ページ番号1006175 更新日 平成30年2月16日

中南米:中国の中南米への進出活発化

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レポートID 1006175
作成日 2005-07-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2005
Vol 39
No 4
ページ数
抽出データ  2003年末から2005年にかけて、胡錦涛国家主席と曾慶紅国家副主席がそれぞれ2度ずつ中南米諸国を訪問し、逆に、中南米からも2004年だけを見ても、ブラジルのルラ大統領、アルゼンチンのキルチネル大統領、ベネズエラのチャべス大統領が北京を訪問した。これらの活発な外交活動により、多くの協定が結ばれ、投資が行われることとなった。 中国と中南米諸国とは距離的に離れており、経済合理性やビジネス的発想というよりは政治的動機に基づくものと考えられるが、両者が協力態勢をとることで得られるメリットは大きい。すなわち、中南米諸国は中国の国有石油会社を通して中国政府から巨額の投資を受けることができ、一方、中国はPetrobras、PDVSA等から今後中国が必要とする技術を入手できる。このように国営石油会社同士が協力し、中国の資金力と中南米の技術力が結びつくことによって、今後、メジャーに匹敵するような勢力に成長する可能性も考えられる。 各国別に現在の状況をまとめると次の通りである。? ベネズエラ 中国の南米に対する投資の約70%がベネズエラ向けとも言われており、ベネズエラは中国が中南米の中で特に重視している国と考えられる。一方、ベネズエラもチャべス大統領と米国ブッシュ大統領との関係が悪化しつつあることもあって、キューバ、ロシア等との関係強化に中南米:中国の中南米への進出活発化努めているが、中国との関係も以前に比べ強固になっている。曾慶紅国家副主席が2年連続でベネズエラを、また、チャべス大統領も就任後3回にわたり中国を訪問していることからも、両国の緊密度が推し量られる。 石油・天然ガスについては、CNPCはすでに1997年にベネズエラの2鉱区の権益を取得し、開発、生産を行ってきた。これに加え、2004年12月および2005年1月に結ばれた協定により、CNPCはベネズエラ東部Zumano地域の15の油田の開発を行うこととなった。これら15の油田の埋蔵量は合計で石油4億バレル、天然ガス3兆cfとされている。このうち6油田はすでに開発が行われ、25,000b/dを生産中である。さらに、CNPCとPDVSAは、ベネズエラ沖合いでの探鉱およびオリノコベルトでの超重質油プロジェクトに関する研究を共同で行うことで合意している。 また、中国はベネズエラ国内に中国の発電所向けの重油を精製するための製油所を建設することになった。中国は既発見、未開発の油田に重質油が多く、また、今後、価格的に安い重質油の輸入を増加させなくてはならなくなるとの見方もあり、重質油の精製・処理のノウハウを必要としている。すでにSinopecが中国南部に重質油対応の製油所を建設中との情報もあり、中国にとってこのプロジェクトは、ベネズエラから重質油の精製・処理技術を習得することを目的としたもの79石油・天然ガスレビュー 急速な経済発展に伴いエネルギー、特に石油不足に直面している中国と、中南米諸国との思惑が合致し、両者の関係が強まり、中国の中南米諸国の石油・天然ガス事業への進出が相次いでいる。中国の資金力と中南米の技術力が結びつくことによって、今後、メジャーに匹敵するような勢力に成長する可能性も考えられる。と考えられる。 一方、ベネズエラは今回の協定により、中国に重質のBoscan原油(API比重10度)10万b/dおよび月間12万バレルの重油を供給することとなった。ベネズエラは原油の60%以上を米国に輸出しているが、対米依存度を低下させるため、以前から原油の輸出先の多様化を図っていた。特に、今年に入ってからは、PDVSAの子会社Citgoが米国に保有する製油所の持ち分を、米国が凍結する可能性も警告されており、今回の中国への石油供給は、その場合の原油の輸出先を確保しておきたいとのベネズエラの意向が働いたものと考えられる。Boscan原油がこれまでほぼ全量が米国の製油所に送られていたことや、長距離輸送のために生じるコストの割り増し分を差し引いた割引価格が適用されていることから、チャべス大統領の意図は経済的なものではなく、政治的な判断によるものであることがうかがえる。? ブラジル 中国はブラジルをベネズエラ同様に中南米の中で最も重要な国の1つと考えているが、探鉱・開発に関しては、ベネズエラとは異なり、ブラジル国内での活動に限定せずに、中国および第三国、それも沖合いでのパートナーとして重視していると考えられる。 2005年2月、PetrobrasとCNPCは、探鉱・開発、精製、パイプライン敷設、技術交流等幅広い分野で協力するという内容の協定を調印した。両社はブラジル、中国に限らず世界各地で共同で活動することとなった。 Petrobrasは、2004年にSinopecとも探鉱・開発、生産、製油所(投資額10億ドル、原油処理能力20万b/d)・天然ガスパイプラインの建設、エタノール燃料の開発に関する提携協定を締結している。これも両国内および中東、南米、アフリカ等で共同で活動するというものである。中国沖合いについては特に合弁会社を設立し、協力して探鉱・開発を行うという。このような中国との関係強化を受け、Petrobrasは北京事務所を開設した。今後の事業の進展次第では、中国に子会社を設立することも検討しているという。 中国は、PetroChinaに南シナ海周辺の[海の鉱区を与えることで同海域での探鉱促進を図ったり、ナイジェリア深海の鉱区を取得するなど、大水深での活動に積極的に取り組む姿勢を見せている。しかし、現在の中国の技術では水深500m程度までしか探鉱・開発を行えない。一方、ブラジルの技術では水深2,000m以上の油田の開発が可能である。中国は、Petrobrasとの合弁会社設立や世界各地での共同探鉱・開発により、ブラジルの深海での技術を習得できることとなり、これまで以上に深海での探鉱・開発に注力していくものと考えられる。? パナマ、コロンビア ベネズエラから中国への原油輸出を増加させるため、両国はパナマ、コロンビアにパイプラインを建設することを計画している。コロンビアに対しては計画を提案している段階であるが、パナマとは間もなく交渉が開始される。中国はコロンビアでの探鉱についても関心を示しているという。? その他の中南米諸国 中国は、エクアドルではSinopecが2003年に、CNPCが2004年に、ペルーではCNPCが2004年にそれぞれ油田の権益を取得した。アルゼンチンに対しては、石油開発やインフラの整備に200億ドルの投資を行うことを約束しており、また、Sinopec、CNPC、CNOOCは国営のエネルギー新組織Enarsaと共同で探鉱を行うことに興味を示している。キューバとは2005年1月にPS契約を結んだ。中国は、さらに、ボリビアでのガスの探鉱・開発にも関心を持っているという。? 中国 中国では急速な経済発展と工業化に伴い、石油消費量が増加を続けている。中国はすでに世界第2位の石油消費国であるが、過去4年間を見ても世界の石油需要の伸びの40%を中国が占めており、さらに今後20年間で消費量は現在の約560万b/dから1,280万b/dまで増加するとみられている。一方で中国国内の油・ガス田は成熟化しており、需要の急増に追い付くような大幅な生産増は見込みにくい状況にある。 このように深刻な石油不足に直面しているにもかかわらず、油価は高騰を続け、中東情勢も不安定であることから、中国にとって石油の安定供給確保は重要な課題となっている。そこで、中国は北米、欧州を除くすべての地域を探鉱・開発の重点地域と考え、進出できる国にはどこにでも積極的に進出する戦略をとってきた。中南米にはこれまで進出の機会が少なかったが、ベネズエラ、ブラジルと良好な関係が築けたことから、これを足がかりに中国は今後さらに中南米諸国との結びつきを強めていくと考えられる。(舩木 弥和子)2005.7. Vol.39 No.480
地域1 中南米
国1
地域2 アジア
国2 中国
地域3
国3
地域4
国4
地域5
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地域6
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地域7
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地域8
国8
地域9
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地域10
国10
国・地域 中南米アジア,中国
2005/07/20 [ 2005年07月号 ] 舩木 弥和子
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