ページ番号1006180 更新日 平成30年3月5日

“熱”能く、LNG 市場を制す ~グローバル化へのボトルネック、LNG 発熱量問題~

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レポートID 1006180
作成日 2005-09-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 宮崎 信一
年度 2005
Vol 39
No 5
ページ数
抽出データ アナリシスJOGMEC石油・天然ガス調査グループmiyazaki-shinichi@jogmec.go.jp宮u 信一“熱”能く、LNG市場を制す?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?いやあ、これまではみんなこってり豚骨風味好みなのにさあ、最近はあっさり醤油味が好きって人が増えちゃって。しょうがないから、あっさり味を出していこうと思うんだけど、味を変えるのって結構費用がかかるんだよねえ。やっぱり、昔からのこってり通の人を大切にしていかないといけないかなあ。ラーメンの話?いやいや、これはLNGの話。LNGもラーメンのように様々な味があるのです。そしてマーケットには好みの味があって、この好みにうまく調整しないとみんな食べてくれません。LNGマーケットってグルメなんですね。今日はこんなLNGの味についてお話ししていきます。要旨:・LNGは、単一製品でなく、生産地域ごとに組成が異なる。・ガスを正常に燃焼させるには、ガス燃焼機器に適応したガス組成が必要となる。・米国/英国のガスマーケットは低発熱量のガスを求めている。・米国内では、ガス品質の規定化に関し、ガスマーケットの全セクターを巻き込んだ大論争に発展している。・中国も低発熱量ガスマーケットとなれば、アジア太平洋地域が巨大低発熱量ガスマーケットに変貌することになる。・天然ガスを液化する際、発熱量の高低による技術的制約はなく、買主の都合に対応が可能である。・中東では、石油化学の発展によりエタン需要が増大し、低発熱量LNG生産の土壌が形成される。・アジア太平洋地域の高発熱量LNGプロジェクトは、高発熱量LNGマーケットを目指すのが経済的である。・ただし、アジア太平洋マーケットの中で今後低発熱量LNG需要家が増加する可能性があり、低発熱量LNGは供給不足となって、高発熱量LNGプロジェクトの一部は低発熱量LNGへ切り替えを余儀なくされるであろう。・LNG発熱量を調整する技術(重質分抽出、希釈、異種LNG混合貯蔵、熱量調整)の重要性は高まっていく。1.はじめに液化天然ガス(LNG)は、クリーンで環境に優しく、安全で安定して入手できるエネルギーとして広く知られるようになった。クリーンというのは、天然ガスを液化する前処理段階で硫黄などの不純物が除去されるためである。これらの不純物は液化プラントを腐食させたり、配管などを閉塞させたりする。環境に優しい、というのは、地球環境問題の観点から二酸化炭素排出量が石炭と比較して4割減、石油と比較して3割減という燃焼特性からくるものである。これらの特性は、地球環境問題への関心の高まりを背景として、大きく評価されている点である。また、LNGが安全というのは、天然ガスの主成分メタンが空気より約半分の軽さのため、地表面に滞留することなく大気へ逃げていくためである。安定して入手できるというのは、石油並みの豊富な埋蔵量を有する一方で、世界に広く分布しており、中東に埋蔵量が集中している石油と比較して地政学的なリスクが小さいためである(表1)。このような特徴は、一般の新聞紙面13石油・天然ガスレビューAナリシス天然ガスの特性クリーン環境に優しい安全安定調達1234表1天然ガスの優れた特徴理  由天然ガスを液化する前段階で硫黄などの不純物が除去される。これらの不純物は液化の段階でプラントを腐食させたり、液化の際に配管などを閉塞させたりする。地球環境問題の観点から二酸化炭素排出量が石炭と比較して四割減、石油と比較して三割減という燃焼特性を有する。天然ガスの主成分メタンが空気より約半分の軽さのため、地表面に滞留することなく大気へ逃げていく。石油並みの豊富な埋蔵量を有する一方で、世界に広く分布しており、中東に埋蔵量が集中している石油と比較して地政学的なリスクが小さい。でも頻繁に紹介されるようになり、昨今では周知の事実となったといってよい。それだけに、LNGというと、単一の製品のようにとらえられがちである。しかし、考えてみれば当然のことであるのだが、天然ガスの組成はガス田ごとに異なり、メタンを主成分とはしているものの、エタン、プロパン、ブタンなどの含有量もまちまちである。その結果、液化した後もこの性状をひきずり、生産地域ごとに異なる組成のLNGとなる。このことが、LNGの互換性という問題を引き起こしている。これは、日本国内の電気の周波数に50Hzと60Hzがあり、それぞれに適した電気製品があるようなものである。ガス産業は、その地域、地域で入手可能なガスの組成に適する形で、ガスの燃焼機器が製造され、広く普及していくものである。日本では国内産天然ガスの生産量が少なく、高度経済成長を支えることができなかった。こうした状況を打開するために1969年にLNGを輸入開始したが、その際全需要家の全燃焼機器の調整作業を決行するという大プロジェクトが実施され、LNGの組成に合わせた燃焼機器に変更された。米国では自国で生産される天然ガスの組成に合わせて、ガスの燃焼機器が広まっていった。日本と米国ではそれぞれ燃焼機器が異なり、両者共通の、すなわち、ユニバーサルな燃焼機器というものは存在し得ず、地域ごとに適するガス組成が供給されなければならない。現在、LNGは、関連設備のコストダウンから石油など他燃料に対する価格競合力が強化され、かつ、環境へも優しい燃料として、世界的に需要が拡大している。米国・中国・インド・英国などは新たな巨大LNG輸入国となり、アジア太平洋マーケットと大西洋マーケットがリンクし始めるとともに、技術進歩によるフレートコストの低減や両マーケットにアクセス可能な巨大供給力を有する中東LNG輸出諸国の存在により、世界中のマーケットへ様々な産地のLNGが出荷できるようになってきている。一方、自由化の中で輸入者たちが、LNG取引の柔軟性を求め続けた結果、長期契約に縛られないスポットLNGがマーケットの約12%を占めるようになった。このように、これまで生産地の点と消費地の点を結ぶ一直線の集合体だったLNG取引が、グローバル規模でのネットワークとして活発になろうとしている。この流れの中で、LNG組成のばらつきによってこれまで発生することのなかったLNGの互換性という新たな課題が生じている。メタン成分のほかに高発熱量成分であるエタン、プロパン、ブタンなどの割合が比較的高いもの、ラーメンに例えれば、こってり豚骨風味のLNGに統一した(文献1)。そして、韓国・台湾もこれに続いた。一方米国では、自国で天然ガスが生産され、高発熱量成分は自国の石油化学原料として抽出されてきた。そのため、発熱量の低い、組成が純メタンに近い天然ガスが流通している。近年の自国ガス田の生産低迷とガス需要の増大により、LNGの輸入拡大が進んでいるが、依然として供給の大部分は自国で流通している天然ガスであり、これと互換性のある発熱量の低いLNGが求められている。このように、地域ごとに異なるLNGが要求されている中で、今後の新規のLNGプロジェクトはどのような発熱量のLNGの生産を目指していくのだろうか。本稿では、(2章)ガスの品質項目(3章)マーケットごとに異なるでは、どの地域がどのようなLNGガスの発熱量を求めているのだろうか。2004年のLNGの世界貿易量は1.32億トン。その2/3は日本・韓国・台湾で消費された。これらのアジアマーケットは、自国のガス自給率が極端に低く、輸入に大きく依存している。3国のうち一番早くLNG導入を決定した日本では、当時導入の決定していたLNG(アラスカとブルネイ)の中で、発熱量の高いLNG(ブルネイ)、すなわち、(4章)米国のガス品質論争(5章)LNG液化プラント側が要求するガス品質(6章)発熱量の観点からみた現在のLNG取引状況(7章)発熱量の調整方法と経済性(8章)発熱量の差異が与える今後のマーケットへの影響について論じていきたい。2005.9. Vol.39 No.514g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?2.ガスの品質項目ガスの燃焼機器は、どんなガスでも燃焼させることができるのであろうか。結論からいうと、答えはノーである。まず、ガス組成に応じたガスノズル形状が必要になる。なぜなら、ガスが綺麗に青い炎で燃えるためには、ノズルから噴出するガス量と、ガスが燃焼するスピードのバランスが取れている必要があるからである。バランスが悪く、噴出量が上回ると炎がノズル上方へ移動していき、消えてしまう(これを「リフト」現象という)。燃焼スピードが上回ると、ノズルの中に炎は引っ込んでしまう(これを「バック(逆火)」現象*1という)(図1)。ガスの噴出量は、下式①に示すように、ガスの供給圧力P・ガス比重dが一定であれば、燃焼機器のノズル口径φの2乗に比例する。ガスは種類ごとにそれぞれ固有の燃焼速度を持つため、混合ガスの燃焼速度はガス組成によってのみ決定される。したがって、噴出量Qと燃焼速度のバランスを取るためには、ガス組成に対応したノズル口径φを持つガス燃焼機器が必要となるわけだ。Q=0.011・φ2・KP d………式①Q:ガスの噴出量(Nm3/h)φ:ノズル口径(mm)K:流量係数(約0.8)P:ガスの供給圧力(mmH2O、ゲージ圧)d:ガスの比重(空気=1)家庭にあるガス器具のラベルをみると、13A用などと書かれている(図2)。これは、燃焼に適合するガス組成を規定しているもので、「13A」とは、ガスグループの一種で、都市ガスを示す。この「13」とは、Wobbe指数(kcal/Nm3)(後述)を1,000で除した数字で、このWobbe指数とは単位時間にある圧力とノズル口径のもとで供給されるガスの発熱量すなわち、ガスのノズル噴出量にガス単位体積当たりの発熱量を乗じたもの(インプット)に比例する。「A」は、燃焼速度指数*2(A(遅い)、B(中間)、C(速い))を示す。この発熱量、Wobbe指数というファクターは、今LNG業界で非常に注目を浴びている。■発熱量発熱量とは、ガスの完全燃焼反応によって発生する燃焼熱量である。例えば都市ガスの主成分、メタンであれば、燃焼速度 混合ガスの 噴出速度 混合ガスの噴出速度は 燃焼速度とあまり違わ ない。炎は安定。 混合ガスの噴出速度が リフトの起こる限界速 度より大きい。リフト する。 混合ガスの噴出速度が 逆火の起こる限界速度 より小さい。炎はバー ナーの中へ侵入する 。 リフト バック(逆火) 安定した炎 不安定な炎 図1燃焼のリフト現象とバック現象(出所:文献2)NH?G50A6 ・・・・・・・・・・・・・・・・型式 都市ガス用 13A ・・・・・・・・・・・・・・・・適合するガスの種類 ○○○kW(○○○kcal/h) ・・・・・ガス消費量 ○○○○株式会社 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・メーカー名 図2家庭用ガス器具(ガス衣類乾燥機)のラベル例(出所:松下電器産業ホームページ)*1:バック(逆火)には、3種類あり、火が消えない場合もある。1)パチン逆火点火した火口を消火するときなど、火口先より火炎が吹管内に少し入り込み“パチン”と音がして消えることが多々ある。このように火が消えてしまう程度の逆火を、パチン逆火と呼んでいる。2)連続逆火逆火した火炎が消えずにそのまま器具内(ホース等も含まれる)で、燃焼を続ける状態をいう。この逆火が発生した場合は、機器類の破損が発生したり、3)のフラッシュバックを引き起こすこともある。3)フラッシュバック火炎が一瞬にして、ホ?ス、調整器、配管、容器等の供給側に戻り、爆発を引き起こす現象をいう。(出所:株式会社群馬コイケホームページ)15石油・天然ガスレビューAナリシス混合ガスの場合でも、ガス組成から簡単に発熱量が計算できる。例えば、メタン91.7%、プロパン8.3%からできている混合ガスを仮定し、その発熱量を計算してみると、左記※の式となる。なお、この熱量は、現在大都市部へ供給されている都市ガスの標準的な熱量である。■Wobbe指数(WI)前述のガスグループの説明で取り上げた、Wobbe指数(WI)について紹介する。(kcal/Nm3、MJ/Nm3、Btu/scfなど)d:ガスの比重(空気=1)Wobbe指数は、発熱量をガス比重の平方根で除したもので、熱量の単位を持つ。前述の通りノズルからの単位時間での噴出量はガス比重の平方根で除したものに比例する(式①)ことから、……… 式②HdWI=(cm/sec)H:ガスの発熱量CH4+2O2=CO2+2H2O+9,537kcal/Nm3という反応をする。この9,537kcal/Nm3が、標準状態(0℃、1気圧)でメタン1m3の完全燃焼によって発生する燃焼熱量(総発熱量*3)である。エタン(C2H6)であれば、16,830 kcal/Nm3、プロパン(C3H8)であれば、24,230 kcal/Nm3、n-ブタン(C4H10)であれば、32,020kcal/Nm3となる(表2)。※9,537kcal/Nm3×91.7%+24,230kcal/Nm3×8.3%=10,750kcal/Nm3=45 MJ/Nm3(メタン発熱量)×(メタン比率)+(プロパン発熱量)×(プロパン比率)12010080604020(cm/sec)水素 エチレン 一酸化炭素 ブタン プロパン エタン メタン 3002502001501005000204060801001201400160一次空気率(理論空気量に対する一次空気量の% ) 図3各種ガスの燃焼速度と一次空気率の関係(出所:文献2)表2炭化水素の発熱量化学式総発熱量真発熱量kcal/Nm3MJ/Nm3kcal/Nm3MJ/Nm3発熱量メタンCH49,53739.98,57435.9エタンC2H616,83070.415,37964.4プロパンn-ブタンi-ペンタンn-ブタンi-ペンタンC3H824,230101.422,26793.2C4H1032,020134.029,520123.6C4H1031,780133.029,289122.6C5H12405,5201,697.337,432156.7C5H1240,110167.937,042155.0*2:燃焼速度指数MCP(Maximum Combustion Speed)1mの中空ガラス管の端部にガスの混合気を入れ、もう一方の端部に炎をかざしたとき、このガラス管の中を走る炎の伝播速度をいう。図3からわかるとおり、ある一次空気率のときに最大燃焼速度を示す。この最大燃焼速度のことを慣用で燃焼速度と呼んでいる。混合ガスでは、一次空気率、不活性ガスおよび混合ガス成分相互の影響により単体ガスの最大燃焼速度が変化するため、これを補正する。こうして求められる混合ガスの燃焼速度指数MCPを用いて、ガスグループは、A=遅い、B=中位、C=速いの3段階に定性的な分類をしている。MCPはWobbe指数WIとともにガスの品質を特徴づける要素となっている。*3:総発熱量、真発熱量ガスの燃焼は発熱反応であり、混合ガスではその組成に応じた燃焼熱が発生する。このとき、炭化水素の水素分の燃焼により水蒸気が生じるが、その水蒸気の持っている熱量(潜熱)を考慮するか否かで発熱量は2タイプに種別される。1つは、水蒸気の有している熱量(蒸発潜熱)を無視して算出する熱量で、真発熱量(net heating value)という。もう1つは、水蒸気の有している熱量(蒸発潜熱)は、凝縮して水に戻るが、使い方次第では熱エネルギーとして活用できることを考慮し、加えたもので、総発熱量(gross heating value)という。したがって、総発熱量が水蒸気潜熱の分大きくなる。総発熱量 = 真発熱量 + 水蒸気潜熱前者の例としては国内産業用ボイラーや内燃機関が、後者の例としては国内の「総合エネルギー統計」のエネルギーバランス表をはじめ家庭用のガス器具や発電所の効率があげられる。また、真発熱量を低位発熱量(low heating value, LHV)、総発熱量を高位発熱量(high heating value, HHV)という場合もある。総発熱量は、石炭、石油で約5%、天然ガスで約10%、真発熱量より高くなる。また、国や設備によって、真発熱量か総発熱量かというベースが異なるだけでなく、温度・圧力条件も異なることがある。例えば、米国のエネルギー統計でも熱量は総発熱量ベースであるが、華氏60度(=15.56℃)、14.73psiA(1.016気圧)をベースとしている。日本では0℃、1気圧を標準状態としているため、米国ベースでは、温度が高い分、ガスの体積が増加して、単位体積あたりの熱量は低下することになる。総発熱量ベースで比較して約5%程度、米国の総発熱量値は小さくなる。したがって、国、あるいは設備に関する熱量データを比較評価する場合には注意が必要である。2005.9. Vol.39 No.516@ ⑤ 互  換  域 (良好燃焼範囲) ② ③ ④ MCP①不完全燃焼限界 ②リフト限界 ③バック限界 ④赤外線バーナー赤熱不足 ⑤赤外線バーナーバック限界 図5ガスの互換域(出所:文献2)(IGF21計画*4)が鋭意進められている。ところで、このガスグループから外れた品質のガスが供給されるとどうなるであろうか。供給ガスは、その組成によりWobbe指数WIと燃焼速度指数MCPが一意的に定まる。一方、ガスの燃焼機器は、機器固有の互換域(良好燃焼範囲、図5)を持つ。この範囲から外れたガスが供給されると、図5の①?⑤に示すような燃焼不良を引き起こしてしまう。したがって、適切なガス供給が重要なことがわかる。図4日本で使用されているガスグループのWIとMCP合計(出所:文献4)Wobbe指数はノズルから単位時間に供給されるガスの発熱量の大小を示すファクターと解釈できる(ある2つのガスが同じ発熱量であっても、比重が大きい方のガスはノズルから単位時間に供給されるガスの発熱量(インプット)は小さくなり、それに比例するWobbe指数も小さくなる)。したがって、ガスの燃焼機器との相性に注目する場合は、発熱量よりもWobbe指数の方が適している。現在、日本ではWobbe指数と前述の燃焼速度指数の組み合わせにより、都市ガスは7グループに分類(図4、表3)されており、高発熱量ガスの13Aに全国的に統一する方向で供給ガスの転換3.マーケットごとに異なるガスの発熱量下流側のガスマーケットでは、どのようなガスの品質管理がされるのであろうか。ガスが正しく燃焼するためには、空気との適切な混合割合が重要であるが、同様に、ガス組成も厳しく管理される。ガス組成が変わると、ガスの発熱量、比重、必要空気量(燃焼限界)が変化し、正しく燃焼するためのバーナーのノズル形状を変更する必要が生じるためである。また、二酸化炭素・窒素・水分などの非燃焼性ガスの混入量により、燃焼限界は狭くなる。日本だけで考えてみても、都市ガスの需要家は2,700万件に及び、ガス燃焼機器の数はこの数倍という、おびただしい数になる。前述のとおり、ガス燃焼機器は、ガスの組成に応じて調整してあり、逆にいうと、調整されたガス燃焼機器で燃焼できるように、ガスの品質基準が定められている。■日本・韓国・台湾日本ではもともと、低発熱量の石炭ガスをベースにガス利用が普及していた。ところが、1969年にLNGが都市ガス原料として導入されるのに際して、純メタンに近い低発熱量のアラスカLNGプロジェクト(9,500 kcal/Nm3)と、エタン以上の成分を含む高発熱量のブルネイLNGプロジェクト(10,700*4:IGF 21計画(Integrated Gas Family 21 計画)経済産業省主導によるIGF21計画は、2010年を目標にガス事業者やガス器具メーカーが協力し、主に天然ガスを原料とする高発熱量ガスへのガス種の統合を推進していくための計画である。現在、90%以上の需要家が12A、13Aという高発熱量ガスを使用しており、本計画はかなり進捗しているといえる。最終的にガス種が高発熱量ガスに統合されれば、他都市においてもガス燃焼機器の器具調整が不要になり、消費者の利便性が向上する。■その他のガス品質項目として、露点がある。露点とは、水蒸気を含んでいるガスを、圧力一定のまま冷却していくと、物体の表面に露が発生する。このときの温度を露点という。これは、ガス中に含むことができる水分の限界量が、ガスの冷却により減少するためであり、ガスはこれ以上水分を含めないという飽和状態に達していることになる。したがって、ガス中に含まれている水分が多ければ、わずかの温度低下で露が発生し、逆に水分が少なければ、かなり温度を低下させても露が発生しない、つまり、露点はガス中に含まれる水分量に応じて変化することになる。露点に達したガスは、パイプライン内部に水分を発生させるため、閉塞、メーターなどの凍結、水和物生成による閉塞、腐食、などの障害の可能性が生じる。したがって、脱水処理によりガスの露点を低く維持することが重要であり、露点はパイプラインネットワークの健全性を保つために重要なファクターである。米国においても、ガスの発熱量とともに大きなテーマとして議論されている。17石油・天然ガスレビュー“熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?表3日本におけるガスグループごとの需要家件数WIガスグループ現在平成5年3月以前13A12AL1L2L36A5C6B6C7C5AN5A5B4A4B4C需要家件数(件)24,313,000961,000190,000428,000130,000235,000258,00024,000155,000158,000?68,000130,00027,050,000割合89.9%3.6%0.7%1.6%0.5%0.9%1.0%0.1%0.6%0.6%?0.3%0.5%100.0%13A 13A 13A 12A 12A 12A 6A 6A 6A L1 L1 L1 L2 L2 L2 5C 5C 5C L3 L3 L3 40燃焼速度(MCP) 506070806050403020Wobbe 指数指数(WI) 102030PG換算 CIF $/ton 各年度平均価格 300250200150100LPガス LNG原油 19931994199519961997199819992000200120022003FY図6LPGの価格推移(出所:日本LPガス協会)kcal/Nm3)の2つの導入が決定されていた。高い発熱量にそろえるほうが低コストであること、そして、パイプラインネットワークの輸送能力の有効活用が可能なことから、高発熱量にそろえ、11,000 kcal/Nm3(46.05MJ/Nm3)という発熱量を決定した。以来、「13A」というガス品質に国内マーケットを統一する動き(IGF21計画)が進められてきた。しかし、最近、価格変動の激しいLPG使用量(図6)を低減すべく、標準熱量を引き下げる事業者*5が増えている。日本に続いてLNGの導入をした韓国では、1986年にインドネシアから輸入を開始して以来、91年にマレーシア、94年にブルネイ、99年にカタール、そして2000年にはオマーンが供給元に加わった。台湾では1990年にインドネシアから輸入を開始し、1995年にマレーシア、1998年にインドネシアと供給元を広げた。この2カ国は日本と同じLNG供給源を持つことからわかるように、日本と同様の高発熱量のLNGを導入しており、高発熱量ガス対応のガス燃焼機器で構成されるマーケットとなっている。■米国(天然ガスパイプライン)米国では、主にメキシコ湾岸の国内ガス田を出発点として、北東部の需要アナリシス② ③ ④ ⑤ ⑥ ① 図7米国の第二次世界大戦当時の天然ガスパイプライン(出所:UH IELE)From Canada to NorthwestFrom Canada to Northwest4,643 MMcf/d (+5% *)4,643 MMcf/d (+5% *)From Expanding Coalbed ProductionFrom Expanding Coalbed Production5,490 MMcf/d (+19% *)5,490 MMcf/d (+19% *)From Canada to MidwestFrom Canada to Midwest6,971 MMcf/d (0% *)6,971 MMcf/d (0% *)Into the Chicago Area HubInto the Chicago Area Hub11,867 MMcf/d (0% *)11,867 MMcf/d (0% *)From Canada to New EnglandFrom Canada to New England1,158 MMcf/d (+1% *)1,158 MMcf/d (+1% *)Into the Boston Metro AreaInto the Boston Metro Area2,247 MMcf/d (+2% *)2,247 MMcf/d (+2% *)Into the New York Metro AreaInto the New York Metro Area3,568 MMcf/d (+9% *)3,568 MMcf/d (+9% *)CapacityCapacity(in Million Cubic Feet per Day)(in Million Cubic Feet per Day)as of December 2002as of December 200215,00015,00012,00012,0009,0009,0006,0006,0003,0003,00000= Direction of Flow= Direction of Flow= Bi-directional= Bi-directionalInto Northern CaliforniaInto Northern California2,391 MMcf/d (+15% *)2,391 MMcf/d (+15% *)Into Southern CaliforniaInto Southern California5,752 MMcf/d (+7% *)5,752 MMcf/d (+7% *)From West Texas/Kansas/Oklahoma to Midwest From West Texas/Kansas/Oklahoma to Midwest 7,045 MMcf/d (+3% *)7,045 MMcf/d (+3% *)From Gulf Coast Production From Gulf Coast Production 25,127 MMcf/d (+5% *)25,127 MMcf/d (+5% *)* Percent change since 2000.* Percent change since 2000.Source:Energy Information Administration, GasTran Gas Transportation Information System, Natural Gas Pipeline State Border Capacity Source:Energy Information Administration, GasTran Gas Transportation Information System, Natural Gas Pipeline State Border Capacity Database.Database.図8米国の現在のパイプラインネットワークによる地域間ガスのフロー(出所:EIA)地へ輸送するInterstateパイプライン(TexasEastern、Tennessee Gas Transmissionなど)が発達してきた(図7)。現在では、ANR(El Paso 子会社)、NGPL( Natural Gas Pipeline Company ofAmerica)、Transcontinental パイプラインなどが加わり、北東部への輸送能力が増強されている(図8、9)。米国の石油化学業界は、エタン、プロパンなどの重質成分を天然ガスから抽出し、それらの液体成分を販売できるようにするための設備を設置してきた。その結果、残った低発熱量の国産ガスが天然ガスマーケットを発展させ*5:大阪ガスが2003年2月より、供給ガスの標準熱量を(46.05MJ/Nm3)から(45MJ/Nm3)に引き下げており、東京ガス、京葉ガス、静岡ガスは2005年度に、東邦ガスは2006年度に引下げを計画している。仮に、日本の輸入LNGの平均熱量を44 MJ/Nm3とすれば、46.05MJ/Nm3から45MJ/Nm3に引き下げることによって、増熱に使用しているLPG使用量を半減することが可能となる。2005.9. Vol.39 No.518g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?てきた。しかし、これまで統一的なガス品質基準が作られることはなかった。1990 年代のガスマーケット自由化以前にInterstateパイプラインが販売機能を有していた時代には、ガス品質基準は生産者と契約していた。それが自由化以降はInterstateパイプラインのタリフ(託送約款)の中で規定されるようになった(表4)。実際、州際パイプラインから配給会社(Local DistributingCompany, LDC)への引き渡し地点であるシティー・ゲート(City Gate)では、州際パイプライン事業者がガスの圧力・温度を制御して流量等をモニターしているが、ガス品質上の調整は行っていない(文献5)。このパイプラインのガス品質基準WestcoastANG/FoothillsTransCanadaAlberta(NGTL) AllianceFoothillsTransCanada TransmissionMainline NorthwestPGTPG&ENorthwest KernRiverGreatLakesNorthernBorderTrailblazerANRNGPLPanhandleTranswesternSocalEl PasoEl Paso TQ&M M&NEIroquoisPNGTSCNGAlgonquinTexasEasternNGPLANRTranscontinental図9米国の主要なガスパイプラインネットワーク(出所:CAPP)表4米国の主要なパイプラインでのガス品質仕様(出所:Northbaja Pipelineホームページ)AllianceUSACentral PLMinnesotaGLGTIroquoisKern RiverTransmissionNorthernBorderNWPPNGTSSOCALTennesseeGPViking962900Min.967 Max.1069950970967985Min.967 Max.1100Min.970 Max.1150Min.967 Max.1100Min.967 Max.1100235.75235.756.905.755.755.755.755.754602%??4602%4603%17.2546(6.9メルカプタン)(0.3メルカプタン)3%N2含む2%4602%4603%46(0.3メルカプタン)3%4603%4603%1.00%0.20%0.20%0.40%0.20%0.20%0.20%0.20%0.20%3.00%4%(CO2含む)4%(O2、N2、CO2、他不活性ガス含む)?3%(O2、CO2含む)4%(O2、CO2含む)4%(O2、andCO2含む)4%4%(CO2含む)(CO2含む)仕様発熱量Btu/ft3硫化水素mg/m3全硫黄mg/m3二酸化炭素231152%酸素窒素0.40%?は、ガス業界におけるガス互換性に関して20年以上にわたり問題を引き起こすことはなかったのである。■カリフォルニア州大気資源評議会:California Air Resources Borad(CARB)カリフォルニア州大気資源評議会では、天然ガス自動車用燃料のガス品質として、エタン含有率上限6%という基準(“CARB 基準”、表5)を設けている。この基準は、カリフォルニア州で主に採用されている2つのガス品質基準(北部ではPG&E Rule21、南部ではSoCalGas Rule 30)よりも厳しい基準になっている。これまで、この“CARB 基準”に基づき天然ガス自動車のガスエンジンが設計されてきた。しかし、カリフォルニア州の旧型天然ガス自動車は3万台程度*6であり、同州でのガス消費量の1%以下でしかない。そのため、この基準に引きずられてガスが流通しているカリフォルニア州では“tail wigging the dog”(主客転倒)と揶揄されてきた(文献11)。現在、カリフォルニア州で産出される随伴ガスは、SCCパイプライン、SSJVパイプラインによって輸送されている。これらのガスはエタン、プロパン成分を含む一方で、この付近ではエタンに関しては販路がわずかしか存在しないこと、プロパンに関しては販路は存在するが季節的であることから、*6:世界全体の天然ガス自動車普及台数は411万台。アメリカ全体では、13万台(世界第6位)となっている。(出所:日本ガス協会ホームページ)19石油・天然ガスレビュー\5カリフォルニア州産出の随伴ガスとCARB基準(出所:CARB)成  分SCCSSJVCARBメタン(CH2)エタン(C2H6)プロパン以上(C3H8)不活性ガスCO2N2Btu/scf88.24.93.73.22.30.91,08686.28.82.52.51.90.61,10088.0以上6.0以下3.0以下4.5以下970?1,150*SCC:California South Central Coast パイプラインの平均値SSJV:southern San Joaquin Valley パイプラインの平均値*SoCalGas基準合させるには、単に窒素などの不活性ガスによって希釈するだけでは不十分で、エタンそのものを抜き取ることが必要になってくる。これは、抽出設備のコスト増加の問題を引き起こすだけでなく、カリフォルニア州では、抽出したエタンの需要が少なく処理に困るため、大きな問題となっている。この問題に対し、LNG輸入者にとっての1つの解決方法を提示してくれたのは、三菱商事が展開しているロングビーチLNG受入基地である。三菱商事は2004年7月に、ConocoPhillipsとの共同開発に合意した。これは、ConocoPhillipsが所有する近隣の精製重質分が抽出されることはなく、表5のように、CARB基準を満たさないものになっている。そのため、SoCalGas社が他のパイプラインガスによる希釈を行っているのが現状である。ガスエンジン業界はこのガス品質基準改定に後ろ向きであるが、LNG輸入者はもちろんのこと、管理側のCARB自身を含め、利害関係者たちはこの基準緩和の必要性を感じている。今後は、メタン価MN*7が65?73のガスであっても問題のないガスエンジンへ移行するといわれており、まずはMNを80として規格化し、将来的にはそのような低MNの基準への変換を主張する団体も出ている。カリフォルニア州のLNG輸入者たちにとって、CARB基準の中で最も頭の痛い問題は、エタン6%という上限基準である。北米西海岸のカリフォルニア州に供給可能な地域のLNGの中では、アラスカ、タングーなどの一部の低発熱量LNGを除くと、主に日本・韓国・台湾向けに生産されているアジア太平洋地域の高発熱量のLNGが主流である。これをCARB基準に適アナリシス設備でエタンを石油化学原料として引き取ることで、CARB基準をクリアするだけでなく、LNG受入基地からはエタンタンクの設置が不要となるメリットを享受できるものである。しかし、西海岸全般で展開されているLNG受入基地建設反対の住民運動に加え、カリフォルニア州公益事業委員会CPUCと、連邦エネルギー規制委員会FERCの間でLNG受入基地の許認可管轄権を巡る法廷闘争が継続されており、この基地の実現性は予断を許さない状況が続いている。■メキシコメキシコ連邦規制機関(Comisio´nReguladora de Energi´a, CRE)は、2004年に天然ガスの生産・輸送に関する新規則を導入した(表6)。発熱量に関してはSoCalGas基準よりやや低い値が規定された。メキシコ太平洋岸のLNG受入基地に地理的に導入可能なLNG供給源の多くは、従来、主にアジアをターゲットとした高発熱量LNGを生産しており、そのまま輸入することは困難になるであろう。選択肢は、受入基地側で窒素注入により希釈するか、表6メキシコ・カリフォルニア州 主要ガス互換性基準項  目CRE (Mexico)SoCalGasCARB圧力bar温度: ℃総発熱量: MJ/m3Wobbe指数: MJ/m3窒素 上限値二酸化炭素 上限値酸素 上限値不活性ガス 上限値エタン 上限値0.98672036.03?41.5345.08?50.65.00%3.00%0.20%5.00%1.0132515.1536.12?42.823.00%0.20%4.00%1.00%1.5%?4.5% 6.00%*7:メタン価とは、ガソリンエンジンのオクタン価に対応するノッキングに対する抵抗性を示す指数で、両者は相関関係がある。オクタン価とはガソリン中で最もノッキングしにくいイソオクタンを100、最もノッキングしやすいn-ヘプタンを0として評価した指標。アンチノック剤によりオクタン価が100以上のガソリンも存在しうる。メタンのオクタン価は130、CNG燃料のオクタン価は概ね115?130である。これに対して、メタン価は、メタンを100、水素を0としたものである。メタン価80はオクタン価122.6に該当する。メタン価の算出方法は、CARB基準ではMN=1.624×(?406.14+508.04×RHCR?173.55*×RHCR2+20.17×RHCR3)?119.1ここで、RHCR= (CH4×4+C2H6×6+C3H8×8+(iso-C4H10+n-C4H10)×10+(iso-C5H12+n-C5H12)×12+(C6H14以上)×14)/(CH4×1+C2H6×2+C3H8×3+(iso-C4H10+n-C4H10)×4+(iso-C5H12+n-C5H12)×5+(C6H14以上)×6)2005.9. Vol.39 No.520g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?TijuanaCosta AzulGNL Mar AdentroPuerto LibertadTopolobampoAltamiraCampeche湾 建設中 計画 中止 0 200 400 kmManzanilloLazaro Cardenas図10メキシコのLNG受入基地計画重質成分を抽出するかである。しかし、メキシコは、石油化学事業基盤が不足しているため、抽出した液体成分の販路が制限されることになり、追加した抽出設備はコスト回収ができない状況に陥る可能性がある。また、当規則にはエタン成分の上限値がなく、パイプラインネットワークへのエタン注入を認めている。その結果、エタン含有量は10?12%に上昇することになり、カリフォルニア州へガスを輸出する場合には、CARB基準との不整合という問題が生じることになる。一方、窒素基準は5%と緩やかに見える。これは、国内のCampeche湾東部にあるCampeche油田からの随伴ガス生産において油井に注入される窒素によって、窒素濃度が上昇することを考慮して決定したものである。したがって、このCampeche湾パイプラインに接続される、Altamira、Lazaro Cardenas、Manzanilloの3つのLNG基地で窒素を注入することはできず、LPG抽出を実施しなければならない(図10)。なお、メキシコ湾側のAltamira基地では、重質分抽出設備を設け、低い発熱量のLNGを生産する予定のナイジェリアの第6系列からLNGを受け入れる模様である。河北Ⅱ・秦皇島(計画中) CNOOC西 気 東 輸   PetroChina河北・唐山市(計画中) PetroChina天津市(計画中) CNOOC江蘇Ⅱ・塩城(計画中) CNOOC浙江Ⅰ・寧波(計画中) CNOOC浙江Ⅱ・温州(計画中) CNOOC建設中 政府承認 計画中 広西(計画中) PetroChina海南・八所港(計画中) CNOOC遼寧Ⅱ・営口(計画中) PetroChina遼寧Ⅰ・大連(計画中) PetroChina山東・青島(計画中) Sinopec江蘇Ⅰ・如東(計画中) PetroChina上海・小洋山(計画中) CNOOC福建・眉州湾(建設中) CNOOC広東Ⅱ・汕頭(計画中) CNOOC広東Ⅰ・大鵬湾(建設中) CNOOC図11中国のLNG受入基地計画表7中国が輸入するLNG供給元国生産量万トン/年事業主体運転開始北西大陸棚(NWS)オーストラリア420タングーインドネシア760ゴーゴンオーストラリア1,000Woodside(16.67%)Shell(16.67%)BP(16.67%)Chevron(16.67%)MIMI(16.67%)BHP Billiton(16.67%)BP(37.16%)CNOOC(16.96%)MIベラウ(16.30%)日石ベラウ(12.23%)KGベラウ・KGウィリアガール(10.00%)LNGジャパン(7.35%)Chevron(50%)Shell(25%)Exxon(25%)200720082008■イギリス現行のガス品質基準は、1970年代にDutton(現BG)によって制定された業界基準が、1996 年に国内ガス品質基準GSMR(Gas Safety ManagementRegulation)として規格化されたものである。この中では、Wobbe指数、すす発生や不完全燃焼に関する指数、硫化水素分、炭化水素露点(HydrocarbonDewpoint)、水素分、酸素分、不純物などのガス組成に関するスペックが規定されている。このGSMRでは、36.9?42.3MJ/Nm3という低い発熱量を規■フランス国内ガスのネットワークは高発熱量ガスと低発熱量ガスに分離されており、それぞれに対応してガス品質基準が定められているため、今後発熱量に関して大きな問題は生じないといわれている(文献5)。現状においても、アルジェリアやナイジェリアの高発熱量LNGが導入されている。21石油・天然ガスレビューAナリシス定している。られている(文献15)。今後イギリスは、北海のガス生産の停滞と国内需要増加とのギャップから天然ガス輸入国に転じる見込みであるが、イギリス西岸におけるLNG基地、インターコネクターパイプラインの整備、ノルウェー産ガスなどによってそのギャップを埋めようとしている。こうした背景から高発熱量のガスが輸入される可能性は高く、当面窒素による希釈を検討している(文献5、14)。■中国のガス基準中国のガスマーケットは、国内産ガスとLNG輸入基地の配給網ごとに形成されるローカルマーケットの集合体である。国内産ガスについては、中国で建設された西気東輸パイプラインの主要供給源であるオルドス盆地で生産される天然ガスは総発熱量39 MJ/m3と報じ四川省では、化学肥料用途として50%、化学工業原料として20%、真発熱量基準でいうと8,200kcal/Nm3(文献16)というマーケットが形成されている。また、広東LNG基地は、比較的低発熱量のオーストラリア・北西大陸棚(NWS)LNGを、福建LNG基地は低発熱量のインドネシア・TangguhLNGの導入を決定している。浙江省でも、低発熱量のオーストラリア・Gorgon LNGを導入しようとしている(図11、表7)。このように、低発熱量LNGが主体のマーケットが広まっており、今後、それぞれのマーケットがネットワーク化されることを考えば、中国が高発熱量LNGを受け入れるようになるとは考えにくい。しかし、他のLNG基地計画において、LNG受入基地事業者側からLNG発熱量に関する要望が出されていない模様であるため、高発熱量LNGの導入可能性については不透明であると言わざるを得ない。■インド国内需要の約7割を賄う主要パイプラインの供給源は、西海岸・ムンバイ沖の石油随伴ガスで43MJ/m3という高い熱量を持つ。しかし、この高発熱量成分は石油化学原料として途中で抽出され、末端到達時には37 MJ/m3となる(文献15)。現在、Daheji基地ではカタールのLNGが導入されており、このLNGは高い発熱量のLNGに分類される。今後のLNG基地でどのようなLNGが導入され、マーケットが形成されていくのか、最近の国内大規模ガス田発見によって、さらに不透明性が増大したといえるだろう。4.米国のガス品質論争米国の石油化学業界は、エタン、プロパンなどを天然ガスから抽出し、液体成分として販売する設備を設置してきた。ガス生産者たちは、液体成分を抽出し、ガスと液を別々に販売することで利益の極大化を図ってきた。その結果、米国では、天然ガスは低発熱量の国産ガスマーケットが育成されてきたことは前述の通りである*8。米国パイプラインのガス品質基準に関して、ガス業界が互換性の問題に直面することは20年以上にわたりなかった。しかし、2002年の初頭から天然ガス価格が石油価格に対して相対的に上昇*9したため、国産ガスを分離販売するより、液体成分を抽出しないまま高発熱量の天然ガスとして販売するほうが、利益が大きくなるように逆転してしまった。このことにより、パイプライン事業者たちは、特に低温気象の時に、高発熱量のガスから液体成分が析出し、パイプラインコンプレッサーその他の機器を損傷する可能性が高まるという問題に直面することになった。また、今後は国内ガス需要の増大に対応してLNGの輸入が必要となるが、このとき、高発熱量のLNGが導入されると、ガス燃焼機器の不完全燃焼、NOX排出量の増加、ガスエンジンのノッキング、計量設備の精度影響などの問題が顕在化する。このため、LDCや工業用需要家は、操業上の問題が生じて改善投資が必要になる、と懸念されている*10。しかし、米国が幅広い発熱量のLNGを受け入れる能力を持てば、調達先の多様化により、調達価格の低減を図ることができる可能性が高い。こうして、天然ガスの発熱量問題への関心が高まり、全米石油審議会(National Petroleum Council, NPC)はFERCと米国エネルギー省(Departmentof Energy, DOE)に対して、天然ガスの品質に関する基準を構築するように進言した。2004年2月、FERCは天然ガス評議会*8:1992 年、Gas Research Institute (GRI)は、米国のガス供給は平均Wobbe指数1,345 Btu/scf、発熱量1,035 Btu/scf という調査結果を発表している。*9:2000年はガスが平均3.88ドル/百万Btu・液体成分は5.40ドル/百万Btuだったが、2003 年ガスは5.38ドル/百万Btuで、液体成分は5.26ドル/百万Btuと、12セント/百万Btu高くなった。*10:これまでのLNG発熱量に関するLNG基地事業者とパイプライン事業者の衝突事例1)1980年から操業停止中であったCove Point基地が2003年に運転再開される際、発熱量の問題が生じた。LNGを輸入するCove Point LNGは、発熱量を1,050Btu/scfから1,100 Btu/scfへ高くすることを提案。配給会社Washington Gas Lightの反対にあう。FERCの裁定では、WGLの要求が通り、改定はならなかった。2)同時期のElba Island基地の再開においても同様、1,075Btuを高めようと試みた。Southern LNGはAtlanta Gas Lightの反対に会い、改定できなかった。3)AES Ocean Expressがバハマに基地の建設を計画し、既存のパイプラインネットワークとの接続を計画したとき、Florida Gasにより反対を受けた。2005.9. Vol.39 No.522g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?(Natural Gas Council, NGC)主導のもと利害関係者たちの努力をヒアリングした。NGCは、業界のコンセンサスを得るため、Natural Gas Council Plus(NGC+)という作業部会を組織し、発熱量に関する白書の作成に着手した。この検討グループには、米国州際天然ガスパイプライン協会(INGAA)、米国ガス器具製造者協会(GAMA)、米国エジソン電気協会(EEI)、天然ガス供給協会(NGSA)、独立系石油類協会(IPAA)、米国石油協会(API)、米ガス協会(AGA)、InternationalLNG Alliance、Process Gas ConsumersGroup、米国公共ガス協会(APGA)、電力供給協会(EPSA)、 NorthAmerica Energy Standards Board、ヒューストン大学が参加している。そして2004年12月17日、NGCはまずパイプラインにおける炭化水素露点に関する白書を発行した(文献17)。これに続いて、2005年3月2日、NGCは「互換性に関する白書」を発行した*11。この指針は、米国各地域において最大Wobbe指数は1,400 Btu/scf、熱量は1,110 Btu/scf 未満のガスを用いることを求めている*12。しかし、この上限を超えている事業区域については、本基準の適用除外として、従来通り操業を継続することを認めている。この除外区域には、メキシコ湾岸地域が含まれる。Southern Union所有のルイジアナ州Lake Charles基地は、長年広範な供給源からLNGを持ち込み、送出熱量仕様1,200Btu/scfと新規指針を大幅に上回って操業しているが、生産地域の広範なパイプラインネットワークで標準に合致するため、国産ガスと混合している。業界では、NGCが提出した白書をFERCが暫定的な業界標準とするものと予想しており、これが公式な仕様として採用されれば、アジアや中東産の既存LNGのすべてを除外することとなる。そうなれば、高発熱量LNGの輸出事業者は、窒素注入による希釈、液体成分の抽出、低発熱量ガスとの混合など、下流でのガス処理に追加投資が必要となる。しかしまた、将来の発熱量に関する基準を考える上では、さらに多様化した供給源を考慮しなくてはならないことから、各地域がどのような種類のガスを受け入れ可能なのか、状況を把握するための調査が必要であり、この白書で示された基準は3年間の暫定業界基準とされている。FERCが、この基準に対して広くコメントを求めたところ、40近いコメントが各業界から寄せられた。それらの主なテーマは、ガス品質のモニタリング方法とこの基準を機能させるための追加的なコストを、LNG生産者、輸入者、パイプライン事業者、最終消費者の誰が負担するか、というものであった。これらについては、さらなる調査が必要とされた。そして、コメントの受け付けが締め切られた後も、各業界から様々な意見が飛び交うようになっていく。2005年5月、NGSAはFERCに対して、この白書に基づきガスの品質基準を制定するよう働きかけを強めた。NGSAの意図は、ガス品質と互換性に関する方針を確立して、それをパイプラインガスの仕様として制定することにより、事業リスクを許容可能なレベルまで低減させ、天然ガスマーケットでの不確実性を低減させることにある。全米ガス精製協会(Gas ProcessorsAssociation, GPA)も、FERCに関連する団体と、ガス品質と互換性に関する問題解決の場を2005年?2006年の冬場までに設けるよう求めた。FERCはこのように、上流から下流までの各団体から、ガス品質と互換性に関して、既存パイプラインと比較しつつ、パイプラインのガス仕様に反映させることを要請されており、今後の動きが注目されるところである。一方、2005年6月、AGAおよびAPGAが、NGSAの提案に反対を表明した。安全性のため、さらなる調査研究が必要とのスタンスである。ある配給会社は「6フィートの深さの川を5フィートの身長の人が渡るようなもの」とその危険性について表現した。やはりコストをだれが負担するのかが大きな焦点となっている(文献18、19、20)。さらに問題を複雑にする出来事が起きた。Cove Point基地とWashingtonGas Light(WGL)のガス漏洩に関するやりとりである。現在、漏洩原因は、輸入LNGにあるとするWGLと、パイプラインの老朽化であるとするCovePointで意見が割れている。両者は1036Btu/scfで合意していた。この問題が、ガスの品質規格化に新たな波紋を引き起こしている。今後の米国マーケットはどのようなLNGを要求するのだろうか。現状の白書が成立したとしても、極端に高い発熱量(Libia)を除けば、メキシコ湾岸のLake Charls基地ではある程度までは受け入れが可能かもしれない。しかし、その白書が現状通りの発熱量(Wobbe指数)を規定するのか、その行方とともに、LNG受入基地の建設状況、天然ガスの需要・価格動向、液体成分の需要・価格動向、石油化学製品の需要・価格動向、など様々な要因によって変化する米国のLNGマーケットの要求発熱量に注目していく必要がある。*11:天然ガス評議会作業部会(NGC+)は、現在米国パイプラインガス仕様に組み込まれている熱量よりも、Wobbe指数がガスの互換性に関してより良好な指標であることに合意した。*12:主としてアジア顧客向け販売のため熱量1,130 Btu/scf のLNGを生産するカタールは、既にその方向へと動いている。米国、欧州向けに販売するQatargas(蠡)、(蠱)、(蠶)プロジェクトは、1,075 Btu/scf 程度で生産する可能性が高い。23石油・天然ガスレビューAナリシス埋蔵量中の比率を見ると、構造性ガスの埋蔵量が80%と圧倒的に多い(文献21)。構造性ガスは、メタン以外の炭化水素をほとんど含まないことから乾性ガス(Dry Gas)といわれている。乾性ガスは、同一産地であっても、産出時期や産出層の深さ等によって炭化水素の構成割合に差が生じる。このように、原料天然ガスは地域などによってガス組成のばらつきがある(表8)ものの、液化プラント側の都合(液化時のプラント閉塞回避や冷媒製造・補給の目的)で重質分が除去されることはあるが、それ以外の理由による発熱量調整という作業には経済合理性がない*13,14。したがって、発熱量の低いガスが産出される地域では、発熱量の低いマーケットの買主と売買契約が締結されて低発熱量LNGの取引が行われ、一方、発熱量の高いガスが産出されるエリアでは、発熱量の高いマーケットへ向けてLNGが生産・出荷されることに経済合理性があり、それが通例であった。日本をマーケットとする供給源は、前述のようにアジア・太平洋地域が中心であり、これらのLNG液化プラントでは発熱量の高いLNGが生産されてきた(インドネシア、マレーシア、ブルネイなど)。■中東でのエチレン需要とエタン需要増加現在、中東地域のLNG生産国は、カタール、オマーン、UAE(アブダビ)の3カ国で、オマーンの一部を除き、ほぼ東アジアの日本・韓国・台湾に出荷されている。しかし最近、状況が変化している。中東諸国は、大西洋マーケットとアジア太平洋マーケットの双方にアクセス可能な地理的位置にあること、LNG船の大型化、技術革新によりフレートコストが低下してきたこと、そして、スエズ運河は現在計画されているQmax級(250,000m3クラス)LNG船であっても通行可能*15なこ5.LNG液化プラント側が要求するガス品質天然ガスの多くが、油井の随伴ガスまたは石油と起源を同一とするガス田から産出している構造性ガスである。随伴ガスはエタン、プロパン、ブタンなどの比率が高い場合が多く、それらは冷却するか加圧することで容易に液化を開始することから、湿性ガス(Wet Gas)といわれる。石油の埋蔵量は大きいので、随伴ガスも天然ガスの重要な供給源であるが、天然ガスの全表8湿性ガスと乾性ガスの例随伴ガス86.67乾性ガス95.852.670.340.520.080.120.427.772.951.730.88? ?成  分メタン (CH4)エタン (C2H6)プロパン(C3H8)ブタン (C4H10)ペンタン(C5H12)ヘキサン(C6H14)ヘプタン(C7H16)以上出所:「オイルフィールド゙・エンジニアリング入門」(海文堂)図12液化プラントのプロセスフロー*13:しかし、炭化水素の構成割合が液化方式選定に影響を与える場合がある。アメリカのケナイ(アラスカ)の天然ガスは、主成分のメタンが99%以上を占めているため、それ以外の炭化水素はほとんど含まれておらず、液化プロセスには、メタン、エタン、プロパンを必要とする混合冷媒方式ではなく、エタンが不要なカスケード方式が選定されている。トリニダード・トバゴの天然ガスも同様にメタンが95%程度含有されているため、やはりカスケード方式が選定されている。原料天然ガスの組成が液化プロセスの選定に影響した一例といえる。*14:原料天然ガスには、炭酸ガスや硫化水素等の酸性ガスや窒素、水分等が多く含まれる場合もあり、また、中にはヘリウム等の不活性ガスや水銀等の重金属を含むものもある。これら炭化水素以外の不純物に関しては、液化プラント保護の観点あるいはLNGユーザーの引取品質基準から管理されなければならない。(図12)2005.9. Vol.39 No.524g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?となどから、アジア太平洋と大西洋の2大LNGマーケットに経済的にアクセスできるようになってきており、スウィングサプライヤー(Swing Supplier)と呼ばれるようになった。そして、米国・英国を中心とした大西洋マーケットが拡大するとともに、中国・インドなどの新興LNG輸入国の台頭により、低発熱量のLNGのニーズが高まりつつあることから、中東諸国も低発熱量LNGを生産する必要性が生じてきた。加えて、石油化学産業の発展が、中東のLNG発熱量に変化を与え始めている。石油化学工業の基幹原料の中で、エチレンは最も需要が大きく、40%以上の石油化学製品がエチレンを原料として製造される。主なものは、需要の60%近くを占める汎用樹脂のポリエチレンのほか、工業製品などに使われる塩化ビニルモノマー(VCM)、スチレンモノマー(SM)、エチレンオキサイド(EO)、エタノール、アセトアルデヒド、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどさまざまな製品が生み出されている(文献23)。世界のエチレン需要は、アジア、中東を中心として、年率4.9%で増加し、2010年には1億4,000万トン/年まで需要拡大することが予測されている(図13)。Cracking:FCC)が全体の2/3を占めてきた(ナフサクラッカー方式)。この方法では、エチレン(生成率28%)のほか、副生するプロピレン(20%)、C4留分(11%)、分解ガソリン(21%)、オフガス、重油などが分離生成される。このエチレンのスポット価格が1,400ドル/トンと高価であり、また、副生するポリプロピレンは耐熱温度が高く、高機能の化学製品素材として電子材料などに利用されており、ITブームの中で旺盛な需要がある。しかし、昨今の原油の価格高騰により、原料のナフサも価格が高騰していることからエタンを原料としたエタンクラッカーが台頭してきている。この製造方法では、エチレンが80%生成される。ナフサクラッカー方式では原料となるナフサ価格が450ドル/トン(=13.9ドル/百万Btu)に対して、エタンクラッカー方式での原料となるエタン価格は0.75ドル/百万Btuにすぎない。このように原料価格が1/10以下であることから、今後は安価に天然ガスが入手できる中東では年率6.6%での増加が見込まれており、エタンベースのエチレン製品がマーケットで台頭していくと見られている。エチレンの製造は、ナフサを原料とした流動接触分解(Fluid Catalyticその1つの現われが、住友化学のラービグ計画であろう。これはサウジア図13世界のエチレン需要(出所:住友化学)ラビアの紅海沿岸においてサウジアラムコと合弁で、43億ドル(炭材高の影響により2005年8月、85億ドルに修正)を投資して、石油精製から石油化学製品製造までを一貫して実施する統合コンプレックスを建設するものである。サウジアラムコが保有する既存のラービグ製油所(原油処理能力40万バレル/日)を合弁のプロジェクト会社に移管するとともに、世界最大級のエタンクラッカー、流動接触分解装置(FCC)を建設するほか、エチレン(能力130万トン/年)およびプロピレン(能力90万トン/年)からの誘導品生産プラントを建設する計画である。こうした旺盛なエタン需要を背景として、中東では、天然ガスからエタン分が抜き取られ、メタンリッチのLNGが生産されていくことが考えられる。*15:Qmax級LNG船の喫水は12m程度であり、スエズ運河の水深が62フィート(約19m)であることから、通行に支障はない。ただし、通行料が高く、エジプトとカタールの政府間で議論になっている。25石油・天然ガスレビュー.発熱量の観点から見た現在のLNG取引状況現在のLNGの取引を表9に示す。高発熱量のLNGを生産しているプロジェクトは、おおむねアジアに輸出されており、低発熱量のLNGを生産しているプロジェクトは、米国に輸出されていることがわかる。欧州の一部には高発熱量のLNGを受け入れているところ(フランス・スペイン)もあるが、契約量も考慮に入れると、おおむね低発熱量といえる。表9LNGの取引状況輸出国(地域)発熱量 Btu/scf輸入国(地域)リビアオマーンアブダビブルネイ オーストラリア マレーシアインドネシア アルジェリア(Arzew)カタールナイジェリアアルジェリア(Skikda)トリンダード・トバゴアラスカ1,3751,1601,1411,1341,1321,1221,1181,1161,1141,1101,0821,0411,011スペイン日本韓国スペインフランス日本日本韓国日本韓国日本台湾韓国日本台湾韓国フランススペインベルギーイタリア米国トルコ日本韓国インドイタリアスペイントルコフランスポルトガルフランススペインギリシア米国スペインプエルトリコ日本アナリシス備  考Skikda含むArzew含む長期契約量181664066070430601701,083501,3162254001,817341537510391344138156378600480750264325893710127039154378402501307.発熱量の調整方法と経済性LNGの発熱量を変更するには、どのようにすればよいのか。ラーメンのあっさり味をこってり味に変えるにはこってり味のスープを加えればよいように、熱量を高める増熱の場合は比較的単純であり、LNGよりも高発熱量であるLPGなどを受入基地で混合させることで可能となる。これまで熱量調整方式は、再ガス化したLNGとLPGを気体同士で混合させるガス・ガス熱調という方式が採用されていたが、これにはLPGを再ガス化させるための気化設備が必要となっていた。これに対して、近年は液・ガス熱調方式(LNGを再ガス化したところへLPGを液体のままスプレーして直接LPGを気化させる方式)や、液・液熱調方式が主流になっている。これらは、LPGの再ガス化設備が不要となるため、ランニングコストが低い。これに対して、こってり味をあっさり味に変えることは難しい。熱量を低くする希釈の場合は、以下の方法があるが、それぞれ問題点がある。①液化プラント側で液体成分を抽出する(ラーメン店がこってり味の味覚成分を取り除くようなもの)抽出設備の初期設備費用(CapitalExpenditure, CAPEX)が追加となる。一液化トレイン当たりの液体成分抜き取り追加コストは、受入基地側での液体成分抽出設備と同等程度(4,000万ドル超)と考えられる。しかし、巨大な液化プラントの投資から考えると、この追加コストがプロジェクト全体の内部収益率IRRへ与える影響はそれほど大きくない。むしろ、オペレーションが複雑となる上、運転コスト(Operating Expenditure, OPEX)も増加することに加えて、同一フィードガス量でのLNG生産量が減少し、さらに液体成分の販路がない場合には分離設備にて分離した重質分を廃棄することになる。これらによってプロジェクトの採算性が悪化する。また、液体成分の販路が確保されていたとしても、価格次第では、分離生産の方がかえって利益が小さくなる場合が生じる(マーケットへ販売する際のデメリットについては次項の「経済性」に示す)。この種のプロセスは、カタール、アブダビなどを例にした研究が国際会議で発表されている*16。②受入基地側で液体成分を抽出する(運ばれてきたラーメンから、お客さまがこってり成分を取り除くようなもの)抽出設備のCAPEXが追加となる。液体成分抜き取り追加コストは、330万トン/年の取扱量の米国Elba基地の場合で4,000万ドルを超えるとの推定がある(文献26)。受入基地建設のコストは、液化プラントの投資に比較すると一桁小さいため、追加コストがIRRへ与える影響は無視できない。また、液体成分分離のためにOPEXも増加し、オペレーションが複雑となる。2005.9. Vol.39 No.526g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?さらに、LNGからの気化ガス量が減少することに加え、液体成分の販路がない場合には、プロジェクトの採算性はさらに悪化する。また、液体成分の販路が確保されていたとしても、価格次第で分離生産の方が利益が小さくなる場合が生じる。③受入基地側で窒素または空気を注入する(お客さまがラーメンにお湯をいれて薄めるようなもの)窒素または空気の注入設備のコストが追加となる。窒素成分が増加するため、ガス品質基準との適合に配慮しなければならない。空気注入設備1,850万ドル、窒素設備追加2,800万ドルという推定値が米国エネルギー情報局(Energy Information Administration,EIA)より発表されている。④受入基地側で低発熱量のLNGまたは天然ガスと混合する(運ばれてきたこってり味ラーメンにお客さまが別のあっさり味ラーメンを加え調整するようなもの)現在、米国のLake Charles基地で実施されている方法である。しかし、LNGと国産天然ガスとでは、LNGとLPGのような発熱量の大きな差はなく、大幅な発熱量の低減は困難であると思われる。現段階では米国のガスの互換性に関する白書の行方は不透明なままであり、低発熱量LNGに対応するための液体成分抽出設備に巨額の投資を望む者はいない。さらにこの不透明な基準は、大西洋地域のスポットマーケット発達を妨げる可能性が高い。あるLNGトレーダーは、「1,500万ドルのナイジェリアからの(高発熱量)LNGカーゴがCove Point 基地事業者により受け入れられるか否かに疑問があれば、そのようなリスクをとることはないだろう」と述べている。■経済性高発熱量LNGプロジェクトにおいて、低発熱量LNGをマーケットへ届けるための熱量調整方法として、基本的に4つの方法があることを述べた。ここでは、高発熱量LNGプロジェクトにおいて、液体成分を抽出して低発熱量LNGを生産したものの、高発熱量LNGマーケットへ販売せざるを得なくなったときの影響を考えてみる。高発熱量LNGマーケットとして、日本へ販売する場合を仮定する。日本の都市ガスマーケットでは、標準熱量45MJ/Nm3に増熱することにな表10高発熱量LNGと低発熱量LNGの販売価格の比較増熱後熱量揚地価格混合割合高発熱量LNG44.0MJ/Nm3低発熱量LNG41.5MJ/Nm345MJ/Nm33.97ドル/百万BtuLNGLPGLNGLPG98.2%1.8%94.0%6.0%価格ドル/百万Btu3.84330ドル/トン3.5(▲0.34)330ドル/トンる。このとき、LPG価格を330ドル/トンとして、高発熱量LNG(44.0MJ/Nm3)と低発熱量LNG(41.5MJ/Nm3)の増熱後の仕上がり価格を同じにするためには、低発熱量LNGは百万Btu当たりの価格をいくらにしなければならないだろうか。表10にその解を示す。低発熱量LNGは、同一熱量ベースでLNGより高価なLPGを増熱用として多く必要とするため、▲0.34ドル/百万Btu(対高発熱量LNG価格比▲9%)値引きしなければ、マーケット価格が同じにならない。つまり、マーケットは百万Btu当たり9%低いLNG価格を売主に要求する。売主となる上流開発事業者は、このようなマーケットの事情を意識しなければならない。このLNG販売価格下落により、ガス生産・液化プロジェクト全体に与えるIRRは数%前後低下することが考えられる。フレートコストに関しては、低発熱量LNGの場合、LNG単位体積当たりの熱量が低いため、同熱量のLNGを輸送するためには、輸送体積を増加させなければならず、百万Btu当たりのフレートコストが4%程度上昇する。仮にフレートコストが0.7ドル/百万Btuであれば、0.03ドル/百万Btu上昇する。以上、上流側で高発熱量から低発熱量へ変換する場合のデメリットを表11に示す。もし極端に開発コストが安い高発熱量LNGプロジェクトであれば、このようなデメリットを跳ね返すことも可能であろうが、複数のプロジェクトが競争環境にある中では、ターゲッ*16:LNG液化トレイン別に高発熱量LNGと低発熱量LNGを生産することは可能であるが、両者を同時期に同一トレインで生産するには工夫が必要である。1トレイン780万トン/年のQatargas(蠡)では、Ortloff Engineers社のNGL回収プロセス、SCORE(Single Column Overhead Recycle)プロセスを採用しており、通常C5+の回収を行うが、調整によりエタン除去も可能となっている。また、貯蔵タンク入りのラインにLPGが接続されており、混合増熱により最大で生産量の1/3まで高発熱量LNGの生産が可能となっている。Qatargas(蠡)は、2系列で1,560万トン/年と規模が大きく、貯蔵タンクを3基有することから、英国向け低発熱量LNGの生産を基本としながらも、プロセスの調整により、アジアマーケット向けの高発熱量LNGの同時生産・貯蔵にも対応が可能となっている。ただし、綿密な出荷計画の調整が必要になるものと考えられる。■発熱量を調整する第5の方法として、熱量変換作業があるしかし、マーケットの全需要家、全燃焼機器の改造を行い、低熱量ガスに変換させる(いわゆる熱量変換作業)は非経済的である。天然ガス火力発電所のような大規模需要家だけで構成される特殊なマーケットであれば問題は少ないが、家庭用のような小口需要家が数百万件もあるマーケットでは、機器改造という膨大な作業と取り組まなければならない。日本では、低発熱量の石炭ガスで構成されていたガスマーケットであったが、1969年にLNGを導入して以来、天然ガスに対応できるよう、全需要家のガス燃焼機器の改造に取り組んだ。東京ガスの熱量変換作業は1972年?1988年まで17年間かけて実施された一大イベントであった。27石油・天然ガスレビューAナリシスき、他の高発熱量LNGプロジェクトと価格競合を引き起こして、価格値引きのリスクにさらされるばかりか、同じフィードガス量でのLNG生産量が減退し、収益率を低減させてしまう。したがって、アジア太平洋地域の高発熱量LNGプロジェクトは、北米マーケットで高価格が続くような局面を除けば素直に高発熱量LNGのマーケットを目指すのが経済的である。しかし、現況を見ると、アジア太平洋地域では、新規の案件について、低発熱量LNGプロジェクトと高発熱量LNGプロジェクトが混在している。一方で今後、増大が期待されるマーケットは、北米西海岸、中国となることから、低発熱量LNGへのニーズが高いと考えられる。この様子をもう少し詳しく見てみよう。表11上流側で高発熱量から低発熱量へ変換する場合のデメリットデメリット液体成分抽出設備のコスト(4,000万ドルを超える)が追加となる。液体成分分離のためにオペレーションが複雑となり、OPEXが増加する。液体成分の販路がない場合、同一フィードガス量でのLNG生産量が減少する。液体成分の販路が確保されていたとしても価格次第で、分離生産の方が、かえって利益が小さくなる場合が生じる。低発熱量LNGを生産したものの、販売先が高発熱量LNGマーケットとなってしまった場合、もともと高発熱量LNGを生産するプロジェクトと競合することになり、同熱量あたりの販売価格を約1割低減しなければならなくなる。低発熱量LNGの場合、LNG単位体積あたりの熱量が低いため、同熱量のLNGを輸送するためには、輸送体積を増加させなければならず、百万Btu当たりのフレートコストが4%程度上昇する。123 456トとしたマーケットに狂いが生じないように、あらかじめ低発熱量に切り替えるLNGがほぼ全量、低発熱量LNGのマーケットに引き取られる確固とした保証をとりつけたいのが上流事業者の本音である。現在、世界的なガスマーケットの自由化の進展・競争激化に伴い、買い主が不確実性を上流側へ転嫁し始めている。つまり、取引の柔軟性によるリスクは売主側へ転嫁されつつある。そのため、高発熱量LNGプロジェクトは、低発熱量LNGマーケットの買主が確実になる以前に、低発熱量LNGを生産しようとして液体成分抽出設備を追加しCAPEXを増大させてしまうと、高発熱量LNGマーケットへ販売せざるを得なくなったと8.発熱量の差異が与える今後のマーケットへの影響現在計画されているLNGプロジェクトを図14に示す。ここでは、米国での現行のパイプラインにおける発熱量の上限値、1,085Btu/scf(HHV、14.73psiA(1.016気圧)、華氏60度(=15.56℃))を境界値として、高発熱量LNG(赤色)、低発熱量LNG(青色)とする。アジア太平洋マーケットを考えてみると、今後拡大するマーケットとして考えられている北米西海岸および中国が低発熱量LNG(青色)を求める場5050SnohvitSnohvitSnohvitMurmanskMurmanskMurmanskGassi Touill Gassi Touill ELNGELNGELNGSEGasSEGasSEGasQatargasQataQatargasNIOC LNGNIOC LNGNIOC LNGOman LNGOman LNGOman LNGAlaska North SlopeAlaska North SlopeAlaska North SlopeSakhalinⅡ SakhalinⅡ SakhalinAtlantic LNGAtlantic LNGAtlantic LNGMariscal SucreMariscal SucreMariscal SucreBrass RiverBrass RiverBrass RiverEq. GuineaEq. GuineaEq. GuineaNLNGNLNGNLNGAngolaAngolaAngolaTangguhTangguhDonggiDonggiDonggiGreater SunriseGreater SunriseGreater SunriseBontangBontangBontangDarwinDarwinDarwinGorgonGorgonNWSNWSNWSPeru LNG (Camisea)Peru LNG (Camisea)Peru LNG (Camisea)Pacific LNGPacific LNGPacific LNG図14世界の高発熱量LNGプロジェクトと低発熱量LNGプロジェクト2005.9. Vol.39 No.528g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?表12中国のLNG受入基地計画一覧(出所:石油・天然ガスレビュー2005年1月号、中国:LNG受入計画ラッシュ続く)供給源(候補)未定未定未定(イラン)未定未定(イランorSakhalinⅡ)未定未定(豪州・Gorgon)(豪州・Gorgon)未定インドネシア・Tangguh(SPA/FOB)未定豪州・北西大陸棚(NWS)(SPA/FOB)未定未定400受入能力(万t/y)当初増強後200300600200300300300350300300600600300500300?500260250370200未定4,730500あり6203006,370建設地事業主体稼働開始200820122010201020102008未定20082008200920152007201020062012未定遼寧Ⅰ(大連新港)遼寧Ⅱ(営口市)河北(唐山市、曹妃甸)河北Ⅱ(秦皇島港)天津(天津市)山東(青島市)江蘇Ⅱ(塩城)江蘇Ⅰ(如東、洋口港)上海(小洋山)浙江Ⅰ(寧波市)浙江Ⅱ(温州市)福建(広東Ⅱ(汕頭市)・大鵬湾)広東Ⅰ(深海南(海口市、八所港)広西(3候補地)州湾)合計PetroChinaCNOOCPetroChinaCNOOCCNOOCSinopecCNOOCPetroChinaCNOOCCNOOCCNOOCCNOOCCNOOCCNOOCCNOOCCNPC①② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯合、2015年時点で何万トン/年の低発熱量LNGが必要になるのだろうか。北米西海岸では、供給源を既に決定しているメキシコ太平洋岸のCostaAzul基地を除き、3基地が成立するとして1,500万トン/年と仮定する。中国は2015年時点で6,370万トン/年となる基地計画が浮上(表12)しており、供給源を決定している広東と福建LNG基地を除き、残りの約半数2,900万トン/年が成立すると仮定する。これらの約4,400万トン/年が、低発熱量LNGマーケットとして出現することが予想される。これに対して新規の低発熱量LNG供給源は限られており、NWS第5トレイン、Gorgon、Camiseaの3プロジェクト(合計1,870万トン/年)しかない。そのため、中東において石油化学産業用として液体成分を抽出して低発熱量LNGを生産するなど、高発熱量LNGプロジェクトの一部は低発熱量LNGとして、アジア太平洋マーケットへ供給される必要が生じる。しかし、日本、韓国、台湾の高発熱量LNG輸入国への影響は小さいと考えられる。これに対して、北米、中国マーケットがやや発熱量の高いLNGも許容し受け入れるようになると、高発熱量LNGプロジェクトは、日本、韓国、台湾以外への供給ルートができ、マーケティングが容易になると考えられる。したがって、これらの国々のガス要求品質の動向が、需要想定、価格動向、液体成分価格、液体成分需要などとともに重要な要素になってくる。一方、大西洋マーケットでは、約7,000万トン/年ほどの低発熱量LNGプロジェクトが計画されており、全体の2/3ほどを占めている。中東地域も含めれば、高発熱量LNGプロジェクトが同程度計画されており、これらは欧州のフランス、スペイン、ポルトガルなどを目指すことになるが、米国、メキシコ、英国などの低発熱量LNGマーケットの拡大を考慮すると、やはり、低発熱量LNGプロジェクトが不足気味の感がある。したがって、西アフリカの高発熱量LNGプロジェクト、ナイジェリア、アンゴラなどは、低発熱量への転換を迫られる可能性がある。実際に転換をしなければならないか否かは、売主側と買主側間の交渉によるが、既にナイジェリアの第6系列では、液体成分を抜き取る装置を設ける予定である。したがって、売主側は抜き取られた液体成分のマーケティングが必要となってくることも起きるであろう。同様に、中東のカタールも、低発熱量への転換設備を備えるようであるが、こちらは液体成分の販路は確保されており、問題は少ないであろう。ただし、低発熱量LNGの巨大消費国と目されている米国では、発熱量基準に取り組むガスの互換性に関する白書の行方という不確実性とともに、住民反対運動を背負いながらどの程度のLNG受入能力を拡大できるのかという不確実性が控えており、売主たちはこれらの動きを見ながら、最適な発熱量の設定をしていくことになるであろう。29石油・天然ガスレビュー.まとめ米国のガスの互換性に関する白書に端を発した、低発熱量LNG規格の制定への動きが、グローバルLNGマーケットの形成時期と重なって、全LNGプロジェクトが低発熱量へ向かうべきであるかのようなメッセージに受け取る人も多い。しかし、上述のように、高発熱量LNGプロジェクトから低発熱量へのスイッチングコストは大きく、高発熱量LNGプロジェクトの事業者は高発熱量のマーケットを目指すことが経済原則にのっとっており、全世界のLNGプロジェクトの事業者が低発熱量LNGの生産を目指すという可能性は低いといえるだろう。ただ、米国内の低発熱量ガス基準の規格化の行方、米国LNG基地の成立数、中国マーケットの要求熱量とLNG基地成立数、今後の米国・中東での液体成分を原料とした石油化学製品の需要と価格、LNG価格動向、液化プロジェクトでの仕上がりコスト、今後のLNGフレート価格など、様々な不確定要因があり、LNG上流開発事業者たちは最適発熱量の決定に際してはこれら複数のファクターに注目していかなければならない。同時に、今後は発熱量を安価に下方調整する技術、すなわち、上流側/下流側での液体成分の抽出技術、窒素/空気注入によるガス発熱量の希釈技術、LNG貯蔵内混合による熱量調整のための複数ソースのLNGを同一タンクに貯蔵する異種LNG混合貯蔵技術*17の重要性はますます高まり、さらなる性能向上へ向けた技術革新や設備コストの低減が求められていくものと考えられる。というのも、マーケットの不確実性アナリシスを反映して、各買主は、必要数量全量を長期契約で確保しないため、スポットLNG量が増大していく傾向にあり、またLNG船の大型化によるフレートコストの低減からグローバルマーケットの形成へ向けて動いている中で、様々な生産地のLNGが様々なマーケットへ届けられるケースが増加していくからである。このような状況の中で、発熱量を安価に下方調整する技術の重要性は、加速されるものと考えられる。したがって、アジア太平洋地域の上流開発事業者にとっては、これらの発熱量に関連する不確定要因・切替技術の動向にもたえず注意を払うとともに、それらを折り込んだ高度なフレキシビリティを確保しマーケティングを進めていくことが、勝者となる道になるはずである。*17:発熱量の高いLNGと低いLNGを同一のタンクに貯蔵する場合、発熱量の低いLNGは比重が小さいため上方へ、高いLNGは下方へ移動して、異種LNGによる層状化が生じてしまう。そして、ある瞬間に急激に層が反転し、大量のBOGが発生するロールオーバー現象が起きる。これを防ぐための操業・運転監視技術は、長期間LNGをハンドリングしてきた下流の企業(特に東京ガス、GdFなど)が世界トップレベルのノウハウを有している。2005.9. Vol.39 No.530g熱”能く、LNG市場を制す ?グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題?参考文献1. 天然ガスプロジェクトの軌跡 平成2年3月 東京ガス株式会社2. 都市ガス工業概要Ⅰ(実務編)3. 都市ガス工業概要(製造編)[平成15年改訂版] 社団法人日本ガス協会4. ガス事業便覧 平成16年版 社団法人日本ガス協会5. 諸外国におけるガス品質(熱量等)管理について 2005年7月 日本エネルギー経済研究所6. Initial Statement of Reasons Proposed Amendments to the Alternative Fuels for Motor Vehicle Regulations, California Air社団法人日本ガス協会Resources Board, December 21, 20017. Natural Gas Interchangeability and Non-Combustion End Use, Natural Gas Supply Association, February 28, 20058. Liquid Hydrocarbon Drop Out in Natural Gas Infrastructure, Natural Gas Supply Association, February 28, 20059. California Code of Regulations10. California Air Resources Board, California Alternative Fuels For Motor Vehicle Regulations CNG-LPG, Appendix D: Methane§2292.5. Specifications for Compressed Natural GasNumber and Fuel Composition, Appendix E: CNG Engine Performance11.Summary of the Joint Workshop on Natural Gas Quality Standards, California Energy Commission/California Public UtilitiesCommission, February 17-18, 200512.Industry Urges FERC to Address Gas Quality and Interchangeability in Pipeline Tariffs, Foster Natural Gas Report, No.2535, April7, 200513.Utilities, Producers, End Users Caution FERC Not to Take the Producers’Consensus Characterization of Gas Quality andInterchangeability Guidelines too Seriously, Foster Natural Gas Report, No.2544, June 9, 200514.LNG is Coming Home, Advantica, GASTECH200515.LNG規格戦争 ガスエネルギー新聞 2005年3月23日/4月1日16.新エネルギー海外情報01-3号、NEDO17.Getting There From Here-Regulatory Issues in Siting New LNG Terminal, Federal Energy Regulatory Commission, GASTECH200518.Gas-quality debate heats up as more US LNG imports loom, Oil & Gas Journal, June 14, 200419.Uncertainty about gas quality could delay US LNG imports, Oil & Gas Journal, September 20, 200420.NGSA backs tariffs for gas quality, interchangeability, Oil & Gas Journal, April 4, 200521.天然ガス新世紀 森島 宏 著 2003年4月22.石油・天然ガスレビュー 2005年3月 LNGビジネスの本質を理解するための液化プラント必須知識?誰にもわかる液化原理から最新技術まで?23.中国の石油産業と石油化学工業 (株)東西貿易通信社24.世界の石油化学製品の今後の需給動向について 平成17年5月17日 経済産業省製造産業局化学課25.Oil & Gas Journal, Differing market quality specs challenge LNG producers, October 11, 200426.Pipeline & Gas Journal, Gas ‘interchangeability’and its effects on U.S. import plans, August 200327.Innovative Gas Processing with Various LNG Sources, LNG Journal, February 200528.Simultaneous Production of LNG and NGL, Technip, LNG14, March 200329.LNG Quality and Market Flexibility, LNG14, March 200330.Achieving product specifications for ethane through to propane plus from NGL fractionation plants, Foster Wheeler, GASTECH2005著者紹介東京都出身。東京大学工学部卒。技術士(総合技術監理部門および建設部門)。専門はLNG技術。これまで国内外のLNG基地のFS、FEED、設計・建設・コンサルティングおよびLNG関連技術開発に従事。2004年4月より現職。海外駐在は、韓国。31石油・天然ガスレビュー
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2005/09/20 [ 2005年09月号 ] 宮崎 信一
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