ページ番号1006037 更新日 平成30年2月16日

イラク:「フセイン後」のイラク石油開発を巡る動き

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レポートID 1006037
作成日 2002-11-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2002
Vol 35
No 6
ページ数
抽出データ 生産(2001年)し,ナイジェリアLNGプロジェクト(NLNG)にもオペレーターとして参加している(これは陸上プラント)。同社は2007?2008年にはFONGを稼動させたい意向であり,ナイジェリアの他にブラジル沖やカリブ海,南シナ海もFONG導入先の候補に挙がっている。<参考:NLNGプロジェクト概要>①権益比率(%):NNPC(cid:0)RD/Shell(cid:0)TotalFinaElf(cid:0)Agip49.0(cid:0)25.6(cid:0)15.0(cid:0)10.4②液化設備:295万t/年×3基(内,1基は本年末運開)増設計画:400万/年×2基(2005年運開予定)(3)FONG船のスペックFONG船は100百万?500百万boeの埋蔵量を*昨年ナイジェリアは約90万tのLNGをスポットで輸出した。これは全世界のLNGスポット取引の12%を占める。*FONG船のイメージについては,http://www.ifc.org/ogc/docs/proceedings/brinded.pdfで参照することができる。有するフィールドを対象として検討されている。大小二つの仕様が考えられているが,小規模タイプの船で100千b/dの石油及び85百万cf/dのガスを処理する能力を持つ。貯蔵能力は,石油が1.4百万bblでLNGは160千m3である。大規模タイプの船はこの二倍の能力を有する。また,FONG船からの出荷には一般的なサイズのLNGタンカー(125?135千m3級),石油タンカー(VL)を使用することが可能。コストとしては小規模タイプで約10億USDといわれている(因みに,Greater SunriseのFLNG開発(530万t-LNG/年を生産予定)のコストは約36億USD)。しかし,FONG船はLNG 1カーゴを出荷するのに30日程度かかるため,特定の仕向け先へ長期間継続的に供給を行うには不向きである。この点,「LNGプラント」としては本格的なものとはいえず,スポット出荷(前提としてLNGスポット市場の一段の成長が必須)ないしは,FONGと同じ権益保有者が展開する(近隣の)陸上LNGプラント・プロジェクトのサブ的な位置付けとして一体的・補完的に操業,出荷されるべきもの,と考えるのが現実的であろう。(担当:大井)イラク:「フセイン後」のイラク石油開発を巡る動き1.イラク問題を巡る最近の動向と今後の見通し(2002年11月15日現在の報道に基づく)(1)最近の動向米国によるイラク攻撃の可能性が高まるなか,国連安全保障理事会は2002年11月8日,イラクに大量破壊兵器の査察受け入れを要求する米英共同提出の修正決議を全会一致で採択した。最後まで修正案に難色を示していたロシア,フランスや非常任理事国で対米強硬派のシリアも土壇場で賛成に回り,国際社会が一致団結してイラクに武装解除を迫る強い姿勢を示した。これを受けて,イラクは11月13日,安保理決議の受け入れを伝える書簡を国連に対し提出した。今回の決議(安保理決議1441)によると,イラクは採択から7日以内(11月15日まで)に決議受諾の意志,国連の査察を受け入れるかどうかを表明しなければならなかった。米軍の攻撃を回避するためには決議受諾しか選択肢がない中,イラク国会が11日に安保理決議の受諾拒否を全会一致で決議したが,受諾決定が最高権力者のフセイン大統領が下した「英断」であるとの印象を内外に示すための演出であったものとみられる。大統領の対イラク武力行使を容認する米国上下院の決議が10月10日に可決され国内での「お―51―石油/天然ガス レビュー ’02・11n付き」を得たブッシュ政権は,次のステップとして,イラク攻撃に対する国際的合意・支持を取り付けることを目指したが,新たな安保理決議の採決には多大な調整を要した。米国は英国とともに武力行使を容認する安保理新決議案を非公式に提示していたが,他の常任理事国(ロシア,フランス,中国)の合意が得られなかったため,10月21日に修正決議案を示した。同案では,武力行使の直接的表現が削除され,代わりに,イラクが国連査察に対する履行義務を怠った場合や虚偽の申告をした場合は,武力行使を強く示唆する「深刻な結果」を招くと警告する内容であったが,安保理理事会の役割が明記されていない点に対しロシアとフランスが強い難色を示した。米国は,共和党の勝利に終わった中間選挙翌日の11月6日に,「より多くの支持を得られる再修正決議案」(米国国連代表部)を新たに提示した。同案は,イラクに「最後の機会」を与え,対イラク武力行使に際しては安保理会合を開き理事国が対応を協議する機会を設けることとするなど,ロシアとフランスの主張に配慮した内容に見直されたと判断されることから,両国は結局決議案賛成に回った。【イラク問題をめぐる最近の動き】9/12ブッシュ大統領,国連で演説し,国際協調でフセイン体制の脅威と対決と強調9/16 イラク,無条件の国連査察受け入れを表明9/20 米国,国家安全保障戦略(ブッシュドクトリン)発表,先制攻撃,単独攻撃を容認10/1 イラク,国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の受け入れ合意10/2 米英,武力行使の容認含む安保理新決議案を仏ロ中に非公式提示10/3 フランス,二段階方式決議案を非公式に提示10/10 米国上下院,大統領の武力行使容認決議案を可決た安保理決議修正案を仏ロ中に提示11/5 米中間選挙で共和党が勝利11/6 米英,安保理の役割を広げる内容の再修正決議案を提示11/8 安保理理事会,米英の新たな修正決議案を全会一致で採択11/13 イラク,安保理決議を受諾(2)今後の見通し今後は,イラクが安保理決議を完全遵守するかどうかに焦点が移る。イラクが大量破壊兵器開発計画の申告期限(12月8日)までの申告を拒否した場合や,査察団による査察開始後にイラクの妨害により査察が十分に実施されなかった場合は,ブッシュ大統領が「重大な決議違反」として,安保理決議との整合性に配慮しつつ早い段階でイラク攻撃に踏み切る可能性が高い。米国はクウェートなど周辺諸国で通常駐留する2万人程度の地上兵力に加え,現在,イラク攻撃に備えて着々と兵力増強を進めているといわれている。可能性が高い軍事作戦とされる「25万人規模の地上軍投入」のための兵力配備が完了するまでの期間を考慮すれば,対イラク攻撃の開始時期は早くても2003年1月以降との見方が,現時点では有力である。イラク側の「時間稼ぎ」が功を奏した場合や査察に必要な期間(査察団の査察報告書提出期限:2003年2月21日まで)を考えれば,武力行使は更に先送りされるとの観測もある。「フセイン後」の新体制については,暫定統治のため多数の米軍兵士を駐留させるのかどうか,新体制への移行プロセスは国連主導で進めるのかどうかなど,「戦後処理」の方法が依然不透明であるが,シナリオとしては次のようなケースが想定されている。<ケース1> 米国主導のもと有力な3勢力(スンニ派,シーア派,クルド人)による親米的な連邦政府を樹立。3勢力は一定の地方(民族・宗派)分権を確立。イラク情勢は安定へ。10/21 米英,武力行使の直接表現を削っ<ケース2>石油/天然ガス レビュー ’02・11―52―tセイン政権残党の掃討作戦が長期化。あるいは,3勢力による連邦合意が成立せず,北部にクルド人国家ができるなど,イラクは分裂・内乱状態に陥る。<ケース3>フセインとその一族は排除されるが,バース党や軍などの現行体制温存。2.イラクの石油開発で先行するロシア,フランス,中国ロシア,フランス,中国が米英の提唱する安保理の新決議に難色を示した背景として,それがどの程度のウエイトを占めるかは別として,イラクの石油上流権益を巡る各国の思惑の違いが絡んでいるとの見方がある。フセイン政権との敵対関係からイラクへの参入が不可能な米国企業とは対照的に,ロシア,フランス,中国の石油企業はイラクの石油開発分野で先行してきた(【表?1】参照)。「フセイン後」において自国の既存権益を確保することができるかどう表1 イラクにおける外資との交渉プロジェクト一覧(cid:0)(出所:MEES他)(cid:0)進 捗(cid:0)1997年3月にLukoil等のコンソーシアムが開発契約締結。作業は凍結中。1997年6月に開発契約締結。作業は凍結中。(cid:0)(cid:0)(cid:0)原油生産能力(cid:0)800,000 b/d(cid:0)90,000 b/d記3社は2000年11月,共同見積提出で合意。(cid:0)Pertaminaも入札参加。(cid:0)2001年5月に合意書締結もその後凍結。(cid:0)2002年1月,HOA締結優先交渉権付与(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)旧Elfが優先交渉権を獲得。(cid:0)旧Totalが優先交渉権を獲得。(cid:0)左記2社との交渉を実施。(cid:0)(cid:0)(cid:0)左600,000 b/d(cid:0)450,000b/d(cid:0)300,000b/d(cid:0)(cid:0)100,000b/d(cid:0)200,000b/d(cid:0)000年4月に探鉱契約に調印。(cid:0)2000年末に探鉱実施で基本合意。作業は凍結。(cid:0)―53―石油/天然ガス レビュー ’02・11(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)2(cid:0)(cid:0)50,000b/d(cid:0)80,000b/d(cid:0)250,000b/d(cid:0)250,000b/d会 社(cid:0)Lukoil,Zarubezhneft,(cid:0)Machinoimport(cid:0)CNPC他(cid:0)国(cid:0)ロシア(cid:0)国(cid:0)(cid:0)(cid:0)中油田名(cid:0)①West Qurna油田(cid:0)Ahdab油田開発(cid:0)(cid:0)(cid:0)②A.開発契約締結済み案件(cid:0)TotalFinaElf(cid:0)TotalFinaElf(cid:0)ENI(cid:0)Repsol(cid:0)TPAO(cid:0)Sonatrach(cid:0)ONGC,Reliance(cid:0)Pertamina(cid:0)Syrian Petroleum Company(SPC)(cid:0)ETAP(cid:0)Petrovietnam(cid:0)BHP(cid:0)CNPC(cid:0)韓国企業連合(cid:0)RD/Shell(cid:0)Sidanco(cid:0)Tatipeneft(cid:0)JNPC(cid:0)Pacific&Perenco Pertamina(cid:0)フランス(cid:0)フランス(cid:0)イタリア(cid:0)スペイン(cid:0)トルコ(cid:0)アルジェリア(cid:0)インド(cid:0)インドネシア(cid:0)シリア(cid:0)ュニジア(cid:0)ベトナム(cid:0)オーストラリア(cid:0)中国(cid:0)韓国(cid:0)欧州(cid:0)ロシア(cid:0)タタールスタン(cid:0)ヨルダン(cid:0)バハマ(cid:0)インドネシア(cid:0)(cid:0)チB.その他案件(cid:0)③Majnoon油田開発(cid:0)④Nahr Umar油田(cid:0)⑤Nasiriya(cid:0)Chavraf油田(cid:0)(cid:0)⑥⑦Tuba油田(cid:0)Nur(cid:0)Kifl Structure(cid:0)(cid:0)(cid:0)⑧(cid:0)⑨Western Desert(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)⑭⑩Amarah(cid:0)⑪Halfaya(cid:0)Rattawi(cid:0)⑬Rafidain(cid:0)(cid:0)(cid:0)⑫NGC(cid:0)Oンド(cid:0)(cid:0)イ Block 3(cid:0)⑮Western Desert(cid:0) Block 8ゥが三国の大きな関心事であることは間違いない。安保理の新たな決議を巡る米英との交渉で,この問題が駆け引き材料として使われたとの観測もある。(1)ロシアLukoilが主導するコンソーシアムが1997年に,イラク南部の大型油田West Qurna油田の開発契約をフセイン政権と締結した。国連のイラク制裁解除を見越した動きだったが,その後,同油田開発プロジェクトは凍結されている。イラクに親米政権ができると,新生イラク誕生への貢献を評価され米国の企業が一気にイラク石油権益を支配するのではないかとの懸念をロシア石油企業は抱いている。ロシア政府は,フセイン政権転覆後もWest Qurna油田開発契約は有効であるとの保証をLukoilに与えたと伝えられるなど(後日,同社はこの報道を否定),自国石油企業の権益保護を強力にサポートする姿勢を示している。イラクへの武力行使容認を求める英ブレア首相が10月10日,「ロシアにはイラクでの正当な権益がある」とロシアの立場に配慮する発言を行ったが,この問題に関するロシア政府による米英両国に対する水面下での働きかけが背景にあったといえよう。また旧ソ連時代に輸出された武器等の対イラク債権が約70億ドルあるといわれており,ロシアはフセイン後の新政権で優先的な償還を期待している。(3)中国CNPCが主導するコンソーシアムが,1997年に,Ahdab油田開発契約をイラクと締結した。同契約も現在凍結状態であるが,中国政府は,石油資源の安定供給確保の観点から自国石油企業の世界展開を全面的にバックアップする方針であり,イラクでの権益確保にも強い関心を示している。3.ポストフセイン政権におけるE&P契約の行方に関する反体制派見解MEES誌(2002/10/14)によると,イラクの有力な反体制派組織であるイラク国民合意(INA),クルド愛国同盟(PUK),イスラム革命最高評議会(SCIRI)の3派が,ポストフセイン政権下の石油開発の見通しについて見解を明らかにした。いずれの組織も,(PUKを除いて)イラク国外に本拠地を置き,フセイン政権転覆を主導的に実行する能力はないものの,米国政府からは新政権で一定の役割を担うことを期待されている組織である。必ずしも意見の一致は見られていないものの,反体制派の発言は将来のイラク石油開発の行方を占う上で参考に値するものである。特に,既存契約の今後の取り扱いに神経をとがらすロシア,フランス,中国だけでなく,フセイン後に新たに参入を狙う米国や日本の企業にとっても貴重な情報といえよう。(2)フランス(1)既存契約の扱いTotalFinaElfは湾岸戦争後の1992年から,イラクの巨大な石油権益の獲得を狙い,他の欧州企業とともにイラク政府との交渉を重ねてきた。その結果,同社はイラン国境近くの大型油田Majnoon油田及びNahr Umar油田の開発契約の優先交渉権を与えられたとされる。しかし,国連の対イラク経済制裁解除の見通しが立たないことから,その後の交渉は中断している。また,フランスも1970?80年代にはイラクと密接な関係にあり,ロシアと同様に,40億ユーロ以上の対イラク債権を有しているといわれる。反体制派各派は,既存の開発契約について,新政権発足後,内容のレビューを実施し法的有効性などを検討するとの考えを示した。現契約が無効とみなされ交渉がやり直しとなる可能性についても指摘されている。PUKのメンバーで,イラク反体制派の連合体であるイラク国民会議(INC)の指導委員会にも名を連ねるDr. Latif Rashidは「ロシア,中国等との既存契約は,新政権により,契約の経緯・理由,契約条件等について,詳しく検討されることになる」としている。また,INAの主要メンバーで,元イラク副計画大臣の石油/天然ガス レビュー ’02・11―54―e米。反体制派の連合組織。(cid:0)元バース党。(cid:0)ラク国内クルド人居住区の南部を支配。KDPとの対立関係を最近解消。(cid:0)イラク国内クルド人居住区の北部を支配。PUKとの対立関係を最近解消。南部のシーア派組織。(cid:0)イラン政府が支援。(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)(cid:0)I(cid:0)J(cid:0)(cid:0)Mルビル(cid:0)(cid:0)アassoud   ルド民主党(cid:0)(cid:0)クヘラン(cid:0)(cid:0)テuhammad (cid:0)MBaqel al-Hakim(Supreme Council for Islamic Revolution:SCIRI)(cid:0)スラム革命最高評議会(cid:0)(cid:0)イ(Kurdistan Democratic Party:KDP)(cid:0)   Barzani(cid:0)(同上)(cid:0)表2 イラクの主な反体制派組織(cid:0)グループ名(cid:0)指導者(cid:0)活動拠点(cid:0)備 考(cid:0)(cid:0)イロンドン(cid:0)ワシントン(cid:0)アンマン,(cid:0)ロンドン(cid:0)スレイマニア(クルド居住区)(cid:0)Ahmad Chalabi(cid:0)yad Allawi(cid:0)alal Talabani(cid:0)イラク国民会議(cid:0)(Iraqi National Congress:INC)(cid:0)イラク国民合意(cid:0)(Iraqi National Accord:INA)(cid:0)クルド愛国同盟(cid:0)(Patriotic Union of Kurdistan:PUK)(cid:0)Dr.Salah al-Shaikhlyは「現在の契約はフセイン独裁政権という特殊な状況下で締結されたもので個別に内容をチェックしなければならない。一部の契約は,イラクの利益に合致しない内容とみなされる可能性がある」と述べた。SCIRIの主要メンバーであるDr. Abd al-Mahdiは,「現在の契約先がキャンセルされ再交渉となる可能性」についても言及している。(2)米国企業に対する優遇措置Dr. Abd al-Mahdi(SCIRI)は,「米国が植民地主義的行動に走れば誰も彼らを歓迎しないが,友好的な協力姿勢を取った場合は異なる扱いとなろう」とした上で,石油利権を独占的に米国企業に与えることについては,「1930年代や1940年代ならいざ知らず,今の時代では有り得ないこと。我々は米国国務省とは緊密にコンタクトしているが,同省から石油利権に関して一切要求を受けていない」として否定した。しかし,Dr.Salah al-Shaikhly(INA)は,「イラクの運命を1国あるいは1企業に託することはできない」としながらも,「(米国,英国あるいは他のいかなる国であれ)イラクの解放に貢献のあった国については,石油契約の締結時に一定のアドバンテージを有することになろう」とニュアンスの異なるコメントを述べている。(3)石油契約の契約方式Dr.Salah al-Shaikhly(INA)は,契約方式は現在検討中であるとしている。MEESは,PS契約あるいは英国・ノルウェー等でみられるようなタックス・ロイヤリティー・システムのいずれも可能性があると指摘している。(4)中央政府と地方政府の石油政策への関与反体制派各派は,「連邦政府の樹立と一定の地方分権の確立」が想定されるフセイン後の新体制(上述1(2)項,<ケース1>)の下でも,イラクの石油政策は,軍事・外交政策とともに,中央政府によってコントロールされるべきであるという点で,認識は一致している。石油収入はバグダッド政府により徴収され,地方政府(スンニ派,シーア派,クルド人)に分配されるとのシステムを各派とも支持している。ただし,石油収入の地方への分配基準についてPUKのDr.Rashidは,「人口比によるのではなく地方の現況に応じた配分がなされるべきである」と述べ,インフラの整備が遅れている北部のクルド居住区への配分を厚くするよう求めている。4.Kirkuk油田の帰属を巡る動向クルド居住区を巡っては,フセイン後に,イラク北部のKirkuk油田の帰属に関する問題が―55―石油/天然ガス レビュー ’02・11u発するとの懸念が指摘されている。Kirkuk油田は1927年に発見されたイラク最古の油田であり,生産能力も約900千b/dと国内トップレベルにある。湾岸戦争後,クルド勢力が一時占領したものの,すぐにフセイン政権に奪還された。クルド2大勢力のひとつクルド民主党(KDP)が,フセイン後を想定した新憲法草案で,Kirkuk市を「政治的首都」と定めるなど,クルド組織は自治区の領土拡大とKirkuk油田の所有権確保の野心を隠さない。一方,約1200万人(全人口の約20%)のクルド人を抱える隣国トルコにとって,イラクのクルド人勢力の伸張は極力回避したいという思惑がある。イラクのクルド人が連邦制に基づく自治を確立した場合,自国のクルド人が独立を求めて蜂起しトルコ分裂につながりかねないという懸念による。最近,Kirkuk居住の少数民族トルクメン人勢力がKirkuk支配を目指す動きを見せているが,民族的にトルクメン人に近いトルコが背後にいるとの見方が強い。このように,Kirkuk油田の帰属問題はフセイン後の新たな地域秩序構築の障害となる可能性が高い。この問題がこじれれば,イラクの安定化は遠のき,石油上流開発の本格的再開及び外資の参入拡大時期も大幅に遅れることになろう。(担当:猪原) <イラク油田位置図> 石油/天然ガス レビュー ’02・11―56―
地域1 中東
国1 イラク
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラク
2002/11/30 [ 2002年11月号 ] 猪原 渉
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