デジタル・オイルフィールド時代の到来 ~バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界~
| レポートID | 1006193 |
|---|---|
| 作成日 | 2005-11-20 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガスレビュー 2 |
| 分野 | 技術探鉱開発 |
| 著者 | |
| 著者直接入力 | 高市 和義 石田 聖 |
| 年度 | 2005 |
| Vol | 39 |
| No | 6 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 株式会社CRCソリューションズ科学システム事業部地球科学部地球物理チーム長k-takaichi@crc.co.jp高市 和義JOGMEC石油・天然ガス調査グループishida-hisahi@jogmec.go.jp石田 聖アナリシスデジタル・オイルフィールド時代の到来?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?IT*1技術を最大限に利用して、油田の探鉱・開発・生産を効率的に進めようとの意図で、各種の提案がなされている。例えば、CERAによるデジタル・オイルフィールドであり、各国際石油企業は独自のネーミングをして、この目的のため資力を注いでいる。これが近い将来国際的なスタンダードとなるであろうとの理由から、まだこの動きに乗り出せていない石油企業の注目をも集めている。この効率化は、情報の共有化を行うことによって社内の専門知識の集中化と有効活用を促すもので、さらに最近はそのベースとなる情報の即時性も求められている。この実施によって、油ガス田発見成功率の向上、掘削の最適化による時間とコストの削減、生産オペレーションの最適化によるコストの削減や顧客満足度の上昇など、その効果は計り知れない。ここ数年間のコンピュータ等の環境の激変(処理速度・記憶容量の増大、価格の低廉化、通信環境の改善と低価格化、インターネットの信頼性向上など)によって、この効率化は90年代末のメジャー系企業への普及から、中堅独立系石油企業や産油国国営石油企業まで浸透してきた。中小石油企業でも、これを技術や経営の中心に据え、探鉱成功率の急上昇やコスト削減によって利益を急拡大する企業が現れてきた。もはやデジタル・オイルフィールドは石油企業の常識になっており、今後は産油国への探鉱・開発事業参入への基準の一つとなると考えられ、乗り遅れた企業との格差はますます拡大すると思われる。1.はじめに未知の空間(領域)への進出は人類永遠の夢である。20世紀後半に人類は、地球の大気圏を脱し、宇宙空間への進出を果たした。1961年には、旧ソ連による有人地球周回飛行、1969年には、米国による人類の月面着陸が成功した。また、同時に海洋(水圏)への進出をも果たし、1960年には、地球海洋の最深部であるマリアナ海溝*2への潜行を果たした。ひるがえって、地圏への進出はどうだろう。地圏への進出は困難で、人類の到達できている最深部はわずかに海面下3,578mである(南アフリカのディープレベルズ金鉱山)。しかし、地圏は石油に代表されるように、現在のエネルギー資源の大部分を供給している。人類自らが到達できない領域ではあっても、地下資源探査のために、物理探査(特に弾性波探査)技術が発達してきている。IT技術を駆使することによって、地圏という、自らが到達できない領域にあたかも潜入しているがごとく、地下資源の探査・開発をすることが可能となってきた。デジタル・オイルフィールド盧とは?Research Associates)は、“Digital Oilfieldof the Future(DOFF)”と題するレポートを発表した。この「デジタル・オイルフィールド」は、油田の広範な探鉱・開発・生産の総合化・効率化をIT技術を使用して達成しようとするものである。また、同レポートの内容は、この技術によって、今後5?10年間で新たな埋蔵量が1,250億バレル増加するとした*3ものである。また、同時にCERAの代表者であり、有名な著作「石油の世紀」の執筆者でもある、Dr. Daniel Yerginは議会証言で、この考え方を公表した*4。2003年2月CERA(Cambridge EnergyCERAの考える主旨は、「貯留岩を*1:IT(Information Technology)、本稿では慣用的に「IT技術」と記述する。*2:海洋の最深部は、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵が1993年のIOC?IHO GEBCO合同指導者会議で水深10,920m±10mと確定された。米「トリエステ蠡号」は、同海淵の水深10,911mの潜水に成功した。*3:Solution a Landmark publication Vol.8 No.2 2nd Quarter 2003, http://www.lgc.com/news/solutionsnewsletter/solutionsq2_2003.pdf*4:http://foreign.senate.gov/testimony/2003/YerginTestimony030408.pdf71石油・天然ガスレビュー謔闡N明に見ることによって、掘削と生産の戦略をより最適化し、操業をより効果的にマネージする」ための五つの新しいIT技術があるとしている。漓観測器(Remote Sensing)これらは、漓経時地震探鉱(いわゆる“4D”)、滷重力探査、澆電磁探査およびモニタリング、潺常設型のジオフォーンおよび潸光ファイバー坑内ジオフォーンである。澆高度掘削・仕上げ技術(IntelligentDrilling and Completion)掘削中のリアルタイムでの地下情報の収集は、掘削技術者に掘削障害の除去と掘進率の増加、坑跡の最適化をもたらす。坑内の温度、圧力、多相流体センサーおよび仕上げ時に坑内に設置されたバルブは、操業者に坑井の生産性の最適化や水ブレーク層の早期の検出、そして圧入による掃攻の状況や圧入流体の制御をサポートする。滷映像化(Visualization)潺自動化(Automation)膨大な地震探鉱から得られた地質データや坑井データなどの複雑なデータを一元化表示して、掘削、開発の効率化に資するもの。詳細は後述する。遠隔モニタリングとコントロール技術―既に多方面で使われている―自動データ収集、自動警報システムなどによって、油田での操業人数を減らすことは可能である。予測技術、生産最適アナリシス化技術は、油田の操業効率向上や重大な事故を防止することができる。自動化操業は、EOR計画や生産管理をあたかも一つの機器の操作のように簡便にすることができる。潸情報総合化(Data Integration)貯留岩、坑内状況についてのデータの収集や取り扱いの総合化は、上流企業の情報収集に基づいて、適材を適時に配置することを可能にしている。これにより、より良い状況判断とオペレーション方法が生まれ、より効率的な、コスト効果のある決定を生み出すことができる。データの収集と総合化では、Java獏言語*5の使用が有益であることが述べられている*6。表1デジタル・オイルフィールドの類似提案とその分類xField の主要技術CERA1RTRM2Saputelli3Saputelli4xFieldの分類Chevron5SDC6・リアルタイム掘削・インテリジェント仕上げ・3D ビジュアル化・遠隔モニタリングと遠隔コントロール・掘削・坑井・地震探鉱・施設・データマネージメント・ツールとソフトウェア・リアルタイム掘削と仕上げ・総合的アセット・マネージメント・リアルタイム生産最適化・測定・分析と解釈・決定と最適化・変更と制御・データ・マネージメント機器?評価情報?分析解釈?最適化刷新?変更・基礎・標準化・組織化・総合化・最適出所:プレゼンテーション資料”Update on POSC xField”, http://www.posc.org/meetings/apr04WITpub/apr04_archer.ppt 詳細は以下による。1 CERA DOFF Executive summary2 TTA report on Real Time Reservoir Management. OG21?Norwegian Continental Shelf3 L. Sapultelli, et al. SPE 83978 [JPT December 2003]4 L. Sapultelli, et al. SPE 83978 [JPT December 2003]5 T. Unneland, IQPC RT Field Management, February 20046 Strategic Decision Science, Roadmap to Enterprise Optimization Study以上、CERAによるDOFFの概要について述べたが、その他表1に示すような、IT技術を使用した油田の最適化技術への提案がある。盪国際石油企業のIT戦略石油の探鉱・開発とコンピュータの技術革新とが、非常に密接な関係で進歩して来たことは、石油開発分野に携わっている者には周知の事実かと思う。石油鉱業では、油・ガス田の発見、油・ガス層からの最大限の資源回収のため、膨大な各種データを、より速く、より正確に処理しなければならない。エネルギー産業の競争激化の状況下でコスト削減を強いられている各社は、IT技術への投資で資源の最大回収に努めている。以下に、各石油企業のIT戦略の概要について見ていくことにしたい。なお、地下のビジュアル化の実例については、後章にて記述する。*5:Javaは、サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)が1995年に発表したインターネット時代のオブジェクト指向プログラミング言語で、特定のOSに依存しないアーキテクチャと、豊富なクラス・ライブラリを備えており、インターネットとともに普及した。プログラムの書き方は、Javaよりも以前から使われていたC++(シー・プラス・プラス)に似ており、多くのプログラマに使われるようになった。(http://dictionary.rbbtoday.com/Details/term1554.html)*6:Hart's E&P2005年4月 19?20.2005.11. Vol.39 No.672fジタル・オイルフィールド時代の到来 ?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?漓ShellのSmart FieldShellの“Smart Field”は、漓無線技術、滷先進的モデリング、澆遠隔操作・制御技術、潺リアルタイムでの大量のデータ伝送を主技術としており、こうした技術が多くの分野で安定的なコスト削減効果があるとしている*7。Smart Field技術の根幹をなす“Smart Well”技術は、最新の技術であるマルチラテラル坑井、坑内バルブ、細密坑内温度・圧力計などの導入によって、坑内環境の把握と生産のコントロールを行い、さらにこれらのデータから貯留岩シミュレーションを随時更新することによって、貯留岩から油・ガスの最大限の生産を行おうとするものである*8。現在、25のそれぞれ異なった“Smart Field”プロジェクトが世界で進行している。Shellは、デジタル・オイルフィールド技術は将来の権益を有効活用する武器であると考えている。一例がブルネイにおける坑井仕上げの高度情報化の契約で、この“Intelligent Well”プロジェクトは、沖合の油ガス田開発を行うに当たり、HalliburtonとShellの合弁会社であるWellDynamicsとの間で5年間の契約を行ったものである*9。対象とされた油田は、ChampionWest油田で、複雑に傾斜した貯留岩への複雑な坑跡の水平坑井の掘削を行うものである。目的は、漓水平坑井の裸坑のクリーンアップ、滷ガスと水の流入の最適コントロール、澆累計生産量の最大化、である。多層の貯留岩からのリム・オイルの生産を行う。Shellは、2000年から2004年までに約200坑のSmart Wellを掘削しているが、今後3年間で660坑を掘削する予定である。滷BPのe-FieldBPのe-Fieldの基本的な考え方は、リアルタイムで、継続的に提供される貯留岩からの遠隔監視システム情報や権益情報を、技術的にあるいは経営的に処理するシステムである。その目的は、貯留岩中の流体の動きを常に把握すること、油田やオフィスの情報を多方面へ伝達することによって、HSE*10を高めること、ビジネスモデルや市場動向に対して即応性のある判断をすることにある。さらに、2005年を目処に、貯留岩の地震探鉱イメージを適宜取得すること、油田データをリアルタイムで取得し、解釈すること、油田の貯留岩、坑井、施設のモデルの統合化、データへのアクセス、解釈とモデル化のための新しい検索・ビジュアル・ソフトの使用を考えている*11。電子商取引(EC:E-Commerce)を応用して行い、迅速性とコスト削減を果たしている。2002年からは、SchlumbergerおよびDigital Oilfield Inc.とともにインターネット環境を最大限に活用したOpenInvoiceTM、OpenContractシステムの構築を開始している。eProcurement同様、電子商取引の社内拡大版と考えれば理解しやすいと思われる。すなわち同社は、資材等に関する現場からの注文・発注等に関しての多くの時間と労力をペーパーレス、電子化することによって削減できるとしている。なお、この開発に当たっては、API規格に準拠したPIDX-XML(PetroleumIndustry Data eXchange-Extensible MarkupLanguage)言語が用いられている*12。2005年8月に米議会の反対から失敗した中国CNOOC(中国海洋石油総公司)による同社の買収についても、CNOOC側はこれらの先進技術の取り込みを狙ったものであるとの憶測を呼んでいる。潺EnCanaの例澆UnocalのOpenInvoice、OpenContract探鉱・開発に使用し、後述する3次元バーチャル・リアリティー技術(以下、3D?VR技術)について、Unocalは先進的なものを持っている。さらに、同社は、e-invoiceと呼ばれる操業総合伝達システムを構築している。同社は掘削の合理化・効率化を進め、低コストの探鉱・開発を行っている先進的企業であることは、自他ともに認めるところである。同社は、まず資材調達で“eProcurement”(電子調達)を立ち上げた。これは、特に資材調達に関して、その他、具体的な成功例が報告されている*13のでEnCanaを見ていこう。EnCanaは、カナダ・サスカチュアン州の枯渇油田に本技術を適用し、成功している。同油田では、SCADA*14を使用して、水攻法の最適化とリアルタイムでの坑井掘削情報の収集が可能となり、マンパワーの削減やHSEの向上が達成できた。カナダ・アルバータ州南部のガス田地域では、SCADAの使用によって、スタッフの削減と現場への派遣が減少し、コスト削減につながった。実際、1994年には1人当たり8鉱区のオペレーションマネージが限界だった*7:SmartFields (xFields)Meetings Summery, POSC*8:Smart Wells, http://www.dietzlab.tudelft.nl/research/reservoir%20engineering/smart%20wells/documents/Smartwells.pdf*9:Shell ups the ‘smart field’stakes, ASIAN OIL & GAS, 2005年7?8月号 http://www.oilonline.com/news/features/aog/20050725.Shell_up.18636.asp*10:HSE:Helth, Safety and Environment(健康・安全・環境)の略で、労働安全、環境保全についての社内規範。多くの石油企業が、探鉱・開発を行う上で、一般的な法規制より厳しい基準を制定している。*11:SmartFields(xFields)Meetings Summery, POSC*12:http://committees.api.org/business/pidx/standards.html*13:UPSTREAM CIO, 2004年7月http://dev.enform.com/xemailimages/downloads/Fad%20or%20Reality%20Getting%20Past%20Hype%20for%20Business%20Intelligence.pdf*14:Supervisory Control And Data Acquisition, http://ref.web.cern.ch/ref/CERN/CNL/2000/003/scada/73石油・天然ガスレビューAナリシスが、2004年現在、43鉱区が可能となった。この適用によって、年間2,000万ドルの増産を達成したが、そのためのコストについては、予測から25?30万ドルの削減が達成できた。アルバータ州北部のオイルサンド現場では、4D地震探鉱の実施や光ファイバーを応用した温度センサーの設置によって、油層内温度環境などの坑井環境の変化が迅速に把握できるようになり、生産の増加に寄与している。膨大な数量になる油田の開発機器の管理について見れば、それぞれの箇品の情報管理を徹底し、ちょうど、生産者から消費者に渡る商品のトレーサビリティーを高めるために一次元バーコード、二次元シンボル(QRコード)、電子タグを使用しての箇品管理と流通状況を把握する*15などと同様で、日本のIT技術もこれらに応用可能であり、日本石油企業での活用が待たれる。2.バーチャル・リアリティーを用いた探鉱技術本稿では、DOFFで提案されている各種IT戦略のうち、日本において普及が最も遅れている*16と思われる、バーチャル・リアリティーを使用した石油の探鉱と坑井掘削・生産の方針策定について述べることにする。この技術は、人類の到達できない地圏を物理探査データなどから再現し、その擬似空間に技術者が入り込むことによって、地下に埋蔵されている石油・天然ガスを細大漏らさず回収・生産したり、生産のための坑井掘削のコスト削減などを行うというものである。本項では、この技術が如何に石油開発に効果的なものか、また効果的に活用するには何が肝要かを紹介する。バーチャル・リアリティーを用い盧た地下構造の再現いくらコンピュータが進歩しても、それを使用する人間が理解しなければ高性能なコンピュータは無用の長物となる。人間は、五感(目:視覚、耳:聴覚、鼻:臭覚、舌:味覚、皮膚:触覚)から情報を得て理解することができる。その中でも、目(視覚)から得られる情報が最も効果的な情報と言われている。近年、この目(視覚)から得られる情報を質、量ともに飛躍的に向上させる3D?VR技術が注目を集めている。石油開発においては、石油やガスが地下空間においてどのように分布して、どのような挙動をしているかを正確に把握することが重要である。地質・地球物理の分野において、3D?VR技術は以下のような発展を遂げてきた。1960年代から70年代にかけては、地震探鉱データの解釈作業へのコンピュータの利用技術がまだ普及しておらず、大型汎用コンピュータを使って処理・表示された2次元地震探鉱断面は、手作業によって解釈される場合がほとんどであった。3次元的な空間把握が必要とされる複雑な地質構造を解釈しようとする場合には、紙、ガラスあるいはフィルムに断面図を焼き付け、それらを複数枚重ねることで地質解釈(図1)が実施されていた。80年代中頃からは、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)の普及に伴い、コンピュータを用いた2次元的な地質解釈(図2)と、これらを統合して地質構造図(時間構造図など)の作成が比較的容易になってきた。90年代に入ると、コンピュータの性能向上とともに、3次元的な地質解釈(図3)が実施され、これに呼応してその基礎となる3次元地震探鉱データの取得が一般的になってきた。90年代後半からは、3D?VR技術が浸透し、地質・地球物理技術者だけでなく、石油開発にかかわるすべての技術者が一堂に会する総合解釈(図4)が出所:Landmark社プレゼンテーション資料から抜粋図1地震探査データの地質解釈の変遷*15:高尾将嘉、ICタグを用いたトレーサビリティの情報モデル、ICEPニュース、2004年3月号*16:日本の石油・天然ガス上流業界および地球科学関係機関での3D?VR導入実績は、(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)のみである。2005.11. Vol.39 No.674fジタル・オイルフィールド時代の到来 ?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?行えるようになってきている。すなわち、表示されるデータも地震回線で結び、リアルタイムでの総合解釈(図5)だけでなく、即時性のある坑井掘削方針の決定等の経営判断も実施可能になってきている。探鉱データ(地質構造データ)だけでなく、岩相データ、坑井地質データ、坑井物理検層データ、坑跡データなどである。また、それぞれの専門技術者が一堂に会することについて、コラボレーションという言葉が用いられている。一方、インターネットの普及に伴い、現場とオフィスを高速通信出所:Landmark社プレゼンテーション資料から抜粋図2コンピュータを用いた2次元的な地質解釈出所:Landmark社プレゼンテーション資料から抜粋図33次元的な地質解釈出所:Landmark社プレゼンテーション資料をもとに一部加筆出所:Landmark社プレゼンテーション資料から抜粋図4コラボレーションとは?図5オフィスと現場のデータ伝送75石油・天然ガスレビューD?VR構築における石油開発盪データベースの重要性必ず石油開発データベースが必要と言うことになる。石油開発においては、大量のデータを扱う必要があり、これらのデータを円滑に蓄えて活用する技術は重要なものの一つである。石油開発データベースを構築する上では、以下のような点に留意する必要がある。・活用性のあるフォーマットでの図6に示されるように、調査データや既存データをデータベースに統合整理して蓄え、それらのデータを円滑に3D?VR環境で利用できなければならない。つまり、3D?VR導入の前には、蓄積・高速で検索可能なデータベース・マネジメント・システムの活用・セキュリティーや保存性の確保活用性のあるフォーマットについて出所:CRC原図図6データ間の連携を良くするためのシステム構築概念現場 オフィス コンピュータセンター データの一元管理による方針決定/資料作成の品質・処理効率の向上(安全管理のためのデータセンターでのデータベース・システムの運用)出所:Landmark社プレゼンテーション資料を一部使用し、CRC作成図7石油開発情報保管管理およびデータベースの構築*17:POSCホームページ(http://www.posc.org/)アナリシスは、POSC (Petrotechnical OpenStandards Consortium, Inc.)と呼ばれる団体が1994年に設立され、石油開発におけるデータフォーマットの標準化を推進している*17。各ソフトウェア・ベンダーが提供する石油開発データベースは、POSC準拠のデータ形式に準拠している。このコンソーシアムには50社以上が参加しているが、石油企業では計9社が参画している。BP、Chevron、ExxonMobil、Shellのほか、独立系石油企業としてはAnadarko、Norsk Hydro、Pioneerで、さらに中国CNPC、インドONGC が参加しているのが注目される。ちなみに、日本企業の名前は見当たらない。データベース・マネジメント・システム(DBMS)については、ORACLE獏、Sybase獏等の汎用的なDBMSが採用されており、大容量の検層データでも高速に検索表示可能なものとなっている。セキュリティーや保存性については、データーセンターベンダーにアウトソーシング(図7)することにより、高効率化を実現している。ハードウェアおよびソフトウェア蘯動向近年のコンピュータ技術の進歩による高性能化と低価格化にはすさまじいものがあり、3D?VR技術の進展には以下の技術が大きく関与している。・3次元表示ソフトウェアの普及・大型ディスプレイや高性能投影機の普及および低価格化・高性能、低価格グラフィックボードの普及・64ビットCPUの普及による大規模主記憶メモリ(2GB以上)の普及・大容量補助記憶媒体の低価格化・高性能、低価格グラフィックボードの普及2005.11. Vol.39 No.676fジタル・オイルフィールド時代の到来 ?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?3.3D?VR環境の構築3D?VRにおいて以下のようなサービスを提供している(図8)。よる3D?VR環境設計構築・ソフトウェア・パイロット(後述)Landmark社、Schlumberger(シュルンベルジェ)社やParadigm社などは、ソフトウェアを提供するだけでなく、・各主要都市での3D?VRセンターの派遣あるいは教育の提供・ファシリティエーター(後述)に出所:Landmark社提供図8Landmark社のVRセンター2004年11月に完成した、ヒューストンにおけるParadigm社の3D?VRルームは18フィート幅の後方投影型のスクリーンを有し、重複部分のブレンドができるChristie Mirage 4000プロジェクターを設置している。ソフトウェアとしては、3次元地震探鉱データ解釈システムであるVoxelGeo獏、貯留岩表示ソフトReservoir Navigator獏、地質構造モデリングソフトSolidGeo、時間?深度変換ソフトExplorerなどが準備されている*18。ハードウェアは、SGI、Sun、IBM、HPなど各社の先進的なコンピュータが準備されている。ここで、ファシリティエーターやソフトウェア・パイロットと聞き慣れない言葉が登場した。ファシリティエーターとは、3D?VR技術を導入するに当たり、利用するデータに最適なハードウェアやソフトウェア環境を設計するスタッフである。またソフトウェア・パイロットは、3D?VR環境をオペレーションするスタッフのことを指す。なぜ、このようなスタッフが必要か。3D?VR技術は技術革新が激しく、最適な環境を構築するためには高度な専門知識が必要であり、運用する上においても、効果的な表現をするためには専門のスタッフが実施することが望ましいからである。最近では、3D?VR環境の低価格化および普及に伴い、ファシリティエーターは役割を終えつつあるのではないかとも思われる。いずれにせよ、3D?VR環境の構築については、図9に示されるような、・Infrastructure(ファシリティー/ハード)・Data(データベース)・Processes(プロセス)・People(人材)・Software(ソフトウェア)出所:Landmark社プレゼンテーション資料から抜粋図93D?VR環境の構築要素がすべてそろうことにより完成される。盧ファシリティースクリーンおよび投影機が付属する映写室を設置するのが一般的である(図10)。最近は、現場とのリアルタイム化が進み、既存の3次元地震探鉱データ、坑井データのみの表示にとどまらず、MWD*19、LWD*20からのデータが直接表示されるようになってきてい*18:Paradigm社プレスリリース、http://www.paradigmgeo.com/objects/pdf/PR6_AFE_7June.pdf*19:Measurement While Drilling:各種地層・坑内機器情報を掘削中に地表に伝送する方法。*20:Logging While Drilling:従来、掘削後のみに行われた物理検層を掘削中に実施し、地層の物性情報を地表に伝送する方法。77石油・天然ガスレビューAナリシス12)。曲面スクリーンを用いた場合には、表から3台の投影機を用いての投影が一般的である。各投影機からの映像の周辺重複部分がブレンドされ、つなぎ目の分からないプロジェクターが使われる。最近の平板型画像表示装置の大型化・低価格化と、前述したコラボレーション・チームの少人数化から、今後はスクリーンを使わず、平板型画像表示装置を使う場面も多くなることが予想される。る。あたかも、イージス艦の統合作戦司令室の様相を呈する*21。漓スクリーンある程度の人数の技術者の意識がバーチャル空間に入り込む必要があることから、一定程度大きな画面(垂直方向3?4m、横の広がり10?15m)が必要である。また、一般的には平面画面ではなく、観察技術者の視点からスクリーン各部が等距離に近い曲面が用いられることが多い。曲面スクリーンの視野角は、人間の視野と同じ150°前後に設定されることが多い。しかし、最近は需要件数の増大と機動性の良さから、少人数で数メートル四方の画面を見ながら意思決定を行うような、小型のファシリティーも普及してきている。とくに3次元表示の機能においては、2004年度のSEGでは、図11に示されるような3次元空間に立体の物体が浮かぶような表示システムなども紹介されていた。将来的には、ホログラフィー技術*22を用いた完全立体画像表示が主流になるものと思われる。滷投影機最近、プラズマ、液晶などの平板型画像表示装置が急速に普及してきた。しかし、デジタル・オイルフィールドでは大画面が必要なことから、現状では投影機をつかって、スクリーン上に結像させるのが一般的である。投影は、スクリーンの表側と裏側から投影する場合がある(図3 6 4 5 2 1. 前室 2. スクリーン 3. オペレータ操作盤 4. 技術者操作 盤 (ダッシュボード) 5. 機器室 6. 参加 者 (コラボレーター)席 出所:米国SEGでの展示を筆者撮影図11ホログラフィーの表示例1 スクリーン ミラー スクリーン 出所:"Offshore"2002年2月号(http://www.cseg.ca/recorder/pdf/2002/06jun/jun02_06.pdf)を参考に筆者作成出所:"Offshore"2002年2月号(http://www.cseg.ca/recorder/pdf/2002/06jun/jun02_06.pdf)を参考に筆者作成図10一般的な大型3D?VRルームのレイアウト図12スクリーンへの前・後面からの投影概念*21:ビジュアル・ルームの技術者の前のコンピュータ装置を慣用的にダッシュボードと呼ぶこともある。前方の大型スクリーンがフロントグラスの前方に広がる景色、手前のモニター類が自動車メーター類、キーボード・マウスがハンドルと、あたかも自動車のダッシュボードに見立てたもの。*22:ホログラフィー(holography)物体に当たった光を特殊な方法で記録した感光剤(ホログラム)に別の光を当てることにより、物体の立体像を再現する光学技術。1948年にイギリスの物理学者ガボールによって開発された。光源にはレーザー光線が用いられることが多い。2005.11. Vol.39 No.678fジタル・オイルフィールド時代の到来 ?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?盪ハードウェア(コンピュータ)1,000ドルでどの程度のコンピュータ能力が買えるのか? 図13には、その解を対数グラフで示している。このトレンドは今後も変わらず、より速く、より良く、より安く、である。今後の20年間で、コンピュータ能力は1億倍となることが予想されている*23。さらに、データのストレージ量は、この能力の増大をも上回って進展している。ある国際石油企業の例では、2001年の同社の記憶ディスク容量は180TBであったが、それは1993年の同社の200倍にあたる。さらに2002年には160TBの増設が行われている*24。Shared 搭載しており、InfiniteStorage TP 9500は、Storage Area Network(SAN)、InfiniteStorage FilesystemCXFSTM、Data Migration Facility(DMF)が、先立って導入された100TBデータベースへのリンクを行っている。Totalはこの導入によって、世界の石油企業の中でも最も先進的かつ大容量、最速のデータ・ビジュアリゼーション・システムを有することになったが、同社幹部は2005年8月現在掘削中のプロスペクトについて、2PB(ペタ・バイト:peta=1015倍、1,000兆倍、1000テラ)のデータを処理するとしている。高速大容量のハードウェアの普及にとって、低価格化と高性能化が重要な役割を果たしている。SGI社は、エネルギー業界では、今後ますますコンピュータや映像化が加速されるとの見通しを持っている。東方地球物理公司)に対して、同社の主力データ・サーバーSun Fire獏V20Zを納入した*27。2004年11月のこの導入によって、BGPは既存の4,000CPU体制から、1,600のCPUを追加したと言われ、物理探査データの処理では中国随一となった。BGPの主使用目的は、地震探鉱データ処理用であるが、一部解釈用にも使用されている。蘯ソフトウェア有力な3次元地震探鉱データの解析ソフトが、ソフトウェア・ベンダーより提供されている。主要なものは、Schlumberger社のGigaViz獏、HalliburtonグループのLandmark社のGeoProbe獏およびParadime社のVoxelGeo獏などである。ハードウェアのこの変化は、有名なムーアの法則*25にのっとったものであるとも言える。近年、64ビットCPUを搭載したクラスタ・コンピュータと大規模容量サーバー、これらを統合するデータ・マネージメント・ソフトウェアの組合せが、大量のデータ処理コンピューティングの基本となっている。SGIは、2004年10月にTotalの探鉱・開発部門(フランスPau)に最新鋭のサーバーシステムを納入した*26。6台のSGI Altix獏と48台のTB以上の記憶容量をもつSGI InfiniteStorageの組み合わせである。Totalの導入意図は、地下状況をより詳細に再現することによって、掘削のチャンスを広げることにあるという。SGIにとっても、商業目的での最大の導入先である。SGI Altix獏3000システムは、64ビットのIntel Itanium獏CPUを一方、Sun Microsystemsは、中国CNPCの子会社であるBGP(中国石油ただし、これらのソフトウェアは、ソフトウェア・ベンダーごとにその守$1,000 buys: 出所:Wood T., Visualizing the Future: The Upstream Industry Unleashed by Technology(http://www-1.ibm.com/industries/cpe/download0/22030/chemical_visualizing.pdf)を編図図13コンピュータの発達*23:Visualizing the Upstream Future, Tony Wood. http://www.can.ibm.com/industries/ca/en/chemicalspetroleum/petroweb/pdf/p13882visualizing.pdf*24:同上*25:Moore's law:1965年に、Intel社の設立者であるGordon E. Moore(ゴードンムーア)が唱えた半導体技術の進歩に関する経験則で、「半導体素子に集積されるトランジスタ数は、24カ月で倍増する」という経験則による半導体技術の進歩に関する予測。最近では、パソコンの(CPUの)処理能力はおよそ1年半ごとに2倍になり、処理能力が同じなら価格は2分の1になる、と言われている。(富士通HP:http: // www.fujitsu-webmart.com/mart/glossary_ma/05-0308.htmlほか)*26:SGIプレスリリース:http://www.sgi.com/company_info/newsroom/press_releases/2004/october/total_seg.html*27:Sun Delivers High Performance, http://www.sun.com/amd/docs/PetroChina.pdf79石油・天然ガスレビューAナリシス備範囲が異なり、販売はさらに小区分されたモジュールごとになされているので、その使用目的に合わせて各種組み合わせが可能である。これらのソフトウェア(一部モジュール)については、表2に示す。表2主要探鉱・開発ソフトウェア・ベンダーの製品構成主な目的会社別地震探鉱データ解釈地質モデル化3次元ビジュアル化LandmarkParadigmSchlumbergerGeoProbe獏、PowerView獏、SeisWorks獏などVoxelGeo獏、SeisX獏などGigaViz獏、IESX獏、Charisma獏などPetroWorks獏、StratWorks獏などGeoScene獏、iMap獏などInterractivePetrophysics獏、Petrel獏などOpenVisionTMReservoir Navigator獏Inside RealityTM地質モデルと掘削データとの対比、掘削デザインWellborePlannerTMなどDirectorGeo獏などOspreyRisk獏などデータ・マネージメントOpenWorks獏PowerExplorer獏EPOSTMGeoFrame獏Finder獏それぞれの会社の製品は、Schlumberger Ltd.、Halliburton International, Inc.、Paradigm Geotechnology BV.の米国およびその他の国における商標または登録商標である。4.3D?VR適用事例石油開発においては、様々な分野の技術者が関与しており、それらの技術者の意識を統一して、高精度かつ迅速に意志決定をするためには、3D?VR技術は不可欠となりつつある。適用例の多くは、図14に示されるような形態であり、各技術者から得られた結果を3D?VR環境に表示し、コラボレーション的な意志決定を実現することを目的にしている。さらに、図7に示されるように掘削/生産している状況のモニタリングデータに取得表示し、さらにはデータセンターを活用して既存データとモニタリングデータを3D?VR上にリアルタイムに重ね合わせて表示することも実施している。図15*28は、最新のソフトウェアでの表示例であり、地下空間をリアルに表示している。この表示は、2003年の初頭においては最新のLandmark本社(ヒューストン)のコラボレーション・ルーム(8CPU、SGI*29)を用いて実施されたものである。しかし、現在ではデスクサイドレベルのLINUX?PCでも同マネジャー ポートフォリオ環境 コラボレーション 環境 地質技術者 物理探査技術者 油層技術者 掘削技術者 フェイズ1:アセットチーム環境にコラボレーション 環境を活用してマネジャーがデシジョン フェイズ2:ポートフォオ環境にコラボレーション 環境を活用してマネジャーがデシジョン 出所:Landmark社プレゼンテーション資料をもとに筆者作成アセットチーム環境 図143D?VR環境を用いた意思決定の経路*28:Hart's E&P 2004年1月*29:Silicon Graphics, Inc.、本社は米国カリフォルニア州、マウンテンビュー、2002年の売上高は13億ドル、世界50カ国に事業拠点を置いている。同社は、数字と文字しか扱えなかったコンピュータの世界にコンピュータ・グラフィックス(CG)という革命的なビジョンを創り出し、新しいマーケットを創出して急拡大した会社である。2005.11. Vol.39 No.680fジタル・オイルフィールド時代の到来 ?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?出所:Hart'sE&P、2004年1月号より引用図153D?VR環境での地質・坑井表示例等のことが実現できるようになってきている。盧続々と整備を進める石油企業前述の通り、当初、このシステムはメジャー系企業を中心に普及した。その原因は、ハードウェアの価格が、日本円に換算して1億円を大きく超える高額であった(1998年頃)からである。しかし、その後急速に価格の低下があり、現在では有力インデペンデントばかりでなく、中小石油企業、産油国国営石油企業も続々と導入している。対応が遅いとも思われるアジア諸国でも、Landmark社の導入実績のみで、中国ではCNPCグループを中心に2カ所、またインドはMumbaiにVRセンターを有する。東南アジア産油・ガス国では、マレーシアのKuala LumpurとMiriにそれぞれ1カ所、インドネシアでもJakartaに2カ所のVRセンターがある。韓国も、小規模ではあるが石油探鉱・開発用の1カ所のVRセンターを有している。もはや、新興産油国に対してもこの程度の自社ファシリティーを持たない石油企業は相手にされないとも言えるが、日本の上流業界の対応は遅れている。漓BP当然のことながら、その他のスーパーメジャー同様、BPも、3D?VRを「当たり前」の技術として使用している。とくに米コロラド大学(Universityof Colorado at Boulder)には同社の名前を冠した研究施設“BP Center forVisualization”を開設し、最前線の研究開発を実施している。同センターは極めて先進的な研究を行っており、地下環境のバーチャル化などの研究のほかに、航空機、医学関連のバーチャル化の研究も行っている。なお、同センターへの出資者はBPのほか、ExxonMobil、Shell、Eni、Chevron、Anadarko(以上石油企業)、SGI、Landmark、Paradigm、Mercury*30、Fakespace、Earth Decision Science(以上、コンピュータ・メーカー、探鉱関連ソフトウェア・ベンダー)および軍事関係を主要業務とするLockheedMartinである。ハードウェアは、SGI Onyx獏3800で、同機は20基のCPU、20GBのメインメモリー、3.5TBディスク、IR3グラフィックシステム×4をもつものである(2002年現在)*31。同センターでは、現在7件のコンソーシアムによる研究やリサーチが行われている。主要なものは、DrillingVisualization Research Consortium(DVRC)、Geoscience InterpretationVisualization Consortium(GIVC)などである。DVRCは、各種地質、物理探査データを統合して坑井掘削計画を立案する。それだけでなく、予想される坑井障害等をビジュアル化することによって、開発が進んだ油田での回収率向上のための再開発等に使用し、掘削のコスト・リスク・時間を低減することをその開発目的としている。GIVCは、従来型の既存データのみをビジュアル化して表現するばかりで*30:http://www.mc.com/about/*31:Touysinhthiphonexay, K. et al.,2002: Immersive Drilling Planner in Gocad, http://www.colorado.edu/Research/bpVisCenter/Publications/IDPinGocad.pdf81石油・天然ガスレビューAナリシスなく、断層や地質構造の解釈を自動的に行い、その結果を表示するような新しいアルゴリズムにたつビジュアル化解釈を目指している。滷Total*32SGI社が、フランスPauに所在する同社の研究センターのビジュアルセンターのサポートを行っている*33。当初のビジュアル・ルームは5.8m×2.5mの平面スクリーンに、2台の投影機が後方から投影する形式のものであった。最近のハード導入については、前述のとおりである。TotalのPauビジュアルセンターのハードの充実には目を見張るものがある。澆Eni*34同社ではAVC(Advanced VisualizationCenter)と呼ぶ。2000年に最初の施設が本社役員室に設置されたが、需要増に応えるため2003年にはさらに小規模な3室を増設した。この映写システムは、150°(人間の視野と同じ広がり)のカーブしたスクリーンへ映写される。また、ステレオメガネを装着することによって立体視が可能である。小規模な3室は、後方からの投影スクリーンを採用し、立体視のできるものである。これらのAVCと子会社および現場等はデータ交換等で完全にリンクしている。潺クウェートKOC2003年11月にクウェートKOCは、同社のAhmadiオフィスに“3D VisualReality Center”をオープンさせた*35。この設置はSchlumbergerが請け負ったもので、8×2.3mの後方投影スクリーンで6台の映写機が設置されている。同社によれば、技術者のコラボレーションと意志決定の最適化を狙ったもので、同国の炭化水素資源の生産等の最適化を目指している。欧米石油企業の大手に続いて、有力産油国国営石油企業への導入が進んできた。産油国への参入を目指す企業は、こうしたデジタル・オイルフィールド技術が、必要な最低水準の技術レベルであるとの認識をもたなくてはならないものと思われる。潸中国企業中国Sinopecに機器を納入したChristieRecent Institutionsによれば*36、Sinopecは中国初のビジュアル・ルームを北京に作った。Christie社製のCPU3基を備えたDLP Mirage 6000プロジェクターを有する、視野角135°、3.6m×13mの大型スクリーンで90席を有する。データ処理はSGI Onyx獏3800で、ソフトウェアはLandmark社製Geoprobe獏である。Sinopecは、同社の中国東部の油田やオルドス盆地の複雑な地質状況下での開発に各技術部門の総合化を目指している。澁小規模企業の事例中小規模企業も続々このシステムを構築している。小規模企業としては、米国PioneerNatural Resources社が3D?VR技術を使用している先進企業として紹介されている*37。同社は、円換算純益350億円ほどの中堅独立系石油企業であるが、3次元地震探鉱の実施と、これらのビジュアル化による新しい探鉱プレイの創出に注力している。とくにメキシコ湾深海でのサブ・ソルトプレイに注目しており、3D?VR技術は同社の主要な戦力となっている。比較的小規模企業の例では、El Paso(上流部門)への導入について、同社の決断を詳細に報告したものがある*38。同社のIT戦略は全面的にSchlumbergerに依拠するもので、2001年の同社のCoastal Oil & Gas買収はトップレベルの構成フラクチャリング技術と構成刺激技術の入手を目的とし、その維持と、もともとは物理検層データの処理を迅速に行うことがリグ・レート負担などを軽減するものとして重要視されたからである。El Pasoの“iCenterTM”は、大型ビジュアル・ルーム×1、小型ビジュアル・ルーム×1および2室のInterACTTM・ルームからなる。ビジュアル・ルームでは、3Dワイヤレス・マウスが多用されている。同社のメキシコ湾の鉱区のほとんどと、南テキサス、ルイジアナの陸上鉱区の多くで3次元地震探鉱が実施されている。同社の32TBのデータはヒューストンに収蔵されており、“iCenterTM”化によって迅速に取り出すことが可能で、タイムロスを最小限にしている。InterACTTM・ルームは、ビジュアライズの必要のない坑井のリアルタイムの検層モニタリング、テスト、フラクチャリングの評価を行う。これまで遠隔地の坑井、例えば同社のオーストラリアの掘削坑井のMDT獏(ModularDynamics Formation Tester)検層を行うときは、同社のエンジニア2人をオーストラリアまで派遣していた。派遣にかかる旅費等、現地から米国までの電話代等は相当な額にのぼった。しかし、*32:http://www.sgi.com/pdfs/3216.pdf*33:http://www.sgi.com/company_info/newsroom/press_releases/2004/october/total_seg.html*34:Eniプレスリリース“ENI ADVANCED VISUALIZATION CENTER”http://www.eni.it/eniit/eni/servlet/view/eni/upload/press_center/picture_bank/tecnologie_avanzate/10_sala_nirvana/_27KJn_0_xoidcmWopk/AdvancedVisualizationCenter.pdf?lang=en&sessionId=7881297*35:http://www.industrialnetworking.info/news/1573.asp*36:http://www.christiechina.com/recentInstallations/virtualReality/sinopec/chinaPetroChemCorp_Christie.pdf*37:E&P*38:Oil and Gas Investor 2004年4月 17?20.http://www.oilandgasinvestor.com/pdf/DOF0404.pdf2005年1月 48?49.2005.11. Vol.39 No.682fジタル・オイルフィールド時代の到来 ?バーチャル・リアリティーが上流事業を大変革:普及が進む海外石油業界?このシステムの導入後は、現地派遣の必要はなくなり、iCenterTMのInterACTTM・ルームで、リアルタイムの情報を技術チームが見ながら、より良い迅速な判断ができるようになった。同社の得意とするフラクチャリングの設計は、今までの現場でのエンジニアの指示から、前述同様のiCenterTMを使用して、リアルタイムの情報収集により指示が出される。こうしたコスト削減によって、年間ベースで数倍の坑井掘削が可能になるとも予想されている。盪 産業用バーチャル・リアリティー展2005年6月22日(水)?24日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて第13回産業用バーチャル・リアリティー展が開催された。そのときの写真を図16?図19に示す。図17は、小さな画面表示のドライビング・シミュレータであり、図18は同じドライビング・シミュレータを湾曲した大画面で表示したものである。大画面で表示することにより、実際に車を運転しているのと同じ感覚を得ることが可能となる。本システムは、自動車メーカーのショールームや教習所で活用されているとのことである。図19は、偏光メガネをかけて立体視をしているもので、これにより3次元空間をよりリアルに見ることが可能となる。今回の展示では、製造業が多く、残念ながら石油開発にかかわるものは一つもなかった。次回には、石油開発にかかわる展示が現れることを期待したいものである。出所:筆者撮影出所:筆者撮影図16産業用バーチャルリアリティ展の会場風景図17ドライビング・シミュレータ:小画面表示出所:筆者撮影出所:筆者撮影図18ドライビング・シミュレータ:大画面表示図19立体視の様子83石油・天然ガスレビューAナリシス5.まとめIT化は十分に達成されていないと言わざるを得ない。業が大企業に伍していくためのサポート技術であると言っても良い。アニメーションやテレビゲームの制作は、今日では日本のお家芸の一つであるといっても過言ではない。また、CGや一部バーチャル・リアリティー技術は、世界の最高水準にあると言ってよい*39。しかし、石油鉱業が未だ産業界に十分に根付いていない環境等から、今まで述べてきたような日本の石油企業の3D?VR技術は、今後とも高性能低価格化の方向に向かうことが今までの経緯から予想される。導入するタイミングを早めると、高い買い物をしたにもかかわらず、すぐに陳腐化するおそれがあり、なかなか導入に踏み切れない面もある。IT技術利用の潮流は、もはや大企業だけの世界ではない。むしろ、中小企石油開発において、本技術の導入により多大な効果を得ている現状や、大手国際石油企業ばかりでなく欧米の中小石油企業、また産油国国営企業が本技術を導入している状況、3D?VR環境の低価格化を考えると、日本国内においてももっと普及しても良い時期が到来していると考えられる。本文章中(図表は除く)における各社製品の商標および登録商標については以下の通りである(会社名ABC順)。OpenInvoiceは、Digital Oilfield Inc.の米国およびその他の国における商標である。GeoProbe、Landmarkは、Halliburton International, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標である。Itaniumは、Intel Corporationの米国およびその他の国における登録商標である。Oracleは、Oracle Corporationの米国およびその他の国における登録商標である。Reservoir Navigator、VoxelGeoは、Paradigm Geotechnology BV.の米国およびその他の国における商標または登録商標である。GigaViz、iCenter、InterACT、MDTは、Schlumberger Ltd.の米国およびその他の国における商標または登録商標である。CXFS、SGI、SGI Altix、SGI Onyx、SGI Originは、Silicon Graphics, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標である。Java、Sun Fireは、Sun Microsystems, Inc.の米国およびその他の国における登録商標である。Sybaseは、米国Sybase, Inc.の米国およびその他の国における登録商標である。著者紹介高市 和義(たかいち かずよし)愛媛大学では、加藤元彦先生の指導の下、「石油開発のための重磁力データ解析」の指導を受ける。卒業後は、1986年センチュリリサーチセンタ株式会社(現:株式会社CRCソリューションズ)入社。入社後は、石油開発の為のソフト開発/データ処理あるいは海外ソフトウェアの販売/保守を実施してきた。現在は、株式会社CRCソリューションズ/科学システム事業部/地球科学部/地球物理チーム長。愛媛県松山市出身44歳。趣味は、海釣り。家族は、妻、一男。石田 聖(いしだ ひさし)専門は構造地質、石油地質。1978年石油公団入団。中国、インドネシア、オーストラリアほかの探鉱作業等、石油探査技術の研究・開発に参画。2004年3月より現職。海外駐在は、中国2回、中東(バハレーン)。*39:http://www.toppan.co.jp/aboutus/release/article0057.htmlhttp://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/07/30/08.html2005.11. 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