ページ番号1006178 更新日 平成30年2月16日

中国:本格的な“ガスの時代”の幕開けか ─ Shell の長北がガス田開発始動─

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レポートID 1006178
作成日 2005-07-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者 竹原 美佳
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年度 2005
Vol 39
No 4
ページ数
抽出データ 1.オルドス盆地の開発を巡る動き? オルドス盆地の"宝"を外資に放出する事情 オルドス盆地は、陝西、甘粛、寧夏、内モンゴル省・自治区にまたがる面積約36万?の堆積盆地で、4大ガス生産地域の1つである。2003年における盆地全体の可採埋蔵量(2P)は7.7Tcf(後述する蘇里格ガス田の埋蔵量は含まれていない)で、2004年の生産量は74億?(PetroChina長慶2004年生産分のみ)である。同盆地の主な生産中のガス田は、長慶(Changqing)ガス田群、陝甘寧(Shaanganning)ガス田群である。主な幹線パイプラインは、北京や天津など華北地域向けの「陝京」パイプラインおよび上海など東部地域向けの「西気東輸」パイプラインである。この他、陝西省西安向け、寧夏(cid:12699)(cid:12755)(cid:12681)(cid:12755)(cid:12717)(cid:12674)回族自治区銀川向け、内蒙古自治区フフホト向けのパイプラインがある。 オルドス盆地を含む陸上の大部分の鉱区について権益を保有するPetroChinaは、地質・地理的条件の悪い僻地の新規探鉱鉱区あるいは中小油ガス田のEOR事業に限って外資に開放する傾向があり、これまで大規模油田の商業開発に携わった外資はいない。PetroChinaは数年前、「西気東輸」への供給を行うタリム盆地ガス田の開発についてShellなどの外資と交渉を行っていたが、合意には至らなかった。中国:本格的な"ガスの時代"の幕開けかShellの長北ガス田開発始動 しかし、近年の幹線パイプライン整備に伴う都市部のガス需要増加により、国産ガスは現在の生産・開発レベルのままでは需要を満たすことが早晩困難となる。したがって、PetroChinaは急ピッチで同盆地ガス田の開発を進める必要に迫られ、オルドス盆地の大型ガス田2件の開発を相次いで外資に開放することにしたと思われる。? Shell、オルドス盆地長北  (Changbei)ガス田開発に着手 2005年5月17日、ShellとPetroChinaは長北ガス田の開発を行うと発表した。両社はまた内外企業と掘削ならびにEPC(設計、調達、建設)業務に係るLOI(Letter of Intent)を締結した。 長北ガス田はオルドス盆地の東部に位置しており、ガスの可採埋蔵量は約2.5Tcfである。ShellとPetroChinaは1999年9月にPS契約を締結した。2年の評価期間を経て、2001年にガス田の開発ならびに中国華北・華東地域向けにガスを供給する事業計画(ODP)を政府(国家発展和改革委員会/NDRC)に提出し、NDRCは2001年末に同事業計画を承認している。 同ガス田の開発に要する費用は約6億ドルと見込まれており、内陸部における初めて外資が参加した大型ガス田開発プ91石油・天然ガスレビュー・ Shellはオルドス?北京第2ガスパイプラインの完成を踏まえ、オルドス盆地長北(Changbei)ガス田の開発に着手する。同社はインフラ(パイプライン)の整備が進んだことや北京のガスマーケットが発展することを見極めた上で、長北ガス田の開発に対する最終投資決定を下したと思われる。・ PetroChinaは長北ガス田に隣接し、国内最大級の埋蔵量を保有する蘇里格(Sulige)ガス田の開発についても、外資に開放した。これまでPetroChinaは大規模な開発鉱区の対外開放を渋ってきたが、北京など都市部の旺盛な都市ガス需要に応えるため、国産ガスの開発を加速する必要に迫られており、西部のガス田開発をメジャーに開放したと思われる。・ オリンピックを控えた北京は他の都市に先駆けて、本格的なガス時代を迎えようとしている。ロジェクトである。ShellはPetroChinaとのPS契約に基づきオペレーターを務め、中央ガス処理設備の建設、ガス田内パイプライン(約135㎞)建設、水平坑井約50坑の掘削などを行う。税引き後の内部収益率(ROR)は20%を超える見通しである。 Shellは、2006年に長北ガス田の生産(10億?/年程度)を開始する。2008年以降生産量は30億?/年に増加する見込みである。Shellは陝京(陝西省靖辺?北京)第2ガスパイプライン(以下、「陝京第2ライン」)の管理会社であるPetroChina管道分公司にガスを販売する。 PetroChinaは「陝京第2ライン」を通じ、北京市、山東省、河北省、天津市にガスを販売する計画である。Shellはオルドス盆地のガス需要が今後も発展すること、「陝京第2ライン」着工などインフラ(パイプライン)の整備が進んだことを見極めた上で、長北ガス田の開発に対する最終投資決定を下したと思われる。〔長北ガス田概要〕・ 発見年:1995年・ 契約年:1999年・ オペレーター:Shell(Shell China Exploration and Production Company Limited)5°トルクメニスタン東シベリア(コビクタ)ン1リハサ50°ハイラル・アシロフフホトカラマイジュンガル盆地ウルムチモンゴルハルビン45°蘇里格ガス田長北ガス田銀川蘭州靖辺靖辺長慶ガス田至北京至北京太原至上海西安図2 オルドス盆地拡大図40°35°30°25°20N°・ ガス田内部のパイプライン建設:CNPC・中国遼河石油工程公司? PetroChinaは、オルドス盆地蘇里格(Sulige)ガス田の開発を外資に開放 蘇里格(Sulige)ガス田はオルドス盆地西部に位置しており、ガスの原始埋蔵量は約20Tcfで、可採埋蔵量(2P)は長北ガス田の6倍以上の約16Tcfである。PetroChinaはガス田を北部(約10Tcf)と南部(約6Tcf)に分けて開発を行い、南部の鉱区(South Sulige Block)を外資に開放する計画である。南北鉱区を合計すると50億?/年の生産体制を構築できると見込んでいる。すでに試験生産地域で坑井の掘削、中央ガス処理設備、ガス田内パイプラインの建設が完成している。PetroChinaは蘇里格ガス田のガスを「陝京」や「西気東輸」ではなく、内モンゴル自治区フフホト市に供給する計画である。「フフホト第2ライン」(総延長462㎞、口径850㎜、設計輸送能力60億?/年のパイプライン)を建設し、フフホト向けには現在陝西省延長?内モンゴル自治区向け511㎞のパイプライン(「第1ライン」)によりガス約10億?/年を供給しているが、2005.7. Vol.39 No.492カシュガル輪南タリム盆地酒泉盆地玉門ゴルムトツァィダム盆地西気東輸ルンポラ盆地陜京(オルドス~北京)ネパール忠県~武漢ラサ成都忠県武漢漢漢漢二連盆地フフホトオルドス盆地オルドス盆地銀川蘭州靖辺靖辺太原西安鄭州北京湾海済南渤地盆遼松瀋陽地盆大連地盆海黄南・北蘇四川盆地江漢・洞庭湖盆地貴陽南昌昌南昌長沙上海海海地盆海国中東40°35°30°25°20°インドイラン~アフガニスタン~パキスタン~インド~ミャンマー昆明福州台北015°N500km1000ミャンマー南寧広州珠江口沖盆地北部湾盆地85°E90°95°100°105°110°115°120°125°図1 中国における主な幹線パイプライン表1 オルドス盆地における主な幹線ガスパイプライン出所:「中国の石油産業と石油化学工業」(東西貿易通信社)ほか各種資料にもとづき作成パイプラインパイプ口径 (上段mm、下段インチ) 距離(km)輸送能力 (億m3/年)シティゲート価格*1 (ドル/MMbtu)86048830050820510105.8N.AN.A2.919001204.1*3運用開始年19971997199720032004靖辺?北京靖辺?西安靖辺?銀川延長?フフホト「西気東輸」東部区間*2靖辺?北京第2蘇里格?フフホト第2660264061640616N.A10164066026850338604623060N.A2005(見込)N.A2010(見込)*1:幹線パイプラインからガス配給会社への受け渡し価格*2:「西気東輸」東部区間:全長約3,900kmのうち、オルドス盆地靖辺?上海間約1,900kmをさす*3:シティゲートへの平均受け渡し価格(1.27元/m3)・ 可採埋蔵量(2P):2.5Tcf・ 生産開始:2006年(見込み)・ ピーク時生産量:30億?/年(290百万cf/日)・ 販売先:PetroChina管道分公司・ 供給先:「陝京第2ライン」を通じ、北京市、山東省、河北省、天津市に供給する(オルドス盆地ガス田の北京市衛門口(Weimenkou)シティゲート価格は5.8ドル/百万Btu程度)・ その他:掘削は国内外3社が受注、設計・調達・建設(EPC)は国内2社が受注し、それぞれLOIを締結〔掘削関連〕① 掘削リグおよび関連業務(6年、30坑):CNPC・遼河第一鑽井(Drilling)公司② 定向(Directional)掘削契約(4年):Halliburton Energy Services(天津)③ 掘削流体および関連サービス業務(3年):CNPC・長慶石油管理局鑽井総公司〔EPC〕・ 中央ガス処理設備:CNPC傘下の2社(中国石油工程設計有限責任公司西南分公司および四川石油工程建設公司)tフホト市は積極的なガス転換を行っており、都市ガス需要が増加している。〔蘇里格ガス田の概要〕・ 発見年:2000年・ 契約年:交渉中・ 権益:交渉中(PetroChina100%)・ 可採埋蔵量(2P):16Tcf(北部10Tcf、南部6Tcf)・ 生産開始:2003年(試験生産開始)・ ピーク時生産量:50億?/年(48,400万cf/日)・ 供給先:陝西省靖辺?内モンゴルフフホトガスパイプライン(「フフホト第2ライン」)を建設し、フフホト市などに供給する計画北京ガス北京ガス最終消費者衛門口受入ステ?シ?ンShellPetroChina長北ガス田陝京第2パイプライン2.16ドル/百万Btu5.8ドル/百万Btu図3 長北ガス田開発?販売の流れ? 北京で高価格のガス需要が増大する理由 北京市が高いガス価格を受け入れざるを得ない理由は“環境問題”と“オリンピック”にある。 中国の一次エネルギーは7割近くを石炭が占め、特に都市部における大気汚染問題解決は、従来からの重点課題であった。北京市は1997年に石炭使用可能区域の制限制度をスタートさせ、1998年には三環路(北京市内の第三環状道路、故宮を中心とする約12㎞四方)の内側における石炭の使用を全面的に禁止した。また、2008年のオリンピック開催を控えて環境対策をさらに強化し、ガソリン・軽油については他の都市より厳しい排出規制水準(ユーロ3)の導入を決定している。北京概略図四環路(環状4号線)三環路(環状3号線)へ港空都首京北二環路(環状2号線)二環路(環状2号線)??故宮天安門約2km93石油・天然ガスレビュー 現在北京には「陝京第1ライン」(1998年完成、設計輸送能力20億?/年)を通じ、オルドス盆地長慶ガス田または陝甘寧ガス田のガスが、都市ガスとして供給されている。長慶・陝甘寧ガス田ともに単独のガス田ではなく、大慶油田と同様、オルドス盆地に分布する中小ガス田群の総称である。中国の業界関係者によると、「陝京第1ライン」の北京市シティゲート価格は1.8元/?(5.8ドル/百万Btu)である。また、2004年における北京市民向けの都市ガス価格は1.9元/?(6.12ドル/百万Btu)であった。 北京市における都市ガスの販売量は石炭使用禁止区域石炭使用禁止区域図4 石炭を使用した熱供給プラントからの煤塵にかすむ三環路(北京環状3号線)JOGMEC北京事務所(概略図の赤丸)から南方を望む概略図の赤網かけ部が石炭使用禁止区域004年に20億?/年を超えた。冬場の暖房用(11月から3月中旬)がおよそ6割を占める。天津の地下貯蔵設備により季節間需要変動に対応するシステムであるが、2004年の冬には地下貯蔵設備の損壊による在庫不足から、北京市が供給制限を行うほど需要が伸びた(冬場の都市ガス利用量は、「陝京第1ライン」の通年のガス供給量1,030万?/日に対し、2,200万?/日に達した。貯蔵設備は不需要期の春と秋に貯蔵を行う。2004年11月時点の貯蔵量は11億?であった。12月末時点で貯蔵量は4.7億?まで低下し、北京市民は1、2月の厳冬期に暖房温度を16℃以下に制限された)。今後、「陝京第2ライン」による供給が行われても、冬場のピーク時における供給は余裕があるとはいえない状況が続くと思われる。2.北京市のガス事情? 供給体制 北京市のガス供給は、天然ガス、石炭ガスやLPGを含め、「北京市燃気集団有限責任公司」(以下、北京ガス)が一手に賄っている。北京ガスは、北京市公用局が管轄する水道、ゴミ処理、暖房など、北京市の公共事業実施機関の1つであり、株式会社形態をとるものの、北京市政府が所有(正確には北京市が出資するホールディングカンパニーである「北京控股有限公司」が出資)し、国有財産管理委員会が管轄する国有企業である。資本金は約60億元(2003年末)、総売上高は31億元、利益は1億7,000万元を超え(うち都市ガス販売が50%以上)、従業員およそ13,000名を抱えるガス配給会社である。? 供給インフラ 北京に供給されるガスは、オルドス盆地の長慶ガス田がその供給元であり、陝京(陝西?北京)パイプラインによりおよそ900㎞を運ばれてくる。当パイプラインは、1998年に運用が開始され、20億?/年(550万?/日)の輸送能力を持つ。 長慶ガス田からパイプラインを通じて輸送されたガスは、北京市西部の衛門口受け入れステーションにおいて北京ガスに引き取られ、自身の供給網を通じて市内に供給される。 パイプラインガスは、非需要期には天津から45㎞ほどの大港地下貯蔵設備へ送られて冬場のピークに備え、冬季には大港からの出荷分は北京東南部の采育(Caiyu)受け入れステーションより市内に供給され、長慶から直接運ばれるガスと併せ、北京市の需要を賄うことになっている。 「陝京第2ライン」は、CNPCと北京市の合弁企業である「北京華油天然ガス有限責任公司」により2004年に建設が開始され、2005年9月に完成する予定である。第1ラインと併せて50億?/年(1,300万?/日)の輸送能力となる。? 天津・大港地下貯蔵施設 天津市街地の南45㎞ほどの大港区南部にあり、対象となる貯留岩は、層厚10mの石灰岩で、その広がりは9?に及ぶ。集ガス構造は、地下2,800m付近で断層・岩相複合トラップにより形成されており、この上位には板橋ガスコンデンセート田が存在する。最大容量は16億?で、14坑の圧入・採取井、2坑の採取井、1観測井があり、採取能力500万?/日、圧入能力310万?/日となっている。年間100日が採取期間、220日が圧入期間とされる。? 消費動向 陝京(陝西?北京)パイプラインの完成による供給インフラの整備、北京市内の石炭使用制限開始(1997年)等を受けて天然ガスへの転換が進んだ結果、ガス消費は1999年から急激な伸びを見せた。北京青年報によれば、2004年は26.2億?と見積もられている。 北京市の中期ガス供給発展プランでは、2005年に40億?/年、2007年50億?/年、2010年には60億?/年と見積もられており、今後も上昇傾向は続くものと見られる。? ガス需要 北京市における2003年の年間ガス消費量はおおむね表2のとおりである。 (竹原 美佳)(万軒)2502001501005002005.7. Vol.39 No.4941996年13,504 1997年16,565 1998年32,618 1999年64,833 2000年95,918 2001年128,230 2002年161,404 2003年190,378 402,545 454,512 505,848 1,050,475 1,354,224 1,703,579 1,926,270 2,275,575 図5 北京市におけるガス消費出所:「全国城市燃气統計資料氾編」中国城市燃气協会20181614121086420(億?)販売数量(万?)供給戸数(軒)\2 北京市における2003年の年間ガス消費量出所:「全国城市燃气統計資料氾編」   中国城市燃气協会民生用工業用官庁、ホテル、学校、レストラン暖房用(合計)40千万?5千万?24千万?120千万?189千万?21%3%13%63%図6 北京の街を走る圧縮天然ガス(CNG)バス出所:JOGMEC北京事務所提供95石油・天然ガスレビュー
地域1 アジア
国1 中国
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国・地域 アジア,中国
2005/07/20 [ 2005年07月号 ] 竹原 美佳
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