ページ番号1006164 更新日 平成30年2月16日

石油・天然ガス企業: 2004 年の石油・天然ガス埋蔵量置換(リプレースメント)率が軒並み 100 %以下に低迷、SEC 基準による影響が大

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レポートID 1006164
作成日 2005-05-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2005
Vol 39
No 3
ページ数
抽出データ 1. 主要な大手外国石油会社の石油・天然ガス埋蔵量置換状況 各社から明らかになった石油・天然ガス確認埋蔵量を見てみると、米国証券取引委員会(SEC:Securities Exchange Commission)の基準に従ったRRRを見ると、2004年の生産量を埋蔵量追加で補うことができた会社は、ConocoPhillps、Nexen、BGグループといった少数の企業に限られる。ExxonMobil、BP、Shell、ChevronTexacoといったメジャー企業を始めとして多くの企業は軒並み100%を割り込んでいる(つまり2004年の石油・天然ガス生産量を埋蔵量追加で補えなかったということになる)。2. 多くの企業でRRRが100%を割り込んだ要因―年末価格による評価方法 Shellの埋蔵量下方修正問題後、SECは企業に対し、埋蔵量の計上基準をより厳密に適用すべく、年末の原油および天然ガス価格による埋蔵量算出を企業に強く求めるようになったと言われているが、この方法が各社の2004年の埋蔵量計算に影響している。SECの求める石油・天然ガス企業:2004年の石油・天然ガス埋蔵量置換(リプレースメント)率が軒並み100%以下に低迷、SEC基準による影響が大計算方法により、経済的でない石油・天然ガス資源は埋蔵量から除外されることになるが、2004年末のように、原油および天然ガス価格が高水準となった場合(WTIでは2004年末は1バレル当たり43ドル余りと前年比10ドル以上の上昇となっている)、埋蔵量計算において様々な影響を及ぼす。仮にもし利権契約であれば、原油および天然ガス価格の上昇によって、一般的には採掘できる資源量が増大するので、埋蔵量は増大すると考えられるが、現在ではそのような契約形態は限定的であり、むしろ生産物分与契回収コスト100億ドル20ドル/バレル50ドル/バレル埋蔵量換算2億バレル埋蔵量換算5億バレル図1PSCが埋蔵量計上に影響する例57石油・天然ガスレビュー 主要な大手外国石油会社の2004年業績が明らかになってきているが、各社の石油・天然ガス埋蔵量置換率(RRR:Reserve Replacement Ratio)が低迷していることに業界内外から注目が集まっている。近年経済的な側面から比較的容易に探鉱・開発できる地域が限られてきており、石油・天然ガス埋蔵量を増加させることに、より多大な努力を要するようになってきているという事情はあるものの、本年については、それ以外の要因も相当影響していることに留意する必要がある。給過剰感が広がっていたこと、さらに12月においてSyncrudeによる改質施設の操業に支障が生じ、ビチューメンに対する需要が減少したことから、価格は2004年末時点では1バレル当たり13ドルへと下落した(その後2005年1月には28ドルへと回復)。一方で、天然ガスや資機材、希釈剤(軽質原油が原料)に係る価格の高騰もあり、ビチューメン製造コストが上昇した。このため採算性が著しく悪化した結果、オイルサンド生産企業はかなりの量の埋蔵量を計上から除外する必要が生じた。約(PSCないしPSA:Production Share Contract/Agreement)がより広範に採用されている。この場合、一般的に探鉱・開発に要したコストを生産物により回収することが認められており、その相当分が埋蔵量に算入されることになるが、元来コストは貨幣価値で示されていることから、原油および天然ガス価格が上昇した場合、企業が回収できる資源量、したがって計上できる埋蔵量が減少することになる(図1の例示参照)。 一方、原油とは異なる問題も2004年末には生じた。それはオイルサンドに係る事業である。オイルサンドから抽出されるビチューメンは、例年第4四半期には、それより製造されるアスファルトの販売が季節的に落ち込むことに加え、OPEC産油国の原油増産で、特に重質原油に供. 年末時点の石油および天然ガス価格採用による会社への影響の具体例 このようなことから、多くの企業が、例えば1バレル当たり20?25ドルといった自社によるプロジェクト意思決定時の想定原油価格を採用した場合と比べて、2004年については大幅な埋蔵量の下方修正を行うことになった。 ExxonMobil(同社は2004年に初めて年末の石油および天然ガス価格に従って自社の石油・天然ガス埋蔵量を計算した旨明らかにしている)はその子会社Imperial Oilがカナダで操業しているCold Lakeオイルサンド事業において4.85億バレルの資源を埋蔵量計上から除外した*1。このような事情もあり、ExxonMobilのRRRは83%へと下落した(この下方修正がない場合はRRRは112%となるとExxonMobilは説明している)。なお、Imperial Oilは、今回の埋蔵量問題はCold Lakeにおけるオイルサンド開発事業に係る意思決定には何ら影響するものではなく、従来通り前向きに操業を推進する旨明らかにしている。また、ExxonMobil以外にもカナダにおいてオイルサンド資源を持つSuncorは4.2億バレルを埋蔵量計上から除外した他、NexenやEnCanaも同様の影響を受けたものと見られる。 一方BPは、アルジェリア、アンゴラ、アゼルバイジャン、エジプト、インドネシア、ベトナムを中心としてPSCで事業を実施している。英国の会計基準では、BPは長期的な想定油価(原油は1バレル当たり20ドル、ガスは百万Btu当たり3.5ドル)を使用して石油・天然ガス埋蔵量の計上を行っている。この方法によれば、同社のRRRは110%となる。しかしながら、一方でSEC基準を用いた場合には、同社の埋蔵量は89%へと下落した*2。4. SEC基準への不満 SECによる確認埋蔵量計上基準は1970年代に制定されて以来、本質的には変更がなされていない。しかしながら一方で、米国を中心とする石油・天然ガス上流業界は大きな変貌を遂げた。1970年代後半にはSEC基準の適用を受ける米国企業において埋蔵量の65%が米国内での活動であったのに対し、現在ではそれが20%以下に減少している。一方で米国に株式を上場する米国外石油・天然ガス会社も相次いでいる。このようなことから、SECの基準が既に時代にそぐわないものになっているのではないかという批判が産」であるがために、他の資産と同様年末時点で評価するのが一般的であるとの議論が、特に投資家側から発生する可能性もある。SECも本件については検討している模様であるが、様々な要因が絡んでいるため、本質的な解決にはなお時間を要するものと考えられる。(野神 隆之)業界内外で聞かれるようになってきている。ExxonMobilは年末時点の石油および天然ガス価格を使用するSEC基準に反対を表明したと伝えられる。また2005年2月23日には、米国のコンサルタントCERA(Cambridge Energy Research Associates)が石油・天然ガス埋蔵量計上に係る提言書を発表した。この提言書でCERAは、季節的要因や一時的な市場の状況を反映することから評価に歪みが生じやすい年末石油・天然ガス価格の代わりに、平均価格の類を開発することを推奨している他、現在の基準では埋蔵量評価方法として認められていないが、石油・天然ガス上流業界では認められている3次元震探技術を使用した評価を認めることや、法制および税制の違いを埋蔵量評価に反映できるようにすべきである旨を呼びかけている。本提言書は、大手石油企業や会計監査法人、投資会社および法律事務所31社が支持したと言われている。5. 今後の展望 今回の各主要大手石油会社におけるRRRの下方修正においては余り注目されなかった事項であるが、SECはLNGで輸出される天然ガス埋蔵量については長期契約の締結を前提としている他、GTL等といった非在来型石油資源については確認埋蔵量への計上を認めていない。しかしながら、今後LNGに係るスポット取引が大幅に増大する可能性が指摘されている他、GTL等についても今後発展していくことが予想されている。従ってSECはこれらを適切に企業の確認埋蔵量に反映させていくよう規則類を整備する必要に迫られよう。 しかし一方で、投資家にとっては、法制・税制が異なることで、かえってあいまいで異なる前提により企業が確認埋蔵量評価を行い、その結果投資判断時に企業間比較を行うことが難しくなるよりも、すべての会社に同じ原油および天然ガス価格を適用したほうがましである、という認識があることも事実である。また石油・天然ガス埋蔵量はいわゆる「資*1: 前述のようにその後ビチューメンの価格は回復したことから、現時点では除外したほとんどすべての資源が確認埋蔵量としての再計上が可能となっている、とExxonMobilは明らかにしている。*2: 3月10日に発表されたBPの2004年年報によれば、SECからさらに指示があり(TNK-BPのような共同事業会社や持分法適用会社に係る確認埋蔵量を計上から除外するようにとの指示と伝えられる)、その結果同社の確認埋蔵量は64%にまで下落するとの説明がなされている。2005.5. Vol.39 No.358
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2005/05/20 [ 2005年05月号 ] 野神 隆之
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