ページ番号1006210 更新日 平成30年3月5日

アジア太平洋 LNG 市場の動向を探る

レポート属性
レポートID 1006210
作成日 2006-03-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 岡崎 淳 坂本 茂樹
年度 2006
Vol 40
No 2
ページ数
抽出データ JOGMEC 石油・天然ガス調査グループokazaki-jun@jogmec.go.jp岡崎 淳JOGMEC 石油・天然ガス調査グループsakamoto-shigeki@jogmec.go.jp坂本 茂樹アナリシスアジア太平洋LNG市場の動向を探る第1部 2005年の動きおよび今後の展望LNG市場は、現在大きな変貌期にある。これまでは、日本を中心とするアジア市場が圧倒的なシェアを占めてきたが、昨今の米国や欧州の需要の伸び、また、新たに中国やインドといった経済成長が著しい国々の需要の伸びが中長期的に見込まれており、ますますLNGの需要が高まってくることが、各種機関によって予測されている。一方で、アジア太平洋のみならず、中東やアフリカからのLNG供給も増加し、これらの地域は、日本とマーケットストラクチャーの違う欧米市場に着目している。このような、昨今変貌期にあるLNG市場について、2005年の動向を振り返り、特に価格高騰によって需要に急ブレーキがかかり始めたアジア市場の動向、契約面やビジネスモデルにおける動きと、日本の商社も含む上流側企業のLNG事業の将来を見通してみたい。なお本稿は、第1部を岡崎、第2部を坂本がそれぞれ担当した。1.2005年の世界のLNG市場まず、2005年の世界のLNG市場を振り返る。LNG FOCUSによれば、需要面では、第3四半期までの需要は前年同期比8.5パーセントの伸び率となっている。また、2005年通年ベースでの総需要は1億4,500万トンとなると見込まれている(2004年実績は約1億3,200万トン)。地域別には欧州市場の伸びが堅調であり、2005年第3四半期の輸入量は前年同期比約25パーセント増を示している。この要因としては、スペイン、ポルトガル、フランス、トルコ、イタリアの需要が堅調であったことが挙げられる。また、アジア市場については、日本の堅調な伸びを受け、前年同期比約5.4パーセントの成長率となっている。一方、米国を中心とした北米市場の輸入量は、欧州市場およびアジア市場の旺盛な需要のあおりを食った形で、カーゴの流入が減少しており、前年同期比6.7パーセント減少している(数字の出所はすべてLNG FOCUSに基づ29石油・天然ガスレビュー万トン12,00010,0008,0006,0004,0002,0000北米(注)欧州アジア2004年第1?3四半期2005年第1?3四半期注:北米とは、米国、プエルトリコ、ドミニカ共和国を指す出所:LNG FOCUS図1世界のLNG市場く)。遅延があった。2005年に起きた新しい動きとしては、欧州において最大のガス消費国である英国が、北海ガス田の生産減退および発電用等需要の拡大を受け、2005年7月に15年ぶりにLNGの輸入再開を行ったことが挙げられる。2005年第3四半期までの供給面を見ると、ナイジェリアLNGの第4トレイン(2005年第4四半期に稼働)、第5トレインの稼働遅延、エジプトのSEGAS、カタールのラスガス、オーストラリアの北西大陸棚事業(NWS)などの新たなトレインからの生産積み上がりのまた、稼働中のトレインでは、カタールガス、ナイジェリアLNG、トリニダードトバゴ、インドネシアのボンタンおよびアルンの油ガス田における定期点検や技術的トラブルなどにより生産が減少しており、供給が伸び悩んだ。現在、世界の実質的なLNG供給能力は、1億6,300万トンといわれている。2005年には、SEGAS LNGプロジェクト、ENLGプロジェクト(エジプト)、ラスガスⅡの第2トレインなどが操業を開始した。.今後のLNG市場について盧需給環境の見通し今後の天然ガス需要だが、EIA(米国エネルギー情報局)によれば2002年から2025年にかけて2.3パーセント/年の成長率を示し、2025年には世界の天然ガス消費量は156兆立方フィートに達すると予測している。今後の、LNG需要についても堅調な伸びを示すと予測されており、セディガスなどによれば、2020年のLNG需要は3億1,180万トン?3億7,970万トンに達するとされている。今後特に需要が拡大していくと予測されるのが米国で、日本を抜いて世界最大のLNG輸入国となることが見込まれている。アジア市場への質的なインパクトという点では、コスタアズル受け入れ基地など、北米西海岸の受け入れ基地の存在が大きな影響を及ぼしていくものと思われるが、これについては後述する。今後のアジア市場の需要見通しだが、日本や韓国の需要については引き続き堅調な伸びを示すと思われる。しかしながら、今後の市場を考えていくにあたっては、経済成長が著しい中国やインドの動向を無視するわけにはいかない。まず、中国だが、今後、都市部でのガス消費や発電部門での需要が増大するため、国産ガスだけでは将来の需要に対応できないとの見方が強い。中国政府は、不足分を輸入パイプラインガスやLNGにより賄うことを決定している。LNGについては、2004年に多数の受け入れ基地の建設計画が増強されており、2005年11月現在で建設中および中央政府承認済のプロジェクトは合計で8件に達する。インドにおける天然ガスの需給見通しだが、今後、ガスの需要量と国内生産量とのギャップが拡大していくものとみられ、不足分をLNGや輸入パイプラインガスで調達する必要がある。インドによる天然ガス調達については、当面、国産ガスの価格統制が継続される見通しであることから、需要家はまず国産ガスを使用し、次に、購入条件が有利なカタールのラスガスとの間で締結したLNGを選択するものと思われる。中長期的な見通しとしては、インドはLNGもしくは輸入パイプラインガスにより天然ガスを輸入する必要があるが、輸入パイプラインガスによる調達には膨大な資金が必要なことと、産ガス国およびパイプラン経由国との複雑な政治的問題があることから、現在のところ不透明感が強い。しかしながら、中国およびインドのLNG確保に対する姿勢は、日本または韓国とは異なることについては、留意が必要であろう。国内に十分な資源がない日本や韓国は、油価、ガス価にかかわらず石油、LNGを輸入する必要がある。しかし、中国は依然として石炭を豊富に産出することができる環境にあるということである。北京や上海など中国の都市部の消費者は高くても便利な都市ガスを選好する傾向があるが、一般的な消費者には強い価格志向があり、ガス価が高ければ、石炭からガスへの転換が進まない可能性がある。中国においては、昨今のLNG価格高騰により、石炭等、LNGと競合するエネルギーとの価格差が拡大し、中国のLNG需要見通しが縮小する可能性があり、これに伴いLNG受け入れ基地建設が遅れる恐れがある。また、LNG価格高騰を受け、LNG事業者とのガス売買契約交渉も難航している模様である。また、中長期的にはLNG輸入が増大していくと見込まれるものの、高LNG価格が継続した場合、発電部門の石炭からの燃料転換が進まず、また、海外から石炭輸入を行う可能性も考えられる。また、インドについては、LNGは中アナリシス長期的には輸入が増大していくと見込まれるものの、安い国産ガスの供給拡大が見込まれることから、高LNG価格が継続した場合、LNGの需要が伸びない可能性もある。盪LNG供給見通し今後のLNG供給見通しだが、太平洋地域では、2006年にオーストラリアのダーウィンLNG、2008年にはインドネシアのタングープロジェクト、NWSのトレイン5、2010年にオーストラリアのゴーゴン、2011年にオーストラリアのプルートの各プロジェクトなどの操業開始が見込まれている。中東では、2007年にラスガスⅡのトレイン3の設備増強、トレイン5の立ち上がり、2008年にカタールガスⅡ、カタールガスⅢ、カタールガスⅣ、ラスガスⅢの立ち上がり、ラスガスⅡの第4トレインの設備増強、イエメンLNGの操業開始が見込まれる。大西洋地域では、2005年から2007年にかけてナイジェリアLNGで3トレイン追加、2007年にノルウェーのスノービットLNG、2010年にナイジェリアのブラスLNGなどの操業開始が見込まれている。現在、建設中のトレインが操業を開始すれば、2010年までに約9,400万トン/年の生産能力増加が見込まれる。今後、アジアのLNG市場に質的に大きな影響を及ぼすと思われるのが、カタールを中心とした中東からの供給である。ある独立系コンサルタントは、世界全体のLNG生産に占める中東の割合が、2020年には約30パーセントに達するという見方をしている。中東からの供給は、当初、日本などのアジア向けであったが、その後、供給先が多様化し、現在では欧米等にもカーゴを出荷している。特に新しく立ち上がったプロジェクトについては、欧州および北米市場をターゲットにしたものが多い。2006.3. Vol.40 No.230Aジア太平洋LNG市場の動向を探るまた、契約形態については、出荷開始当初は短期取引であったが、中期、長期契約も増加してきている。中東は、太平洋と大西洋の真ん中に位置するため、双方の市場にほぼ同じ条件でアクセスできるという利点がある。中東は、日本とはマーケットストラクチャーの異なる欧州、米国にもアクセスしていることから、日本等アジアの伝統的な契約形態に少なからず影響を与えていくものと思われる。3.LNG売買契約への影響盧短期取引最近のLNG市場で特筆すべきは、この数年、活発化しているスポット取引などの短期取引があげられよう。短期取引の一般的定義が存在しないため、短期取引で扱われている量の推計は各機関で大きく違っているが、LNG取引全体の10パーセント程度が短期取引と言われている。短期取引は、主に米国、欧州市場で行われている。アジアでは依然として長期取引が中心であり、短期取引はあくまで需給ギャップの過不足に対応するために一時的に利用されている。短期取引で取り扱われているLNGだが、まず、契約によりカバーされていない数量、つまり公称能力より実際は多く生産した分、もしくは長期契約でカバーされていない余剰カーゴが用いられる。これらの数量は、仕向け地条項に柔軟性を持たせた上で、3年程度までの短期取引に用いられる。その他の数量については、スワップなどで用いられることが多い。LNGの短期取引が行われる条件としては、短期取引に用いることができる数量が確保できること、短期取引の需要が存在すること、受け入れ基地が短期取引の数量にも対応できること、仕向け地条項の緩和など契約に柔軟性があること等が挙げられる。大西洋地域は、欧州および米国双方の市場に近いため、双方の市場にカーゴを振り向けることが可能である。かつ、欧州、米国市場のLNG価格がそれぞれ異なる動きで決定されることから、カーゴのスワップや価格差を利用さや取りがルーティン化しているよした鞘うである。アジアでのカーゴのスワップについては、太平洋の輸送距離は大西洋の約2倍あることから、輸送コストが大西洋地域と比して高くなり、大西洋のようには活発化していなかった。しかしながら、米国西海岸市場とアジア市場の価格差いかんによっては、カーゴのスワップが起こる可能性もある。2005年は、タイトな需給関係を反映して、カーゴの争奪をめぐり競争が激化した。この影響で、米国市場は現在、LNGが不足している状況に陥っている。カーゴの争奪は激しく、日本のある需要家は15ドル/百万Btuでカーゴを引き取ったといわれている。また、今後の短期取引の動向を見るうえで着目すべきは、2005年の英国のLNG輸入再開であろう。英国は米国と同様、非常に柔軟性のある市場であることから、短期取引がさらに活発化していく可能性がある。今後の短期取引の動向だが、いずれにせよLNG投資には巨額な資金が必要であり、資金調達のためには安定的なキャッシュフローが求められる。そのためには、長期契約による安定的な収入の確保が必要となることから、長期契約が中心となるフレームワークは変わらないと思われる。しかしながら、昨今、特に欧州の需要家と締結されている契約の中には、仕向け地や供給量について柔軟性を持たせた契約が出てきている。アジア太平洋においても、東京電力および東京ガスがマレーシアLNGと締結した延長契約は、引き取り数量に弾力性を持たせている。また、オーストラリアのダーウィンLNGでは、東京電力および東京ガスに、一定の制限の下で仕向け先を両社の基地以外にすることを認めている。このように、大西洋と比較すると動きは遅いが、契約の柔軟性が出てきていることから、契約面では短期取引が拡大する方向にあると思われる。また、需要家も供給者もトレーディング機能をもっており、LNG船の確保も行っていることから、今後さらに短期取引が活発化する余地は十分にあると思われる。地域別に、地理的な環境や市場環境を考えれば、大西洋地域においては今後短期取引が活発化していくことが予測される。アジア太平洋地域についても、その役割は増大してくると思われるが、既存契約も存在すること等から、アジア太平洋地域における短期取引拡大のスピードは、他地域に比べれば非常に遅いものと思われる。今後の短期取引がLNG取引に占めるシェアについて、ある独立系コンサルタントは、2020年には20?30パーセントとなる、と見ている。盪価格設定について2005年のLNG価格動向だが、原油価格に天然ガス価格がより直接連動する英米市場で上昇している。例えば、アメリカの天然ガス価格の代表的指標であるヘンリーハブ価格をみれば、2005年12月21日の価格は約14ドル/百万Btuと、前年12月16日の7ドル/百万Btuと比較すると約2倍に高騰している。アジアの価格だが、アジアの需要家31石油・天然ガスレビューAナリシスによる契約に多く用いられている日本原油カクテル(Japan Crude Cocktail)価格は、2004年12月の6.8ドル/百万Btu(石油換算)から2005年12月の10ドル/百万Btu(石油換算)まで上昇している。しかしながら、日本の需要家は、多くのLNG売買契約において、いわゆるSカーブを導入していることから、原油価格の高騰の影響をまともに受けてはいないようである。一方で、韓国、台湾の需要家はSカーブを導入していないといわれており、日本の需要家よりも高い価格でLNGを調達しているようである。ここ数年間でアジアの需要家が締結したLNG売買契約におけるLNG価格フォーミュラだが、原油価格とのリンクを薄くすることに成功し、かつ低価格を享受できているようである。例えば、カタールのラスガスからインドのダヘジ基地に供給されるLNGの売買契約においては、2005年より500万トン/年のLNGが供給されることとなっているが、最初の5年間はFOB価格2.53ドル/百万Btuという非常に安価な価格設定となっている。また、CNOOCがインドネシアのタングープロジェクトと締結している売買契約の中のLNG価格は、20ドル/バレルの前提で2.4ドル/百万Btuであるといわれている。しかしながら、米国または欧州はLNG需要の拡大が見込まれ、これらの地域はより市場価格に連動した価格設定を行う可能性がある。かつ、現在の高ガス価格が維持される場合は、アジア市場の魅力が相対的に低くなる可能性がある。実際、前述の通り、最近の中東の新LNGプロジェクトは、欧州、米国市場に目を向けたものが多い。また、アジア太平洋の需要家をみれば、北米西海岸のコスタアズル基地が、インドネシアのタングー、ロシアのサハリン2、およびオーストラリアのゴーゴンの各プロジェクトと売買契約を締結しているが、価格は南カリフォルニア州際スポット価格(SoCal)という市場価格にリンクしており、かつ仕向け地条項も緩和されていると言われている。仮に、米国西海岸で受入基地が増え、かつ、現在の高ガス価が維持される場合、アジア市場の既存の価格体系が影響を受ける可能性がある。4.ビジネスモデルの多様化LNGのビジネスモデルだが、上流権益、液化設備をコンソーシアムまたは単独のプロジェクト会社が保有し、これらコンソーシアム、プロジェクト会社がLNGの需要家である電力、ガス会社にLNGを販売するというモデルである。LNG供給者は、需要家にLNG供給をコミットし、かつ価格リスクをとる。また、LNG需要家は、テイクオアペイ条項により数量リスクをとる。また、供給者は液化設備を保有する一方で、需要家がLNG受入設備を保有する。伝統的なビジネスモデルの具体例としては、オーストラリアのNWSプロジェクトやマレーシアのマレーシアLNGプロジェクトがあげられよう。このようなビジネスモデルは、供給者と需要家の間のどこにリスクがあるかが明確であり、またプロジェクトの運営も安定的に行えるという利点がある。しかしながら、意思決定の迅速性などに欠けるという欠点がある。このような伝統的なビジネスモデルに対して、様々なビジネスモデルが出てきている。例えば、上流権益者が液化設備、LNG輸送、受け入れ設備、マーケティングまですべて一貫して保有し、運営していくというモデルである。カタールのラスガスIIがその例である。また、逆に需要家が、上流権益や液化事業権益を保有するケースもある。日本で言えば、東京電力および東京ガスが参加しているオーストラリアのダーウィンLNGや、東京ガスによるオーストラリアのプルートプロジェクトへの参画が例としてあげられる。また、大阪ガスはオーストラリアのゴーゴンプロジェクトの液化事業権益の取得を検討している。日本の電力、ガス会社は、LNGバリューチェーンの構築に着目しており、今後ともこのような動きが出てくると思われる。もう一つのモデルとしては、ある企業が様々な上流権益者からLNGを購入し、LNG輸送船の保有、管理を行い、LNG受入基地にアクセスし、LNGを需要家に販売するというモデルがある。さらに別のモデルとしては、上流権益者がマーケティングを行い、需要家と直接売買契約を締結し、LNGの液化について液化設備会社に使用料を支払うというモデルがある。2006.3. Vol.40 No.232Aジア太平洋LNG市場の動向を探る5.まとめLNG市場は変貌の時期にあるが、マーケットストラクチャーや地理的な要因から、太平洋地域と比べ大西洋地域の方が変化のスピードは早い。しかしながら、米国の本格的なLNG市場への参入が見込まれることや、スウィングサプライヤー(Swing Supplier)としての中東の供給者の地位が向上していくと予測されることから、アジア太平洋地域も今後、変化への対応を迫られていく可能性が高いと思われる。しかし、既存契約が存在するため、そのスピードは大西洋地域に比して遅いものと思われる。市場環境の変化に伴い、日本の上流、下流企業も変化を余儀なくされる可能性が高いが、すでにこれに対応した動きが出ていることも事実である。上述の通り、日本の電力、ガス会社も新規契約において引き取り数量に柔軟性を持たせるケースが出てきている。また、日本の電力、ガス会社がLNG売買契約をLNG事業権益者と締結する際に、液化事業権益を取得しているケースが散見されていることから、ビジネスモデルという面では、すでに変化が現れ始めているように思われる。価格については、現在、アジアの需要者は、低価格を享受できているものの、今後、米国の需要家が市場参入してきた場合には、将来、現在の価格体系では、LNG供給量を確保できない可能性があり、変化を余儀なくされる可能性がある。主な参考文献1. 変化するグローバルLNGビジネス、日本市場への影響、ダイアモンドガスレポート、第747号(2005/11/16号)、第748号(2005/11/23号)、第749号(2005/11/30号)2. Andy Flower and Richard King, LNG Today: the promise and the pitfalls, June 2002.3. Q3 2005 LNG Supply/Demand, LNG FOCUS, December 2005.4. Why short-term LNG trading will struggle to grow, LNG FOCUS, September 2005.5. Costa Azul deals re-write the rules of Asia Pacific trade, LNG FOCUS, November 2004.6. 齊藤 晃、英国:約20年ぶりにLNG輸入本格再開へ?勃興する英国のLNG市場?、石油・天然ガスレビュー、2005.9Vol.39 No.57. 竹原 美佳、中国:本格的な"ガス時代"の幕開けか Shellの長北ガス田開発始動、石油・天然ガスレビュー、2005.7Vol.39 No.48. 猪原 渉、エジプト:エジプトのLNG事業展開とわが国業界へのインプリケーション、石油・天然ガスレビュー、2005.5 Vol.39 No.39. 齊藤 晃、アジア太平洋市場に構造的な影響を及ぼす、北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し、石油・天然ガスレビュー、2005.1 Vol.39 No.110. 坂本 茂樹、様変わりするアジア太平洋LNG:中印新規市場展開がストップか?豪州事業は売買契約が進展、そして東南アジアでは、石油・天然ガス資源情報、2006年1月20日11. Energy Information Administration, International Energy Outlook 2005、July 2005.12. Cedigaz, LNG Trade and Infrastrucures, February 2004.33石油・天然ガスレビュー?2部 日本のLNG事業者の戦略?ポテンアンドパートナーズ社による前提スタディーの概要?アナリシス本稿第1部で述べたように、現在のLNG産業の事業環境は、欧米やアジアの新市場の拡大とともに大きく変化しようとしている。LNGビジネスにおける日本の地位も、LNG市場の発展とともに変化しつつある。日本のLNG事業者(Japanese LNG Players)は、硬直的でいくぶん保守的なLNGのサプライチェーンの創出および完成に主体的に携わってきたが、現在、その国内および海外における伝統的な役割に対して挑戦を受けている。1990年代における東南アジアの経済的沈滞は、その伝統的な顧客基盤?日本のガス、電力会社?の成熟と相まって、日本の商社(総合商社)が日本国内で事業を拡大させる能力をやや抑制する結果をもたらした。一方、2000年以降の(日本以外の)アジア太平洋地域、および大西洋地域における他のLNG大需要地帯の勃興により、LNGの生産者および供給者に対して新しい販路がもたらされた。その結果、日本のLNG事業者は、LNG部門におけるその従来の役割を再評価しているところで、自分たちもその創設に貢献したLNG産業における影響力を維持し、さらには拡大することを可能にするような戦略を求めている。JOGMECでは、平成17年度の重点課題として、この変化しつつあるLNG産業を取り上げ、日本の上流側LNG事業者の対応戦略を探るために、その前提としてポテンアンドパートナーズ社への発注により「LNG産業の進展と日本のLNG事業者の対応戦略構想」スタディーを実施した。その際の観点は、次の通りである。1.潜在的パートナーである巨大石油企業、産油国の国営石油企業およびLNG需要家(電力、ガス企業)は、日本のLNG事業者の伝統的な事業手法と将来のポテンシャルをどのように見ているか。2.欧米やアジア新興のLNG市場の勃興が、日本のLNG事業者に対して、今後、どのような影響を与えるか。以下に、この前提スタディー結果の概要を記す。なおJOGMECでは、この前提スタディー結果を踏まえて、さらに日本のLNG事業者類型および事業モデルごとに考えられる将来の事業シナリオを考察する予定である。1.日本のLNG事業者:過去の貢献日本のLNG事業者は、歴史的には1965年から2000年にかけて、自分たちが関与してきたLNG輸出プロジェクトに、以下の三つの主要な特性をもたらし、またLNGを成功裏に日本に供給してきた。①信用力があり、大口のLNG買い主である日本のガス、電力会社へのアクセス②国際協力銀行(旧日本輸出入銀行)や、三菱東京UFJ銀行(旧東京三菱銀行)、三井住友銀行等の商業銀行といった日本の金融機関との関係を通じた資金調達へのアクセス③プロジェクトの形成と契約締結の促進や、エンジニアリング、調達、建設契約の発注、またLNG造船会社、所有者、操業者へのアクセス、その他LNG売買契約の交渉といった大規模LNGプロジェクトを開発し実施する能力これらの特性は、日本のLNG事業者による次のような活動の中で培われたものである。・日本のLNG事業者は、LNGプロジェクトの売り主および買い主の代理人(ならびに時には本人)としての役割を果たし、双方にとって合意可能な条件での売買契約(Sales &Purchase Agreement、以下「SPA」)を推進するために、すべての当事者を一堂に集めた。・場合によっては、このプロジェクトから日本へのLNG輸出における自分たちの役割を確保するために、LNG液化プロジェクト、または上流ガス事業に投資した。・また、純粋に現実的な観点から、日本のLNG輸出業者および輸入業者に日本語、英語の翻訳技能を提供し、日本と外部世界との間のビジネス風土および言葉の溝を埋めた。2006.3. Vol.40 No.234Aジア太平洋LNG市場の動向を探るるようになったことに対処し、かつ、貨物の鞘取引(cargo arbitrage)およびLNGチェーンに沿って現れる柔軟性を容易にするような新たな取引形態を利用するためのものである。このような戦略の例としては、LNGサプライチェーンを通じて下流企業が上流分野に進出することによる事業の統合、および上流企業が下流分野に進出することによる事業の統合、統合され特殊化されたサプライチェーンの採用、あるいはLNGプロジェクトのリスクを最小に抑え、販売および利益獲得機会を最適化するためのLNG供給、輸送タンカー、輸入ターミナルおよび最終消費者市場販売基点のポートフォリオの確立などがある。成果を上げている日本のLNG事業者は、これらの市場の変化を認識し、それと同じ方向に進んでいるが、そのためには強力な財務基盤、LNG、ガス事業についての専門能力を持つ人的資源、戦略的事業目標、ならびにこれらの計画を策定し実施する際の忍耐力を必要とする。LNGの価格フォーミュラの性格も大きく変化しつつある。アジア太平洋地域のLNG事業者は、従来、日本の通関原油価格とリンクした価格設定に基づく長期LNG売買契約を締結していた。欧州需要家のLNG長期購入は、原油および製品価格に基づいている。2004年以前の米国では、LNGの長期供給契約は極めて少なかった。現在、大西洋地域および太平洋地域におけるLNG契約は、米国、英国およびベルギーのハブにおける市場ガス価格?さらにはブレント原油価格?を含む複数の指標の組み合わせを用いて締結されている。LNGの買い主はまた、LNG調達に当たって、これまでより透明性が高く競争的なアプローチを採っている。買い主の中には、最もよい価格を確保するために、単一の供給者と二者間交渉を行うよりは、入札を行う傾向がある。トリニダードトバゴトリニダードトバゴトリニダードトバゴ出所:JOGMEC図2LNGの販路2.LNG事業の新たな潮流しかし、LNG事業はその後も変化している。①日本のLNG事業者は、増加しつつある他のLNG事業者と競争することを余儀なくされているが、他のLNG事業者も、一つまたは複数の特性を持つようになってきている。その端的な例はスーパーメジャーであり、彼らは中東およびアジア太平洋地域のガス資源に富む国々におけるLNG輸出事業において主導的役割を確立し、またそのLNGプロジェクト遂行能力をますます進歩させている。②さらに、LNGプロジェクト開発者に進んで融資する国際金融機関がますます増加している。③最後に、LNGの最終消費者であり、かつて日本のLNG事業者が世話役を務めていた日本の公益事業企業は、今や自らLNG事業に乗り出し、LNG供給や長期輸送契約の交渉を行うようになってきた。伝統的なLNG事業モデルの機能は、より強い商業的動機に支配されるグローバルLNG市場向きに作られた他の事業構造によって補完される度合いがますます高まっている。この市場の特徴は、中期契約と短期およびスポット取引である。国内ガス市場の自由化により、企業?すなわちスーパーメジャー、国営石油会社およびヨーロッパの旧独占ガス会社?は、革新的なLNG戦略の探求を余儀なくされている。この戦略は、国内市場がますます柔軟性を求め35石油・天然ガスレビューAナリシス業者との戦略的提携を通じて、成長する大西洋地域のLNG事業における市場シェアを確保すること。③LNGについての知識を意欲的なLNGの供給者および買い手に用いること。④カーゴの不均衡および鞘取引の機会について、LNG取引調整者(GasAggregator)としての役割を果たすこと。特にLNGの売り手と買い手の役割の区分がますます不明瞭になっている現在、LNG輸出者および輸入者に透明性を提供すること。3.日本のLNG事業者の暫定的な選択肢本スタディーの目的は、LNG産業において引き続き一勢力としてとどまるために日本のLNG事業者が用いる戦略を策定することではなく、その前提についての検討である。しかし、ポテンアンドパートナーズ社はこのスタディー(LNG事業の発展に関与した複数の人物との突っ込んだ対話を含む)を通じて、日本のLNG事業者がこの発展しつつあるLNG産業に引き続き参画することができるようないくつかの選択肢を暫定的に示した。日本のLNG事業者にとってのこれらの暫定的な選択肢は、次のように要約することができる。①日本のLNG事業者の中核市場である、日本向け案件への投資を続けること。日本は、予見し得る将来にわたり、重要なLNG需要地かつプレミアム市場であり続けよう。日本のLNG事業者は、将来の日本のLNG輸入者に対して指針を与えることもできよう。将来、日本のガスおよび電力部門が完全に自由化されたならば、日本のLNG事業者は、再度、外国企業と日本市場との間の仲介者としての役割を果たすかもしれない。②既存の、もしくは将来のLNG輸入ターミナルへの参加を通じて、またはLNGチェーンの上流または下流部門で活動している大西洋地域のLNG事著者紹介岡崎 淳(おかざき じゅん)兵庫県出身、大阪大学卒。1990年に日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)入行。1999年に同行より石油公団に派遣、主に石油公団資産処分業務に携わる。2004年JOGMECに移籍。2004年3月まで石油公団に出向し、石油公団廃止まで公団資産処分業務に引き続き携わる。2005年11月から現職。坂本 茂樹(さかもと しげき)長野県生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。当時のテーマは低開発経済の開発論。日本石油(株)入社。1991年から日本石油開発(株)にて海外の石油上流資産管理。2004年10月から現職(JOGMEC石油天然ガス調査グループ 上席研究員)。エリア・スタディーに興味を持っている(主に旧大陸)。最近の余暇は、週末の競技ボートの練習と、中国語番組(ドラマとニュース)を見ること。2006.3. Vol.40 No.236
地域1 アジア
国1
地域2 大洋州
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アジア大洋州
2006/03/20 [ 2006年03月号 ] 岡崎 淳 坂本 茂樹
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。