ページ番号1006012 更新日 平成30年2月16日

中国国有石油企業、怒涛の国外進出 ― NOC の企業戦略と国家戦略の微妙な関係―

レポート属性
レポートID 1006012
作成日 2002-07-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業探鉱開発
著者 竹原 美佳
著者直接入力
年度 2002
Vol 35
No 4
ページ数
抽出データ 中国国有石油企業,怒涛の国外進出?NOCの企業戦略と国家戦略の微妙な関係?竹 原 美 佳*2002年に入って半年足らずで,中国のNational Oil Company(NOC)が1,400億円以上の国外上流石油資産の買収を行っていることをご存知だろうか。中国は何事においても二つの顔を使いわけて行動している。政治については共産党一党独裁を,経済についてはグローバル化・市場化を追求しており,その両面において国際社会で強固な地位を確立しようとしている。特に経済については,2001年11月のWTO加盟が象徴しているように,外国企業への市場開放並びに中国企業の国外進出を奨励している。NOCが近年積極的な国際展開を実施していることも,この中国の国策に沿ったものである。中国政府は石油の純輸入国となった1990年代後半から「資源外交」を活発に行っており,NOCの国際展開を積極的に支援しているように見えるが,それは中国が世界に政治,経済的な拠点を築くために行っている手段の一つであり,副産物でもある。政府はNOCに対し,「エネルギーの安定供給のため国外資源の確保」を求めるとしているが,その実「国外生産原油の国内持ち込み」よりも「外貨の獲得」や「国際社会における中国の国威発揚」を求めている。中国は2050年までにアメリカに政治的,経済的に追い付くことを至上命題としている。中東,ロシア・中央アジア地域や米国の制裁対象国(スーダン)等への接近は,資源外交の観点からは「産油国との協力関係強化」であるが,政治的,経済的には「隙間(ニッチ)戦略」であり,米国を牽制することを意識した行動であると解釈される。部分民営化しているNOCは,株主から常に安定した成長性を求められており,採算を度外視して国策に従うことは経営の失策を意味する。しかしながら,(特に陸上において)国内の探鉱開発が頭打ちであるNOCにとり,国際展開は時宜に適った戦略であり,適切に埋蔵量・生産量を増やすことが出来れば,株主に成長性をアピールすることができる。また,株式上場によりキャッシュを保有しているNOCにとり,資産買収はキャッシュフローの安定,ポートフォリオの改善にもつながる。ここにおいて国際展開に係る政府とNOC両者の利害は一致している。日本の石油開発企業がこのような双頭の龍に伍していくにはどうすれば良いか。石油業界に限ったことではないが,過度に脅威と捉える必要は無く,また過小評価することも適当ではない。中国古代の兵法家・孫子の「彼を知り己を知れば,百戦してあやうからず」(孫子・謀攻編)という言葉が表すように,相手について固定観念を捨て,冷静に分析すれば答えは自ずと見つかるのではないか。本稿がそのための一助となれば幸いである。1.中国政府のエネルギー国際戦略(1)目的:国内資源の補完,供給多様化による*本稿は,企画調査部 竹原美佳(E-mail:sato-mi@jnoc.go.jp)が担当した。エネルギー安定供給・安全保障国家経済貿易委員会は2001年6月に発表した「産業別第10次五カ年計画」において,「産油国・消費国政府,国際エネルギー機関(IEA),国際石油資本(メジャー)との交流と協力を強化すること」並びに「政治・外交ルートを通じ―13―石油/天然ガス レビュー ’02・7ホ油輸出国(特に中東,中央アジア,ロシア)などの国,政府との関係を改善すること」により,石油の安定供給と輸入ルートの多様化を図るとしている。(2)戦略地域:①ロシア・中央アジア,②中東,北アフリカ,③南米,④東南アジア北米,欧州を除くほとんど全世界であり,戦略地域ではなくNOCの既存進出地域を羅列したものに見える(図1参照)。④の東南アジアについて,「産業別第10次五カ年計画」では触れられていなかったが,2002年4月に中国で開催された博熬(ボーアオ)フォーラム(中国・海南省で開催されたアジアの経済協力をテーマにしたシンポジウム)において,エネルギー産業を所管する国家経済貿易委員会主任の李栄融(Li Rongrong)氏が「中国企業は東南アジア諸国における石油の探鉱開発を推進すべき」と発言していることから,最近東南アジアにも注目していると推察される。(3)目標2005年までに国外保有資産における権益ベースの生産量を30?50万b/dとする(2000年末現在のNOCによる国外における権益ベースの生産能力は,原油が27万b/d,天然ガスは77百万cf/d)権益ベースの生産量については,CNPCがほぼ100%のシェアを占め,主要生産地域はスーダン(約10万b/d)である。(4)資源外交①資源外交の位置付け ?資源外交は政治・貿易の副産物?中国政府は,石油製品の純輸入国に転じた1993年(1995年には石油・石油製品共に純輸入国)から,国内資源の不足を補うことを目的としてNOCに海外進出を奨励している。NOCは不振が続く中国の国有企業の中でほとんど唯一の稼ぎ頭であることから政府の関心と期待を集めている。国際展開についても当初は経験,資金の不足から難航したものの,スーダンのプロジェクトが成功を収め,現在は投資を回収している。政府はNOCの国際展開に対し,「エネルギーの安定供給・安全保障」,「外貨の獲得」,「世界に拠点を築き,中国の国威を発揚する」という“一挙三得”を求めており,資源外交を活発に行うことで,石油企業の海外進出を支援している。このことはベネズエラやインドネシア大統領の訪中に合わせて,両国の国営石油会社の間で事業提携や契約が締結されていることからも明らかである。しかし政府にとり,石油の安定供給(資源の確保)よりも,外貨の獲得と中国のプレゼンス拡大という目的の方が,優先度が高いようである。中国は2050年までに政治的,経済的にアメリカに追い付きたいという目標を持っている。中国は1990年代に入り,近隣諸国南米その他(cid:0)ベネズエラ(cid:0)(cid:0)○ペルー(cid:0)カナダ(cid:0)東南アジア・(cid:0)オセアニア(cid:0)◎インドネシア(cid:0)タイ(cid:0)パキスタン(cid:0)○ミャンマー(cid:0)図1 中国NOCの主要進出地域(上流案件)(cid:0)中東(cid:0)アフリカ(cid:0)ロシア・(cid:0)中央アジア(cid:0)アゼルバイジャン(cid:0)○カザフスタン(cid:0)トルクメニスタン(cid:0)◎ロシア(cid:0)(cid:0)(アルジェリア)(cid:0)◎スーダン(cid:0)チュニジア(cid:0)(リビア)(cid:0)(cid:0)イエメン(cid:0)イラク(cid:0)○イラン(cid:0)オマーン(cid:0)UAE(cid:0)(クウェート)(cid:0)(サウジアラビア)(cid:0)◎は重点対象と思われる国,○は◎には劣るが重点と思われる国,( )は交渉中の国(cid:0)石油/天然ガス レビュー ’02・7―14―k最近の主な資源外交〕1995年1995年1996年1997年1999年2000年2001年2002年石油関連契約・CNPC,クウェート国営石油会社KPCと集油所及びパイプライン建設に係る契約を締結(2000年末完成)・CNPCはイラクAl-Ahdab油田のPS契約(注1)に調印・CNPCはカナダ石油企業等と企業連合を結成し,スーダンHeglig油田の拡張・パイプライン建設・製油所拡張工事等に関する契約を締結。・6月:CNPCはベネズエラ限界油田再生事業の第3次国際入札においてIntercampo Norte,Caracolesの2鉱区を落札(落札額はIntercampo Norteが118百万USドル,Caracolesは240百万USドル)。CNPCはカザフスタンAktobemunaigaz社株式の60%を取得。・6月:江澤民主席カザフスタン訪問・10月:サウジアラビア国営石油会社Aramcoが,Sinopec・Exxonの中国福建省合弁石化プロジェクトに参加することについて覚書を締結(FS承認済み,2005年完成予定)。・1月:Sinopecはイラン国営石油会社NIOCとZabareh?Kashan鉱区における探鉱バイバック契約(注2)を締結。・5月:CNPCはベネズエラ国営石油会社PDVSAとオリマルジョン購入及びZumano油田のエンジニアリングサービスに係る契約を締結。(現在,FS実施に向け,CNPCとTransnefteがロビー活動を実施)・12月:CNPCはミャンマーでTG Worldの権益70%を250万USドルで買収。(契約調印は江沢民主席のミャンマー訪問に合わせて実施。)・4月:CNPCはオマーン企業Petrogas社を50百万USドルで買収することを通じて,ジャペックス売却資産(Block05)の権益100%を取得インドネシア国営石油会社PertaminaとPetroChinaは事業提携に係るMOUを締結。(同月,PetroChinaはDevon Energyのインドネシア保有資産を216百万USドルで買収)(江澤民主席のリビア訪問時,CNPCは副総経理を団長とする代表団を派遣)政府首脳外交中国,原油・石油製品共に純輸入国へ・4月:クウェートのサアド皇太子(首相)訪中・6月:イラクのラマダン副大統領訪中・9月:スーダンのバシル大統領訪中・2月:サウジアラビアのアサフ財政経済相訪中,中国と経済協力に関する合意文書に調印・11月:李鵬首相ベネズエラ訪問・6月:江澤民主席カザフスタン訪問・江澤民主席サウジアラビア訪問,石油分野を含む両国の協力について合意・6月:イランのハタミ大統領訪中,エネルギー分野を含む協力関係を強化する共同コミュニケに調印。・7月:江澤民主席トルクメニスタン訪問,天然ガスパイプラインの企業化調査(FS)を実施することで合意・5月:ベネズエラのチャベス大統領訪中。エネルギー協力について合意。7月:江沢民主席,ロシア訪問。「善隣友好協力条約」の締結及び東シベリア?中国間原油パイプラインのFS実施について合意。・11月,中国WTO加盟・12月:江澤民主席ミャンマー訪問。・3月:呉儀国務委員イラン,レバノン,オマーン,UAE,バーレーン,サウジアラビア訪問。オマーンと石油天然ガス開発を含む包括的協力協定を締結。・4月:インドネシアのメガワティ大統領訪中江澤民主席リビア,ナイジェリア,チュニジア,イランを訪問。リビアと石油・天然ガス開発を含む包括的協力協定を締結注1:PS契約(Production Sharing Contract)はサービス契約の一種。探鉱が成功した場合,生産物(産出した原油・ガス)の取り分比率が決まっている契約。契約期間は一般的に20年。注2:探鉱バイバック契約(Buy-Back Contract)は,サービス契約の一種。探鉱コストを負担し,一定のリターン(投下資本額+報酬(便宜上原油で支払われる))を受け取る契約。当該契約の契約期間は3年(1年間の延長オプション)。―15―石油/天然ガス レビュー ’02・7ニの友好,欧米諸国との関係改善を図る「全方位外交」を展開しているが,それは経済を発展させ,世界に政治,経済的な拠点を築くことが目的である。資源外交はその一手段であり,副産物でもある。②油よりお金中国は石油の純輸入国になったとは言え,国内に石油資源が存在する(石油の可採年数(R/P)は約15年)ため,実際には外貨の獲得が原油の国内持込みよりも優先しているようである。例えば,CNPCがベネズエラやカザフスタンで生産している原油は輸送ルート等の問題で,中国に持ち込むよりも,周辺国で販売する方が経済的であるため,ほとんど中国国内には持ち込まれていない。国内持込義務は明示的には存在しない。③資源外交とNOCの関係?政府とNOCは一枚岩?NOCは,政府のこうした国家戦略に沿って行動しているように見受けられる。部分民営化したNOCは自らの国際展開と政府資源外交との関係について,「メジャーに比べ競争力が無いので,政府の外交という手段を有効に利用することはあるが,経営の自主性はあくまで企業にあり,事業の国際展開について政府から指示を受ける事は無い。」と述べている。しかしこれは株主向けの発言で,実態は国策と渾然一体のように見受けられる。例えばCNPCの上場子会社PetroChinaの2001年Annual Resultによると,2002年の資産買収の対象エリアを中東・アフリカ,ロシア・中央アジア,アジア・太平洋地域(つまり欧州・米国以外のほぼ全地域)と設定している。同社は2002年中に国外で少なくとも5件の資産買収を行う計画であり,実際にインドネシアにおける資産買収に続き,アゼルバイジャンなど各地で交渉を行っているようである。しかし同社の企業規模から見て,上記地域全てをコアエリアとするのは無理があるように思える。もっとも,部分民営化しているNOCは,株主のチェックがあるため採算を度外視した経営を行うことはできないので,今後国家戦略に沿った事業のうち,イラクやリビアなど米国や国連の制裁対象国や,採算的に厳しい案件は,株主のチェックが存在しないCNPCが引き受け,商業価値の高い案件は上場会社のPetroChinaが行っていくのではないかと思われる。また,1億USドル以上の案件については,政府が依然として許認可権を保有している。例えばPetroChinaが2002年4月にカナダHusky Energyの資産買収を検討(結局断念)した際,エネルギーのマクロ計画を主管する国家発展計画委員会(SDPC)副主任の張国宝(Zhang Guobao)氏が「(買収報道を受け,Husky Energyの株価が上昇したため)買収交渉は“価格の高さ”から成立しなかった」と発言している。本件はまた,HuskyEnergyの大株主が香港や中国本土の政財界に強い影響力を有すると言われる香港・長江グループの李嘉誠(Li JiaCheng)氏であることから,中国政府と同氏が直接交渉を行っているという憶測が流れたりもした。政府と企業が一枚岩であるのは石油産業に限ったことではない。政府(国務院)の要職は全て共産党幹部が占めている。江沢民は国家主席であり,共産党総書記である。そして,国有石油企業の要職についても同じことである。中国石油天然気集団公司(CNPC)総経理の馬富才(Ma Fucai)氏も,中国海洋石油総公司総経理の衛留成(Wei Liucheng)氏も国務院が任命した人間であり,その組織の共産党委員会の長を務めている。馬氏,衛氏共に上場会社の最高責任者(馬氏は会長,衛氏はCEO)でもある。中国共産党は,中央から末端,民間企業に至るまで党組織のネットワークを張り巡らしている。もっとも,小学校の頃から身近に党組織があった中国の人間,特に国有企業に勤める人間にとり,組織のトップが党組織のトップを務めていることにそれほど抵抗は無いようである。2.NOCの国際展開NOC自身の国外進出の目的は,安定した成石油/天然ガス レビュー ’02・7―16―キ性の確保(収益性及び埋蔵量,生産量の増大)である。中国石油天然気集団公司(CNPC/上場子会社はPetroChina)並びに中国海洋石油有限公司(CNOOC/上場子会社はCNOOC Ltd.)は国内に立脚しながらもここ数年国外で積極的に資産買収を行っている。民営化した企業は常に収益性・成長性を投資家にアピールしていく必要がある。NOCは株式上場により潤沢なキャッシュを保有しているが,その使い道について株主から強いプレッシャーを受けている。短期的にキャッシュフローを改善する手段として,NOCは国外における資産買収に活路を見出した。資産買収により,企業規模の拡大,ポートフォリオの改善が図れることも国内原油生産が頭打ちであるNOCにとり都合が良い(表1,2参照)。NOCの資産買収の特徴はそのプライシングの高さにある。2番札に比べかなり強気なプライシングを行っている。彼らはそのコストを人件費や資機材の安さでカバーできると考えているようだ。一見無謀な買収を行っているように見えるが,オペレーター案件など将来性を加味したプライシングを行っており,外国のアドバイザーに評価を委託し,オペレーター案件など目的や対象を絞って買収を行っている点は注目に値する。CNPC,CNOOCの成功を受け,精製・化工をコア事業とする中国石油化工集団公司(Sinopec/上場子会社はSinopec Corp.)や国有トレーディング企業の中国石油進出口総公司(Sinochem)も国外における探鉱開発事業への進出を図っており,2002年に共同で資産買収事業を実施した(表1参照)。NOCの資産買収におけるもう一つの特徴は欧米石油資本が進出しにくいイラン,イラク,スーダンなど国連や米国の制裁対象地域に進出する「隙間(ニッチ)戦略」(CNPCはイラク,スーダンに鉱区を保有。Sinopecがイランで契約を締結)にあったが,1の(cid:0)で述べた通り,株主の目が届かない親会社はともかく,ニューヨークや香港に株式上場しているPetroChina,Sinopec Corpはその手を封じられている。なお,CNPC,PetroChinaはそれぞれが国外に進出し,権益を保有しているが,CNOOC,Sinopecの国外保有資産は上場子会社のCNOOC Ltd.,Sinopec Corp.が権益を保有している。(1)NOCの企業規模民営化後のNOCの企業規模を生産量(2000年)及び時価総額(2001年)で表すと,PetroChinaは生産量が約210万boe/d(boeは石油換算),時価総額は約313億USドルであり,生産量ではTotalFinaElf,時価総額ではConocoPhillipsに匹敵する位置にいる。CNOOC Ltd.は生産量(23.9万boe/d),時価総額(79.3億USドル)共にKerrMcGeeに匹敵する位置にいる。Sinopec Corp.は下流部門(精 図1 中国NOCの企業規模―17―石油/天然ガス レビュー ’02・7栫@期(cid:0)2001年(cid:0)2002年(cid:0)備  考(cid:0)TG World権益の70%を250?440万USドルで買収。(cid:0)EBRD(欧州復興開発銀行)から操業会社Salyan Oil権益30%を52百万ドルで買収(cid:0)Devon Energyの権益を216百万USドルで買収。(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)endor子会社Mazoon Petrogasを50百万USドルで買収。(cid:0)2002年(cid:0)(cid:0)(cid:0)V2002年(cid:0)abung,Bangko,South Jambi“B”,Tuban, Salawati Basin, Salawati Island(cid:0)(確認+推定:163百万boe)(cid:0)Block05*(cid:0)TG World権益の70%(cid:0)(確認+推定:67Bcf)(cid:0)Karabagli,Kurasangi (確認+推定:180百万bbl)(cid:0)表1 最近の中国NOCの国外における資産買収(cid:0)〔CNPC,PetroChina〕(cid:0)国  名(cid:0)企 業(cid:0)鉱区(埋蔵量)(cid:0)ミャンマー(cid:0)CNPC(cid:0)(cid:0)JetroChina(cid:0)(cid:0)C(cid:0)(cid:0)PNPC(cid:0)(cid:0)(cid:0)Cンドネシア(cid:0)マーン(cid:0)(cid:0)ア(cid:0)(cid:0)イ(cid:0)(cid:0)(cid:0)オゼルバイジャン(cid:0)NPC(cid:0)公団主導で売却したジャペックス資産(cid:0)〔CNOOC Ltd.〕(cid:0)国  名(cid:0)インドネシア(cid:0)企 業(cid:0)鉱区(埋蔵量)(cid:0)備  考(cid:0)CNOOC Ltd.East South Sumatra, Offshore Northwest Java, West Madura, Poleng, Blora(cid:0)(確認+推定:461百万boe)(cid:0)時 期(cid:0)2002年(cid:0)Repsol?YPFから現地操業会社及び権益を585百万USドルで買収。(cid:0)〔Sinochem(Sinopec Corp.)〕(cid:0)国  名(cid:0)チュニジア,オマーン,UAE企 業(cid:0)Sinochem (Sinopec:50%)(cid:0)鉱区(埋蔵量)(cid:0)オマーン,チュニジア,UAE(cid:0)(埋蔵量:N.A)(cid:0)時 期(cid:0)2002年(cid:0)備  考(cid:0)Atlantis社を215百万USドルで買収(cid:0)(Sinopecと共同開発)。(cid:0)出所:各社年報及び東西貿易通信社「中国の石油産業と化学工業」等に基づき作成(cid:0)製・石化)がコア事業であるが,生産量は71.5万boe/dでCNOOCLtd.やAnadarkoを凌駕している(図1参照)。年の国外権益分生産量の目標は18万b/d。Petro China:国外権益ベース生産量(2001年):無し(2)NOC国外進出の現状及び目標①メジャー志向〔CNPC,PetroChina〕主要進出地域。()は候補地域:中央アジア,東南アジア,中東・北アフリカ,北米・南米,(ロシア)CNPC国外権益ベース生産量(2001年):原油13万b/d,天然ガス55百万cf/d。2002CNPCにはメジャー志向があり,現在は上場により十分な手元資金を有していることから,オペレーター案件など自らにとって有利と見なした資産買収には今後も積極的に応じていくと思われる。国外資産獲得への熱意は,PetroChinaがDevon Energyのインドネシア保有権益買収の際,2番札の1割強のプライシング石油/天然ガス レビュー ’02・7―18―sったことからも明らかである。(CNPCは現在アルジェリアで入札に参加しており,アゼルバイジャンMuradhanly油田の権益取得についても同国国営石油会社SOCARと交渉中である。)②最有力地域はロシアCNPC(PetroChina)にとり,現在最も重要な地域はロシアである。同社は中国東北部,西部の主要油田を押さえている(原油の国内生産に占めるシェアは65%)が,地理的観点からロシア(特に東シベリア)を中国東北部・大慶油田(国内供給の3割を占める国内最大の油田,近年老朽化による生産減退が顕在化)の代替原油と見なしている。現在,東シベリア?中国東北部向け原油パイプラインの商業性調査(FS)実施に向け,ロシアの国営石油パイプライン会社Transnefteと共に両国政府にロビー活動を行っている。)また,ロシア原油は硫黄分を含有するため,CNPCは中国東北部に保有する精油所をロシア原油処理用に改造している。ロシアは中国にとり,天然ガスの供給国でもある。現在,東シベリアKovyktinskoye(コビクタ)ガス田の天然ガスをパイプラインで中国,韓国に供給するプロジェクトが進行中であり,現在は各国(ロシア,中国,韓国)が商業性調査(FS)を行っている。2007年以降に中国,韓国向けに200?300億m3/年の天然ガスが供給される見通しであるが,ガスの価格,ルート,資金等多くの問題を抱え,交渉は難航している。中央アジアについて,進出当初は同様の観点から,西部油田生産原油の後継資源と見なしていたようだが,現在は,建前上中東原油依存度の低下を図るためとしているが,実の所,政治,商業上の観点から中央アジアへの進出を目論んでいるようである。CNPCは1997年にカザフスタンで鉱区を保有し,原油を生産している。契約締結にあたり,カザフスタン政府とCNPCの間でカザフスタン?中国西部向け原油パイプラインを建設する計画があったが,中国西部油田の開発が遅れていることから,その計画はほとんど進展していない。2002年5月現在,PetroChinaはカザフスタンの国営パイプライン会社Transneftegasと共同でカザフスタン国内Kenkiyak?Atyrau間原油パイプライン(約450Km)を建設中である。パイプラインは,2004年に完成する予定であり,設計輸送能力は10百万トン/年(20万b/d)。同パイプラインが完成すると,CNPCの生産した原油は中国ではなくTengiz?Novorossiisk(CPC)原油パイプラインと接続し,欧州向けに輸出される。CNPCは2002年に欧州復興開発銀行(EBRD)からアゼルバイジャンの鉱区を取得しているが,同鉱区から生産された原油も欧州向けに輸出される公算が高い。③原油処理能力CNPCの生産原油は軽質で硫黄分も少ないものが多く,精油所処理能力の中東高硫黄(サワー)原油対応もSinopecに比べ遅れている。処理能力の増強には莫大なコストがかかるが,同社はコア事業である上流事業に投資を集中しているため,今後は精油所の増強よりもむしろ国外に進出し,インドネシア,オマーン,スーダンなど国内生産の代替原油を獲得することに注力すると思われる。CNPCはインドネシア資産獲得に続き,公団主導で売却したオマーン権益を購入した企業を買収することにより資産を取得している。また,国外から持ち込んだ原油の精製について,CNPCは台湾国営石油会社CPCや日石三菱に委託するなどの対策も講じている。④分業による相互補完CNPC,PetroChinaの双方が国外に進出しているが,米国や国連の制裁対象国や小規模のものはCNPCが引受け,新規かつ商業価値の高いものはPetroChinaという分業による相互発展を目指すと思われる。〔CNOOC Ltd.〕主要進出地域( )は候補地域:東南アジア,(ロシア,中東)CNOOC Ltd.:国外権益ベース生産量(2001年)原油2,247万b/d,天然ガス195MMcf/d。2005年までに国外プロジェクトの権益分生産量を12万b/d。とする。―19―石油/天然ガス レビュー ’02・7@経営資源の選択と集中CNOOCの国外進出の目的は企業規模(生産量と埋蔵量の増大を含む)の拡大である。投資家に魅力的な企業であることをアピールし,企業として生き残るためで,同社は今後数年間,生産量を年率15%程度増加させる計画である。しかし国内海洋のシェアを独占しているとは言え,原油の国内生産に占めるシェアは11%に過ぎず,国内の増産分だけでは目標達成が困難(現在増産を進めているが,ピークは2005年頃)であることから,国外資産(特に低リスクの開発案件)の買収を検討していた。そして2001年にRepsol?YPFのインドネシア保有資産を買収し,「(株式上場により調達した)キャッシュの有効利用」,「(国内増産や広東LNGなど下流事業の投資回収までのつなぎとして)短期的な原油生産の増強によるポートフォリオの最適化」という目的を達成した。②コアエリアの形成CNOOCのもう一つの国外進出の目的は「コアエリアの形成」にあると思われる。Repsolは外国石油企業としてはインドネシア海洋における第1位の,全体でも第2位(1位はカルテックス,主に陸上資産を保有)の会社であったため,CNOOCは同社の資産(現地操業子会社9社及び陸上1鉱区を含む5油ガス鉱区の権益)を丸ごと買収することにより,インドネシア海洋における最大の外資石油企業となった。(CNOOCは両国の関係が良好ではなかった1994年からインドネシアのMalacca Strait鉱区に参入しており,インドネシアに“土地勘”があると言える。同国の華僑がNOCの参入を政治・経済的に支援しているという噂もある。)〔Sinopec Corp.〕主要進出地域( )は候補地域:中東,アフリカ(ロシア)Sinopec:国外権益ベース生産量(2001年):無し2005年までに国外プロジェクトの権益分生産量を4?5万b/dとする。①上流事業の強化Sinopecの国外進出の目的はCNOOC同様生産量と埋蔵量の拡大である。Sinopecは精製・化工をコア事業とする企業であり,輸入原油の9割を処理している(中国全体の原油処理能力は約500万b/dでSinopecが約50%,PetroChinaが約40%,その他,地方の製油所が10%のシェアを占めている)。Sinopecは元々上流資産を保有していなかったが,1998年にCNPCと上・下流資産を相互に移譲したことで,現在国内原油生産に占めるシェアは23%に達している。しかし自社保有の精油所に対し,自社生産原油の占める割合は30%で,残りはCNPC,CNOOCからの購入と輸入に依存している。Sinopecはこの状態を改善するために,沿海地区における精油所の中東高硫黄(サワー)原油の処理能力を増強(同社の処理能力は2000年末現在約60万b/d)すると同時に,自らも国外へ進出する戦略を取っている。②進出(希望)地域は中東,西アフリカ,北アフリカ,ロシアSinopecは2001年から2005年までに12億USドルを国外上流事業に投資する計画であり,中東,西アフリカ,北アフリカ,ロシアにおける上流プロジェクトへの参加を検討している。しかし一部報道によると,ロシア地域について中国政府はCNPCに優先交渉権を与えており,Sinopecの同地域への参入の可能性は不透明である。しかし,中東,特にイランについては,政府の支援を受け順調に進出している。現在,クウェート北部油田開発プロジェクト(「プロジェクトクウェート」)の入札にノンオペレーターとしてショートリストされている。参考1:中国のエネルギー外交における地域別の事情ア.中東中国の中東原油輸入依存度は2001年現在56.2%であり,現在の所,アジアで最も原油輸入の多様化が進んだ国である。しかし,今後は中東依存度が増していくと思われる。中国で中東依存度が低く押さえられてきたのは,供給多様化政策が成功していたためというよりも,むしろ中国国内製油所における中東サワー原油の石油/天然ガス レビュー ’02・7―20―?摧\力が低いことが最大の要因である。国内最大の供給量(約100万b/d)を誇る大慶原油はインドネシアのMinas原油に似た低硫黄の軽質(スウィート)原油であり,中国は石油の輸入を開始した当初,製油所の対応が容易なことから,主にインドネシアやオマーンなど大慶原油と近い性状の原油を輸入していた。また,中国は日本と違い公害規制が緩やかであったため,中国の製油所は中東サワー原油に対応した脱硫装置を設置することが遅れた。しかし石油の消費量が増えるに従い,割高なスウィート原油から中東サワー原油へのスイッチが行われた。(例えば,中東サワー原油の代表であるドバイはスウィート原油の代表であるブレント価格に比べ,1?2USドル/bbl割安である)中国はSinopecを中心に,製油所のサワー原油処理能力の増強を行い,1998年以降イランやサウジアラビアからの原油輸入量を増加した。2001年にはカタールやクウェートからの輸入も開始しており,オマーンは第3位の輸入国となった(図2参照)。中東原油の処理能力増強に伴い,中国の中東依存度は今後も高くなっていくことが予想される。今後中国が中東依存度を現在のレベルに維持するためには,より強固な政策的アプローチが必要となる。天然ガスの供給比率を2010年までに現在の2%から8%程度に上昇させるという計画があるが,これは主に石炭の消費量を引き下げるための施策である。また,イラクやイランはもちろんであるが,サウジアラビアへの接近は産油国との関係強化という目的もさることながら,米国を意識した政治的,経済的戦略と解釈される。サウジアラビアとの関係は江沢民国家主席が1999年11月にサウジアラビアを訪問し,原油輸入契約量を増加することについて同意したため原油輸入量が増加している。2002年4月に呉儀国務委員がサウジアラビアを訪れた際,同国のガス田開発への中国NOCの参加を要請している。イ.ロシア・中央アジアロシア・中央アジアへの接近は「全方位外交」政策の一環であると共に,米国を牽制するための政治的,経済的戦略である。ロシア・中央アジア4カ国とは2001年6月に「上海協力機構」を創設した。前身の「上海ファイブ」は主に安全保障協力が目的であったが,「上海協力機構」は資源開発や鉄道建設など経済協力も盛り込んだ総合的な地域協力組織である。またロシア・中央アジアとの関係を良好に保つことは,新彊ウイグル自治区の少数民族による「東トルキスタン」独立運動を阻止し,中国国内の政情を安定させるためにも重要である。ロシアとは2001年7月に「中ロ善隣友好協力条約」を調印し,戦略的パートナーシップをさらに強固出所:CHINAOGPに基づき作成図2 中東地域からの原油輸入推移―21―石油/天然ガス レビュー ’02・7 なものとしている。ウ.アフリカ,中南米中国はいわゆる発展途上国の支持を背景に欧米と渡り合うという外交戦略の下,アフリカとの関係を重視してきた。またアフリカは台湾との外交合戦の場でもある。2001年現在,中国のアフリカ原油輸入依存度が22.5%と比較的高いことはそのことと無関係ではないと思われる。しかし主な原因は2?(2)で述べた通り,国内精油所の中東サワー原油対応が遅れており,アンゴラからの低硫黄原油の輸入を多用していたためである。現在はイランやサウジアラビアからの原油購買契約量増加に伴い,アンゴラからの輸入量は減少している。また2000年からNOC(CNPC)がスーダンで生産した原油を持ち込んでいるため,スーダンからの輸入量が急増している(図3参照)。中南米に対する姿勢もアフリカと同様台湾への対抗と米国への牽制である。特にベネズエラとはOrinoco川流域の超重質油から生産されるオリマルジョン(Orimulsion)の開発,購買を通じ,親密な関係が形成されている。チャベス政権発足以降米国との関係が悪化している中でベネズエラと中国首脳の相互訪問が活発化し,2001年5月には石油の探鉱開発から精製まで含む包括的な協力について合意が締結されたことは興味深い。エ.東南アジア近年,中国は関係の悪化していたインドネシアなどと経済協力関係を強化することにより急速に関係を改善している。これもロシア・中央アジア同様,「全方位外交」という政治・経済戦略に基づく南下政策である。中国はASEANとの関係強化を推進しており,2001年11月には,ASEANとの間で10年以内の自由貿易協定(FTA)締結に向け交渉を開始することで合意した。経済低迷で日本の東南アジアに対するプレゼンスが低下する中,中国が将来の市場統合を視野に入れ,東アジアでリーダーの役割を果たそうという意志が感じられる。エネルギー安定供給という観点からは,インドネシアとミャンマーが重要な国と言える。NOCがミャンマー,インドネシアで積極的に資産買収を展開していることはこのことと無関係ではないだろう。まだ商業化調査実施などの計画はないが,ミャンマー沿岸に原油受入ターミナルを建設し,パイプラインで中国南西部に輸送する,または 出所:CHINAOGPに基づき作成図3 アフリカ地域からの原油輸入推移石油/天然ガス レビュー ’02・7―22―ク油所を建設し,石油製品として中国に輸送するという構想がある。現在中国の主な原油輸入ルートはマラッカ海峡を経由するものであるが,中国政府は輸送ルートを多様化すべきであると言っており,この構想が現実のものとなる可能性はある。ミャンマーでCNPCが獲得した鉱区の規模はそれ程大きくないものであるのにも関わらず,江沢民主席のミャンマー訪問に合わせて契約行われたということがミャンマーに対する政府の感心の深さを物語っている。参考2:政府と国有石油企業の関係参考資料:「中国のエネルギー・環境戦略」(総合研究開発機構2001年5月)石油産業の第10次五ヵ年計画(中国国家経済貿易委員会2001年6月)The Sino-Saudi Energy RepprochementImplications for US Nation Security(TheGracia Grroup Jan.2002)PetroChina Annual Report2001CNOOC Ltd. Annual Report2001Sinopec Corp. Annual Report2001世界年鑑中国年鑑―23―石油/天然ガス レビュー ’02・7
地域1 アジア
国1 中国
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アジア,中国
2002/07/30 [ 2002年07月号 ] 竹原 美佳
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。