ページ番号1006026 更新日 平成30年2月16日

今後の上流企業活動において、環境・社会的貢献の取り組みは必須のものとなった

レポート属性
レポートID 1006026
作成日 2002-09-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業
著者
著者直接入力 佐々木 育子
年度 2002
Vol 35
No 5
ページ数
抽出データ トピックス今後の上流企業活動において、環境・社会的貢献の取り組みは必須のものとなった2002年8月26日より9月4日にかけて,持続可能な開発に関する世界サミットWSSD(WorldSummit on Sustainable Development,通称ヨハネスブルグ・サミット)にて,「持続可能な地域開発」「環境」「企業の社会的責任」をテーマとした話し合いが行われている。同サミットのビジネス会議(BASD : Business Action forSustainable Development*1)では,RD/ShellのMoody-Stuart前CEOが全体議長となり,石油・ガス操業のマネージメント向上や温室効果ガス削減などのケーススタディ,持続可能な開発のモデルケース等について議論する。ここ数年,環境分野での国際的取り組みや企業活動と地域開発を調和させる政治的・社会的な動きが急速に高まり,企業活動は環境NGOのみならず,消費者や株主・投資家による厳しい監視の下に置かれるようになった。石油企業は,埋蔵量拡大の必要性から,操業地域を欧米外へ拡大しており,こうした環境や社会的貢献などの取組みは,従来の操業上の問題から,企業価値に反映するような経営上の重要な問題へと変化している。1.世界的な上流事業機会を取り巻く変化世界的な上流事業機会は世界各地に広がり,*1BASDは,RD/ShellのWatts会長が議長を務めるWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:国連持続可能な開発に関するビジネス協議会)が主催。WBSDはリオサミット(1992年の国連環境開発会議UNCED)を契機に設立され,国際的な企業約160社(石油企業では,RD/Shell,BP,ChevronTexaco,NorskHydro, BHP他)が参加している。石油・ガスプロジェクトの地域経済への貢献や再生可能エネルギーへの取り組みケースなど豊富なプロジェクトを実施。RD/Shellは,ガボン,ナイジェリアの地域開発,コートジボアールのHIV対策,タイ,スリランカ,フィリピン,中国の地域・エネルギー開発,ブラジル,メキシコの地域開発などの取り組みを公表している(末尾を参照)。石油企業は環境上,あるいは政治的に開発の難しい新たな地域へ参入し始めている。また,そもそも石油開発は事業の性質上,環境負荷を生じ,大規模な資本投下や石油収入などを巡り操業地域の社会的な軋轢の原因ともなるため,これらへの取り組みが事業の遂行上,非常に重要となり,時には事業の成否に決定的な影響を与えるようになっている。環境や地域問題を克服してはじめて,エネルギー開発は「持続可能な開発」の有効な手段となる。世界各地に広がるエネルギー開発において,「石油会社はとりわけ貧しい国の経済発展にプラスの貢献ができる」(BPのBrowne社長兼CEO)と認識するようになっている。例えば,アフリカではこれまで,石油収入が内戦の資金源となったり,政治抗争の火種となっていたが,新たな生産地域であるアンゴラ(大水深)やスーダンでは,内戦が終結して安定的な石油収入とエネルギー供給が経済の立て直しに大きく寄与すると期待されている。また,中東,アジア,中南米諸国も経済発展のエネルギー源として,また環境対策として,発電用や産業用を中心にクリーン燃料であるガスの利用を拡大する方向であり,ガスの供給プロジェクトが増大している。2.上流企業の環境・社会的責任への取り組み石油企業としてはRD/Shellが1997年に「環境報告書」を,1998年には倫理規定を盛り込んだ「Business Principle」を初めて採択し,それ以降,多くの国際的な主要企業が同様の方針を採択・発表している。ExxonMobilは,2002年5月末,人権・社会的責任に関する同社初の指針「Corporate Citizenship」を発表・導入した。石油/天然ガス レビュー ’02・9―62―ッ社は世界各地のNGOなどから反環境・非人権の急先鋒企業として標的にされており*2,同時期に環境団体グリーンピースがExxonMobil製品に対する不買運動を開始している*3。世界各地で操業する石油企業は,環境・社会的責任など企業理念を明確にし,ホスト国政府/地域社会との関係を,敵対的なものではなく相互利益を追求するパートナーシップに進めて,持続的な地域経済の発展に寄与しつつ,安定的な操業と利益を確保する手法をとっている。特に,今日の世界的な上流案件は大型で長期に亘り地域経済へ大きな影響を及ぼすようになっていること,企業が開発地域で反感を買われればテロ行為を誘引したり破壊行為の対象にされる可能性があることなどから,未然に国やコミュニティーへ働きかけて周辺問題の発生を防ぐことが,増大する事業リスクを軽減することにつながる(末尾参照)。3.環境対策について増大する圧力環境への取り組みや社会的責任を監視する消石油企業の環境・社会的貢献の取り組み費者,投資家の目も厳しくなっている。英国NO.3の年金基金Universities SuperannuationSchimeは,ExxonMobilと地球環境変化についての調査を行い,「同社の環境に対する態度は将来的に評判を落とし,事業機会を逃し,株主に不利益を及ぼす」と結論付けている*4。また,米国主要石油企業のうちExxonMobilを含む18社が,2002年に入り温室効果ガス削減など環境対応を強化するよう求める株主決議を受け取っている。米国の有力な環境シンクタンクWorld Resources Instituteは,上流主要企業16社を対象として「今後10年で石油ガス企業の株主価値は環境リスクによって平均4%減少する可能性がある」との調査結果を発表している*5。企業別では,Apache,Burington Resourcesの株主価値が向上する可能性があるのに対し,Unocal,Repsol,Occidentalは6%以上減少すると予測している。現在,石油企業の主要な機関投資家も再生可能エネルギーへの取り組み強化などの働き掛けを強めており,株主/投資家からも益々このような圧力は増大するものと予測される。具体的な環境・社会的貢献への取り組みは,例えば現地のエコシステムの構築,植林など熱帯雨林保護プログラムへの参加,雇用創出,現地コミュニティプログラム(技術訓練など)への出資,学校や病院,道路など社会インフラストラクチャーの建設,スカラシップなどである。例1)RD/Shellのナイジェリア産油地帯コミュニティへの投資は年間50百万ドル以上。教育,農業への資金援助,インフラ開発,ミクロ融資などを対象とする。この他,従業員の現地雇用化(95%以上),コミュニティ対策として現地ワークショップの開催や,政府,各部族,環境団体,世銀等を取り込んだ操業監視の独立委員会設置などを実施。環境面ではマングローブなどで植林等の保護活動を行う。*2グリーンピースがExxonMobilをターゲットとしている理由は,同社が世界最大の石油会社であり,自身の活動が温暖化の原因になっているのにもかかわらず,温暖化と化石燃料利用の関係を否定して,国際的な温暖化阻止の取り組みを妨げる主要な役割を果たしているというもの。さらに,ブッシュ大統領選挙時の最大の資金援助者であり,同大統領の就任と京都議定書離脱などの政策変更に大きな影響力をもたらしたことを理由に上げている。世界No.1の「global warmer」とされている。http://www.stopesso.org/*3グリーンピースが不買運動を開始した2002年5月の前月,環境諸団体がIPCC(気候変動に対する政府間パネル)のヘッドを変える様にExxonMobilが米国政府へ圧力をかけたと非難して,両者の緊張が高まった経緯がある。*4“Risking Shareholder Value? ExxonMobil and Climite Change “by Mark Mansley http://campaignexxonmobil.org*5米国環境シンクタンクWorld Resources Instituteのレポート“Changing Oil: Emerging Environmental Risks andShareholder Value in the Oil and Gas Industry”。対象会社はAmerada H,Apache, BP, Burlington, ChevronTexaco,Conoco/Phillips, ENI, Enterprise, Occidental, ExxonMobil, Repsol Y, Sunco,RD/Shell, TotalFinaElf, Unocal, Valero Energy―63―石油/天然ガス レビュー ’02・9痰Q)RD/Shellはコートジボアールにおいてエイズ予防プログラムを実施している。2000年4月より自社でエイズ予防の教育プログラムを9ヶ月間,さらに2001年4月からはNGOと提携して大規模な感染予防プログラムを同国Yamassoukrouで実施している。フィリピンMalampayaガス・電力プロジェクトにおける持続可能な開発①プロジェクト概要フィリピン初の石油・ガス開発プロジェクトで,沖合ガス田開発,及びPL(504km),2,700MWのガス火力発電所を建設(同国の電力供給約3割を担う)。2002年1月に操業を開始し,20年以上のガス/電力供給を計画している。上流20億ドル,総額45億ドルの投資プロジェクト。②環境・社会的影響ついての措置プロセスプロジェクト開始前に環境影響調査(Environmental Impact Assesment)を実施し,開発地域への影響が最小限となるような措置プログラムを導入。同時に社会的責任投資プログラムを関係多方面と調整。開発に関する現地説明会とコンサルテーションを経て,地域合意を得る。③プロジェクトの持続可能な開発経済的影響/同プロジェクトによるフィリピン政府の収入は80?100億ドル(20年間)。同規模の為替コスト削減など付帯効果あり。雇用創出5千名以上。社会的影響/社会的プログラムへの参加120千名。公衆衛生,技術訓練など多数の社会プログラムを1998年より実施している。訓練プログラムを専門とするNGO 「Pilipinas ShellFoundation」を設立したり,農業プログラム理解のための若者向けスカラシップSAKA(Sanayan sa Kakayahang Agrikultura)を設立。また,School of Management of theUniversity of Asia and the Pacific (UA&P)において持続可能な開発への理解を進めるため。講座を開講している。④パートナーシップ持続可能な開発の推進のため,(1)プロジェクトパートナーであるShell,TexacoのJV,(2)PhilippineNarional Oil Company,及び同国エネルギー省,(3)国内外のNGO,(4)政府関連及び地域行政組織が,パートナーシップを巧く機能させ,プロジェクト全体の成功へ貢献。4グループは衝突回避のシステム(Conflict-resolution System)によってコミュニケーションをとった。プロジェクト支援NGO,WWF-Phillipsn,その他が設立されるなどの成果もあった。(担当 佐々木)石油/天然ガス レビュー ’02・9―64―
地域1 グローバル
国1
地域2
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地域3
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地域4
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地域7
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地域8
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国10
国・地域 グローバル
2002/09/30 [ 2002年09月号 ] 佐々木 育子
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