ページ番号1006205 更新日 平成30年2月16日

石油天然ガスのトリビア(その 2 ) ~ちょっとした疑問、質問にお答えします~

レポート属性
レポートID 1006205
作成日 2006-01-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 エネルギー一般
著者
著者直接入力 森島 宏
年度 2006
Vol 40
No 1
ページ数
抽出データ エッセーJOGMEC 石油・天然ガス調査グループmorishima-hiroshi@jogmec.go.jp森島 宏石油天然ガスのトリビア(その2)?ちょっとした疑問、質問にお答えします?本誌前号(2005年11月号p.85-92)では、以下のご質問にお答えしました。1. API比重2. エッソタイガー3. ワイルドキャット4. ユノカル765. BTU6. 第三紀と第四紀7. オクタン価とセタン価8. シェブロンとトタール9. メタンガス10. LNGとNGL引き続き、今回も、いくつかのご質問にお答えします。11. 油田とガス田質問:なぜ、同じ地下から湯を採っている温泉は「湯畑」と呼ぶのに、石油やガスには油田、ガス田と「田」が用いられるのか。回答:一方、日本語では、「田」はもっぱら稲を栽培する水田を指し、野菜などを栽培する畑と区別して使っています。草津温泉などでは、源泉から出てくる湯をいったん緩い傾斜地に導いて硫黄などを採取する場所を設け、湯畑と呼んでいますが、これは湯の花と言われる硫黄の採取地を花畑に見立てたものではないでしょうか。英語では、油田、ガス田は、oil field、gas fieldというように、fieldを用いています。辞書によると、fieldは本来、「一定の広がりをもつ場」を指し、野原、畑、牧草地、現場などと並んで、天然資源の産出地としての意味も記載されています。さて、中国語では、人が耕し、栽培する所は、稲でも野菜でも区別せず、すべて田を使っています。例えば、「うりばたけ」は、「瓜田(かでん)」です。なお、「畑」は、日本で焼畑の意味で創った漢字です。漢和辞典には、「田」の意味として、「(植物以外の物でも)何かを生み出す土地」も記載されており、例として、炭田、塩田、票田が挙げられています。塩田は地表ですが、炭田は地下に炭層のある地域であり、票田は選挙の支持が多く得られる地域を田地に例えて言ったものです。油田、ガス田の場合は、炭田の場合と同じ使われ方です。したがって、油田、ガス田に田を用いるのは、中国語の一般的な使い方に沿ったものということができるでしょう。語の意味から言うと、日本語の田が一番狭く、中国語の田が中間で、英語のfieldが一番幅広い意味を持っていることになります。12. 独立系質問:石油会社はみな独立した会社なのに、なぜ一部の会社を独立系と呼ぶのか。回答:独立系の会社というのは、independentcompanyの訳で、米国における石油産業の歴史の過程で生まれた言葉です。英語のindependentは独立したと言う意味の形容詞ですが、何から独立しているのかというと、もともとは、スタンダードグループに属していない、非スタンダード系であるという意味でした。良く知られているように、スタンダードグループは19世紀の半ばに米国に生まれた近代的石油産業において、最大の勝利者となったジョン・ロックフェラーが一代で創り上げた世界最大の企業グループです。ドレーク大佐がペンシルベニア州で最初の石油井戸を掘り当てた1859年、ロックフェラーはオハイオ州のクリーブランドで、石油仲買店を始めました。誕生当時の石油産業は、中小の業者が乱立して過当競争が起こり、また需要と供給がアンバランスで油価も常に不安定であり、粗悪な石油製品も横行し、混乱を極めていました。ロックフェラーは堅実に事業を発展させ、1863年には自前の製油所を建設65石油・天然ガスレビューGッセーし、その製品の品質を保証すると言う意味をこめて、「スタンダードオイル」と名付けました。さらに、ロックフェラーは、市場の独占こそが事業安定のもとであるとの信念から、まず輸送部門の独占を図り、これをてこに製油所の買収や併合を進めて、1879年には国内精製能力の90%を支配下に収めるまでになりました。ついで生産業者の統合を進め、1982年には、39の石油企業を束ねるスタンダードオイルトラストを設立しました。これに対し米国では、同業者や世論の反発が高まり、1890年には独占禁止法が成立しました。また、1901年のテキサス州のスピンドルトップ油田の大噴油をきっかけに、後にメジャー石油企業になるガルフ石油とテキサコの二大企業が生まれましたが、スタンダードグループの独占的地位は揺るぎませんでした。しかし、1911年、ついに米国最高裁判所はロックフェラーにトラストのすべての子会社を手放すように命じました。その結果、同グループは33の会社に分割されました。それらは、スタンダードオイルオブニュージャージー(後にエクソン)、同ニューヨーク(後にモービル)、同カリフォルニア(後にシェブロン)のほか、アモコ、コノコ、アーコ、ソハイオなど、メジャーやそれに次ぐ強力な石油企業となりました。これらの会社は、米国の石油産業において主要な地位を占め、分割後も、その経緯からスタンダード系と呼ばれました。これに対して、スタンダードグループ外の会社を独立系と呼びました。1890年にカルフォルニアで石油開発を始めたユノカル、1917年フィリップス一族の創業によるフィリップス石油、1920年設立のオクシデンタル、1930年代ポールゲッティが創業したゲッティオイル、ハント一族によるハントオイルなどの各社は比較的大手で、その名も知られていますが、独立系の多くは中小企業です。テキサコとガルフ石油は、それぞれその後事業を発展させ、精製事業をも行う上流下流一貫操業の国際石油企業となったので、非スタンダード系ではありますが、メジャーと呼ばれるようになり、独立系とは呼ばれませんでした(両社とも現在はシェブロンにより吸収)。したがって、独立系という名称は、米国内において、歴史的には当初非スタンダード系を意味しましたが、その後は、メジャーと対立する概念として、多くは国際的でなく、また上下流一貫操業でない石油開発企業を指すようになりました。独立系会社のいくつかは、メジャーを含めた80年代、90年代の石油業界再編の動きの中で、合併、吸収の対象となり、消えていきました。13. 12Aと13A質問:都市ガスの12Aとか13Aなどの数字とアルファベッドは何を表すのか。また、LNGは何に当たるのか。回答:12Aや13Aは、都市ガスの燃料としての特性を、数字とアルファベッドの組み合わせで示す記号で、一般に、数字の多い方が熱量の多いことを示しています。都市ガスなどの燃料としてのガスの最大の特徴は、気体であるために、燃焼用の空気との混合を通じた燃焼コントロールが最も容易である点です。したがって、その利点を最大限に生かすには、空気との混合度合いの調整が極めて重要となります。ガスは、原料の違い、製造法の違いなどで組成が異なり、燃焼速度が異なります。さらに、供給圧力や機器の違いなどにより、安定した燃焼に最適な空気量が異なってきます。燃焼が安定するには、図1に示すように、空気と混合されたガスがノズルから噴出する量と、その混合ガスが燃焼する速さとが釣り合っていることが必要です。つまり、混合ガスの供給される量と、燃える速さとがちょうど釣り合っているとき、炎は安定します。しかし、混合ガスの供給の方が多いと、燃焼が追いつかず、炎はノズルから上へ離れていき、消えてしまいます。一方、混合ガスの供給量が少ないと、燃焼が速くなりすぎて、炎は逆にノズルの中へ入ってきて、危険な「逆火」状態になります。燃焼速度混合ガスの噴出速度混合ガスの噴出速度と燃焼速度とが釣り合っていると、炎は安定する。混合ガスの噴出速度が燃焼速度より大きいと、炎は上へ離れて消える。混合ガスの噴出速度が燃焼速度より小さいと、炎はバーナーの中へ侵入する(逆火)。図1燃焼の安定2006.1. Vol.40 No.166ホ油天然ガスのトリビア ?ちょっとした疑問、質問にお答えします?都市ガスには、歴史的に、様々な原料が用いられてきました。石炭ガスから始まり、石油やLPG、そして現在、主流は天然ガスへと移りつつあります。我が国においても、天然ガスへの転換が近年かなり進みましたが、すべての都市ガスが天然ガスに転換するには至っていません。したがって、我が国の都市ガスには、様々な燃焼速度を持つガスがありうることになります。このうち燃焼速度は、ガスの組成(ガスを構成する分子の種類とそれらの比率)によってのみ、決定されます。その速さを示す指標が、燃焼速度指数MCP(Maximum Combustion Speed)で、メタンでは30?40センチメートル/秒、水素では250?300センチメートル/秒などとなっています。混合ガスのMCPは、成分ガスのMCPの加重平均となります。日本のガス業界では、MCPを定性的に、遅いA、中位のB、速いCの3段階に分類しています。これが、都市ガス燃料の規格についているアルファベット部分の示す意味です。これによると、メタンはA、水素はCとなります。もう一方の要素、ガスと空気の混合ガスの噴出量Qは、ガスの圧力やノズルの口径が大きいと増え、ガスの比重が大きいと減少します。これを式で表すと、Q=(ノズルの口径の二乗)×(ガス圧力の平方根)/(ガス比重の平方根)となります。本来、利用者の立場からすると、一つの燃焼機器で、ノズルから噴出するガスと空気の量を調整するだけで、安定した燃焼条件を得られるのが望ましいことです。しかしながら、それはこれまで述べたように、種々のガスの間には燃焼速度の極めて大きい差があるので、現実には困難です。したがってこれに対処するには、ガスの種類に応じた燃焼機器を種々用意せざるを得ません。しかしそのような場合であっても、利用者およびガス機器メーカーにとって、ガスの種類ができるだけ少なく、かつその性質が一定しているに越したことはありません。そこで都市ガス業界は、供給するガスを、燃焼特性によって、実用上最小限の種類に絞り、規格化しています。規格化に当たっては、ガスの燃焼状態を決定する二つの要素、燃焼速度とガスの噴出量を決める必要があります。ガスの燃焼性能を比較するとき、実際の燃焼機器を利用する立場からは、単位体積当たりの熱量Hで比較するより、一定の圧力下で一定のノズルから単位時間に供給される熱量で比較する方が、実用に則しています。すなわち、実際の燃焼機器における発熱量がガスの比重によって変動することを考慮し、これを含めた熱量指数をウオッベ(Wobbe)指数と定義して、用います。ウオッベ指数はH/(ガス比重の平方根)で表されます。これにより、例えば、メタンのウオッベ指数は、H=9,537キロカロリー/ノルマル立方メートル、比重0.5547(空気1に対して)より、12,805となり、プロパンのウオッベ指数は、H=24,230キロカロリー/ノルマル立方メートル、比重1.5496より、19,463となります。実は、日本のガス業界で用いているガス規格12Aや13Aの数字の部分、12や13は、このウオッベ指数の1,000分の1に当たるものです。このガスを燃焼した際の単位時間当たりの総発熱量Iは、混合ガス量Qに単位体積当たりのガスの発熱量Hをかけたものとなります。すなわち、I=H×Q=H×(ノズルの口径の二乗)×(ガス圧力の平方根)/(ガス比重の平方根)=(ノズルの口径の二乗)×(ガス圧力の平方根)×(H/(ガス比重の平方根))したがって、これらを用いて天然ガスの規格を表すと、燃焼速度指数がA(遅い)に分類されるメタンを主成分とし、ウオッベ指数が12,000前後のLNGガスは12Aとなり、それにエタンやプロパンを加えた、あるいは始めからエタンやプロパンの含有率が高いウオッベ指数が13,000前後のガスは、13Aということになります。14. バレル質問:石油産業ではなぜバレルと言う妙な単位を使っているのか。バレルは樽だが、ドラム缶とは違うのか。回答:まず、「バレル」とは、英語の「barrel」、樽のことです。近代的石油産業は、19世紀の半ば、米国で発足しました。当時、生産された原油を運搬するのに、酒などの液体を入れる容器としては最も一般的だった木製の樽が用いられたので、売買取引は、樽単位で行われるようになり、その結果、バレルが石油産業の標準単位となったわけです。れていた単位系は、英国で発展したヤードポンド系でしたので、単位系がメートル法に変われば、半端な数字になることはありうることです。しかし、1バレルは、ヤードポンド単位における容量、ガロン(約3.8リットル)で計っても、42ガロンという中途半端な数字です。さて、1バレルは、メートル法では159リットルという中途半端な容量ですが、その理由は、当時、米国で用いらその理由については、いくつかの説があります。石油産業誕生初期、原油輸送に用いられた木の樽は、50ガロン67石油・天然ガスレビューGッセー入りでしたが、木樽を運ぶ運送業者の取り扱いが乱暴で、運搬の途中でこぼれて、平均42ガロン位に目減りしてしまうことが多かったので、そうなったという説があります。あるいは、40ガロンを売買単位としたが、目減りを考慮して、売り手の方で少し余分に(+5パーセント)詰めるという取り決めが行われたので、42ガロンになったという説もあります。しかし、ダニエル・ヤーギンは、彼の有名な著書「石油の世紀」の中で、この数字が英国に由来するとして、1482年、エドワード4世の時代、魚を積み込む際の不正やいろいろのごまかしをなくすために、ニシン用の標準サイズの樽として42ガロンを制定したとの事実を紹介しています。すなわち、19世紀の米国では既に42ガロン詰めの樽が規格の一つとして流通しており、1866年にペンシルベニアの石油生産業者達が、正式に標準の樽を制定するとき、この樽を採用したという訳で、どうやらこの説が当たっているようです。が行われるようになりました。その際の単位は、古くから我が国で穀物などを計るのに用いられていた石(こく)が用いられました。ドラム缶は、鉄板で造られた大型の缶で、太鼓の形に似ているので、ドラム缶と呼ばれています。20世紀の初め、アメリカのネリー・ブライ女史が考案し、それ以来、木製の樽に代わって、石油の輸送容器として、広く用いられるようになりました。国や目的により種々の大きさのものが造られましたが、米国では50ガロン(約190リットル)が主流でしたので、バレルより、2割ほど多くなっています。また、日本では、200リットルが標準でしたので、さらに少し大きくなっています。我が国においては、明治になって石油産業が始まると、原油の生産や販売1石は180リットルですが、その容積が、米国のバレル(159リットル)やドラム缶(約190リットル)の容積に近いのは、もともとヤードポンド法の寸法も、尺貫法の寸法も人体の寸法を基に作られたものだからでしょう。ところで、バレルの表記としては、略号として、「b」とともに、「bbl」が用いられます。しかし、英語の樽を表す「barrel」のスペルの中には、bは1文字しかありません。もう一つのbは、どこから来たのでしょう。これについては、油を入れた樽には、酒などを誤って入れないように青いペンキを塗ったので、blue barrelと呼ばれたことに由来すると言われています。度4センチポアズ程度の軽質、低硫黄(0.24重量パーセント)などで、テキサス・レールロード・コミッションという機関が、関連会社とともに管理しています。この混合原油は、軽質(ライト:light)ではなく、中質(インターミディエート:intermediate)と呼ばれています。その理由については、各種0500km1000のカンニュュニ ー州オオ州州州州州州州テキキサスサ 州州15. WTI質問:米国産の代表的原油WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)は、軽質原油(ライト)なのに、なぜ、中質、中間を意味するインターミディエートと呼ばれるのか。回答:WTIとは、West Texas Intermediateの略称で、そのまま訳すと、テキサス州西部地域の油田で採れる中質の原油と言う意味です。実際には、特定の油田から採れる原油ではなく、同地域およびニューメキシコの複数の油田地帯を中心に、各地からのパイプライン網を通じて、オクラホマ州のカッシングという集荷地へ集められた各種原油の混合物です(図2)。その規格は、比重API度39前後、粘454035302520 NEquidistant conic projectionEquidisstp110115W出所:JOGMEC1051009590858075図2WTIの集荷所、カッシング2006.1. Vol.40 No.168ホ油天然ガスのトリビア ?ちょっとした疑問、質問にお答えします?文献を調べ、さらにテキサス・レールロード・コミッション、米エネルギー省、API(米国石油協会)、NYMEX(ニューヨーク商品取引所)など関係者にも問い合わせましたが、残念ながら、現在までのところ、はっきりした回答は得られていません(*読者の中で、この間の事情につきご存知の方があれば、ぜひお教えください)。各種情報を総合すると、WTIの命名は相当古いようで、テキサス西部で原油が発見された時代までさかのぼるようです。現場の人達が、全米や世界の一般的な品質基準を知らずに、テキサスでそれまで発見された何種類かの原油の中で、比重、粘度、硫黄分などの性質が平均的であるということで、インターミディエートと名付けたようです。ところで、WTIが注目されるようになったのは、80年代の後半、石油の価格が市場によって決定されるようになってからです。石油の価格は、近代的石油産業が19世紀の半ば、米国で誕生して以来、何度も大きな変動を繰り返してきました。第二次世界大戦後しばらくは、メジャーが世界の石油産業を支配し、石油価格を低く抑えて来ました。これに対し、産油国側は、OPECを結成して対抗して来た結果、70年代の2度のオイルショックを通じて、決定権を握りました。しかし、それは長く続かず、80年代の半ばからは、次第に市場が力を持つようになりました。石油の商品化が進み、スポット取引が中心になってくると、売り手も買い手も価格の不安定な市場のリスクを軽減するため、先物取引を導入するようになりました。世界最大の石油消費国である米国では、1983年にニューヨーク商品取引所(NYMEX)において、原油の先物取引が導入されました。その際、指標として選ばれたのがWTIです。WTIは、生産量が多く、軽質、低硫黄で、ガソリン留分が大きいことなどにより、取引量も多く、売買も容易で、米国の石油価格を代表するのに最適であるとされたためです。今日、WTIの先物取引は投機筋の対象となり、その量は実需の10倍、時には100倍にも達することがあり、必ずしも市場の安定には寄与していない面もあります。ダウ平均株価、金価格、通貨換算率などと並んで、WTIの価格は世界経済の動きを示す重要な指標の一つとなっています。なお、世界的な指標となっている他の原油としては、北海原油のブレント、中東原油のドバイなどがあります。ブレントは、ロンドンの国際石油取引所(IPE)で売買されていますが、IPEによれば、世界の原油取引の3分の2では同原油を指標として値決めが行われるとしています。16. シェル質問:アンド・トレーディング・カンパニーと名付けたことから始まりました。シェルは、英語のshell(貝)に因むシェルは石油会社なのに、なぜものです。「貝」を会社名にしたのか。サミュエル兄弟の父親は、1833年、ロンドンで小さな骨董品店を開業しました。東洋産の貝殻細工に着目して販売したところ、人気を集め、定期的に輸入するまでになり、これを核に事業は輸出入一般へと発展していきました。回答:シェルは、英国系とオランダ系の合弁した石油のスーパーメジャー企業であるロイヤルダッチシェルの、英国側の会社です。実は、同社の歴史には、日本も大きくかかわっています。以下に、昭和シェル株式会社から提供された資料などから、そのあたりの事情を紹介しましょう。シェルという名称は、同社の創設者で、1870年代から英国と日本を本拠地とし、アジアと欧州の貿易業を幅広く営んでいた英国のサミュエル兄弟が、1897年に石油事業専門の別会社を設立し、これにシェル・トランスポート・69石油・天然ガスレビュー出所:JOGMECワシントン事務所撮影図3シェルのマークGッセーそこで、父親の事業を継いだサミュエル兄弟はこれを記念して、新会社にシェルの名を付けたのです。トレードマークにも貝を用いました。初代のマークはムール貝でしたが、二代目以降は、現在と同じ帆立貝となっています(帆立貝のデザインそのものは、その後、幾度も変更されてきています)。さて、日本においては、1876年、横浜にサミュエル商会が設立され、幅広く事業を展開していましたが、次第に石油製品の取扱量が増大してきたため、1900年に石油部門を独立させ、ライジングサン譁を設立しました。これ以降、ライジングサンは、シェルの日本における子会社として、各地に油槽所、給油所等を設置し、輸入、販売を拡充してきましたが、第二次世界大戦の開戦後、敵性財産として国に管理されます。戦後の1948年、ライジングサンは会社機能を再開する際、商号をシェル石油株式会社に変更しました。したがって、日本におけるシェルの商標使用は、戦後になってからです。17. 天然ガス質問:石油もガスも天然資源なのに、なぜガスだけが天然ガスと呼ばれるのか。回答:たしかに同じ天然資源であるのに、一方を単に石油(oil)と呼び、他方を天然ガス(natural gas)と呼んでいますが、この違いは、二つの資源を取り扱ってきた産業の、発展の歴史の違いによるものです。どちらの産業の発展にも、産業革命以後発展してきた工業化社会において、特に都市生活において、強く求められるようになってきた照明が関係しています。まず、石油の方ですが、近代的石油産業は、良く知られているように、1859年に米国でドレーク大佐が灯油の原料である石油を、井戸を掘削して地下から採取したことに始まります。一方、ガス産業の始まりは、やはり照明が関係していますが、石油より早く19世紀の初め、欧米の各都市にガス灯の燃料ガスを配給する都市ガス会社が発足したことから始まります。都市ガスの燃料は、産業革命の原動力となった石炭を乾留してコークスを製造する際に副生する石炭ガスが主流でした。ガスの原料としての石炭の利用は、比較的早くから天然ガスを用いるようになった米国を除いて、欧州やアジアなど世界の都市において、第二次世界大戦後まで続きました。戦後、石油産業が大きく発展すると、都市ガスの原料として、石油や液化石油ガス(LPG)も用いられるようになってきましたが、ガス産業にとって何と言っても大きな出来事は、天然ガスへの原料転換です。米国では、既に第二次世界大戦の前から、長距離パイプラインの普及により、国内に豊富にあった天然ガスの大規模利用が始まっていました。欧州では、戦後フランス、イタリア国内でのガス田発見を契機としてパイプラインの敷設が始まり、ついで60年代になって北海や北アフリカで発見されたガス田からのパイプラインやLNGによる国外からのガス輸入、さらにはロシアからのパイプラインによるガス輸入により、パイプライン網が整備され、天然ガスへの転換が行われて、本格的な天然ガス時代へと移行していきました。これに対し、国内や近隣に大きなガス田の発見されていなかった我が国においても、70年代になるとようやく実用化された液化技術を用いたLNG船による天然ガスの大量輸入が開始され、その増大とともに、都市ガス原料の天然ガスへの転換も行われていきました。このように、現在でこそガスの主流は天然ガスとなっていますが、始めから地下の原油が主流であった石油産業と異なり、ガス産業においては地下から採取した天然ガスは後から登場したものであり、長い間、単にガスと言えば石炭ガスを指してきました。したがって、天然ガスを指すとき、石炭ガスや、石油からの合成ガスと区別するため、「天然」をつけて呼ぶ必要があったのです。今後天然ガス時代が続けば、いずれ単にガスと言えば、天然をつけなくても天然ガスを指すようになるでしょう。18. オイルとペトロリアム回答:ほぼ同じですが、異なっている部分質問:もあります。オイルとペトロリアムは違うのか。一般的には、オイル(oil)は、植物油、動物油および石油など、幅広く油類を意味するのに対し、ペトロリアム(petroleum)は、ギリシャ語のpetro(石)とoleum(油)に由来した言葉であり、地下資源としての炭化水素である石油を意味します。石油を表すのには、どちらの言葉を使うことも出来ます。2006.1. Vol.40 No.170ホ油天然ガスのトリビア ?ちょっとした疑問、質問にお答えします?しかし、厳密に言うと、石油産業においては、オイルは液体の石油、原油を指すのに対し、ペトロリアムは、液体の石油、原油のみでなく、固体のアスファルトおよび気体の天然ガスなど含むすべての炭化水素資源を指します。したがって、石油と天然ガスの両方を指す場合、oil and gasと言いますが、これと同じ意味を、petroleumと言う単語一語で表すことが出来ます。例えば、世界石油会議(WorldPetroleum Congress)は、天然ガス時代になって、セッションの多くは天然ガスを扱うようになってきましたが、組織名を変えていません。それはpetroleumと言う語が、天然ガスをも含んでいると考えているからです。また、石油会社で名称にpetroleumを用いている会社も、天然ガスの事業比率が大半を占めるようになっても、同様の理由で、名称を変更していないようです。読者の皆様へ2回にわたり石油天然ガスのトリビアをお届けしましたが、少しはお役に立てたでしょうか。もしこれらの他にも、皆様が日頃疑問に感じておられたり、気になることがありましたらご遠慮なく質問をお寄せください。調べてお答えしたいと思います。(著者)著者紹介森島 宏(もりしま ひろし)京都生まれ。京都大学理学部卒、同修士課程、博士課程修了(化学専攻)、同理学博士。75年石油公団に入り、同石油開発技術センター、中東事務所、天然ガス新石油資源室、譛石油開発情報センター(出向)などで勤務。98年日本ガス協会に入り、第22回世界ガス会議東京大会組織委員会に勤務。04年石油天然ガス・金属鉱物資源機構に入り、現在、石油天然ガス調査グループ業務チーム担当調査役。著書に『天然ガス新世紀』(2003年ガスエネルギー新聞刊)がある。趣味は、歴史探訪、スポーツなど。国分寺市在住。71石油・天然ガスレビュー
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2006/01/20 [ 2006年01月号 ] 森島 宏
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