ページ番号1006144 更新日 平成30年2月16日

急落した原油市場と見方の分かれる 2005 年石油市場見通し

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レポートID 1006144
作成日 2005-01-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2005
Vol 39
No 1
ページ数
抽出データ 1. 12月上旬現在の原油市場の状況? 原油価格の動き 原油価格は10月末に1バレル当たり55ドルを超えて以来、11月中旬から下旬にかけてはおおむね1バレル45?50ドルで推移していた。この時期にはナイジェリアにおける燃料価格引き下げを要求するドル/バレルDubaiBrentWTI50403020123456789101112123456789101112ドル/バレル図1Dubai2003~2004実績BrentWTI原油価格の推移(2003?2004年)908050704060503040203011232435465789106781191212341011121235465768798101112910119030急落する12月上旬の原油市場と見方の分かれる2005年石油市場見通し2003~2004実績50287029608040労働組合の無期限ゼネストの動向(これは結局中止になり、原油供給途絶懸念が後退したことから、原油価格の下げ圧力として作用した)、イラクのパイプライン爆破や南部バスラ港における悪天候に伴う原油輸出量減少(2004年11月は日量130万バレルと2003年11月以来の低水準となった)、そしてノルウェーの2油田における原油生産停止(後述)といった出来事があったが、原油価格に最も影響を与えた要因はもっぱら米国でこの冬の気温がどうなり、したがって暖房油の需給関係がどうなるか、ということであった。気象予報機関は、11月中旬時点では太平洋東部赤道地帯で海温が上昇するというエルニーニョ現象が発生しているとして、2004?5年の米国の冬は西部の大部分と北部および中部平原においては平年以上に暖かいという予報を出した。エルドル/バレルBrentWTIDubai2030405012345678910111212302713011.010.52910.09.5289.08.5278.011.010.52134256738941011512123647568789910111018/2729/39/1039/1749/2410/1510/8610/15710/2210/29811/5911/1211/191011/26図3OPEC11加盟国原油生産量の推移(2004年)出所:IEA2004年2003年同時期10.09.59.08.5ニーニョ現象が生じた場合、一般的には米国では暖冬になるといわれている(ただし、過去の例を見てみると例外も多く、必ずしも同現象の発生が常に暖冬につながるわけではないとの指摘もある)。このような見方もあり、米国における暖房油需給の逼迫懸念が後退、原油価格は11月16日にはWTIで1バレル当たり46.11ド10/19/249/179/108/279/38.010/834567891011122003-20041997-2002実績幅1011121234537035029027025011/511/1910/2911/1211/2633010/223102004年2003年同時期ルへと下落した。しかしながら、その後米国の今冬が平年以上に厳しい冬になるという予報が出たりしたことに加え、11月24日に米国の天然ガスの在庫急減の発表があった(後述)こともあり、原油価10/15格が急反発、11月30日の時間内取引では一時1バレル当たり50ドルを突破した(図1参照)。 12月1日に発表された米国エネルギー省の石油統計では、11月26日時点で暖房油を含む中間留分在庫が市場の予想(140万バレルの増加)を上回って230万バレル増加していたことが判明、これにより冬場の供給懸念が再び後退し、原油価格が急落、12月5日の時点では1バレル当たり42ドル台で推移している。11月28日にはノルウェーのSnorre Aプラットフォームで行われていた坑井メンテナンス作業中に発生したガス漏れ事故によ2010161714159698790807060504030302003~2004実績1234567891011121234567891011図2米国暖房油在庫推移(2003?2004年)出所:米国エネルギー省2971石油・天然ガスレビュー2815102345678910501234568/279/39/109/179/24図410/810/1510/2210/1米国原油輸入量の推移出所:米国エネルギー省10/292004年2003年同時期11/511/1211/1911/262003-20041997-2002実績幅2003-20041997-2002実績幅2003-20041997-2002実績幅123456782003-20041997-2002実績幅91011121234567891011 月12345図567米国原油在庫推移(2003?2004年)出所:米国エネルギー省121110321987456891011 月1234567891011121234567891012345678910111212345678910999910101111図610米国精製処理量(2004年)出所:米国エネルギー省11101111 月11 月月月月月1234567891011122711.010.510.09.59.08.58.03703503703303503103303702903103502703702903302503502703103302502901731027029017250162702501617151715161416142015151520141015142051015200510150110051080600100511408020600010040-208020-40600100-6040-208020-40600-6040-2020-400-60-20-40-60117777777780100り、同プラットフォームと近隣Vigdisプラットフォームにおける原油生産(日量20.5万バレル)が停止、12月2日時点になっても復旧していないが、原油市場における需給逼迫感を煽って原油価格に決定的に影響を与えるには至っていない。-202040600-4079135434-6020041999-2003実績幅? 石油需給を巡る状況 9月のハリケーン・アイバンの米国メキシコ湾来襲以来、同地域での原油生産量は完全には回復しておらず、現在でも日量18万バレル程度の生産が停止したままとなっており、この復旧にはなお5ヵ月程度を要すると見られている。米国の暖房油在庫も一時の異常な低水準に比べれば、若干の改善はみられるものの依然として低い状況にある(図2参照)。 しかしながら、OPECの活発な原油生産および輸出活動(OPECは2004年8月から10月にかけて生産量を日量約100万1999-2003実績幅21999-2003実績幅1999-2003実績幅200420042004122301123423965431654321048091780697112233445566565656561234123412341234208420032003200320022002200240203064507586947584045030503040203020848256504045油が輸入されている、図4参照)。 原油在庫量も、9月にハリケーン・アイバンが米国メキシコ湾に来襲し、同地域の原油生産活動が影響を受けた時期に比べると回復してきており、今や低いながらも平年並の水準となっている(図5参照)。また米国の製油所における秋のメンテナンス・シーズンが終了しつつあることから、精製処理量が上昇、暖房油の在庫量も増加していくものと考えられている。既に米国の精製処理量は9月時点から大幅に回復してきている(図6参照)。 このため、米国においては、現在暖房油在庫が少ないにも関わらず、今冬における暖房油に係る需給逼迫懸念が後退、これが原油価格を押し下げる大きな要因となっている。また秋のメンテナンスを終了した米国の精製施設には重質原油を処理できるものが含まれている他、メンテナンス実施時に処理設備を高度化した(ないしは高度化まで行かないまでも重質原油を処理する際にボトルネックとなっていた部分を改善する等の対策を施した)製油所もあり、全体的に重質原油を処理できる能力が増大していると見られる。この2003年7月2003年7月2003年7月2003年7月8480827882848082788080782002200378石油・天然ガスレビュー72234545223366778891011129101112図74WTI-Dubaiディファレンシャル(2004年)10987651112135791113579135791113579113355779911111133557799図8NYMEX原油市場における投機筋の動き(2003?2004年)出所:米CFTC11月11月11月11月バレル増加させた、図3参照)により、ここ数ヵ月は海上輸送中の石油の量が大幅に増加しているとの報告もあり、これが徐々に米国市場に流入してきているものと考えられる(2004年10月および11月はおおむね前年度を上回るペースで原0041999-2003実績幅123456789101112月図9米国天然ガス貯蔵量(2004年)出所:米国エネルギー省4321098765ような状況もあり、一時は大幅に開いた軽質原油と重質原油のディファレンシャルは最近では縮小する傾向にある。例えばWTIとドバイのディファレンシャルは10月26日時点では1バレル当たり18ドル以上に拡大したが、12月3日時点では10ドル弱に縮小した(図7参照)。これは1999-2003実績幅200450654321449月中旬におけるハリケーン・アイバンの米国メキシコ湾来襲時以来の水準である。 一方、最近のOPEC増産の影響もあり、全般的に市場では原油供給が過剰気味である、との指摘も聞かれる。最近の原油価格の下落に伴い、多くのOPEC産油12月111098711 月月340213011 月0201234567891011122002200320042005月年984878268054781502003-20041997-2002実績幅月11月23456743220041999-2003実績幅8910112003年7月米国天然ガス価格(ヘンリー・ハブ)の推移(2004年)2004年11月1図1012月予測時期1112123456789104011 月01234567国は自国から輸出される原油の契約価格を引き下げた。しかしそれでも市場ではOPEC諸国により提示される原油価格は高すぎるとの声も聞かれる。また、11月後半に入って投機筋の動きはさらに鈍くなってきた(図8参照)。他方、金先物価格は1オンス当たり450ドルを超えるなど16年5ヵ月ぶりの高値となっており、投機筋の資金が原油から金に移ったと見る向きもある。? 天然ガス市場の状況 天然ガス市場においては、11月24日に発表された米国エネルギー省による天然ガス地下貯蔵量が市場の予想(100億cfの減少)を大幅に上回る490億cfの減少を示した(図9参照)ことにより、急反発した(図10参照)。ただ、米国では、2. 見方の分かれる2005年の世界石油市場8 当該月から2ヵ月程度遅れて明らかになるOECD諸国や中国、インドの統計から、既に世界の石油需要増加ペースは鈍ってきているとの見方はあるものの、現時点では矛盾するような事象も多く、関係者は原油市場の今後の成り行きについて方向感を見出せないでいるようである。2005年はこのままでは石油需給が緩和し、原油価格が急落する可能性も考えられるものの、2004年には石油需給が緩和し価格が急落するとの当初の予測を裏切って原油価格が高騰したこともあり、2005年の原油市場がどうなるかについて予想がつけられない状態に陥っている月121110930この時点では平年を上回る気温となっており、市場ではこの貯蔵量の落ち込みが不必要に大きすぎるとの認識が広がっている。いずれにしてもこのような大幅な減少を示したものの、米国の天然ガス地下貯蔵量は依然として平年を上回る水準にあり、需給は逼迫している状況にはなっていないといえよう。20032002月8420118280782003年7月? 原油市場を巡る今後の見通し 12月2日時点で聞かれる米国の今冬の天気予報は、12月は少なくとも暖冬である、というものである。このため市場では需給逼迫感は感じられない。ただ、特に中長期的な天気予報は総じて当たらない場合が多く、もし急に寒波が米国北東部に訪れた場合、局地的には暖房油の需給逼迫感が強まり、それが石油製品、ひいては原油の価格に跳ね返る恐れがあ12111087973石油・天然ガスレビュー11月698る。現在のところ平年並の気温となっている欧州においても、中間留分に係る一次在庫は決して少なくはないが、家庭における在庫は大幅に低い状態となっていると言われており、やはり急に寒波が訪れた場合には価格が石油製品や原油の価格が急上昇する可能性もある。20052004年5674123456789101112月504030208482802004年11月予測時期2002200320042005年図11原油価格予測17機関の原油価格見通し(WTI)注:一部機関については当方にて推定出所:各種資料より作成1 月月1211月567423014321920041999-2003実績幅ものと見られる。2005年の原油価格予測を行っている機関17社のそれを見てみると、1バレル当たり30ドルから50ドル近くと大幅なばらつきが出ていることがわかる(図11参照)。 見方は大きく2つに分かれる。一つは、現在の原油価格の高騰や景気過熱抑制策が中国をはじめとした世界経済を減速させ、それに伴い石油需給が緩和、原油価格が下落する、という見方である。もう一つは、特に先進国を中心とした経済は現在の原油価格の高騰を乗り越えることが可能であり、したがって石油需要は引き続き根強いことから、2005年の需給関係は逼迫気味であり、2005年の原油平均価格は2004年のそれよりも上昇するというものである。また2005年の原油価格が2004年のそれよりも上昇すると予測する機関の中には現在は原油供給が過剰気味かもしれないが、OPECはそれに反応し405065432145876891011て減産するため価格が下落することにはならない、という考え方もある。 国際エネルギー機関(IEA)の発表している2005年の石油需給予測をもとに考えると、世界の石油市場は逼迫するような事態にはならないと考えられる(表1参照)。しかしながら2004年の世界の石油需要は、2003年7月に最初にIEAが発表した時点から、今日に至るまでに大幅に上方修正された(図12参照)。このようなことから、石油需要の増加についても先行き不透明な部分があり、これが各予測機関の2005年の石表112月11109873020848280782002200320042005年2003年7月2004年11月予測時期図12IEAの2004年世界石油需要予測の推移出所:IEAジェリア、ロシア等での政治的出来事により増大した供給途絶懸念が市場を大きく攪乱してしまったと考えられる。2005年においても、例えばイランの核プログラムやイラクの国民議会選挙を巡る情勢といった政治的分野で、大きな出来事が頻発すれば、原油価格は大きく変動することも考えられる。 (担当:野神 隆之)3Q83.43総需要51.20非OPEC生産29.96OPEC原油生産4.84OPEC NGL生産86.01総供給在庫変動その他2.58注:2004年10月の推定OPEC原油生産量が以降も継続すると仮定出所:IEAデータをもとに作成(単位:日量百万バレル)4Q2Q85.5182.2951.0951.7629.9629.964.864.7085.7686.581.073.471Q84.0351.3329.964.6885.971.94月12世界石油需給バランスシナリオ(2005年)油市場見通しに微妙に影響している可能性も考えられよう。 なお、さらに原油価格を左右する要因としては政治的なものが挙げられる。2004年は石油需給が必ずしも実際には逼迫してなかったかもしれないものの、それよりもイラク、サウジアラビア、ナイ石油・天然ガスレビュー74
地域1 グローバル
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国・地域 グローバル
2005/01/20 [ 2005年01月号 ] 野神 隆之
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