ページ番号1006146 更新日 平成30年2月16日

ロシア:地下資源法の改定の動きについて

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レポートID 1006146
作成日 2005-01-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2005
Vol 39
No 1
ページ数
抽出データ  地下資源法は1992年に制定されたが、天然資源省は現在、改定を目指している。その最終草案は11月19日に、同省のウェブサイトに掲載された。これは、2004年7月に一度公開された改正案からさらに大きく変更が加えられている。12月には、政府の検討が始まり、次いで下院に送られる。特段問題がなければ年内に下院の第一読会での審議に入ると思われ、成立は2005年前半の見込みである。 新地下資源法の全体像に関して、主に天然資源省A. A. Temkin次官の講演速記録等に基づき、その改定の方向性を略記する。1. 地下資源の所有権に関して 地下資源の所有権に関して、「連邦」と「連邦構成主体(共和国、州、地方など)」の権限の境界をどこに引くのかという点について議論されていたが、改定案では「連邦」の所有に帰せられるとしている。既往の方式は「二重鍵方式」と言われるもので、双方の認可を必要としたが、改定案ではこれが連邦のみによる「一重鍵方式」となる。なおこの部分については、この8月に目立った反対もなく下院の承認を得ている。 1999年12月に制定された新ロシア憲法72条および既往の地下資源法第1条においては、地下資源の占有・利用・処分の問題は、「連邦」と89の「連邦構成主体(21の共和国、49の州、6つの地方、2つの連邦的意義を有する都市すなわちモスクワとサンクトペテルブルグ、1つの自治州、ロシア:地下資源法の改定の動きについて10の自治管区)」の共同管轄事項であると規定されている。両者は「ロシア連邦」を同等に代表する機関であり、「連邦構成主体」は地方自治体ではない。地方自治体とは市町村のみを言う。 しかしながら最近、憲法裁判所は、地下資源に関して連邦の所有に帰するという考えは、憲法の規定に抵触しないとの判断を繰り返し述べており、憲法との整合性に腐心している様子がうかがわれる(Hines, RPI, 2004年10月)。一方、連邦構成主体の側には、連邦と共同して、国の地質調査、地下資源の探鉱・開発に参加するために、国の地質情報フォンドを管理する権限が与えられており、実質的な形での役割分担がなされている。2. 地下資源の利用における「ライセンス方式」と「契約方式」 この新地下資源法では、投資家と国との関係を規定するものとして、現状採られている「ライセンス方式」と、新規の考えである「契約方式」が、両論併記として提示されている。 「ライセンス方式」は、行政法的な規範に基づくもので、地下資源の所有者である国が、地下資源を利用する事業実施者に対して、国の規定する条件を付して、政府による決定を行使するものである。79石油・天然ガスレビュー・ 地下資源法は、1992年に制定されて10年以上が経過したが、実際に運用して多くの欠陥が認識されるようになり、今般、天然資源省、経済発展貿易省、その他の連邦機関により法改正が準備されている。政府の検討を経て、12月下旬には下院の第一読会で承認、2005年前半には成立の見込みである。・11月に最終の改正案が公表された。主な点は以下の通り。 ① 地下資源の所有権をこれまでの、「連邦」と「連邦構成主体」の並立から、「連邦」のみへ切り替え。 ② 事業者が地下資源を利用する方式に関しては、これまでの行政的な方式である「ライセンス方式」と、国と事業者とが「契約方式」にのっとり民法的に取り組む方式とが両論併記されているが、後者が有力。 ③ 探鉱段階の調査で石油・ガス鉱床を発見した者は、開発・生産を目的に、引き続きこの鉱床を活用する権利を有する。 ④従来と比較してライセンスの譲渡方式がより拡大される。この考えは、現在も天然資源省においては、依然として強い支持があると言われている。 これに対して、今回出された考え方は、「契約方式」とも言うべきものである。これは、民法的な規範にのっとるもので、双方の合意した「契約 (石油利権契約、生産物分与(PS)契約その他)」に基づいて地下資源の存在する一定地域の割り当てを受けることを前提条件とした地下資源利用規則である。これは、経済発展貿易省を中心に支持されている。 通常の地下資源利用者にとっては、契約方式の方が望ましい。契約であれば、それは双方向であり、契約条件の安定性、不変性を担保できるのみならず、双方の権利義務関係の全体にわたってその規定の詳細を把握できるからである。契約方式がより投資を促進するとの投資家の意見が、Temkin次官からも紹介されている。また、同次官からは、既往のライセンス付与を受けた者は、その時点で付与された条件のもとで事業を継続しても良いし、国と事業者との話し合いにより、契約方式に切り替えても良い、との見解が紹介されており、柔軟に対処できる内容となっている。 現状では、双方に一長一短があるとして、両論併記の段階と言えるが、The Russsian EnergyのSomov(2004, Nov. Vol.3, Issue142)の論評では、基本的な流れは民法的な契約方式になるであろうニ予測している。 ロシアに参入している外国企業は、詳細な規定を盛り込んだ契約書に基づいて事業を行う方がより投資の保護に適していると、再三主張してきたが、一方、ロシア企業にとっては、このような「契約方式」は必ずしも朗報ばかりではない。ロシア企業は、取得したライセンスにおいて定められた義務作業を必ずしも常に達成しているとは限らず、このような場合に、当局も直ちにライセンスを取り消すことをせず、裁量によって対処してくれることも多かった。ロシア企業にとっては、既往の制度は政府による権威主義的・一方的なものであると同時に、ある面で好都合でもあった。強権の影には馴れ合いの温床が存在する。2002年の夏に、当時の大統領府副長官のドミートリィ・コザクが今回の原型となる「契約方式」を提案した際に、当時のユコスの社長であったホドルコフスキーがコザクに対して石油ロビーはこのような法案の成立を認めないと露骨に警告したのは、この様な背景があったためと言われている。 「契約方式」という透明性の高い制度は、外資や通常の事業を展開したい石油企業にとって受け入れやすい制度であるが、政府の側にとってもこれは特段の譲歩ではなく、一筋縄でいかないこの業界をコントロールしやすくする手段との見方もなされている。3. 地下資源利用権の付与(探鉱段階から開発・生産段階への連続化) 鉱区利用権の付与については、オークションの結果と代表機関による決定という2つのメカニズムを使って行われる。オークションの手順については現在準備中の法案に詳しく手順が規定される予定である。 探鉱段階の調査により石油・ガス鉱床を発見した者は、開発・生産を目的に、引き続きこの鉱床を活用する権利を有するよう、今回の法改正で変更される。 既往の法では、この部分が曖昧で、探鉱ライセンスを保有して鉱床を発見した場合でも、生産ライセンスについては改めて入札が行われることになっており、発見者が引き続き生産に取り組める保証がなかった。このことが、新規地域への積極的な探鉱投資を妨げる要因となっていた。 新法が施行される前に、新規に鉱床を発見した者にも、上と同等の権利が付与される。4. 地下資源利用と地下情報 本法の対象である地下の利用という項目については、鉱物資源、炭化水素、地下水あるいは地下を利用した建設・操業等があり、それぞれに対応した①広域地質スタディ、②鉱床評価のための地下地質スタディ、③探鉱・開発のための地質スタディ、などが実施されるとしている。 改正案で最も注目されるのは、地質情報に関する市場を創設するというもので、これの法的な基礎を作り、機能させるようにする点である。地質情報の種類、所有権、情報流通のルール作り、情報所有者の権利保護がうたわれることになる。地質情報は連邦、連邦構成主体、地下資源利用者のそれぞれが所有するが、連邦が所有者との合意に基づいて、連邦予算で情報を取得することができる。 地下資源利用者がその活動により取得した地質情報は、連邦および地方の地質情報フォンドに提供しなくてはならない。一方、地質情報フォンドの職員は、情報の漏洩、横領、紛失、歪曲、偽造に対して責任を負うとしている。また、連邦のしかるべき部署が特定地域の地質情報を必要とした場合には、情報の所有者から合意に基づいて連邦から情報の提供を受けられる。5. 権益の譲渡 改正案では、従来と比較してライセンスの譲渡方式がより拡大される。 「ライセンス方式」での対応においては、改正案が検討される前から地下資源の利用権を有している者の関係を規定している。ライセンスが再発行されるのは、法人が以下のような形で他法人の継承あるいは吸収合併によって転換する場合である。? 新法人が旧法人の株式分配等で生まれ、かつ探鉱活動を継続する場合? 他法人の株式を取得あるいは交換(takeover)することにより地下資源を利用する場合? 探鉱事業継続のために地下資源利用者による新たな法人を設立する場合? 破産した法人資産を取得する場合 以上を実施するに当たって、当局の認可によるか、さらに自由化した形で申請ベースで行うか、2つの方法が考えられるが、議論は依然として続いている。 「契約方式」では、改正法が施行されたあと、地下資源利用の権利を得るであろう者との関係を扱う。ただし、詳細な条文は今後の検討による。6. 早期終結について 旧地下資源法には、事業の早期終結に関する明確な規定のないのが問題であった。改正案では、当局の指導で事業を早期終結するケースを列挙している。ただし、当局の指導による早期終結は、ライセンス方式においてのみ成り立つ事柄であり、契約方式においては、契約条件に違反した場合に早期終結が検討されることになる。 地下資源利用権の停止に至る基準は、鉱床開発開始スケジュールの違反、資源利用料の未払いであり、その他の違反に関しては経済的な制裁が適用されるとしている。7. 地下資源利用税について これは、税法典に準拠するもので特段触れていない。8. 外国企業について ロシア連邦の地下資源を利用できるのはロシアで登録された会社のみである。外国投資の門戸を閉ざすとは記載していないが、ロシアの地下資源の利用を希望する企業はロシアで登録する必要がある。 既にライセンスの交付を受けているかPS契約が交わされている外国企業は、石油・天然ガスレビュー800. 結び 新法案はまだ検討段階にあり、今次の報告が最終版ではない。今後、詳細な条文の追加と施行細則の整備がなされる必要がある。(担当:本村 真澄)新規にロシア法人を登記する必要はないが、これから権益譲渡を受けて参入する意向を持っている外国企業は、新たにロシア法人を登記しなくてはならない。9. PS契約の余地は? この改正案では、明示的にPS契約には触れておらず、天然資源省の側からも特段の発言はない。RusEnergy等の論評では、結局は、石油企業は利権契約とともに、PS契約においても石油・ガス生産が行えるようになるものと推測している。81石油・天然ガスレビュー
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
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地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2005/01/20 [ 2005年01月号 ] 本村 真澄
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