ページ番号1006224 更新日 平成30年2月16日

ベネズエラ:JV カンパニーへの変更で 16 社と合意、変更に同意しない ENI 、 トタールの権益を PDVSA 管理下に

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レポートID 1006224
作成日 2006-05-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発企業
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2006
Vol 40
No 3
ページ数
抽出データ ベネズエラ:JVカンパニーへの変更で16社と合意、変更に同意しないENI、トタールの権益をPDVSA管理下に?ベネズエラ政府は、OSAを締結していた企業にPDVSAとのJVカンパニーを設立するよう求めてきたが、これら企業のうち16社と合意に達し、22のJVカンパニーが設立されることになった。しかし、ENI、トタール 、スタットオイルは政府、PDVSAの提示する条件に同意せず、ENI、トタール保有の権益はPDVSAの管理下に置かれ、スタットオイルはPDVSAに権益を売却することとなった。?JVカンパニーへの変更に同意せず昨年末に権益を売却したエクソンモービルが石化プロジェクトから外され、また、生産を開始したばかりの油田の生産も停止されたことから、エクソンモービルに対する政府の圧力が強まっていると見る向きもある。?契約変更に加え、過去に遡そ及きゅうしての徴税監督局による法人税課税や石油輸出先の多様化、石油外交といった、以前からの石油・天然ガス政策を着実に進めるとともに、PDVSAの投資額を大幅に増加させる計画を発表するなど、12月の大統領選挙に向けてチャベス大統領は足場固めに努めていると見られる。1.JVカンパニー設立、ENI、トタールの権益はPDVSA管理下に 2001年制定の新炭化水素法に基づき、ベネズエラ政府は1990年代に締結された32件の操業サービス契約(OSA)を、国営ベネズエラ石油(PDVSA)が過半を所有するジョイントベンチャー(JV)カンパニー方式に変更するよう求めていた。昨年末までに、エクソンモービルを除く企業がこれに合意し、政府と会社間で契約内容について協議が行われてきた。3月に入り、エネルギー・石油省が契約案を議会に提出し、議会は3月30日にこれを承認した。翌31日には、チャべス大統領出席のもと、PDVSAと民間石油企業16社がmixed companyと呼ばれるJVカンパニーの設立に関する契約22件に署名した。組合形式のJVとは異なり、会社法に従うJVカンパニー方式は石油会社側に大変厳しく、パーレビ政権下のイラン以外にはほとんど例がない。 これまでに明らかになった契約内容は以下の通りである。・PDVSAの参加比率60パーセント以上。PDVSAは権益分の費用負担に応じる・ロイヤルティ率を30パーセントから33.33パーセントに引き上げる・法人税率を34パーセントから50パーセントに引き上げる・契約期間は20年とする・パートナー間で問題が生じた場合は、国際的な仲裁機関ではなく、ベネズエラ国内の裁判所で解決する・ベネズエラ国内の社会プロジェクト実施のため、税引き前利益の1パーセントを納付する 今回、政府と契約を締結したのは、レプソルYPF、シェル、シェブロン、ハーベスト・ナチュラル・リソーシズ、ペトロブラス、CNPC、帝国石油、テックペトロール(Tecpetrol)、ペレンコ(Perenco)、イネマカ(Inemaka)など16社である。このうち、レプソルYPF、帝国石油、イネマカなどは鉱区の一部を分割返還した上で新条件を受け入れた。 一方、イタリア炭化水素公社(ENI)とトタールは3月31日までに政府と合意できず、契約には至らなかった。このため、政府はENIのダシオン(Dacion)鉱区(生産量6.5万バレル/日)、トタールのジュセピン(Jusepin)鉱区(同3万バレル/日)をPDVSAの管理下に置くと決定、4月1日にはラミレス・エネルギー相が両鉱区に赴き、ベネズエラ国旗を掲げたと伝えられる。同相は、両社のこれまでの投資を補償すべく交渉しているが、補償はベネズエラ国内の投資にのみ使える債権で行う予定であると語ったという。 これに対してENIは、ベネズエラが十分な補償を行わなければ法的手段をとる73石油・天然ガスレビューニしている。 トタールに対しては、ベネズエラ政府から話し合いを求める文書が送られ、現在、ジュセピン鉱区について友好的解決のための交渉が行われているという。ベネズエラ政府とトタールの関係は、オリノコベルト超重質油開発プロジェクト、シンコール(Sincor)のロイヤルティ率引き上げによって悪化していた。さらに、今回のJVカンパニーへの変更に関しても、トタールが「真珠湾攻撃のように」契約締結の15分前に条件を提示したことが、ベネズエラ政府の神経を逆なでしたとされている。ラミレス・エネルギー相は、「トタールが今回、PDVSAと契約を締結しないということは、同社の将来のビジネスチャンスに影響を及ぼすであろう。シンコールⅡはトタールから提出されている条件通りには進まないであろう」と語ったという。そしてJVカンパニー不成立の直後には、トタール従業員のジュセピン鉱区への立ち入りが禁止された。しかし、トタールが2001~04年分の法人税を支払ったことから、現在はトタール従業員の同鉱区への立ち入りも可能になったという。トタール側は政府との交渉に希望を持っているとしている。 また、スタットオイルもPDVSAと契約を結ばず、LL-652鉱区(生産量2万バレル/日、シェブロンが63パーセント、EPICが10パーセントを保有)の権益の27パーセントをPDVSAに売却した。 PDVSAはこれら鉱区に加え、レプソルYPF、帝国石油、イネマカなどが一部を分割返還した鉱区を100パーセント管理下に置くこととなり、生産量を合計で11.5万バレル/日増加させることになる。 今回の契約には、同国の埋蔵量の6パーセントにあたる50億バレルが含まれる。政府はJVカンパニー全体の生産量を37.2万バレル/日から年末には43万バレル/日に増加させるとしている。2.エクソンモービルへの圧力強まる? PDVSAの石油化学部門の子会社ペキベン(Pequiven)とエクソンモービルは、2004年8月にホセ(Jose)石油化学プロジェクトについて契約を締結し、プロジェクトを進めてきたが、2月初旬、ペキベンは現在の条件ではこれ以上プロジェクトを継続できないとして、エクソンモービルに契約終了を伝えた。同プロジェクトは総事業費30億ドルで年間105万トンのエチレンを製造する計画である。PDVSAは、プロジェクト自体は継続するとし、パートナーを探しているという。 さらに3月に入り、エクソンモービルは、PDVSAの子会社CVPからラ・セイバ(La Ceiba)油田の生産を停止するように告げられた。同油田は、ペトロカナダとエクソンモービルが50パーセントずつを所有する埋蔵量1億8,500万バレルの油田であり、昨年12月に商業生産を開始したばかりで、当初の生産量4,000~4,500バレル/日を2009年までに5万5,000バレル/日に増加させる計画であった。 エクソンモービルは、操業サービス契約のJVカンパニーへの変更という政府の要求に従わず、操業サービス契約の権益をパートナーのレプソルYPFに売却した。また、オリノコベルト超重質油プロジェクトのロイヤルティ率引き上げにも反対していた。そのため、ラミレス・エネルギー相は「エクソンモービルに対してベネズエラの扉は閉ざされた」と語ったと伝えられ、同社に対するベネズエラ政府の圧力が強まっていると見られている。 エクソンモービルは、政府からの圧力で、オリノコベルトのセロ・ネグロ(Cerro Negro)プロジェクトでの生産活動の縮小も検討していると伝えられている。レプソルYPFがエクソンモービルのセロ・ネグロの権益を取得するとのうわさもあったが、エクソンモービルは、現在のところベネズエラから撤退する計画はないとしている。3.過去に遡及しての法人税課税 徴税監督局(Seniat)は2005年4月、操業サービス契約を締結している石油会社に対して、2001~04年分の法人税を従来の34パーセントではなく50パーセントの税率で納付するように通告した。この結果発生する未納部分について課税額を査定し、納税するよう命じた。2006年3月30日までにペトロブラス、ウェスト・ファルコン(West Falcon)、シェル、イネマカなどが全額を、ハーベスト・ナチュラル・リソーシズなどが一部の納税を行った。その結果、徴税監督局が支払いを求めている7億ドルの約10パーセントにあたる7,400万ドルが納付された。 4月以降もシェブロン(7,500万ドル)、トタール(3,860万ドル)などが納税したと伝えられる。シェブロンは当初4,300万ドルの納付を要求されていたが、これに利子や支払い遅延の罰金を合わせて7,500万ドルを納付した模様である。4月中旬の徴税当局の発表によれば、納税に全く応じていないのはENIとベネズエラのオペン(Open)のみである。 石油会社がこの時期に集中して納税したのは、ベネズエラ政府がこの法人税納付を、操業サービス契約をジョイントベンチャーに変更するにあたっての条件としていたためと考えられる。 ベネズエラ政府は、2006年にはオリノコベルト超重質油開発の4プロジェクトにも過去にさかのぼって法人税を課するとしていたが、この度、シンコールに70万ドルの納税を請求したと見られる。4.PDVSA、新たな投資計画を発表 PDVSAは、2012年までにベネズエラがサウジアラビアを抜いて原油埋蔵量で世界1位になるという目標を達成し、その上、生産量を585万バレル/日に引き上げるため、2006~12年に800億~1,000億ドルを投資すると発表した。PDVSAは昨年、2005~10年に560億ドルの投資計画を発表したが、これに比べても大幅な増額といえる。上流では、外国石油会社2006.5 Vol.40 No.374フ協力を得てオリノコベルトで20鉱区を開発し、既存のオリノコベルト超重質油開発プロジェクトの生産量を増加させる。下流では、国内に製油所3カ所(合計で精製能力50万バレル/日)、ブラジル北東部にペトロブラスと共同で製油所1カ所を建設するとしている。しかし、具体的な投資部門、投資額等の詳細は明らかにされていない。5.石油輸出先多様化、石油外交継続? インドへ定期的に石油を輸出 2月1日、PDVSAはインドに初めて原油を輸出した。輸出されたのはAPI比重16度のメレイ(Merey)原油100万バレルと、API比重30度のメサ(Mesa)原油100万バレルの合計200万バレル。さらに4月5日には、メサ原油130万バレルとメレイ原油70万バレルの合計200万バレルが輸出された。ベネズエラは今後、インドに月200万バレルを輸出する計画であるとしている。? 中国への石油輸出増加 ベネズエラは、中国に対する原油輸出量を、2006年中に30万バレル/日に引き上げる計画である。3月末には、中国向けにオリマルジョンを生産するプラントが商業生産を開始した。同プラントは、PDVSAの子会社ブリトール(Britor)30パーセント、CNPC40パーセント、PetroChina Fuel Oil Company 30パーセントからなるJV、シノベンサ(Sinovensa)が3億3,000万ドルを投資したもので、オリマルジョンを年間725万トン生産する計画である。4月末には最初の船が中国に到着する予定で、今後はオリマルジョンの輸出も本格化する。? 対中南米政策継続 安価な石油の供給や製油所、パイプラインの建設等により中南米への影響力を75石油・天然ガスレビュー強めようとするベネズエラの動きが続いている。以下は最近の主な動向である。・PDVSAの子会社、PDVカリブ(PDVCaribe)とエルサルバドルのエネパサ(Enepasa)は、エルサルバドルへの石油供給、貯蔵、販売に関する契約を締結し、エルサルバドルに市場価格よりも安く石油が供給されることになった。・PDVSAとキューバ石油公社(Cupet)は、PDVSA49パーセント、Cupet51パーセントからなるJV、PDV-Cupetを設立することで合意した。PDV-Cupetはキューバ国内で石油精製、貯蔵、販売、輸出入を行う。ベネズエラは現在、ソ連の支援でキューバ国内に造られたが、ソ連の崩壊で稼働停止中のシエンフエゴス(Cienfuegos)製油所を、重質高硫黄原油を処理できるように改修中だが、PDV-Cupetは同製油所へも原油を供給するという。ベネズエラは、昨年ハバナに事務所を開設、それ以降キューバへの石油輸出量は5万3,000バレル/日から8万~9万バレル/日に増加している。・2006年1月、チャベス大統領、アルゼンチンのキルチネル大統領、ブラジルのルラ大統領は、ベネズエラからブラジルを経由してアルゼンチン北部に達する、全長1万~1万2,000キロメートルのガス・パイプラインを建設することで合意した。ベネズエラは両国に天然ガス1億5,000万~1億7,000万立方メートル/日を輸出する計画と伝えられる。敷設には5~8年、150億~250億ドルを要するとされ、米州開発銀行(BID)が融資に前向きな姿勢を示しているという。同パイプラインについてはガスプロムも関心を示しており、ペトロブラス、PDVSAが個別に同社と協議している。? 米国への輸出も継続 PDVSAの米国子会社シトゴとライオンデル・ケミカルは、両社が各々41.25パーセント、58.75パーセントを保有する米国のライオンデル製油所の売却で合意した。同製油所は1993年に建設され、精製能力は26万8,000バレル/日で、1997年にベネズエラ産の重質高硫黄原油を処理できるよう改修された。2003年のベネズエラのストライキの際に原油を供給できなくなったことから生じた両社間の紛争も解決したと伝えられるが、金額は明らかにされなかった。ベネズエラ政府は、その他の米国内の資産の売却計画はなく、米国への輸出も継続するとしている。なお、ライオンデル製油所買収には独立系のバレロ(Valero)、テソロ(Tesoro)、スノコ(Sunoco)が関心を示しているという。6.まとめ ENI、トタール等を除いて操業サービス契約をJVカンパニーに変更できたこと、過去に遡及しての法人税の納付などにより、チャベス大統領は資金源を確保し、石油・天然ガス政策を一歩前進させたと言えよう。また、PDVSAの大幅な投資増の発表は12月の大統領選挙を意識したものとも考えられ、今後もどのような政策が採られるのか注目される。 懸念されてきた通り、中南米ではベネズエラと同様の石油・天然ガス政策が拡大しつつある。7月に資源を国有化するというボリビアのモラレス大統領の宣言に続き、3月末にはエクアドルで政府のシェアを60パーセントとする新炭化水素法案が可決され(大統領が一部拒否権を行使)、4月初めには資源の国有化を主張するオヤンダ・ウマラ氏がペルー大統領選挙で首位を獲得、5月の決選投票に臨むこととなった。中南米全体への影響を含めて、今後もベネズエラの動向を注視して(舩木 弥和子)いく必要がある。
地域1 中南米
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国・地域 中南米,ベネズエラ
2006/05/20 [ 2006年05月号 ] 舩木 弥和子
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