ページ番号1006139 更新日 平成30年3月5日

アジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸の LNG プロジェクトの現状と見通し

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レポートID 1006139
作成日 2005-01-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 齊藤 晃 三津石 裕士
年度 2005
Vol 39
No 1
ページ数
抽出データ AnalysisアナリシスJOGMEC 石油・天然ガス調査グループsaito-akira@jogmec.go.jp齊藤 晃JOGMEC ヒューストン事務所mitsuishi-hiroshi@jogmec.go.jp三津石 裕士アジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し・ 米国は、全世界の天然ガス消費の約4分の1(日本の約8倍)を占める巨大な市場である。従来、国内産ガスの不足分は、主としてパイプラインによってカナダから輸入してきた。しかし、米国内の需要増加と、カナダおよび国内のガス田の生産が成熟化していることから、LNGによってガス需要の増加に対応することが期待されている。・ EIA(米国エネルギー情報管理局)の見通しによれば、2025年の米国のLNG輸入は、2003年実績の10倍以上となる約11,000万トンが輸入されると予測されており、新規LNG受入基地は、現在50近くが計画されている。しかし、米国におけるLNG受入基地建設に対する地元住民の反対運動(NIMBY、BANANA等と称される)が東海岸・西海岸を中心に激しく、中止に追い込まれるプロジェクトが相次いでいる。・ 今後の米国におけるLNG輸入の去就は、世界全体のLNG市場にも大きく影響を及ぼすものと考えられる。特に、西海岸のLNG受入基地が実現できれば、インドネシア(タングー等)・豪州(ゴーゴン等)・ロシア(サハリン2等)等のアジア太平洋LNGの上流側の生産動向に影響を及ぼすだけではなく、現在世界の約半分(2003年、約5,800万トン)のLNGを輸入する日本を含め、アジア太平洋のLNG市場に大きく影響を及ぼすものと考えられる。・ 西海岸のLNG受入基地計画は、石油ガス産業に親しんだ地域であるメキシコ湾岸と異なり、環境問題等の理由で、東海岸と同様住民反対運動が強い傾向にある。それは、陸上のLNG受入基地計画だけではなく、沖合のLNG受入基地計画においても拡がっている。また、メキシコにおいても、米国国境に近いBaja California州ではメキシコ人の複雑な住民感情もあって、反対運動が拡がっている。しかし、こういう強い住民反対運動の状況にあっても、西海岸においてもCosta Azul基地等のように、様々な課題を徐々に解決し、受入基地の実現が視野に入ってきたLNG受入基地計画もある。・ 大西洋LNG市場の影響を受けて、アジア太平洋LNG市場においても、トレーディング、契約、価格決定方式等が変化する可能性がある(市場間価格差を利用した裁定取引の活発化、仕向地条項の緩和、価格フォーミュラの変更等)。実際、2004年10月Costa Azul基地向けに締結されたLNG売買契約(SPA)においては、仕向地条項の緩和、市場ガス価格にリンクした価格決定方式など、柔軟性のある契約内容となったようである。・ 筆者らは、2004年10月初旬、カリフォルニア州とメキシコBaja California州に出張した。本稿では、西海岸のLNGプロジェクトの現状と今後の見通しについて、出張時のヒアリング内容等も、ある程度盛り込んだ上で、考察していきたい。なお本稿では、カリフォルニア州とメキシコBaja California州に絞って考察することとする。その前に、LNGをめぐる米国全体の状況と、LNG受入基地実現の鍵を握る住民反対運動の状況についても、あわせて考察していくこととする。1. はじめに EIA(米国エネルギー情報管理局)の見通しによれば、米国が輸入する天然ガスの大部分を占めるカナダ産天然ガスは、2010年をピークに減少する見込みである。米国国内の天然ガス生産も、ほぼ横ばいの予想がなされている。このような状況を背景に、またエネルギー選択オプションを増加させるという意味からも、米国においてLNGに対する期待は高まっており、メキシコ・カナダを含め、受入基地計画は現在50近くが検討されている状況である。しかし、LNG受入基地の建設は、テキサス州やルイジアナ州といった、従来から石油ガス産業に親しんできたメキシコ湾岸地域を除いて、東海岸や西海岸においては、住民反対運動(NIMBY; Not In My Back Yard、BANANA; Build Absolutely Nothing Anywhere 11石油・天然ガスレビューsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAアナリシスNear Anyone 等と呼称される)の激しさから、その実現性については、困難視する向きもある(JOGMECホームページ:http://www.jogmec.go.jp、石油・天然ガス資源情報 04/04/22「米国:LNG受入基地建設に暗雲??アジア太平洋LNGへ影響?? 齊藤晃」参照)。 9・11事件や、2004年1月にアルジェリアのSkikdaで発生したLNG関連事故(以下、Skikda事故)によって、住民反対運動の勢いはむしろ強まっているように思われる。例えば、東海岸のメイン州で計画されていたHarpswellのプロジェクトは、住民投票により中止に追い込まれた(後述)。西海岸のカリフォルニア州においても、Humbolt Bay(Eureka)とMare Islandのプロジェクトが中止に追い込まれている。また、2004年3月、メキシコのTijuana(カリフォルニア州との国境の町)にあるMarathonのプロジェクトも、住民反対運動の激化を受けて、中止に追い込まれている。このような動きは、陸上のLNG受入基地のみならず、沖合のLNG受入基地にも拡がって来ている。 現在、米国の既存LNG受入基地は、①Everett(マサチューセッツ州)、②Cove Point(メリーランド州)、③Elba Island(ジョージア州)、④Lake Charles(ルイジアナ州)の4基地が存在する(4基地全体の受入能力:約2,000万トン/年弱)が、いずれも東海岸あるいはメキシコ湾岸に位置している。一方、西海岸には、現在既存基地が存在せず、新規受入基地の建設が望まれるところである。2. 増加する米国のLNG需要 米国においてLNG需要は増大しており、中長期的にも増大する見込みである。主なポイントは、下記のとおりである。・ 2003年、米国のLNG輸入量は、前年比に比べ倍増した(2002年約490万トン→2003年約1,000万トン)。これは日本、韓国、スペインに次いで、世界第4位の規模である(図1、図2参照)。・ ただし、米国の天然ガス消費量全体の約2%である(2003年)。・ 2002年、米国の天然ガス純輸入量に対するLNGの割合は、5%未満であったが、2003年には10%以上に急増した。EIAの予測によれば、2010年にLNG輸入量は、4,500万トンに達し、天然ガス純輸入量に対する割合も、約4割となる見込みである(図3参照)。・ さらに、2025年のLNG輸入量は、2003年実績比10倍以上の11,000万トンとなる見込みである。この量は、現在の世界全体のLNG生産量に匹敵するものである。また2025年には、LNGの輸入割合は、全ガス輸入量の約7割に増加する見込みである(図JOGMECデータ等により筆者作成図1米国のLNG輸入量推移(単位:万トン)GIIGNL[国際LNG輸入者協会]のデータ等により筆者作成図2世界のLNG輸入量の国別割合石油・天然ガスレビュー12Aジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通しな量である。・ 北米における天然ガスの確認埋蔵量は、世界の約4%である。一方、北米の天然ガス消費は、世界の約29%を占める(米国一国で世界の24%)。・ EIAの予測によれば、米国の天然ガス消費は、発電用や産業用の需要増などにより、今後20年間で1.4%ずつ成長すると見込まれている(発電用の伸びは、1.8%増と予測)。・ 一方、国内産ガス生産の成長率は1%程度である。今後、メキシコ湾深海、ロッキー山脈、アラスカ等フロンティア地域の開発が進展すると予測している(しかし、例えば、アラスカの開発に関しては、環境問題(ANWR[北極地域野生生物保護区]の開発)や200億ドルとも言われるパイプライン投資がネックになっており、ブッシュ政権の再選後も課題が多いと言われている。今後、国内生産増加率1%の見通しが下方修正され、将来のLNG輸入量が増加する可能性がある)。EIA(米国エネルギー情報管理局)図3米国における天然ガスの輸出入形態(1970?2025、単位:TCF)3参照)。・ 現在のLNG輸入は、トリニダード・トバゴ産が約4分の3を占めている(図4参照)。・ 北米(米国・カナダ・メキシコ)におけるLNG受入基地計画は、約50近く計画されており(図5参照)、ここ数ヵ月の間にも急増している。・ FERC(連邦エネルギー規制委員会:Federal Energy Regulatory Commission)承認済みの受入基地計画は6つである(2004年9月時点)。・ 現在計画中のLNG受入基地の、全受入能力は、約3億トン/年と膨大GIIGNLのデータ等により筆者作成図4米国のLNG輸入相手国別の割合 2003年12月のLNGサミット会議において、Spencer Abraham米国エネルギー省(DOE)長官は、米国は今後の天然ガス需要増に対応するために、2025年(11,000万トン/年輸入と予測)には、6?13基地の新設が必要であり、その投資額は約1,000億ドルに上る、と述べている。こういったLNGブームに乗って、関連企業は急増する需要に応えるため、新規LNG受入基地の建設計画を次々と進めている。 ところで、このように米国でLNG受入基地計画が次々と建設されるのは何故であろうか? 背景として、いろいろな要因があるが、①高いガス価格が維持されていること(一般的に3ドル?3.5ドル/百万Btu以上であればLNGでも採算性があると言われる)、②前述したように、米国国内のガス田の成熟化だけでなく、カナダのガス田の成熟化により、カナダ産のガス輸入が2010年をピークに減少が見込まれること、③LNG関連コストが過去に比べ低減したこと(液化プラント・LNG船等、規模の経済性や経験の蓄積等の理由による)、④規制緩和によりLNG受入基地建設が進めやすくなったこと(新規LNG受入基地が「生産設備」として取り扱われ、オープン・アクセス*1の規制対象にならないこと等)等が挙げられる。3. 住民反対運動について? 米国の住民反対運動の例 このようにLNG受入基地計画が相次いでいる中で、地元住民の反対運動によって、LNG受入基地建設計画が、断念もしくは延期せざるを得ないケースが相次いで生じてきている。地元住民は、LNG受入基地が爆発の危険性があり、テロの標的になりかねないことも危惧している。9・11事件やSkikda事故によって、住民の恐怖感はさらに増幅されている。 例えば、東海岸において、2004年3月、メイン州Harpswell町において、ConocoPhillipsとカナダ大手パイプライン輸送会社TransCanadaが共同で実施する、LNG受入基地建設プロジェクト「Fairwinds」に対して、Harpswell町の投票者の約4分の3が反対票を投じた(4,700人のうち3,500人が反対)。これを受けて、Fairwinds側は、プロジェクト計画を延期せざるを得なくなった。 住民投票の争点は、Harpswell町が所有する、旧米国海軍燃料貯蔵所の土地を、LNG受入基地建設のため土地賃*1: 第三者利用。従来は、FERCは、LNG受入基地を州際パイプライン(州間でのガス輸送に利用される幹線PL。連邦レベルの規制を受ける)と同様に扱ってきたが、2002年12月、LNG受入基地に対して、オープンアクセス政策を適用しない旨の決定を行った。これにより、受入基地への投資が容易となった。13石油・天然ガスレビューsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAEnergy BridgeWeaver's CoveSomerset Penuelas(プエルトリコ)High Rock LNG(バハマ)Ocean Cay(バハマ)ProvidenceBroadawater EnergyCrown LandingQuoddy BayEverettCove PointElba IslandTampaFreeport(バハマ)アナリシスKeltic Petrochemicals(カナダ)Statia Terminals(カナダ)KenaiValdezPort WestwardJodan CoveHumbolt Bay LNGMare Island LNGClearwater Port Cabrillo PortPort PenguinTijuana(メキシコ)Ridley LNG(カナダ)Kitimat LNG(カナダ)Irving Canaport(カナダ)Bear Head(カナダ)Cacouna Energy(カナダ)Rabaska(カナダ)Fairwinds LNGPort ArthurSabine Pass LNG Creole Trail LNG Golden Pass LNGLong BeachPelican IslandFreeportInglesideVista del Sol LNGCorpus ChristiPhiladelphia Freedom Energy CenterCameron LNGLake CharlesPascagoula Gulf LNG EnergyTerminal GNL Mar Adentro (メキシコ)Energy Costa Azul LNG(メキシコ)Puerto Libertad(メキシコ)Compass PortMain PassEnergy HubPort PelicanGulf LandingEnergy BridgePearl CrossingManzanillo(メキシコ) Jamaica(ジャマイカ)Lazaro Cardenas(メキシコ)LNG液化基地?稼動中  LNG液化基地?構想・計画段階    LNG受入基地?稼動中LNG受入基地?計画(承認済・建設中)LNG受入基地?構想・計画段階LNG受入基地?計画中止 Altamira(メキシコ) Puerto Cortes (ホンデュラス)San Andres(ドミニカ)出所:各種資料より作成、2004年11月現在図5北米において相次ぐLNG受入基地計画貸するかどうかであった。反対運動家は組織的に活動し、住民に反対投票を行うよう、キャンペーンを行っていた。住民投票で建設計画が承認されていれば、Harpswell町は賃貸料収入や税金などで、毎年800万ドルの収入を得ていたと言われる。また、Fairwinds側は、建設支援を勝ち取るために、学校教育に数万ドルを費やすなど、住民の支持獲得に熱心であった。しかし、金銭的なインセンティブも、住民からの支持を集めるのに、十分ではなかった。住民の主な反対理由としては、LNG関連設備が爆発の危険性がありテロの標的になり得ること、主力の漁業産業石油・天然ガスレビュー14Aジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通しの利益を損なうこと、漁業産業からの転換を望まなかったことなどが挙げられる。 カリフォルニア州においては、Calpineが進めるEureka(Humbolt Bay)におけるLNG受入基地計画が、住民反対運動の激化を受けて、中止に追い込まれた。居住地域から0.5マイル(約1km)と近かったことも影響している。また、Shell/Bechtelが進めるMare Island(サンフランシスコ湾内)のLNG受入基地計画も、住民反対運動の影響により、中止に追い込まれている(LNGタンカーが湾内を通過することに対しても反対運動があったようである)。 メキシコ太平洋岸で、米国国境に近いBaja California州で、Marathonが進めるTijuanaのLNG受入基地計画(発電所、海水淡水化等とのTijuana Regional Energy Centerの一環。インドネシアのドンギからの供給が予定されていた)においても、住民反対運動の激化を受けて、建設計画を放棄せざるを得なくなった。? 住民の反対運動の背景 このように住民反対運動は、米国およびメキシコBaja California州などで激化しており、前述の通り、NIMBY・BANANA等と言われる(NOPE; Not on Planet Earth という言葉もある)。このような住民反対運動は、LNGに限ったものなのであろうか? 答えはNOである。米国ではここ約20年程、新規製油所の建設が進展しなかった。理由の一つに、住民反対運動の存在がある。新規パイプラインの建設などにおいても、住民反対運動の激化を受けて、進展しないという話をよく耳にする。ただし、LNGに関して言えることは、基地建設が約20年間なされておらず、住民にとって製油所のような設備と違って、LNG設備のイメージを把握しにくいという背景があるようである。このようなLNGに対する知識不足に起因して、住民反対運動がより強くなる傾向があるようである。 さらに、米国でのLNGに関する過去の事故の記憶が、影響している面もある。1944年、エリー湖畔のクリーブランド市においてピークシェービングプラントのタンクが損傷し、4,000?のLNGが流出した。ガスに着火して発生した火災は、市街地に拡がり、約130名が犠牲となった。LNGに対する防液堤がなかったことも影響しているが、当時のタンクの内側に、現在のLNG業界の常識では考えられない材料である3.5%ニッケル鋼が使用されていたという事情もあった。73年には、ニューヨークのスタートン島にて、LNG貯蔵タンクの修理中に、残存可燃ガスが爆発し、作業員40名が犠牲になった。こうした背景から、反対運動家たちは、米国内で生じた過去のLNG事故をよく引用している。 ここで、住民反対運動に影響を与えている、1人のオピニオンリーダーの存在について紹介していきたい。主な反対派グループであるGreen Futuresは、マサッチューセッツ工科大学の非常勤教授であるFay教授の説に基づいたパンフレットを発行している。Fay教授は70年代から、LNGタンカーの衝突によってLNGが海上に流出し、爆発を起こしかねないことを指摘してきたが(当時はあまり関心をもたれなかったようであるが)、9・11の事件後、反対運動団体から脚光を浴びるようになった。9・11事件を境に、Fay教授のシナリオの前提も、「テロリストが、有人ボートによってLNGタンカーに衝突し、大爆発を起こす」というものに変化していったようである。こうした主張は、反対運動家たちにとって受け入れられやすく、同氏はオピニオンリーダーとなっていったようである。 マサチューセッツ州にあるFall Riverプロジェクトについても、Green Futures側は、漏洩拡散したLNGが引火することでFall River周辺の5平方マイル(12.8?)が焼失すると主張している。また、Green Futures側は、近隣住民との対話の際、Fay教授の説に基づき、LNGタンカーが爆発した場合、55個の広島型原爆に相当する爆発力を有している、と主張した。Fall Riverプロジェクトの関係者は、Fay教授の主張は、物理的に想定できない面もあり、恐怖の押し売りを行い、また過度の誇張を行っているとして、Fay教授を告発するという動きに発展した。 過去多数の専門家が研究してきたように、LNGは液体の状態では、爆発燃焼しない。また、気化したガスは、周囲の空気と5%?15%の濃度で混合し、かつ着火源があった場合のみ、着火するものである。また、仮に発火しても、燃焼時間は極めて短く、5分も燃焼しないであろうと言われている。 FERCも指摘している通り、LNGの輸送は約40年間、安全に行われてきた実績がある。約60年前に生じたクリーブランドの事故の時代は、タンクの材料も、現在では想定できないような材料を使用していた。 ここで強調しなければいけないのは、現在では過去の教訓を生かし、業界の多大な努力や技術革新によって、材料も大幅に改良されており、安全性が格段に向上されているということである。住民はLNGに関する知識を、正確に得ていないという側面があり、今後政府をはじめ啓蒙活動がより重要になってくるものと思われる。? FERC(連邦エネルギー規制委員会)の対応 FERCは、このようにLNGに関して住民反対運動が激化しているのを受け、2004年5月安全性に関する報告書15石油・天然ガスレビューsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAアナリシス確に調査されていない面があること、LNG産業が長年にわたって培ってきた、長期の安全記録を軽視していること等の不満を持っているようである。 FERC委員長のPat Woodは、「米国は、LNG輸入に関する管理可能なリスクと、天然ガス価格の高騰によって起こり得る経済へのダメージをバランスさせる必要がある」と述べている。一説によると、FERCはLNGプロジェクトに対する承認を延期する可能性があるとされており、LNGプロジェクトの動向にも影響を及ぼす可能性もある。を発表した。「LNGタンカーからの流出に関する事故に対する影響評価手法の有効性について」という報告書で、LNGタンカーが衝突あるいはテロ攻撃によって、起こり得るLNGの漏洩による大規模災害の可能性について記述している。報告書は、ヒューストンにあるABSGコンサルティング社に依頼され、作成された。なお、この報告結果については、LNG受入基地審査のためのツールの一つとして、使用される予定である。 本報告書では、LNGタンカーが輸送中あるいはバース停泊中に、LNGが海上に流出する場合を想定し、引火性蒸気と熱輻射による事故範囲を計測する影響評価方法を確認している。例えば、漏洩したLNGが何らかの原因で着火した場合の火災(プール火災)からの人や施設への熱輻射の影響評価、急速相転移の影響評価等が含まれている。 環境保護団体などは、この報告書をLNG受入基地建設を阻止するための材料として使用したいようだが、本報告書ではLNGタンカーに対するテロ攻撃について、十分な調査がなされてい面があること等に不満をもっているようである。一方で、産業界も、報告書のいくつかに不備があること、正4. カリフォルニア州とメキシコBaja California州のLNG事情 このように米国においては、LNG需要増の予測を背景に、LNG受入基地の建設計画が相次いでいるが、日本と違って住民反対運動が根強いということを、住民反対運動の背景とともに紹介させて頂いた。米国におけるLNG受入基地の動向を分析するとき、住民反対運動の動向の把握は、重要なファクターの一つであると考える。 次に、本稿の本題である、西海岸LNGプロジェクトの現状と見通しについて、考察していきたい。なお、本稿においては、この数年間でLNG受入基地実現の可能性が高く、アジア・太平洋LNG市場に影響を及ぼす可能性が高いと考えられる、カリフォルニア州とメキシコBaja California州のLNG事情に絞って、考察していくこととする。? カリフォルニア州のLNG事情 カリフォルニア州は、人口が約3,600万人、天然ガス消費量は日本の約7割程度である。2002年において、カリフォルニア州の州内産天然ガス自給率は約16%にとどまり、残りを米国南西部地域、カナダ、米国ロッキー山脈*2地方等から調達している。その比率は、各々44%、27%、13%となっている(図6、図7参照)。米国?カナダ間の主要パイプライン網の西端に位置するカリフォルニア州は、天然ガス供給不足時には、他地域からの調達の融通がつきにくい。2001年の電力危機時には、州内のガス価格は、一時的に20ドル以上/百万Btuをつけたこともあり、州政府は、国内他州やカナダからのパイプラインガスやLNG等、供給源の多様化を図る施策の実現に力を注いでいる。カリフォルニア州としては、周辺CEC資料図6カリフォルニア州消費天然ガスのガス源別の推移のネバダ州、アリゾナ州、カナダ等の需要が旺盛であるので、必要とする天然ガスの調達に危機感を持っているようである。 カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)によれば、天然ガス需要に関しては、発電用を中心に今後10年間で年率1.5%ずつ増加すると見込まれている。発電用の比率も、2004年見込みの36%から2013年43%まで上昇すると見込まれている。*2: 図7参照。(南西部)El Paso Natural Gas Company、Mojave Pipeline Company、Transwestern Pipeline company、Southen Trails Pipeline Companyによる、カリフォルニア州への輸送分   (ロッキー山脈)Kern River Tranportation Systemによる、カリフォルニア州への輸送分石油・天然ガスレビュー16Aジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し天然ガス生産能力の向上、③LNGのような非伝統的な供給ソースの設備の設置等である。 なお、州政府間レベルで、LNG問題を効率的に取り組むため、CECは「LNG Interagency Permitting Working Group(LNG認可作業部会)」の設置を支援している(CECによると、同ワーキンググループは、13の関係機関を含んでいる)。このグループの目標は、LNGプロジェクトの開発と、環境・住民の安全性・地域社会の懸念をバランスさせるエネルギー政策が、首尾一貫しているかどうか確かめることにあることと述べている。? カリフォルニア州のLNG受入基地計画 カリフォルニア州の主なLNG受入基地は、4ヵ所計画されている(図8、図5参照)。陸上のLNG受入基地が1ヵ所(Long Beach、ロサンゼルス近郊、三菱商事/ConocoPhillips)、沖合のLNG受入基地が3ヵ所計画されている(①Clearwater Port:Ventura沖合、Crystal Energy/Woodside Energy、②Cabrillo Port:Oxnard沖合、BHP Billiton)、③Port Penguin:場所未定、ChevronTexaco)。カリフォルニア州の計画基地の全受入能力は、約2,000万トン/年である(③のPort Penguinを除く)。 なお、Humbolt Bay(Eureka[カリフォルニア州北部]、Calpine)とMare Island(Vallejo[サンフランシスコ近郊]、Shell/Bechtel)の2つのプロジェクトが中止となっている。CEC資料図7カリフォルニア州周辺のパイプライン CECのエネルギーレポート(2003)によると、LNG導入するにあたっての主要な課題に関して、①安全性、②品質の問題(パイプラインガスとの品質の違い)、③ガス販売契約の問題(膨大なLNG投資をサポートするのに必要)等があると述べている。また、LNGは、複数国からの供給を可能にし、またカナダ産および米国産のガス価格との競合によって、価格低下につながることも望んでいるようである。(参考) カリフォルニア州の主なエネルギー政策は、CECのエネルギーレポート(2003)によると、以下のようなものである。①省エネ(非効率な発電所の建て替え、コージェネレーションの普及等)、②代替燃料の整備(風力、地熱、太陽光等、LNGの整備も含む)、③インフラの整備(州際P/Lの能力増強、州内貯蔵設備の活用、既存ガス田の生産能力の増強、LNGのような非伝統的な供給ソースの発展等)。 また、天然ガスインフラ関する主な施策は、以下のとおりである。①カナダや米国南西部地域、米国ロッキー山脈からの州際P/L能力の増強、②州内の貯蔵施設の柔軟な活用、③州内の17石油・天然ガスレビュー? CEC(カリフォルニア州エネルギー委員会)でのヒアリング内容 カリフォルニア州のLNG事情調査のため、2004年10月、CEC(カリフォルニアエネルギー委員会)を訪問したが、ヒアリング内容の要旨は、以下のとおりである。・ 北米における天然ガス生産は、減退することが予想され、調達地域の多様化を進め、LNGなどを含めた複数のオプションを保有することが重要であると考えている。・ LNG受入基地建設計画の審査をするとき、基本的に人への影響等、安全性を重視している。・ 西海岸にどれだけLNG基地ができるかは不明であるが、right design、right locationのあるところが生き残るのであり、企業の努力次第である。・ 反対運動に関しては、LNGに限らず、パイプラインや家の建築等、何にでもある。・ カリフォルニア州では、LNG管轄権をめぐって、CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)対FERCの争いがあるが、CPUCもLNG基地建設の推進に決して反対している訳ではなく、どちらが勝利してもLNGプロジェクトの推進には、影響しないと思われる(後述)。・ カリフォルニア州の場合、他国や他州と異なり、ガス品質が異なる。その中の重要な要素である熱量も、インドネシア・タングー産は熱量が低いため問題にならないが、それ以外は品質に問題がある(後述)。・ 米国はガスの地下貯蔵システムが充実している。・ LNG価格決定方式については、日本のような価格フォーミュラは安定的であり、売主・買主双方にメリットがあるかもしれないが、市場連動型が望ましいと考えている。その中でも、Henry HubなどではなくSoCal sisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAアナリシスLNG受入基地については、州が管轄権を有し、推進企業は州に申請義務がある旨を発表した。連邦政府側(FERC)が、陸上のLNG受入基地の許可権限を持つことに反対したのである。これを受けて、同じ3月、FERCは陸上のLNG受入基地に対する許可権限は、連邦政府が独占的に保有するとした指令を発表している。ただし、FERCは安全性に関するCPUCの懸念はもっともであり、今後も協調して対処していくとしていた。また、FERCは同月、LNGの重要性に鑑み、新規にLNGエンジニアリング課を創設している。新組織は、LNG受入基地の審査、関係機関(USCG*4・米国運輸省など)との調整を行う。なお、11月、連邦議会は陸上のLNG受入基地の管轄権は、FERCにあると判断、CPUCの主張を参加企業使用開始予定受入能力(百万トン/年)2007n.a.200820072008n.a.7.66.155.77.6n.a.?????P A C I F I C O C E A N border Index*3等が相応しいと考えている(後述)。・ LNG受入基地が増加した場合の、供給過剰の可能性について:企業が撤退し、LNG関連設備が残存することを懸念している。その際は、企業に警告するつもりである。・ CECとしても、LNGが安全であることを、住民に啓蒙することは重要であると考えており、力を入れている。例えば公聴会等で、説明会を開催している。熱心な聴衆者も多く、300名?400名の聴衆者が集まったこともあった。・ 今後、水素エネルギーや燃料電池にも期待している。・ 将来的なLNG需要予測について、発電用の将来予測は比較的簡単であるが、輸送用の将来予測は難しいと考える。量は限定されるかもしれないが、自動車等の輸送用の伸びによって、LNG等の需要が変化する可能性もあると考えている(補足:カリフォルニア州では、天然ガス自動車の形態としては、CNG車[圧縮天然ガス車]よりもLNG車が一般的である[空港での利用やごみ収集車等で利用]。なお、LNG車への転換に関しては、全額補助金が出る仕組みのようである)。 ここでは安全性等、色々な論点があNo.プロジェクト名①②③④⑤⑥Clearwater Port(沖合)Cabrillo Port(沖合)Long Beach(陸上)Terminal GNL Mar Adentro(沖合)Costa Azul(陸上)Port Penguinるが、①CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)対FERCの問題、②熱量問題、③価格、については重要な論点であり、簡単に考察していきたい。①FERC対CPUC カリフォルニア州のLNG受入基地計画を論じる際、FERCと州政府とのLNG管轄権をめぐる争いについて述べなければならない。現在、SES(Sound Energy Solutions、三菱商事の子会社)の進めるLong Beach受入基地計画の管轄権を巡り、FERCとCPUCが縄張り争いを続けており、連邦控訴裁判所で係争中である。CPUCの見解によれば、Long Beach受入基地のLNGは州内消費にされるだけで他州に供給されず、よって州が権限を保有するのは当然だと主張している。個人的見解では、先述したようなカリフォルニア州のエネルギー政策を考慮すると、LNG受入基地建設は推進されるものと思われる。しかし、裁判の長期化も予想され、LNG受入基地の稼動時期が遅れる等の影響が考えられる。(参考) 2004年3月、CPUCは、カリフォルニア州内において建設されるプラントサイトVentura沖合 カリフォルニア州Oxnard沖合 カリフォルニア州Long Beach市 カリフォルニア州Tijuana沖合 Baja California州Ensenada Baja California州カリフォルニア州沖合Crystal EnergyWoodside EnergyBHP Billiton 三菱商事/ConocoPhillipsChevronTexacoSempra/ShellChevronTexaco各種資料より筆者作成図8カリフォルニア州、メキシコBaja California州のLNG受入基地計画*3:南カリフォルニア州際スポット価格*4: 米国沿岸警備隊:陸上のLNG受入基地計画の許認可権は、FERC(連邦エネルギー規制委員会)にある。なお、沖合のLNG受入基地については、LNG基地建設促進を目的として2002年に改正された深海港法(Deepwater Port Act)に基づき、米国運輸省(DOT)・沿岸警備隊の規制下に位置付けられることになった(沖合3マイル以上のプロジェクト)。例えば、沖合のLNG基地で承認を受けたものに、メキシコ湾でChevronTexacoの主導するPort Pelicanプロジェクトがある。石油・天然ガスレビュー18Aジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し退けている。②熱量問題 米国においてユーザーに供給されるガスの熱量は一般的に低く、アジア・太平洋地域産のLNGは、インドネシア・タングー産(約1,050Btu/cf)を除き、比較的熱量が高いため、受入側の企業にとって、熱量管理の問題は重要である。このようなLNGを米国市場に持ち込み、ユーザーに供給するためには、熱量を下げる必要がある。そのため例えば、設備投資がかかる窒素設備を設置して、熱量を調整する工程が必要となる。なお、2003年の米国のLNG輸入量のうち、約4分の3をトリニダード・トバゴ産が占めているが、その理由としては、同国産のLNGは熱量が低く、国内産ガスとの互換性があるためである(図9参照)。 南カリフォルニアのパイプラインガスの平均品質でみると、熱量規格は約1,020Btu/cfであり、低熱量である(メタン含有率95%以上)。Long Beach基地では、輸入するLNGを適正な熱量にするため、C2+(エサナイザー)分離装置等を設置する予定である。なお、C2+等の処理は、Long Beach受入基地ではなく、近隣のConocoPhillipsの製油所で、処理される予定である(製油所までパイプラインを敷設し、C2+等を送出)。このため、SESにとって、熱量調整にかかる設備投資が軽減されることになる。SESは、ConocoPhillipsとLong Beachの基地建設に関して、共同開発を行うことで合意したが、メジャー等複数ある候補のうち、ConocoPhillipsを選択した理由の一つは、ここにもあるようである。通常であれば、熱量の高いLNGを輸入し、これをユーザーに供給する場合、熱量を適正にするため窒素と混入して、熱量を下げるのであるが、西海岸においては窒素基準(ガスに含まれる含有量の誤差基準)が東海岸と比較してより厳しいため、このような措置19石油・天然ガスレビュー図9EIAを行うこととなった。 なお、2004年10月、サンディエゴに本社を置く、エネルギー総合会社のSempraが、メキシコBaja California州にあるCosta Azul基地向けに、タングーからのLNG売買契約を締結したが、担当者によれば、タングー産のガスが低熱量であることが調達理由の一つであると述べていた。③価格 CECとのヒアリング時、カリフォルニア州におけるLNG価格の決定方式についての考え方を聞いた。それによると、先方は「LNG価格決定方式については、日本の価格フォーミュラ等は比較的安定的で、売主・買主双方にメリットがあるかもしれないが、市場連動型が望ましいと考えている。その中でも、Henry Hubなどではなく、SoCal border Index等のカリフォルニア州で取引される価格が、相応しいと考えている」と述べていた。日本と違い、米国の天然ガス市場は自由化が進み、かつパイプライン網が充実しており、パイプラインガスとの代替が可能なことから、市場価格リンクが望ましいと考えているようである。また、天然ガスの適正価格水準についてCECに聞いたところ、4ドル/百万Btu以下が望ましいと考えるが、米国国内生産の減退、今後の国内天然ガス開発がフロンティア地域であるメキシコ湾深海・アラスカ等に向かうことで、コスト増加(探鉱コスト・パイプラインコスト等)が予想されるので、価格の低下は困難ではないかと述べていた。主なLNG生産国別の熱量? メキシコBaja California州のLNG事情①メキシコの天然ガス事情 2003年のメキシコの天然ガス消費量は、日本の約6割である(454億?、BP統計)。メキシコは、石油に関しては輸出国であるが(2003年約210万b/d、BP統計)、従来から天然ガスより石油の開発を優先させてきたという事情もあって、天然ガスに関しては輸入国となっている。2003年には米国から90億?を輸入している(BP統計)。EIAの予測によれば、需要は発電用を中心に、2025年までが年率3.9%ずつ増加する見通しである。現在、メキシコでは、ブルゴス盆地等でMultiple Service Contractという方式(法的に外資への資源所有権の移転を伴わないメキシコ独自の包括的サービス契約。外資に作業対価を支払うサービス請負契約)によって、天然ガスの増産プロジェクトが実施されている。しかし、天然ガス需要増大を背景に、ある調査機関の予測では、2009年には、2003年の4倍以上となる、約380億?が輸入される見通しである。 メキシコとしては、LNGの導入が可能になれば、ガスを米国のみに依存するのではなく、インドネシア・豪州といったアジア太平洋地域、ロシアAナリシスSempra HP図10Costa Azul基地完成予想図(サハリン2等)、ペルー・ボリビアといった南米地域など、供給源の多様化を図ることが可能となる。2001年のカリフォルニア州電力危機の教訓から、LNGの導入が、米国依存の脆弱性を緩和できると考えているようである。 メキシコでは、メキシコ湾岸にあるAltamira LNG受入基地、太平洋岸に面したLazaro Cardenas LNG受入基地などが計画されている。このうちメキシコ湾岸のAltamira LNG受入基地は、現在建設中であり、2006年稼動開始予定である(図5参照、Shell/Total/三井物産で共同推進。メキシコ電力公社(CFE)へのガス供給が決まっている)。メキシコ政府は中長期的に、米国の天然ガス不足が深刻であると予測し、将来メキシコへの輸出が継続可能であるかどうか不明であるとして、メキシコでのLNG受入基地建設を積極的に支持する意向を表明している。メキシコ電力公社(CFE)は、メキシコにおいて2010年までに少なくとも3つのLNG受入基地が必要であると、予測している。ysisnalyssiissyyllaanAAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnSempra HP図11Costa Azul基地周辺パイプライン図② Baja California州のLNGをめぐる事情 Baja California州では、Sempra/Shellの進める陸上のLNG受入基地であるCosta Azul基地(米国国境から50?60km南 )、ChevronTexacoの進める沖合のLNG受入基地であるTerminal GNL Mar Adentro(米国国境の町Tijuanaから約13㎞沖合)等が計画されている(図8、図5参照)。なお、前述した通り、本年3月には、Marathonの進めるTijaunaの陸上のLNGプロジェクトが、住居地域に近接していたこともあって、住民反対運動が激化したため、中止に追い込まれている。いずれのプロジェクトも、Baja California州の中でも、米国国境に近い場所に位置する。Baja California州のプロジェクトの中では、Costa Azul基地が最も先行しており(下記参考参照)、2004年10月には、西海岸初となる長期LNG売買契約(SPA)が締結された。 メキシコBaja California州においては、同国西部のカリフォルニア半島に位置しており、周りを海や川に囲まれている。同州政府は、メキシコ主要部のパイプライン網から外れていることから、LNG受入基地建設を推進したい意向を持っており、Colonet地方で構想されているプロジェクトを自ら推進している。2004年5月には、州知事自ら、香港の海運会社(Hutchson Whampoa)を訪問し、LNG受入基地建設の勧誘活動を行っている。ConocoPhillipsに対しても、基地建設の要請を行っている。 こうした中で、反対運動は激化している。反対者の共通意見は、同州のLNGプロジェクトは、結局米国カリフォルニア州の需要増に向けたものであり、メキシコにリスクのみを押し付けるものであるとしている。(参考) Costa Azul LNG受入基地は、米国・メキシコ国境から約50?60km南に位置する。Ensenada市街地からは約22km北方の、人口密集地域から離れた場所にある。近接する道路からも見えにくく、隔絶された環境にある(図10参照)。2004年3月、Marathonが計画するTijuanaのLNG受入基地が住宅地域に近接していることもあって、中止に追い込まれたが、対照石油・天然ガスレビュー20Aジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し的である。なお、販売先としては、Termoelectrica de Mexicali(TDM)発電所(60万kw)向けをはじめ、発電用等を中心に増大するメキシコの天然ガス需要に賄われる他、一部は米国向けにも販売される予定である。ただし、Costa Azul受入基地沖が浅いため、浚渫費用が発生する等の課題があるようである。 2003年4月にメキシコ環境資源省(SEMARNAT)、8月にメキシコエネルギー規制委員会(CRE)、地元政府の土地使用許可を取得(3つの主要許可と言われる)している。年内に建設許可を取得した上で、2008年初頭の稼動開始を目指すようである。なお、基地稼動に間に合うように、パイプラインを新規に設置する予定である(図11参照)。安全性にも十分配慮し、政府の指導によりタンクをfull conatainment tankにする等の計画である(石油・天然ガス資源情報 04/12/02 「北米西海岸:メキシコCosta Azul基地向けに北米西海岸初のLNG売買契約締結へ」齊藤晃)。③ メキシコBaja California州環境局でのヒアリング内容 住民反対運動が根強い、メキシコBaja Calironia州のLNGをめぐる状況について、2004年10月、Baja California州環境局を訪問した。ヒアリング内容の要旨は下記のとおりである。・ LNG産業は、良い技術であり、良い産業であると理解している。しかし住民はリスクに敏感であり、配慮が必要である。ただしそれは管理不能なものではなく、管理可能なリスク(manageable risk)であると認識している。・ 企業側に対しては、LNG受入基地稼動後、継続して安全に操業が可能なのかどうか確認している(Can be safely operated?)基地稼動後のフォローアップが、大変重要であると考える(keep watching safetyの姿勢が鮮明)。・ 基地稼動後、世界中からLNGタンカーが入港した場合の環境影響を懸念している(大量の排水[バラスト]による汚染問題、外来生物(熱帯地方から来る生物等)による生態系の影響[タンカーに付着する貝類等]等)。・ LNG受入基地建設時に想定される、土砂採掘や、ダンプカーの出入りによる公害問題なども懸念している。・ LNG受入基地建設時に設置される防波堤による、海流への影響なども懸念している(TijuanaのMarathonプロジェクト中止の一つの理由に、防波堤の設置が景観に悪影響があるとの理由もあり)。・ Sempraのケースでは、予定した審査項目で十分対応できると判断していたが、住民から数多くの訴訟が起こったことにも対応するため、審査項目を増加させている(ChevronTexacoのTerminal GNL Mar Adentroの沖合プロジェクトでは、審査項目が増加した模様)。・ 中央政府は許可を与えるだけでよいが、対応するのは地元市長や地元の行政当局である(一般的に、メキシコの場合、米国に比べ、中央政府の許可取得がしやすいと言われる)。・ メキシコ国民としての複雑な国民感情あり(メキシコ人のプライド、アイデンティティ)(後述)。・ (住民と環境局との対応例:2004年10月初旬、Costa Azul基地建設予定地に近くで漁業を営む漁民と協議)漁業だけで生計を立てる人もいる。LNGの気化時に生じる低温海水の影響で、漁業に打撃を与える恐れもある。不安に思っている人も多い。そういう人達の面倒を見るのも、仕事の一つである。・ TijuanaとEnsenada(Costa Azul受入基地)の違い:Tijuana(Marathonのプロジェクトが中止に追い込まれた)は、比較的大きな都市であり、環境問題にうるさい人もいる。一方、Ensenadaは、どちらかというと田舎の静かな町。本音では受入基地建設を望んでいないが、雇用創出も行われ、利益を享受できるという意識もあるのかもしれない。5. カリフォルニア州とメキシコBaja California州のLNGプロジェクトの特徴 前述したように、従来から石油ガス産業に親しんできたメキシコ湾のLNG受入基地プロジェクトと異なり、西海岸や東海岸では、NIMBY、BANANAといった住民反対運動が激しい。西海岸のプロジェクトでは、陸上のLNG受入基地のみならず、沖合のLNG受入基地に対しても住民反対運動が激しい。また、米国国境に近いメキシコのBaja California州のLNG受入基地プロジェクトに関しても、メキシコの複雑な住民感情もあって、住民反対運動が激しい。ここでは、カリフォルニア州とメキシコBaja California州のLNG受入基地プロジェクトの特徴と思われる点について、地元でのヒアリング結果も交えながら、個人的見解を述べていきたい。①沖合LNGプロジェクトも反対運動 LNG受入基地計画は一般的に、住民反対運動が強い場合、居住地域に近い陸上のLNG受入基地から、沖合のLNG受入基地へ移行する傾向があるが、カリフォルニア州とメキシコBaja California州については、沖合LNGプ21石油・天然ガスレビューホ油・天然ガスレビュー22ysisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAアナリシスロジェクトへの反対も根強い。例えば、豪州のBHP Billitonが進める沖合LNG受入基地であるCabrillo Portは、Oxnard市の沖約21マイル(約34km)にあり、居住地域からかなり離れた地域にあるが、地元住民はLNG受入基地やLNGタンカーがテロの標的になりかねないこと、環境に影響を及ぼすことを懸念している。仮に沖合のLNG受入基地であっても、対岸が風光明媚な環境にある場合等、住民反対運動が生じているようである。地元情報では、資産家の別荘地も多数あるため、資産価値が下落しかねないことを懸念している人もいるようである。②地元への経済効果(雇用問題、労働組合問題も含む) 沖合LNG基地建設の場合、一般的にプラットフォームや気化装置等の設備を、例えば海外で建造・曳航・搬入・据付するというイメージである。そのため、一般的に地元への経済効果や雇用創出効果は少ないと言われる。実際、地元への経済効果は小さいと見る住民も多い。 一方、陸上のLNGプロジェクトであるLong Beach基地の場合、建設時において、約1,000人の雇用が創出されると言われている。その結果、地元の労働組合の支持が得やすくなったという事情がある。Long Beach市はロサンゼルス市の隣に位置し、港湾関連事業等の産業が集積している。そのため労働組合の力が強い地域と言われる。住民反対運動が強いイメージがあるが、Long Beach市では、基地の建設が雇用促進につながるとして、労働組合が「Yes!LNG」というステッカーを作って、早期着工を唱えるといったこともあった。 米国において注意すべき点であるが、米国の労働組合は、主として産業別組合が中心であり、強大な権限を保有する。過去に港湾労働者関係の労働組合が主導するストライキによって、ロサンゼルス港、Long Beach港等、西海岸の港の荷役業務が閉鎖されたという事態もあった(港湾業務近代化のための新システム導入問題を契機に)。労働組合の支持を取り付けられるかどうかは、LNG受入基地建設が実現できるかどうかのファクターの一つである。③生物への影響等 環境団体などは、LNG受入基地の建設が、周辺の海水の温度を変化させ、これが海洋生物(イルカやアザラシ等)や、漁業等に悪影響を及ぼす可能性があると非難している。Costa Azul基地に関して、地元政府の環境局とのヒアリング時にも、低温の海水による漁業への悪影響を懸念していると述べていた。漁業のみで生計を立てている人達に配慮したものである。防波堤設置による、海流の変化等も懸念していた。受入基地の光による海鳥への悪影響を、懸念するといった指摘さえあった。④パイプラインの敷設 州内の既存主要パイプラインにつなぐための、新規パイプラインの敷設についても、問題になることが多いように感じられる。例えば、カリフォルニア州北部のHumbolt Bay(Eureka)のプロジェクトが撤退理由の一つに、新設するパイプラインが国立自然公園内を通過するため、地元の了解を得られず、撤退に追い込まれたという事情があったようである(他に、居住地域まで約1kmと近かったこと、地震断層に近いこと、霧が発生しやすい地域のため基地稼動に支障が出やすいこと等の理由もあったようである)。 BHP Billitonが進めるCabrillo Portのプロジェクトも、既存主要パイプラインにつなぐ、新規敷設予定のパイプラインが、Oxnard市内を通過することが課題となっているようである。Oxnard市議会は、住民反対運動の影響もあって、反対派議員が多数派を占めているため、パイプラインの市内通過が承認されないという事態になった。このため、LNG受入基地計画推進の障害になっているようである。一方、Long Beach基地では、SoCal社の既存主要パイプラインにつなぐ新設パイプラインの距離が2マイル(約3km)と短く、かつパイプライン通過場所は、港湾局の土地であるということもありright of way(通過権)がとりやすいというアドバンテージがある。⑤メキシコ人のプライド、アイデンティ 2004年3月、Marathonが進めていた、Baja California州TijuanaでのLNG受入基地計画が、住民反対運動の激化を受けて、州政府が土地を没収したことで、中止に追い込まれた。原因としては、居住地域のすぐ近くで、住民に目に付きやすい環境であったことも挙げられる。また、LNG受入基地建設予定地が米国の国境と目と鼻の先にあり、輸入されたLNGが気化され、パイプラインを使って米国に送出される可能性があることに、メキシコ人が嫌悪感を抱いたことも、反対運動を激化させた一因とも言われている。 背景に、米国に対するメキシコ人の複雑な国民感情がある。前述したように、反対者の主な共通意見として、Baja California州のプロジェクトは、結局カリフォルニア州向けであり、メキシコのコミュニティに、リスクを押しつけるものであるという意見がある。ChevronTexacoが推進するBaja California州Tijuana沖合のLNG受入基地、Terminal GNL Mar Adentro(Tijuanaから約13km沖合、Coronado島から約1km)に関しても、観光地のCoronado島から近く、反対運動が強い。メキシコのPRI(制度的革命党)議員が、このプロジェクトの件で、このプロジェクトで計画されている気化時に使用する海水の利用でさえ、メキシコ領土の割譲にも等しいとしたとしAジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し指導を受けて、安全性に十分配慮する努力を行っている。州政府、市議会、周辺住民等の支持を取得するため、あるいは環境団体等に説得を行うため、LNGの安全性に関する啓蒙活動を頻繁に行っている。米国ではLNG受入基地も約20年間建設されておらず、LNGに対する知識が十分ではないということもあり、LNGに関する正しい知識を浸透させる啓蒙活動は重要である。企業側はLNG導入の環境改善効果のアピールなども行っている(例えば、大気汚染が深刻なロサンゼルス港湾地域で、ヤードトラックのディーゼルからLNGへの燃料転換を促進させる動き等)。 また企業側は安全性への対策として、多少コスト高になっても、設置するタンクをsingle containment tankに比べ、より安全性を配慮したfull containment tank形式を採用する(図12、図13参照)、タンクの周囲をLNGの漏洩を防止するため防御壁(ダイク)を設置する、熱拡散範囲をLNG基地敷地内部におさめるように基地レイアウトの変更を行う等、安全性に対して鋭意努力を行っている。テキサス州等メキシコ湾の場合、元々石油ガス産業に慣れ親しんだ地域であり、比較的順調に基地建設計画が進展することが多いが、北米西海岸での基地建設を推進するにあたっては、安全に対する配慮がより重要であるようである。SES資料図12full containment tankのイメージ図SES資料図13single containment tank / double containment tank/full containment tankの比較図て、批判をしている(なお、このプロジェクトは、2004年10月SEMARNAT[メキシコ環境資源省]から環境面の許可を取得している)。このように、プロジェクトを進めるにあたっては、メキシコ人のプライドやアイデンティティに対する配慮が、重要であると思われる。⑥安全性に対する配慮 LNGプロジェクトを推進する企業としては、住民反対運動や政府当局の6. Costa Azul基地向けLNG売買契約(SPA)の内容と、アジア太平洋LNG市場への影響 以上、アジア太平洋LNGに影響を及ぼす可能性が高いと考えられる、カリフォルニア州とメキシコBaja California州のLNG事情について、特徴等も含めて考察してきた。次に2004年10月、西海岸向け初の長期LNG売買契約(SPA)が締結された、Costa Azul基地向けの契約内容と、今後の見通しについて簡単に考察していきたい。 2004年10月、Costa Azul基地向けのLNG売買契約(SPA)が、相次いで2つ締結された。一つはインドネシア・タングープロジェクトとのLNG売買契約、もう一つはサハリン2プロジェクトとのLNG売買契約である(図14、表1参照)。西海岸向けの契約は、従来MOU(Memorandum of Understanding:売買に関する合意契約書)止まりであったが、西海岸向け初めての長期LNG売買契約(SPA契約)となった。23石油・天然ガスレビューsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAアナリシスポット価格であるSoCal border Indexリンクとなっているようである。なお、SoCal border Indexは、Henry Hub価格とほぼ同様の動きをしているが、2001年の電力危機時においては瞬間的に20ドル以上/百万Btuをつけたこともある。米国ではLNGの価格設定においても、充実したパイプライン網を背景に、パイプラインガスとの代替が可能なことから、Henry Hubといった市場原理に基づいた透明な価格にリンクした価格設定がなされている。日本の場合はそれと異なり、基本的に契約毎によって異なる。日本等の東アジアの主な市場の価格フォーミュラは、一応原油価格リンク(JCCリンク等)ではあるが、いわゆるSカーブによって変動性が軽減されている。日本の公益企業等の受入側としては、SoCal border Index等変動幅が大きい米国の市場価格を、受け入れるのは抵抗が大きいものと思われる。ただし、仕向地の問題が解決すれば、現在グローバルな価格決定方式は存在しないこともあり、米国と日本の市場価格差を利用した裁定取引等といったLNGトレーディング等が活発化する可能性がある。また、今後価格フォーミュラは、契約更新時のタイミング等において徐々に、一部あるいは全面的に変更する可能性がある。②仕向地 LNG売買契約締結は、西海岸初のLNG受入基地建設に向けた具体的な動きである。例えば、タングープロジェクトのオペレーターであるBPとSempra間の契約では、仕向地条項が緩和されており、高い柔軟性が確保されているようである。現在、日本等アジア・太平洋LNG市場における多くのLNG契約では、テイクオアペイが厳しいだけではなく、仕向地の点では、FOB(本船渡し、生産地の港での引渡し)の契約でさえ、厳格な仕向地制限が課されている。今回の契約では、石油・天然ガスレビュー24JOGMEC資料図14Costa Azul基地をめぐる、主なアジア太平洋LNGプロジェクト生産規模(万t/年)700?800プロジェクト名構  成稼動開始予定2008タングー(インドネシア)BP MI Berau CNOOC 日石ベラウ石油開発 KGベラウ石油開発 LNGジャパン 37.16%16.30%16.96%12.33%10.00%7.35%Berau、Muturi、WiriagarCNOOC(福建省向け):260万t/年(2007年開始 25年間)Posco:55万t/年(2005年開始、20年間)K Power:60万t/年[最大80万t/年](2006年開始、20年間)Sempra:370万t/年(2008年開始、20年間)プロジェクト名構  成稼動開始予定生産規模(万t/年)サハリンⅡ(ロシア)Shell 三井物産 三菱商事 55%25%20%2007960東京電力:150万t/年、および買主オプション数量(2007年開始、22年間)東京ガス:110万t/年(2007年開始、24年間)東邦ガス:30万t/年(2010年開始、23年間)九州電力:50万t/年(2009年開始、22年間)Shell(Costa Azul向け):3,700万t(2008年開始、20年間、最初3年間160万t/年)各種資料により筆者作成表1タングー、サハリン2プロジェクト Costa Azul基地向けの契約は、北米西海岸向け初のLNG長期売買契約であり、西海岸初の基地建設に向けて、画期的かつ具体的な動きである。インドネシア・タングーについては、アジアから西海岸へという具体的な動きとなった。また、サハリン2を通してロシアは、LNGというオプションによって(ロシアは従来パイプラインを通じて、欧州に天然ガスを供給してきたが)、念願の北米市場への足がかりを得ることとなった。LNG売買契約(SPA)の内容と、今後の影響について、ポイントとなる価格と仕向地の点について、簡単に考察したい。①価格 Costa Azul基地向けのLNG売買契約(SPA)であるが、価格決定方式は、主として南カリフォルニア州際スAジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し仕向地条項の緩和によって、アジアへの転売も可能になると言われており、これが実現されれば日本の公益企業等が不測の事態にLNGを調達するということも可能になると思われる。 さらに、アジア太平洋LNG市場でこの種の契約が締結されたことによって、日本等のLNG契約も、契約更改時のタイミング等に、point to point(二者間取引)である仕向地条項が緩和された契約が、促進される可能性もある。ただし、良い面ばかりではなく、不測の事態にLNGが手に入らない、高い価格で仕入れざるを得ない等、価格面だけでなく調達面でもボラティリティが高まる恐れもある。 今後、アジア太平洋LNG市場においても、大西洋市場と同様、流動性・柔軟性が高まることは間違いないと思われる。現在でも、スポット取引や契約期間の短縮化の仕組みも増加しつつある。また、従来のコンソーシアムを通じた共同売買方式も徐々に減少し、企業の独自性が発揮されやすい状況にある。しかし、どちらかというと安定供給・安定価格を志向する日本の公益企業が、価格について従来の価格フォーミュラを劇的に変化させる可能性のある、価格フォーミュラの変更等を受け入れるのかどうかは疑問である。ただし、仕向地条項の緩和については、徐々に是正されていくのではないかと考えられる。今後のLNG市場の展開によっても変化するが、長期契約・テイクオアペイなどの従来の契約形態は残しながらも、契約更改時のタイミング等に、徐々に柔軟性が高まっていくものと予想される。7. まとめにかえて(今後の見通し)①現在、LNG市場は変化の時代にあり、市場構造の変化の最中である。アジア太平洋LNG市場も、市場メカニズムが貫徹する北米市場が具体的な視野に入ってきたことで、大西洋LNG市場と同様、LNGトレーディング・価格・仕向地等の面で影響を受けるものと思われる。企業側の対応として、LNGバリューチェーンの中で、上流企業の下流進出、下流事業者の上流進出あるいは水平展開等の動きもあるが、この変化の時代において、LNGのポートフォリオ対応、価格変動等のボラティリティ対応といったリスクマネジメント対応次第で、中長期的に企業間格差が生じていくものと思われる。②北米西海岸プロジェクトにおいて、Costa Azul LNG受入基地、Long Beach LNG受入基地の実現可能性は比較的高いと考えられる。他のプロジェクトは、様々なリスク要因をかかえるため(住民反対運動が強い、市内へのパイプライン通過に対して市議会が反対する、沖合LNGプロジェクトのため現地への雇用創出が少ない、風光明媚な観光地に近い等)、紆余曲折が予想される。③ただ、Costa Azul 基地の場合も、基地稼動後の環境への影響(気化時の低温海水の生物への影響、バラストの影響等)等について、今後注視する必要がある。また、浚渫費用・パイプライン敷設費用・防波堤の設置費用等、建設コスト増大等の課題がある。④Long Beach基地についても、安全対策(full containment tank等)・品質対策(熱量調整・C2+対策等)・市議会対策・労働組合対策(雇用対策等)・住民対策(頻繁な説明会実施)等、鋭意努力を行っているが、LNG管轄権を巡るCPUC対FERCの争いの影響で、受入基地建設時期が延期される可能性がある。しかし、メインのパイプラインまでの距離も近く(約2マイル)、背後にロサンゼルス等の大需要地をひかえていることもあり、実現できれば大きなアドバンテージを持つと予測される。今後の動向が注目される。引用文献? California Energy Commissionホームページ、http://www.energy.ca.gov/? California Energy Commission、2003ENRGY POLICY REPORT? California Energy Commission、Description and overview of proposed West Coast LNG projects? FERCホームページ、http://www.ferc.gov/? EIAホームページ、http://www.eia.doe.gov/? 米国エネルギー省、US LNG Markets and Uses: June 2004 Update? Sempra Energyホームページ、http://www.sempra.com/? Sound Energy Solutionsホームページ、http://www.soundenergysolutions.com/? Sound Energy Solutions、「北米西海岸ロング・ビーチLNGターミナル」25石油・天然ガスレビューsisnalyssiissyyllaanAAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAn石油・天然ガスレビュー26アナリシス? Royal Dutch/Shellホームページ、http://www.shell.com/? ChevronTexacoホームページ、http://www.chevrontexaco.com/? BPホームページ、http://www.bp.com/? Marathon Oilホームページ、http://www.marathon.com/? ConocoPhillipsホームページ、http://www.conocophillips.com/他
地域1 北米
国1 米国
地域2
国2
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国3
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国・地域 北米,米国
2005/01/20 [ 2005年01月号 ] 齊藤 晃 三津石 裕士
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