ページ番号1006170 更新日 平成30年3月5日

国際 LNG 市場はどこまで変貌するか? ─ Jensen レポートのアジア太平洋への適用可能性─

レポート属性
レポートID 1006170
作成日 2005-07-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG市場
著者
著者直接入力 Asia Pacific Energy Consulting
年度 2005
Vol 39
No 4
ページ数
抽出データ AnalysisアナリシスAsia Paci?c Energy Consulting国際LNG市場はどこまで変貌するか?Jensenレポートのアジア太平洋への適用可能性 石油天然ガス金属鉱物資源機構は、平成17年度のAsia Paci?c Energy Consulting(APEC)との契約の一環として、2004年にオックスフォードエネルギー研究所により刊行された「グローバルLNG市場の発展:発展は有望か? そうだとすればいつか?(The Development of a Global LNG Market - Is it likely? If so when?)」と題するMr. James T. Jensen(以下、ジェンセン氏)による最近の著作の詳細検討を行った。ジェンセン氏は、天然ガス・LNG分野において著名で大御所的な人物であり、専門家の間で尊敬を集めている。また同氏が2003年の"The Energy Journal"に寄稿した論文「LNGの革命(The LNG Revolution)」にはLNG事業に対する見解がさらに明確に記述されている。 本報告は、APECによるレポートをまとめたものである。まず、この研究で扱われている大きなテーマを概観し、次に、この研究でこれらのテーマがいかに適切に扱われているかを評価する。各項で、まずジェンセン氏が提起する問題を挙げ、それに対してAPECがコメントをする形式を取っている。図1ジェンセン氏著作本の表紙1.哲学的テーマ ─ 一連の質問・ グローバルLNG市場はすでに存在するか? ジェンセン氏は著書の副題および第1章(全体像)の冒頭において、「グローバルLNG市場の発展:発展は有望か? そうだとすればいつか?」と問いかける。そしてこの問いに答えるためには「グローバルLNG市場の定義が必要だ」と続ける。LNGのプレーヤー(生産者/供給者および直接自己のターミナルを通じてLNGを輸入することが可能な買い手の双方)の数が少ないこと、ならびにグローバルな取引の最終リンク(アジア太平洋地域から南北両アメリカへのリンク)が欠如していることから、グローバルLNG取引は、決して、原油市場はいうまでもなく、グローバル製品取引のようにはならないだろう。・ LNGは、石油市場の変遷を模倣するだろうか答(以下、答えは「:」以下に記す):存在する。必ずしもグローバルな原油または石油製品市場と同様の意味でではないが、すでに存在すると考える。しかし、LNGの形をとるガスの物理的性質、LNGの特殊なインフラストラクチャーへの依存が大きいこと、 ジェンセン氏は序章でさらに続ける。LNG市場は、世界石油市場ほど柔軟性を持つことはない。LNGはその輸送費が非常に高くつくため、十分なガス液化設備能力とLNGタンカーがあって初めて、遠距離輸送が可能となる。:模倣する。LNGは、ある程度は石油市場の発展を模倣するだろう。しかし、LNGは、その物理的特性から、石油市場をすっかり模倣することはできないということを忘れてはならない。ただし、多数の新たなLNGターミナル─とりわけ北米西海岸等の新しい地域における受け入れ港─の建設や、買い手および売り手の数の増大、また現在LNG販売契約に取り入れられつつある新たな柔軟性を考慮すると、LNGは、石油取引が過去30年間に発展してきた形態と類似しているが、まったく同じではない形態で発展するだろう。ジェンセン氏は、このことを視野に入れていないが、現在原油、石油および石油製品の期間取引(term trade)で主流になっている弾力的な期間(?exi-term)契約の特徴の多く15石油・天然ガスレビューAナリシスあったのはスペインおよびアメリカである。これは、大西洋地域におけるトリニダードの影響であった。カタールが中東からの短期取引を支配し、アジア太平洋地域における1997?1998年の景気後退の後、LNGの買い手を求めて欧米の市場に向かわざるを得なかったことに留意するべきである。ジェンセン氏の市場分析は、往々にして、いささか皮相的である。ysisnalyAAAnAnalysisAAysAnana nalysisAnalysis:LNGを単なる石油取引の延長と考えるならば、そのとおり。しかし、ガス一般の場合のように、LNGマーケティングを固有の有利/不利を持つもssのと捉えるならば、ある程度楽観的にiissyyll期待できるものとわれわれは考える。aanA少なくとも次の30年間程度においては、LNG取引が、石油の場合のように、ペーパー取引、スワップおよび交換により自由に販売される完全に商品化された品目として発展するとは考え難い。 われわれは、いくつかの重要なテーマがジェンセン氏の研究において省略されたかまたはごく簡単にしか取り扱われなかったことを不可解に思う。われわれは、LNGの将来において次のテーマも主要な要素になると考えている。 グローバルLNG市場は、その親のような立場にあるグローバル石油市場および自由化されているが地域ごとに独立した陸上ガス市場とあまり似ていない。LNG市場には、石油市場ほどの柔軟性がない。・ LNGは広義のグローバル市場への期待を裏切るだろうか?・ 新LNGモデルはグローバルな枠組みになるか 短期LNG取引は増加しているがまだ全体の9%程度に過ぎない。LNGの特徴である膨大な初期投資のリスク分2005.7. Vol.39 No.416が最近のLNGの短期契約に取り入れられていることは明らかである。・ 地域間の価格標準化?LNG裁定取引の始まりか? LNGの供給ソース・取引形態の多様化により、以前は地域ごとに孤立していたガス価格体系に対して、自由に価格シグナルを伝達することができるようになった。大西洋市場においては、例えばトリニダード・トバゴ(以下、トリニダードと記す)とナイジェリアのカーゴを、価格に応じて米国またはスペインに振り向けることができる。カタールのような中東のLNG供給国が、伝統的な北東アジア市場と拡大しつつある北米市場間のスイングサプライヤーの機能を果たしていることが、アジア市場と大西洋市場間で価格の標準化が始まっていることを示している。:3つの主なLNG市場(北東アジア、欧州およびアメリカ)において価格設定の基準が異なっているにもかかわらず、また、LNG供給地とこれらの主要市場との間の距離が大幅に異なるにもかかわらず、異なるFOB価格に基づいて地域間取引が少なくとも限定的には始まっていること、および仕向け地の制限に妨げられる度合いが小さい地域─すなわち、大西洋地域におけるアメリカ/スペイン─において地域内取引が一般的になっていることは明らかである。価格の標準化はすでに地域内および地域間の供給を変化させ始めており、もしこれがグローバルLNG取引の始まりでないならば、われわれとしては、他にどのような方策が必要なのか見当が付かない。・ 短期販売がすぐにもLNG部門で支配的になるだろうか? LNG長期契約は、膨大な初期投資リスクを軽減するためのLNG事業の特徴である。短期契約は増加しているものの、まだLNG取引全体の9%程度に留まっている。どんなLNG事業でも、必ず一定比率の長期契約を事業開始の前提としている。総じて、今後も長期契約がLNG取引の主流であろうと考える。:われわれは、LNG販売にかかる契約期間の長さの変化について、ジェンセン氏よりも楽観的な見方をしている。われわれは、同氏が1年未満の単発契約または現物契約はわずかしか増加しないだろうと主張していることは正しいと考える。同氏は、BPの新モデルは長期LNG開発については限定的にしか該当しないと考えているが、これはある程度正しい。今後生じるとわれわれが考えていることは、短期契約、および、いくつかの異なる契約期間から成る契約の度合いが高まることである。これらには、表示された数量および比較的硬直的な20年および10年というリフティングスケジュールを伴う伝統的な期間契約、異なるリフティングスケジュール、数量およびカーゴ・サイズを伴う1年、3年および5年の期間の弾力的な短期契約、ならびにさらに不定期なスポット・カーゴ取引が含まれる。 LNGプラントの実際の能力と設計能力との間にはかなりの差があるのが常であったが、プロジェクトの表示能力ではなく真の実働能力が示されたのは1990年代半ば以降である。多くの買い手は、長きにわたって、LNGの売り手は長期契約の需要家(term lifters)(特に日本企業)にプロジェクトの資金を調達させ、そのベースとなる需要を提供させていると感じてきた。結局、余剰能力分は、スポットの買い手に割引価格で売却された。この慣行は抑制されなければならない。 第2に、単発または短期のLNG供給の方向を示すのに極めて大きな力が総ロLNG市場はどこまで変貌するか?散のため、伝統的な長期LNG取引が今後も主流を占めると考えられる。:ジェンセン氏著作において提示されたLNG産業の基本要素の多くは、当該部門にとってどの程度新しい概念なのかについて言及していない。当社のグローバルLNG研究書においては、近年新LNGモデルとして示唆されかつ処理された根本的変革の全範囲を分類した。重要度が高い概念としては、LNG供給の硬直性を改善することである。つまり、マーケティングの通常手段としての短期販売、さらにはスポット販売の導入、売り手が仕向け地の制限を解除し、より弾力的なリフティングスケジュールを導入すること、少なくとも部分的には先物市場に基づいた価格設定などがある。これらを一括した極めて大きな変化が新LNGモデルとして提示され、かつ、欧米企業─特にBP、BGおよびDistrigaz/Tractebel─により強力に推進されてきた。ジェンセン氏の研究においては、主要な問題─この新モデルは世界のすべての地域に適用可能か、また同じ様に適用可能か─が扱われていない。トリニダードのLNGプロジェクトは、世界の他の地域でも再現可能であるか? われわれは、新LNGモデルはすでにアジア太平洋地域のLNGの将来を形作ったが、次の10年以内にアジアのLNGに欧米市場と同じものを作り出すことはないという結論に達した。さらに、BPのTangguhの問題により示されたように、トリニダードの開発の道筋をアジアにおいて再現するのは容易なことではない。・ 大西洋地域とアジア太平洋地域とでLNG市場条件はどのように異なるか? 大西洋地域では、ガス需要の拡大が続くが既に域内供給力に限界の見えた北米、現在の域内供給余力がまもなく消失する欧州ともに、LNG市場の拡大が見込まれる。北東アジアの伝統的なLNG市場の比率は今後縮小するが、新市場(中国・インド)のインパクトは、現時点では見極めがたい。また大西洋地域の活発な取引がLNG短期市場の拡大を促した。理由である。・ ガスの価値、マネタイゼーション(商業化)圧力に関しての変化する考え方 ジェンセン氏は著作の第4章で、LNG契約の取引条件、投資リスク等に関する見解を述べる。:ジェンセン氏著作においては、これら2つの地域において用いられるLNG契約にかかわる取引条件の基本的な相違がほとんど注目されていない。大西洋地域市場の契約は、価格設定の基礎─容易にヘッジすることができる価格─としてペーパー契約を用いることが可能であり、かつ、現に用いている。アジア太平洋地域の市場においては、これを商社デリバティブ(trading house derivatives)で限定的にしか用いない。欧米の主要なLNGの買い手は、通常LNG受け入れターミナルの背後に広範なパイプラインシステムを有しており、欧州において多くの国内ガス市場をカバーしているのもある。アジア太平洋地域においては、十分に発達したガスパイプライン輸送システムを備えているのは韓国だけであり、また、アジアには、国際ガス輸送ネットワークに支えられたLNGターミナルは存在しない。大西洋地域のLNG契約においては、さまざまな形態から成る価格ベースを用いる。アジア太平洋地域の契約は、依然、価格基準点としての石油バスケット価格に結び付けられている場合が圧倒的に多い。欧米市場における燃料(電力用、産業用、石油化学原料用を問わない)の代替性は一般に高く、アメリカにおいては極めて高い。他方、日本においてはある程度の燃料代替の柔軟性が存在するが、他のアジアのLNG市場においてはこのような弾力性はわずかしかない。これらが、少なくとも予想し得る将来において、アジア太平洋地域の市場が新モデルを用いることができない:ジェンセン氏著作においては、ガス埋蔵量の価値および地中のガスを有形の収入に転換する圧力に関して、ほとんど触れられていない。多くの開発途上諸国において、地中のガスは地中の石油よりも価値が低いことが明らかになった。1990年代には、OPEC諸国においてさえ、地中の石油は銀行に預金した金とは価値が異なるとの認識が一般的になった。地中のガスを販売可能な品目に変える目的で外国企業に資金、労働力および技術を動員させるためには、より弾力的かつ自由な開発条件を必要とするとの認識がまず中東において高まった。現在、カタールばかりでなく、イラン等のOPECの強硬派でさえ、ガス開発にはより自由なプロジェクトパラメーターが必要であるとの認識を有している。このため、1990年代初期以降、中東地域においては、大規模なLNG、GTLおよび輸出パイプラインの開発にかかる条件が大幅に緩和された。1990年代以降、国際石油/ガス会社は、ガス埋蔵量を商業操業に持ち込むための具体的な計画がないままに膨大なガス埋蔵量を抱え込むことは、株主や株式市場一般における自分たちのイメージを良くするものではないと認識するようになった。各社は、1990年代以降、ガス埋蔵量から商業的価値を引き出すために何かするべきだとの圧力を段々強く受けるようになっており、そのため、多くのスーパーメジャーは現在広範なガス開発プロジェクトを推進している。17石油・天然ガスレビュー005.7. Vol.39 No.418ysisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanA・ 距離による不利益 ─LNGのボイル・オフ(気体化) ジェンセン氏著作では、第7章でLNG輸送コストを取り上げている。従来、各地域で完結するガス市場と硬直的なLNG長期契約によって、地域ガス市場は孤立して相互の連関は希薄であったが、LNGの過剰が生じてからスポット取引による市場間の動きが増加してきた。ど無視されていることに気付いた。普遍的LNG市場の一般的概念が存在する一方で、ガス市場の概念は、現実の商業市場が機能するのに伴い、その実際の特徴によって修正されなければならない。異なる規制制度、競合燃料、ガス支援インフラおよび市場の地理的位置を無視して、すべての市場が同様に機能すると想定するガスにかかわる分析には、基本的な欠陥がある。:短距離輸送および長距離輸送販売:LNG取引と石油取引との間には、極めて基本的な相違が1つある。原油または石油製品を運搬している石油タンカーの場合、カーゴの一定割合が日ごとに失われ、買い手との距離が増すにつれて貨物損失分が増加するというようなことはない。他方、LNGの場合、まさに、次第に温まるにつれて再ガス化する事態(ボイルオフ)が生じる。このカーゴの一部損失が必ず生じることにより、遠方の顧客への販売は、引き渡しカーゴベースで、短距離輸送販売の場合より高くつく。このような事態は石油の世界には存在しないが、それでも、原油であろうと製品であろうと、長期的には常に短距離販売が長距離販売に優るというのが石油取引の決まり文句である。距離は供給物を最終使用者に届ける時間を意味するだけではなく、貨物の損失をも意味するということこそまさにLNG取引の基本的な概念であり、この研究書の始めの方で強調されるべきであった。・市場の個性 ジェンセン氏は著作の最終章で、大西洋市場の特徴およびアジア市場で新たに成長しつつある中国・インドの市場について記載している。:われわれは、市場の個別の特性─特に、時にユニークなところがあるアジア市場の特性─がこの研究ではほとん・LNG資金調達のさまざまな形態 巨額のLNG投資の資金調達手法として、金融デリバティブを用いるのは、おそらく非現実的であろうと考える。:ジェンセン氏の著作においては、例えばエンロン社のようなデリバティブ取引企業の破綻に言及しつつ、デリバティブがLNGプロジェクトの資金調達の基本になることはあり得そうにないと断言している。それでも、伝統的なプロジェクト資金調達とは極めて異なるLNG資金調達の新しい形態が出現しつつあることは明らかである。LNGの資金調達のための社債は、10年も前から用いられており、また、現在イランにおいて、興味深くかつ革新的な新しい形態の資金調達方法が探究されている。プロジェクト資金を創出するための道具として、何らかの形での「デリバティブ」という選択肢を完全に捨て去るのは時期尚早であろう。・ NGL生産/LNGのROR(投資収益率)に対する影響:ガス生産が始まる前および最初のガス販売が行われる際のNGL生産によるプラスの影響は、多くのガスに関する研究においてしばしば無視されているのと同様に、この研究書でも完全に無視されている。LPG、特にコンデンセートの生産は、多くの意味合いでLNGプロジェクトにとって有益であアナリシスる。すなわち、このような生産は、追加的な?しばしば相当な?収入をもたらす:つまり、最初のガス販売が実際に開始される前に収入をもたらし、さらに、プロジェクト開発者が販売のために必要となるガス・インフラ建設になお膨大な投資を行っているまさにその時に収入をもたらすのである。 ガス製造センターの一部としてのLNGは、今後10年の間に重要性を増す新しい概念である。一部のガス供給者─特にカタール─は、LNGを複数のガス開発手段の1つに過ぎないと見ている。LNGは、幅広いガス販売選択肢の中の1つとして追求されよう。このようなガス販売の選択肢としては、パイプラインによるガス輸出、GTL、メタノール生産、NGL精製およびコンデンセート分解がある。これらの製品は、ガスの開発および生産を前提としているものの、この比較的小さな首長国が、極めてさまざまな製品を国外で販売することを可能にするだろう。さらに、多くの国内の産業、電力および石油化学工場がこのガス生産を前提としよう。LNGは、ガス輸出品の最も重要な形態の1つであるかもしれないが、唯一のものでないことも確かである。 なお、ジェンセン氏に対する一般的な批判は、同氏が国内市場の個別的かつ独特の特徴にほとんど注意を払っていないということである。同氏は、例えば北米について、アメリカを中心とするこの市場が西欧や日本と比較して特殊、さらにはユニークなものになっている要素を強調しようとしない。北米市場は統合された大陸市場であり、広範なガス輸送システムにより、再ガス化したLNGをアメリカ中(アラスカおよびハワイを除く)の最終消費者の大半に販売することが可能になっている。アメリカおよびカナダは、自由なガス価格設定システムと発展した経済を有しており、また、メキシコは、総ロLNG市場はどこまで変貌するか?ガス部門の自由化に向けて漸進している。LNG取引者は、発展し、高度化した先物取引市場を用いてヘッジすることが可能である。さらに、アメリカにおいてはLNG投資のための資本が容易に調達可能であり、かつ、アメリカ市場は次の10年間に追加的ガス供給が構造的に不足しているので、アメリカが引き続き世界最大の天然ガス消費国であり、追加需要量の大半は将来LNGにより満たされることは明らかである。2.グローバルLNG市場の発展(ジェンセン氏著作序章で示された結論に対するコメント)・ 北米がLNG輸入の最大標的として浮上 北米ガス需要が今後増大する一方で、カナダを含む従来の北米ガス供給力に拡大が望めないことから、LNG需要を拡大させることになる。:少なくとも短期ないし中期的には、例えば3年ないし7年の間は、これはほぼ確実である。しかし、次の10年になると、蓋然性というよりは可能性になる。北米市場の成長は、減速しているかもしれない。これは、LNGの追加的な量のアメリカへの導入の遅延の結果であるかもしれない。というのも、新設のターミナルの操業が遅れ、2009年までの大西洋地域の補完的LNG供給の増分はわずかなものに留まるからである。ロッキー山脈諸州のガス生産能力が増大すれば、生産されたガスがパイプラインによって西方のカリフォルニア州に輸送され、LNG需要の増加が減速する可能性がある(特にアメリカ西海岸において)。他の要因も、北米を新規のLNG供給先の首位の座から引きずり落とす可能性がある。欧州委員会は、欧州連合(EU)加盟国に対し、ガス供給源をアルジェリア、ノルウェー、ロシアといった幹線パイプラインを持つ大規模ガス供給者に限らずに多様化するよう促してきた。北アフリカ(エジプト、リビアおよびアルジェリア)、欧州(ノルウェーおよ19石油・天然ガスレビューアルン(インドネシア)マレーシアボンタン(インドネシア)サハリンⅡKenai4,700NMブルネイ0NM09,6Long?BeachCosta?AzulEverettCove?PointElba?IslandLake?Charlesタングー(インドネシア)ペルーLNGPacific?LNG(ボリビア)NWSLNGプロジェクト(稼動中)LNGプロジェクト(計画中)LNG受入基地(既存)LNG受入基地(計画)※主要プロジェクトのみ記載図2北米西岸市場に向かう太平洋LNGびその後ロシア)ならびに湾岸のスウィングサプライヤー(カタールおよびイラン)からの新規かつ追加的なLNG供給の出現は、欧州をアメリカと同等の市場にすることが確実であろう(もっとも、アメリカ企業はイランからの購入を禁止されている)。アジアのエネルギー需要の基本的なダイナミックな側面を過小評価してはならない。現在のところカタールの野心は欧米の市場に向けられているとしても、中東の追加的なLNG供給の多くは、東アジア市場に輸送されよう。われわれは、2010年までにインドおよび中国においてLNG輸入が軌道に乗り、また、他のアジア市場─特にシンガポール、場合によってはタイおよびフィリピン─においても新規の輸入者が出現しよう。・ 潜在的なLNG輸入者として、欧州もあまり遅れることはないだろう 現在の欧州ガス供給は過剰であるが、需要が伸びる一方で北海のガス供給力は減退するため、過剰な時期は短期間しか継続しない。LNGの今後の需要見込みは、パイプラインガスとLNGの競合が今後どのように進展するかにかかっている。:さらに、北米が次の10年間もLNGの最重点市場としての地位を保つとしても、欧州がこれに著しく遅れることがないことも確実である。カタールのマーケティング活動の規模だけから見ても─しかもエクソンモービルのマーケティング・キャンペーンの少なくとも1つおよびトタルのイニシアチブは欧州のみに焦点を絞っている─EUが売り手の優先順位のトップを占めていることは明らかである。Snohvitおよび北米のプロジェクトは、大西洋地域市場の2つの主要地域の間で振れ動く可能性はあるが、ナイジェリアにおけるように、大半のカーゴは、欧州に向かう傾向があろう。ある意味で、これsisnalyAAnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAタールおよびイランにおけるものであるからである。カタールが計画しているLNG施設の増加を半分達成したとしても、液化能力は急激に増大しよう。しかし、このように一度に多くのガスプロジェクトに着手する場合、うまく行かない可能性もあり、また、遅延も、例えわずかな間だとしても、不可避である。イランは問題である。われわれは、計画されている2トレインの1つが2010年までに操業している、または少なくとも試験運転している可能性が高いと考える。その後については、イランがどの程度すみやかにLNG生産に手を広げて行くかを評価するのは困難である。世界の他の地域─とりわけ西アフリカ(ナイジェリア、赤道ギニアおよびアンゴラ)、北アフリカ(エジプト、リビアおよびアルジェリア)ならびにカリブ海地域(トリニダード、次いでベネズエラ)─もLNG能力を相当程度積み上げよう。中東湾岸が間もなく最大の地域的LNG供給者になることは明らかであるが、最もすみやかに成長する供給者であるかどうかは明らかでない。・アフリカのLNG供給力が拡大する アルジェリアとナイジェリアは既にアナリシス主要なLNG供給国であり、エジプトも同様である。リビアもおそらくはLNG取引を再開するであろうし、西アフリカのアンゴラ、赤道ギニアは積極的にLNG事業展開をしている。:NLNGが急速な拡大を続け、かつ、これに続いて、ブラスリバー・プロジェクトが2009?2010年までに実現する場合、ナイジェリアは、次の10年の初期までにLNG生産能力2,000万トン/年を超えるLNG能力を有するようになろう。これに新しく操業を開始した赤道ギニアのアルバLNGプロジェクトおよびアンゴラ(ALNG)を加えたならば、この地域は、生産能力2,000万トン/年に近づく。エジプトは、2006年までに最近操業を開始したBG LNGに2番目のLNGコンプレックスを加えることになっており、また、両プロジェクトの拡張が計画されている。これにアルジェリアおよびリビアの加齢しつつあるプラントの拡張および改修を合わせると、次の10年の初期までに、さらに1,500?2,000万トン/年のLNG追加供給量が生じることは明らかである。これも、液化能力のいちじるしい増大である。2005.7. Vol.39 No.420ルイマ6,60001,0002,000kmイル6,300マイルCove Point 8,500マ距離はいずれもカタール(星印)からのもの図3カタールLNGの極東および欧米市場への距離を長期的観点から議論するのは無益であろう。というのも、カーゴの仕向け地は、長期的には、買い手が最高値をオファーする意欲によって決定されるからである。・ 伝統的な主要LNG市場であった北東アジア市場の相対的比重は今後低下しよう LNG輸入者としてより大きな北米および欧州市場の出現により、LNG市場発展のバランスはアジアから大西洋に移動しつつある。中国とインドは新たなアジア市場だが、その将来の姿はまだ不明確である。:この点は、それほど簡単な事柄ではない。日本の相対的比重は引き続き低下するであろうし、また、韓国は、部門改革および韓国ガス公社の民営化の問題が解決するまで、LNG急増路線に戻れそうにない。ただし、中国を北東アジアの一部とみなし、また、中国の(上海近辺の)東部沿岸地域のみならず中国北東部(山東省等)においてLNGターミナルが2010年までに完成するとしたならば、中国の追加的LNG需要の増加は、北東アジアの市場影響力の減少を逆転させるとは言わないまでも、減速させるのに十分かもしれない。・ 中東は最も成長率の高いLNG供給源になるはずである カタールは世界最大のガス田の供給力を背景に、積極的なLNG事業展開を図っている。他にはアブダビ、オマーンもLNG輸出国であり、さらにイランの潜在的な供給力は大きい。:ここでも、全般的には同意できるが、条件を付する必要がある。というのも、この10年間における中東湾岸の新規の液化能力の大部分はカタールにおけるものであり、次の10年間においてはカ総ロLNG市場はどこまで変貌するか?・ 長期契約が引き続き支配的であるが、変化が起こり得る 短期取引は拡大しつつあるものの、全取引中の一部分を占めるに過ぎない。LNGは高度に資本集約的な事業であって財務リスクが高い。販売契約の裏付け無しでLNG事業を始めようとする事業者は皆無であり、長期契約が今後も取引の太宗を占めると考えられる。:われわれは、長期契約は、特に供給の安定が依然として重要な問題である地域─アジア太平洋地域─において今後とも続くと確信している。また、長期契約は引き続きLNG資金調達の要であり、プロジェクトを立ち上げるためのベースロード─例えばインドネシアTangguhプロジェクトの進展において─が引き続き極めて重要である。ただし、長期的な趨勢として、LNG契約におけるリフティングの期間および条件は多様化の一途をたどるものと考えざるを得ない。・金融デリバティブはプロジェクトリスクをヘッジしそうにない 巨額の投資を要するLNG事業に、金融デリバティブによるヘッジはなじまない。:この考えに全般として同意するが、プロジェクト資金調達は加速を続けることおよび新しい形のLNGプロジェクト資金調達(デリバティブの利用を含む)が将来のLNG事業における選択肢の1つとして残る可能性が高いことに注意されたい。表1LNG取引実績の推移(世界)出所:各種資料をもとにJOGMEC作成総取引量(百万トン)内、スポット取引量(百万トン)スポット比率(%)スポットカーゴ数(隻)1999年94.43.63.8872000年104.15.75.51372001年108.78.27.51822002年114.38.77.62182003年128.111.28.72535%1%2%13%33%25%9%1%11%トリニダードオマーンカタールUAEアルジェリアナイジェリア豪州インドネシアマレーシア図4LNGスポット輸出に占める国別シェア(2003年)1%2%19%18%3%1%米国フランスイタリアスペイン日本韓国台湾56%図5LNGスポット輸入に占める国別シェア(2003年)や自由化を経て今や購入者は市場リスクを取ることができないようになり、上流のLNG事業者が受けるリスクが増えてきた。・規制緩和や自由化はプロジェクトリスクを上流に移動させた 当初のLNG購入者は独占の国有企業や電力産業など規制産業であり、take-or-payなどの硬直的な取引条件を受け入れた。しかし、産業の規制緩和:ジェンセン氏は、ガス部門の改革はプロジェクトリスクを上流に移動させた、すなわち買い手から売り手に移動させたと主張している。「企業が市場リスクにさらされる再構築された業界21石油・天然ガスレビューにおいては、ほとんどの買い手は、市場対応価格設定条項なしに数量リスク(volume risk)を引き受けることができない」という主張は、全般的には正しい。しかし、それでは、売り手─すなわちLNG開発の一体事業において中流企業でもあり上流企業でもあるエクソンモービルのような企業─は、なぜ生産地点(カタール)と買い手の市場(イギリスおよびアメリカ)との間AnalysisAAysAnana nalysisAnalysisAAnssiissyyllaanAysisnalyアナリシスジェクトを創出したが、これは、基本的に、開発事業において、石油/ガス会社をLNGプロジェクトのオペレーターから切り離したものである。このプロジェクトでは、エジプトの国営EGPCからパイプラインで送られたガスを直接購入する。第2のプロジェクトでは、オマーン石油公社(PDO)は、当初、オマーンのLNGプラントの第3トレイン拡張設備のためにガスを供給することしか計画されていなかったが、PDOおよびOLNGの双方におけるリーディング・カンパニーであるシェルは、新規の液化施設またはその経営および操業における役割を保証されていなかった。2005.7. Vol.39 No.422のリスクを実際に引き受けているのだろうか。これは、中東湾岸のLNGプロジェクトにおけるやり方であるように思われる。これは、プロジェクト当事者が価格差リスクおよび現実の市場価格水準という二重の問題を背負うことになる。・ LNG供給者は、以前の石油の場合のように、下流を統合するよう圧力をかけられている この傾向の最初の兆候は、上流のLNGサプライヤーが自社系列の販売会社と売買契約を締結するところにあった("self-controlling")。しかしサプライヤーが自ら受け入れターミナルを操業する限り、この"self-controlling"は伝統的な自社操業の一形態に過ぎない。:この著作は、LNG供給者は、石油の場合に多くの企業がそうであったように、LNGサプライチェーンのさらに下方を統合するよう圧力をかけられていると主張する。ジェンセン氏は、「自己契約」は(コミットされないタンカーとともに)短期契約および現物取引への移行の兆しではなく、単に「伝統 的 な 専 用 操 業(dedicated operations)の別の形態」に過ぎないと主張する。われわれとしては、この主張を受け入れるわけにはいかない。石油メジャーは、30年以上にわたって石油のサプライチェーンを完全に支配することはなかった。多くの企業(伝統的に操業しているエクソンモービルおよびシェルや、比較的新しく業界で大きな役割を担っているBP、コノコフィリップスおよびBGの双方)がLNGの中流および下流に関与することを望んだ理由は、ホスト国がカタール(エクソンモービルおよびコノコフリップス)であろうと、トリニダード(BP、BG)やエジプト(BG)であろうと、その国の国営石油/ガス会社のパートナーおよび媒介者として行動することにより生じる、より大きな利益を獲得するために、新しい市場の構築に伴うリスクを引き受けるのにやぶさかでなかったということである。・ 増加の一途をたどる資本コストや価格差リスクはスーパーメジャーに対して有利に働く:全般としてこれは正しく、拡大の一途をたどる液化施設の規模─供給力拡大(lumpiness)を生じさせる─も、より小さな競争相手に対して最大企業に有利に働く。LNGの経験が浅いスーパーメジャー─コノコフィリップス等─が1つの販売市場に750万トン/年を超えるLNGを売り込むというマーケティング機能を負うことに伴う義務を果そうと懸命になっているのが眼に見える。このプロジェクトの投資負担を担うことは言うまでもない。しかし、最大のLNGプレーヤーでさえ、場合によっては、ジュニアパートナーと組む。カタールの場合がそうであった。同国では、トタルが現在立ち上げられつつある他のメガ・トレイン・プロジェクトの1つのパートナーになりそうである(参考注:2005年4月にパートナーになった)。・ ニッチの機会が残されているが、小企業は資本および明確な目標を必要とする:何にでも当てはまるものはないということについては、ジェンセン氏に完全に同意する。独自のLNG供給源を持とうとする公益事業企業の動きも無視してはならない。もっとも、公益事業企業が背伸びしすぎることはあり得る。エジプトおよびオマーンのLNGに対するユニオンフェノサの投資は、双方の例になる。第1の場合、スペインの電力会社がエジプトの供給プロ
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2005/07/20 [ 2005年07月号 ] Asia Pacific Energy Consulting
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