ページ番号1006216 更新日 平成30年3月5日

豪州/北米:北米西海岸に新たな LNG 洋上受入基地計画

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レポートID 1006216
作成日 2006-03-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 坂本 茂樹 宮崎 信一
年度 2006
Vol 40
No 2
ページ数
抽出データ 豪州/北米:北米西海岸に新たなLNG洋上受入基地計画?2006年1月18日、ウッドサイドは、北米西海岸に洋上受入基地オーシャンウェイ(Ocean Way)の建設計画を公表。?同基地はLNG船上ガス化による新技術を採用しながらも、500万?1,000万トン/年という大規模な受入能力を有する。?本計画が実現すれば、LNGアジア太平洋市場と北米市場の結びつきが強まることになる。1.ウッドサイド、LNG受入基地計画を公表豪州ウッドサイドの100パーセント子会社であるウッドサイドナチュラルガスは、2006年1月18日、北米西岸カリフォルニア州にLNGを供給するオーシャンウェイプロジェクトの概要を公表した。同社はカリフォルニア州当局に対して、同プロジェクト実施の許可を申請する。このプロジェクトは、沖合15マイル(=24キロメートル)以遠に停泊するLNG船上でLNGをガス化し、海底パイプラインにより直接LNG気化ガスを送り込む方式である。沖合にも陸上にもLNG気化設備は設置しない。カリフォルニア州の沖合基地としては、同じく豪州のBHPが数年前から計画しているカブリリョポートプロジェクトがある。同プロジェクトは、2005年7月にカリフォルニア州当局の承認を得たが、住民の反対運動によって計画の実施が遅れている。オーシャンウェイプロジェクトのLNG供給源事業候補は、ウッドサイドがオペレーターとして2010年以降の操業開始を計画している西豪州のプルート、ブラウズおよびチモール海のグレーターサンライズが考えられている(図1参照:ただし、ブラウズについては中国へ95石油・天然ガスレビュー95の販売も検討している模様である)。したがって、オーシャンウェイプロジェクトが実現すると、シェル(バハ・カリフォルニア州コスタアズル基地向け)、シェブロンが個々に供給を検討するゴーゴン事業(2008年操業開始予定)と並ぶ、豪州新規LNG事業による北米市場への供給となる。しかしながら、米国西海岸はLNG基地建設への反対が強いことから、計画実現は容易ではないものとみられる。ウッドサイドは、これらの豪州新規LNG案件の検討に際して、今後LNG需要が急速に拡大するとみられる北米LNG市場を販路のひとつとして強く意識していた。同社は、2004年10月に米国クリスタル・エナジー(Crystal EnergyLLC)と覚書を締結して、共同で、カリフォルニア州クリアウォーターポートLNG受入基地事業の実施を計画していたが、2005年6月に、この共同事業計画の覚書を終結した経緯がある。同事業は、カリフォルニア州北部のベンチュラ郡沖合約13マイル付近に建設を予定する洋上基地だったが、環境規制や基地建設に対する地元の反対運動があることから、実現は難しいとみられていた。2.LNG洋上受入基地LNG受入基地の基本プロセスは、LNG船が輸送してきたLNG全量をLNGLNGプロジェクト(稼働中)LNGプロジェクト(計画中)*主要プロジェクトのみ掲載Greater SunriseDarwinBrowsePlutoGorgonNWS出所:JOGMEC図1オーストラリアのLNGプロジェクト図2LNG受入基地(東京ガス袖ヶ浦工場)\1オーストラリアのLNGプロジェクトウッドサイド権益比埋蔵量液化能力契約状況16.67パーセントウッドサイド*:16.67パーセントシェル:16.67パーセントBHBビリトン:16.67パーセントBP:16.67パーセントシェブロン:16.67パーセント三井/三菱:33.44パーセントウッドサイド*:26.56パーセントシェル:大阪ガス:10パーセントコノコフィリップス:30パーセント100パーセントウッドサイド*:32兆立方フィート1,220万トン/年全量販売済み440万トン/年7.7兆立方フィート約500万トン/年3.5兆立方フィート?5万?700万トン/年東京ガス150万?175万トン/年25?50パーセント20.7兆立方フィート1,000万トン/年NWST1?4NWST5グレーターサンライズプルートブラウズダーウィンゴーゴンイチシス(Ichthys)ピルバラ(Pilbara)スカボロー(Scarborough)合計*:オペレーターウッドサイド*:BPシェブロンテキサコBHBビリトンシェルウッドサイド分コノコフィリップス*:56.72パーセントENI:12.04パーセント10.64パーセントサントス:10.53パーセント国際石油開発:東京電力:6.72パーセント3.36パーセント東京ガス:50パーセントシェブロン*:25パーセントエクソンモービル:シェル:25パーセント100パーセント国際石油開発*:BHBビリトン*:100パーセント1,540万トン/年3.3兆立方フィート350万トン/年残販売量約1,150万トン/年東京電力、東京ガス15.5兆立方フィート1,000万トン/年東京ガス、中部電力、大阪ガス、シェル6.0兆立方フィート8.0兆立方フィート300万トン/年600万トン/年6,010万トン/年海水ポンプタンクへ荷降ろし、次に需要に応じてタンクからLNGをポンプで払い出し、ガス化設備にてLNGを気体のガスに物理変換して、パイプラインネットワークへガス送出するというものである。LNG受入基地は、一般的には需要地近くの沿岸部(陸上)に建設されることが経済的に有利である。しかし、北米のように住民の反対運動や環境保護運動が強い地域がある国では、洋上に受入基地が計画・建設される場合がある。洋上受入基地は、構造型式の観点から、以下のタイプに分類することができる。LNG都市ガスLNG船ガス化設備LNGタンク出所:JOGMEC図3LNG受け入れ基地の基本プロセス①重力着底構造(Floating Storage and Regasification(Gravity Based Structure:GBS)②浮遊式貯蔵再ガス化Unit:FSRU)③EnergyBridgeTM2006.3. Vol.40 No.296BSとは、従来型のLNG受入基地をそのまま沖合へ展開したもので、基地自体がコンクリートなどで海底から支持されている着底タイプである。シェブロンがかつて提案していたポートペリカン計画はこのタイプである。GBSでは基地に必要な土地面積を、LNG船の喫水(12メートル程度)を確保できる沖合に建設する必要から、建設コストは陸上基地に比較して2倍程度と見積もられることが多い。現在、唯一計画が進んでいるのはエクソンモービルが主導しているイタリアのイソラ・デ・ポルト・レバンテ(Isola Di Porto Levante)基地である。FSRUとは、従来型のLNG受入基地を、海底から支持することなく、浮体式としたものである。建設コストはGBSに比較して抑えられるが、LNG船からの荷役は浮体同士の荷役であり、GBSに比較すると天候に左右されやすく、受入能力は低下する。前述のカブリリョポートはFSRUタイプである。FSRUには、既存のLNG船を改造して転用するタイプも提案されており、2006年1月にはゴーラー(Golar)LNGがシンガポールのケッペルシップヤード(Keppel Shipyard)に9,000万シンガポールドル(約63億円)でLNG船(129,000立方メートル)のFSRU改造を発注した。EnergyBridgeTMは、エクセラレートエナジー(Excelerate Energy)が開発したユニークな洋上受入基地である。従来型のLNG受入基地と大きく異なり、ガス化設備をLNG船に搭載した特殊LNG船(Energy Bridge Regasification Vessel:EBRV)が、海底ガスパイプラインに接続された潜水式係留設備(タレット)により係留され、LNG船上でガス化しながら海底パイプラインへガス送出するタイプである。ガス化設備の搭載により、LNG船の建造費は増加するものの、LNGタンクを必要としない*1ことなど出所:TORPテクノロジーホームページ図4ハイロードLNGガス化技術により、LNG船と受入設備の合計価格では従来型と同程度の価格を実現しているようである。同種のシステムが数社から提案されている。当該システムは船上のガス化設備の能LNG ProcessPlatformSalt Water Circ & LNG H.P.PumpsCavernPlatformOceanFloor2000psigTo subsea gas gathering infrastructure2000psigCavern GasStorage出所:コンバージョンガスインポーツホームページ図5ビショッププロセス表2洋上受け入れ基地の分類GBSFSRUEnergyBridgeTM概要図*1:北米は膨大な容量を誇るガス地下貯蔵設備を保有しており、季節間の需要変動を吸収することができるため、LNG受入基地においては必ずしもLNGガルフゲートウェイネプチューンLNG*程度小同中?小やや高いカブリリョポートリボルノ(Livorno)ポートペリカンイソラ・デ・ポルト・レバンテい大高受入能力従来型との価格比較基地計画例*:EnergyBridgeTMの類似技術であり、正確には異なるが、整理の便宜上ここへ分類した。出所:エクソンモービル、BHBビリトン、Excelerate Energyホームページタンクを必要としない。97石油・天然ガスレビュー97ヘ上限(14万立方メートル級の場合で、ガス化に1週間程度)から、一つの潜水式浮標(回転係留設備)あたり300万トン/年程度が受入能力の限界となる。2005年2月には北米メキシコ湾に米国第5のLNG受入基地としてガルフゲートウェイ(Gulf Gateway)が誕生した。洋上受入基地としてはこの他に、ターミナルオフショアリガスプラント(Terminal Offshore Regas Plant:TORP)テクノロジーのハイロード(HiLoad)LNGガス化技術やコンバージョンガスインポーツ(Conversion Gas Imports)のビショッププロセス(Bishop Process)がある。ハイロードLNGガス化技術は浮体式L型形状基地であり、LNGを荷役するローディングアームと高圧力でガス送出するポンプとガス化設備を搭載している。能力としては14億立方フィート/日(約1,000万トン/年)規模が計画され、2006年2月に申請された。ビショッププロセスは、複数の二重パイプを並列に設置した熱交換器を洋上に配し、LNGを高圧下でガス化送出するもので、通常基地での荷役速度を目指すものである。3.ウッドサイドが計画する洋上受入基地の考察ウッドサイドが計画した洋上受入基地はどのようなタイプなのだろうか。同社は船上ガス化とコメントしているが、構造、仕様など詳細については一切説明していない。ただし、「LNG船においてガス化し、潜水式浮標と接合し、海底パイプラインにガス送出する。最新鋭技術、陸上への影響の最小化、海洋景観を乱さないものである。船を除く価格として数億ドルである」という表現から推定すると、EnergyBridgeTMと同種のタイプと想像される。しかし、「ガス化設備を搭載した新型LNG船を計画している。2.25億ドルのLNG船を4?5隻計画する。受入能力は7億?14億立方フィート/日(約500万?1,000万トン/年)という規模で計画している」とのコメントも聞かれる。これは、EnergyBridgeTMの受入能力(約300万トン/年)を大きく上回るものであることから、これとは異なる新たな型式を志向していると思われる。EnergyBridgeTMの潜水式浮標を複数設置すれば受入能力は向上するが、それだけのLNGを供給するための必要船隻数が大幅に増加(例えば、500万トン/年であれば、豪州?北米西海岸間を1万3,000キロメートルとして6万トン級船が最低9隻必要)してしまう。EnergyBridgeTMのEBRV船上ガス化能力を2倍程度に高めても、豪州?北米西海岸のような長距離輸送では必要隻数に大きな変化はない上、建造費が上昇してしまう。LNG船の高速化も、経済性の面から合理的ではない。洋上において通常LNG船からEBRVへ荷を積み替えるShip-To-Ship(STS)技術を活用し、高価なEBRVの航海距離を低減することにより必要隻数を抑制するアイデアも考えられる。エクセラレートエナジーはこの技術を追求しているようだが、商業ベースでのSTSについては現在、国際ガス・タンカー基地運営者協会(Society of International Gas Tanker &Terminal Operators Ltd.:SIGTTO)で検討が進められている段階である。したがって、現在明らかになっているLNG洋上受入基地と、ウッドサイドの想定している基地は異なるものと考えられ、その全容が明らかになるには少し時間が必要なようだ。もし、ウッドサイドのコメントどおりの技術が成立し、認可されると、洋上受入基地の欠点であったコスト高、受入能力が小さいというトレードオフの関係を解決する画期的なものとなる。これは革新的技術alIaIaIaIIliIIIlIIISakhalinhahahahhhhhhhhhhakaTangguggguuTanananangguTTTTTTTTTTaTaTaTauguuuuuguhhGreater SunriseeaterGreatiiiriririisisisGGrrGreatGGGreatGeeeiiiiietttttttttaeatereateruSuuuuuurrrrrrrruSuSuSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSDarwinnnnwwwnnnniiinnnnnwnnnBowseeeBrrowsBBPlutollutlGorgonnnonrGNWNWSNWNWNExisistingLNGProjectstsNew&ExpansionProjects基地名 SakhalinTangguhPluto距離7,200km11,000km13,000km 図6太平洋地域から北米西海岸に輸送されるLNG液化プロジェクト表3太平洋地域から北米西海岸に輸送されるLNG液化プロジェクト液化プロジェクト事業者サハリンIIゴーゴンタングーシェルほかシェル権益分BPほか契約量平均185万トン/年200万トン/年370万トン/年開始年200820102008受け入れ基地コスタアズル(シェル+センプラ)2006.3. Vol.40 No.298ナあるということにとどまらず、この技術によって切り拓かれる新しい未来、すなわち、LNGアジア市場と北米市場の融合、LNGグローバル市場の形成に一歩近づくものとなる。ウッドサイドは、供給者としてのプレゼンスをますます高めており、そのポテンシャルを新技術によって発芽させる可能性を秘めているオーシャンウェイプロジェクトの今後の動向に注目が集まるであろう。(坂本茂樹/宮崎信一)※洋上受入基地におけるLNG発熱量の問題洋上受入基地のすべてのタイプに共通して当てはまることだが、ガスマーケットが要求する発熱量を大幅に上回る高発熱量LNGを受け入れることは難しい。多少の程度であれば窒素による希釈が可能だが、重質分を除去する必要が生じると、ガス化する前に重質分を除去する必要が生じる。GBSやFSRUの場合、除去した重質分を販売する際、海上出荷するか、別途、重質分輸送海底パイプラインを必要とする。EnergyBridgeTMでは、船上でガス化してしまうため、重質分の除去が不可能である。99石油・天然ガスレビュー99
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2 北米
国2 米国
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
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地域10
国10
国・地域 大洋州,オーストラリア北米,米国
2006/03/20 [ 2006年03月号 ] 坂本 茂樹 宮崎 信一
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