ページ番号1006009 更新日 平成30年2月16日

ベネズエラ:PDVSA 経営陣の交代で国内の混迷はさらに深まる

レポート属性
レポートID 1006009
作成日 2002-05-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業探鉱開発
著者
著者直接入力 後藤
年度 2002
Vol 35
No 3
ページ数
抽出データ 国」パキスタンを迂回する海底ルートを推す意見が根強いと伝えられている。3.結論?現時点でのプロジェクトの実現性は低い以上のように同計画については政治的思惑が経済的要因に勝ることで推進期待論が強い。しかし,その状況を経済的観点から見れば,今後10年という期間においては,アフガン・パイプラインは実現性が低く,復興事業として当面のプロジェクトにはなりえないと言える。再びその実現性が見直されるのは,ロシアの生産が拡大し,トルクメニスタンの天然ガスが行き場を失ったとき,またパキスタンとインドの関係が大幅に改善されたときであり,その時点でのアフガニスタンの政情次第で,同プロジェクトは中央アジアの輸送ルートのひとつとして改めて可能性が議論されよう。(担当 古川)ベネズエラ:PDVSA経営陣の交代で国内の混迷はさらに深まる大規模なゼネストが実施される中,4月12日には国軍首脳部による事実上のクーデターが発生し,Chavez大統領は失脚,国軍出身で経済団体Fedecamaras会長Pedro Carmona氏による暫定政権が成立した。しかし,それから僅か2日後の4月14日,Chavez氏を支持する民衆の強い訴えに基づき,同氏は大統領に復帰することとなった。一方,就任間もないGaston ParraPDVSA総裁は辞任することになった。同国のこうした急展開の背景には以下のような事情がある。1.PDVSA総裁Lameda氏の解任Chavez大統領は,2月8日,突如Guaicaipuro Lameda氏のPDVSA総裁解任を発表した。Chavez政権とLameda氏との間には次のような意見の相違や摩擦があり,これらが今回の結果に影響を与えたものと考えられる。(1)新炭化水素法に対する反対Chavez大統領は近時,新炭化水素法を導入した。同法では,①上流開発プロジェクトのロイヤルティをそれまでの16.67%から30%まで引き上げ,②PDVSAは上流開発プロジェクトの51%の権益を取得せねばならないことになっている。Lameda氏はこれらの点に反対していた。(2)PDVSAの組織再編への反発Chavez大統領に忠実な鉱業・エネルギー副大臣Bernardo Alvarez氏は,PDVSAの中のガス部門をスピン・オフさせ,PDVSAとは独立した国営企業をつくる構想をもっていたが,Lameda氏はこれに強く抵抗し,受け入れようとしなかった。(3)PDVSAの資金に依存する政府財政への批判国家の支出計画の財源としてPDVSAからの資金提供(fiscal contribution)は極めて重要である。Chavez政権はここからのスムーズな資金流入を期待していたが,Lameda氏は必ずしも大統領の思惑通りには行動しなかった。Lameda氏は「PDVSAが政府の財政問題の全てを解決できると思うのは大きな間違いだ。」と政府の姿勢を厳しく批判してきた。そこにはPDVSAが2001 年には借入金約90億ドルという重い負担を担いながらも,政府へ120億ドルもの資金提供を既に行ってきたという背景がある。(4)OPECとの協調重視への批判Chavez政権はOPECとの協調を重視し,石油生産枠に基づく生産調整を実施してきた。Lameda氏は,「OPECの石油生産枠遵守による産油量削減でベネズエラはこれまで大きな国家的不利益を被ってきた。非石油/天然ガス レビュー ’02・5―114―PEC主要生産国ロシアのように,国家の利益に合致する場合に限りOPECと協調すべきである。」と同政権のOPEC政策も批判してきた。今回の交代劇で,PDVSAの新総裁に就任したGaston Parra氏は,前大学教授・ベネズエラ中央銀行副総裁の左派系エコノミストであり,企業経営の経験はない。しかし同氏は近時導入された新炭化水素法の原案作成に関与・支援した人物といわれており,鉱業・エネルギー大臣Alvaro Silva氏とは親しい関係にある。Parra氏は,上流開発の民間開放には反対で,その主導権は国がとるべきであると主張しており,Chavez大統領やSilva氏と考え方は共通している。2.PDVSA新ボードメンバーの任命PVDSAの新ボードメンバーは,2月27日に発表された。それによると10名の新パネルメンバーの内,残留組はChavez政権寄りの副総裁Jorge Kamkoff氏と退役将軍ArnoldoRodriguez氏の2名のみで,残り8名が交代となる。新たにメンバーとなったのは,前サウジアラビア大使Carlos Mendoza氏,前EnagasヘッドRafael Ramirez氏,前鉱業・エネルギー省企画担当ディレクターClara Coro氏,前Bitor(PDVSAの子会社)ジェネラル・マネージャーAlfredo Riera氏,前PDVSA財務担当ディレクターLuis Davila氏,Intevep(PDVSAの子会社)からの地球物理学者Argenis Rodriguez氏,前PDVSA生産計画担当マネージャーFelixRodriguez氏,及び前PDVSA監査役JesusVillanueva氏である。新メンバーの顔ぶれを見るとPDVSA外部からの登用が目立つ。石油アナリストは,石油産業における経験よりも政府に忠実であるとの理由でそれらメンバーは選ばれたとコメントしている。3.石油業界関係者等の反応PDVSAの総裁を含む今回の大規模なボードメンバーの交代は,PDVSA内でかつてないほど強い反発が生じている。すでにPDVSA労働者の1/3に相当する13,000名による新ボードメンバー反対の署名が集まっている。PDVSAの中の実力者を追い払い,同社を自分の傘下におき,意のままに操ろうとするChavez政権の考え方にPDVSA労働者は厳しい批判を浴びせている。今回の経営陣交代で退陣が噂されている3名のPDVSA副総裁(Karl Mazeika氏,VincenzoPaglione氏,Eduardo Praselj氏)とPDVSAGas社長(Nelson Nava氏)を含むPDVSAのディレクター34名は,PDVSA経営陣の大規模な入れ替えを「PDVSAを政治化するもの」と批判する共同声明を2月25日に発表した。声明では新総裁として就任したGaston Parra氏をとるか,或いは34名のディレクターをとるかを政府に迫る強硬な姿勢が示されている。ベネズエラ最大の労働組合CTV(theVenezuelan Workers’Confederation)は非常事態を宣言し,今後「Chavez大統領の平和的追放の準備」に取りかかるとしており,大規模なゼネストを計画中である。さらに,CTVは政治的にも有力な経済団体Fedecamarasと共同で3月上旬に作成した「民主的協定」を発表する。同協定ではChavez大統領の合法的解任を謳っており,そのためにカトリック教会の協力が得られるものと見込んでいる。4.Chavez政権の対応このように,PDVSAの経営陣,労働組合指導者,経済団体のリーダーが共闘体制をとりつつあることに,Chavez政権は脅威を感じている。PDVSA内部の反発が拡大したことで,2月22日に鉱業・エネルギー省は予定していたParra新総裁を含む5名のPDVSAボードメンバーの就任式を一時延期せざるをえなくなった。しかし,ボードメンバーの再度見直しはPDVSA内部からの圧力に屈したことを意味することから,Chavez大統領は同大統領の施策に異論を唱えるPDVSAに妥協しない姿勢を示している。「PDVSAの経営陣や従業員の多くは,―115―石油/天然ガス レビュー ’02・5O政権下において石油部門の民営化を図り,OPECの足並みを乱してきた。そのような者達の要求に屈服することはない。」と同大統領は述べている。上述の「民主的協定」に対しても,Chavez大統領は「エリート層だけの協定」と非難し,受け入れを拒否している。同大統領は,「私が法律に基づいて選ばれ,国家を統治しているのであり,それに反旗を翻す者は憲法違反となる。」と述べている。また,「PDVSAは国営企業であり,私がこの国のトップなのだ。」とPDVSAの指揮権を掌握していることを強調した。Chavez大統領に加え,鉱業・エネルギー大臣Alvaro Silva氏も「PDVSAは単なる民間企業ではなく,国営企業であるから,政府の政策に従って運営されねばならない。また企業の長が交代すれば,(その長の手足として働く)チームが必要であり,(そのための人事の入れ替えは)どこでも同じであるはずだ。」と反論している。5.同国石油産業等への影響PDVSAは山積した問題に対処すべき時期に来ている。同社の収入は急激に減少しており,主要上流・下流事業への投資も不足している。Parra新総裁も,1976年に全予算の14.7% であったPDVSAのコストは2001年には70%にも増えた点を指摘している。(但し,これについてはPDVSAが政府に対する資金提供を減らすべく,利益が出ていないように見せかけるために会計上の操作を行ったのではないかとの説もある。)それにもかかわらず,PDVSA経営陣の交代を巡る紛争が長期化すると,同社内部の指揮は乱れ,これらの諸問題への対応も遅れ,結果としてベネズエラ石油産業全体に大きな影響が出ると予想される。さらにそれが長期のゼネストに発展すれば,輸出利益の80%,税収の50%を占める同国石油部門が機能不全に陥り,国家歳入に深刻な打撃を与えることになると思われる。ベネズエラの前石油大臣Humberto Calderon氏は,「Lameda氏のPDVSA総裁解任は失策であり,Parra氏の総裁登用はベネズエラの不透明な将来をより疑わしいものにしてしまうだろう。」と述べている。また,米国の独立系アナリストは「Lameda氏の解任はPDVSAの信頼性を損ね,米国との関係をほとんど修復不可能にしてしまうであろう。」と厳しい口調で語っている。ベネズエラの先行きが不透明なことから,同国における外資石油企業の上流投資活動は悲観視せざるを得ない状況にある。(担当者 後藤)中国の国有石油トレーディング企業Sinochemが海外E&P事業に進出1.Sinochemの海外上流事業進出中国最大手の国有石油トレーディング企業China National Chemicals Import & ExportCorp.(Sinochem)は2002年1月にノルウェーの技術サービス会社Petroleum Geo-Serviceの全額出資子会社Atlantis社を2.15億USドルで買収した。Petroleum Geo-Serviceは,ノルウェーのオスロ及びヒューストンに本社があり,主に震探データ処理・解釈や操業サービスを提供する油田サービス会社である。子会社のAtlantis社はチュニジア,オマーン,UAEなどで活動しており,12鉱区でリース契約またはPS契約を締結している。保有鉱区全体の面積は21,000Km2,確認原始埋蔵量は約7.3億bbl。Sinochemは中国最大手の国有石油トレーディング会社で,主に原油・石油製品の輸出入業務を行っている。中国国内において原油・石油製品輸入量に占めるシェアは約3分の1,原油輸石油/天然ガス レビュー ’02・5―116―
地域1 中南米
国1 ベネズエラ
地域2
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地域4
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国10
国・地域 中南米,ベネズエラ
2002/05/30 [ 2002年05月号 ] 後藤
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