ページ番号1006039 更新日 平成30年2月16日

米国:原油の中東離れが具体化へ

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レポートID 1006039
作成日 2002-11-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 古川 純也
年度 2002
Vol 35
No 6
ページ数
抽出データ ク州DeKastryへのパイプライン敷設を予定している。将来的は製油所のあるKomsomolsk-na-Amureまで延長する計画である。4.今後のロシア原油の生産拡大と輸送能力に関する予測ロシア政府のパイプライン建設計画によれば,パイプラインの輸出能力は2001年の3.88百万b/dから,2005年には5.04百万b/d,2010年には6.7百万b/dにまで拡大すると見込まれる。(表参照)これに鉄道,河川等の輸出,国内需要を考慮すれば,旧ソ連域外への輸送能力は2005年には3.8?4.0百万b/d,2010年には5.1?5.3百万b/dであると予測される。ロシア政府にとっても,原油輸出は有力な外貨獲得手段であり,輸出パイプライン建設のインセンティブは高い。ロシア・エネルギー省は2010年には10百万b/d以上との計画を打ち出している(IOD 2002/10/24)が,パイプライン計画はこのような生産計画を視野に入れており,当面,輸出能力がロシア増産のボトルネックになることは考えられない。(担当:古川)米国:原油の中東離れが具体化へ1.米国とロシアの関係ロシアの石油産業は石油増産に注力しており,ここ数年は年間約7%の伸びを示し,現在7.7百万b/dの石油生産量を誇る。今後はさらに2010年までに9.5百万b/dの生産体制とすることを計画している。しかし,これまでロシアの主要輸出先であった欧州は石油需要の伸びが頭打ちになっていることから,別の供給市場の開拓を迫られていた。これが2001年9月のテロ事件をきっかけとする米国側のエネルギー安全保障の思惑と一致し,2002年5月にはBush大統領とPutin大統領の会談においてエネルギー協力合意が実現することになった。この合意を踏まえ,両国間でのエネルギー分野での具体的協議が活発化してきている。(1)2002年8月の会談8月1日には,ロシアを訪問した米国エネルギー省長官Spencer Abraham氏は,ロシアエネルギー大臣Igor Yusufov氏及びロシアの主要石油企業(Rosneft,Lukoil,Tatneft,Sibneft,Yukos,Sidanco)首脳とエネルギー協力について話し合った。Abraham長官は,ロシアの探鉱活動に米国が協力する用意があると述べた。具体的には,ロシア北極圏,極東地域の4つの沖合いbasinの地質探鉱調査に対する資金提供の申し入れである。また同長官はロシアのエネルギー資源開発を支援するため,両国間の貿易上の関係も改善したいとの意向を伝えた。Abraham長官はさらに,ロシアが戦略的エネルギー備蓄制度を創設する際,米国が支援を行う用意があるとも述べた。これはロシアに対し戦略的石油備蓄のために資材を提供したり,また,そうした制度の創設と管理についてのアドバイスを行うことを意味している。同制度の創設は,エネルギー価格の安定化に寄与すると予想されている。ロシア側としては,ロシア北極圏,極東地域の石油資源の開発は,地理的に米国市場へのアクセスが容易になることから米国支援への期待は大きい。また,ロシアの戦略的エネルギー備蓄制度の創設についても米国の支援を受ける可能性があると会談後Yusufovエネルギー大臣は語った。(2)2002年10月のエネルギー・サミット10月1日から2日にかけて米国Houstonにおいて商業ベースの米露エネルギーサミットが開催された。ロシア側からはYusufovエネルギー石油/天然ガス レビュー ’02・11―62―蜷b,German Gref経済開発貿易大臣,エネルギー大手各社(Lukeoil,Yukos,Tyumen OilCo.(TNK),Sibneft,Rosneft)の社長やその他のエネルギー企業の社長が参加した。米国側からはAbrahamエネルギー省長官,DonaldEvans商務省長官,石油大手各社(ChevronTexaco,ExxonMobil,ConocoPhillips,Marathon Oil,Getty Petroleum)の社長が参加した。同サミットでは,資源開発,ロシアの投資の枠組み,生産分与契約の法制化,公的・民間ベースの資金調達,サービスと設備,教育的トレーニング,上流・下流技術等につき話し合いが行われた。このサミットにおいて,税制・投資・規制・米露その他の市場などの重要問題を協議する商業ベースのワーキング・グループの創設につき検討が行われたといわれている。両国間の具体的プロジェクトとして最も注目されているのが,ロシアMurmanskの石油輸出インフラ整備プロジェクトである。同ターミナルからは米国市場に向けての原油輸出が計画されており,LukoilのFedun総裁は米露エネルギーサミットにおいてターミナル建設の計画を発表することを明らかにしている。同計画には既に米国への原油輸出を行っているYukosのほか,Sibneft,TNKも賛同しており,検討を開始している。計画されているMurmanskターミナルは1百万b/dの輸出能力を有するが,周辺に輸送インフラがなく,Timan Pechoraの油田群と結ぶ1500kmのパイプラインの新設が必要であり,総投資額は15億ドルと見込まれている。Lukoilは2003年中頃までにFSを完了し,早くて2005年に操業を開始したい意向である。米国への原油輸出はYukosが7月にロシアとしては初めてタンカーによる直接輸送(20万t)を開始した。しかし,この輸送ルート(黒海?Bosporus海峡?ギリシャ?東海岸)には,①ロシアのターミナル規模が小さく,ギリシャでのVLCCsへの積み替えが必要②Bosporus海峡の通航が過密化する,の問題があり,Yukos自らが採算性を評価する一方で,コスト,量的拡大の限界が疑問視されている。ロシアにはこれまで30万t級タンカーの航行が可能な港湾がなく,大規模輸出に限界があるが,Murmanskはロシア北部において唯一の不凍港であり,30万t以上のタンカー航行が可能である。今回の計画では米国をターゲットとした本格的な輸出ルート開拓,及び欧州向けのルート拡大が期待できる。米国はテロ後のエネルギー政策として脱中東原油を指向している。一方で,生産量拡大を計画するロシアは今後3年間で輸出量20%増(4.3百万b/d)を目指しており,大型タンカーによる北極海経由の原油輸送は,今後の米露エネルギー関係強化の中で大きく注目される。ロシアの石油企業はこの計画に米国からの資金的支援を求めるものと予想される。米国輸出入銀行やOPIC(Overseas Private InvestmentCorp.)にその役割を期待すると考えられる。米国輸出入銀行は,Commerz銀行によるLukoil向け26.4百万ドルの無担保ローンを9月27日に保証することになった。その際の覚書に従い,Houstonサミットにおける調印で,米国輸出入銀行の保証額は100百万ドルまで増加することになった。その他の具体的なプロジェクトとしては,日本企業も参加しているExxonMobilの極東のサハリン-Ⅰ石油・ガス開発プロジェクト,Chevronが関与するCaspian Pipeline Consortiun(CPC)のカザフスタンからの原油パイプライン事業,ConocoPhillipsとLukoilによる北部Timan-Pechora鉱区の共同開発プロジェクトなどが議題として取り上げられたといわれている。(3)米露民間企業の動き米露政府間の協議のみでなく,米露の民間企業同士の交渉も既に進められている。MarathonとRosneftは,Urals原油を北米市場に輸送・販売する共同事業の趣意書(leter of intent)に調印した。同事業は両国政府の同意と承認が得られれば,契約に調印することになっている。同事業は2003年第3四半期に開始される見込みである。―63―石油/天然ガス レビュー ’02・11Q.米国とアフリカの関係米国の石油輸入に占める西アフリカ原油は現状15%ほどであるが,同地域の石油生産量は増加する傾向にあり,Bush政権としては中東以外の新たな石油供給地域として西アフリカにも関心を深めている。西アフリカでは,沖合い油田が近時発見されており,そのため今後10年以内に西アフリカの石油生産量は北海の生産量を上回り,西アフリカ原油は米国輸入原油の25%を占めるようになるであろうといわれている。Petroleum Financeは今後5年間において西アフリカ諸国の石油生産量は順調に増加すると見込んでいる。ナイジェリアは現行生産量2.2百万b/dから,3百万ドルb/dに,アンゴラは約2倍の2百万b/dになると予想している。チャドは,カメルーンを通過する35億ドルのパイプラインが2004年に完成すれば,石油生産量は22.5万b/dへ,赤道ギニアは今後3年以内にほぼ倍増の35万b/dになると期待している。米国にとり西アフリカ原油はいくつか有利な点がある。①西アフリカの油田は大西洋沿岸部に多く,そのため中東湾岸地域やカスピ海と比べ輸送距離が短い。②また,ナイジェリアを除き,西アフリカ産油国はOPECに参加しておらず,そのためOPECの生産枠の規制を受けない。③2002年前半には米国はイラク原油を110百万bblほど輸入していたが,イラク攻撃の問題が表面化して以降,同原油輸入量は減少傾向を辿った。西アフリカ原油の供給はこの時期,油価変動ショックを緩和するのに役立ったともいわれている。こうした背景から,Bush大統領は9月第1週にColin Powell国務長官を西アフリカの産油国アンゴラ,ガボン等に送り,関係強化に努めている。今回の訪問ではエネルギー問題よりもむしろ地域紛争の終結を促すことに力点が置かれていたが,政治的安定性が石油生産と投資の促進につながる点をPowell氏は強調したといわれている。Bush大統領自身も2003年初頭にナイジェリア(米国第5位の石油輸入国)等のアフリカ諸国を訪問すると発表している。赤道ギニアでは,近時発見された沖合い油田を開発しようとAmerada Hess,Marathon等の米国石油企業がオペレーションを拡充してきているが,そうした事業環境の変化に基づいて1990年代に閉鎖した米国領事館の業務再開を計画している。米国は,このようにロシアや西アフリカなど,中東以外の有望な石油供給国との関係を深め,エネルギー安全保障の強化に向け着々と準備を進めている。(担当:後藤・古川)石油/天然ガス レビュー ’02・11―64―
地域1 北米
国1 米国
地域2 中東
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
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地域6
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地域7
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地域8
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地域9
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地域10
国10
国・地域 北米,米国中東
2002/11/30 [ 2002年11月号 ] 古川 純也
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