ページ番号1006011 更新日 平成30年3月5日

我が国におけるLNG取引の方向性

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レポートID 1006011
作成日 2002-07-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 海老坂 信朗
年度 2002
Vol 35
No 4
ページ数
抽出データ 1.4(cid:0)7.2(cid:0)5.7(cid:0)22.6(cid:0)6.8(cid:0)7.6(cid:0)7.8(cid:0)7.5(cid:0)7.7(cid:0)6.4(cid:0)6.6(cid:0)87.3日本 韓国(cid:0)日本(cid:0)日本 韓国(cid:0)日本 韓国(cid:0)日本(cid:0)日本 韓国 台湾(cid:0)日本(cid:0)日本(cid:0)韓国(cid:0)日本 韓国(cid:0)(出典:Oil & Gas Journal )(cid:0)我が国におけるLNG取引の方向性海老坂信朗*我が国において,天然ガスは,近隣にガス田がないこと,国内外の幹線パイプライン網の整備が不十分であること,価格水準が競合燃料に比し割高であること等により,一次エネルギー供給に占める天然ガスの割合は約13%にとどまっている。しかし,天然ガスは,他の化石燃料に比しSOx,NOx,温室効果ガスの排出量が少ない等,環境負荷特性に優れているとともに,その普及拡大がエネルギー供給における石油依存度や中東依存度の低減に資することから,我が国のエネルギー政策においても天然ガスの位置づけを高めていくことが重要な課題の一つとなっている。また,近年の規制緩和や構造改革の動きの中で,電力や都市ガス料金水準の引き下げに対する社会的な要請も強く,こうした意味からもLNG価格低減への期待は大きく,他エネルギーに比し硬直的といわれる価格や弾力性等のLNG取引の諸条件をガス市場ニーズに適合させていくことが肝要である。加えて,我が国のガス市場において,従来,供給手段として主体的役割を果たしてきたLNGと,導入の可能性が検討されているパイプラインガスが我が国において,如何なる役割を担うのか注目される。尚,本稿は石油公団が平成13年度に経済産業省より受託して行った「天然ガス開発促進調査」のうち,財団法人 日本エネルギー経済研究所に委託・調査実施した「我が国におけるLNG市場の現状と将来展望に関する調査」の結果を中心に加筆し,纏めたものである。1.アジア地域におけるLNG需給見通し1-1.LNG供給能力2001年におけるアジア地域(日本,韓国,台湾)のLNG需要は7,510万トン/年,一方でアジ図表1?1 アジア地域の既存LNGプロジェクト(cid:0)供給先(cid:0)本(cid:0)(cid:0)日液化能力(cid:0)(百万トン/年)(cid:0)プロジェクト(cid:0)ラスカ(cid:0)(cid:0)ア ―(cid:0)ダス島(cid:0)ボンタン(cid:0)アルン(cid:0)サツ(cid:0)デュア(cid:0)NWS(cid:0)カタールガス(cid:0)ラスガス(cid:0) ―(cid:0)合  計(cid:0)輸出国(cid:0)メリカ(cid:0)ブルネイ(cid:0)アブダビ(cid:0)インドネシア(cid:0)レーシア(cid:0)ーストラリア(cid:0)カタール(cid:0)マーン(cid:0)(cid:0)オ(cid:0)(cid:0)ア(cid:0)マ(cid:0)オ*本稿は天然ガスプロジェクト企画部 海老坂 信朗(E-mail:ebisak-n@jnoc.go.jp)が担当した。― 1 ―石油/天然ガス レビュー’02・7}表1?2 建設中のアジア向けLNGプロジェクト(cid:0)液化能力(百万トン/年)(cid:0)6.8(cid:0)4.2(cid:0)4.7(cid:0)1.5(cid:0)17.2(cid:0)(出典:Oil & Gas Journal )(cid:0)図表1?3 アジア地域におけるLNG需要の推移(cid:0)2015年(cid:0)73.6(cid:0)24.3(cid:0)13.8(cid:0)16.0(cid:0)12.0(cid:0)139.7韓台イ ン ド (cid:0)中合2005年(cid:0)62.1(cid:0)(cid:0)18.3(cid:0)(cid:0)8.6(cid:0)(cid:0)7.2(cid:0)3.0(cid:0)(cid:0)99.1(cid:0)本国湾国計2010年(cid:0)69.1(cid:0)21.6(cid:0)10.4(cid:0)12.0(cid:0)8.0(cid:0)121.1(cid:0)日単位:百万トン/年(出典:Wood Mackenzie)(cid:0)“High demand”の3ケースの需要見通しを想定し,アジア地域における2015年までのLNG需要バランスを示している(図表1?4)。供給見通しには既存並びに建設中のLNGプロジェクトが,需要見通しには日本,韓国,台湾に加え,インドや中国の新興マーケットも含んでいる。Base demandケースにおける需給バランスを鑑見ると,新規LNGプロジェクトからの供給が必要となるのは,2008年前後となる。尚Lowケースの場合には2012?13年迄,Highケースでは2005-06年迄,新規ソースからの供給は不要となる。一方,我が国にとって,この時期はサハリンからのパイプラインガス(PNG)導入が計画されており,今後の我が国のLNG取引を考察するにあたり,当該PNG導入がLNG市場へ与える影響に注視する必要がある。これら需給バランスの見通しを前提とすると,アジア地域のLNG市場は,2010年頃までバイヤーズマーケットの傾向が継続すると言える。2010年以降についてはPNGの導入如何により,大きく変化すると考えられ,新規LNGプロジェクトの開発にも当然ながら影響を与えプロジェクト(cid:0)マレーシア ティガ(cid:0)オーストラリア NWS トレイン4(cid:0)カタール ラスラファン トレイン3(cid:0)カタール カタールガス デボトルネック(cid:0)合 計(cid:0)ア向けLNGプロジェクトの液化能力は8,730万トン/年となっている(図表1?1)。総液化能力は現時点で日本,韓国,台湾の総需要を1,200万トン/年程度上回っており,加えて2005年までに操業開始を予定している建設中プロジェクトは図表1?2に示すように4プロジェクト1,720万トン/年分存在している。この他新規LNGプロジェクトとして,北豪州(バユ・ウンダン/サンライズ),NWS(ゴーゴン/スコットリーフ),インドネシア(タングー/ナツナ),サハリン,イエメン,イラン等が計画され,これらの液化能力は6,000?8,000万トン/年と見込まれる。仮にアジア地域をマーケットとし得る全LNGプロジェクトが稼動した場合,総液化能力は2億トン/年に達する見通しであり極めて巨大なものとなる。1-2.LNG需要見通しアジア地域における2015年までのLNG需要見通しについては,図表1?3に示す様な報告がなされている。現在,LNGを輸入している3カ国に加え,新たにインド,中国が各々2004年と2006年にLNG導入を予定しており,2015年にはインドと中国のLNG需要割合がアジア地域全体の20%を超え,インドに至っては台湾のガス需要を上回る様子が伺える。尚,日本の占める割合は74%(2000年実績)から53%(2015年)へと減少するものの,依然,アジア地域のLNG取引において中心的な役割を担う。1-3.需給バランスの見通し上記,需要/供給見通しによると,2005年時点では540万トン/年の供給過多になる。OGJでは,“Low demand” “Base demand”石油/天然ガス レビュー’02・7― 2 ―驕B2.我が国におけるLNG調達ニーズの動向と今後の方向性前章の通り,今後も日本がアジア地域のLNG市場に大きな影響を与えると見込まれる我が国のLNG市場について,LNGの主要需要先である電力・ガス分野を取り巻く環境変化を中心に,我が国におけるLNG調達ニーズの動向と方向性を探る。2-1.我が国におけるLNG調達ニーズの変化(1)LNG導入期からの伝統的な調達ニーズ電力・都市ガス会社のLNG調達に関する1990年代半ばまでの伝統的な考え方は,①供給の安定性,②経済性,③引取の弾力性(季節変動および年間数量に対する引取弾力性)の3つに整理することができる。従来,電力・都市ガス会社ともLNG調達における優先課題は,先ず供給の安定性であり,次に経済性や引取の弾力性という順番であった。すなわち,経済や電力・ガス需要が右肩上がりで成長する一方,LNGの新規ソースが限られていた時代においては,プロジェクトの経済性を論じる前に,まずは新規LNGプロジェクトを無事に立ち上げて供給の安定性を確保することが先決であった。(2)1990年代半ば以降の調達ニーズアジア太平洋のLNG市場は,1990年代半ば以降,供給過多を背景として買主の相対的な交渉力が向上し,それに伴い,我が国の買主がそれぞれのニーズに応じて価格や弾力性などの諸条件を組み合わせたLNG契約を仕立てることのできる余地が生まれた。一方で,規制緩和の進展に伴う電力・ガス事業における競争環境の変化,原子力発電所新設の困難さ,温室効果ガスの排出削減問題などの要因が絡み合い,買主毎に多様な調達ニーズが生まれた。このような状況変化の下,LNG調達においては,供給の安定確保もさることながら,経済性,弾力性を重視するトレンドに拍車をかけた。2-2.電力・ガス会社を取り巻く環境変化規制緩和によるドラスティックな市場変化が予測される電力・ガス市場において,今後10年程度の中期的スパンでLNG調達に影響をもたらすであろう変化について考察した。(1)既存の電力会社の視点先ず,既存の電力会社に関して,想定しうる事業環境の変化について以下の通り纏めた。①電力需要の伸びの鈍化国内工場の海外移転や人口の伸びの停滞等により電力需要の伸びが鈍化する。更に規制緩和による業種を超えた新規参入者の出現,小売自由化範囲の拡大等により,電力需要見通しの下方修正が発生し,LNG火力においても稼働率の低下や新規建設計画の繰り延べが必要となる。②自家発・分散型電源の普及と新規参入の促進自家発・分散型電源の普及や特定規模電気事業者(PPS)の参入促進により,競争が激化し,既存電力会社から一部需要が離脱する。③市場制度の改革プール市場等が創設された場合,電力取引の流動化が促進される可能性がある。その場合,各電源の経済性が重視されるのは当然であるが,発電に係る運用の弾力性を求める動きが出てくる。また,発電・送電・配電の機能が一部あるいは全て分離された場合,発電事業者やIPP等の増加,天然ガス関連資産の売却等が発生する可能性がある。④需要負荷パターンの変化産業の海外移転等により,電力総需要に占める民生用需要の比率が高まり,既存電力会社の季節変動負荷悪化を招く可能性がある。⑤温室効果ガスへの対応温室効果ガスの排出削減を目的としてLNG火力の稼働率が上昇する可能性がある。⑥原子力新設の遅延新規原発の建設遅延等が発生した場合,その代替電源として既存LNG火力のベース電源化あるいはベースロードLNG火力の新設等が促進される可能性が考えられる。(2)既存の都市ガス会社の視点次に,既存都市ガス会社の視点からは以下のとおりの変化が想定される。― 3 ―石油/天然ガス レビュー’02・7}表1?4 アジア太平洋地域のLNG供給/需給見通し①ガス需要の伸びの鈍化電力会社と同様,工場の海外移転や人口の伸びの停滞等によりガス需要の伸びが鈍化する。加えて規制緩和による新規参入の活発化により競争が激化し,既存ガス会社からガス需要が離脱,ガス需要見通しの下方修正が必要となる。②新規需要の開拓燃料電池等の分散型電源の普及やIPP等によるガス発電の増加により,都市ガス需要に占める発電用需要の割合が増加すると共に,環境対応から天然ガス自動車の普及が進む。③需要負荷パターンの変化発電用需要や輸送用需要等,季節変動が少ない需要のウエイトが高まることにより負荷が改善する可能性がある一方,新規参入者が負荷の安定した需要を獲得することにより既存事業者の季節変動負荷の悪化も考えられる。2-3.今後のLNG調達の考え方供給の安定性を最優先課題とした伝統的な調達ニーズから,経済性や弾力性に富んだLNG(出典:Oil & Gas Journal)契約への方向転換は既に始まっている。前項で述べた様な,我が国の電力・ガス会社を取り巻く環境変化は,紛れもなく,この傾向を加速させると考えるが,以下,①供給の安定性 ②経済性 ③弾力性の3つの観点から,今後のLNG調達の考え方を整理する。①供給の安定性LNG供給の安定確保は公益事業を営む電力・ガス会社にとって相変わらず重要な課題と言える。しかしながら規制緩和の進展に伴う市場間競争の激化,需要の不透明感等から,LNG取引に求める経済性や弾力性は相対的に重要度が高まりつつある。こうした中,各要素の良好なバランスを達成すべく供給信頼性の維持に要するコストとその効果の合理的見直しがなされる。また既に一部の企業により実施されている上流資産の買収は供給安定性,経済性及び弾力性を両立する一手段として,今後も積極的なアプローチが続くと考える。現在,我が国の電力・ガス会社ではオーストラリアの上流資産買収に注力しているが,将来的にはマレーシ石油/天然ガス レビュー’02・7― 4 ―Aやインドネシアなどアジア地域の資産にも目を向けていくと推測される。②経済性電力・ガス分野における自由化の進展は市場への相互参入,新規参入者の出現を促進する。商品的差別化が困難なものを取り扱う事業において,価格は非常に重要なファクターであり,LNG調達価格の低減は商品価格の低減のみならず,資本市場における各社の財務体質改善に向けた取り組みの一環と捉えられる。経済性を確保する具体的な手段には,低価格を実現し得るプロジェクトへのコミット,契約のFOB化による輸送コスト削減,上流事業参画による燃料/原料ガス並びに液化費用のコスト透明性確保などが考えられる。一方,電力事業においてはCO2排出問題や原子力新設の遅延により,LNG火力発電はピーク・ミドル電源としての機能だけでは無く,ベース電源としての経済性提供も同時に求められる。③弾力性規制緩和の進展は上述のとおり,市場への相互参入や新規参入者の出現を促進するが,これは,事業者が新規需要家を獲得する反面,既存需要家の離脱に晒されることを意味する。よって需要予測は一層困難になることが考えられ,需要の増減に関わらずLNG所要量変動に応じた弾力性のあるLNG調達が重要になることは明白である。弾力性のあるLNG取引として,年間契約量の弾力性拡大,FOB船の活用による引取弾力性の向上,仕向先制限の緩和などが考えられる。また需要変動に対応すべく, 図表3?1 我が国のLNG契約期間 図表3?2 経済性・弾力性を重視した契約例(cid:0)売 主(cid:0)(cid:0)概 要(cid:0)買 主(cid:0)中部電力(cid:0)(cid:0)東京ガス/東邦ガス/(cid:0)大阪ガス(cid:0) ・スポット取引に関する基本協定締結(cid:0) (期間:2001年11月?2004年12月)(cid:0)・長期契約数量に加え,一定の単年度契約数量(cid:0)(当該年度の開始前に意思表示し,一定数量を当該年度の契約数量とする:買主計で約48万トン/年迄)を採用。(cid:0)・契約更改で短期契約(4年間の引取数量を年度別に決定:買主計で最大120万トン/年)を導入(cid:0)― 5 ―石油/天然ガス レビュー’02・7マレーシアLNG社(cid:0)(cid:0)マレーシアTiga社(cid:0)(cid:0)(マレーシア!)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)東京電力/東京ガス(cid:0)(cid:0)マレーシアLNG社(cid:0)(cid:0)(マレーシアo)(cid:0)NG調達量の過不足の一部を短期・スポット市場で調整する傾向は一層強まり,LNG取引の一部として定着していくものと考える。3.LNG調達コストの低減と弾力性向上本章では,具体的にLNG取引の経済性と弾力性確保を実現し得る手法とその可能性について述べることする。3-1・.契約条件の改善調達コスト低減と引取数量の弾力性拡大には,先ず,契約更改時や新規契約時における売買主間交渉による契約条件更改が指摘される。我が国向けのLNG契約は2010年前後を境に契約満了を迎えるものが50%強存在し,現在,それらの延長交渉等が開始されている(図表3?1)。前述の通り,LNG供給の余剰感を追い風に我が国の買主が有利な交渉を進めることも可能であり,今後,我が国が締結する新たな契約条件は世界のLNG関係者からも注目されていると言える。図表3?2では契約期間,経済性・弾力性を重視した契約条件例を挙げる。3-2.入札制度の活用の可能性1990年代後半以降,中東等でいくつかの新規・拡張プロジェクトが計画される中,台湾・インド・中国等の他アジア諸国では,我が国における交渉プロセスとは異なり,入札制度を長期的なLNG調達に有効に活用しようとする動きが広がっていた(図表3?3)。当該事例に共通した特徴は,・長期契約(20年以上)であること・かなり纏まったLNG数量(180?750万トン/年)であること・新規の購入契約で,受入基地や発電所の新設と密接に関わっていること等である。しかし,上記アジア諸国は,まだLNG輸入を開始していない段階にあり,入札制の活用がLNG調達に与える効果を評価するのは時期尚早と考える。図表3?3 他国における入札制度によるLNG調達の動向(cid:0)入札実施(予定)者(cid:0)(cid:0)LNG数量(cid:0)(cid:0)(万トン/年)(cid:0)主な用途(cid:0)(cid:0)期間(cid:0)(cid:0)落札(応札)者(cid:0)(cid:0)TUNG-TINGグループ(cid:0)United Resources他(cid:0)RasGas(カタール)(cid:0)豪州プロジェクト,(cid:0)(cid:0)(cid:0)西タングー・プロジェクト他(cid:0)(cid:0)25年(cid:0)(cid:0)(cid:0)20年(cid:0)以上(cid:0)180(cid:0)発電所(cid:0)25年(cid:0)(拡張予定)(cid:0)(cid:0)発電所(cid:0)肥料工場(cid:0)他(cid:0)750(cid:0)(cid:0)(cid:0)台湾電力(Taipower)(cid:0)<大潭発電所向け>(cid:0)PETRONET(cid:0)<Dahej,Cochin向け>(cid:0)(cid:0)(cid:0)台湾(cid:0)(cid:0)(cid:0)中(cid:0)(cid:0)中国(cid:0)インド(cid:0)国海洋石油総公司(cid:0)300(cid:0)発電所他(cid:0)(CNOOC)他(cid:0)<深せん基地向け>(cid:0)(拡張予定)(cid:0)(注) 台湾電力は,2001年11月,電力需要予測の下方修正を理由に入札の中止を発表。(cid:0)図表3?4 入札制度の潜在的なメリット・デメリット(cid:0)メリット(cid:0)・供給者間における競争促進(cid:0)・買主主導による契約交渉(cid:0)・契約交渉期間の短縮(cid:0)・スポット,短期契約の仲介(LNG取引の流動(cid:0)度纏まった数量の提示が必要(cid:0)デメリット/問題点(cid:0)・既存プロジェクトに既得権を有さない新規プレーヤーの参入が期待できるのか?(cid:0)・既存プロジェクトに余力がない場合,ある程化促進)(cid:0)(cid:0)・LNG需給状況が逼迫した場合,供給者がLNG買主を募る逆入札の可能性も(cid:0)石油/天然ガス レビュー’02・7― 6 ―アれに対し,我が国では火力の新規電源に全面的に入札制度が導入される等,電力業界で入札制度を活用する動きはあるものの,LNG調達において入札制度が導入された事例はない。今後,我が国で新規の長期契約やスポット・短期契約の一部において入札制度が導入される場合,次のようなメリット・デメリットが予想される(図表3?4)。3-3.輸送分野における取り組み上述の契約条件改善に加え,輸送分野における取り組みが我が国のLNG調達コスト削減,弾力性向上に大きく寄与するものと考える。(1)FOB契約の活用日本へのLNG導入から今日に至るまで,極東地域におけるLNG輸送の考え方は,取引の弾力性向上やコスト削減を理由にEx-ShipからFOBへと指向されてきた(図表3?5)。近時,LNG船価の低下等を背景として,東京電力,東京ガス,大阪ガスは,関係会社等によるLNG船の実質的な所有(自社LNG船)に基づくFOB契約を採用する動きを加速させている(図表3?6)。こうした取り組みは,LNG調達における価格の低減や弾力性の向上を目指すものであり,本項でもFOB契約の活用について分析する。FOB契約にもメリットとデメリットがあり,各買主の状況や判断基準に基づき,LNG船の導入・拡充やその活用方法について検討することが肝要と考える。図表3?7に,FOB契約図表3?5 LNG輸送の考え方(cid:0)輸送の考え方(cid:0)(cid:0)理由・背景(cid:0)LNGプロジェクト導入当初においては巨額プロジェクト成否への懸念の中で,未知のLNG船マリンリスク回避のためEx-Ship契約を選択。(cid:0)導入当初,全く未知だったマリンリスクは初期プロジェクトでの運航実績により,無制限のものではないと判断する一方,LNG船という高付加価値船への日本造船業界の進出が国家的課題となってきた。(cid:0)他産業同様,LNG造船業界へも韓国の進出は始まり,日本以上に国家的なLNG造船への補助的施策が開始された(FOB契約の奨励)。(cid:0)LNG業界の成熟によるLNG市場成立を背景にした柔軟な取引の指向やコスト削減の追及から自社船保有が始まる。買主の輸送面での自立。(cid:0)日本向けはEx-Ship契約(cid:0)売主手配(cid:0)(cid:0)(cid:0)1970年代(cid:0)本向けFOB契約(cid:0)(cid:0)日(cid:0)(cid:0)買主手配出現(cid:0)国向け(cid:0)FOB契約(cid:0)(cid:0)(cid:0)韓本買主の(cid:0)自社船保有(cid:0)(cid:0)日1980年代(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)1990年代(cid:0)(cid:0)(cid:0)2000年代(cid:0)― 7 ―石油/天然ガス レビュー’02・7図表3?6 我が国の電力・都市ガス会社によるLNG船所有の動き(cid:0)引渡時期(cid:0)造船所(cid:0)(cid:0)(cid:0)三菱重工業(cid:0)川崎重工業(cid:0)崎重工業(cid:0)川崎重工業(cid:0)三菱重工業(cid:0)(cid:0)川菱重工業(cid:0)(cid:0)三2003年8月(cid:0)1隻目:2003年10月(cid:0)2隻目:2005年4月(cid:0)2006年(cid:0)1993年(就航済)(cid:0)1994年(就航済)(cid:0)000年(就航済)(cid:0)(cid:0)2船 型(cid:0)135,000m3級を1隻(cid:0)145,000m3級を2隻(cid:0)45,000m3級を1隻(cid:0)125,000m3を2隻(cid:0)(cid:0)135,000m3を1隻(cid:0)(cid:0)(cid:0)1買 主(cid:0)東京電力(cid:0)東京ガス(cid:0)(cid:0)大阪ガス(cid:0)東京ガス(cid:0)大阪ガス(cid:0)東邦ガス(cid:0)大阪ガス(cid:0)(cid:0)(cid:0)発注済・予定(cid:0)(cid:0)就航済(cid:0)(cid:0)}表3?7 FOB契約の潜在的なメリットとデメリット(cid:0)メリット(cid:0)デメリット(cid:0)(cid:0)A輸送費の圧縮(cid:0)Bスポット・短期契約の効果的な活用(cid:0)C海外等へのLNG再販売による鞘取り(cid:0)D他プロジェクトでのトラブル発生時に,余力ALNG船の事故等に対する対応(cid:0)BLNG船のサービス離脱に伴うLNG数量減少リスク(cid:0)CLNG船の稼働率を確保できない場合に輸送単をバックアップに活用(cid:0)価が上昇(cid:0)E規制緩和等による電力・ガス市場構造の変化への潜在的対応力の強化(cid:0)FLNG輸送事業への進出(cid:0)の潜在的なメリットとデメリットを整理した。輸送コスト低減と取引の弾力性向上に向けたFOB契約活用の動きは今後も進展すると見込まれ,昨今,大量に新造LNG船が投入されていることは短期・スポット取引拡大の素地に繋がると考えられる。(2)LNG船の大型化LNG船の輸送費は,通常,多くの部分が減価償却等の固定費から構成されている。したがって,LNG船の輸送単価の水準は,船価を所与とすると,船が年間運べるLNG数量,すなわち液化基地から受入基地までの距離と当該LNG船の大きさによって大方決まってしまう。輸送単価の引き下げを第一優先とするならば,より近い液化基地から,より大きなLNG船で運ぶことが前提となる。図表3?8のとおり,日本向けLNG船は,1969年のLNG導入開始以降,着実に大型化し,現在,標準的な大型船は135,000m3級となっている。現在,将来のLNG船として,165,000m3級?200,000m3級程度の検討が進められていると言われるが,実際にどの程度までLNG船の大型化が進むかは,受入基地の桟橋の受入能力によるところが大きい。受入基地の桟橋ごとに受入可能なLNG船の大きさは異なるが,165,000m3級のLNG船を受け入れる場合,多くの既存基地で桟橋の部分的あるいは本格的な改造が必要になり,さらに受入タンクの増設等,追加コストが発生する状況が想定される。また,仮に自社の受入基地で165,000m3級のLNG船の受入が可能でも,他に限定された基地でしか当該船の受入ができないとすると,LNG調達の弾力性にも支障が生じる。図表3?8 日本向けLNG船の大きさの推移(cid:0)プロジェクト(cid:0)アラスカ(cid:0)ブルネイ(cid:0)UAE(cid:0)インドネシア(1973年契約)(cid:0)マレーシアo(cid:0)インドネシア(バダック増量)(cid:0)インドネシア(アルン増量)(cid:0)オーストラリア(cid:0)マレーシア?(cid:0)カタール(カタールガス)(cid:0)オマーン(cid:0)導入開始(cid:0)1969年(cid:0)1972年(cid:0)1977年(cid:0)1977年(cid:0)1983年(cid:0)1983年(cid:0)1984年(cid:0)1989年(cid:0)1995年(cid:0)1997年(cid:0)2000年(cid:0)石油/天然ガス レビュー’02・7― 8 ―導入時の主要LNG船のサイズ(m3)(cid:0)71,500(cid:0)75,000?77,000(cid:0)126,000(cid:0)126,000(cid:0)130,000(cid:0)125,000(cid:0)125,000(cid:0)125,000(cid:0)130,000(cid:0)135,000(cid:0)135,000(注)1990年代に建造された小型船等は除く(cid:0)EAの試算では,200,000m3級のLNG船の場合,140,000m3級に比し,輸送単価は10%程度減少する可能性がある。これが正しいとすると,仮に140,000m3級の輸送単価を5,000円/トン,年間150万トンのLNG受入を想定した場合,各年約▲8億円の輸送費の削減が可能となる。今後,輸送費の削減効果,桟橋等受入関連設備の改造費の発生,オペレーション上の問題,他基地の動向等を勘案して,各社がLNG船の大きさを決定していくことになるが,経済性重視のトレンドからみて,今後とも船の大型化による輸送費の低減効果を重視する傾向が継続するのではないかと思われる。(3)新たな輸送スキームの活用前述のとおり,LNG船の輸送単価は,その船が年間で運べるLNG数量によって決まる。ここでは,従来的なLNG輸送コンセプトから離れ,新たな輸送スキームの活用により自社LNG船の年間輸送量を増やす手法として,・LNG液化基地から受入基地までの輸送距離の短縮化を目的としたスワップ取引・アジア太平洋市場でのバックホール(荷揚げ後に液化基地へ向かう航海時を活用し,他のLNGの受渡を行う)の可能性について検討したい。①輸送距離の短縮化を目的としたスワップ取引の可能性輸送距離の短縮化を目的として有効なスワップ取引を成立させるためには,異なる供給国からLNGを輸入している2つの輸入国が,互いの供給国を交換することにより双方のLNG輸送距離が短縮されることが必要である。現状,アジア太平洋地域ではLNGスワップ取引が成立する土壌がないといえる。これは次に挙げる理由による。現在,当該地域では日本,韓国,台湾の3カ国が,アメリカ(アラスカ),オーストラリア(西豪州),インドネシア(アルン,ボンタン),マレーシア(ビンツル),ブルネイ(ルムット)のアジア太平洋5カ国およびUAE,カタール,オマーンの中東3カ国からLNGを輸入している。当該LNG市場は,大西洋LNG市場と異なり,・輸入国(日本,韓国)が互いに地理的に隣接しているため,LNG供給国から輸入国までの輸送距離に大きな違いがなく,両国間でスワップを行うメリットがない。・台湾は,マレーシア(ビンツル),インドネシア(ボンタン)という最も至近の供給国からLNGを輸入しており,日本・韓国とスワップを行ってもメリットがない。但し,今後,アジア太平洋地域では,インド,中国,フィリピン等がLNG輸入国として,またロシア(サハリン)等がLNG供給国として図表3?9 アジア太平洋地域における輸送ルートの特徴/バックホールの可能性(cid:0)LNG供給国(cid:0)(cid:0)輸送ルートの特徴/バックホールの可能性(cid:0)(cid:0)ブ方向(cid:0)東(cid:0)(cid:0)南(cid:0)アメリカ(アラスカ)(cid:0)・輸送ルート周辺に他の輸入国や供給国がなく,バックホールは困難。(cid:0)ルネイ(cid:0)・供給国が地理的に固まっていて,その間に輸入国がないため,(注)方向は日本から供給国を見た場合のもの(cid:0)― 9 ―石油/天然ガス レビュー’02・7効率的なバックホールを組み難い(cid:0)(cid:0)<想定ルート>(cid:0)(cid:0)日本⇒ブルネイ(荷積)⇒フィリピン等(荷揚)⇒供給国(cid:0)・距離が長く,復路の途中に他供給国や潜在的な輸入国が位置しているため,バックホールに適する(cid:0)(cid:0)<想定ルート>(cid:0)(cid:0)日本⇒東南アジア(荷積)⇒インド(荷揚)⇒供給国(cid:0)・距離が短く,ルート上に他の輸入国や供給国がないため,バックホールは困難(cid:0)マレーシア(cid:0)インドネシア(cid:0)オーストラリア他(cid:0)UAE(cid:0)カタール(cid:0)オマーン他(cid:0)シア(サハリン)(cid:0)(cid:0)ロ(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)西(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)北(cid:0)チわることが予想される。こうした新規参入予定の国も含めると,以下のようなアジア太平洋地域における今後のスワップ取引の可能性が指摘できる。・サハリンⅡが導入された場合,輸入国の中で日本が最も供給国に近いというプロジェクトが登場することになり,台湾,中国等と日本の間に輸送距離の短縮化のためのスワップ取引の可能性が発生する。具体的には,「日本の東南アジア産LNGを台湾等へ,台湾等のサハリンLNGを日本へ」等のケースが想定される。・インドでのLNG輸入が開始された場合,「日本の中東産LNGをインドへ,インドの東南アジア産LNGを日本へ」というスワップ取引の可能性が発生する。・北米・西海岸の基地が新設された場合,日本との間にアラスカ産LNGとサハリンⅡLNGのスワップの可能性が発生する。②バックホールの可能性効率的なバックホールを行うためには,輸送が長距離であること,LNG船の空荷航海ルート上に他の供給国と他の輸入国が互い違いに位置していることが必要となる。図表3?9は,今後の新規参入予定国も含めアジア太平洋地域におけるLNG輸送を日本からみた方面別にグルーピングし,各LNG輸送ルートの特徴やバックホールの可能性を整理したものである。4.LNG価格決定の方向性アジア地域向けLNG価格は欧米向けに比べ,約1$/MMbtu割高であることや原油価格にリンクする等の特徴を有している。こうした価格形成の背景にはエネルギー生産地から遠いことによる輸送コスト問題,LNG導入期における契約条件の硬直化など多岐に亘る要因が存在する。前章ではLNG調達コストの低減と弾力性向上の方向性について考察を加えたが,本章では特にLNG調達コスト低減即ち経済性の実現に焦点を当て,我が国を中心としたアジア地域向けLNG価格に係る将来の方向性と今後の課題について考察する。4-1.アジア太平洋地域におけるLNG価格の方向性現在,アジア太平洋地域のLNG輸入国である日本,韓国,台湾は,全日本入着平均原油価格(JCC)を価格指標とする長期価格フォーミュラを採用(ただし,インドネシアLNGはインドネシア輸出原油価格を価格指標として採用)しており,価格レベルにも大きな格差がない。しかし,これからLNG輸入を開始するインド,中国の各国は,国内のエネルギー競合環境等から,JCCリンクの価格フォーミュラとは異なる価格水準や決定方法を求める動きを見せている。また,北米西海岸で受入基地が新設された場合,輸入LNGは,当然,北米の天然ガススポット・先物価格(ヘンリーハブ価格等)を参照した価格決定方式を採用する可能性がある。インド,中国を中心とした新たなLNGマーケットを含むアジア地域においては,・需要変動への対応や危機管理等のためのスポット・短期市場の整備・新規プロジェクトの立ち上げのための需要の連携・価格低減のためのLNG輸送等での提携等の重要な課題の実現に向けて,同地域内においてコミュニケーション・ネットワークの整備,LNG取引の流動化,LNG価格の決定方式の統一等が期待される。こうした視点から,以下の変化要因に注目していきたい。(1)LNG買主によるガス田やLNGプラントへの進出や自社LNG船の所有は,各買主におけるLNG上流分野に関する情報や知見の深化を促すとともに,LNG輸送やスポット取引等における買主間の協力の機会を提供する。(2)2010年までに,マレーシアLNGⅠ,西豪州LNG,アラスカLNG等が契約更改を迎える。契約更改交渉において,既存買主は,価格低減,契約数量の見直し,契約の短期化,引取弾力性の拡大等を求めることが想定される。売買主で折り合いがつかない場合,最終的に数量が市場にリリースされ,LNGの流動化が高まるケースも想定される。石油/天然ガス レビュー ’02・7―10―i3)電力・ガス事業者やLNG供給者等が他国の電力・ガス事業へ新規参入する状況が進展しつつある。特にLNG供給者による電力・ガス事業を始めとした下流事業への進出は,“Market Takers”から“Market Makers”への移行と称され,「ブランド型LNGの販売」を始めとする取引形態の変化に繋がるものと考える。(4)中国,インド,北米・西海岸がLNG買主として参入することで,環太平洋のLNG市場においてスポット・スワップ取引の機会が増え,LNGの価格形成にも大きな影響を与える可能性がある。(5)インド,中国ではLNG価格条件に関し,アジアの既存契約価格とは異なる形式への志向を示している。この内,Dakshin BharatEnergy Consortium(DBEC)とRasgas間の契約では,固定価格の導入が検討されており,アジアの既存価格のあり方にも大きな影響を与える可能性もある。(6)サハリンⅠプロジェクトからのPNG供給がアジア地域のLNG需給バランスとLNG価格決定方法に与える影響は大きいと考えられる。4-2.LNG価格グローバル化の可能性今後,アジア市場(日本,韓国,台湾他)と欧米市場は,供給システムへのアクセスの向上等を背景として,天然ガスの需給ギャップへの対応や価格鞘取り(Arbitrage)を主眼としたLNG取引を通じてお互いの関係を強めていくものと思われる。しかし,世界中で価格が一定の関係(格差)をもって同じような値動きをする,あるいは同一の価格指標を採用する(LNG価格がグローバル化する)段階まで至るのは,以下の要因から難しいと考えられる。(1)欧米の天然ガス市場におけるLNGの位置づけ欧米のLNG価格は,各市場におけるパイプラインガス価格を参照して決められており,PNG価格は,地域ごとに他燃料との競合あるいは天然ガス需給等により決定されている。中期的な視点において,欧米市場で天然ガス供給に占めるLNGの割合は高まるとしても,LNGはPNGの補完財としての立場に留まると考えられ,LNG価格が各地域のPNG市況を反映しないで他地域の価格によって決定される状態は想定しにくい。(2)LNG取引の流動化に関する制約一般的に,LNG価格のグローバル化が進むためには,LNGの物理的な取引が流動化し,世界中をLNG船が自由に行き交う状況が必要と考えられるが,以下のとおり世界レベルでのLNG取引の流動化には一定の限界がある。①LNG調達コストに占める輸送費の比率が高く,コスト最小化のために可能な限り輸送距離の短い供給ソースを選択することが合理的である。また,長距離になればボイル・オフ・ガス(BOG)の発生による輸送効率の低下やLNG価格の上昇等にも考慮が必要となる。②LNG品質,特に発熱量の水準は,日本の都市ガス事業者にとって重要な取引条件の一つであり,通常,受入基地の設備等によって受入可能な上下限が決まってくる。アメリカにおいても,Lake Charles基地は発熱量のレベルに関して許容度が大きいが,他はElbaIsland基地(パイプライン等の制約からトリニダッドやアルジェリアのような低発熱量のLNGしか受け入れられない)のように受け入れられるLNGの品質に制約がある基地のほうが一般的であり,欧州のLNG基地の多くも状況は同様とされる。したがって,受入基地が新設され同基地での容量を確保したからといって,無条件にLNG輸入ができるわけではない(3)売主の行動①現在,世界のLNG供給はPertamina,Petronas,QP,Shell,bp,Exxon/Mobil,等の一部の国営石油ガス会社や大手石油メジャーにコントロールされている。既得権益の確保という観点からみて,これらの既存プレーヤーたちが各地域における現状の価格体系を捨て,LNG価格のグローバル化に積極的に対応していくためには何らかの合理的な理由が必要である。―11―石油/天然ガス レビュー ’02・7A2001年5月(テへラン),2002年2月(アルジェ)にて各国大臣レベルによる「ガス輸出国フォーラム(Gas Exporting CountriesForum)」が開催された。アルジェには15カ国が参加し,これら参加国で世界のガス埋蔵量の73%,輸出量の63%を占めている。本フォーラムは,OPECをモデルに産ガス国連合としての新組織を設立するものではないとされているが,天然ガス生産者の戦力的連携に繋がる可能性もあることから,LNG価格決定に影響を及ぼすと思慮される。4-3.今後のLNG価格設定に関するオプションLNG価格のグローバル化には種々の障害があるものの,今後,規制緩和等によるLNG取引の流動化や新規ガス需要分野の開発等に伴い,天然ガス価格の新たな決定方法に対するニーズも発生してくるものと考えられる。以下,今後の長期的なLNG取引に対応できる価格の設定方法として想定しうるオプションについて考察した。(1)引き続き原油価格を価格指標とするが,更なる価格安定を求めて,固定要素の比率を上げ原油価格にリンクする部分の比率を引き下げる。(2)発電用LNGについては,①LNGの競合燃料であり安定性にも優れた石炭②石炭・重油・原油等の他燃料のバスケット価格③電力小売価格等の価格指標が想定できる。また,一般の都市ガス用LNGであれば,重油,灯油等の石油製品の価格が価格指標として考えられる。(3)New York Mercantile Exchange(Nymex)の天然ガス先物価格(ヘンリーハブ価格)を価格指標とする。この場合,同先物市場を活用してLNG価格の変動リスクをヘッジすることが前提となる。しかし,このオプションの検討に際してはLNG価格が日本のエネルギー市場を反映しないで決定されることが本当に望ましいのかを慎重に見極める必要がある。5.おわりにこれまでの考察のとおり,我が国の主要LNG需要先である電力・ガス分野を取り巻く事業環境等の変化とそれに伴うLNG調達ニーズの多様化は,今後,更に進展するものと考えられる。実際にLNG導入期に比べ,格段の経済性,弾力性を実現し得る契約も一部で見られるようになってきている。一方で,既得権益を確保したい供給者やLNG取引に係る物理的な制約は,LNG価格のグローバル化などドラスティックなLNG取引の変化を妨げることになる。我が国のLNG契約には,10年以内に更改時期を迎えるものが多く存在し,新たに締結される契約条件は世界のLNG市場から注目されることになるだろう。そのような意味で我が国を中心としたアジア地域が,変革期に差し掛かりつつあるLNG市場に今までに無い潮流を生み出すことが期待される。また,PNG導入が我が国のLNG取引に与える経済性・弾力性面での影響度合いは,上述のアプローチとは異なるものの,大規模かつ抜本的なものとなる可能性がある。以上石油/天然ガス レビュー ’02・7―12―
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2002/07/30 [ 2002年07月号 ] 海老坂 信朗
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