ページ番号1006158 更新日 平成30年2月16日

積極的な海外展開を図るインド、中国の国有石油企業

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レポートID 1006158
作成日 2005-03-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業
著者 竹原 美佳
著者直接入力 坂本 茂樹
年度 2005
Vol 39
No 2
ページ数
抽出データ 1. 最近のインド、中国のエネルギー政策 インドは、エネルギー政策の積極的な展開を加速している。昨年後期から、ミャンマーからの天然ガス輸入のためのパイプライン建設計画、イランからのLNG輸入とイランでの石油上流事業への参加など、新たな試みを続けて打ち出してきたが、2005年1月以降の動きが特に目覚しい。1月6?7日には、アジアの石油消費国および湾岸の主要産油国の合計11ヵ国を首都デリーに招いて、石油の産油国・消費国がエネルギー市場の将来について協議する場を設け、世界のメディアの注目を浴びた。 さらに、この産油国・消費国対話の場を用いて、複数の産油国との間で一歩踏み込んだ独自の石油外交を展開し、上流から下流部門にわたる協力関係構築に合意して、覚書の締結に結びつけた。イランとの間では、2009年から25年間にわたって750万トン/年のLNGを購入するとともに、インド企業がイランの油田開発に参加する覚書に調印した。またサウジアラビアとの間では、石油精製、備蓄設備等の下流事業における協力関係に関して協議し、インド企業がサウジアラビアにおけるガス田開発に参加する案件についても協議した。 この他に、ロシア関連では、インド国営の石油天然ガス公社(ONGC)がロシア・ユーコス社資産のユガンスクネフ積極的な海外展開を図るインド、中国の国有石油企業テガスの入札に参加することで政府の許可を取り付け、またサハリン3プロジェクトへの参画を狙っている。昨年、インドがミャンマーと合意に至った、ミャンマー・ベンガル湾A-1鉱区の天然ガスをインドに輸送するガスパイプライン建設に関して、パイプライン通過国であるバングラデシュとの協議を着々と進展させている。イランからの天然ガス輸入で、パキスタン経由のパイプラインを建設する案件では、パキスタンから好意的な反応を得ている。さらに1月末には国営のインディアン・オイル(IOC、下流事業中心)とオイル・インディア(OIL、国内で約10%のシェアを持つ上流企業)のコンソーシアムが、リビアの探鉱鉱区公開ラウンドの厳しい競争を経て、有望とみなされるSirteエリアの第86鉱区を落札したことが報道された。 周辺の南アジア・イスラム国家との関係が必ずしも良好でなかったインドは、数年前であれば、パイプライン建設のように周辺国の協力を要する事業を進展させることは考え難かった。特に、カシミールの領有問題・宗教問題を抱え、互いに核武装を競った隣国パキスタンとの協力関係が進展することは、予想し難いことであった。 また1月末に、インド政府が複数の国営石油会社の海外部門を再編成すると報79石油・天然ガスレビュー インドの国有石油企業の海外事業展開が、最近、加速している。一方、中国石油企業は1990年代後半から海外事業に乗り出し、既に一定の地位を築いている。中国、インド(=新興国)企業の行動の最大の特徴は、経済拡大によりエネルギー資源確保が急務である環境下にあること、企業・政府の双方に、海外での積極的な資源確保戦略に対する明確な意思統一が存在することである。他に、欧米企業と異なる点として、一般投資家に対する配慮の必要性が低いこと、事業採算基準の違い等が考えられる。有限のエネルギー資源に対して、旺盛なエネルギー消費地域からの新たなプレーヤーの登場により、資源獲得競争は激化している。長期的には、今後石油上流産業において、中国・インド等、エネルギー需要が大きく伸びる地域の企業の比重が高まっていくものと考えられる。道された。 このように、最近のインドのエネルギー政策はまことにその進展が著しい。何がインドを積極的なエネルギー政策展開に駆り立てるのであろうか。 一方、経済過熱状態の中国は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて既に国営石油企業の再編成を終え、垂直統合されて強力な構造を持つ複数の国有石油企業が、旺盛なエネルギー需要に対処すべく、積極的に海外事業を展開している。 フィナンシャル・タイムズ紙は、インドおよび中国の石油企業の積極的な海外事業展開を取り上げて、2005年1月に複数の特集を組んだ。今回はこのFT報道を契機として、2月初頭にインド関係当局および企業でのヒアリング調査を実施し、それらに基づいてインドおよび中国企業の行動を分析する。2. インドの国営石油企業、国外事業展開の動向と特徴? 拡大するエネルギー需要 10億人超の人口を抱えるインドは、13億人の中国に次ぐ人口大国である。やがては中国を抜いて世界最大の人口になるものと見られている。経済新興国(BRICs)の一員として、今後の経済発展が見込まれ、エネルギー需要も高い伸びが想定されている。 IEAは、インドのエネルギー需要の伸ム率を中国に次ぐものとして、石油需要は2030年に現在の2倍の規模に達すると見ている。現在約70%を占める原油輸入依存度は、今後さらに高まり、2030年に90%程度に達するものと見られる。インドはこのように増加していくエネルギー需要への対処を迫られている。? エネルギーの供給と安全保障 インド政府は、エネルギー安全保障を最優先課題のひとつとして、果敢に取り組む姿勢を示しており、また国有石油企業もエネルギー供給重視の方針を共有している。エネルギー供給の基本方針は、2000年に作成された"Indian Hydrocarbon Vision 2025"に述べられており、最近の度重なるエネルギー諸策の展開はこの基本方針の具体的な実行と考えられる。この数年来の原油価格高騰により、インドの輸入原油支払額が大きく図1インドの石油輸入量と輸入依存度推移出所:IEA “World Energy Outlook 2004”増加したことが、さらに拍車をかけた。インドは、この原油市場価格の高騰を深刻に受け止め、海外にエクィティー原油を持つことで、市場価格動向に影響を受けることなく、一定コストで原油を調達できるものと考えている。 最近は民間企業による探鉱活動が順調に成果を上げてはいるものの、国内の石油・天然ガス生産量を大きく増加させるまでには至らず、今後の需要増加のほとんどを輸入に頼らざるを得ないのが実情である。? 国外事業展開の動き インド石油企業の海外展開は、今まで、国内原油天然ガス生産の80%以上を占めるONGCの海外事業子会社ONGC Videshによって担われてきた。その主要な探鉱鉱区権益、生産資産は、次の通りである ONGCの海外資産・探鉱鉱区の多くは2000年以降に取得されたものであり、ONGCが海外事業に成果を上げたのは、比較的最近のことである。 ONGCは、エネルギー資源確保が急務であることを政府と共通認識するとともに、海外でのE&P事業活動を含めて、今後5年間で売り上げを5倍に拡大するという極めて野心的な事業拡大戦略に掲げている。 ONGCの最近の動きとしては、イランとの合意事項の一環であるヤダバラン油田およびジュフェイル油田の開発への参加、ロシア・ユーコス社主要資産のユガンスクネフテガス入札への参加、およびサハリン3事業への参加などが取りざたされている。ONGCの重点地域は、ロシア、イラン、イラク、リビア、西アフリカ、さらには南米のエクアドル等と言われる。 一方、最近のインド石油企業活動の大きな特徴は、ONGC以外の企業、つまり表1国   名鉱区、資産Block A-1サハリン 1Farsi o?shoreシララリビLan Tay /Lan Doミャンマーアロナ ムベインクイアシア Block NC188/189リダ ンスオーストラリアBlock 8Block 24GNPC生産資産WA-306 Pトー取得時期2002年1月2001年1月1988年5月2002年12月2000年11月2004年1月2003年4月2003年3月2004年8月オペレーター大宇(韓国)ExxonMobilBPONGC VideshONGC VideshONGC VideshTPOC共同操業Antrim状  況ガス発見石油ガス発見ガス生産中探鉱(サービス契約)探鉱探鉱探鉱原油生産中探鉱IOCおよびOIL等が積極的な海外事業展開を始めたことである。 インド企業のイランLNG事業進出は、IOCによるイランLNG購入とガス田開発への参加である。また1月末に発表されたリビアの探鉱鉱区公開ラウンドで、有望なSirteエリアの第86鉱区を落札したのは、IOCおよびOILのコンソーシアムであった。IOCは従来下流事業専業であり、上流事業経験がまだ7年程度であるが、積極的に石油資源獲得を目指す企業戦略は徹底している。今後、海外での生産資産取得および外国の中規模石油上流企業の買収を通じて、上流部門をさらに充実させる戦略を掲げている。? 国営石油企業再編成の動き 2005年1月下旬に、インドの国営石油会社を再編成するという政府計画案が報道された。一方、2月初頭に当機構の職員がインド石油天然ガス省を訪問して行ったヒアリング調査によると、政府の諮問委員会が再編成を含めた石油企業戦略を検討している最中であり、政策が決まるまでにさらに数ヵ月を要するということであった。石油・天然ガスレビュー80@しかし、企業側でのヒアリング調査では、海外で石油・天然ガス資産を取得する実力を確立させるためには、統合により規模と資金力を兼ね備えた強力な石油会社の設立が望ましいと、本案への賛意が聞かれた。 報道によると、新会社名はPetroIndiaと称され、ONGC Videsh、IOC、OIL、Hindustan PetroleumおよびBharat Petro-leumの上流部門から構成されるという。また、これら企業の海外上流事業部門は統合されるが、国内事業部門は企業間競争を維持させるために現行どおりとすることを、検討作業中の諮問委員会に求めるという。海外部門再編成の理由は、主にONGC Videshが行う現状の海外事業活動では、資金力等の限界により中国の中国石油天然気集団公司(CNPC)等の企業に敗れるケースが多いので、企業統合によって強力な資金力とを競争力を持つ上流企業を育成することといわれる。3. 中国国営石油企業、国外展開の動向と特徴 中国は1990年代の高度経済成長とともに石油需要が大幅に伸び、1993年に石油の純輸入国に転じた。国内原油生産が緩やかな増加にとどまっているのに対して需要の伸びが大きく、現在約40%程度の石油輸入依存度は、2030年には75%程度に達するものと見られている(IEA 2004年見通し)。 中国国有石油開発企業の海外展開は、国内石油消費量の増加と国内油田の成熟化を背景に、1990年代に始まった。1990年代は、主に国内石油・天然ガス生産の60%以上を占めるCNPCが行ってきた。国外進出の規模は2000年以降拡大した。2000年から2001年にかけて、三大国有石油企業(CNPC、Sinopec、CNOOC)は米国・香港で株式上場を行い、資金を得たSinopec、CNOOCが本格的に国外進出に乗り出した。また資金力の向上により、企業買収などを積極的に行うなど進出の方法が多様化した。 3社の代表的な鉱区権益、資産は次の通りである。 中国国有石油企業の国外進出は、入札への参加、ファームイン(既存鉱区権益への途中参加)、資産買収などの一般的な手法に加え、政府援助やインフラ建設などに伴う契約締結やLNGの大口購入を条件に、上流(ガス田開発)への参加を要請する契約手法をとることがある。また、石油消費大国である中国との接近を図るサウジアラビアやイランなどの産油国が中国に歩み寄り、両者の提携が進展している。基本的に欧州・北米を除くすべての地域が進出の対象である。 最近の動きとしては、インドと同様にロシア(ユガンスクネフテガス株式の取得)およびイラン(LNG購入と油・ガス田開発への参加)の案件、中南米(ブラジル、ベネズエラとの提携)、カナダオイルサンド開発への参加があげられる。 進出地域は、おおむね企業の戦略・視点に基づいて決まっている模様であり、また、政府上層部に石油業界出身者が多く、国有石油企業の進出を強力に支援している。4. インド・中国企業の海外事業戦略の特徴 次に、インド・中国企業が実施する海外上流事業形態の特徴を、欧米企業と比較しながら、さらに掘り下げて検討する。次頁の表3に、インド、中国、および欧米企業の性格・特徴を項目ごとに掲げる。? 各国の経済環境に基づく相違点 欧米社会は経済成熟期にあって、経済図2中国の石油輸入量と輸入依存度出所:IEA “World Energy Outlook 2004”表2国  名鉱区・資産スー ダ ンBlock1/2/4インドネシアTangguhサウジアラビアArea B取得時期1996年2002年2004年オペレーターCNPCBPSinopec81石油・天然ガスレビュー内  容石油生産中PS契約政府援助に伴う契約ガス開発中PS契約LNG購入を条件に取得ガス探鉱中探鉱契約ョ世界第2位の石油消費国となり、今後の世界石油需要の伸びも中国が牽引するものと見られている。 インドは1990年代半ば以降、経済発展が加速化しており、中国に並ぶ新興経済の大国である。経済構造は、製造業が高度に発達した中国と異なってIT部門などサービス産業の比重が大きいため、エネルギー消費性向は中国より低いものの、将来中国に次ぐ石油ガス需要の伸びが見込まれている。? インド、中国の国策を踏まえた企業  戦略と、それに対する政府のサポート インド、中国の石油企業は国有であり、その企業戦略は「国家が必要とするエネルギーを供給する」ことにあり、政府方針と明確に類似している。この点は、欧米の企業戦略と大きく異なる点である。欧米の石油企業は、時には政府の外交的図3各国石油需要見通し出所:IEA “World Energy Outlook 2004”成長率は既に低い。現在のエネルギー需要規模は大きいが、今後の増加率は低い。 中国は、1970年代末から市場経済化政策を図り、巨大な人的資源と相まって、現在急速に経済が拡大しつつある。エネルギー需要が旺盛で、2004年に米国に次石油・天然ガスレビュー82人のONGCは規模、資金力とも抜きん出ているが、下流事業主体のIOCは製品への補助金政策等の影響で収益力は弱い。他の石油企業はいずれも規模が小さい。このように、現在の企業規模と資金力に関しては、先行する中国企業と後発のインド企業との格差が大きい。 一方、中国、インド企業の利益幅を巨大石油企業のExxonMobilと比較すると大きな差異がある。しかし、ENI等の石油メジャー下位と比較すると、さほど遜色なく、CNPC(上場企業はPetroChina)は既にENIを凌駕している。インド国営企業は、「メジャーの一角に地位を占める」ことを企業目的に掲げているが、既にかなり現実味を帯びているものといえる。? 事業実施上の行動様式 国有企業であるインド、中国の石油企業は、欧米の民間企業と異なり、一表3インド(企業)中国(企業)欧米(企業)民主制発展途上経済1990年代初期に市場経済に向けて舵きり今後大きく増加する共産党一党独裁発展途上経済1970年代末から市場経済化策を採る現在、急速に増加中国有(10%程度の株式が市場流通)大きく反映する大規模?小規模豊富?小さい小さいある程度重視する国有(子会社を海外株式市場に上場)反映する場合もある巨大?中規模超豊富?豊富小さいある程度重視する民主制成熟した市場経済大規模だが、今後の増加率は低いすべて民間(国が株式を部分保有する社も少数あり)反映しない巨大?小規模超豊富?小さい大きい重視する最近の事例あり最近の事例多いあまり事例なし先行する中国企業とその手法を意識するか?先行者として、規模・収益力で有利な立場?政治体制経済発展段階 エネルギー需要国営/民間国策の反映規模資金力一般株主への配慮資産取得における事業採算の見方エネルギー消費者としての立場を利用ライバル意識国全体各企業注: インド企業:海外での事業展開を実施、または目指している国有石油企業;ONGC、IOC、OIL、GAIL、Hindustan Oil、Bahrat Oil等  中国企業:海外で上流事業を行っているCNPC、Sinopec、CNOOC支援を得て新規地域の資産取得を図ることがあるものの、個々の企業理念に基づいて行動しているのであって、政府の意向が反映されるわけではない。 インド、中国では基幹産業は国営であり、重要な基幹産業であるエネルギー産業政策は、政府の強いイニシアチブによって決められる。現在、海外資産の取得に目覚しい活躍をしているCNPC、CNOOC、Sinopec等の中国石油企業は、すべて政府が再編成して育成した企業である。昨今の資源不足の中でエネルギー産業、特に石油産業の重みが増しており、中央政界にも曽慶紅副主席、呉儀副首相を始めとして石油業界出身が少なくない。インドの国有企業戦略も国家方針を踏まえており、程なく実施されるとみられる石油企業再編成は、政府の強いイニシアチブによって計画されているものである。 また政府は、外交活動によって頻繁に国有石油企業による海外での資産取得活動を支援しており、企業側も政府のサポートがあることを認識している。? 企業規模と資金力 内外で石油上流事業を展開する中国の3企業は、規模が大きく、国内の強固な事業基盤に支えられて豊富な資金力を持つ。一方、インドでは、国内上流業界巨ハ株主に配慮する必要性が小さい。 例えば、最近まで民族間紛争に伴う人権問題で国際的な非難を浴びたスーダンで石油事業を実施していたあるカナダ企業は、人権擁護団体からの非難を懸念して同国事業から撤退し、代わってその権益を取得したのは、インドのONGCであった。中国CNPCはもともと同事業のパートナーである。あるインド企業関係者は、メディアのインタビューに対して次のように答えている:「国連制裁を受けている国で事業を行うことはない。しかし特定の国(つまり米国が)が経済制裁を科していることに対しては考慮する必要はない。」 一方、やはり民主化勢力抑圧のために米国から経済制裁を科されたミャンマーには、本国政府の意向を受けて米国企業は進出していない。これに対して、ミャンマーからの天然ガス輸入を計画するインドはミャンマーとの関係を深めている。中国が1月に、新たにミャンマーの探鉱鉱区権益を取得したのは記憶に新しい。 中国のケースにさらに踏み込むと、中国企業は国外における事業実施においてダブルスタンダードの姿勢で臨んでいるように思われる。中国国有企業(CNPC、Sinopec、CNOOC)は、すべてその子会社を海外株式市場に上場している。上場会社は国外(欧米)の投資家に配慮した行動を取っており、一方でスーダンやミャンマーなど人権問題で国際的な批判にさらされている国、地域に進出する際は、親会社が事業に参加することで直接の非難をかわしている。上場会社の進出地域は、おおむね企業の戦略・視点に基づいて決まっている模様であるが、親会社の進出地域には、国策を踏まえたと思われる事例も見受けられる。 CNPCの上場子会社であるPetroChinaが、CNPCの国外資産買収を計画している動きがあるが、スーダンやミャンマーなどの資産が子会社に移される場合は国外投資家に配慮した行動を取らざるを得なくなるものと思われる。 このように、一般株主に配慮する機会の少ないインド、中国の国有企業は、人83石油・天然ガスレビューCNPC図4各社純利益額比較(2003年)出所:Annual Report等を用いて内部で作成図5各社埋蔵量比較(2003年)出所:Annual Report等を用いて内部で作成図6各社生産量比較(2003年)出所:Annual Report等を用いて内部で作成?擁護運動、消費者運動等に配慮することが少なく、石油事業の対象地域に規制を設けることはない。資源のある地域で事業を行うのである。? 事業採算に対する基準 最近の石油資産入札に際して、中国企業が落札する事例が多い。これに対して、各企業の事業採算に対する基準の違いが指摘されている。これに対しては、次のように考えられる。b.事業採算以外の要素:国家のエネルギー調達ニーズ 製造業を中心に経済の過熱している中国では、原材料・エネルギーがことごとく不足しており、資源の調達が最優先課題とみなされている。強くエネルギー確保を求められる中国企業は、資産取得の入札に際して、他国企業より高い価格を提示する判断があるものと考えられる。今後はインド企業も、同様の行動を取る可能性がある。a.コストの違い 発展途上のインド、中国経済は、人件費・物価が欧米の経済成熟地域の数分の一であって、コスト水準に大きな違いがある。このコスト水準の違いにより、インド、中国企業は欧米企業より低い採算分岐点を持つことが考えられる。? 消費国としての立場を利用 インド、中国企業は、エネルギー消費者としての立場を利用して、購入の見返りとして上流事業権益を取得するケースが多い。これはLNG等ガス事業に関して顕著であり、CNOOCが福建のLNG購入を契約する際にインドネシア・タングー事業権益の一部を譲り受けたケース、インドIOCがイラン・サウス・パルスのLNGを購入するに際して、イラン・ペトロ・パルスのLNG事業に参加するケースなどが挙げられる。 これらの事例は、マーケティング部門を併せ持つ国営企業の総合力を有効に活用しているものであり、欧米企業には該当する事例がない。? インド、中国企業間のライバル意識 エネルギー確保に迫られる中国企業は、既に1990年代半ばから再編成を経て業容を拡大し、資産獲得に先行しており、後発のインド企業に比べて、経験、企業規模、資金力で長じている。最近は中国およびインド企業がともに資産の入札等に参加するケースが増加し、中国・インドの激突のように報道されるが、今までのところでは、中国側が落札するケースが多い。 一方インドは、経済発展段階では中国に続く段階にある。報道されている石油企業再編成の目的は、規模・資金力を強化することで、中国企業に十分競合できるような実力をつけることだとされている。 インド企業にヒアリング調査した際には、一様に、「インド企業の行動は独自の基準・戦略に基づいており、中国側を意識することはない」ということであったが、規模が似通い経済発展段階で中国に続くインドは、企業戦略策定に際して、何らかの形で中国企業の事例を念頭においているものと考えられる。? 国際協調の姿勢 インド、中国企業は、コストを度外視してエネルギー供給を確保しようとしているわけではない。インドは、エネルギー資産価格高騰を避けるため、「今後は中国との共同入札など協調行動を取る」意向と報道されている。 またインドは、1月に開催した石油消費国・産油国対話に続いて、3月にロシア・中央アジアのエネルギー閣僚を招いて、石油供給確保を協議する場を設けるなど、積極的な資源外交姿勢が目立つ。 このように、インドと中国の石油企業は、経済発展段階の違いに起因する若干の相違点はあるものの、将来的に最も強くエネルギー確保を求められる国の国有企業という大きな共通点があり、類似した企業行動が見られる。両国の石油企業の行動は、これらの点において、成熟経済地域にある欧米の石油企業と大きく異なる。5. インド・中国企業の動きは、石油上流産業の形態を変えるか? エネルギー消費地の変化、  石油上流産業プレーヤーの変化 石油上流産業は、長い間、欧米および日本等の大消費地域の石油企業および産油国で構成される活動の場であった。しかし、現在、エネルギー消費地の構成が大きく変わろうとしている。欧米および日本等、成熟経済地域の需要の伸びが小さいのに対して、規模の大きな新興経済地域において大幅な需要増加が見込まれている。中でも、中国およびインドがエネルギー大消費国としての存在感を増している。 エネルギー消費地域に変化があれば、石油上流産業のプレーヤーにも変化が生ずる。最もエネルギーを必要とする国(地域)の企業がエネルギー確保に奔走するのは自然な流れである。? 資産獲得競争の激化および今後の傾向 現在の石油上流産業の形態は、エネルギー源を求める欧米企業によって開始され、後に産油国との協同によって形成された。市場価格制度に基づく石油上流産業の形態に変化はないが、そこで活動するプレーヤーたちが変わりつつある。つまり、中国、インド等の新興経済地域のプレーヤーが増え、その存在感を徐々に増しつつある。 既に石油・ガス資源の新規発見が多くない以上、需要が増加すれば、需給バランスに変化を生じ、競争は激化する。1990年代後半から中国企業が上流資産を取得する事例が増加している反面、伝統的プレーヤーの敗退するケースが増えている。現在のエネルギー消費構造が変わらない限り、中期的にエネルギー資源獲得競争は激化していくものと考えられる。 また長期的には、今後石油上流産業において、中国・インド等大幅な需要増加を見込む地域の企業の比重が高まっていくのと考えられる。(坂本 茂樹/竹原 美佳)石油・天然ガスレビュー84
地域1 グローバル
国1
地域2 アジア
国2 インド
地域3 アジア
国3 中国
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバルアジア,インドアジア,中国
2005/03/20 [ 2005年03月号 ] 竹原 美佳 坂本 茂樹
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