ページ番号1006034 更新日 平成30年2月16日

ISO14001・OHSAS18001 とリスクマネジメント

レポート属性
レポートID 1006034
作成日 2002-11-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 エネルギー一般探鉱開発
著者
著者直接入力 石油公団HSE委員会
年度 2002
Vol 35
No 6
ページ数
抽出データ ISO14001・OHSAS18001とリスクマネジメント石油公団HSE委員会*1.はじめに石油公団では,石油・天然ガスの探鉱開発,研究開発,石油備蓄を推進しているが,これらの事業はHSE(Health, Safety & Environment),すなわち労働安全衛生及び環境に多大な損失を与える可能性を含んでいる。石油公団ではこの認識に基づき,昨年4月に以下の基本方針を決定,本年3月にHSEマネジメントシステムの運用を開始し,8月にISO14001とOHSAS18001に係る認証を同時に取得した。<基本方針>石油公団におけるHSEリスクの低減と我が国の石油開発業界及び石油備蓄業界全体のHSEパフォーマンスの向上を目的としてHSEマネジメントシステムを導入し,環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001と労働安全衛生マネジメントシステムの国際的規格OHSAS18001に係る認証を取得する。2.ISO14001とOHSAS18001の概要ISO14001とOHSAS18001は,取り組むべき活動の内容や数値的目標を取り決めたものではなく,それぞれ環境と労働安全衛生に関する経営管理システムとして必要とされる内容(活動目的・目標の選定時に考慮されるべき事項,組織のあり方等)を規格としてまとめたものである。ISO14001は1996年9月に国際標準化機構*本稿は地質調査部 調査役 水津雅裕(E-mail :suizu-m@jnoc.go.jp)が担当した。(International Organization for Standardization)により,OHSAS18001は1999年4月に国際コンソーシアム(英国,南アフリカ,アイルランドの規格協会,及びBVQI,Lloyd’s等の認証機関)によりそれぞれ策定された。しかし,後者は前者との両立性を考慮し策定されたものであることから,これら2つの規格は扱う対象が異なるだけで,内容はほぼ同じである。すなわち,そこで謳われている考えは,PDCAサイクル(計画〔Plan〕?実行〔Do〕―評価〔Check〕―改善〔Action〕)を前提とするHSEリスクの管理システムを構築しなければならないということに集約される。<参考資料>ISO14001OHSAS18001(2002年6月30日現在)(2002年10月9日現在)国内取得企業数9,160社133社3.HSEマネジメントシステムの導入理由石油開発に含まれるリスクが顕在化した時,以下の事例に示されるように,HSEに与える影響と会社が被る経済的損失や社会的責任は計り知れない。備蓄にしても石油を取り扱っている限り例外ではなく,研究開発も高圧ガスや薬品類を使用している以上,損失や責任における規模の差はあれ他人事ではない。このため,石油公団ではリスク管理を充実させることが必要と判断した。<労働安全衛生に与える影響>1988年7月,英領北海で操業するOccidental―45―石油/天然ガス レビュー ’02・11etroleum (Caledonia)のプラットフォームであるパイパーアルファーにおいて大量のガスリークが発生,ガス爆発とその後の火災により,作業者232名のうち167名の尊い命が失われた。原因は,安全バルブが取り外されたメンテナンス作業中のパイプにガスが送り込まれたことによると信じられている。この人為的ミスがもたらした経済的損失は12億ドルに上った。<環境に与える影響>1989年3月,EXXONのタンカーバルディーズ号がアラスカ沖で座礁し,4万キロリットルの原油が流出した。その結果,10万羽の海鳥と100万頭の海洋動物の命が奪われ,海洋生態系が極めて大きな打撃を受けた。EXXONは原油を除去するために1,500隻の船を使用し,12,000人を海岸に派遣した。結局,EXXONはこの除去作業のために20億ドル以上もの経費を負担し,生態系破壊の代償として損害賠償金11億ドルを支払った。近年,産油国が環境に関する規制を強化している。アブダビやアルジェリアはガスフレアリングを厳しく制限し,カザフスタンは作業実施前に環境アセスメントを義務付けた。北海では,廃坑処理等に関し,厳しい規制が設けられている。一方,主として欧米の石油企業は,環境保護や災害回避という基本理念に加え,産油国による規制強化への対応,環境団体からのクレーム回避,社会に対する自社イメージの向上等も見据え,HSEに関する取り組みを実施している。我が国では一般にHSEに対する関心は低いが,外国ではHSEマネジメント能力を技術力,経営能力と並んで石油会社の重要な資質の一つと見なす動きが出てきている。石油公団では,今後この業界で経済活動を継続するためには,HSEマネジメントシステムは欠かせないものであると判断した。これら2点が,石油公団がHSEマネジメントシステムの導入を思い立った際に上げられた理由のうち主要なものである。4.ISO14001・OHSAS18001とリスクマネジメント近年,リスクマネジメントという言葉を耳にする機会が増えた。リスクマネジメントは,事業本来の目的である利潤追求を阻害してしまうリスクの顕在化により発生する損失(金額,信用等)を最小限に制御するため,許容できないリスクに対し,以下のリスク・コントロールを施すものである。・リスクの分散・回避・リスクの移転(保険の付保等)・管理体制の導入・危機管理対策の準備(資金準備,緊急時対応計画の策定)リスクマネジメントは日本企業には馴染みが薄い。日本能率協会が2001年11?12月に一部上場企業1,359社(有効回答数273社)を対象にアンケートを行った。その結果,多くの日本企業がリスクや危機に対する何らかの対応の必要性は認識しているものの,実際にリスクマネジメントを行っている企業は極めて少ないことが明らかとなった。<アンケート結果>企業の相次ぐ破綻,コンピューターウィルスの大流行等に関連し,トップマネジメントが過去6ヶ月のうちに,リスクや危機への対応に係る情報発信・声明を出した企業は79.1%,また,「リスクマネジメントを重視する」,あるいは「どちらかと言えば重視する」と回答した企業は94.7%に上った。しかし,リスクマネジメントの骨格をなす「リスクの洗い出しや定期的な見直し」,「リスク情報源や情報入手方法の整備」,「リスクや危機に対する対応マニュアルの整備」を充分に行っている企業はそれぞれ5.9%,7.7%,9.5%に留まった。しかし,最近の牛乳食中毒事件,牛肉偽装問題,原子力発電に関する虚偽報告事件,自動車に関するクレーム隠し問題等に代表される事件・問題を見れば,如何にリスクマネジメントが重要であるかがわかる。事件・問題が発生し,石油/天然ガス レビュー ’02・11―46―<fィアに取り上げられた結果,会社の信用が大きく損なわれ,収益が激減し,リストラが断行された。これらの事件や問題を通し,リスクに対する認識の甘さ,危機管理対策の不備,情報公開に係る透明性の欠如,組織の硬直化(地位の上下に対するこだわり,必要以上の階層構造)等の問題点が指摘されたが,これらはリスクマネジメントを行うことにより低減できるものばかりである。前述の事例でもわかるように,リスクに対する対応の誤りは,組織の存続にかかわり,社員の生活を脅かす結果を招く。従って,重大なリスクを事前に洗い出し,リスク顕在化の回避に務めること,また,不幸にもリスクが顕在化した際は迅速・的確な対応が取れるよう事前に対応計画を用意しておくことが組織を守るために不可欠である。リスクは完全に除去することができないだけに,また,事故が発生してから対応策を考えるのでは損失を最小限に押さえることが不可能なだけに,これらの対策が必要となる。石油ビジネスに携わる企業にとり,最大のリスク・危機は前述の事例からもわかるようにHSEに関するものである。だからこそ,石油公団ではISO14001とOHSAS18001に基づき,HSEマネジメントシステムを立ち上げた。しかし,一般にはISO14001とOHSAS18001に基づくマネジメントシステムがリスクマネジメントを可能にすることはあまり知られていない。両規格には,4.4.7「緊急事態への準備及び対応」という条項があり,それぞれ労働安全衛生と環境に関する事故や災害を予防・緩和するための手順・計画の確立が要求されている。これは,両規格がリスクマネジメントを求めていることに他ならない。現在,石油公団では,HSE活動の一環として職員研修,コピー用紙の両面・裏面利用,PCの省エネモード設定,時間外業務の削減等,役職員全員の参加により様々な活動を展開している。この結果,コピー用紙や電気の使用量が削減され,大幅なコストダウンが得られた。また,役職員のHSEに対する意識も向上してきた。しかし,HSEマネジメントシステム導入の最大のメリットは,HSEに関するリスクマネジメントを可能とする仕組みができ,探鉱活動におけるHSE基準策定,石油開発技術センターにおける安全衛生WGの立ち上げ等,HSEリスクの回避に繋がる業務に着手できたことである。5.終りに一人でも多くの方々に我々と同じ価値観を持っていただきたいと考え,主にリスクマネジメントの観点からHSEマネジメントシステムの重要性に触れた。労働安全衛生の維持や環境保全は基本理念として極めて重要である。しかしながら,特に環境保全については,我々の環境活動が実際にどれだけ効果があるのか見極めることが難しい。その上,HSEマネジメントシステムの導入により職員への作業負担が増えただけに,労働安全衛生の維持や環境保全という言葉だけでは質の高い活動を継続することは困難である。今後も内容の濃い活動を実施していくためには,職員一人一人がHSEマネジメントシステムの役割を充分に理解することが大切である。また,それが結果的に労働安全衛生の維持や環境保全に繋がることになる。石油公団の機能や資産は近いうちに2つの組織に移行される。また,取得した認証も制度上,どちらか一方の組織に継承可能である。しかし,システム自体は双方の組織に継承できることから,このシステムが両方の新組織で活用されることを期待している。以上―47―石油/天然ガス レビュー ’02・11
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2002/11/30 [ 2002年11月号 ] 石油公団HSE委員会
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