ページ番号1006167 更新日 平成30年3月5日

インド市場向けガス開発事業の見通し

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レポートID 1006167
作成日 2005-05-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 坂本 茂樹
年度 2005
Vol 39
No 3
ページ数
抽出データ 1. インドのガス輸入計画は、中東・アジアのガス事業また日本市場に対して、どのような影響を与えるか インドの経済発展に伴い、エネルギー需要、とりわけ天然ガス需要の増加が予想されている。一方、天然ガスの国内供給は、西海岸沖合Mumbai Highを中心とする既存油ガス田の生産量が2007年頃にピークに達し、その後は横ばいまたは穏やかに減退していくため、今後東海岸アンドラ・プラデシュ州沖合の大規模ガス田の生産が開始されるものの、増加するガス需要の相当部分を輸入で対応せざるを得ない。 天然ガスの輸入はLNGおよびパイプライン(PL)ガスの形態がある。従来はLNG輸入計画が先行していたが、昨年から、PLガス輸入計画がにわかに進展を見せ、近隣諸国や米国を巡る地政学的見地からも、脚光を浴びている。 インドは、中国に次ぐ規模を持つ新興エネルギー消費大国であり、そのガス輸入事業の動向は、次の観点から、日本企業のガス事業および日本市場に対する影響が考えられる。・ 日本企業が参加するLNG事業のマーケティング・ 日本が輸入するLNG価格フォーミュラ等の取引条件に対する影響 また、ガスの市場価格化がいまだに実インド市場向けガス開発事業の見通し施されていないインド市場でのガス販売は難しい局面が多く、天然ガスの需要、および輸入数量・価格動向にも注意を要する。? インドガス市場の日本企業に対する影響 従来のLNG事業は、日本、韓国を中心とするアジアの伝統的市場向けが中心であった。しかし今後のLNG市場は、アジアでは中国、インド等の新興エネルギー消費大国が台頭し、また欧米を市場とする大西洋市場が急速に拡大しつつある。日本企業が参加するLNG事業においても、既に日本以外の需要家の開拓が必須となっており、一部商社は、北米にLNG受入基地を設けて同市場でのLNG販売を行うなど、さまざまな事業形態を開始している。今後は、中国、インドなど、拡大するアジアの新LNG市場動向への注視が必要である。? 日本が輸入するLNG価格フォーミュラへの影響 日本のLNG需要家(電力、ガス産業)は、従来、適正なコストを対価として、長期安定的な供給を重視してきた。韓国、台湾等のアジア需要家も同様のスタンスに立ち、新たな消費者としてLNG市場に参入した中国、インドも、アジア方式の価格フォーミュラを踏襲する点では同様である。しかし、欧米のガス需要地域ではガス・パイプライン網が整備され、67石油・天然ガスレビュー1. インドのガス輸入事業は、日本企業が参加するLNG事業のマーケティング、および日本が輸入する価格フォーミュラ等の取引条件への影響の観点から、注視する必要がある。2. インドのガス需給を想定する際には、国内のガス価格政策に加えて、ガスは石炭を補完する役割であること、ガス消費の進展には幹線ガス・パイプラインの完成が必要であること、および、東部沖合大規模ガス田の生産・価格動向が将来のガス輸入数量・価格の指標になること等を勘案する必要がある。3. インドのガス輸入事業は、2004年1月に開始されたDahej LNG受入基地操業により始まった。今後大幅に伸びると想定されるガス需要に対処するため、LNG輸入に加えて、近隣諸国からのPLガス輸入計画が進行中である(ミャンマー、イラン、トルクメニスタン等)。ガス取引はスポット市場価格で行われており、特に米国では、LNG価格フォーミュラもガス・スポット市場リンクである。現在、世界的にLNG価格フォーミュラが変わりつつある。 欧米・日本と物価水準、価格制度が異なる中国、インドの新興ガス消費国では、欧米・日本と同じ価格水準でLNG気化ガスを販売することは難しい。両国は、LNG事業者との価格交渉において、あらゆる手段を用いて安価な価格設定を求める。インドが2004年初に開始したLNG輸入事業では、供給元のカタールRasGasから現存する事業の中では最安値水準の購入価格を獲得した。 2005年2月に韓国Kogasが決めたLNG長期契約でも安価な価格フォーミュラが適用されたが、これは、最近の中国、インドの契約価格水準を参考にしたものとみられている。このように、今後のLNG市場においては、欧米、中国、インドの占める比率が徐々に高まり、日本、韓国等の成熟したLNG消費国の比率は相対的に下がっていくために、価格フォーミュラおよび取引条件などLNG取引形態における伝統的消費国の影響力も、徐々に低下していくものと考えられる。言い換えると、日本、韓国等の伝統的LNG消費国の取引条件に、欧米、および中国、インド等との取引で用いられる概念が徐々に採用されていくものと考えられる。このように、価格フォーミュラ等の取引条件に関する観点からも、新興LNG消費国の動向に注意を要する。. インドのガス需給? ガス需要の見方 インドのガス需要を想定する際には、ガスの競合燃料の価格動向(特に石炭)、およびガス自体の価格政策を注視する必要がある。またガス輸入量を想定する際には、国内のガス生産動向がカギとなる。 現在のガス消費地域は、国内の主要ガス生産地域である西部沖合の油ガス田群(Mumbai High他)から、幹線HBJ(Hazira?Bijaipur?Jagdispur)ガス・パイプラインを通じて輸送が可能であるインド北西部(グジャラート州、マハラシュトラ州、デリー首都圏)が中心である。また、北東部アッサム州周辺地域、および東海岸の油ガス田周辺にも小規模のガス輸送設備があって、国産のガスが利用されている。 また、ガス需要を用途別に見ると、産業用(原料・燃料)が50%弱、電力燃料用が40%程度であって、約90%が産業用需要によって占められる。インドも経済・産業の発展とともに都市化が進行し、都市部の民生用需要が増加しつつあるが、少なくとも今後5?7年程度は、電力、肥料を中心とする産業用中心の需要構造に大きな変化は無いものと見られている。 発電用エネルギーの内訳では、安価な石炭が全体の67%を占める。今後石炭の比率は徐々に下がるものの、35 30 25 20 15 10 5 N0500Km1000KabulAFGHANISTANIslamabadSrinagarJAMMU KASHMIRCHINALahoreFaisalabadHIMACHALPRADESHPUNJABUTTARANCHALPAKISTANHARYANADelhiNew DelhiNEPALUTTAR PRADESHKathmanduRAJASTHANJaipurLucknowKanpurBIHARBIHARKarachiLhasaARUNACHALPRADESHSIKKIMThimphuBHUTANGuwahatiMEGHALAYAMEGHALAYAASSAMASSAMNAGALANDMANIPURBANGLADESHJHARKHANDDhakaTRIPURAMIZORAMWEST BENGALWEST BENGALChittagongCalcuttaMYANMARGUJARATGUJARATMADHYA PRADESHAhmadabadINDIASuratCHHATTISGARHNagpurORISSAORISSAMAHARASHTRAMAHARASHTRAMumbaiPuneHyderabadANDHRA PRADESHANDHRA PRADESHGOAKARNATAKAKARNATAKABangaloreChennaiAndaman Is.TAMIL NADUTAMIL NADUKERALAKERALASRI LANKAColomboSri Jayewardenepura KotteNicobar Is.70 75 80 85 90 95 図1インド概略図民生・輸送用3%表1インドのガス需給バランスロス11%(単位:bcm)ガス需要生産量(既存生産地域) 生産量(Krishna-Godavari)輸入量(LNG + PLガス)肥料・産業燃料輸入比率(%)46%民生・輸送用3%200539340513%20105934151017%20158334262328%ロス11%発電用40%2020年時点でもなお全体の60%強を占め、今後も石炭が主要な発電用燃料である構造に大きな変化はない。また既存の発電設備能力の65%は石炭使用タイプである。ガスが電力用エネルギーに占める比率は現在10%程度であり、今後その比率は徐々に上昇して、電力用ガス需要の発電用肥料・産業燃料民生・輸送用ロス発電用40%発電用肥料・産業燃料民生・輸送用ロス肥料・産業燃料46%図2ガス需要用途別比率(2005年想定、コンサルタント・データ)原子力3%ガス11%石油3%原子力図33%ガス11%水力15%その他1%その他水力15%発電燃料別比率(2005年想定、コンサルタント・データ)1%石炭67%石炭石油ガス原子力水力その他石炭石油ガス原子力水力増加が見込まれるが、その前提は、ガス火力発電設備の増設である。燃料価格を比較すると、国産の石炭がガスに比して安い。しかし、石炭の主産地は経済発展の遅れた東部のオリッサ、ビハール両州であり、主要なエネルギー消費地である北西部および南部への輸送には費用がかかる。また今後都市部の環境規制が厳しくなることを勘案すると、石炭産地に遠い北西部および南部で新たに建設される火力発電所は、ガス火力が選択される可能性が高いものと考えられる。 総じて、今後のガス需要の伸びを見る上で、発電部門では発電所立地地点における石炭とガスの相対価格がどのように推移するのか、それによって発電用のガス需要がどの程度伸びるか、また今後の都市ガスの需要動向をどのように見るかなどが重要なポイントとなる。 IEAの2004需要見通しおよびコンサルタント等の想定を参考にして作成したインドのガス需給バランスを、参考に記す。2005.5. Vol.39 No.368Mcfd9,0008,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,0000輸入国産Krishna?Godavari国産既存油ガス田1997199920012003200520072009201120132015図4インドのガス需給バランス見通し出所:IEAおよびコンサルタント等の想定を用いて作成? ガス輸送設備の整備a. 既存設備幹線パイプラインの操業を含むガス中・下流事業は、国有会社GAIL(Gas Authority India Limited)によって行われている。既存の幹線ガス・パイプラインは、西海岸ムンバイ沖合(Mumbai High油ガス田)およびHazira沖合のガス田と、北西部の主要需要地域とを接続するHBJパイプラインである。既述したように、北東部アッサム州周辺地域、および東海岸の油ガス田周辺にも小規模のガス輸送設備がある。b. 今後の設備計画 今後の経済発展および都市化の進展に伴い、天然ガスの国内需要は大幅に伸びる可能性があるものと想定されており、万トン/年ガス輸入量LNG換算LNG設備能力350030002500200015001000国内での更なる探鉱活動、ガス輸入、およびガス輸送幹線の整備が計画されている。今後の南部、東部でのガス需要増加に対する対応、および東部海岸沖合で発見された大規模ガス田の生産ガスを北西部の既存需要地域に輸送することを目的にして、主に下記の幹線建設が計画されている(地図参照)。2011・ HBJパイプラインの支線の南端(ムンバイ)からバンガロールを経由して、南東部海岸のチェンナイ(マドラス)、南西部のマンガロールおよび南海岸Kochiへ延びる幹線PL2009200520075000・ リライアンス(Reliance Industries Ltd., 民間企業)が発見した東部沖合ガス田に近いRajahmundry(アンドラ・プラデシュ州)から、デカン高原中央のハイデラバード、さらにムンバイを経由して、HBJパイプラインに接続する幹線PL(本PLはリライアンスが建設するとの案もある)・ HBJパイプライン北東辺のKanpurから、ガンジス川流域のヒンドゥスタン平原を通って、西ベンガル州都Kolkata、さらに南東部海岸のチェンナイを結ぶ幹線PL 当初は、上記の幹線PL網を2005年末までに完成させる計画であったが、作業計画は既に遅れており、完成は早くても2007年になるというのがおおかたの見方69石油・天然ガスレビューTURKMENISTANIRAN2013PAKISTAN2015DelhiDahej (Petronet)Hazira (Shell)Mumbai HighMumbaiKanpurJagdishpurBANGLADESHBijaipurMYANMARKolkataShweDabholMangaloreHyderabadRajahmundryDhirubhai(Krishna-Godavari Basin)ChennaiBangaloreKasargodKochi (Petronet)Gas PipelineGas Pipeline (Planned)LNG Terminal図5インドのガスパイプラインナある。? ガス価格政策  インドのガス価格は統制下にあり、生産者によって価格体系が異なるため、需要構造がいびつになっている。ガス事業者が安定的に輸入ガスを購入するためには、価格の市場化が必要である。しかし、現在の制度下で安価なガス供給を享受している既存のガス需要家(肥料産業、電力産業)は、価格自由化に抵抗するロビー運動を繰り広げており、価格自由化は簡単には進展しそうにない。価格自由化の実現には、2007年頃まで待たねばならないものと考えられている。a. インド国有上流企業が生産するガス販売価格 国有上流企業(ONGCおよびOIL(Oil India Limited))が生産する国内生産ガスは統制価格となっており、国内燃料油 現在LNG事業を実施しているPetronet の輸入LNGの市場販売価格は、4.8?5.0ドル/百万btuの水準である。? 国内のガス生産動向.a 既存生産地域:西海岸Mumbai沖合、およびグジャラート州カンベイ湾沖合 Mumbai High油ガス田をはじめとするインド西岸沖合の既存生産地域は、国営のONGCによる操業が中心であり、外資企業・民間企業も生産の一部を担っている。現在のガス需要の多くは当地域の生産ガスによって供給されている(生産量:約3,000百万cfd)。しかしながら、新たな発見余地に乏しく、生産量は2007年頃をピークとして、その後は横ばい、もしくは漸減していくものと見られている。.b 東海岸沖合Krishna-Godavariベースン(Dhirubhaiガス田) リライアンス社が2002年にアンドラ・プラデシュ州沖合で大規模ガス田(D-6鉱区Dhirubhai)を発見し、当地域は新たな有望地域として脚光を浴び、現在も積極的な探鉱活動が実施されている。 リライアンスの同上ガス田の性状は良質のドライ・ガスである。リライアンスは埋蔵量を8(2Pベース)?14tcfと見積もっており、インド横断幹線ガス・パイ3%価格を基にして月次ベースで決められる。価格水準は地域によっても異なるが、卸価格が、おおむね1.0?2.0ドル/百万btuの低い水準である。安価なガス原子力購入価格を享受してきた大手需要家(肥料産業、電力産業)は、ロビー活動を通じて現行価格制度の維持を図ろうとしており、価格の自由化は容易ではない。特に肥料産業に対しては、政策的な優遇措置で1.0ドル/百万btu程度の安価な価格石油3%でガス供給が行われており、値上げは難しい。 しかしながら、国営上流企業2社の最近の国内ガス生産量は横ばい状態であって供給力に限界があり、すべての需要に応じきれていない。ガス11%b. 外資、民間企業が生産するガス販売価格 インド民間企業のリライアンス、外資のCairn Energy等はインド国内で石油・MMcfd9,0001%その他水力15%ガスを生産しており、こうした民間企業の生産ガス、および輸入LNGの気化ガスは売価を自由に設定できる。民間企業は、国営上流企業の供給力を超える部分を補う形でガスを供給している。 なおリライアンスは、2004年7月に実施された国営電力NTPCの入札に対して(300万トン/年)、Krishna-Godavari ベースン(Dhirubhaiガス田)のガス供給を持ち届け価格2.97ドル/百万Btuで石炭67%提案したリライアンスが落札した(供給時期は、大陸横断ガスパイプラインが完成する2007年以降)。シェル、BG、トタル等外資企業が応札したLNG価格は、4.0ドル/百万Btu以上であったと言われる。将来は、ONGCが操業するMumbai High油ガス田に並ぶ主要な国産ガス供給元となるDhirubhaiガス田の販売価格は、今後のLNG価格を決める際の基準になるものと見られている。8,0007,0006,000輸入国産Krishna?Godavari国産既存油ガス田認はできないながらも、有力な相手先候補企業はエクソンモービルであり、両社は既にコンタクトを行っているものといわれる。20112009200720052003? ガスの輸入計画2001 インドにおけるガスの需要および国内生産動向に関して述べたが、国産ガスで需要を賄えない部分は輸入が必要となり、事業形態はLNGおよびパイプライン・ガスである。現時点で既に国0199719995,0004,0003,0002,0001,000万トン/年プラインが完成する2007年以降に生産を開始するものと見られている。生産開始当初の生産量は、1,400百万cfdと想定されるが、パートナーのカナダNiko社は、2011年までに2,130百万cfdの生産に達するものと見ている。同ガス田の生産が本格化する2010年以降、リライアンスはONGCと並ぶインドの主要なガス生産者となるものとみられる。 なお、2005年3月末に、リライアンスがKrishna-Godavariベースン深海(Dhirubhaiガス田)の開発にあたって、外資(石油メジャー)の参入を望んでいると報道された。同鉱区の生産ガスを2007?08年頃から国営電力会社に販売することを前提として、240億ドルの開発費用が必要と見られている。しかしながら、深海鉱区開発の経験および技術力を持たないリライアンスにとって、同鉱区を期限内に開発することは難しいと考えられている。業界紙報道によると、確図6100015002000500350030002500ガス輸入量LNG換算LNG設備能力0200520072009201120132015ガス要輸入量とLNG設備能力推移2005.5. Vol.39 No.370熕カ産のみでは需要を賄えず、2004年からLNG輸入が開始された。また、今後さらに需要が拡大することを想定して、いくつかのパイプライン・ガス輸入計画が検討されている。 ガスの輸入形態を検証するために、先に記したインドのガス需給バランス表上の要輸入量と、現在のLNG基地建設計画(次章参照)の設備能力の推移を比較すると、次グラフのとおりとなる。 本稿の前提に基づくと、2011年頃まではガスの必要輸入量は現在計画されているLNG設備能力で対応可能であるが、2013年以降はガス需要がLNG設備能力を上回るため、それ以前にLNG設備能力の増強、またはパイプライン・ガスの輸入が必要になる。ガス輸入方法の選択は、輸入価格、設備投資額、および周辺諸国との政治的問題などが絡むために一概にはいえないが、総じて、2015年以降に想定されるガス需要増加に備えるため、2010年頃までにはパイプライン・ガス輸入を含むガス輸入対策が必要になるものと考えられる。 以下の章で、LNGおよびパイプライン・ガスの輸入計画に関して述べる。3. LNG輸入計画 インドの現在のLNG事業者は、国有企業のIOC、ONGC、Bahrat Oil、GAIL(合わせて50%)および民間投資家(50%)が参加するPetronet、そしてシェル(トタルが26%参加)の2グループである。将来的には、ONGCおよびIOCがそれぞれ単独でのLNG事業実施を計画している。 今後のガス輸入量は、先に述べたとおり、ガス需要、価格政策、インフラ整備動向等により見方に幅がある。各事業(および計画)の概要は下表のとおりである。? Dahej LNG受入基地(Petronet、グジャラート州、設備能力;既存500+増強500万トン/年) インドで最初のLNG事業であり、2004年1月に稼動を開始した。Dahej基地は既存の幹線HBJガスPLに接続しており、本事業のLNG気化ガスは同PL周辺のグジャラート州、マハラシュトラ州等にて消費される。 当初の扱い数量は250万トン/年であったが、2005年4月上旬に設備能力の500万トン/年に引き上げられた。事業者PetronetShellONGCIOC受入基地DahejDahej増強KochiHaziraDabholMangaloreEnnore同左所在地グジャラート州ケララ州グジャラート州マハラシュトラ州カルナータカ州タミール・ナドゥ州操業開始2004/1月2010?2008?2005/4月2005???設備能力(万トン/年)500500250250500250250供給ソース主要需要家カタールRasGasグジャラートおよび周辺州の各需要家Shellの各事業Essar電力/鉄鋼Dabhol火力発電所表2LNG事業概況出所:各紙報道から作成PetronetShell(Hazira基地)IOC 12.5%, ONGC 12.5%, Bahrat Oil 12.5%, GAIL 12.5%Gas de France 10%, ADB 5.2%, 一般投資家 34.8%Shell 74%, Total 26%表3LNG事業者出所:各紙報道から作成Petronet によると、2008年頃にさらに500万トン/年の設備増強を行う予定ということである。 LNG購入先は、カタールRasGas(第3トレーン)であり、25年間の長期売買契約を締結している。同LNG売買契約契約の価格フォーミュラは、従来のアジアのLNG価格フォーミュラを踏襲しているが、FOB価格2.53ドル/百万btu(原油価格20ドル/バレル)で当初5年間が固定価格という安価な条件であった。? Hazira 基地(Shell、グジャラート州、設備能力250万トン/年):既存 インドで第2のLNG事業となるシェルのHazira LNG基地は、4月中旬に稼動を開始する予定である。Hazira基地も上述のDahej基地同様にHBJガスPLに接続しており、LNG気化ガスは同PL沿線の電力会社等に供給される。 本事業で最初のLNGカーゴは、シェルが16.7%の権益を持つ豪州NWSからの同社エクイティーカーゴが充てられる。本Hazira基地にて扱うLNGは、シェルがエクィティーを持つマレーシア、豪州、オマーン等事業から、およびスワップで取得するカーゴをスポットベースで供給する計画といわれる。日本、韓国等のアジアの既存LNG事業は、基本的には長期契約に基づいて供給されており、スポットベースで供給するインドHazira基地のLNG事業は、アジアではユニークな形態である。これはLNG受入基地を運営するシェルが、自ら参加する複数のLNG供給事業から自由に供給カーゴを選ぶことができる故であり、今後のLNG事業形態のひとつのモデルになるものと考えられる。? Kochi 基地(Petronet、ケララ州、設備能力250万トン/年):計画中 インド南部はバンガロールなどIT先端産業を抱える地域を中心にエネルギー需要が増加しているが、幹線ガス・パイプラインの建設が遅れているために、現在は本格的なガス供給は行われていない。PetronetはDahej基地に続くLNG事業として、南部海岸のKochiにLNG基地建設を計画している。現時点の見通しでは、大陸横断ガス幹線パイプラインの完成と併せて、2008年頃にKochi 基地の操業が開始されるものとみられている。71石油・天然ガスレビュー Dabhol基地(マハラシュトラ州、設備能力500万トン/年):事業の復活を計画中 本事業は、併設される火力発電所事業と併せて、もともと米国エンロン社が計画していたものであるが、マハラシュトラ州政府との度重なるトラブルによって事業実施が遅れ、さらにエンロン社自体の倒産によって中断されていた。 このたびインド政府のイニシアチブにより、事業債権者との和解を図った上で、事業再開が計画されている。政府は、LNG基地および併設される火力発電所をそれぞれ売却する計画と言われる。火力発電所事業に関しては、GAILと国営電力NTPCが、それぞれが1.14億ドルを投資して(合計2.3億ドル)、2,184MWのLNG火力発電所を建設することが計画されている。? その他事業計画 ONGCおよびIOCが、それぞれ南西海岸Mangalore(カルナータカ州)および南東海岸Ennore(タミール・ナドゥ州)にて、独自のLNG事業実施を計画している。これらの南部地域でのガス事業実施は、幹線ガス・パイプラインの完成を待たねばならないが、今後のガス需要増加が期待される地域である。 また、2004年、インドとイラン政府とに間で、インドがイランのSouthParsガス田開発に参加してLNGを購入し、さらにイランからパイプライン・ガスを購入することが合意された。しかしながら、購入価格に関しては合意に至っておらず、インドはイランのLNG提示価格(3.4ドル/百万Btu以上)に不満で、マレーシア、インドネシアからの安価な条件でのLNG購入を併せて検討する、などの報道がなされている。4. パイプライン・ガス輸入計画: パイプライン・ガスの輸入は以前から計画されていたものの、インドと周辺各国との対立、およびアフガニスタンの政情不安などから、いずれの計画も中断されていた。しかし最近、南アジアのエネルギー需給逼迫懸念が深刻化するにいたり、昨年からインド・パキスタンの協調関係が急速に進み、いくつかのガス輸入案件が急速に進展をみせている。パイプライン建設には期間と膨大な資金が必要となり、また近隣諸国との政治的諸問題も依然として未解決であるため、計画の実現までには紆余曲折が予想されるが、関係国間の機運が今までに無く盛り上がっていることは事実である。 以下に主要事業の現況に関して記すが、現時点ではミャンマーからのガス輸入事業の実現可能性が、最も高いものと考えられる。? ミャンマー?バングラデシュ?インド 本事業は、韓国の大宇が主導するコンソーシアム(インド企業ONGC、GAILも参加)が、2004年初に発見したミャンマー第3鉱区におけるShweガス田の生産ガスを、バングラデシュ陸上経由でインドに輸入する計画である。ミャンマー、バングラデシュ、インド3国は、ガス・パイプライン建設(10億ドル)に関する覚え書きを3月にダッカで締結し、2005年末までにガスPL事業採算検討作業を終了させる計画である。 インド/バングラデシュ間には大きな政治的対立が無かったため、国家間の合意は比較的容易に達成された。本ガス田開発事業にインド企業が参加していることも影響があったものと考えられる。 インドの対象消費地域は、バングラデシュと隣接するコルカタ(カルカッタ)を中心とする西ベンガル州、およびメガラヤ州(アッサム州南隣)を想定しているとされる。? イラン?パキスタン?インド ガス・パイプライン イランのサウスパルス・ガス田から100百万cmd(=3,530百万cfd)の天然ガスを輸送する大規模計画である。インドのアイヤル石油天然ガス相は、6月に予定されるテヘラン訪問の際に、40億ドルの事業となる本案件を提案・調印したい意向といわれる。現在、事務レベルによる価格、供給条件、輸送ルート、ガスの品質等の技術的問題が検討されている。しかしながら、価格、供給条件を巡って合意に至っておらず、交渉は難航している模様である。インド、イラン双方から、相手方を牽制する発言がしばしば報道されている。インド・アイヤル首相の、「適正な価格の提示が無ければ、イランからのパイプライン・ガスを購入することはできない」との発言も報道された。購入価格に関しては、インドの要求価格とイランの提示価格との間に、0.5ドル/百万Btu程度の差異があるもようである。また供給条件では、インドはship-or-pay 条項を、イランは take-or-pay 条項を求めているといわれる。一方でイランは、高コスト、インド・パキスタン間の地域対立、米国の事業反対など障害の多いインドへのPLガス輸出計画に代わり、3月半ばにイランのイスファハンでのOPEC総会後、クウェート、オマーンなど湾岸諸国へのガス輸出計画に傾いているともいわれる。ともにガス消費国としての、インド/パキスタン間の引き取り数量・方法にかかわる合意も必要となる。 イランからのパイプライン・ガス輸入計画にはさまざまな問題があるものの、南アジアのガス需給上は、2010年以降にパイプライン・ガス輸入を含む大型のガス輸入事業の実現が不可欠になるものと見られる。? トルクメニスタン?アフガニスタン?パキスタン?インド 本事業は、アフガニスタンの内戦前にユノカルによって計画されたが、同国が戦争状態に陥ってから断ち切れになっていた。2002年6月にカルザイ暫定政権が発足し、治安がある程度回復した後、2004年にアジア開発銀行がパイプライン建設の事業化調査を実施し、インドを含む関係国がこの調査結果を検討中とあるといわれる。 本事業はトルクメニスタンの大規模ガス田ダウラタバード(Dauletabad)のガスを南アジア市場に供給する計画であり、同ガス田の国際市場への輸送ルートを持たないトルクメニスタン、および今後のガス需要が拡大するインド、パキスタンの経済的利害は合致する。しかし、インド、パキスタン両国2005.5. Vol.39 No.372フ思惑の違いと対立に加え、アフガニスタンを経由することで治安上の障害が増すために、現時点ではイラン・ルート以上に実現が難しいものと考えられる。? カタール?パキスタン?インド ガス・パイプライン カタールの大ガス田ノースフィールドのガスを南アジアに供給する計画である。パキスタンが自国市場向けに検討して、採算性スタディーを終了している。インドは公式見解を出していない。カタールからパキスタンへのガスPL計画(海底ルート、水深=1,800m)は、米国が反対するイランPL、政情不安定なアフガニスタンを経由するトルクメニスタンPLに比べて政治的障害が少ないと考えられる。しかし、パキスタンのバロチスタン地方分離勢力が同地域のPLに破壊活動を企てる恐れは残る。5. 地政学的上の問題点(特にパイプライン建設に際して) ガス輸入事業の判断項目は、ガス価格と需要であるが、パイプライン建設に関しては、次のような地政学的上の問題点に由来する影響を念頭に置く必要がある。? イラン/米国関係 米国政府はイランをテロ支援国家のひとつと見なし、警戒姿勢を緩めておらず、最近では核開発の疑惑に強い疑念を抱いていると言われる。ライス国務長官は、アジア各国歴訪の最初の訪問地として3月17日にインドの首都ニューデリーを訪れ、インドのシン首相に対して、イランの核開発への疑惑に対する国際的な圧力の重要性を強調し、イラン・インドが計画しているイランからの天然ガス輸入PL事業に対して、米国が強い懸念を持っている旨を伝えた。これに対してシン首相は「インド・イラン間には何ら問題ない」として、PL建設計画撤回の意志が無いことを示唆したといわれる。しかし、イランは米国が最も警戒する国のひとつであり、パイプライン事業実現には、米国との政治問題が大きな障害のひとつである。? アフガニスタン:イスラム原理主義等による破壊工作の可能性 アフガニスタンは、米・英によるタリバン掃討の武力行使以降、新政権が発足して小康状態にある。しかし、イスラム原理主義による国際テロ組織は依然として存在するため、政治基盤の弱い同国が影響を受けることが考えられ、パイプラインへの破壊工作の可能性も残る。(坂本 茂樹)? インド/パキスタン関係 インド・パキスタン両国は、1947年に英国から分離独立して以来、宗教上の対立とカシミールの領有問題を巡って繰り返し戦火を交え、また最近では核武装を競った経緯があり、双方に根強い不信感がある。将来のエネルギー需要拡大予想から資源確保に迫られ、インドは現実の経済問題を優先して、パキスタンとのエネルギー協力を進めようとしているが、歴史的な不信感の原因が解決されていない状態では、今後のパイプライン建設事業が果たしてどのように進展するのか、不透明な部分が多い。? パキスタン:西部バロチスタン州の反政府勢力による破壊工作の可能性 インドがパイプライン・ガス輸入計画を急ぐのとともに、パキスタンも自国のガス需要増加予想に直面して、イラン、カタール、トルクメニスタンからのガス輸入PL建設に取り組んでいる。しかし中央政府からの自治獲得を強く求めるバロチスタン州政府のタリフ要求などの問題を抱えている。また、同州の反中央政府勢力(強硬派)は、パイプラインへの破壊工作をしばしば行っており、新規PL建設に対しても破壊工作をおこなうとの脅しをかけ、中央政府の動きに揺さぶりをかけている。73石油・天然ガスレビュー
地域1 アジア
国1 インド
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国・地域 アジア,インド
2005/05/20 [ 2005年05月号 ] 坂本 茂樹
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