ページ番号1006140 更新日 平成30年3月5日

LNG レースの勝者は? ―北米で LNG プロジェクトを進める企業―

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レポートID 1006140
作成日 2005-01-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG企業
著者
著者直接入力 冨田 哲也
年度 2005
Vol 39
No 1
ページ数
抽出データ Analysisアナリシスみずほ情報総研株式会社 環境・資源エネルギー研究部 地球環境研究室主事研究員tetsuya.tomita@gene.mizuho-ir.co.jp冨田 哲也LNGレースの勝者は?―北米でLNGプロジェクトを進める企業― 北米では天然ガスの需要が高まる一方で、地域内ではそれに見合った天然ガスの生産は難しいと見られており、LNGの輸入計画が相次いでいる。 米国エネルギー省(DOE)は、毎年発行しているAnnual Energy Outlook の2004年版において初めて本格的なLNGの輸入見通しを行ったが、これによると米国のLNG輸入量は、2010年時点で約4,500万トン/年に拡大し、天然ガス供給に占めるLNGの割合も2002年の1%弱から10.5%に拡大すると予測されている。さらに2020年時点では、LNG輸入量が8,700万トン、天然ガス供給に占める割合が17.3%に達すると見通している。 DOE以外にもLNGの需要予測が発表されており、それらには数量の違いがあるものの、LNGが一定の役割を果たすことは共通の認識となっており、LNGビジネスを展開する企業にとっては、大きなビジネスチャンスとなっている。 現在米国内で稼動しているLNG受入基地は4基地しかないが、石油メジャーや多様な企業群が新たな受入基地の建設計画を進めており、その数は50を超えている。 一方で、基地建設に対する反対運動から中止に追い込まれる計画も出現してきており、今後は反対運動に加え、販売先の確保、資金調達の問題等からも凍結・中止される計画が出てくるものと見られる。 本稿は、西海岸でプロジェクトを計画している企業を中心に、その受入基地建設計画やその供給ソースなどについて現時点での動向見通しについて解説する。1. 地域別の特徴 図1に北米のLNG受入基地計画地点をプロットし整理した。これを見ると沿岸部のほとんどの地域に計画があるといって良いほど、受入基地の建設計画は各地に広がっている。中でも、①米国カリフォルニア州?メキシコ・バハ・カリフォルニア州周辺、②テキサス州/ルイジアナ州等のメキシコ湾周辺地域、③米国東海岸北部?カナダ東海岸の3地域に集中している。 ここでは、西海岸(メキシコからカナダに至る太平洋沿岸)、メキシコ湾岸、東海岸(大西洋沿岸)の3地点に分けてその特徴を概観したい。? 西海岸 表1に北米西海岸の受入基地建設計画を示す。 西海岸では、最大の天然ガス需要地は米国カリフォルニア州であり、カリフォルニア州と隣接するメキシコのバハ・カリフォルニア州に受入基地の計画が集中している。 これ以外には、米国北部のオレゴン州とカナダのブリティッシュ・コロンビア州で小規模の基地の計画があり、メキシコではバハ・カリフォルニア州以外でも基地の建設が検討されている。 この地域の計画は、アジア・太平洋地域に液化基地の計画を進めている石油メジャーやオーストラリアの企業が中心となって進めているものが多く、液化基地の開発とセットで推進されている事業も存在する。 なお、カリフォルニア周辺は、LNG受入基地建設に対する市民団体等の反対も強くなっており、既に複数の計画が中止に追い込まれている。? メキシコ湾岸 表2にメキシコ湾岸の受入基地建設計画を示す。 メキシコ湾周辺の地域は、天然ガスの主要生産地であり、大消費地でもあることから大型の受入基地を建設する計画が多い。例えばテキサス州は、天然ガスを原料とした化学産業や火力発電での消費量が多く、全米で最も天然ガス消費量の多い州であり、2002年の消費量は約120Bcm(LNG換算で約9,000万トン)と全国の18.6%を消費している。これは米国、ロシアを除くどの国の消費量よりも多く、隣の全米3位の天然ガス多消費地域であるルイジアナ州を合わせると、全米の4分の1の消費量になる。さらに、この地域からは米国北部へ向かう幹線パイプラインが整備されており、天然ガスに関連する施設も既に多いことから、受入基地の建設についても西海岸や東海岸周辺27石油・天然ガスレビューsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAEnergy BridgeWeaver's CoveSomerset Penuelas(プエルトリコ)Quoddy BayFreeport(バハマ)High Rock LNG(バハマ)Ocean Cay(バハマ)ProvidenceBroadawater EnergyCrown LandingEverettCove PointElba IslandTampaアナリシスKeltic Petrochemicals(カナダ)Statia Terminals(カナダ)KenaiValdezPort WestwardJodan CoveHumbolt Bay LNGMare Island LNGClearwater Port Cabrillo PortPort PenguinTijuana(メキシコ)Ridley LNG(カナダ)Kitimat LNG(カナダ)Irving Canaport(カナダ)Bear Head(カナダ)Cacouna Energy(カナダ)Rabaska(カナダ)Fairwinds LNGPort ArthurSabine Pass LNG Creole Trail LNG Golden Pass LNGLong BeachPelican IslandFreeportInglesideVista del Sol LNGCorpus ChristiPhiladelphia Freedom Energy CenterCameron LNGLake CharlesPascagoula Gulf LNG EnergyTerminal GNL Mar Adentro (メキシコ)Energy Costa Azul LNG(メキシコ)Puerto Libertad(メキシコ)Compass PortMain PassEnergy HubPort PelicanGulf LandingEnergy BridgePearl CrossingManzanillo(メキシコ)Lazaro Cardenas(メキシコ)LNG液化基地?稼動中  LNG液化基地?構想・計画段階    LNG受入基地?稼動中LNG受入基地?計画(承認済・建設中)LNG受入基地?構想・計画段階LNG受入基地?計画中止 Altamira(メキシコ) Puerto Cortes (ホンデュラス) Jamaica(ジャマイカ)San Andres(ドミニカ)の住民に比較すると相対的に寛容であると見られる。 この地域では、すべての石油メジャーに計画があり、海底パイプラインも整備されていることから沖合の計図1北米の受入基地建設計画一覧画も多い。? 東海岸 表3に東海岸の受入基地建設計画を示す。 東海岸北部にも計画は多く、米国のみならず、国境を接するカナダにも多くの計画がある。具体的には、ニューヨーク州やニュージャージー州などの米国東海岸からカナダ東海岸にかけて石油・天然ガスレビュー28NGレースの勝者は?表1西海岸周辺のLNG受入基地建設計画プロジェクトプラントサイト参加企業使用開始予定受入能力(百万トン/年)■は中止、■は承認済国カナダ米  国Ridley LNGKitimat LNGPort WestwardJodan CoveHumbolt Bay LNGMare Island LNGBritish Columbia州Prince RupertBritish Columbia州KitimatOregon州St. HelensOregon州Coos Bay California州EurekaCalifornia州VallejoCrystal Clearwater PortCalifornia州Ventura沖合Cabrillo PortLong BeachPort PenguinTijuana RegionalEnergy Center California州Oxnard沖合California州Long Beachカリフォルニア州沖合Baja California州メキシコTerminal GNL Mar AdentroBaja California州沖合Energy Costa AzulBaja California州Sonora Paci?c LNGLazaro CardenasManzanilloSonora州Puerto LibertadMichoacan州Lazaro CardenasColima州Manzanilo(注)能力は1Bcf/d=760万トン/年として換算した。<>は出資せず使用権のみ持つ企業。   合計値は中止となった基地の能力を除く。WestPac Terminals Inc.Galveston LNGPort Westard LNGEnergy ProjectsDevelopment LLCCalpineShellBechtelCrystal EnergyWoodside EnergyBHP Billiton 三菱商事ConocoPhillipsChevronTexacoMarathon OilPertaminaGolar LNGGGS SA de CVChevronTexacoSempra Energy<Shell>DKRW EnergyRepsol YPFComision Federal de Electricidad20092008?2008中止中止2007n.a.2007?中止2007200720082008?合計2.32.65.31.53.8?7.66.15?5.75.77.69.93.33.860.7表2メキシコ湾岸のLNG受入基地建設計画国プロジェクトプラントサイト参加企業使用開始予定受入能力(百万トン/年)■は中止、■は承認済Compass PortMain Pass Energy HubGulf LNG EnergyPascagoulaPort PelicanPearl CrossingGulf LandingEnergy BridgeCameron LNGAlabama州沖合Louisiana州沖合Mississippi州PascagoulaMississippi州PascagoulaLouisiana州沖合Louisiana州沖合Louisiana州沖合Louisiana州沖合Louisiana州HackberrySabine Pass LNGLouisiana州Cameron Parish米  国Creole Trail LNGPort ArthurGolden Pass LNGPelican IslandLouisiana州Cameron ParishTexas州Port ArthurTexas州Sabine Pass Texas州GalvestonFreeportTexas州QuintanaIngleside Energy CenterVista del Sol LNGTexas州InglesideTexas州Corpus ChristiCorpus ChristiTexas州Corpus ChristiメキシコAltamiraTamaulipas州AltamiraConocoPhillipsMcMoRan ExplorationGulf LNG EnergyChevronTexacoChevronTexacoExxonMobilShellExcelerate EnergySempra EnergyCheniere EnergyChevronTexaco<Total>Cheniere Energy Sempra EnergyExxonMobilBPConocoPhillipsCheniere Energy Michael S.SmithContaga Oil & Gas <DowChemical>Occidental PetroleumExxonMobilCheniere EnergyBPU,Inc.Shell(50)Total(25%)三井物産(25%)(注)能力は1Bcf/d=760万トン/年として換算した。<>は出資せず使用権のみ持つ企業。20092007??20062008/92008/9200420082007?20092008/92009以降200720072008/920072006合計7.67.67.6?12.27.67.63.6511.419.819.811.47.69.111.47.67.619.85.7184.929石油・天然ガスレビューsisAnalyAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanA10.6?3.06.26.469.63.83.8?7.63.87.6?3.5?3.02.93.37.6?20092007?200720082007?2009?2007200520082010?2008中止200720082006/7合計相対的に小さい規模の計画が多い。 また、フロリダ州への天然ガス供給を見込んでバハマにも3つの計画が検討されている。この3つの計画は互いに競合する計画となっており、すべての計画が実現する可能性は低い。によって、基地所有者が設備能力のすべてを使用できることになったことから、そのような独占的な利用計画も多い。 以下に主なパターンについて整理する。? 石油開発会社による建設と使用 ExxonMobil、BP、Royal Dutch/Shell、ChevronTexaco、ConocoPhillipsなどの石油メジャーに加え、大手開発会社のRepsol-YPFやBG Group、BHP Billiton、Woodside Energy、Petro-石油・天然ガスレビュー30Cacouna EnergyQuebec州Gros CacounaKeltic PetrochemicalsStatia TerminalsBear HeadNova Scotia州GoldboroNova Scotia州Strait of CansoNova Scotia州カナダRabaskaQuebec州Levis City BeaumontIrving CanaportQuoddy BayFairwinds LNGNew Brunswick州Saint JohnMaine州Pleasant PointMaine州Harpswell米国バハマBoston沖合Massachusetts州Fall RiverRhode Island州Massachusetts州New York州沖合Energy BridgeWeaver's CoveProvidenceSomerset LNGBroadawater EnergyPhiladelphia Freedom Energy CenterNew Jersey州Logan TownshipCrown LandingTampaFlorida州TampaFreeport(Calypso Pipeline)Grand BahamaHigh Rock LNG(Seafarer Pipeline)Ocean Cay(Ocean Express Pipeline)Ocean CayPennsylvania州PhiladelphiaGrand BahamaTransCanada Petro-CanadaKeltic PetrochemicalsStatia TerminalsAnadarko PetroleumGaz MetropolitanEnbridgeGaz de FranceIrving Oil Repsol-YPFQuoddy Bay LLCConocoPhillipsTransCanadaExcelerate EnergyHESS LNGKeySpan BGSomerset LNGTransCanada ShellPhiladelphia Gas WorksBPBPTractebelEl PasoFlorida Power and LightAES Ocean LNG (注)能力は1Bcf/d=760万トン/年として換算した。   合計値は中止となった基地の能力を除く。計画が集中しており、カナダではケベック州のセントローレンス川の川岸にも計画がある。 これらカナダ東海岸に計画が相次いでいるのは、人口密度が低く基地建設の反対が少ない、水深を確保でき大型タンカーの利用が可能、米国への既存輸出ルートが存在する、地形的に東に張り出している分、主要液化基地からの輸送距離が短い、期待されていたNova Scotia沖合のガス田開発が失敗している、などの理由がある。 この地域の計画については、石油メジャー以外に、地元ユーティリティ企業や石油精製会社等が計画を進めており、メキシコ湾岸の基地に比較すると2. 多様なプレーヤーの出現 日本でのLNG受入基地の建設主体は、そのほとんどがLNGの使用者である電力会社と都市ガス会社であるが、北米では石油メジャーを中心とする石油開発会社をはじめ、ユーティリティ企業(電力・ガス会社)、独立系企業、個人投資家、コンサルティング会社など様々な投資主体が建設を計画している。また、米国では規則の改正表4北米の基地建設の主なパターン主な事例建設主体使用者石油開発会社ExxonMobil、Shell、ChevronTexaco、ConocoPhillipsなどの石油メジャー、オーストラリア等の海外で液化プロジェクトを推進する企業など傘下にユーティリティ企業を持つSempra Energy等Cheniere Energy+Totalなどユーティリティ独立系第三者組み合わせ、その他パイプライン会社、ベンチャー企業などや組み合わせ????国プロジェクトプラントサイト参加企業使用開始予定受入能力(百万トン/年)■は中止、■は承認済表3東海岸周辺のLNG受入基地建設計画アナリシスNGレースの勝者は?Canadaなどが受入基地の建設を計画しており、数多くある計画の中でもこのパターンによる計画が最も多い。 これらの計画は、1Bcf/d(約760万トン/年)以上の大型の基地を単独で建設する予定のものが多く、自社が海外で参加する液化基地からLNGを供給することを想定している。 企業が単独で受入基地を建設し独占的に使用する場合は、ガス価格の変動に対するリスクが非常に大きい。したがって、建設主体は資金調達に優れた石油メジャーやそれに準ずる企業に限定される。供するなど、最終的にすべての設備能力を自社で使用するかどうかは未定であり、また再ガス化したガスは、自社の発電所だけで使用することはなく、他社に販売する予定である。 米国の電力・ガス会社は、使用するガスを短期の契約で調達していることが多く、自社単独で大量のLNGを扱うような受入基地を建設するような会社は少ないと見られる。ただし、一部のユーティリティ企業が、石油メジャーや海外大手企業などと共同で基地建設計画を進めている例は増えてきている。? ユーティリティ企業による建設と使用 傘下に大手電力・ガス会社を持つSempra Energyが複数の基地建設計画を進めているが、メキシコ・バハ・カリフォルニア州の基地はShellに提? 独立系企業による基地建設と第三者による使用 建設主体が、石油メジャーやLNG大手企業に設備を提供して利用実績に応じて料金を徴収するパターンがこれに相当する。例えば、Cheniere Energyは複数の基地建設を進めているが、設備の大部分の使用権を石油メジャーやDow Chemicalなどの大手企業に長期契約によって提供し、利用実績に応じた使用料を徴収する予定である。 このように長期契約を確保できた場合は、リターンは小さくなるものの建設主体のリスクは(1)や(2)のパターンに比較すると小さく、プロジェクトファイナンスによる資金調達も可能である。? 組み合わせその他 石油メジャーやユーティリティ企業以外にも、パイプライン会社やベンチャー企業、個人投資家などが建設計画を進めており、これらの組み合わせもあって、北米のLNG基地建設主体は非常に多様な状況となっている。3. 個別企業の動向 以下に、西海岸のLNG事業に進出を予定している企業を中心にその動向を示す。? Royal Dutch/Shell Royal Dutch/Shell(以下Shell)は、全世界でLNG事業を展開しており、石油メジャーの中で最も多くのプロジェクトに参加している。既に稼働している液化基地は、オーストラリアNorth West Shelf LNG(西豪州にある既存液化基地)、ブルネイ、マレーシア、オマーン、ナイジェリアがあり、新規事業はロシアのサハリン2、オーストラリアのGorgon、オーストラリア/東チモールのGreater Sunrise、イラン、ナイジェリアの新規事業(沖合基地)、ベネズエラ、リビアでの計画をSakhalin2SPA締結(3,700万トン/20年)Costa AzulBroadwater EnergyCove PointElba Island 拡張Gulf LandingAltamiraMariscal SucreZeebrugeLibyaNLNGNigeria 浮体式液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)Persian LNGOmanHaziraMLNGBruneiGreater SunriseGorgonNWS図2Royal Dutch/Shellの参加するLNG事業31石油・天然ガスレビューAナリシスり、基地の建設は、Total、三井物産と共同で行っている。また、ニューヨークのBroadwater Energy受入基地は、カナダのTransCanadaと共同で計画を進めている。 これら受入基地とともに予定している液化事業が完成すると、ナイジェリア、オマーン、ベネズエラ、リビア、イランなどから幅広く北米太平洋市場へLNGが供給できる態勢が整う。ysisnalyAAAnAnalysisAAysAnana nalysisAnalysis? ChevronTexaco ChevronTexacoも、メキシコ・バハ・カリフォルニア州に基地建設の計画を進めている。これは、メキシコ湾で進めているPort Pelicanと呼ぶ沖合基地と同種の基地をTijuanaの沖合に建設する計画で、規模は0.75Bcf/d(約570万トン/年)で2007年からの稼働を目指している。 この基地はTerminal GNL Mar Adentroと呼ばれ、既に環境面での承認は得ているが、地元の反対も大きく、最終的な建設承認は得られていssない。また、ChevronTexaco、Shell、iissyyllSempraの3社がそれぞれ、メキシコ国aanA営電力が建設する予定の発電所への供給を目指しており、入札結果が基地建設に影響を与えるものと見られる。進めている。 北米西海岸への展開については、独自にメキシコのバハ・カリフォルニア州で受入基地を建設する計画を進めていたが、各社の計画が相次ぐ中、独自の基地建設計画を中止し、Sempra Energyが進めていた計画に合流することになった。この計画は、メキシコ・バハ・カリフォルニア州Ensenadaの北14kmの地点に設備能力1Bcf/d(約760万トン/年)の基地を建設するもので、将来的には2Bcf/dに拡張される予定である。既に基地の建設に必要となる主な許可は取得しており、2008年からのフル稼働を目指して準備が進められている。 2004年10月14日、Shellはこの基地の50%の能力を20年間にわたって使用することでSempraと合意し、またShellが中心となっているサハリン2から、20年間で3,700万トンのLNGを購入する売買契約(SPA)を締結した。供給は2008年から開始し、最初の3年間は160万トン/年の供給を予定している。また、Shellはこの基地の拡張分(1Bcf/d)についても50%を使用することで合意している。 一方、建設主体であるSempra EnergyはBPの主導するインドネシアTangguh LNGからLNGを購入することでSPA(370万トン×20年)を締結しており、この基地は西海岸の計画をリードするプロジェクトとなった。 Shellは、北米への供給ソースとして、自社が参加しているオーストラリアGorgonからも200万トン/年のLNGを購入することで2003年8月に合意している。 他には、オーストリアと東チモール間にあるGreater Sunriseの計画があるが、これについては、両国の共同開発区域をはずれ、国境画定が明確ではない地域での開発となることから、両国間の合意が必要となる。しかし二国間の交渉に進展が見られないことからプロジェクトの着手は見通しが立っていない。 Shellは、東海岸では既存の受入基地に使用権を持つばかりでなく、複数の新規事業も進めている。この内、メキシコのAltamiraは既に建設に着手しており、メキシコ湾では、洋上にGulf Landingと呼ぶ受入基地を、さらにニューヨークに近いロングアイランド湾の洋上にもBroadwater Energyと呼ぶ受入基地の計画を進めている。メキシコAltamiraの基地は、国営の電力会社CFEへのガス供給が決まっておBrass LNGAngola液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)Port PenguinSabine PassTerminal GNL Mar AdentroPort PelicanGorgonNWS図3ChevronTexacoの参加するLNG事業石油・天然ガスレビュー32NGレースの勝者は? ChevronTexacoは、米国のカリフォルニア沖合にも受入基地の建設を検討しているが、この計画については具体的な内容は公表されていない。 同社は、西海岸への供給ソースとして、Shellと同様2003年8月に、オーストラリアのGorgonプロジェクトから200万トン/年のLNGを購入することで覚書を締結している。同プロジェクトは、ChevronTexacoが権益の57%を持つオーストラリア北西部の沖合ガス田の開発プロジェクトで、LNGプラントは、ガス田と大陸の中間にあるBarrow島に建設することが決定している。ChevronTexacoは、さらに沖合のJanszガス田のほか、最近WA-17-R鉱区でもガス資源を発見しており、この地域のガス開発を主導的に推進する立場にある。 Gorgonからはこれら北米西海岸への供給に合わせ、中国、さらにはChevronTexacoが出資している韓国LGカルテックスへの販売も見込まれており、1,000万トン/年規模の大規模事業として2008?9年ごろスタートするものと見られている。 一方、同社は北米大西洋市場では、メキシコ湾でPort Pelicanという事業名で受入基地の計画を進めており、既に建設の承認を沿岸警備隊から取得し、基本設計に着手している。しかし、建設費が当初の予定よりも高くなる見通しになったため、この計画とは別にCheniere Energyがルイジアナ州で進めていたSabine Pass受入基地への参加も決定した。この基地は、2.6Bcf/d(約2,000万トン/年)の設備能力で、このうち1Bcf/dをChevronTexacoが使用し、Totalも1Bcf/d使用することを決めている。 大西洋地域への供給が可能な液化事業としては、ChevronTexacoが中心となっているアンゴラの事業とナイジェリアのBrass LNGの計画がある。Brass LNGは最近基本設計に着手したが、アンゴラの事業については調整が遅れ、最終投資決定にはまだ時間がかかるものと見られている。 また、ChevronTexacoは、ベネズエラの海底ガス田の開発にも参加を予定しており、現時点では、その規模、用途は確定していないが、将来的にはこのガスもLNG化され、米国に供給される可能性がある。? BP BPのLNG液化事業については、トリニダードのアトランティックLNG、アブダビ、オーストラリアNWSの3事業への参加が挙げられる。一方で同社は新規事業として、アンゴラ、イラン、インドネシアTangguhの事業を進めている。 同社は、西海岸の受入基地建設計画や他社が計画している基地の使用権の取得は今のところ発表していない。しかし、自社が中心となって計画を進めているインドネシアTangguhプロジェクトは、Sempra Energyの進める受入基地へのSPAをいち早く締結した。 Tangguhプロジェクトは、中国で2番目となる福建省の基地への供給も決まっているほか、韓国で製鉄大手のポスコとSKグループが共同で建設する受入基地への供給も決定している。 米国では、既存のメリーランド州Cove Point受入基地の使用権を取得し、トリニダードからの供給を開始した。また、ニュージャージー州南部ではCrown Landingと呼ぶ計画があるほか、テキサス州のPelican Islandでも計画を進めている。 これらへの供給源としては、トリニダードのAtlantic LNG以外に同社はアンゴラでの事業計画に参加しており、同事業からの供給の可能性がある。Isle of GrainLivornoBilbaoCosta Azul(Sempraへの販売)Crown LandingIran LNGSegas(ガス供給とLNG引取)Abu DhabiKrishnapatnam広東TangguhSPA締結(約380万トン/年)Cove PointPelican IslandAtlantic LNGAngola液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)NWS図4BPの参加するLNG事業33石油・天然ガスレビューAナリシスysisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAClearwater PortGreater SunriseBrowseNWS液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)0250km500図5Woodside Energyの参加するLNG事業Browseガス田群     Scarboroughガス田280kmGorgonガス田NWS LNGGorgon LNGOnslow(Pibara)110 E115 120 125 15 20 25S AUSTRALIA(注) Gorgon LNGは、Gorgonガス田のガスをガス田と大陸の中間に位置するBarrow島で液化する事業。ChevronTexaco、Royal Dutch/Shell、ExxonMobilの3社で進められており、2008?9年に稼働することを予定している。図6Browseガス田群とScarboroughガス田の位置また、エジプトのDamiettaにUnion Fenosa Gas(Union Fenosa(50%)+Eni(50%))が進めているSegas液化基地にガスを供給し、そのLNGを買い取る予定もある。? Woodside Energy Woodside Energyは、オーストラリアを代表する石油開発会社で、現在オーストラリアで唯一液化基地として稼働しているNWSプロジェクトのオペレーターを務めるほか、新規のプロジェクトとしてはGreater Sunrise、Browseの計画を進めている。 北米西海岸への受入基地については、2004年10月に米国カリフォルニア沖でCrystal Energyが進めていたClearwater Port受入基地建設プロジェクトを共同で進めることを発表した。 2社間の合意では、Woodsideが関連の専門技術を提供する代わりに、Cleawater Portを優先的に使用できるようになり、また、基地建設の承認を受けるまでの資金をWoodsideが拠出する。 Clearwater Portは、カリフォルニア州Ventura郡の沖合21kmの地点に存在する石油ガス生産用のプラットフォームを受入基地に転用する予定石油・天然ガスレビュー34NGレースの勝者は?で、設備能力は600万トン/年と発表されている。基地には貯蔵設備は設けず、基地で再ガス化されたガスは新設するパイプラインで地上のパイプライン網に供給される予定である。 この計画を進めていたCrystal Energyは、Woodsideの参加とは別に、アラスカAlaska Gasline Port AuthorityとアラスカからのLNGの供給について詳細な交渉を行うことで合意し、2004年1月にMOUを締結している。しかし、アラスカの新規液化事業は現時点で実現の見通しが立っていないことから、Clearwater Port基地が予定どおり完成した場合には、Woodsideからの供給が中心になると見られる。 Woodsideは、NWSよりも北東にあるBrecknock、Brecknock South、Scott Reefガス田などのBrowse堆積盆地のガス田群のLNG事業化の検討も進めている。このガス田は1970年代に発見されたものであるが、北米や中国での需要拡大が予想されるようになって、それらへの輸出を念頭に開発が再検討されることになった。? BHP Billiton BHP Billitonは、石油天然ガスの企業というよりも、石炭や鉄鉱石、各種金属資源を開発する資源メジャーとして有名なオーストラリアを代表する企業である。 西海岸への受入基地については、カリフォルニア州Oxnard沖23マイルの地点に、LNG船のような外形で気化設備を備えた浮体式の受入基地を係留し、陸上にパイプラインで供給する計画を持っている。基地は、Cabrillo Portと名付けられ、規模は約600万トン/年を予定している。 同社は、オーストラリアのScarboroughガス田を開発して、LNG液化基地を建設し、この基地に供給する事業を検討している。Scarboroughガス田は、図6に示したようにGorgonよりさらに西に位置するガス田で、現在BHP Billitonが液化基地の建設を想定しているPibara(Onslowの南西4.5km)の海岸からは、280kmの地点にある。 このガス田も発見されたのは1979年と古く、経済性の問題から事業化は行われてこなかったが、Woodside同様BHP Billitonも北米への輸出を念頭に、開発を再検討しているプロジェクトである。同ガス田の権益はBHP Billiton50%、ExxonMobil50%で、規模は600万トン/年を想定している。? Sempra Energy Sempra Energyは、San Diego Gas & Electric Co. と Southern California Gas Co. の2社を経営するSempra UtilitiesとLNG事業や発電、パイプライン事業などを行っているSempra Global、さらに金融部門の3部門からなる企業で、ユーティリティを中心とした企業である。米国で受入基地の建設を計画している多くの企業が、石油・天然ガス開発事業を行っているのに対し、同社は開発事業は行っておらず、海外のLNG液化基地事業にも参加していない。 西海岸では、前述のようにメキシコ・バハ・カリフォルニア州のCosta Azul受入基地の計画を進めており、1Bcf/dの能力の内、半分の使用権をShellに提供する。Sempraは使用するLNGについて、2001年にボリビアの天然ガスを利用するPaci?c LNGから調達する覚書を締結していたが、同事業は液化基地の建設地点を巡って政治問題化し、当面実現は困難となって契約は失効した。替わって、SempraではインドネシアのTangguhから370万トン/年のLNGを2008年から20年間調達することを決定している。 この基地で再ガス化されたガスCabrillo PortScarborough液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)図7BHP Billitonが参加するLNG事業35石油・天然ガスレビューsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAIrving CanaportCosta AzulCameron LNG0万トン/年)Port Arthur8SPA締結(約3Tangguh(LNG購入のみ)図8Sempra Energyが計画するLNG受入基地は、Sempraがバハ・カリフォルニア州内に建設中のTermoelectrica de Mexicali(TDM)発電所(60万kW)で使用するばかりでなく、他社の発電所への供給や米国カリフォルニア周辺にガス供給を行う予定である。 Sempraでは、この西海岸のCosta Azul基地以外に、メキシコ湾周辺で2つの基地建設計画を進めている。一つは、Dynegyがルイジアナ州Hackberryで進めていた計画を買収したもので、Cameron LNGと呼ばれている。この基地は、設備能力が1.5Bcf/dで、メキシコ湾岸で唯一稼動しているLake Charles受入基地から南に35kmの地点に建設を予定しており、既に建設の承認を得ている。 もう一つは、テキサス州のPort Arthurの自社の敷地に1.5Bcf/d規模の基地を計画しており、これは3.0Bcf/dへの拡張も可能としている。これらメキシコ湾岸の基地への供給について、現時点でSempraは、供給ソースを明らかにしていない。 同社の計画している3つの基地が予定どおり建設・拡張されると、同社のアナリシス受入能力は、西海岸1.0Bcf/d、メキシコ湾4.5Bcf/dの計5.5Bcf/d(約4,180万トン)に達することになる。? Repsol-YPF Repsol-YPFは、スペインのRepsolが1999年にアルゼンチンのYPFを買収して発足しており、南米に多くの上流権益を持つ。 北米西海岸では、他の計画が相次いでいるメキシコ・バハ・カリフォルニア州よりも南に位置するLazaro Cardenasに受入基地建設用の土地を液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)BilbaoGassi TouilLibyaPersian LNG液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)Lazaro CardenasAtlantic LNGPacific LNG図9Repsol-YPFが参加するLNG事業石油・天然ガスレビュー36NGレースの勝者は?取得している。 この用地は、TractebelがペルーからのLNG輸入を念頭に取得を目指していたが、Repsol-YPFに入札で敗れてしまった。Repsol-YPFは、ボリビアのガスをチリかペルーで液化するPaci?c LNG事業を推進していたが、実現には相当の時間が必要と見られ、Lazaro Cardenas受入基地事業についても具体的な計画は発表されていない。 一方東海岸では、カナダのIrving Oil社がニューブラウンズウィック州Saint Johnで計画を進めていた受入基地に参加することになった。この計画は、既に政府から建設の承認を得ており、規模1Bcf/dの受入基地が2007年にも稼動する予定になっている。 米国内のLNG受入基地建設計画への住民の反対運動は高まる一方で、カナダの計画はノバ・スコーシア州でAnadarko Petroleumが基地建設に着手するなど、一足先に進みつつある。 Repsol-YPFは、現在米国への最大のLNG供給事業となっているトリニダード・トバゴのAtlantic LNGに参加しているばかりでなく、最近アルジェリアの新規ガス開発・LNG事業であるGassi Touil(400万トン/年)に資本関係の深いスペインGas Naturalと共同で参加することが決定したほか、リビア、イランでもLNG液化事業の実現を目指している。? 三菱商事 三菱商事は日本の商社の中で最も多くのLNG事業に参加しており、北米では米国カリフォルニア州のロングビーチで受入基地の実現を目指している。 この受入基地は、米国子会社のSound Energy Solutionsを通じて進められており、現在建設許可を申請中で、2008年初頭からの運転が予定されている。当初は三菱商事単独で進められていたが、2004年7月にConocoPhillipsと共同で開発することが合意された。 この受入基地より先に、メキシコ・バハ・カリフォルニア州のCosta Azul基地において、Sempra向けにインドネシアTangguhから、Shell向けにはロシアサハリン2からの供給が決まり、いずれも三菱商事の事業参加する液化基地からの供給となった。? Cheniere Energy Cheniere Energyは、メキシコ湾で一部石油天然ガスの生産を行ってはいるものの、同社の証券コード"LNG"が示すとおり、業務の中心はLNGに関連した事業展開を目指すベンチャー企業である。 同社は、表5に示すようにテキサス州に2つ、ルイジアナ州に2つの受入基地建設計画を進めており、うち2つの計画は既に承認を受けている。テキサス州Quintanaに建設を予定しているFreeport LNGは、設備能力の1.5Bcf/dのうち1.0Bcf/dをConocoPhillipsが利用し、残り0.5Bcf/dをDow Chemicalが使用する予定で、ConocoPhillipsが資金調達を行って建設されることになった。 また、ルイジアナ州に建設予定のSabine Pass LNGは、ChevronTexacoとTotalに1Bcf/dずつの使用権を提供し、残り0.6Bcf/dは自社で使用することが決まっている。この基地の建設資金については、大手金融機関2社から7.41億ドルをプロジェクトファイナンスによって調達することが決まっており、ChevronTexacoとTotalからは、使用料0.32ドル/百万Btuを徴収する。さらにChevronTexacoとは、基地の権益20%を2億ドルで売却する交渉が行われている。 もう一つのCorpus Christiの基地もサハリンⅡSPA締結(3,700万トン/20年)SPA締結(約380万トン/年)Long BeachCosta Azul(LNG販売のみ)Mariscal SucreOman LNGOman Qalhat LNGBruneiMLNGTangguhNWS液化基地(既存)液化基地(計画・構想)受入基地(既存)受入基地(計画・構想)37石油・天然ガスレビュー図10三菱商事が参加するLNG事業Aナリシス表5Cheniere Energyが計画している受入基地の概要建設予定地Cheniereの出資比率(%)初期投資(百万ドル)稼働時点の設備能力(Bcf/d)貯蔵規模(Bcf)貯蔵タンク数バース敷地面積(エーカー)FERC 許可着工Freeport LNGTexas州Quintana30650?7501.56.7212332004年6月2005年第1四半期Sabine Pass LNGLouisiana州Cameron ParishCorpus Christi LNGTexas州Corpus ChristiCreole Trail LNGLouisiana州Cameron Parish100750?850 2.610.13256866.7650?750 2.610.1326102004年12月2005年第1四半期2005年第2四半期予定2005年第3四半期2.610.132未定未定未定未定未定ysisnaly2.6Bcf/d1.5Bcf/d1.1Bcf/d表6Cheniere Energyの受入基地利用予定Freeport LNGSabine Pass LNGCorpus Christi LNG設備能力計DowChemicalConocoPhillips※完売1.5Bcf/d0.5Bcf/d1.0Bcf/d設備能力計TotalChevronTexaco自社分※完売2.6Bcf/d1.0Bcf/d1.0Bcf/d0.6Bcf/d設備能力計他社提供可能分自社分※交渉中ssiissyyllaanAAAAnAnalysisAAysAnana nalysisAnalysis BG Groupは、米国向けLNG供給でトップの実績があり、既存基地の多くの使用権を取得しているほか、新たにロードアイランド州でKeySpanが使用しているLNG貯蔵設備を受入基地に転用する計画を同社と共同で進めている。 供給ソースは、既存のトリニダード・トバゴに加え、エジプトでLNG計画を進めており、モーリタニア等でも液化事業を検討している。さらにナイジェリアNLNG、赤道ギニアなど他社の事業からも調達することによって北米への供給力拡大を目指している。④Total フランスのTotalは、Shellが進めているメキシコ東海岸のAltamiraに参加した他、Cheniere EnergyのSabine Pass LNGの使用権を確保した。供給ソースは、ナイジェリアNLNGの拡張事業やアンゴラの事業に参加する予定で、カタール等で参加している中東事業からも供給する可能性がある。⑤Statoil 現在ノルウェー国内で欧州初の石油・天然ガスレビュー38Sabine Pass同様のビジネスモデルで展開する予定で、基地の半分以上を他社に提供する予定である。 このようにCheniere Energyは、長期契約によって石油メジャーなどに基地の大部分を提供して使用料を徴収するビジネスを中心とすることで、ガスの価格変動に影響されないリスクの低い事業を目指している。しかし、このような事業は、得られるリターンも限定的であるため、同社はこれに加えて自社の使用分もある程度は確保し、LNGのスポット調達を組み合わせる予定である。この事業を推進するためにスイスのJ & S Groupと共同でJ & S Cheniereを設立しており、既に他社の既存基地を使用してスポット調達を開始している。? その他主要企業の動向 以下にその他の主要企業の動向について簡単に紹介する。①ExxonMobil 同社の将来のLNG事業は、カタールで大型液化プラントを建設し、そのLNGを米国と英国など欧米に供給することを中心にしている。米国での受入基地については、テキサス州Sabine Pass(プロジェクト名はGolden Pass LNG)とテキサス州Corpus Christi(Vista del Sol LNG)に建設する計画を発表し、またルイジアナ州沖合にPearl Crossing LNG受入基地の建設を計画している。カタールの米国向けの新規液化プラントは1,560万トン/年とこれまでにない大型のもので、輸送効率を高めるため、タンカーは20万?を超える規模のものを開発する予定になっている。②ConocoPhillips ConocoPhillipsは、独自にはアラバマ州沖合にCompass Portという基地の計画を進めるほか、前述のように三菱商事のカリフォルニア州ロングビーチの計画とCheniere EnergyのFreeport LNGに参加することになった。同社はこれらへの供給ソースとして、カタールの大型事業や、ナイジェリアのBrass LNGなどに参加している。③BG GroupNGレースの勝者は?LNG液化基地であるSnohvit LNGを進めている。同社は、このLNGの北米への輸出を目的として既存のメリーランド州Cove Point受入基地の使用権を取得した。Snohvit LNGは、2006年には稼働する予定であるが、それまで同社はトリニダード・トバゴとアルジェリアから調達して供給を行っており、Cove Pointの拡張分についても使用権を確保し、北米事業の拡大を目指している。⑥Marathon Oil Marathon Oilは、メキシコTijuanaの受入基地と発電事業からなる事業計画を進めてきたが、住民等の反対によって中止に追い込まれ、同社のLNG事業の展開は大幅な変更を余儀なくされた。現時点では、新たに受入基地の建設計画は発表されていないが、既存の施設であるジョージア州Elba Island受入基地に使用権を保有し、BPから長期契約による供給を受けることが決まっている。液化基地については、同社が中心となって進めている赤道ギニアの事業が最終投資決定を済ませており、2007年からBGに340万トン/年のLNGを販売する。⑦Petro-Canada Petro-Canadaは、TransCanadaと共同でケベック州のGros Cacounaに能力365万トン/年の受入基地の建設を計画している。同社は既存の液化基地には参加してこなかったが、ロシアで新たな液化基地の建設計画を検討してきており、2004年10月にはサンクトペテルブルグ周辺に液化基地を建設する事業をロシアGazpromと共同で検討すると発表した。⑧Excelerate Energy Excelerate Energyは、El Pasoが開発していたEnergy Bridgeの事業を買収し、独自のLNG事業を展開しているベンチャー企業である。Energy Bridgeは、気化装置を積載した専用船を用いて、需要地近郊の洋上において船舶上で再ガス化し、海底パイプラインを通じてガス供給を行うシステムで、メキシコ湾沖合とボストン沖合の2地点で事業を行う予定である。既に専用の船舶は完成しており、メキシコ湾での事業は2005年1月にも開始する予定になっている。ただ、この技術は新しい技術で実績が無いことから、大手企業がExcelerate Energyと長期契約を締結してそのガスを購入することは難しいと見られるが、同社は、スポット取引で実績を上げて、長期契約の顧客を確保していく方針である。4. まとめ これまで見てきたように、北米にはLNG受入基地の計画が乱立している一方で、建設への反対運動の高まりもあって、既に中止に追い込まれた計画も出てきている。当然、これまでに紹介した計画すべてが実現することは不可能であり、特に近接する競合計画が先に実現してしまった場合には、たとえ建設の承認を得ていても中止や凍結に追い込まれるものも多く出現すると思われる。 今回紹介したほとんどの計画は2010年以前の完成を予定しているが、他の計画をリードしているCheniere Energyは、「2010年までに米国内で稼働する新たな受入基地は、メキシコ湾岸5基地、バハマ1基地、東海岸1基地、西海岸1基地にとどまる」との厳しい見方を示している。 特に、西海岸や東海岸の計画には反対が強く、2010年までに多くの計画が実現すると見通すことは難しい。一部では、西海岸の基地出現によって日本向けと一体となった太平洋市場が形成され、日本向けLNG供給が価格変動の大きい米国の影響を受けるようになるとの指摘もあるが、そのような影響は当面は限定的になると思われる。むしろ2010年時点では、米国西海岸より中国のLNG基地建設計画のほうが進展している可能性もあり、中国やスポットによる調達量の変動が大きい韓国の需要変動による影響のほうが大きいと思われる。 とはいえ、2010年以降を見通した中長期的な視点に立つと、西海岸にも一定規模の市場が形成されることから、これと連動するように、供給地に新たな液化基地の建設や、既存基地の拡張、また、本地域におけるLNGのスポットやスワップ取引が序々に拡大していくものと思われる。 今回紹介した企業のほとんどは海外企業であるが、日本は現時点で世界一のLNG消費国であり、上流から下流まで多くの事業に日本企業が関与してきており、安定的な供給を実現してきた。太平洋市場の成立は、さらなるビジネス拡大の機会と捉え、この地域におけるLNG供給の安定化と日本企業による新たな事業展開を期待して本稿の結びとしたい。39石油・天然ガスレビューホ油・天然ガスレビュー40ysisnalyssiissyyllaanAAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnアナリシス引用文献? 米国エネルギー省、"Annual Energy Outlook 2004"? California Energy Commission、"LNG Projects Status Report"? 米国エネルギー省、" US LNG Markets and Uses: June 2004 Update"? 米国エネルギー省、"The Natural Gas Industry and Markets in 2002"? Royal Dutch/Shellホームページ(プレスリリース、アニュアルレポート等以下同じ)、http://www.shell.com/? ChevronTexacoホームページ、http://www.chevrontexaco.com/? BPホームページ、http://www.bp.com/? Woodside Energyホームページ、http://www.woodside.com.au/? BHP Billitonホームページ、http://www.bhpbilliton.com/? Sempra Energyホームページ、http://www.sempra.com/? Repsol-YPFホームページ、http://www.repsolypf.com/? 三菱商事ホームページ、http://www.mitsubishicorp.com/jp/? 米国エネルギー省、"The Natural Gas Annual 2002"? Cheniere Energy ホームページ、http://www.cheniere.com/? ExxonMobilホームページ、http://www.exxonmobil.com/? ConocoPhillipsホームページ、http://www.conocophillips.com/? BG Groupホームページ、http://www.bg-group.com/? Totalホームページ、http://www.total.com/? Statoilホームページ、http://www.statoil.com/? Marathon Oilホームページ、http://www.marathon.com/(cid:9894) Petro-Canadaホームページ、http://www.petro-canada.ca/(cid:9895) Excelerate Energyホームページ、http://www.excelerateenergy.com/
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2005/01/20 [ 2005年01月号 ] 冨田 哲也
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