ページ番号1006165 更新日 平成30年2月16日

石油・天然ガス産業:リグと技術者の不足が世界各地で顕在化

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レポートID 1006165
作成日 2005-05-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2005
Vol 39
No 3
ページ数
抽出データ 1. リグ不足問題 まず挙げられるのはリグの問題である。石油探鉱・開発活動が深海域を中心とする一部地域で活発化してきていることから、特に深海掘削用の高度な仕様で製造されたものを中心として掘削リグの需要が急増している。このため、各リグの稼働率が上昇するとともに、リグ使用料も上昇してきている(図1, 2参照)。%78767472701月4月7月10月1月4月7月10月1月図1世界リグ稼働率(2003?2005年)出所:Rigzone石油・天然ガス産業:リグと技術者の不足が世界各地で顕在化 高水準の原油および天然ガス価格といった背景もあり、深海域を中心とした世界の一部地域で探鉱・開発活動が活発化してきている。しかしながら、一方で円滑な作業の進捗を阻むような短期的もしくは中期的な制約要因が顕在化しつつある。ければならない事態に迫られた。 また、最近では、リグの不足が北アフリカの探鉱・評価作業にも影響を及ぼし始めており、当該地域における新規石油・天然ガス開発の障害となる可能性が指摘されている。BP(エジプト/Saqqra開発プログラム:日量40,000バレルを生産予定)は何とかリグを確保し、Shell(エジプト/NEMED鉱区)は深海用リグの手当を試みているものの、適当なリグが見当たらないことから、事業遂行に係る予定が遅延することを既に明らかにしている。また他にもリグを確保しようと努力中である会社があるとも言われている。さらに今後リビアやアルジェリアで探鉱・開発事業が拡大する可能性もある%8075706560552003年1月4月7月10月2004年1月4月7月10月2005年1月2004年第4四半期あたりから、リグの需給が逼迫するとの懸念は業界内にはあった模様であるが、同年末になって、探鉱・開発作業において実際に影響が出始めている。 まず、メキシコ湾深海部においてリグ市場における需給逼迫(当該地域のリグ稼働率および使用料の推移は図3, 4参照)から、コストが大幅に上昇し経済的な事業遂行が困難となったため、Chesapeake Energyは2004年12月に6基のリグの使用を中止した。2005年1月にはKerr-McGeeがリグ調達上の問題から、プロジェクト計画の変更を検討しな千米ドル/日70686664626058562003年1月4月7月10月2004年1月4月7月10月2005年1月図2世界平均リグ使用量の推移(2003?2005年)出所:Rigzone図3米国メキシコ湾リグ稼働率(2003?2005年)出所:Rigzone59石油・天然ガスレビューアとから、北アフリカでは、短期的もしくは中期的にはリグ需給逼迫は益々深刻になる恐れがあると懸念されている。 さらに、ノルウェー領北海でもリグ不足から新規坑井掘削が停止した他、リグに係る平均コストも大幅に上昇していると報告されている。 なお、リグの稼働率と使用料の上昇により、リグ業界では、現在リグ建造ブームとなっている。しかしながら特に海洋リグを建設するには数年を要することから、リグの需給逼迫は2008年まで続くとの見方もある。2. 石油技術者不足問題 一方、米国では従来から若手を中心に石油技術者が減少しているという問題が明らかになってきていた。石油エンジニアはこの20年間にほぼ半減(図5参照)75706560千米ドル/日しており、また地質および物理探査技術者も約30%の減少(図6参照)となっている。これは現代の若年労働者が、1980年代半ばの原油価格暴落時に、石油・ガス産業から両親がレイオフされたという記憶を持っており、したがって両親と同様の運命になることを恐れ、業績が循環的な石油・ガス産業への就職を避けるようになった他、石油産業に対して洗練されないイメージを持っていることもあると考えられている。既に米国の石油技術者は平均年齢が502003年1月図4554月7月10月2004年1月4月7月10月2005年1月米国メキシコ湾平均リグ使用量の推移(2003?2005年)出所:Rigzone50歳程度と高年齢化が著しいことが指摘されており、若年石油技術者の手当が喫緊の課題となっている。 このような問題は米国のみならず、英国やカナダでも指摘され始めている。英領北海の玄関口である英国スコットランドの石油会社の75%が石油技術者に係る求人を試みたが、広範な困難に直面し、結果的には、コストの増加と予想以上のプロジェクト遅延に繋がったと伝えられている。これらの国でも「石油・天然ガス産業は給与がよく、魅力的な業務であるが、状況の変化が大きい」との認識を若年層は一般的に持っている模様である。 カナダのオイルサンド業界では、2008?2009年には2001?2003年の2倍の30,000人(ただしオイルサンド掘削現場建設、ビチューメン改質施設、天然ガス田、パイプライン技術者等を含む)が必要になると予想されているが、既に最近、労働力不足が顕在化し、操業に影響を及ぼし始めていると伝えられる。 ただ、事態は若干ながら改善する傾向を見せている。米国では一時期大きく落ち込んだ石油技術専攻の学生が戻り始めている。2004年には、コロラド鉱山大学では1987年以来、最多の人数の入学者(学士課程)があった。この背景としては、石油会社が好条件での人材補強を考えるようになってきたことが挙げられる。2004年に卒業した石油エンジニアリング専攻の学生は平均で初任年給63,000ドルであったが、2005年の卒業生は初任年給67,000ドルの他、10,000?30,000ドルの契約金を受け取れるものと予想されている。このような傾向は、同様の石油技術関係の学部を持つテキサスやオクラホマの他の大学にも当てはまる。 しかしながら、短期的には多数の高齢技術者の退職が出ることから、石油・ガス産業の技術労働者の大幅な減少が見込まれており、今後大学卒の若年石油技術者が、減少分が円滑に補充されるかどうかは微妙であると見られる。35000人3000025000200001500010000500070000人600005000040000300001983200220000年図5米国の石油エンジニア人数出所:OGJより作成1983図62002年米国の地質・物理探査技術者数出所:OGJより作成2005.5. Vol.39 No.360. リグ不足問題と人材不足問題の示唆するもの 特に今後は石油・天然ガス探鉱・開発において、深海部を対象とする等技術的にも複雑さが増し、高度な仕様のリグ、高度な技術力を持つ石油技術者が必要となってくると言われているものの、以上述べたようなリグや人材の不足に係る問題は、探鉱・開発作業遂行においてボトルネックとなる。こうしたことで、油・ガス田の生産開始の遅延に繋がり、結果として有望な地域からの石油・天然ガス供給が当初予想通りなされない可能性があることが示唆される。このことは短・中期的に世界の石油・天然ガス需給バランスを引き締める要因となるものと考えられる。 また、上記問題はリグの使用料や人材に支払うべき給与の高騰を招き、鋼材等の資機材価格の高騰と併せ、石油および天然ガスの探鉱・開発・生産コストの上昇を引き起こすものと予想される。したがって、業界における競争力の維持ないし向上のためにも、今後企業にとっては如何にして石油および天然ガス上流部門事業遂行に係るコストを抑制していくかが重要になってくるものと思われる。その意味でも石油・天然ガス上流部門企業は、改めてコストに係る戦略について検討する必要が出てくると思われる。(野神 隆之)61石油・天然ガスレビュー
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2005/05/20 [ 2005年05月号 ] 野神 隆之
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