ページ番号1006176 更新日 平成30年3月5日

中南米:アジア太平洋LNG市場に、新たな需要が出現か? ─メキシコ:Manzanillo(マンサニヨ)LNG 受入基地、チリ:QuinteroLNG 受入基地─

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レポートID 1006176
作成日 2005-07-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 齊藤 晃
年度 2005
Vol 39
No 4
ページ数
抽出データ 1. はじめに 2005年2月下旬、CFEは、メキシコ太平洋岸ManzanilloにおけるLNG受入基地建設を含む複数プロジェクトの計画を発表した。2005年8月頃から順次、入札が開始される予定である(LNG受入基地の稼動は2009年の予定)。Manzanilloのプロジェクトは、自国企業であるCFEが主導することもあり、同じく太平洋岸にあるRepsol-YPFが主導するLazaro Cardenas LNG受入基地計画より有利という見方もあり、今後の動向が注目される。また、供給元については、ペルー等も有力視されており、今後のアジア太平洋LNG市場の展開にも少なからず影響を及ぼすものと考えられる。このレポートでは、Manzanillo LNG受入基地プロジェクトの概要を示すとともに、供給元がどこになるのかの可能性も含め、簡単に考察する。 メキシコの天然ガス需要は、今後2013年までに年率約6%ずつ急増すると見込まれている。特に発電用の伸びは、環境対策、効率性等の理由で急速に伸びる(約10%)と見込まれている。現在、メキシコは米国からガスを輸入しているが、今後急速に伸長する天然ガス需要に対応させるため、LNG輸入が必須となっている。 一方、メキシコ国内ガス生産の伸びは、年率2.5%程度にとどまると予測されている(図1)。MSC(Multiple Service Cont-ract)という、法的に外資への資源所有権の移転を伴わない形で、ブルゴス盆地中南米:アジア太平洋LNG市場に、新たな需要が出現か?メキシコ:Manzanillo(マンサニヨ)LNG受入基地、チリ:Quintero LNG受入基地等への外資の参入も一部図られているが、法律改正をして外資の参入を図り、生産を活発化させない限り、根本的な解決は不可能である。 同じ中南米では、2004年4月からチリ政府がアルゼンチンによりガス供給制限を受けたことを契機に、LNG受入基地計画を本格的に検討しており、インドネシア、ペルー他を供給元とするLNGを導入する可能性が出てきた。 このようにアジア太平洋LNG市場に新たな需要が出現しつつある状況にあり、このような動向について簡単に考察することにする。(参考)メキシコ:建設中のLNG受入基地は、2つある。メキシコ北東部・メキシコ湾岸のAltamira基地(Shell:50%/Total:25%/三井物産:25%)とメ① CFE(メキシコ電力公社)は、太平洋岸Manzanillo LNG受入基地プロジェクトの概要を発表した。これは6つのプロジェクトから構成され、LNG受入基地建設の他、Guadalajaraまでのパイプライン敷設、新規発電所の建設等が含まれる。LNG供給契約については、2005年8月頃入札の予定である。② LNGは、ペルー等南米から購入する可能性が高い。なお、LNGの価格フォーミュラについてCFEは、メキシコで建設中のAltamira基地・Costa Azul基地と異なり、WTIとSoCal Border価格(南カリフォルニア州際スポットガス価格)の複合方式を提案しており、注目される。③ Peru LNGに関しては、チリに輸出される可能性もある。チリはアルゼンチンからのガス供給制限を受けており、供給先の多様化の観点からLNG受入基地の建設を計画している。ペルーや他国との関係も含めて、チリのLNG動向も注目される。キシコ北西部の米国カリフォルニア州国境に近いCosta Azul基地(Shell:50%/Sempra:50%)である。2.Manzanillo LNG受入基地プロジェクト表1メキシコの主なLNG受入基地プロジェクトプロジェクトメキシコ湾岸Altamira太平洋岸Costa AzulGNL Mar AdentroPuerto LibertadLazaro CardenasManzanilloTamaulipas州Baja California州Baja California州(沖合)Sonara州Michoacan州Colima州現況建設中建設中計画中計画中計画中計画中81石油・天然ガスレビュー稼動開始予定(年)受入能力(万トン/年)200620082009200820082009570760570990330380? プロジェクト概要 Manzanilloプロジェクトは、LNG受入基地建設、Guadalajara近郊(El Salto)までのパイプライン敷設を始めとする、CFEが主導する6つのプロジェクトから構成される(図3)。CFEの発表によると、6つのプロジェクトとは、①LNG供給契約締結/港湾設備建設、②LNG受入基地建設、③新規発電所建設、④既存発電所の燃料転換とリパワリング、⑤参加企業Shel、Total、三井物産Sempra、ShellChevronDKRW EnergyRepsol YPFCFEanzanillo?Guadalajara間のパイプライン建設、⑥送電線建設である(図3参照)。パイプライン(約226km)は、El Saltoで既存のGuadalajara向け幹線パイプラインに接続される予定である(初期輸送能力:530百万Cfd、LNG換算約400万トン/年、36インチ)。なお、CFEは、同基地とLazaro Cardenasとの比較検討を行い、Guadalajaraへガスを供給するには、Manzanilloからの方が距離が短く、コンプレッサーステーションの設置が不要であるので、有利であると述べている。 CFEによると、既存発電所(ManzanilloⅠ、Ⅱ(1980年代建設))の石炭→天然ガス転換の効果として、稼動率が約6割弱から8割以上へ向上すること、SOxの排出が大幅に軽減すること等を挙げている。また、LNG の気化過程で生じる冷水を利用して、発電所タービンの冷却に使用することも検討している。なお、されている。2005年8月以降、順次入札が実施される予定である。? LNG供給契約の概要 2005年2月下旬のCFE発表によると、LNG供給契約について、FOB契約(本船渡し、生産地の港での引き渡し)ではなくEx-ship契約(着船渡し)が想定されている。供給量に関しては、500百万Cfd±6%(LNG換算:約380万トン/年±6%(1bcf/d=760万トン/年で換算))、供給期間15年間以上、テイクオアペイ契約が想定されている。また注目される価格フォーミュラについては、CFEは現在検討中としながらも、WTI(West Texas Intermediate) とSoCal Border価格(南カリフォルニア州際スポットガス価格)という、原油+ガスの市場価格を組み合わせた方式を提示している。現在メキシコ湾で建設されている、Altamira基地の価格フォーミュラはHenry Hub価格リンク、メキシコ太平洋岸のCosta Azul基地はSoCal Border価格(南カリフォルニア州際スポット価格)リンクと言われている。いずれも市場ガス価格リンクとなっているが、新たな価格フォーミュラとして提案されているManzanilloの価格2005.7. Vol.39 No.482図1メキシコの天然ガスバランス出所:CFE資料TijuanaTijuanaCosta AzulCosta AzulGNL Mar AdentroGNL Mar AdentroPuerto LibertadPuerto LibertadTopolobampoTopolobampoAltamiraAltamiraGuadalajaraManzanilloManzanilloLazaro CardenasLazaro CardenasMexico City建設中計画中止0 200 400 km図2メキシコの主要LNGプロジェクトManzanilloプロジェクトに対する住民反対運動については、プロジェクトの内容が住民に広く知られていないこともあって、少ないようである(Baja California州のプロジェクトと異なる)(コンサルタント情報)。 また、今後の入札に関して、①LNG購入(15年間以上予定)、②貯蔵/LNG気化業務(建設・運転・メンテナンスも含む、25年間予定)、③Manzanillo?Guadalajara間パイプライン輸送(25年間予定)に関して、サービス契約が予定}3Manzanilloプロジェクトイメージ出所:CFE資料図4Manzanillo LNG受入基地建設予定地周辺イメージ出所:CFE資料表2Manzanillo向けLNG供給契約の主な内容契約スキーム契約期間供給量保証金ペナルティ価格フォーミュラEx-ship契約(着船渡し)15年.15年?25年という情報もあり。500百万Cfd±6%(LNG換算:380万トン/年±6%)落札者:1億ドル支払い規定量のガスがCFEに引渡しされない場合、非到着分の約3割を罰金として徴収現在検討中Y=aX+b+caX:Socal価格とWTI価格のミックス(CFE提案)b :固定費(液化関連コスト)c :固定費(LNG船関連コスト)フォーミュラの今後の展開が注目される。? 供給元について Manzanillo基地へのLNG供給元については流動的であるが、輸送コストを考慮する場合、地理的な面からは南米のペルーやボリビアが有利である。 ボリビアについては、LNG輸出等に関しての国民投票で賛成が過半数を占めたものの現在政情不安定であり、ペルーを通って太平洋岸に至るパイプラインも未敷設である*1。ペルーに関しては、2004年8月、ペルー最大のCamiseaガス田(約13Tcf、コンデンセート約6億バレル)から首都リマまでのガスパイプラインが完成したことから、LNG輸出の環境が整いつつある。同ガス田からのガスの液化基地(Peru LNGプロジェクト)は、首都リマから南約169kmにあるPampa Melchoritaに建設される予定である(図5)*2。2005年2月には、Pampa Melchoritaの土地使用権も獲得した模様である。輸出先については、距離的に近いチリへの輸出の可能性もあるが、複数の情報によるとメキシコ向けが有力である*3。ただし、パイプラインがアンデス山脈を通過するためコストがかさみ、割高と想定されるLNG価格が問題となるであろう。3.チリの天然ガス事情とペルーからチリへのLNG輸出の可能性 チリは天然ガス需要の大半をアルゼンチンからの輸入に依存している。しかし、上流部門への投資不足が原因とも指摘されているアルゼンチン国内の天然ガス不足を背景に、アルゼンチンは2004年4月よりチリへのガス供給を制限(一説には約4割)しており、チリ経済に悪影響を及ぼしている。これを機に、チリ政府としては、アルゼンチンへの過度のガス依存を緩和し、供給元の多様化を図るため、2004年よりLNG受入基地建設計画を本格的に検討してきた。同基地は、チリ石油公社(ENAP)が計画し、一次案では首都サンチアゴ北西のQuinteroに建設を予定しており、2004年10月、概念設計が終了している。LNGの気化ガスの販売に つ い て は、2005年4月ENAPとMetrogas(ガス配給会社)/Endesa(発電事業者)との間で合意がなされ、新規発電所等に供給予定である。2005年中に*1: 2004年8月のこの経緯については、石油天然ガス動向「ボリビア:国民投票でLNG輸出政策 賛成上回るも前途多難??アジア・太平洋LNGに影響??」(2004年8月)http://oilresearch.jogmec.go.jp/enq/frame.php?lurl=/information/pdf/2004/0408_out_l_bo_naturalgas_referendum.pdfを参照。なお03年10月のMesa大統領就任以来、懸案となってきた新炭化水素法案(税金+ロイヤリティを現行の18%から50%に上げる等)について、2005年5月国会が承認したが、Mesa大統領が拒否、再び暗礁に乗り上げている。その後6月9日にはMesa大統領が辞任、ロドリゲス最高裁長官が暫定大統領になっている。ボリビア政治史上最大の危機であるとも語られている。*2:Peru LNGの資本構成は、米国のHunt Oilと韓国のSKであるが、2005年6月初旬、Repsol-YPFがPeru LNGに参画するためのMOUを締結したと報道されている。*3:Peru LNG、メキシコManzanillo向けを最優先(5月13日IOD等)等83石油・天然ガスレビュー???????50???100kmLima57568858CamiseafieldL/ガPスL?P/L天然NGPiscoLNGプラント(Pampa?Melchorita)OCEANPACIFICOOCEANATLANTICOAMERICADEL?SUR図5Peru LNG関係概略図出所:JOGMECチリ政府はペルー以外の供給元を選択するのではないかと見ている。またペルーは過去の戦争でチリに領土を奪われた経緯があり、過去の歴史が悪影響するのではないかと見る専門家もいる。 しかし、最近のチリとペルーとの間のアルン(インドネシア)マレーシアボンタン(インドネシア)サハリンⅡKenaiLong?BeachCosta?AzulManzanilloLazaro?CardenasブルネイEverettCove?PointElba?IslandLake?CharlesEnergy?BridgeAltamiraタングー(インドネシア)ペルーLNGPacific?LNG(ボリビア)Quintero(チリ)NWSLNGプロジェクト(稼動中)LNGプロジェクト(計画中)LNG受入基地(既存)LNG受入基地(計画)※主要プロジェクトのみ記載環境影響評価(EIS)承認取得、入札、建設の開始を行う意向である。 LNGの供給元ついては、複数の候補が検討されているようである(表3参照)。インドネシアとは、2004年11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の2国間協議において、200?400万トン/年という購入に関するMOUを締結したと伝えられている。 地理的には、チリはPeru LNGを輸入するのが理想的であるが、ペルー副大臣がIOD(2005/5/13)に語ったところによると、「ペルー政府はチリ政府とも交渉中しているが、チリ政府が提案しているLNG購入量(200百万CFD、LNG換算約150万トン/年)では、LNGプロジェクトを進展させるには規模が小さい」と述べている。また、専門家の見方では、Peru LNGはチリ側LNG受入基地の2008年の稼動予定時期に間に合わないので、FTA(自由貿易協定)交渉の中では、パイプライン(総延長1,500km、7億ドル予定)を通じたガス輸入の可能性も検討されており、こうした経済的結びつきをテコに複数のLNG供給元候補の1つとしてペルーが選択される可能性があり、今後の南米ガスプロジェクトの動向が注目される。 (齊藤 晃)図6太平洋周辺の主なLNGプロジェクト出所:JOGMEC表3チリ・Quintero LNG受入基地計画概要構成場所稼動開始予定投資額受入能力供給元候補ENAP(チリ石油公社)Quintero(サンチアゴ北西方)2008年約5.5億ドル未定ナイジェリア、アルジェリア、トリニダード・トバゴ、インドネシア、ペルー他(一部供給元からはパナマ運河通過も想定)2005.7. Vol.39 No.484
地域1 中南米
国1 メキシコ
地域2 中南米
国2 チリ
地域3
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地域4
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地域5
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地域6
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地域7
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地域8
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地域9
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地域10
国10
国・地域 中南米,メキシコ中南米,チリ
2005/07/20 [ 2005年07月号 ] 齊藤 晃
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