ページ番号1006182 更新日 平成30年3月5日

中小天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ~新しい開発手段の特徴と可能性について:試論~

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レポートID 1006182
作成日 2005-09-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 鈴木 信市
年度 2005
Vol 39
No 5
ページ数
抽出データ アナリシスJOGMEC 石油・天然ガス調査グループsuzuki-shinichi@jogmec.go.jp鈴木 信市中小天然ガス田マネタイゼーションの新展開?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?1.はじめに上流事業者にとっては周知のことであるが、同じ炭化水素資源であるにもかかわらず、油田開発とガス田開発の困難度は大きく異なっている。油田開発からの生産物である原油は、液体であり、輸送しやすく、インターナショナルなマーケットが確立されているので、上流事業者は、リーズナブルなコストで原油を生産することに専心すればよい。一方、ガス田開発からの生産物である天然ガスは、気体であり、輸送コストが高いこと、利用に際しては利用インフラが整備されている必要があること(すなわち、どこにでも・誰にでも販売できる製品ではない)ことから、上流事業者は、油田開発の場合と異なり、ガス田を開発する前に上流から特定マーケットまでのチェーンの確立をする必要がある。このような背景から、上流事業者にとっては、原油は国際商品として認識されているが、天然ガスは、LNGや国際パイプラインを使って輸送できるほどの埋蔵量・地理的/地勢的条件がある場合を除き、ローカルマーケットへの製品として認識されている。ガス田近傍にローカルマーケットがない場合や埋蔵量・地理的/地勢的条件がLNGや国際パイプラインで開発できる条件を満たさない場合、これらのガス田はStrandedガス田といわれ、発見されてもお金を生み出さないガス田として放置されることとなる。最近、このように制限された天然ガス開発手段のオプションを多様化し、開発可能性を高める目的で、従来のパイプライン、LNGという開発輸送手段に加えて、新規開発手段として、FLNG(FloatingLNG)、CNG(Compressed NaturalGas)、ハイドレート輸送、GTL(Gas ToLiquids)、DME(DiMethyl Ether)、MTO/MTP(Methanol To Olefin/Methanol ToPropylene)等という技術が、開発あるいは研究されている。これらの技術に関しては、個別的には、どのような領域・条件において適用可能性があるか、漠然と認識されている。しかしながら、天然ガス田開発技術全体の枠組みの中でのおのおのの技術の位置づけや、他技術との比較した場合の適用条件の相違に関しては、それほど明確には理解されていない。本検討は、このような問題意識から、これらの従来型および非従来型の天然ガス開発手段の特徴を整理し、適用のための制約条件や最適条件を明確にすることを目的として実施したものである。本調査は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構が平成16年度にGaffney,Cline & Associatesに委託した調査「AComparison of Natural Gas FieldTechnologies」を素材に、機構の石油・天然ガス調査グループにて独自の調査・検討を加えたものである。本稿では、まず、天然ガス田開発手段を概観し、次に、経済性、技術・市場リスクの検討を行い、最後に、それぞれの開発オプションの特徴を述べる。開発技術の特徴を明確化するためには、先に記したように開発技術の「比較」を行わなければならない。ところが、本調査が対象とした開発技術は成熟レベルが大きく異なっている。このような異なる成熟レベルの技術を強引に比較するにあたっては、議論の余地のある多くの仮定を入れざるを得なかった。したがって、本検討は、今後改良すべき余地を多く残し、将来的に修正される可能性のある「試論」となっている。2.種々の天然ガス開発技術ガス田が油田に比べて開発が困難な理由は、「1.はじめに」の項目で述べたように、天然ガスの単位体積当たりのエネルギー密度が低く、効率的な輸送が困難であること、気体エネルギーであるため利用インフラ整備にコストがかかることによる。天然ガスを市場にアクセスするには、輸送コストを抑えるため、天然ガスのエネルギー密度を高める必要がある。天然ガスのエネルギー密度を高める方法としては、図1に示すように、物理転換、化学転換、電力転換という3つの方法が存在する。物理転換に属する技術は、パイプライン、CNG、LNG、FLNG、ハイドレートである。45石油・天然ガスレビューアれらの技術における市場での製品は天然ガスである。化学転換に属する技術は、アンモニア・尿素、メタノール、GTL、DME、MTO/MTPである。これらの技術における市場での製品は、天然ガス以外のものとなる。また、電力利用形態 利用形態 輸送媒体 輸送媒体 輸送媒体 輸送媒体 利用形態 利用形態 利用形態 パイプライン 高圧 天然ガス GTL(灯軽油等) 輸送用燃料 電気 熱 減圧減圧 減圧 CNG加圧加圧 加圧 MTO/MTPオレフィン メタノール 化学原料 天然ガス 合成ガス DME冷却冷却 冷却 加温加温 加温 LNG(陸上・FLNG) 減圧減圧 減圧 加温加温 加温 ガス ハイドレート 加圧加圧 加圧 冷却冷却 冷却 GTWアンモニア 尿素 発電 電気 図1熱 肥料 電気 アナリシス転換に属する技術には、GTW(GasTo Wire)がある。市場での製品は、当然、電力である。これらの技術が、天然ガス開発手段となる。ここでは、今後、これらの天然ガス開発手段を天然ガス開発技術と呼ぶことにする。本稿で検討した天然ガス開発技術は、パイプライン、CNG、LNG、FLNG、ハイドレート、アンモニア・尿素、メタノール、GTL、DME、MTO/MTP、GTWの11の技術である。これらの技術を、技術の新規性で分類すると、次のようになる。すなわち、従来型の技術は、パイプライン、LNG、アンモニア・尿素、メタノール、GTWであり、非従来型の技術は、CNG、FLNG、ハイドレート、GTL、DME、MTO/MTPである。3.各天然ガス開発技術の内容読者にとって、検討対象の11の天然ガス開発技術は、周知の技術もあれば、そうでないものもあろう。ここでは、検討を行ったそれぞれの天然ガス開発技術の内容を、簡単に以下に記す。本検討の目的は、個別的かつ具体的な天然ガス開発技術の詳細を検討することでなく、包括的かつ概念的な天然ガス開発技術の比較により、個々の技術の特徴を明確にすることであることから、個々の技術の詳細な説明には立ち入らないこととする。①パイプライン天然ガスを昇圧してパイプラインで輸送する技術である。実用化されている技術である。天然ガス開発技術としては、最も一般的であり、世界中で広く実施されている。世界の天然ガス生産量の約95%はパイプラインで輸送され利用されており、天然ガス田開発のファーストチョイスの技術となっている。②LNGLNGプラントにて、天然ガスを冷却し約?160℃の低温の液体にする(LNG化する)ことにより、体積を気体状態の約1/600にして特殊船にて輸送する技術で、実用化されている技術である。市場から遠隔地にある大規模ガス田を中心に、世界中で広く実施されている。LNGプラント・LNG船規模は様々であるが、最近、スケールメリットを追及したプラントの大型化(1,000万トン/年・トレイン規模)、輸送船の大型化(250,000裙/隻)が計画・検討されている。③FLNG陸から遠い海洋ガス田開発のために、バージ等に搭載したLNGプラントにて、洋上で天然ガスをLNG化して輸送する技術である。技術的な問題、すなわち、限定された空間における各種設備のコンパクトな配置、船舶動揺に対するプラントの安定操業、災害時の安全性、オフローディングシステム等の問題に関しては、おおむね解決されているといわれる。しかしながら、本技術は、まだ実用化されていない。陸上LNGプラントに比べて、ガス田からプラントまでのパイプライン等のインフラ・コストが低減できること、プラントを設置する地盤改良が不要であること、暴動等の影響を受けにくいこと等により、特定の条件下では、陸上プラントに比べてメリットがあるといわれている。Shell等がFLNGを用いた商業プロジェクトを検討・計画している。④CNG天然ガスをコンプレッサーにより90?200気圧程度に圧縮して、耐圧容器を搭載した特殊なCNG船にローディングして搬送し、受入基地でオフローディングする技術である。現在、いくつかの技術開発企業が異なるコンセプトのCNG船を提案しており、有力な5つの技術が存在する。この中で、2つの技術は、実用化に2005.9. Vol.39 No.546?ャ天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?必須の条件である船舶の国際認証機関の認証を既に受けている。技術的には、いかに大量に天然ガスを輸送できる安価なCNG船を作るかが鍵を握る。言い換えれば、船舶にコンパクトに収納でき、高圧に耐えられる強くて軽い安価なタンクと船速の高速化が技術開発の焦点となる。商業プロジェクトはまだ存在しないが、現在、カナダ?米国間、インドネシア?フィリピン間、パプアニューギニア?ニュージーランド間等でのCNGプロジェクトのFSが実施されている。⑤ハイドレート輸送天然ガスをハイドレート化(水分子がつくるケージの中にメタンなどの分子を貯蔵)して、固体のハイドレートをハイドレート船で輸送し、受入基地で再ガス化して天然ガスに戻す技術である。天然ガスは、ハイドレート化することにより、理想状態では約1/170の体積となり、常圧では約?20℃の温度を保持できるハイドレート船で輸送できる。LNGに比べて、プラント・輸送船・受入基地のコストが低減できるとして、現在、日本を中心に、ハイドレート化、輸送船、再ガス化に関する研究開発が実施されている。⑥アンモニア・尿素天然ガス改質水素と空気中の窒素をアンモニア合成法でアンモニアに転換する技術である。さらに、アンモニアはアンモニア合成で副生するCO2を用いて尿素に転換される。アンモニアは液体で強い毒性があるが、尿素に転換すると固体となり取り扱いやすくなる。アンモニア、尿素とも、主として、植物に窒素分を補うための肥料として利用される。アンモニア製造技術、尿素製造技術ともに、古くからの技術で、実用化されている技術である。⑦メタノール天然ガスを合成ガス(H2とCOの混合ガス)に転換して、メタノール合成法にて輸送コストを安価にできる液体であるメタノールに転換する技術である。メタノールは、主として化学原料として用いられる。メタノール製造技術は、いくつかの技術開発会社が異なるプロセスをライセンスしている技術であり、実用化されている技術である。長らく、1トレインの最大規模は2,500トン/日であったが、最近、5,000トン/日規模のプラントが稼動している。スケールメリットを追求することによるメタノール製造コストの低減を目指して、さらなる大型プラントが検討され、計画されている。また、メタノール需要を拡大するため、燃料用用途開拓や、後述するDME、MTP/MTOの原料としての利用が検討されている。プレー噴射剤用として、メタノール合成経由の小規模なプラントが稼動している。また、最近、中国で燃料用として、メタノール合成経由の小規模なプラント(30?300トン/日程度)が稼動しており、また、同国において、同等規模の多くの小規模プラント建設計画もある。間接法の技術は、メタノール合成プラントに脱水プラントを組み合わせたものである。技術的な問題は、メタノールに関しては前述の通りである。メタノールの脱水プラントは既に実用技術であり、スケールアップに関しても、特に問題はない。直接法に関しては、我が国のJFEにより、DME合成プラント100トン/日のデモンストレーション実験が実施されている。また、発電、自動車、燃料電池等への利用を目的とする多くの利用技術研究が実施されている。⑧GTL⑩MTO/MTP天然ガスを合成ガスに転換して、FT(Fischer-Tropsch)合成法にて液体であるナフサ、灯軽油等に転換する技術である。現在、世界で3カ所のGTLプラントが稼動している。また、カタールにおいて、南アフリカの合成燃料製造会社であるSasolが2006年生産開始を目指して、GTLプラントを建設中である。連産品であるGTL製品のうち、ナフサ留分は化学原料、軽油留分は自動車燃料としての利用が見込まれている。現在、Chevron(Sasol)、Shell等が商業プロジェクトを計画している。また、コスト低減等の観点から、種々の機関で研究開発が実施されている。⑨DME天然ガスを合成ガスに転換して、メタノール合成経由(間接法)か、もしくは一段で(直接法)、常温・数気圧で液化するDMEというエーテルに転換する技術である。現在、ス天然ガスからメタノールを製造し、メタノールをMTO/MTPプロセスにて、主としてオレフィンに転換する技術である。米国の化学技術会社であるUOPが開発している技術をMTOプロセス(製品は主としてエチレン、プロピレン)、ドイツの化学技術会社であるLurgiが開発している技術をMTPプロセス(製品は、主として、プロピレン)という。両技術とも、デモンストレーションプラント研究の段階を終了し、商業プラント計画の交渉段階である。本技術が注目されてきたのは、オレフィン(特にプロピレン)需給のタイト化にある。背景には、オレフィン原料のナフサ価格の高騰、中東諸国を中心とするガス田の、エタンからのエチレン製造・輸出プロジェクトによるオレフィン供給のアンバランス化(すなわち、エチレン供給が多く、プロピレン供給が少ない)、中国を中心とするオレフィン需要の急増が47石油・天然ガスレビューAナリシスある。⑪GTW井戸元で天然ガスを燃料としたCCGT(Combined Cycle Gas Turbine)発電を行い、直交変換し、高圧直流(High Voltage Direct Current)輸送し、需要地で再度、直交変換して交流に戻し電力供給する技術である。CCGTもHVDCも既存の技術である。この技術は、高圧輸送時の電力ロスが、交流電流に比べて直流電流は少ないことを利用したものである。インバーター用半導体コストの低下が高圧直流輸送の経済性を高めた。今後は、さらなる高圧化送電技術の開発が技術的課題である。GTWシステムは、市場にパイプラインでガスを輸送し、市場で発電するシステムと直接的に競合する。需要地が電力のみを必要とする場合や競合システムの経済性が低い場合(すなわち、天然ガス輸送量が少ない時に単位輸送量当たりのパイプライン敷設コストが高くなる場合)に、適用可能性がある、といわれる。GTWはアフリカ等で実用化されている。また、現在、アマゾン地域を始め、いくつかの地域を対象としてFSが実施されている。4.天然ガス開発技術の比較分析前述した11の天然ガス開発技術の特徴、適用最適条件・限界条件を明確にするために、以下の分析を行った。すなわち、それぞれの開発技術に関して、・経済的に開発できるガス田規模を市場までの輸送距離との関係で示すこと・さらに、標準的なプラント規模、標準的な製品価格を所与として、上流側における経済的なメリットの相違を、市場までの輸送距離の関係で示すこと・熱効率を示すこと・技術リスクおよび市場リスクを示すことである。このうち、上の2つの課題は、経済性の検討により実施した。以下に、経済性の検討、その結果、熱効率、技術リスク・市場リスクの順で記すこととする。盧経済性の検討本調査の目的に鑑み、特定エリアや特定条件下での経済性検討は行わず、より一般化した条件での経済検討を行った。それぞれの開発技術の現時点での技術レベルは様々である。また、天然ガスを他のものに変換して消費者に供給するまでのシステムの概念も、技術により異なっている。したがって、同一の土俵で異なる技術レベル、異なるシステム概念の技術を比較することにはかなり無理がある。しかしながら、ここでは、異なる技術をガス開発手段として一つのテーブルで比較することに本スタディーの眼目があることから、あえて、近未来(5年後程度)のガス田開発のオプションを検討するために、比較することとした。以下に、検討の前提条件を、検討範囲、検討事象、経済性パラメータ、CAPEX・OPEXの取り扱い、の順でまとめる。秬検討範囲次の事業対象範囲を持つ天然ガス田開発事業者の事業の経済性を求めた。事業対象範囲は、それぞれの開発技術(ここでは、転換する部分をプラント、輸送する部分を輸送手段と称する)を実行する事業者が、プラント・インレットで精製された天然ガスを受け入れ、転換し、輸送し、受入基地出口で製品を販売するまでである。それぞれの技術の具体的なシステムの範囲は、表1の通りである。秡検討事象先に記したように、経済検討は、次の2つの事象の検討を行った。より具体的にいえば、次の通りである。・1つは、プラント・インレットでのガス価格と受入基地出口での製品の販売価格を与え、事業者の税引き後IRRが10%以上となるプラント規模(すなわち必要ガス埋蔵量)と輸送距離を求めた。・いま1つは、標準プラント規模を設定し・受入基地出口での製品の販売価格を与えて、事業者の税引き後IRRが10%となる場合の天然ガス・ネットバックコストを求めた。秣経済性パラメータ・基本パラメータ経済性検討の基本パラメータは、表2の通りとした。すなわち、主要な基本パラメータに関しては、プラント建設地は、アメリカのメキシコ湾岸、生産開始は2009?10年、生産期間は25年である。・プラント規模各開発技術のプラントの規模は、それぞれの技術における実績やベンダー情報を基に、基本的には最近のシングルトレインの世界標準規模をベースケースの規模として設定した。設定した世界標準規模を表3に示す。ここで、シングルトレインとは、プロセスが文字通りシングルトレインであるか、プロセスが現2005.9. Vol.39 No.548「て検討することとした。・製品価格製品価格はすべて、ブレント原油と各製品の過去の相関等による推算式から算出した。ベースケースの製品価格は、ブレント原油20ドル/バレルの時の製品価格とした。稈CAPEX・OPEXの取扱い・技術レベルの相違の取り扱い技術レベルの異なる開発技術のCAPEX、OPEXを次のように設定した。すなわち、従来型の技術に関しては、商業実績データを基に一般化した数値を出した。非従来型の技術に関しては、ベンダーの情報を基に技術の成熟度によりアローワンスを加味して推算した。・システム概念の相違の取り扱い開発技術には、システム概念の相違が存在する。検討したシステムは、すべて、精製された天然ガスを受け入れ、転換し、輸送し、消費地で受け入れる、というものである。しかしながら、プロジェクトの事業者が、輸送手段あるいは受入基地を持つか、プロジェクト外の資産を利用するかは、開発技術により異なっている。輸送手段、受入基地に関して、プロジェクト側に属するか、属さないかにより、これらの費用の費用の取り扱いを表4のようにした。すなわち、プラント?輸送?受入基地という一連のバリューチェーンにおいて、輸送手段がチャーターベースでなく、プロジェクト側の所有となるもの(パイプライン、LNG、FLNG、CNG、ハイドレート、GTW)、特別な受入基地を必要とするもの(LNG、FLNG、CNG、ハイドレート)に関しては、事業者側の実にはマルチトレインでできていてもインテグレーションによりシングルトレインと同等に適用なり、スケールアップなりできるものを表す。また、シングルトレイン(あるいは、同様の概念)で適用できる上限規模を同じく表3に示す。これ以上の規模になると、トレインを並列で置く必要がでてくる。・経済性検討対象技術検討対象となっている11の技術のうち、DMEには直接法と間接法、MTO/MTPはMTOとMTPの2つの技術である。本調査のような概括的な経済検討レベルでは、両DMEプロセス、MTOとMTPプロセスに関しては、経済性に決定的な相違が無いと考えられることから、DMEに関しては間接法、MTO/MTPに関してはMTPにつ表1天然ガス田開発システム 検討範囲パイプライン、昇圧装置LNGプラント?出荷施設?LNG船?LNG受入施設LNGプラント/出荷設備を持つバージ等の洋上施設?LNG船?LNG受入施設出荷施設(コンプレッサー・ローディング)?CNG船?受入施設(アンローディング)ハイドレート製造施設?出荷施設(ローディング)?ハイドレート船?受入施設(アンローディング・再ガス化設備)アンモニア製造プラント?製品タンカーアンモニア製造プラント?尿素製造プラント?製品タンカー(チャーターベース)メタノール製造プラント?製品タンカー(チャーターベース)GTL製造プラント?製品タンカー(チャーターベース)メタノール製造プラント?脱水プラント?製品タンカー(チャーターベース)、またはDME製造プラント?製品タンカー(チャーターベース)メタノール製造プラント?MTO/MTP製造プラント?製品タンカー(チャーターベース)CCGT(Combined Cycle Gas Turbine)?直交変換機?高圧直流(High Voltage Direct)送電線?直交変換機パイプラインLNGFLNGCNGハイドレートアンモニア・尿素メタノールGTLDMEMTO/MTP物理転換化学転換電力転換GTW分類技術検討システム範囲(注)処理済の天然ガスがプラントに供給されることが前提表2前提とした経済性パラメータ建設場所米国メキシコ湾岸(United States Gulf Coast)プラント操業期間(年)減価償却期間(年)初年度償却割合(%)次年度以降償却割合(%)所得税(%)タックスホリディー(年)欠損金繰越期間(年)建設期間(年)投資金額配分:1年, 2年, 3年(%)49石油・天然ガスレビュー2513107.530010330, 50, 20中小天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?Aナリシス利用であることから、FLNGと同様のことがいえよう。・スケールアップ/スケールダウン標準ケースからの拡大・縮小した規模のCAPEX、OPEXに関しては、商業プラントがあるものは、実績からプラント規模とCAPEX、OPEXの関係を算出し、推算した。また、商業プラントの実績のないものは、類似プロセスから規模とCAPEX・OPEXの関係を推定し、推算した。盪経済性の検討結果秬各開発技術の天然ガス必要量と市場までの輸送距離の関係各開発技術における天然ガス必要量(天然ガス埋蔵量)と市場までの輸送距離の関係を図2に示す。図2は、その技術を用いてガス田を開発する事業者がプラント・インレットにて0.5ドル/百万Btuの天然ガスを受け、ベースケースの製品価格で販売した場合に、税引き後ROIが10%以上の利益を確保できる市場までの距離と天然ガス必要量を示している。ここで、適用領域を示す範囲の図が封筒に似ていることからエンベロープということにしよう。エンベロープの大きさは、技術の適用範囲を表している。すなわち、エンベロープが大きいほど広い適用範囲を持つ技術となる。各開発技術のエンベロープの上限は、一般的には、シングルトレインのプラントの最大規模をあらわす。注意すべきは、エンベロープの上限以上のガスは当該技術適用の経済性がないことを意味していないことである。すなわち、各開発技術に関して、エンベロープの上限以上のガス量のガス田はマルチトレイン化して開発する。マルチトレイン化の場合には、ここで前提と2005.9. Vol.39 No.550表3世界標準規模とシングルトレイン上限世界標準規模シングルトレイン上限規模プラントガス埋蔵量(Tcf)プラントガス埋蔵量(Tcf)500億cf/年(1億5,000万cf/日)1,500億cf/年(4億5,000万cf/日)5,000億cf/年(15億cf/日)800万トン/年(12億cf/日)500万トン/年(7億5,000万cf/日)4億cf/日4億cf/日2,200トン/日4,000トン/日5,000トン/日7万バレル/日310万トン/年1,600トン/日(プロピレン)300万kW1.253.7512.510.586.63.843.650.50.51.45.432.71.43.76500億cf/年(1億5,000万cf/日)1,500億cf/年(4億5,000万cf/日)5,000億cf/年(15億cf/日)800万トン/年(12億cf/日)500万トン/年(7億5,000万cf/日)6億cf/日4億cf/日2,200トン/日4,000トン/日1万トン/日8万バレル/日310万トン/年3,200トン/日(プロピレン)300万kW1.253.7512.510.586.65.763.650.50.52.76.212.72.73.76技術パイプライン小中大LNGFLNGCNGハイドレートアンモニア尿素メタノールGTLDME(間接法)分類物理転換化学転換MTP電力転換GTWFLNGに関しては、バージや船の上にあるLNGプラントのインレットに精製されたガスを受け入れる、というベースで経済計算を行っている。FLNGは洋上ガス田の近傍に設置することにより、ガス田からプラントまでのパイプライン等の上流インフラコストを低減するというメリットがある。したがって、他技術との比較という観点からFLNGを評価する場合、プラント・インレットでのガス価を安価にする等により上流ガス開発コストのメリットを勘案すべきであろう。しかしながら、本検討では、そのような操作は行っていない。したがって、本検討においては、他技術との比較上FLNGを「厳しく」評価している、と考えられる。CNGも、基本コンセプトは洋上プラント表4各システムの取り扱い範囲分類技術輸送手段のCAPEX化受入基地のCAPEX化×○○○○××××××○○○○○×××××○パイプラインLNGFLNGCNGハイドレートアンモニア・尿素メタノールGTLDMEMTO/MTPGTW物理転換化学転換電力転換CAPEXに、プラントコストに追加して輸送手段・受入基地コストを含めた。逆にいえば、それ以外の場合はチャーター船ベースの輸送、一般的な受入基地の場合であり、OPEXで取り扱った。ipelineFLNGCNGGTWLNGGTLMethanolDMEMTPUrea2,0004,0006,0008,00012,000Distance to Market, km10,00014,00016,00018,00020,00012 10 8 6 Reserves, Tcf4 2 00(注)原料ガス価:0.5米ドル/百万Btu、製品価格:原油20米ドル/バレルの時の相関製品価格システム経済性:税引き後ROI=10%以上図2天然ガス必要量vs輸送距離範囲で、他の物理転換プロセスに比べて、特異的な適用範囲を持つ。・FLNGは、上流開発コストのメリットを勘案すれば、ここに示したものより、より広い適用範囲を持つ。なお、ハイドレートは、転換・輸送・受け入れのすべての要素技術が新規技術であり、実証もされていないことからベンダー情報のCAPEXに技術の実証レベルに応じた大きなアローワンスを考慮したため、トータルのCAPEXが大きくなり、本検討においては、経済性を有する条件を見出すことができなかった。今後の研究開発の進展が待たれる。また、CNGのエンベロープの形が他のものと異なっている理由は、CNGでは船が、システム的にもコスト的にも根幹をなしており、最低1隻、3億cfのCNG船がフルに利用されることをミニマムな規模としたことによる。もし、3億cf以下のCNG船の利用がリーズナブルという仮定をすれば、エンベロープの形状は、他のプロジェクトのものにより近くなる。秡各開発技術の天然ガス・ネットバックコストと市場までの輸送距離の関係次に、各開発技術における市場までの輸送距離に対する天然ガス・ネットバックコストを図3に示す。図3は、事業者が、それぞれの技術において、ベースケースの規模を持つプラントにて製品をベースケース価格で販売した時に、税引き後ROIが10%を確保した時の天然ガスのネットバック価格を表す。天然ガスのネットバック価格の高さは、利益の大きい技術であること、あるいは、天然ガスの価格が高くても利益が確保できる技術であることを示している。また、傾きがゆるいのは、輸送距離の経済性に与える影響が小さいことを表している。図3より、以下のことが分かる。・メタノールは、短?長距離の広した経済性の前提条件が変わってしまう。このことを単純にいえば、マルチトレイン化は、本論で提示したエンベロープの形を変化させると考えられる。図2より、以下のことが分かる。・広い埋蔵量範囲をカバーしている開発技術は、パイプラインとLNGである。・広い距離範囲をカバーしている開発技術は、LNG、メタノール、GTL、MTPである。・3Tcf以下の比較的小規模なガス田では、パイプライン、LNG、CNG、尿素、メタノール、DME、MTP、GTWが適用できる。この中で、市場まで10,000km以上の長距離であっても、メタノール、MTPは有効な開発手段である。・3?8Tcfの中規模なガス田では、パイプライン、FLNG、CNG、GTLが適用できる。この中で、市場まで10,000km以上の長距離であっても、GTLは有効な開発手段である。また、3Tcf以下のガス田で適用可能であったメタノール、DME、MTP等の化学転換プラントやGTWはマルチトレイン化が必要である。・8Tcf以上の大規模なガス田では、パイプランとLNGが適用できる。この中で、市場まで10,000km以上の長距離であっても、LNGは有効な開発手段である。また、8Tcf以下のガス田で適用可能であった開発技術は、マルチトレイン化が必要である。・パイプライン、LNG、FLNG、CNGという物理転換プロセスの中で技術を比較すると、CNGは、1,000?4,000kmの範囲、かつ天然ガス量1?2Tcfの中小天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?51石油・天然ガスレビューAナリシス比較すると、2,000kmまではパイプラインが、2,000km以上ではCNGが経済的に有利・市場での製品・ガス処理量が異なることを念頭において、LNGと化学転換プロセスとを比較すると、?GTLとLNGを比較すると、13,000kmを境に、それ以下ではLNGが、それ以上ではGTLが、経済的に有利。しかし、11,000km以上では、GTLのネットバックガス価格が0.5ドル/百万Btuを切ってしまう。?GTLとDMEを比較すると、10,000kmを境に、それ以下ではDMEが、それ以上ではGTLが、経済的に有利・また、距離別で、相対的に比較的高いネットバック(少なくとも0.5ドル/百万Btu以上)を与える技術を上位から4?5つ並べると、次の通りとなる。??3,000kmまでの距離パイプライン、メタノール、LNG、CNG、GTW?3,000?10,000kmまでの距離メタノール、LNG、MTP、尿素、DME?10,000km以上の距離メタノール、MTP、LNG、GTL秣感度分析さらに、図2を検討した条件において、プラント・インレットのガス価格のみを0.5ドル/百万Btuから1.0ドル/百万Btuに変えた場合、CAPEXのみを30%上昇させた場合の埋蔵量と輸送距離の関係をそれぞれ図4、5に示す。図4、5の感度分析により、以下のことが分かる。・原料ガス価が1ドル/百万Btuとしたケース、CAPEXが30%上2005.9. Vol.39 No.552Large PipelineMedium PipelineLNGFLNGCNGAmmoniaUreaMethanolGTLDMEMTPGTW10,00011,000000,9000,8Distance to Market, km12,00013,00014,00015,00016,00017,00018,00019,00020,000000,1000,2000,3000,4000,5000,6000,73.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0Netback Gas Price, U.S.$/Mscf(注)プラント規模:世界標準スケール、製品価格:原油20米ドル/バレルの時の相関製品価格システム経済性:税引き後ROI=10%図3天然ガスネットバック価格vs輸送距離い領域にわたりネットバック価格が高い。・LNGは、短?長距離の広い領域に渡り、比較的高いネットバック価格を与える。LNGは、物理転換プロセスの中で、距離の広い領域に渡り、比較的高いネットバック価格を与える唯一のプロセスである。・GTLのネットバック価格は大きくはないが、輸送距離の増大に伴うネットバック価格の低下は小さいので、長距離では、他の技術に比して、比較的高いネットバック価格となる。・MTPのネットバック価格は、距離の広い領域に渡り比較的高い。・FLNGは、上流開発コストのメリットを勘案すれば、ここに示したものより、より高いネットバック価格を持つ。・物理転換プロセス、すなわち、市場に天然ガスを供給するプロセスを比較すると、?LNG(日量換算ガス輸送量:12億cf/日)と大規模パイプライン(日量換算ガス輸送量:15億cf/日)を比較すると、3,000kmまでは大規模パイプラインが、3,000km以上ではLNGが、経済的に有利?LNG(日量換算ガス輸送量:12億cf/日)とCNG(日量換算ガス輸送量:4億cf/日)を比較すると、2,800kmまではCNGが、2,800km以上ではLNGが、経済的に有利?中規模パイプライン(日量換算ガス輸送量:4億5,000万cf/日)とCNG(日量換算ガス輸送量:4億cf/日)を?ャ天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?PipelineLNGCNGDMEMTPGTWMethanol2,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,00020,000Distance to Market, km12 10 8 6 4 2 00Reserves, Tcf(注)原料ガス価:1.0米ドル/百万Btu、製品価格:原油20米ドル/バレルの時の相関製品価格図4天然ガス必要量vs輸送距離(ガス価格$1.0/MMBTU)PipelineLNGCNGGTWDMEMTPMethanol12 10 8 6 4 2 Reserves, Tcf002,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,00020,000Distance, km(注)原料ガス価:0.5米ドル/百万Btu、製品価格:20米ドル/バレルの時の相関製品価格図5天然ガス必要量vs 輸送距離(CAPEX:30%up)PipelineHydratesCNGFLNGLNGDME(direct synthesis) MethanolAmmoniaGTLMTPGTW(3000 MW) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% Efficiency, %0% 19,00018,00017,00016,00015,00014,00013,00012,00011,00010,00020,0000000000000000000000000000000 ,,,,,,,,,798654321 Distance to Market, km図6各開発技術の熱効率昇したケース、両ケースとも、適用可能なエンベロープの大きさは、小さくなる。・また、両ケースとも、FLNG、尿素、GTLの適用範囲は無くなる。・MTPの場合、ガス価格変動の影響を大きく受ける。これは、MTPの熱効率が55%と、検討した開発技術の中で、最も低いものの1つであるからである。蘯 熱効率産ガス国は、ただ単に自国の天然ガスのマネタイズを事業者に要求するだけでなく、自国のエネルギーの効率的利用を求めてきつつある。また、地球温暖化問題が重要視されてくると、消費国においては、地球温暖化に対する影響度の低いエネルギーを求める傾向が強まる。すなわち、将来的には、熱効率の高い開発技術の選択圧が高まる可能性がある。このような問題意識から、各開発技術の熱効率を求めた。熱効率は、炭素効率と異なり、CO2の排出量の直接的な指標にはならないが、熱効率が低いものは概して炭素効率も低く、CO2排出量が多い。図6に、各技術の輸送距離と熱効率の関係を示す。この場合の熱効率は、プラント・インレットにおける原料・燃料として使われた天然ガスの総熱量を100とした場合の最終製品の総熱量を表している。各技術のうち、輸送するガスによりコンプレッサーを駆動するパイプライン、オフガスを輸送用燃料として用いるLNGやFLNG、電気抵抗のため輸送ロスの発生するGTWは、輸送過程で熱効率が低下することとなり、最終製品の総熱量は低減する。一方、それ以外の技術については、製品はバンカーオイルを用いた輸送船で運搬されることから、最終製品の受入基地での熱量はプラント・アウトレットでの熱量と変わらないため、最終製品53石油・天然ガスレビューAナリシスの総熱量は輸送距離に依存しないこととなる。このような評価方法を採っていることから、ある技術は輸送距離により熱効率が低下するが、ある技術は低下しないこととなる。もちろん、ある仮定を設けて、輸送距離による熱効率低下をすべての技術に反映させる計算のやり方もあるが、ここではそのような方法を取っていない。図6より、以下のことが分かる。・物理転換プロセスは化学転換プロセスより、熱効率の低下は小さい。物理転換プロセスは、おおむね90%以上、化学転換プロセスは55?70%である。・物理転換プロセスの中では、?CNGの熱効率が比較的高い。?パイプラインは、当初の熱効率は比較的高いが、輸送距離に応じて大幅に低下する。?LNGは、当初の熱効率はパイプラインより低いが、輸送距離に応じた熱効率の低下が比較的緩やかなため、3,000km以上ではパイプラインより熱効率が高くなる。?ハイドレートのプラント・アウトレットでの熱効率は比較的低い。・化学転換プロセスの中では、?DME、アンモニアの熱効率が比較的高い。?MTPの熱効率は比較的低い。?本検討概念では、化学転換製品は、バンカーオイルを用いる船で輸送されるため、輸送距離に対する熱効率の低下はない。・GTWは?輸送距離の増大により、熱効率は大幅に低下する。盻 天然ガス開発技術のリスク評価上流事業者が、開発技術を選択する2005.9. Vol.39 No.554パイプライン低LNGFLNGCNGハイドレートアンモニア・尿素低?中中?高中高低メタノール低?中GTLDMEMTO/MTP中中高GTW低?中実用技術実用技術。ただし、800万トン/年・トレインへの拡張には、ある程度のリスクあり商業プラントはない商業的には実証されていない技術。提案されているCNG技術のうちいくつかは、技術的に問題は少ないとの業界における了解あり。物理転換技術であり、化学転換技術よりも問題は少ない現時点では、製造、輸送、再ガス化のチェーン技術に関して、開発途上の技術実用技術実用技術。ただし、トレインサイズの拡張には、ある程度のリスクあり技術のアベイラビリティーに問題がある可能性。すなわち、商業的に実証されている技術は、ライセンス利用が困難メタノール製造技術の応用的・追加的技術。DMEは、現在、主としてアエロゾールプロペラント製造用の小規模なプラントが稼動しており、セミコマーシャルプラントとして実証されている、とみなせる商業的には実証されていない技術。パイロットプラントのみのテスト評価コンバインドサイクルガスタービン(CCGT)発電技術、高圧直流輸送技術ともに実用技術。輸送距離・輸送電圧の増大に伴い、ある程度のリスクあり物理転換化学転換電力転換表5天然ガス開発関連技術 技術リスク分類技 術技術リスク内 容表6天然ガス開発関連技術 市場リスク分類技 術市場リスク内 容物理的に1つの市場に固定される。特定市場の変化による製品の仕向け地変更は不可能。市場リスクは、テイクオアペイ契約で低減できる多くのプロジェクトが計画されており、供給過剰の可能性もあり。特定市場での需要減に際しての製品の仕向け地変更に制約あり。市場リスクは、長期売買契約で低減できるLNGと同じ。ただし、新規技術であるため、契約獲得の困難あり天然ガス市場。市場に実用化されていない特別な受入基地が必要。そのため、需要家は限定される可能性あり天然ガス市場。市場に実用化されていない特別な受入基地が必要。そのため、需要家は限定される可能性あり製品は、世界的に取引される。しかし、世界的な需要成長率は小さい市場規模が小さく供給過剰・それに伴う製品価格下落のリスクあり市場規模と比較した1つのプラントからの製品(ナフサ、灯軽油)生産量は小さい。製品は、世界的に取引される新製品。市場を創る必要あり市場規模と比較した1つのプラントからの製品(オレフィン)生産量は小さい。製品は、世界的に取引される。特に、市場におけるプロピレンの需要は強い石炭、石油、水力、原子力等の他の燃料による発電との競争ありパイプライン中LNG小?中FLNGCNGハイドレートアンモニア・尿素中中中小?中メタノール中?大物理転換化学転換GTLDMEMTO/MTP電力転換GTW小大小中?ャ天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?上で重要なのは、各開発技術のCAPEXの大きさ、経済性とともに、各開発技術の技術リスクおよび市場リスクであろう。このようなことから、両リスクの評価を行った。技術リスクは、技術の成熟度・実証度に応じて評価した。すなわち、技術の成熟度・実証度が低いものは、技術リスクが大きいとした。表5に評価結果をまとめた。技術リスクの比較的大きいものは、FLNG、ハイドレート、MTO/MTPである。市場リスクに関しては、低い需要成長、小さい市場、物理的に需要地固定、新規製品であり需要側に特別な投資が必要な場合に、市場リスクが大きいとした。表6に評価をまとめた。市場リスクの比較的大きいものは、メタノール、DMEである。これは、メタノールは化学用市場が小さく、1プラントで市場に大きな影響を与えること、DMEは新規燃料であり、市場形成に課題を有することによる。5.各開発技術の整理と評価盧 各開発技術の特徴の整理以上の検討および分析、すなわち、技術の内容、市場までの輸送距離に対する天然ガス・ネットバックコスト、市場までの輸送距離に対する必要ガス埋蔵量、技術リスク、市場リスクを基に、各々の技術を整理すると表7のようになる。表7との重複を恐れずに、各技術に関して、特徴を述べると、次のようになる。①パイプライン天然ガス開発において、まず最初に適用を検討すべき技術である。基本的には、市場までの距離が短中距離の場合に、経済的に適用できる可能性が高い。広い範囲のガス田埋蔵量をカバーできる。技術的には成熟技術で、技術リスクは低い。一方、広域のパイプラインネットワークが形成されていない場合に、需要地が固定されるため、需要地の需要変動による市場リスクが存在する。今後は、高張力鋼の開発による高圧化による輸送コスト低減が期待される。②LNGガス田埋蔵量2?11Tcfの場合で、市場までの距離が中長距離の場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離が10,000km以上の長距離でも適用可能である。800万トン/年・トレインへのスケールアップにはある程度のリスクはあるものの、実用技術であるため、技術リスクは低い。プロジェクト間の競争、契約上の仕向け地条項による仕向け地固定化による市場リスクはあるものの、契約の変更等によりある程度のリスク緩和は可能である。今後は、プラント・輸送船のさらなる大型化によるスケールメリットの追求、コンプレッサー・タービン効率の向上による熱効率の向上等が検討されている。③FLNGガス田埋蔵量3?7Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離が5,000km程度まで適用可能である。商業規模の実証プラントはなく、その結果、CAPEX、OPEXの不確かさ、中?高レベルの技術リスクが存する。技術としては、オフローディングシステムの開発・実証が鍵を握る。市場リスクは、既存技術で調達可能なLNGを新規技術で調達することを顧客が望まず、契約獲得が困難という観点から、市場リスクはLNGより高く、中程度となる。最初のFLNGプロジェクトが成功すれば、エネルギー業界における当該技術の信頼性が高まり、インフラコストの低減が可能、FLNGバージの再使用可能という、FLNGのメリットが生かせるプロジェクトが大幅に増加する可能性もある。④CNGガス田埋蔵量1?6Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離は4,000km程度以下である必要がある。新規技術の中では、最も実用化に近い技術である。商業的には実証されていない技術であるものの、化学転換プロセスでなく物理転換プロセスであるため、開発の困難度は小さい。現在提案されている技術のいくつかは、技術的問題は少ないという業界の了解がある。市場は、製品が天然ガスであるため大きい。一方、市場リスクは、CNG受入基地という特別な基地(ただし、LNG受入基地より大幅に安価)が必要であり、特別な基地建設を許容する需要家がある程度限定されると考えられるため、中程度である。今後は、より軽量・高強度・安価なタンク耐圧容器材料、船舶規模拡大、船速増大等によるプロジェクトの経済性向上のための技術的努力が行われる。⑤ハイドレート天然ガスを輸送する新規技術として、FLNGやCNGがバリューチェーンの一部を新規に開発すれば良いのに対して、ハイドレートにおいては、バリューチェーンのすべて、すなわち、製造、輸送、再気化のすべてを新規開発しなければならない。したがって、市場リスクはCNGと同等であるものの、技術リスクはCNGより高い。熱効率は88%であり、物理転換プロセスの中で比較すると最も低い。輸送量、輸送距離等の観点55石油・天然ガスレビューゥら、対象需要家がCNGと重なる可能性が大きいと考えられることから、実用化のためには、バリューチェーンの全てに渡る技術の実用化とともに、CNGと比較した経済的、あるいは実用的メリットの確立及び需要家へのアピールが必要である。⑥アンモニア・尿素他の天然ガス田開発技術に比べて、より小規模のガス田に適用可能な技術である。商業規模のプラントがあることから技術リスクは小さく、市場も肥料市場であり、成長率は小さいものの世界規模で存在する。プラントが小規模でも実用化できることから、CAPEXが小さく、発展途上国において適用される最初の天然ガス開発手段として適している。ただし、国際的な投資という観点から考えると、プロジェクトの利益率が低いこと、開発途上国でよく行われる、経済的でなく政治的な投資による戦略的投資プロジェクトと競争しなければならない可能性があること等から、魅力に乏しい。⑦メタノール天然ガス田埋蔵量0.5?3Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離が長距離でも適用可能である。商業規模のプラントが稼動しており技術リスクは小さいものの、今後の大型化には、ある程度のリスクがある。現在、市場は化学用に限定されていることから小さく、供給過剰による製品価格大幅下落の市場リスクが存在する。したがって、今後は、燃料用市場への市場の拡大が期待されるが、化学用市場に比べて燃料用市場の製品価格は低く、経済的には魅力が薄くなる。プロセスの大型化によるスケールメリット追求・経済性向上が検討されている。⑧GTL天然ガス田埋蔵量4?7Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離が長距離まで適用可能である。第1世代のGTL技術は、特殊な地域・条件で実用化されているが、第2世代といわれる現在のGTL技術は、商業化が目前であるものの、まだ稼動しておらず、技術リスクは中程度である。GTLからの主要製品のナフサ・軽油の市場は大きく、また、1プラントから生産される製品量も、市場規模と比較すると小さいことから、市場リスクは低い。現在の主要プロジェクトは、経済性の確保のために、スケールメリットを追求する、あるいは上流開発と一体化する等CAPEX拡大の方向にあり、適用できる地域やプレーヤーが制限されている。CAPEXを低減しつつ、熱効率/炭素効率を10%程度向上させるための技術開発がなされている。今後は、高油価環境の継続、2006年第1四半期に可能予定のSasolのカタールOryxプロジェクトの成功等が、本技術に対する興味を増加させる可能性がある。⑨DMEガス田埋蔵量1?3Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離が9,000km程度まで適用可能である。本技術は、メタノール製造技術の追加的・応用的技術であり、技術リスクは中程度である。一方、現在のDMEプロジェクトが入ろうとしている燃料市場においては、DMEは使われた実績がなく、新規投資を伴う需要の創出が必要であり、市場リスクは大きい。ただし、LNG代替、LPG代替、軽油代替等、種々の既存燃料を代替できる可能性があることから、DMEの持つ市場のポテンシャルは大きい。プロジェクトの実用化のためには、プロジェクトの経済性向上に関わる技術開発・改良、顧アナリシス客に対する既存燃料からの燃料転換の利点のアピール等の努力が必要である。⑩MTPガス田埋蔵量1?3Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離が長距離まで適用可能である。本プロセスは、パイロットプラントでのテスト評価がなされているものの、商業規模で実証されておらず、技術リスクは高い。一方、製品であるプロピレン等は、世界的に取引されており、市場規模と比較した1つのプラントからの製品生産量は小さいことから、市場リスクは小さい。また、市場において、特にプロピレンに対する需要は強い。今後は、メタノールの供給過剰を回避する手段の1つとして、メタノールプラントに隣接設置されていく可能性もある。石油化学製品は、価格が年単位でサイクリックに変動するため、このような環境に対処可能なオペレーション手段・経済性を持つ必要がある。⑪GTWガス田埋蔵量1以下?4Tcfの場合に、経済的に適用できる可能性が高い技術である。市場までの距離は短距離である必要がある。GTWを構成している技術は既存技術であり、技術リスクは低い。市場リスクは、市場の固定化、他電力供給手段との競争等を考慮し、中程度と考える。電力は、輸送が困難であることからローカルな市場形成のみが成立しているため、電力価格は国により大幅に異なっている。そのため、GTWは一般論での分析には適していない。すなわち、本検討で出た推定に対して、実際のプロジェクトは大きく異なる結果を生む可能性がある。言い換えれば、GTW適用に関して非常に有望な国もあれば、全く不適な国もある。また、GTWという開2005.9. Vol.39 No.556宴塔g規模増大に伴う開発費増加は、中小プレ プーヤーの参加を阻害する ・世界的な市場拡大 実用技術 ・・ガス田が枯渇した時、FLNG バージは 別の・コストの不確かさ、ある程度の技術リスクあり 商業的には実証されていない ・陸上プラントに比べて、インフラを低減できる ・技術の占有化(ライセンス不可)の可能性 ・潜在的に高いネットバックガス価格 ・ガス田で活用できる可能性あり ・世界的なガス需要増大 ・商業的な技術の実証をする必要 ・市場の成長率は低い ・他の技術に比べて魅力の少ないネットバック価格 時点では、高コスト・低効率の技術 現る条件にてハイドレートが生成すること あ・他の技術に比べて、より小規模のガス田に適用される 実用技術 ・は既知 給過剰および製品価格下落の可能性は高い 供・潜在的に経済性が高い 実用技術 ・・製品コストにおけるCAPEXの寄与割合が大 ・安価でかつ大量のガスを必要とするため、実現可能なプロジェクト数が制限される可能性あり ・特定プロセスに関しては技術の占有化(ライセンス不可)の可能性 ・市場までの距離が長くても適用可能 大きな液体燃料市場 ・業規模での実証の必要 商潜在的には、大規模市場 ・・魅力的な経済性を持つ技術 時点では、実証されていない技術のため、大き 現距離での適用に限定 短な技術リスクあり 大幅な需要拡大が見込まれる市場。特にプロピレン ・・潜在的に経済性が高い 用技術 実・種々の規模にて適用可能 ・ 物理的な需要供給システムの固定 短距離のみ適用可能 ・実用技術 ・ 短 長 中 短 N.A. 中 長 長 中 長 短 広い領域 2?11 3?7 1?6 N.A. 1以下 0.5?3 4?7 1?3 1?3 1以下?4必要ガス量 (Tcf) 市場までの 最大距離 利 点 弱 点 技 術 パイプライン LNG FLNG CNG ハイドレ(cid:7891)ト アンモニア/ 尿素 メタノ(cid:7891)ル GTL DME MTP GTW 物  理  転  換 化  学  転  換 電力転換 表7技術の特徴及び適用条件中小天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?57石油・天然ガスレビュー005.9. Vol.39 No.558アナリシス将 来 性 懸念材料 ・歴史的には、短距離ガス供給手段として唯一のものであったが、LNGの適用範囲拡大、CNG技術の実用可能性等により、特異的な適用範囲が減少しつつある 適用される地形によりCAPEXは大幅に異なる ・カタールのLNGプロジェクトで達成された低ユニットコストに競合するのは、かなり難しい 最初のプロジェクトで大きなトラブルが発生すれば、業界における当技術の信頼性を低め・プロジェクトの発展の可能性を阻害 年単位でサイクリックに価格変動する市場 ・近年、かなりのプラントがシャットダウン ・経済的でなく政治的な投資による戦略的投資プロジェク ・トとの競争の可能性 数個のワールドスケールのプラントで市場は満杯となる ・・燃料用市場は大きいが、経済的には、化学用市場に比べて魅力が少ない 大規模プラントによる本技術の適用が続くと、中小規模プレーヤーの参加が困難になる 最初のプロジェクトが成功すれば、業界における当技術の信頼性が高まり、プロジェクトの増加につながる可能性 の大きさ・速度の増加、ユニットコストの減少の可能性 船 ユニットコストの削減を伴うさらなるトレインサイズの大型化 ・・ タービン効率の向上 高張力鋼の開発 ・学用市場は限定されるが、燃料用市場に用途が広がる可能性あり 化 最初の天然ガスマネタイゼーション手段として良い ・・ 他の技術に比べてCAPEX が小さい 2006年稼動のSasolOryxプロジェクトが成功すれば、産業界における本技術の信頼性が高まり・プロジェクトの増加につながる可能性 ・・新技術によるCAPEX低減の可能性 ・高油価環境が本技術に関する興味を増大させる可能性 ・消費者にDMEへの燃料転換の利点を確信させる必要あり ・効果的な市場構築の必要 ・イラン、ロシア、PNG等でプロジェクトが検討されている ・中国でさらなるプラント稼動の可能性 種々の燃料を代替する可能性 ・・石油化学市場は大きく、需要も強いが、価格がサイクリ実証されていない技術のため、経済性はまだ不正確 ・ックに変動する ・適用される地形によりCAPEXは大幅に異なる ・一般論での分析に比して、実際のプロジェクトでは、経済性が大きく異なる可能性がある タノールの供給過剰を回避するため、メタノールプラントに隣接設置 メごとに電力価格が大幅に異なることは、ある市場においては有用なオプ 国ションとなることを示唆 ?ャ天然ガス田マネタイゼーションの新展開 ?新しい開発手段の特徴と可能性について:試論?発概念は、天然ガスをパイプラインで輸送し、市場で発電するという通常型のコンセプトと直接的に競合する。通常型コンセプトでは、パイプラインで輸送されたガスは電力以外の種々の用途に利用できる、というメリットがある。盪 上流側から見たガス田開発技術の評価上流側から見たガス田開発技術を概括的に評価すると、次のようになる。・一般論での検討結果では、LNGは、広い埋蔵量・広い距離の範囲内で比較的高いネットバック価格(すなわち、経済性)を与える。・物理転換プロセス、すなわち、市場に天然ガスを供給する技術では、埋蔵量、距離に応じて、パイプライン、LNG、FLNG、CNGの4つの選択肢がある。CNGには、1,000?4,000kmの輸送範囲で、CNGが特異的に適用可能性を持つ条件が存在する。・化学転換プロセスは、製品のニーズが異なるため、ひとくくりに論じることは困難である。一般的に、化学転換プロセスは、距離の経済性に与える影響が少ない。したがって、上流事業者は、技術の選択に当っては、市場までの距離はとりあえず無視して、ガス必要量、経済性、リスクを検討すればよいということになる。化学転換プロセスの中で、メタノールは、高い経済性を与える開発技術であるが、化学用市場が小さく、市場リスクが極めて大きい。MTPは、比較的高い経済性を有し、市場も大きいものの、新規技術であることに伴う技術リスクが大きい。・電気転換プロセス、つまりGTWの経済性は、電力というローカルエネルギーの持つ固有性が国ごと・地域ごとの電力価格の相違を大きくしているので、一般論で判断することはできない。GTWという開発概念は、通常型の天然ガスパイプライン?市場での発電というそれと直接的に競合する。市場に電力需要のある場合、GTWを選ぶか、通常型の天然ガスパイプライン?市場での発電という方法を選ぶかは、経済性とともに、需要地における天然ガスの将来的な利用ポテンシャルが重要な選択要因となる。蘯 物理転換プロセスと化学転換プロセスのシステム概念の相違天然ガス田開発技術としての物理転換プロセスと化学転換プロセスには、システム概念に大きな相違がある。このことは、表4に明確に表されている。すなわち、物理転換プロセスに関しては、上流事業者は、それぞれの技術において、上流から特定市場まで結びつける固有のチェーンの構築が必要である。一方、化学転換プロセスに関しては、上流事業者は、上流から化学転換プロセスまでを構築すれば良く、あとはチャーター船で世界中にある市場に販売できる。しかしながら、化学転換プロセスであるDMEに関しては、本当に以上のことが成り立つか、という疑問がある。筆者は、かつて、「最近のGTLプロジェクト動向およびGTL発展の可能性」(石油技術協会誌2005年3月号)にて、GTLとDMEのプロジェクトとしての相違を論じた。そこで述べたことは、次の通りである。上流事業者にとって、GTLは、天然ガスからGTLプラントまでを構築すれば、生産物は石油製品となるので、下流までのプロジェクト構築をする必要がない。一方、DMEは、今までバリューチェーンが形成されていない特殊な製品であるので、上流からDME利用までの全体のプロジェクト構築が必要である。これは、あたかも、かつてのLNGプロジェクトにDMEプロジェクトが似ている、というものである。この論理を拡大して考えると、DMEの経済性を検討する場合、輸送船、DME受入基地ないし利用設備までを上流事業者が所有すべき要素としてCAPEX化する必要があることとなる。しかしながら、本検討では、DMEを他の化学転換プロセスと同等の取扱いをしている。盻 LNGの有効性物理転換プロセスは、すべて、市場での最終製品は天然ガスである。したがって、化学転換プロセスと異なり、市場での製品ニーズが開発技術選択の決定要因とはならない。物理転換プロセスの中での技術の選択は、経済性、CAPEXの大きさ、技術リスク(技術の信頼性)、フレキシビリティーの大きさ等で決定されるであろう。本検討では、LNGの適用範囲の広さが示された。すなわち、LNGは、ある程度小さいガス田でも、ある程度近距離市場でも、適用の検討を行うに値する開発技術である。ガス田開発において、かつてはパイプラインがメインストリームであり、LNGはニッチであった。しかしながら、最近は、パイプラインとLNGの両方がメインストリームの技術となっているということができよう。また、最近、LNGビジネスの進展により、世界中で多くのLNG受入基地が建設されている。このことは、LNGの販売のフレキシビリティーの増大をもたらしている。さらには、プロジェクトにリンクしないLNG船も出現している。このことは、本稿での検討とは異なり、将来的には、LNGプロジェクトによっては、上流事業者は、ガス田でのガス生産からLNGプラント・出荷基地までのプロジェクト構築をすればよい可能59石油・天然ガスレビューォも出てきたことを意味している。眈 小規模ガス田のマネタイゼーション小規模ガス田を、ここでは1TCF以下のガス田ということにしよう。1TCF以上の埋蔵量があれば、「4.天然ガス開発技術の比較分析」で示したように、いくつかの天然ガス開発技術が提供しうる。小規模ガス田においては、検討に値する開発技術は、ローカルパイプライン、尿素、メタノール、GTWしかなアナリシスい。このような開発技術でも開発できない小規模ガス田は、近傍のガス田を集約して開発可能性を検討せざるを得ないこととなる。6.終わりに現在、有効な天然ガス開発技術は、増加しつつある。上流事業者は、所有する天然ガス田に対して、まず第1に、現在あるいは非常に近い将来に実用化する天然ガス田開発技術を列記し、上流側事情である埋蔵量、中流側事情である輸送距離、下流側事情である市場という要因に基づき、ファーストスクリーニングにより、適用可能性のあるいくつかの天然ガス田開発技術を抽出することとなる。次に、上流事業者は、具体的なガス田環境、具体的な市場、具体的な製品価格見通し、ファイナンス状況等に基づき、いくつかの選択された開発技術を用いたプレリミナルなFSを行い、現実と対比し、さらにFSを修正し、深めていく、という作業を行っていく。本調査から得られた知見や指針は、このような上流事業者の天然ガス田の開発検討活動の中で、あくまでもファーストスクリーニングを行う範囲でのみ有効なものである。ファーストスクリーニングの際の天然ガス田開発技術の選択においては、「4. 天然ガス開発技術の比較分析」及び「5.各開発技術の整理と評価」で述べたように、以下の要素が重要になるだろう。・CAPEXの大きさ・経済性・技術リスク・市場リスク・環境性(ローカル環境問題よりもグローバル環境問題。すなわち、CO2問題)これらのうち、最後の環境性は、現時点では、技術の選択要因とはなっていない。しかしながら、今後、需要者からのエネルギー選択に際して、主要な選択要因になる可能性を有している。将来、グローバルな環境問題(すなわち、CO2問題)が、エネルギーの主要問題の1つになってくる時代が来るとすれば、熱効率や炭素効率の低い技術からの製品は、需要者からのエネルギー選択の際の排除要因となり、ひいては天然ガス開発技術としての適用の阻害要因ともなりかねない。したがって、天然ガス開発手段の技術開発においては、将来を見越して、CAPEXを低減するのはもちろんのこと、それと同時に、熱効率・炭素効率を向上させていく努力が、極めて重要になってくるだろう。著者紹介千葉県習志野市生まれ。幼少時代は母親の実家のある信州諏訪で過ごした。横浜国立大学大学院工学研究科応用化学専攻(修士課程)修了後、1996年に博士号取得(工学博士)。専門は、GTL、DMEなどの天然ガス転換化学とそれらを生かすための天然ガスビジネス研究。また、水素製造、CO2隔離技術に関しても、今後、勉強して行きたい。趣味は、春風亭柳昇、山之内獏、G・グールドの話・著作・音楽など。近頃、宗教観に目覚め、グノーシス派キリスト教、イスラム教スーフィズムに興味を持っている。家族は、妻1人。2005.9. Vol.39 No.560
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2005/09/20 [ 2005年09月号 ] 鈴木 信市
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