ページ番号1006213 更新日 平成30年2月16日

我が国初、LP ガス国家備蓄事業開始 ~計 65 万トンの地上備蓄基地が完成~

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レポートID 1006213
作成日 2006-03-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 備蓄
著者
著者直接入力 山田 政人
年度 2006
Vol 40
No 2
ページ数
抽出データ P061-071_アナリシス06 06.4.14 10:49 ページ 61アナリシスJOGMEC石油ガス備蓄管理グループyamada-masato@jogmec.go.jp山田 政人我が国初、LPガス国家備蓄事業開始?計65万トンの地上備蓄基地が完成?LPガスの国家備蓄はなぜ必要か(編集部前書き)我が国で用いられる種々の一次エネルギーの比率をみると、石油が47パーセントとほぼ半分を占め、次いで石炭18パーセント、天然ガス13パーセント、原子力13パーセントなどの基幹エネルギーが続いていますが、LPガスは、水力と同じく3パーセントと大きくありません。ではなぜ、我が国としてLPガスを備蓄する必要があるのでしょうか。理由は、以下の五つが考えられます。①民生用が主流であるため。LPガスの用途は家庭業務用が42パーセントと、民生用の比率が極めて高くなっています。したがって、LPガスの供給が止まると、国民の生活が直接脅かされ、深刻な社会不安を引き起こす恐れがあります。②代替が困難なため。同じく民生用に用いられている都市ガスの配管網(ガスグリッド)が国土の約5パーセントしかカバーしていないのに比して、LPガスの供給エリアは我が国の隅々にわたり、残りの約95パーセントにまで及んでいます。しかもLPガスは、これらの広範な地域の住民(約2,600万世帯)が利用可能なガス体エネルギーとして他に代替するものがないので、供給途絶は大きな社会問題となります。③供給が不安定なため。現在、我が国へのLPガス供給源は、海外からの輸入が8割、国内の製油所による生産が2割となっています。ところが、我が国のLPガスの主要輸入先であるサウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェートなどにとって、LPガスは、原油の生産に随伴するガスから製造される副産物にすぎません。そのため、LPガスの生産は、世界のLPガスそのものの需要と直接関係なく、これら少数の中東産油国にとっての最重要事項である原油生産の都合によって、生産量が増やされたり減らされたりし、価格が設定されるということになります。このことが、量的にも、価格的にも、海外から我が国へのLPガスの供給構造に本質的に不安定な要素をもたらすことになっています。④市場流動性が乏しいため。生産量や価格が、LPガスの需給と直接関係のないところで決定されるということは、市場メカニズムが働きにくいということです。LPガスの需要が高くても増産されず、市場における絶対量が不足することから、高いお金を積んでも量的な確保が困難な場合が生じます。逆に、需要が少なくても生産が行われ、低価格でも市場への供給が続く場合もあります。このことから、LPガスの供給量が減少する状況に備え、日頃から一定量を備蓄しておくことが必要であると考えられます。⑤量の確保のため。従来、我が国のLPガスの備蓄としては、民間の元売り業者による50日分と、卸売から小売にいたる各業者の持っている流通在庫がありました。しかしこの量は、上に述べた供給の不安定性を補い、民生部門における混乱に対処するには、必ずしも十分ではない恐れがあります。実際、1990年から91年にかけての中東湾岸危機に際しては、我が国のLPガスの在庫水準が大幅に低下しました。この経験を踏まえ、92年、石油審議会石油部会液化石油ガス分科会は、国家による備蓄の必要性に関する報告を提出し、2010年度末までに150万トン(輸入量の1割程度、約40日分に相当)を備蓄することが適当であるとの答申を行いました。これを受け、国としても一定量を自ら備蓄することにより、業界の自助努力と協調しつつ、その安定供給に努める方針を決定しました。国家備蓄の実施に当たっては、従来型の地上低温タンク方式の3基地(合計貯蔵量65万トン)と、岩盤を掘削し水封方式でLPガスを貯蔵する2基地(合計貯蔵量85万トン)の合計5基地で、貯蔵量150万トンの建設を行うこととなりました。今回完成したのは前者の3カ所で、立地決定からそれぞれ約4?7年、総工事費は設備費、土地代などを含め、3カ所で計約1,065億円でした。いずれの基地も、2002から2003年の間に、旧石油公団から出資を受けた日本液化石油ガス備蓄譁が着工しましたが、その後、国家備蓄の体制移行により、同社の事業を2004年2月より独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が承継するとともに、経済産業省からの委託事業として工事を継続してきたものです。なお、国の指示を受け、2010年度末までに国家備蓄LPガス150万トンを購入する業務もJOGMECが行うこととなり、各基地の完成後、順次、購入業務が開始されています。61石油・天然ガスレビュー.はじめにLPガス(液化石油ガス)は、プロパン、ブタンを主成分とする液化ガスである。全国の約2,600万世帯で利用され、供給エリアとしては国土の約94.5パーセントをカバーしており、家庭での消費量は年間約540万トンにも達している。また、輸入LPガスの価格は原油同様に激しく変動している。当然のことであるが、LPガスも原油同様その大半を輸入に依存しており、そのうち中東地区への依存度は84パーセントにもなる。このため、備蓄の重要性は充分認識されてきたが、これまでは民間備蓄(50日分)に依存する状態であった。このように重要なエネルギーの一つとして位置付けられるLPガスの国家備蓄については「2010年度までに150万トンを備蓄すること」とされている。LPガスは原油と違い、流通製品であるため精製などのプロセスが不要である。輸入したLPガスはダイレクトに出荷される。このため、民間操業基地はマーケットに近いエリアに立地している。国家備蓄基地(以下「国備基地」)については、このメリットを最大限利用でき、かつ受け払い用桟橋が建設済みの民間操業基地に隣接して建設することとされた。このような背景の下、JOGMECは国から委託され、全国5カ所で備蓄基地の建設を進めた。石川県七尾市(2005.7.16操業開始)、長崎県福島町(2005.10.1操業開始)、茨城県神栖市(2005.12.28操業開始)の3基地は、2005アナリシス年度(平成17年度)中に完成し、操業を開始した。これらの地上基地は、合計で65万トンの貯蔵能力(17日分の備蓄量)を有する。本稿では、これらの基地の基本設計から建設工事、試運転を経て操業開始に至るまでを振り返った。(単位:1,000トン、2003年度)出所:日本LPガス協会図1日本のLPガス輸入相手国表1LPガス形態別需要の推移:家庭業務用消費量家庭用消費量業務用消費量家庭業務合計(1,000トン)家庭用需要家戸数(1,000戸)出所:日本LPガス協会1993 5,1181,9097,02724,1411994 4,9051,9026,80724,3911995 5,1132,0337,14624,4901996 5,1722,1077,27924,6801997 5,1332,2107,34324,8781998 5,0872,2797,36625,1791999 5,3062,3517,65725,2432000 5,2872,4237,71025,5242001 5,1442,4597,60325,6202002 5,4422,4557,89725,7192003 7,8022006.3. Vol.40 No.262艪ェ国初、LPガス国家備蓄事業開始 ?計65万トンの地上備蓄基地が完成?598.1490.1488.7422.8394.7349.9320.3316.1311.2308.5294.0312.4280.3269.9247.0232.3255.8239.9239.5214.8231.5211.4167.6167.3193.7168.1150.7136.2104.4223.2212.2228.0出所:JOGMEC図3国家石油ガス備蓄基地の配置19951996199719981999200020012002200320042005年度CIFドル/トンLPガスナフサ原油LNG4003002001001991199219931994注:2005年は10月時点出所:日本LPガス協会図2輸入エネルギー価格のトレンド(各年度平均価格)注:図面の赤線で囲んである部分が敷地。緑色部分はタンクを示す出所:JOGMEC図4七尾基地(石川県)撮影方向注:図面の赤線で囲んである部分が敷地。緑色部分はタンクを示す出所:JOGMEC図5福島基地(長崎県)63石油・天然ガスレビューAナリシス注:図面の赤線で囲んである部分が敷地。緑色部分はタンクを示す出所:JOGMEC撮影方向図6神栖基地(茨城県)2.基本的設計思想国備基地建設に当たっては、後述するような法遵守は当然であるが、環境に優しいエネルギーの備蓄基地を目指した。国備基地は、法規制対象ではない騒音(騒音規制法)、振動(振動規制法)、排ガス(大気汚染防止法)、緑化(工場立地法)等についても充分配慮するとともに、民間企業である隣接基地の設計基準も考慮し、合同事業所としての調和にも心がけた。また、敷地境界に設置するフェンス等も、必要な機能を備えているだけでなく、威圧感を与えないような色調のものを採用し、地域住民に対しても配慮をした。国備基地における主要設備は、貯蔵タンク、出荷設備、ボイルオフガス(BOG)処理設備、用役設備、安全防災設備等である。LPガスの受け入れ・払い出し桟橋は、隣接基地の既存設備を利用することで建設コストの大幅な削減が図られた。国備基地建設に当たっては各種の関係法規が適用されるが、なかでもレイアウト、設備設計に関係する「高圧ガス保安法」(以下「高保法」と略す)、および「石油コンビナート等災害防止法」(以下「石災法」と略す)は重要である。基地レイアウトを設計するに当たり、高保法で規定されている、貯蔵タンクから学校、病院、住居等の保安物件に対する保安距離*1の確保や、貯蔵タンク相互間の距離、高圧ガス製造設備から基地境界までの距離、また石災法で規定されている施設地区の面積および配置の基準、特定通路の幅員等法規制を充分に満足するレイアウトにした。この保安距離については、可燃性ガスが漏洩し、空気と混合して爆発したとき、爆風圧が人体に影響を与えない(12.7キロパスカル=0.125キログラム重/平方センチメートル以下)距離として規定されている。また、タンク相互間の距離は、当該タンクならびに隣接タンクの最大直径の和の4分の1以上が必要である{(60+60)/4=30メートル(コンビナート等保安規則)}ため、30メートルを確保した。さらに、消防法の危険物(石油類)と高圧ガスが混在する基地では、施設地区の配置、道路(特定通路)幅員、勾配、道路横断構造物の高さ制限等考慮すべき項目が多かった(石災法配置省令)。*1:既設可燃性ガスの貯蔵設備は、その外面から保安物件に対し50メートル、または以下の算式により得られた距離を有する必要がある(コンビナート等保安規則)。X=0.480×3√kW K:ガスの種類および常用の温度の区分に応じた定数W:貯蔵能力(トン)の数値の平方根の数値ちなみに5万トンのプロパン、ブタンタンクについて計算すると以下の数値になる。プロパンタンク:X=0.480×3√(178,000×√50,000)=164メートルブタンタンク :X=0.480×3√(128,000×√50,000)=147メートルただし今回は、新設タンクのため「保安物件」を「基地境界線」に読み替える(0.480→0.576 20パーセント増)ため、以下のように既設タンクより大きな距離が必要となった。プロパンタンク:X'=0.576×3√(178,000×√50,000)=197メートルブタンタンク :X'=0.576×3√(128,000×√50,000)=177メートル言い換えると、基地境界から上記距離を離隔した位置にタンクを配置することとなったのである。2006.3. Vol.40 No.264艪ェ国初、LPガス国家備蓄事業開始 ?計65万トンの地上備蓄基地が完成?3.設備概要盧貯蔵タンク貯蔵タンクは、地上式平底円筒形貯槽として国内最大級で実績のある、貯蔵能力5万トンのタンクを選定した。タンク設計に当たり重要な要素は、タンクの直径と高さである。一般的に、タンク高を低くすることによって鋼材の使用量を減らすことができるが、貯蔵施設エリアが大きくなるため、基地全体のレイアウトに影響を与えることがある。一方、タンク高を高くすると貯蔵LPガスの液頭圧により、最下部の鋼板の厚みを大きくする必要があるが、溶接後の応力除去のため、熱処理が必要のない最大の厚み(38ミリメートル)の制約を受ける(高保法特定設備検査規則例示基準)。タンク諸元(代表値)は表2の通りである。通常、タンクは温度上昇防止のため冷却散水設備の設置が義務付けられている。二重殻断熱構造である低温タンクは耐火構造物*2であるので、冷却散水設備は不要であるが、今回の建設では準耐火構造物並みの冷却散水設備を自主的に設置した(コンビナート等保安規則例示基準)。直径側部高屋根部高主要鋼材タンク建設のメーンイベントともいえる屋根浮上について、若干説明する。タンク内部で組み立てられた内槽・外槽屋根板(約500?600トン)を、送風機(200?250ミリメートル水柱程度の微圧)を使用して毎分約30センチメートルのスピードで浮上させ、タンク肩部で側板(ナックルプレート)と溶接する作業である。また、地震時に発生するタンク液面の揺動(スロッシング)に関する固有周期も、タンク直径と高さの比に大きく関係する。タンクメーカーごとに工法が違うが、最も重要なことは屋根を均等に浮上させることである。そのため各メーカーは、レベリングワイヤー*3の張り表2貯蔵タンクの諸元(単位:メートル)内槽59.031.49.3外槽60.334.110.7JIS G 3126(SLA)JIS G 3101(SS)低温用鋼材一般鋼材方や、側板と屋根板とのシール方法等独自の技術を有している。タンクの基礎設計で重要なのは、地盤の液状化防止対策であるサンドコンパクション*4による地盤改良や、支持力向上のためのPHC杭*5打設等についても考慮された。また、地震時に保有すべき耐震性能としては、レベル1地震動*6に対し有害な変形等が残留せず、かつ気密性能が保持されること、ならびにレベル2地震動*7に対し(構造物が変形したとしても)気密性能が保持されることが求められている。可燃性ガスの貯蔵タンクは、どのような時にも気密性能を確保し、外部へ出所:JOGMEC出所:JOGMEC図7貯蔵タンク図8屋根浮上*2:隣接するタンクの防液堤内全面プール火災を想定し、その時の輻射熱によりタンク外槽鋼板(SS400)の温度が650℃に達したとしても、外槽鋼板は座屈しない強度を有しているので、耐火性能を有すると評価できる。また、外槽鋼板から内槽への入熱も断熱材により遮断され、安全弁吹き出し量以下のBOG量となり安全上問題はない。*3:浮上中のタンク屋根の傾きやずれを防ぎ、バランスを保つためのワイヤー。*4:軟弱な地盤に砂杭を打設し、地盤の改良を行う工法のこと。*5:Pretensioned spun High strength Concrete piles:プレテンション方式による遠心力高強度コンクリート杭。*6:レベル1地震動とは、耐震設計構造物の供用期間中に発生する確率の高い地震動(「高圧ガス設備等耐震設計基準」による)。*7:レベル2地震動とは、耐震設計構造物の供用期間中に発生する確率の低い高レベルの地震動(「高圧ガス設備等耐震設計基準」による)。65石油・天然ガスレビューAナリシスのガス漏出は避けなければならない。一義的にはタンクが変形しないことであるが、たとえ変形が起きても内容物を漏出させないことが肝要である。備蓄基地のように常時満液状態のタンクについてはなおさらのことである。盪BOG処理設備貯蔵タンクは、外部からの入熱を防ぐため内外槽間に断熱材を充填しているが、タンク屋根部、側部、付属設備、配管の外気および直射日光からの入熱、タンク底部のヒーター*8からの入熱等により絶えずBOGが発生している。また、外航LPガスタンカーからの受け入れ時には、タンカーポンプからも熱が持ち込まれる。これらにより発生するBOGを処理するため、往復動圧縮機、凝縮器等が必要になる。BOG処理システムには大きく2種類ある。一つは「オープンサイクル」と呼ばれるシステムで、凝縮したLPガスを低温常圧系外の常温高圧の球形タンク等に移送するものである。もう一つは「クローズドサイクル」と呼ばれるシステムで、凝縮したLPガスを低温常圧系内へ戻すものである。国備基地は出荷基地と違い、常温高圧系設備がないため、オープンサイクルに比べ効率が悪いクローズドサイクルにせざるを得ない。圧縮機の能力もそれを考慮して決定した。また、プロパンについては凝縮液を自己冷却するクーラーを設置した。このクーラーで冷却された凝縮液(?30??35℃)は、常温の凝縮液と比較してタンク頂部に設置された調節弁を通過する際の振動を低減する効果がある。蘯受け入れ/払い出し設備緊急放出時にLPガスタンカー、または隣接基地に払い出しをするためのポンプ等の設備が受け入れ/払い出し設備である。地上基地では、タンクの防液堤内または堤外に設置され、基本的には登録された手順(ジョブシーケンス)により運転される。ポンプ軸封部の気密性能確保のため、二重のメカニカルシール方式を採用した。常温での払い出しは想定していないので、通常の出荷基地に設置されているLPガス昇温設備*9は設置していない。また、LPガス受け入れ設備(受け入れ桟橋、リターンベーパーブロワー*10等)は、利用料を払い、隣接基地のもの低温プロパンタンク?42℃出所:JOGMEC図9BOG圧縮機出所:JOGMEC図10凝縮設備レシーバ12kgf/袱 クーラ内圧一定制御PICガス?33℃0.6kgf/袱 LICLICクーラLIC液 ?30℃冷却水ガス 106℃LIC冷却水冷却水液 38℃コンデンサー出所:JOGMECサクションドラムコンプレッサー図11BOG回収システムフロー*8:基礎の凍上防止用にプロパンタンク底部に敷設される電気ヒーター。*9:海水、温水、スチームなどを熱源にして低温LPガスを常温まで昇温する設備。タンクローリー、内航船、球形タンク等は低温用鋼材で作られていないため、常温にする必要がある。*10:LPガスタンカーと均圧にするため基地低温タンクから送ガス(LPG)するための装置。2006.3. Vol.40 No.266艪ェ国初、LPガス国家備蓄事業開始 ?計65万トンの地上備蓄基地が完成?出所:JOGMEC出所:JOGMEC図12LPG払い出し設備図13低温LPG受け払いフローを使用することとした。盻電気計装設備基地操業に必要な電力は、隣接基地が電力会社から特別高圧受電している基地では、隣接基地経由で受電・変電する方式を採用した。隣接基地が電力会社から高圧受電している基地では、国備基地が単独受電することとした。これは、特別高圧受電設備を単独で設置するのはコスト高になるが、高圧受電設備の設置であれば比較的低コストなためである。また、商用電源が停電した時に備え、安全・防災設備については自家発電設備からバックアップできるシステムとした。計装設備は隣接基地設備と一体管理するため、コンピュータによる分散制御システム(DCS)を採用した。中央制御室には、基地の操業を制御する心臓部である最新鋭のDCSが導入されており、運転管理、安全防災管理、保税管理等を集中制御している。外航タンカーからの受け入れや払い出し、出所:JOGMEC出所:JOGMEC図14中央制御室図15DCS操作画面BOG処理システム等、事前に登録されたジョブシーケンスを実行するのもDCSを使用する。トの共同防災組織への加入、あるいは単独防災組織として、普通消防自動車、特定防災施設*14等を設置した。眈用役設備機器の冷却水供給設備、計装用空気供給設備、窒素供給設備等、基地の操業に不可欠なインフラ設備である。眇安全・防災設備高保法に基づく設備として防消火設備*11、ガス漏洩検知警報設備、グランドフレア*12、通報設備*13、等を設置した。また、石災法に基づき、コンビナー出所:JOGMEC図16用役設備*11:防火設備とは水噴霧装置、散水装置、放水装置およびスチームカーテン等をいい、火災の予防および火災による類焼を防止するもの。また、消火設備とは消火薬剤を放射する設備および不活性ガス等による拡散設備をいい、直接消火するためのもの。*12:フレア設備は、安全装置から放出されるガスや緊急移送設備により移送されるガスを安全に燃焼させる設備であり、今回は直接火炎が外部から視認されないタイプのグランドフレアを採用した。*13:基地内で緊急時に必要な連絡を速やかに行うことができる設備をいい、ページング設備、構内電話、構内放送設備等を設置した。*14:流出油防止堤、屋外給水施設(消防自動車等に給水する為の施設で、給水タンク、加圧ポンプ、消火栓等)、非常通報設備をいう。今回は、1万キロリットル以上の危険物屋外タンクがないことから、流出油防止堤は設置していない。67石油・天然ガスレビュー.総合試運転各種設備の建設が完了し、法令に基づく各行政機関による完成検査等に合格したあと、AIR/N2パージ、N2/LPGパージ、クールダウン、貯液ならびにLPガス実液による機器性能確認試験を中心とした総合試運転を実施した。盧AIR/N2パージタンク、機器等にLPガスを導入する前工程として、系内の空気(AIR)を窒素(N2)ガスで置換する必要がある。これは、LPガスを系内に直接導入すると、爆発混合ガス雰囲気を形成してしまうからである。特に貯蔵タンクは、幾何容積が約10万5,000立方メートルもあるため、工期および費用の面から効率よくパージすることが求められる。よって、まず液体窒素(?196℃)を蒸発器で常温まで蒸発・昇温し、AIRとN2の密度差がほとんどない両層の境界付近(AIR:1.29キログラム/立方メートル、N2:1.25キログラム/立方メートル)におかくはん、混合させないようタンク頂いて攪拌部から流量調節(500?2,000立方メートル/時)しながら導入し、タンク底部から大気放出するピストンフロー方式を採用した。その結果、幾何容積の約1.3倍程度のN2ガスでパージを完了させることができた。なお、パージ完了の判定基準は、プロパンではO2濃度5パーセント以下、露点?20℃以下、ブタンではO2濃度5パーセント以下、露点?5℃以下とした。盪 N2/LPGパージN2ガス雰囲気になったタンク、機器等にLPガスを導入する作業をN2/LPGパージという。プロパン、ブタンともN2ガスに比較して高密度(プロパン:1.96キログラム/立方メートル、ブタン:2.59キログラム/立方メートル)のため、タンク底部からLPガスを導入し、N2ガスはタンク頂部よりグランドフレアへ放出した。導入流量については、ピストンフローを形成するよう、AIR/N2パージと同様に流量調節をした。グランドフレアは構造上、ある燃焼領域において燃焼ガスとフレア本体が共振し、低周波振動を起こすことが知られている。今回の試運転においても、LPガス濃度約70?80パーセントの混合ガスを約2,500立方メートル/時で燃焼中に、短時間ではあるが、低周波振動が発生したケースがあった。その後、100パーセントLPガスでの燃焼試験では、振動の発生はなかった。操業時には、このような混合ガスの大量燃焼はないと予想されるが、万一そのような作業が発生した時には、流量制御することで低周波振動の発生は抑制可能と考えられる(事実、2,000立方メートル/時以下の流量では、LPガス濃度にかかわらず低周波振動は発生しないことが確認されている)。出所:JOGMEC出所:JOGMEC図17仮設蒸発器図18グランドフレア内部アナリシス出所:JOGMEC図19グランドフレアN2/LPGパージの完了目標は、LPガス濃度95パーセントとした。蘯クールダウンクールダウンとは、タンク、機器等のN2/LPGパージ完了後、BOG処理設備を運転し、タンク内部に設置したスプレーリングから常温の凝縮液(コンデンセート)をスプレーすることにより、LPガスが断熱膨張する際の蒸発潜熱を利用してタンク本体を冷却する工程である。この中で重要な要素が、前工程における低温タンク内のN2ガス残留分である。N2ガスは、LPガス(プロパン:96.8℃、n?ブタン:152.0℃)と比較すると臨界温度が極めて低く(?149.1℃)、LPガス用の凝縮器(コンデンサー)では凝縮しないため、BOG処理システム内に残留し、制御系を乱す。具体的には、コンプレッサーやコンデンサーの圧力が上昇し、コンデンサー、レシーバーの液面が上下するという現象が発生する。これらの現象を避けるため、N2/LPGパージでは可能な限りLPガス濃度100パーセントとなるまで実施したほうが良いのであるが、濃度98パーセ2006.3. Vol.40 No.268|ンプの性能確認試験用に必要な量のLPガス(タンク1基当たり約5,000トン)を受け入れる。この作業は、隣接基地のタンクとの液面差または、隣接基地ポンプを使用して送液される。外国貨物*15は保税地域*16に保管されることになる。しかし、単独で保税地域の指定を受けるには手続きが煩雑であること、また国備基地と隣接基地間での貨物の授受のしやすさ等を考慮し、隣接基地の既保税蔵置場の増坪(貨物収容能力の増加*17)で対応した(隣接基地を第一倉庫、国備基地を第二倉庫とし、倉庫間の移動とした)。圧力(kPa)00.2100.1100.0100.900.800.700.600.5料資付添---フラグンウダルーク2?日82月11年71体業企同共工鐵井石・成平工重崎川鐵日新・始開ンヴタルーク00:11ンヴタルーク了完00:21間時)H(28 09:0028 03:0027 21:0027 15:0027 09:0027 03:0026 21:0026 15:0026 09:0026 03:0025 21:0025 15:0025 09:0000.5100.500.5-00.51-00.52-00.53-00.54-温度(℃)時日録記時日録記時日録記時日録記:31 8231 82//11:00:0000 ?00 ?? 11? 1111:90 5290 52//1111111103:030303:/://90 5290 52/31 8231 82:00.52想予 ンウダルーク 1001-TK始開(開(績実&了 11/28 12:00)終/ 00:11 52/11終/始 11/25 11:00m295,501積容何幾度温想予部底クンタ度速ンウダルークh/℃86.0:)℃(度温部底績実K401ITK央中()度温部底績実L401ITK側部側()績実(度温均平層スガ)℃績実力圧槽内())aPk(出所:JOGMEC図20クールダウン実績ント程度までくると収斂してしまうので、どうしても1?2パーセントのN2ガスが残留することになる。この残留N2ガスは、コンデンサーやレシーバーの圧力制御弁からグランドフレアへ放出せざるを得ないが、N2ガスだけを選択的に放出することができないので、LPガスのロスを生ずる。また、クールダウン工程では、急激な温度降下や、部分的な熱ストレスを避けるため、冷却速度や温度差等を管理する必要がある。図20は、低温プロパンタンクのクールダウンの実績であるが、黒線は温度降下の計画線、赤および青線は実績、緑線はタンク内圧を表している。タンク内圧が変化しているのは、タンク本体の温度降下に伴い低下するタンク圧を系外から補充しているためであり、制御系が乱れているのではない。クールダウンが終盤に近づくと、タンク底部にLPガス(液)が溜まり出す。液面計に浮力が作用するようになると液面計測できるようになる。また、低温タンク内部には温度監視のため、合計12点の温度センサーが設置されている。巨大な鉄の塊であるタンクを冷却するためには、莫大なエネルギーを必要とするわけであるが、そのエネルギーはBOG圧縮機の原動機および凝縮器の冷却水から供給される。言い換えれば、液体のLPガスを作り出し、その液体LPガスが蒸発するときに放出されるエネルギー(蒸発潜熱)が使われるのである。盻貯液クールダウン終了後、隣接基地より眈性能確認運転冷却水や計装空気等の用役設備は、LPガス導入に関係なく単体の確認運転は可能であるが、BOGコンプレッサーやLPガスポンプ等は、設備内がLPガスにならないと確認運転はできない(工場での空気や水による工場検査は実施しているが、LPガス実液によるテストは行っていない)。特にLPガスポンプについては、低温タンクに一定量の貯液が済んだ後に実施される。M0.0%KPICA3016.80kPaMKHSV302KTI302-36.3℃KTI301A6.80kPaKTI301B6.88kPaKHSV304MMKHSV303KHSV303KLIA301KLIA302KTI301A-38.65℃KTI301C-39.50℃KTI301E-39.50℃KTI301G-39.69℃KTI301I-40.31℃KTI301K-40.86℃KTI301B-39.50℃KTI301D-39.50℃KTI301F-39.69℃KTI301H-40.31℃KTI301J-40.86℃KTI301L-40.86℃KT-3001KLIA301 KLIA302 252mm257mmKHSV122MKHSV121MMMKHSV201AMMAKHSV202MMMKESV301KHSV301出所:JOGMEC図21クールダウン時のDCS画面イメージA37.4%M0.0%KTI303-39.2℃KTI304-39.1℃KTI305-39.4℃*15:輸出の許可を受けた貨物および外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のものをいう(関税法)。*16:「指定保税地域」「保税蔵置場」「保税工場」「保税展示場」「総合保税地域」をいう(関税法)。*17:貨物の収容能力の増減等とは、保税蔵置場の許可を受けたものが、税関に届けをし、その貨物収容能力の増加若しくは減少をすることをいう(関税法)。69石油・天然ガスレビュー我が国初、LPガス国家備蓄事業開始 ?計65万トンの地上備蓄基地が完成?Aナリシス渦巻きポンプは、一定流量以下においてはポンプのエネルギーがLPガスの液温上昇に使われ、その結果ポンプ内部でガスが発生し、「ガス噛み」運転となるという特性がある。これはポンプの故障にもつながるため、この流量をポンプの最少流量(ミニマムフロー)と呼び、ポンプメーカーの性能曲線図に明記する。このミニマムフロー域を避けるため、ポンプ吐出系に制御弁が設けられている。このミニマムフロー運転が正常かどうか、ならびに設計定格流量が発揮されているかを、タンク間移送により確認することになる。総合試運転は、これらすべての機器、システムが設計通りの機能・性能を発揮することを確認し、かつ操業要員の運転技術や、設備保全技術が完熟し、既存隣接基地と一体運営ができる体制が整うことによって完了とする。5.操業に向けて総合試運転が完了すると、JOGMECが請負者から設備の引き渡しを受け、それを国(資源エネルギー庁)に引き渡し、国から「備蓄石油ガス施設管理業務」を再度受託し、それをさらに隣接事業者に再委託するという手順となる。七尾基地、福島基地は、備蓄用LPガスの受け入れも開始され順調に稼働しているし、神栖基地の備蓄用LPガスの受け入れは2006年度以降に計画されている。地上基地すべてに65万トンのLPガスが備蓄されるには、今後数年間を要することになろうが、中期事業計画に基づいた安全管理、設備管理、品質管理、数量管理等、隣接基地がより重要な任務を担うことになるので、現地の国備事務所と一体となり、円滑な事業活動を進めることが求められる。各基地の操業体制としては以下の通りである。・国家石油ガス備蓄七尾基地→三井液化ガス譁に委託・国家石油ガス備蓄福島基地→九州液化瓦斯福島基地譁に委託・国家石油ガス備蓄神栖基地→鹿島液化ガス共同備蓄譁に委託6.終わりにLPガスの国家備蓄も緒についたところであるが、立地決定から基地造成、タンク等の建設工事完成までの長きにわたり、国、各行政機関、地域社会、隣接事業者、設計・施工監理共同企業体(JV)、施工JV等関係者の方々の絶大なるご支援、ご理解、ご協力に感謝し、今後の安全・安定操業をお願いするとともに、中東紛争等による緊急払い出しの事態が現実とならないことを祈りつつ、残る地下基地の完成を待ちたい。参考文献1. 日本LPガス協会編、LPガス技術総覧(1981)2. 化学工学会編、化学工学便覧(2001)3. 消防庁特殊災害室、石油コンビナートの防災アセスメント指針(2001)4. 安全工学協会編、新安全工学便覧(1999)5. 日本規格協会編、JISハンドブック鉄鋼(1998)6. 日本LPガス協会編、LPガス二重殻低温貯槽耐火性検討書(1976)著者紹介山田 政人(やまだ まさと)神奈川県出身。1971年(昭和46年)日本石油瓦斯譁(現 新日本石油譁)入社。川崎(神奈川県)、福島(長崎県)、高石(大阪府)のLPガス輸入基地勤務後、2004年(平成16年)2月、石油公団出向。同年3月JOGMEC発足に伴いJOGMECへ出向し、現在、石油ガス備蓄管理グループ建設事業担当審議役。家族は娘たちが独立して現在は妻と横浜で二人暮らし。現在の興味は「法的側面から見たエンジニアリングの進歩」で、日進月歩の工学分野における保護法益や行動規範に関心を持っている。健康のために開始した水泳は2年間で延べ700キロメートルに達し、止められなくなりつつある。2006.3. Vol.40 No.270
地域1 アジア
国1 日本
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国・地域 アジア,日本
2006/03/20 [ 2006年03月号 ] 山田 政人
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