ページ番号1006130 更新日 平成30年2月16日

エネルギー文明史―その3 三大エネルギー革命と自然環境の変貌 (2)

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レポートID 1006130
作成日 2004-11-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 エネルギー一般
著者
著者直接入力 田中 紀夫
年度 2004
Vol 38
No 2
ページ数
抽出データ Analysisアナリシスエネルギー文明史―その3三大エネルギー革命と自然環境の変(cid:12728)(cid:12755)貌(cid:12732)(cid:12676)?田中 紀夫第3部 第3次エネルギー革命にみる自然環境の破壊 1900年頃から電気と石油による第3次エネルギー革命が起こり、21世紀初頭の現代まで続いています。電気エネルギーは動力と照明の分野に普及し、石油製品は自動車と航空機という輸送分野と石油化学分野へ応用されたことは、革命的なエネルギーとなって地球人の20世紀の新文明を作りました。 エジソンによる白熱電球の発明と電気の普及、ドレークによる石油の大量生産と応用も広大な資源大国アメリカで起こった変革で、20世紀を通して繰り広げられたアメリカ型の新エネルギー文明は世界に隈なく展開し、他方で地球規模の環境問題も引き起こしました。 このエネルギー文明が広がる過程では、二つの世界大戦を含む幾多の戦闘行為が生じ、それまでの戦史にない大規模な破壊をもたらしました。二つの新エネルギーが平時にヒトの生活にもたらす環境への小破壊に比べると、大規模化した戦争は自然環境の破壊に止まらず、人心の破壊を通して子孫にも負の遺産を残しました。 第3次エネルギー革命のもととなった電気と石油は、第2次エネルギー革命が展開される延長線上で起こったために、便利になったもののそのパワーはいっそう強大になり、しかも既に生じていた石炭公害などに付加されたため、その制御に失敗すると周辺の自然環境をいっそう大掛かりに汚染します。損傷を回復させるには数十年から数百年の歳月が必要になっています。 前号に引き続き、第3部では、第3次エネルギー革命にともなう環境問題を素描してみます。新原理が次々に明らかになりました。1800年代の100年間は、エネルギーと電気の研究がいっそう進んで基本原理が確立され、20世紀の第3次エネルギー革命への基礎固めの時代でした。 20世紀後半の「電気の時代」からするとこの100年は長く見えますが、それまでの人類の歩みからすれば瞬時のことで、19世紀の電気研究の成果が一挙に花開く、実に革新的な展開でした。アーク灯からエジソンの白熱電球へ アーク灯がパリのコンコルド広場に点灯されたのは1845年でしたが、この頃の電気動力は蒸気動力より25倍も高価だったそうです。 1879年、アメリカのエジソンは京都から取り寄せた竹の炭素をフィラメントにする画期的な白熱電球を完成しましたが、日本の夜を灯したのは1882(cid:12734)(cid:12708)擦(cid:12693)自然界の数々の体験や実験を通して知識を積み重ね、その正体に少しずつ近づきました。 1600年になるとイギリスの医師ギルバードは電気磁石の研究成果を残し、ドイツのゲーリケは摩電気の実験をし、1746年には「ライデンびん」に静電気を貯えて自由に指先から火花を出せることが実証されました。琥珀のギリシャ名・エレクトロンは、電子のelectronになり、電気のelectricityの語源になりました。 1800年にイタリアのボルタは、導線の中に電気を連続的に流せるボルタ電池を発明し、1802年にはデービーが炭素棒から電気の光を取り出すアーク灯を実験し、1840年代になるとエネルギーは形を変えるが総量は同じとする「エネルギー保存の法則」、1870年代には電信・電話が普及するうえで重要な第1章 電気の普及と環境問題電気の正体は17?19世紀に解明 この世に電気があることについては、ギリシャ時代のターレスなどの哲学者らによって、おぼろげながら分かっていましたが、科学者は手にもつかめず眼にも見えない電気について、電池を発明したボルタがフランスのナポレオンの前でみせた実験43石油・天然ガスレビューAnalysisAysisnalyAnalysisAAysAnAAAnananalysisnalysisalysisAナリシスアーク灯とニューヨーク市街大事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所換算で12億トン強)による酸性雨が国内の浙江省温州市などの森林を枯渇させ、日本にも黄砂とともに飛来しているようです。 [石油の海上汚染]発電所や製油所向けの石油タンカーが衝突・座礁して石油が漏洩し、沿岸を大量汚染する問題が起こりました。1967年にイギリス南部でトリーキャニオン号、1989年にはアメリカ・アラスカ沖でエクソン・バルディーズ号が座礁し、1991年の湾岸戦争ではイラクによるクウェート油田漏洩、1996年には日本海でロシア・タンカーの漏洩事件が起こって、沿岸に広範囲な汚染を起こしました。 [核燃料の漏洩]戦後始まったウランを低濃度で核分裂させる原子力発電所では、1979年にアメリカ・ペンシルバニアで炉心溶融による放射線の漏洩事故、1986年にロシア・ウクライナで原子炉が爆発して31名が死亡し放射能が周辺地域を広く汚染する大事故が起こりました。1999年には茨城県のウラン加工工場で核分裂の連鎖反応(臨界状態)が起こり、死者2名が出る事故が起こりました。普及せず、蒸気、石炭、石油が主力エネルギーでしたが、1940年頃の電気の割合は動力エネルギーの70%に達しました。発電所における環境破壊の事例 電気は家庭、事務所、ビルなどで使われても、その周辺の自然環境を損傷する事例はほとんど無く、電気にまつわる環境破壊は発電所や送電線がらみのものでした。 1879年にエジソン電球が登場した頃のアメリカでは、水力発電所のダム建設、石炭炊き発電所からの黒煙排出問題はありましたが、広大な国土に比べて人口は少なく、大問題にはなりませんでした。 [石炭と石油の排煙]第2次大戦後は、石炭に次いで石油炊きの発電所が増えたため、亜硫酸ガスと窒素酸化物ガスなどの大気汚染問題が起こりました。とりわけ1970年代のヨーロッパでは、イギリスやドイツの石炭燃焼後の排出ガスが酸性雨となって飛来し、スカンジナビア半島のスウェーデンやノルウェーの森林を枯らす事態を起こしました。現在は、中国の膨大な石炭消費(2002年で石油換算で8億トン弱、石炭逐(cid:12705)年(明治15年)の銀座のアーク灯でした。1880年代には竹フィラメントの白熱灯がアーク灯を駆しましたが、竹の繁栄も30年ほどで、高温でも溶けないタングステン・フィラメントが登場した1910年代には瞬く間に淘汰されました。 電気は環境に快適かつ無公害で、スイッチ一つで機能する便利さなどから広く利用されるようになり、電気照明は石油ランプやガス灯に代わって工場や家庭に進出し、さらに動力として工作機械の分野にも進出し工場の生産性を高めました。 1900年のパリ万国博のテーマは「光とエネルギー」でしたが、夜間照明だけでは発電タービンや送電線の稼動率は10%と低く、1910年代になって電気の動力分野への利用が広がって電気製品、市街電車、地下鉄などが増え、設備稼働率も上がって電気の販売価格は安くなりました。 イギリスの発電能力が100万kWになったのは1906年で、電動機が普及し始めた1936年には400万kWになり、kWh(1kWを1時間使ったときのエネルギー量)当たりの電気料金は10分の1に下がりました。1900年頃のアメリカの電気は動力エネルギーの4%しか(cid:12686)(cid:12686)第2章 石油と環境問題20世紀初から石油自動車の登場 19世紀末のロンドン、パリ、ニューヨークなど主要都市の輸送は、①馬車、②馬で引っ張るか蒸気で走る船、③石炭焚きの蒸気鉄道列車、④石炭あるいは石油の蒸気自動車、⑤電気自動車など多彩な交通手段が競合し合いました。 しかし、1886年にドイツのダイムラーが高速回転する内燃機関を発明し石油・天然ガスレビュー44AnalysisAysisnalyAnalysisAAysAnAAAnananalysisnalysisalysis_化物などの大気汚染、機体の騒音、故障、事故などといえます。 国土面積から山林、湖沼、河川の面積を差し引いた「可住地面積」の少ない日本にとって、広大な土地を持つアメリカで発達したクルマ社会を取り入れることは必然的に環境がらみの諸問題を引き起こしました。一人当たり可住地面積はアメリカの27分の1、フランスの9分の1、イギリスの4分の1です。狭い日本にとって道路と駐車場の占める割合はひときわ大きく、自動車の普及で起こる空閑地の狭隘化、排気ガス、交通渋滞、事故による死傷者の多さは目立ち、自然環境を相当に損傷しています。 航空機は陸上よりも広い空間を航行しますから、陸上の自動車交通ほど広範な環境破壊は起こりません。とはいえ空港周辺の住民にとっては従来と異なる騒音と機影が出現しますから、それまでの静謐な自然環境は激変することになります。 石油系燃料の消費も、第2次エネルギー革命前のヨーロッパで起こった森林の過剰伐採と同じで、自然環境が受容できる範囲内に収まっていれば問題は生じません。欲望を抑制しないままに放置しますと文明は過大な消費をする性向がありますから、投げたブーメランが自分に戻って来るように、人工物体は自然環境はもとより利用する人々に悪影響をもたらしました。(cid:12696)(cid:12741)(cid:12698)(cid:12710)(cid:12755)(cid:12737)(cid:12708)ゆく様子は、ダニエル・ヤーギンの『石油の世紀』に次のように記されています。「鉄道沿いの繁華な町はすっかりれ、国道61号線沿いの町には、自動車修理工場やガソリンスタンドやホットドッグ屋、レストラン、喫茶店、旅行者のための休憩所、キャンプ場などが次々に誕生して賑わうようになった。市街電車が姿を消し、鉄道が次々と支線を廃止した。20年代の初め頃、ほとんどの中心街の交差点は、一人の警官で交通整理ができた。しかし、20年代の終わりには、何という変わりようだろう。赤、青の交通信号、点滅、一方通行の道路が増え、客寄せの車止めだらけの遊歩道、どこまでも厳しくなる一方の駐車規制・・・それでも毎週土曜と日曜の午後には、メイン・ストリートで数ブロックも、車が数珠つなぎになって渋滞するようになった。蒸気の時代は、ガソリンの時代に道を譲りつつあった。」寂(cid:12693)器(cid:12684)(cid:12723)1932年のアメリカに登場したシボレー無規制の燃料消費による大気汚染 自動車が走り、航空機が飛ぶことで起こる環境汚染は、燃焼後に排出される微小物質、黒煙、亜硫酸ガス、窒素てからは、石油自動車が主力になりました。1896年にはアメリカのフォードが、アダム・スミスの分業制による生産効率向上を実証するガソリン乗用車(T型フォード車)の大量生産に成功し、自動車は一部の金持ちから大衆を巻き込んだ自動車へと普及しました。 ライバルだった電気自動車と蒸気自動車は、豊富なガソリンとT型フォード車の登場によって、あっという間に敗れて20世紀初頭から消えました。電気自動車よりも競争力のあった蒸気自動車は、1829年のイギリス・ガーニーの乗合自動車から約90年で、1880年のアメリカ進出からは40年で、ガソリン車に道を譲って消えました。急速なアメリカでの自動車の普及 広大な平坦地を持つアメリカの輸送分野は、戸口から戸口へ行ける便利な自動車に移行し、半世紀前に導入されたばかりの鉄道利用者は減り始めました。 アメリカの自動車登録台数は、T型フォード車の試作から20年後の1916年に340万台、33年後の1929年には2,310万台に増え、世界の自動車台数のうち78%はアメリカにありました。この頃の普及状況はアメリカが5人に1台、イギリスは30人、フランス33人、ドイツ102人、日本702人、ソ連6,130人にそれぞれ1台でした。 自動車がアメリカで急速に普及してAnalysisAAysAnananalysisAnalysisnAAAAnaallyyssiissnalyysis第3章 都市化と環境問題 第2次エネルギー革命で起こった新文明で人々は都市に集まりましたが、第3次エネルギー革命の電気と石油によって、都市は明るい照明とクリーンな動力で活気づき、輸送革命で交通が容易になって、ヒトの都市集中はさらに日常化され加速されました。豊かなエネルギーで都市に集まる人々 人々は所得と便利さを求めて都市に集まりました。 次頁下の図1のように、エネルギー消費の高い・低いは所得水準の高い・低いに反映されており、左下グループの人々は農漁村依存的な自然環境で生き、右上グループの人々は都市化された人工環境で生活しています。 そして第3次エネルギー革命を通じて、ヒトは左下から右上に移行しています。人々の活動は、次頁下の図2のように、たとえば東京の「緑」という環境を削って、経済開発という名の下に西部方面に向けて開拓をしています。 豊穣な電気エネルギーによって都市の夜は光の豊饒を産んでいます。図3のように、軍事国家体制の下で農漁村依存型の文明である北朝鮮の暗さ、ア45石油・天然ガスレビュー(cid:12676)貌(cid:12732)(cid:12728)(cid:12755)三大エネルギー革命と自然環境の変?エネルギー文明史―その3Aナリシス図3夜の地球図ysisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanA※ この画像は、米国NASA Goddard Space Flight Centerが配布するBlueMarbleデータ、および米国NOAAが配布するNighttime Lights of the Worldデータを用いて、国立情報学研究所が作成したものです(URL:http://agora.ex.nii.ac.jp/?kitamoto/research/rs/world-lights.html.ja)になった日)を調べると、1930年代は56日、60年代は28日、80年代は13日、90年代は3日になっています。1989年、1993年、2004年は冬日が観測されず、氷点下のない冬になりました。 霧は夜の冷え込みと湿気から生じますが、1930年代は年間平均で33回発生しましたが、1970年代央から急減し1990年代は数回しか観測されていません。都心部の平均気温は100年前に比べて既に7度の上昇になっていて、2030年頃の夕方の気温は43度を超えるジアで先行する都市型文明の日本列島の抜きんでた明るさに象徴されています。 第3次エネルギー革命を享受する現代人は、電気と石油の豊饒さがあってこそ快適で高度な都市文明を満喫できているのです。都市化とヒートアイランド 都市には先端的なエネルギー装置を駆使した建築物を含む現代文明が集積していますが、日本の都市の平均気温が高温化するヒートアイランド現象(周辺の郊外地から街の中心部に向けて気温が高まり、熱の島のようになる)が起こっています。人口集中が激しく、空閑地や緑の少ない日本の都市とりわけ東京や大阪で顕著です。 1997年の気象庁調査によると、東京の冬日(その日の最低気温が零度未満図1世界のエネルギー消費と所得レベル出所:『世界開発報告1997』より作成図2減少する東京の緑地出所:『東京でみる都市化と自然』(1994年、国立化学博物館付属自然教育園)石油・天然ガスレビュー46sしているだけに、植生が共生する100万人を1単位とする環境保全の都市に向けて、国土を全面的、抜本的に再改造する21世紀の日本モデル「自然と共生する都市づくり」を急いで開始することです。東京都心の最低気温の推移出所:気象庁(cid:12681)(cid:12755)(cid:12732)(cid:12708)岩石状になっており地中温度は0度以下の地域で、北極海沿岸では数百メートルの厚さのものもあり、アラスカ州の8割は凍土に覆われている。気温上昇で雪が解けると、太陽エネルギーが地面に入って凍土を溶かし、湿地化し、地面を陥没させ、寒帯林を倒す。そして、①シベリア地域には凍土とともに埋蔵されているメタン(炭酸ガスより強い温室効果ガス)が大気中に放出され、②炭素分を吸収し蓄積している寒帯林が減るため地球温暖化を加速させる。*国連環境計画(UNEP)の保険協会都市に自然循環システムを導入する ヒートアイランド現象はエネルギー不足が生じてエネルギーが高価格になっている途上国や戦前の日本では起こっておらず、低廉なエネルギーの豊饒感を前提に、排熱を考慮せず、野法図な環境不保全の都市を造ってしまったことが原因です。 都市に自然界の熱循環システムを早急に取り入れて再改造すべきで、環境省は、23区の緑化率面積を4%上げると0.3度下がるとして、熱帯夜の解消と昼間の高温の緩和を図ろうとしています。 世界的に都市化が進図4600年間のうち、いずれも最高気温を記録した。宇宙的な気象変化を上回って、人為的な温室効果ガスなどによる地球温暖化が起こっている。*マサチューセッツ工科大学の研究グループは、20世紀になって地球の気温は劇的に上昇しはじめ、1990年代は過去のどの10年間よりも高く、とくに1998年の北半球の平均気温は西暦1000年以降の千年間で最も高温で、太陽と地球の位置関係といった自然現象では解明できない。寒帯・凍土の溶融と保険金払いの増加*アラスカ大学は、近年の寒冷地の状況について北極圏の過去30年間の平均気温は3度上昇し、地表近くの永久凍土の温度は過去10年で0.6?2度上昇している。永久凍土とは、土壌中の水分が凍結して図5地球の平均気温の推移出所:『異常気象レポート'99』大蔵印刷局発行という調査予測もあります。 2003年の環境省報告によると、日本全国の平均気温は過去100年で1.1度上昇しましたが、図4のように、東京都心部の1日の最低気温の年間平均は4度上昇し、横浜市や熊谷市など周辺都市の上昇の2倍とされます。 ヒートアイランドは、①建築物からの暖房熱・冷房熱、動き回る自動車の大量排熱が都市空間に放散され、②周辺に樹林、池、川など熱を吸収する自然空間がなく、③高層ビル群で被われて風通しが悪くて熱の逃げ場がない、④コンクリートで地面が蓋をされ、地中の水が蒸発出来ず熱が溜り、夕立など自然の熱の吸収はコンクリート都市ではできず海上で起こっている、⑤化石エネルギーの過大消費による温暖化が加わりつつある、などが原因です。(cid:12680)(cid:12680)(cid:12725)(cid:12703)(cid:12703)(cid:12734)AnalysisAAysAnananalysisAnalysisnAAAAnaallyyssiissnalyysis第4章 化石エネルギーの過大消費と地球温暖化 目下進行中の地球規模の環境破壊は、化石エネルギーの過剰燃焼で発生する炭酸ガス(CO2)による地球温暖化問題です。20世紀から気温は上昇し始めた 既に各種の科学機関から気温上昇の報告が出されています;*IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第2次報告では、地球の平均気温は19世紀末から約0.45度上昇し、20世紀は西暦1400年以来の最高値になった。*全米科学財団が科学誌ネイチャーに発表した報告では、樹木の年輪、サンゴ礁、氷のなかの気泡、文献記述、観測記録などを総合分析した結果、北半球の年平均気温は、太陽活動や火山噴火などから上下変動を繰り返してきたが、1900年を境に上昇に転じ、1990年、1995年、1997年とそれぞれ1400年以来47石油・天然ガスレビュー?(cid:12676)貌(cid:12732)(cid:12728)(cid:12755)三大エネルギー革命と自然環境の変エネルギー文明史―その3sisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAによると、異常気象に関連する世界の経済損失額は1980年代は年間50億ドル以下だったが、90年代に急増し、特に95年は380億ドルに達した。このため保険金の支払いが激増し、長期的・国際的な対策が必要。*2000年3月の米国の科学雑誌「サイエンス」に掲載された海洋大気庁(NOAA)の調査では、この40年間に水深300mまでの平均海水温は0.31度、3,000mまでの深海でも0.06度上昇している。温暖化で暖まった大気の熱が海に吸収されたのが一因で、地表の温度上昇よりも10年も早まっている。一部の研究者は、貯まった海水熱が一気に放出されると地上大気の温暖化が急激に進む恐れを指摘。*気象庁「気候変動監視レポート・2002年」では、2002年は南米南部などで平年より低かったもののアジア、ヨーロッパ、太平洋諸国など北半球の中・高緯度を中心にほとんどが高温で、世界の平均気温は平年に比べて0.54度高く、1880年の観測以来、98年に次ぐ高温を記録した。年降水量は中央アジア周辺やヨーロッパなどで多く、夏は中国、朝鮮半島、ヨーロッパで大雨や洪水が起こった。逆にインド西部、北米西部、オーストラリアでは少雨で、干ばつや森林火災が起こった。同年の日本は、1?5月に全国的に高温となり、とくに3月は全国103地点で記録を更新し、東北地方より南では3月中に桜が開花した。年平均気温は平年差0.53度高く、1898年以来5番目に高温で、90年代前半からの高温状態が続いているとされます。CO2濃度は19世紀後半から上昇 図5は、過去120年間の地球の平均気温の推移を示しています。 地球の隣の金星と火星の大気中のCO2濃度は約95%で、この温室効果で金星は熱の固まりで平均気温は477度、太陽から遠く氷の星であるはずの火星の平均気温はマイナス47度です。46億年前に登場した地球も、生命(海の藻)が誕生する35億年前まではこの二つの惑星と同じCO2濃度でした。この時から30億年の間、藻から出た酸素(O2)が高層の大気中で紫外線と化学反応を起こしてオゾン層(O3)がつくられ、紫外線が遮断されて、植物が地上でも生存できる環境になりました。CO2は海の植物に吸収されて海中の石灰石や珊瑚になり、増えた陸上の植物が光合成で吸収しました。5億年前にはオゾン層はさらに厚くなり、紫外線はさらアナリシスに遮断され植物は陸上にも生い茂り、陸上の生物も増えました。 恐竜が消えた6,500万年前、人類が登場した240万年前、火を利用した第1次エネルギー革命の50万年前を経て産業革命前までには、こうして図6のように、地球の大気成分のうちCO2は1%にも満たない0.028%(280ppm)になり、窒素が78%、酸素が21%になったのです。仮に地球に炭酸ガスなど温室効果ガスがなければ、平均気温はマイナス18度ほどになります。 1800年頃、製鉄用に薪炭エネルギーと石炭を大量消費するまでは、同じ280ppmという濃度が続いていたのです。しかし1850年ごろから徐々に上昇を始め、2004年3月の大気中のCO2の濃度は379ppmになっています。 この濃度上昇の原因を説明しているのが図7で、1820年頃からの薪炭エネルギーの増加、第2次エネルギー革命で森林から石炭にエネルギー消費が切り替わったことが分かります。第3次エネルギー革命による電気と石油の大量消費、森林の伐採による吸収源の消失などによって、目下、途上国を主体に加速されています。64億トン1980年までの累積量化石燃料から森林・土壌から合計1,700億トン2,650億トン4,350億トン合計化石燃料より森林・土壌より20406080190020406080902000(年)(億トン)10090807060504030201080001図6化石燃料とCO2の推移出所:IPCC第2次評価報告書図7二酸化炭素の発生源の推移出所:Rotty(1981年論文)とPeng(1983年論文)他より作成石油・天然ガスレビュー48\1化石エネルギー資源量と炭酸ガス濃度の試算95年末の究極可採埋蔵量(固有の単位)1兆4,200億バレル250兆?1兆7,800億トン544億トン(石油換算・億トン)(A)1,9312,0541兆2,4035441兆6,932左が2倍に増えた場合(石油換算・億トン)(B)3,8624,1082兆4,8061,0883兆3,864究極埋蔵量が消費された時の炭素排出量埋蔵量Aの場合埋蔵量Bの場合(億トン)(億トン)1,5941,1881兆2,4201,0851兆6,287348ppm525873ppm3,1882,3762兆4,8402,1703兆2,574348ppm1,0511,399ppm石油天然ガス石炭?合成燃料? 合 計石油天然ガス石炭?合成燃料? 合 計炭酸ガスの濃度係数?(炭素トン/石油トン)0.82540.57821.00141.99440.9619地球の大気の炭酸ガス濃度1986年末の濃度全化石エネルギー消費による濃度追加同上による最終的な濃度注: 本表は志鷹義明氏の算定によっており、石油、石炭、合成燃料は石油鉱業連盟資料(1987年)、その他は以下のとおりである。  ?世界エネルギー会議(1989年)資料の石炭を瀝青炭に換算。  ?オイルシェール、オイルサンドの合計である。  ?炭酸ガスの濃度寄与度は、31ppmv/炭素1,000億トンとした。薄皮の地上に生きる植生たちと人類 人類は、直径1万3,000kmの地球で240万年前から生存してきましたが、これを育んでくれる地上の自然環境は狭くて薄いのです。植物を育て生物を生かす肥沃な土壌の厚さは約18cmです。雲を作り、雨や雪を降らし気象をつくる対流圏の厚さは約15kmです。地球を直径1mのボールに置き換えると、対流圏の厚さは僅か1mmになります。紫外線を適度に減らしてくれるオゾン層は、地上から20?25kmの成減らないエネルギー消費で増えるCO2 このまま推移すると2050年頃の濃度は560ppm(第2次エネルギー革命前の2倍)になり、地球の平均気温は16.5度(1961年から1990年の30年間平均)から約18度に上昇し、海面水位の上昇、異常降雨や渇水など異常気象、水不足と洪水の増加、台風など暴風雨の多発、農耕地や森林帯の移動、病原菌の北上移動などが危惧されています。 日本の第2次エネルギー革命を支えた石炭は、図8のように、約130年間で産業として消滅し、第3次エネルギー革命の双子の主役となったアメリカの石油も、図9のように、ピークを過ぎ減衰過程に入っています。 表1を前提にすると、図10のように、化石エネルギーの究極埋蔵量を現在のテンポで使ってしまうと、CO2の大気中濃度は800ppmから1,100ppm(埋蔵量が仮に2倍に増加した場合)の範囲に増えます。一部の先進国が排出を抑制しても、アメリカ、中国など途上国が増加テンポを落とさない場合、例えば年間増加率2%(1850年の280ppmが2003年の379ppmに至る153年間の年平均増加率)で推移する場合、2040年には790ppmになりますから、最近の予測を上回る異常な気候変動が起こるでしょう。AnalysisAAysAnananalysisAnalysisnAAAAnaallyyssiissnalyysis図8日本の石炭生産の推移(1874?2002年)図9アメリカの原油生産の推移出所: 1978年までは永沢周『石炭?昨日・今日・明日』(築地書館、1980年)、1979?95年は日本エネルギー経済研究所『エネルギー経済統計要覧2000年版』、2000年以降は筆者の推計注: 1990年までの累積生産量は1,890バレル、アラスカを除く48州分、点線部は筆者の推計出所:J.S.ハロルド社のハバート生産カーブ等より作成49石油・天然ガスレビュー?(cid:12676)貌(cid:12732)(cid:12728)(cid:12755)三大エネルギー革命と自然環境の変エネルギー文明史―その3AナリシスysisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanA(cid:12696)の生活を営むとすれば、地球環境はことごとく損壊してゆくでしょう。 狭くなった地球で次世代の人々が新世紀を生き延びるには、森林破壊で追い詰められた中世の人々に似た新しい第4次エネルギー革命をもたらすような取り組みが必要な時代に入っています。「王の快楽は一人に留める」智慧を実現する時勢です。それは、すぐれた基礎教育を受けた人々によって支えられる民主社会によってこそ達成できるように思えます。 人類誕生以来の今日までの先人の歩みと自然環境の変貌について顧み、そして来月、来年、10年後、50年後を眺望するとき、地球の気候変動まで引き起こすようになってしまった現代地球人の行動の重みを感じます。民族の系譜、宗教の独自性、利害に捉われた地などを重視し過ぎますと、理性よりも野獣の本能が脳幹から頭をもたげて争いの激情に巻き込まれやすく、脆弱な地球を慈愛の心で維持管理しなけれ境(cid:12694)(cid:12681)(cid:12674)人類のエネルギー消費の推移注:筆者の推計(cid:12700)(cid:12674)(cid:12672)(cid:12690)量消費パターンを踏襲する動きに入っています。 このまま推移しますと、自然環境の減衰は留まる所を知らず、代わって鉄とコンクリートの人工構造物が充満し、植生と共生することを遺伝子に受け継がれた多くの自然人は、次第に心身の変調をきたすでしょう。現代は、図12のように、20世紀型の文明を修正し、21世紀の新文明を築く政策が採られるよう全世界に働きかける時期にあります。 今から5000年前頃の「ギルガメシュ叙事詩」の物語は、一人の王の贅の振る舞いによる後遺症が大洪水となって、王一族下流域の環境を破壊した挙は別の地を求めて彷徨う自然環境保全の訓 現代文明が個人の肥大する欲望を放置する「民主」社会を標榜する余り、1億人余りの日本人が王の欲望を満たすことが容認され、ひいては80億人の地球人が、民主社会実現の名の下に王でした。話(cid:12751)句(cid:12686)(cid:12693)(cid:12734)(cid:12744)(cid:12686)(cid:12755)層圏内に分布しますが、これを0度で1気圧の地上に持ってくると厚さ3mmしかありません。植物や生物が生きる地球、これを取り巻く自然環境は薄く少なく微妙で脆弱です。 地球温暖化とは、化石エネルギーを飽食する文明によって気候変動が引き起こされる問題で、有限なエネルギーを貴重品として大切に使おうとする合意ができれば、対策は着実に進みます。とくに現代文明のリーダーのアメリカが、世界の模範国になって自国のエネルギー飽食を修正し直すときこそが解決への第一歩となります。21世紀の地球人の生き方 図11は人類のエネルギー消費の推移を示しますが、第2次エネルギー革命で始まった化石エネルギー消費は第3次エネルギー革命で急速に加速されていることがわかります。とくに中国やインドなどアジアの発展途上国が、米国型文明を真似た化石エネルギーの大図10化石エネルギー生産とCO2濃度の予測図11注: 生産量中の1、2は、それぞれ確認埋蔵量が現状(1995年末)と2倍の場合である。Aは生産抑制、Bは現状追認、Cは低価格増産の場合を示す。出所:志鷹義明氏の試算による石油・天然ガスレビュー50(cid:12676)貌(cid:12732)(cid:12728)(cid:12755)三大エネルギー革命と自然環境の変エネルギー文明史―その3図12人類エネルギー史の過去・未来図13人間の視野ばならない執事(スチュワード)の役割を忘れてしまいます。 人間の視野は、図13のように、左下に集中していて、46頁の図1に重ねて観ますと、右上のグループの責任が浮上してきます。 エネルギーと環境のかかわりを素描しましたが、そこからは、悪循環の根源である「木を見て、森を観ず」にならないよう現実を正面から直視して、全地球人が環境の保全に向けて武器を捨て話し合いを深め、前向きに行動を共にするのが「21世紀のヒトの道」と告げているように感じます。その基底にある心は、本誌前号(85頁)に記した50世紀前に起こった自然破壊を猛省した『ギルガメシュ叙事詩』にあることを再説し、21世紀においてその希少性と重要性を一層高める石油と天然ガスに対する当機構の開発努力を切望しながら、エネルギー文明史を終わります。AnalysisAAysAnananalysisAnalysisnAAAAnaallyyssiissnalyysis出所:ローマクラブ『成長の限界』(ダイヤモンド社、1973年)51石油・天然ガスレビュー
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2004/11/20 [ 2004年11月号 ] 田中 紀夫
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