ページ番号1006038 更新日 平成30年2月16日

ロシア:原油パイプライン計画の全貌

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レポートID 1006038
作成日 2002-11-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 古川 純也
年度 2002
Vol 35
No 6
ページ数
抽出データ ロシア:原油パイプライン計画の全貌1.ロシアの原油パイプラインロシアの原油パイプラインは国営会社Transneftが管理運営する。総延長は468,000km,ポンプステーション395基,貯蔵施設868基,総輸送能力12.7百万立方メートルで,2010年までに9,000kmの新設が計画されているが,一方で10,000kmについて改修工事が必要と見られている。パイプラインに関する計画の策定はTransneftが行う。計画には需給バランス,上流開発の投資促進への影響が考慮されるが,パイプラインがアクセスする輸出港湾の整備,及び周辺国原油のトランジット予測(カザフスタン,アゼルバイジャン)なども重要な要素となる。石油会社には輸出量割り当てが決められており,各社生産量の1/3の輸出が認められている。(生産割り当て超過分は各社間で割り当ての融通により対応している)2.国営輸送会社Transneftについてロシアの原油パイプラインは国営会社Transneftがソ連時代のパイプライン資産を引き継ぐ形で運営している。1992年の大統領令及び閣僚会議決定「Transneftの設立について」によれば,同社の主な機能は①幹線パイプラインを通じた国内外への原油輸送,②幹線パイプライン及びその他パイプライン網の総合的インフラ発展,③政府間協定に基づく各国パイプライン会社との関係調整,④パイプライン技術開発,である。ロシア政府が同社の株式75%と議決権100%を有している。Semyon Vainshtok社長は前Lukoil副社長であるが,その他経営陣は政府高官が中心となっている。原油パイプラインについては,2000年以降,ロシアの原油生産量が目覚ましく拡大していることから,既存ルートの能力拡大や未開発地域への新たな整備が注目されている。原油輸送パイプラインを独占するTransneftは,輸送割り当て,及びタリフのコントロールにより開発側をグリップしてきた。しかし,自社の計画により自由に輸送を行いたい石油会社にとって,Transneftの統制を免れたいというインセンティブは強く,後述するように石油開発会社には自らのニーズに合う輸出パイプラインを独自に建設しようという動きがあり,特にパイプライン・インフラが未整備である未開発地域においてその傾向が顕著である。Transneftは独占力維持のため,そのような計画への反対的姿勢を見せる,あるいは計画への対案を示すなど主導権の維持に腐心している。(Transneft設立文書に従えば,石油会社が自社計画によるパイプラインを建設しようとも最終的に「幹線」パイプラインの位置付けにあるものは,Transneftのコミットが不可欠であると考えられる。)石油開発会社には極東,太平洋,米国などロシアにとって新規マーケットとなる輸送ルートについてそのような動きが見られる。3.最近の主要なパイプライン計画(1)Transneftが計画(主導)するパイプライン①バルト海パイプラインシステム(BPS)主にTiman Pechora地域の原油輸送を目的として開発された輸送システムである。(西シベリア及びボルガ・ウラル,カザフスタン原油の輸送も行う。)Transneftの最優先プロジェクトとして取り扱われてきており,第一フェーズは2001年12月に完了した。第一フェーズではYaroslavl?Kirishi間が拡張,改修され,Kirishi?Primorsk間のパイプライン及びPrimorskターミナル(出荷能力240千b/d(12百万t/y))が建設された。第二フェーズでは,輸送能力360千b/d(18百万t/y)への拡大が計画されている。今後Kharyaga?Usaパイプラインの建設により西シベリアNenets自治管区内にある油田と直結すること―57―石油/天然ガス レビュー ’02・11q主なパイプライン計画〉 石油/天然ガス レビュー ’02・11―58―(出典:RPI)ナに有効に機能することが期待される。②欧州向けパイプライン既存のDruzhbaパイプラインをウクライナ,スロバキア国境付近にあるUshgorodターミナルからAdria海までリンクさせる計画にはTransneft及び各石油会社が高い関心を持っている。終点となるクロアチアのOmishal港は50万t級タンカーも接岸可能であり,ロシア政府も同計画を支持している。依然具体的な合意は行われていないが,初期輸送は100千b/d(5百万t/y),その後300千b/d(15百万t/y)まで増量する計画がある。同計画にはYukosとTNKも前向きで,各々100千b/d(5百万t/y)の輸出枠を確保したい意向である。ロシアには30万tを超えるタンカーが利用可能な港湾設備はなく,また黒海Novorossiyskからボスポラス海峡を経由するタンカー・ルートは過密化の問題を抱えている。同ラインの完成によりアドリア海の大港湾設備へのアクセスが可能になれば,欧州,米国市場へのタンカー輸送拡大が可能となる。ボスポラス海峡を迂回するパイプラインとして,アルバニア?マケドニア?ブルガリアルート,あるいはブルガリアBurgas?ギリシャAlexandroupolisルート(Lukoilが支持)が計画されている。(2)ロシア石油会社の計画する原油パイプライン①Murmanskターミナル向けパイプライン(Lukoilが計画)Lukoilは2002年10月の米露エネルギーサミットにおいてバレンツ海Murmanskターミナルの建設計画を発表した。同計画には既に米国への原油輸出を行っているYukosのほか,Sibneft,TNK等ロシアの石油会社も支持を表明している。計画されているMurmanskターミナルは1百万b/dの輸出能力を有するが,周辺に輸送インフラがなく,主としてLukoilが保有するTiman Pechoraの油田群と結ぶ1500kmのパイ(Murmanskパイプラインルートは推定)(出典:RPI)―59―石油/天然ガス レビュー ’02・11vラインの新設が必要であり,総投資額は15億ドルと見込まれている。Lukoilは2003年中頃までにFSを完了し,早くて2005年に操業を開始したい意向である。同計画は米露エネルギーサミットにおいて具体的な案件として取り上げられた通り,米国の関心が高い。欧米市場向けの輸出ルートとしては前述の通りバルト海パイプラインシステムが稼動を開始したが,同ルートにはデンマーク海峡通過における問題(深度が浅く10万t級が限界)があるため,米国はMurmansk計画に大きな関心を示している。②中国向けパイプライン(Yukos支持)と太平洋パイプライン(Transneft支持)Yukosは中国市場に向けた原油輸送の拡大を計画しており,供給ソースとして東シベリアYurubchen油田の開発を計画している。現在ロシアから中国に向けては200万t/yの原油が鉄道輸送されているが,今後の原油輸出拡大のためには,中国向けパイプラインが不可欠である。一方でTransneftは太平洋Nakhodka港に向けた原油パイプラインを計画している。中国パイプラインは既に2001年7月に国家間合意されるなど,建設に向けての動きは先行しているが,Transneftは政府へのロビー活動あるいは地方政府への働きかけを強めるなど,太平洋ルートを対案として積極的にPRしている。経済的に両立は難しいと考えられるが,最終的にはいずれのルートが選択されても両社が協力すると考えられる。③サハリン原油パイプラインサハリン・プロジェクトに関する原油パイプラインは,PS鉱区内のパイプラインとして「幹線」パイプラインではないとみなされ,Transneftが参加せず,開発コンソーシアムが計画を進めている。サハリンⅡコンソーシアム及び州政府はサハリン島南部のPrigorodnoyeターミナルへのルート(773km)を支持しているが,サハリンⅠ側は間宮海峡を越えて,輸出港のあるハバロフス石油/天然ガス レビュー ’02・11―60―(出典:RPI)ャ鴻Vアの原油輸出能力,稼動予測(2001?2010年)>(単位 百万b/d)(出典:RPI) (出典:Oxfird Energy Forum 2002年5月号) ―61―石油/天然ガス レビュー ’02・11N州DeKastryへのパイプライン敷設を予定している。将来的は製油所のあるKomsomolsk-na-Amureまで延長する計画である。4.今後のロシア原油の生産拡大と輸送能力に関する予測ロシア政府のパイプライン建設計画によれば,パイプラインの輸出能力は2001年の3.88百万b/dから,2005年には5.04百万b/d,2010年には6.7百万b/dにまで拡大すると見込まれる。(表参照)これに鉄道,河川等の輸出,国内需要を考慮すれば,旧ソ連域外への輸送能力は2005年には3.8?4.0百万b/d,2010年には5.1?5.3百万b/dであると予測される。ロシア政府にとっても,原油輸出は有力な外貨獲得手段であり,輸出パイプライン建設のインセンティブは高い。ロシア・エネルギー省は2010年には10百万b/d以上との計画を打ち出している(IOD 2002/10/24)が,パイプライン計画はこのような生産計画を視野に入れており,当面,輸出能力がロシア増産のボトルネックになることは考えられない。(担当:古川)米国:原油の中東離れが具体化へ1.米国とロシアの関係ロシアの石油産業は石油増産に注力しており,ここ数年は年間約7%の伸びを示し,現在7.7百万b/dの石油生産量を誇る。今後はさらに2010年までに9.5百万b/dの生産体制とすることを計画している。しかし,これまでロシアの主要輸出先であった欧州は石油需要の伸びが頭打ちになっていることから,別の供給市場の開拓を迫られていた。これが2001年9月のテロ事件をきっかけとする米国側のエネルギー安全保障の思惑と一致し,2002年5月にはBush大統領とPutin大統領の会談においてエネルギー協力合意が実現することになった。この合意を踏まえ,両国間でのエネルギー分野での具体的協議が活発化してきている。(1)2002年8月の会談8月1日には,ロシアを訪問した米国エネルギー省長官Spencer Abraham氏は,ロシアエネルギー大臣Igor Yusufov氏及びロシアの主要石油企業(Rosneft,Lukoil,Tatneft,Sibneft,Yukos,Sidanco)首脳とエネルギー協力について話し合った。Abraham長官は,ロシアの探鉱活動に米国が協力する用意があると述べた。具体的には,ロシア北極圏,極東地域の4つの沖合いbasinの地質探鉱調査に対する資金提供の申し入れである。また同長官はロシアのエネルギー資源開発を支援するため,両国間の貿易上の関係も改善したいとの意向を伝えた。Abraham長官はさらに,ロシアが戦略的エネルギー備蓄制度を創設する際,米国が支援を行う用意があるとも述べた。これはロシアに対し戦略的石油備蓄のために資材を提供したり,また,そうした制度の創設と管理についてのアドバイスを行うことを意味している。同制度の創設は,エネルギー価格の安定化に寄与すると予想されている。ロシア側としては,ロシア北極圏,極東地域の石油資源の開発は,地理的に米国市場へのアクセスが容易になることから米国支援への期待は大きい。また,ロシアの戦略的エネルギー備蓄制度の創設についても米国の支援を受ける可能性があると会談後Yusufovエネルギー大臣は語った。(2)2002年10月のエネルギー・サミット10月1日から2日にかけて米国Houstonにおいて商業ベースの米露エネルギーサミットが開催された。ロシア側からはYusufovエネルギー石油/天然ガス レビュー ’02・11―62―
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
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地域3
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地域4
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地域5
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地域6
国6
地域7
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地域8
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地域9
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地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2002/11/30 [ 2002年11月号 ] 古川 純也
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