔵量を増加させることである。ただし,将来を見とおした技術革新と―101―石油/天然ガス レビュー ’02・5表6?1 今後開発が考えられるフィールドの埋蔵量(cid:0)(Grist et al. “HPHT-Hot Spot for UK Investment”(2001)より。Crown copyright material is reproduced with the permission of the Controller of HMSO and the Queen Printer for Scotland) 液体(百万stb) ガス(10億cf) 55 91243 1,279ガスコンデンセート田 田 油サの適用が必要となることは言うまでもない。すでに触れた様にHPHTフィールドの発見から最近の開発・生産開始までには10年以上の時間を要している。その間に段階的に培ってきた技術力と経験がようやく生き,根付いてきた感を受ける。北海におけるHPHTフィールドの主要オペレーター会社では,専門的なHPHTプロジェクトチームが機能している。また会社を超えた協力・提携,さらに英国政府DTIが北海の将来に視点を当て技術開発を促進支援してきたことを見逃すことはできない。北海油ガス田は成熟期にあることは否定できない事実であるとしても,まだ開発の余地があることをHPHTフィールドは示している。一方でまだまだ解決の必要がある課題は残されている。しかしここで適用された高度な技術と蓄積された技術力は,他域での開発でも有効であろう。その意味も含めて引き続き北海における技術革新を注目して行く必要があると考える。最後に,本稿をまとめるにあたり,貿易産業省(DTI),米国石油技術者協会(SPE),TotalFinaElfより図面及び資料の使用許可を頂いたことにつき,この場をかりて深謝したい。[参考]Elgin-Franklin及びShearwaterフィールドの共同開発とそのシナジーについてクラスターフィールド開発とは若干状況が異なるが,Elgin-Franklin及びShearwaterフィールドの開発は,周辺フィールドの共同開発という点において,今後の効率的な開発方式の一つとして注目に値するため,その背景,経緯と期待される効果について説明を加える。1.共同開発の背景ShearwaterとElgin-Franklinフィールド(共にガスコンデンセート田)はCentral Gravenに位置し,両フィールドの距離は7kmである。これらの開発は総額20億ポンド以上の投資となるものである。当初オペレーターが異なることもあり(後述)独立した開発が計画されたが,これらが共同開発に至った背景には,開発の本質に係わる以下の点が指摘される。① 現在,圧力減退したHPHT層の掘削技術は確立されていない。その一方で両フィールドは共通の水層,すなわち圧力系を有する。このことは片方のフィールドの開発が先行して生産を開始した後で,他方のフィールドは(坑井掘削が不可であることから)開発できないことになる。つまり双方の開発スケジュールは連動/併行して行なわれる必要がある。② 貯留層,及び流体特性(硫化水素や炭酸ガスの含有)については,共通かつ不明な点が多く,坑井エンジニアリング,使用金属材質の選択等に関連する共通のプロジェクトリスクがある。また生産ガスの販売まで含めた効率的な開発概念の策定が必要とされた。2.共同開発計画策定に至る経緯1993/94年:Central GravenのHPHTフィールドを対象とした初期エンジニアリングフィージビリティースタディー実施。これは各フィールドの単独開発を対象。結果としてエンジニアリングの問題点,また技術上のリスクの軽減と開発価値の改善を目指すことが必要と認識。同時期にCRINEプロジェクトから既存のインフラを最大限に有効利用すること,適切なエンジニアリング基準について業界/政府ともに指摘。この結果としてのETAP開発(BPとShellによる)がよい例。1994年:Central Gravenの5つのHPHTフィールドを対象とした共同開発スタディーが開始。対象は,Shearwater,Puffin(オペレーターShell),Elgin,Franklin(同Elf),Erskine(同Texaco)の各フィールド。この際の開発概念は最大埋蔵量を有するフィールド中心域にホスト処理プラットフォーム,及び他4フィールドについてはNUIプラットフォームを設置してタイバックするもの。Teesideへのガス移送,Fortiesパイプラインシステム石油/天然ガス レビュー ’02・5―102―ハじてのコンデンセート輸送についてスタディー実施。本スタディー結果は単独開発スキームと比較。各オペレーターの情報が共同開発スタディーに蓄積。1995年初:共同開発スタディー結果が受け入れられた。ガス能力は30百万scm/dで海上で販売ガス仕様まで処理することにより10%のキャピタルコストの削減が期待。Shell及びElfがオペレーターのフィールド共同最適化スタディー継続を正当化する情報が得られた。またErskineフィールドはLomondフィールドの早期開発に加わることとなった。また生産流体の輸送方法について更なる詳細スタディー実施が同意。既存のインフラを最大限活用する点上で開発概念選択上重要と判断。また共同スタディーの初期段階に各オペレーターは,生産化学,坑井エンジニアリングについてのスタディーを併行して実施。1995年10月:スタディーの結果から,共同輸送方式によって価値は増大し,リスクも受け入れられ,かつ管理し得ることが指摘。これらの結果,単独開発と比較した共同開発のキャピタルコストの削減額は約35百万ポンドで総合開発費の2%弱。費用の精度は±30%。しかし輸出パイプラインのシェアによる費用削減とBactonへのガスの輸出販売仕様の利益が,大きな成果として上げられる。3.共同開発の技術上のシナジー① 技術分野での様々なサブコミッティーでこの海域及び,Shearwater及びElgin-Frankllinフィールドで特有の課題に対する共通の理解が可能となった。鍵となる事項は2つの開発概念の採用。この点に関する結論として,鍵は生産プラットフォームのトップサイドの重量。Shearwaterは生産量の点で小さくトップサイドの重量も11000tであり,従来型のデッキが最適とされた。Elgin-Franklinは生産能力が高くトップサイドの重量も重いため,ジャッキアップが最適。これはコスト的にはトップサイド重量が15,000?17,000tで従来型とTPG型のコストが逆転するため。タイプが違うことでコントラクターの選択に幅。② 販売ガス・コンデンセートの仕様上の要求から,両プラットフォームのプロセスは非常に類似。これについても技術シナジー会議の結果が反映。③ HPHT用の坑口チョークやバルブといった開発等共通の技術チャレンジ事項について,共同で対応。新技術開発に伴い製品の販売,コスト削減,技術上のリスクの低下に貢献。④ HSEまた安全管理の面において,プロジェクト間の習得が,双方の開発に有益であるとともに,共通の問題に対して異なったアプローチを討議することで明らかに有益。4.生産操業上のシナジー① 生産操業フェーズにおいても,コスト削減と双方の操業最適化のためのプロジェクトシナジーが期待。例えば,現在2プラットフォーム間は電力ケーブルでつながり,プラットフォーム間での短期間の電力供給が可能な設計。また電力ケーブルは光ファイバーによるコミュニケーションシステムを有し,緊急時の使用や,従来の単独開発概念以上のオプションに応用可能。② 新たな救助回収船舶が両フィールド開発のために建造。③ 生産操業フェーズでロジ支援をシェアし,近隣のインフラの施設を最大に活用することが指摘。④ シナジー効果によりCAPEX/OPEXの削減,輸出ルートをシェアすることで大幅な経費削減,多くの分野でコスト及び技術リスクが削減。―103―石油/天然ガス レビュー ’02・5}:Elgin-Franklin及びShearwaterフィールド及び関連パイプラインの位置(Stubbs et al. Fort 1999より。SPE¬1999, reprinted by permission of SPE)■参考文献・英国貿易産業省(DTI):”Development ofUK Oil & Gas Resources 2001(BrownBook)”(2001)・M. Grist et al.:“HPHT - Hot Spot for UKInvestment”(2001)・Wood Mackenzie:“UK Upstream Report”(2001)・Petroleum Economist:“Still early for HPHT”(August 2001)・J.Cook:”Technology tackles challengingreserves”Petroleum Review(September1999)・The Industry Technology Facilitator:Website Materials・North Sea Letter(3 October 2001)・European Offshore Petroleum Newsletter(23 January 2002)・European Offshore Petroleum Newspaper(4 April 2001)・International Oil Letter(9 April 2001)・Offshore Technology: Website Materials・SPE Review:“New opportunities for HPHTdevelopment”(July 2001)Experience”・Schlumberger:Website Materials・R.F. Allen et al.:”Erskine Field:EarlySPE-56899Operatinf (September 1999)・B.L. Fitzgerald et al.:”Drilling Fluid PlaysKey Role in Developing the ExtremeHTHP, Elgin/Franklin Field”IADC/SPE-石油/天然ガス レビュー ’02・5―104―9188(February 2000)・I.Kutasov et al.:“Method determines brinedensity for HPHT wells”Oil & Gas Journal(24 December 2001)・A.K. Thorsrud. et al .:”Application of NovelDownhole Hydraulics Software to DrillSafety and Economically a North Sea High-Temperature / High Pressure ExplorationWell”IADC/SPE-59189(February 2000)・W.Benton et al. :”Cesium formate fluidsucceeds in North Sea HPHT field trials”Drilling Contractor(May/June 2000)・G.M. Graham et al.:”The Implication ofHP/HT Reservoir Conditions on theSelection and Application of ConventionalScale Inhibitors: Thermal Stability Studies”SPE-37274(February 1997)・Baker-Huges: Web site materials・J. Stubbs et al.:“Synergies between twoNeiboring Major Developments”SPE-56929(September 1999)・G. McClung et al.:”Eastern Trough ProjectHeron Cluster Operations and ProducingFrom Complex HP/HT Subsea Fileds”SPE-56901(September 1999)・N. Hill:”The Cook Project - UnlookingPotential”SPE-71795(September 2001)・J. Fort:”Developing Elgin/Franklin: notbusiness” SPE Continuingordinary Education Seminar(March 2000)・T. Young:“Erskine HPHT Field Development”SPE Review Articles 1995-1997・G. Menou et al.:”A New Approach toProduction: Franklinpartnership Based Operation”SPE-56902(September 1999)Elgin & the ―105―石油/天然ガス レビュー ’02・5
地域1 欧州
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 欧州
2002/05/30 [ 2002年05月号 ] 岡津 弘明
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。