ページ番号1006228 更新日 平成30年2月16日

British Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも  ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~

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レポートID 1006228
作成日 2006-07-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業
著者
著者直接入力 齊藤 晃 岡崎 淳
年度 2006
Vol 40
No 4
ページ数
抽出データ JOGMEC 石油・天然ガス調査グループsaito-akira@jogmec.go.jp齊藤 晃JOGMEC 石油・天然ガス調査グループokazaki-jun@jogmec.go.jp岡崎 淳アナリシスBritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも?英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ? かつて、英国の国営ガス下流企業であったブリティッシュガスグループ(以下、BG)は、80年代以降の民営化、上/下流と国内/国外分割化の動きの中で、海外の上流および国外下流資源開発に活路を求め、世界のLNG事業の中でも重要な地位を占める上下流一貫企業へと成長した。本稿は、近年の躍進する同社の活動実績を分析し、その中から同社事業の特徴と成功の要因を明らかにしようとするものである。なお、第1部は齊藤が、第2部は岡崎がそれぞれ執筆した。・元英国国営会社で下流独占企業であったBGという名前の企業は現在、大市場に近接した地域―英領北海、カリブ海(トリニダード・トバゴ)、地中海(エジプト)等に重点を置きながら、世界的規模で①上流事業、②LNG事業、③国内外下流事業(ガス配給事業、発電事業等)を展開している。・その活動地域は広く、20カ国以上にも及ぶ。なお、上流事業・下流事業については、LNG事業展開と異なり、ワールドワイドに展開を進めている。・収益面においても大きな成功を収めつつある。主体である上流部門の収益向上はもちろんのこと、特に同社が戦略的に積極展開を図ってきたLNG部門についても、ここ2~3年で収益面においても大きなプレゼンスを示しつつある。・BGの歴史は、1940年代後半開始の国有化の時代にさかのぼる。・しかし、大きな転機が訪れる。86年の民営化である。80年代の民営化の流れ(サッチャリズム)を受けたものだが、これにより大きな変貌を遂げ、本格的な上流部門進出を模索するようになった(リストラも同時実施)。・その後80年代後半は、一連のM&A(企業の買収・合併)によりポートフォリオ拡大を図った時期であった。・特に重要なのは、Tennecoの石油・ガス部門の買収であった。これにより、現在の主力地域であるエジプト、トリニダード・トバゴ、チュニジア等に拠点を築くことが可能となった。90年代前半に入っても、国際展開に積極的で、タイやカザフスタン等に進出し、規模の拡大が続いた。・しかし97年、再度大きな転機が訪れる。分社化の動きである。97年、国内配給部門が分離(セントリカ)されたが、主力ガス田(モーカム)を譲渡、埋蔵量は大幅に減少した(なお現在は、このような苦難の歴史を経て、BGはメジャーを除く企業群の中では、トップクラスの埋蔵量を保有している。特徴としては、北米の同クラスの企業が地元に上流資産を保有しているのとは対照的に、BGは英国外の埋蔵量の比率が高い)。・このように、分社化は97年に実施されたが、00年にさらに輸送部門が分社化された。その結果、事業活動は海外上流部門のみに限定された。これにより、海外上流を中心とする現在のBGの骨格がようやく固まった。・BGは飛躍的に成功したが、その強みとしては①プロの経営陣の存在、②M&Aによる経営資源の拡大、③明確な戦略の策定、実行、④上中下流一貫操業メリットの最大限の活用、⑤ニッチ市場への焦点、⑥メジャーにも勝るとも劣らない業界の中でのトップクラスの低コスト、⑦安定した財務体質、⑧戦略達成のための社内での連携、⑨経営陣による迅速な意思決定、⑩国営企業的文化からの脱却??が挙げられる。・LNG/中流をテコとして国際上流展開する、垂直統合された「ガスメジャー」を目指すBGは、大西洋LNG事業を中心に展開している。BGの特徴として、上流が生産するLNGからアウトレット確保のため25石油・天然ガスレビューAナリシスLNG受入基地にも積極的に関与しており、特に米国において既存基地で確固たる地位を築いている。・LNG事業展開として、現在トリニダード・トバゴ、エジプトが主力地域であるが、その主な理由は両国が、①欧米市場に近接していることのほか、②両国のガスが低熱量であるためである。BGは欧米のガス基準に適合する低熱量のポートフォリオを保有しており、戦略が明確である。・BGは03年のインドネシア・タングー撤退以来、基本的にアジア太平洋LNG市場から撤退していたが、本年2月にチリのLNG受入基地への参入を果たしたことで、今後アジア太平洋LNG市場に本格的に復帰するのかどうかが注目される。チャップマンCEOは、本年6月にマレーシアで開催された会議でも、アジア太平洋地域で積極的な関与を行うと発言している。・最近05年以降の上流活動において、ナイジェリア、ブラジル、ノルウェー、リビア、オマーン、アラスカ、中国等で鉱区取得の動きが活発となっている。この背景として、05年4月のカザフスタン・カシャガン権益の売却により、多額の資金を得たことがある。・上流活動において、ナイジェリア、オマーン、中国等で上流活動の初参入を果たした。ブラジルでも有望鉱区を取得したほか、06年実施されたノルウエーラウンドでも3分の1の鉱区面積を取得している。・このように順調に見えるBGの事業展開であるが、本年5月にモラレス大統領が天然ガス国有化宣言を発表したボリビアでの今後の事業展開(LNG事業、パイプライン等)に不安が残るほか、最近コアエリアとなりつつあるナイジェリアの政局が不安定である等の懸念材料がある。また、最近の鉱区取得の活動はやや手を広げすぎている印象もあり、今後の展開にも注目したい。第1部 BGの世界LNG事業展開と上流/下流事業展開序論 BGは大市場に近接した地域―英領北海、カリブ海(トリニダード・トバゴ)、地中海(エジプト)等に重点を置きながら、世界的規模で①上流事業、②LNG事業、③下流事業(ガス配給事業、発電事業等)を展開している。活動地域は、英国、ノルウェー、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビア、ブラジル、インド、イスラエル、カザフスタン、マレーシア、フィリピン、タイ、エジプト、イタリア、スペイン、モーリタニア、チュニジア、カナダ、トリニダード・トバゴ、米国等20カ国以上に及ぶ。 事業の詳細は第2、3章に後述することとし、以下にその概略を示す。(1)  主力の探鉱・生産部門、成長するLNG部門 BGの売上高構成を見ると、探鉱生産部門が5割強を占める(05年全体売上高:約56億ポンド、円換算約1兆1,000億円)。続いてLNG部門が3割弱、Transmission&Distribution部門が15%弱、発電部門が5%弱となっている(図1)。探鉱・生産部門が主力である状況は変化していないが、LNGの比率は急増傾向にある(02年:12%弱→05年:28%弱。02年売上高:約26億ポンド)。(2)  炭化水素資源生産地域 BGの炭化水素資源生産地域としては、英国、エジプト、トリニダード・トバゴ、カザフスタン、チュニジア、タイ、インド、ボリビア等である。現在、天然ガス生産量のシェアトップ(28%)は英国が占めるが、05年にエジプトが生産を大きく伸ばした結果*1、エジプトと僅差となっている(26%)。2005年2005年発電その他発電その他探鉱・生産探鉱・生産T&DT&DLNGLNG2002年2002年発電発電その他その他探鉱・生産探鉱・生産T&DLNGT&DLNG図1BGの部門別売上高構成(05年/02年)その他、英国以外ではトリニダード・トバゴ、カザフスタン等が続く(図2)。 ただ、石油生産量(石油ガス合計生産量の約4分の1)で見ると、シェア*1:05年の天然ガス生産量で見ると、エジプトでの躍進ぶりが目立つ。05年のエジプトでの天然ガス生産量は、前年比約2.5倍となった。国別構成比も約26%となり、生産量が減少する英国分に肉薄する状況となった。2006.7 Vol.40 No.426ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~タイ インド4%ボリビアカナダ4%2%英国28%6%チュニジア8%9%13%エジプト26%3%タイ4%チュニジア2%ボリビアエジプト他1%インド7%英国37%カザフスタン46%トリニダード・トバゴカザフスタン注: 国別、05年実績。生産量合計:809億立方フィート注: 国別、05年実績。生産量合計:48.98百万バレル石油相当図2BGの天然ガス生産量構成図3BGの石油生産量構成トップはカザフスタンである(カラチャガナクガスコンデンセート田を保有するため)。以下英国、インド、チュニジア等が続く(図3)。(3)  BGの主なLNG事業展開概略 BGは大西洋LNG市場を中心に、上流~下流までのLNGバリューチェーンを構築しつつある。LNGバリューチェーンへの関与の形としては、①LNG液化事業+ガス生産事業双方に参画する事例(トリニダード・トバゴ、エジプト等)、②LNG液化事業のみ参画する事例(ナイジェリアOKLNG)、③LNG購入のみを行う事例(赤道ギニア等)等がある。 また、LNG受入基地へも参画しており、既に米国で主要なポジションを築いているほか、新規LNG受入基地として英国、イタリア等に計画がある。なお、BGは過去に、LNG事業の「選択と集中」を進めており、大西洋LNG市場を中心に資源を集中させてきた。03年にインドネシアのタングーから撤退、大西洋LNG市場へのシフトチェンジを図っていた。 なお、BGの05年以降のLNG事業展開における重要事項として、①トリニダード・トバゴのAtlantic LNGのトレイン4の稼働、②エジプトELNGのトレイン1とトレイン2の稼働、③米国のLNG受入基地の進展(レイク・チャールズ基地の第1期拡張計画の完成、エルバアイランド基地の将来の追加使用権の確保等)、④ナイジェリアでのLNG事業の進展等が挙げられる。1. BG発展の主な経緯 BGという会社はいったいどういう会社なのか? 国営会社? 民間会社? 国内活動を中心とする企業? 他の企業と比較して、BGに関しては人それぞれが持つイメージのギャップが大きいように感じられる。できるだけ正しいイメージを持てるように、上流部門の展開を中心に、BGの主な歴史・経緯を簡単に記述することとする。(British Gas Corp.)」と改編され、ガスの購入、輸送、配給を独占的に扱ってきた。その後、同社は潤沢な資金を背景に、複数の分野へと事業を多角化した。石油・ガス探鉱開発への進出も、小規模ながら行われてきた。しかし、同社が大きく変貌を遂げるのは、主として86年に実施された民営化以降である。に探鉱・生産(E&P)部門を設立している。当初の目的は、主力のモーカムのガス田事業(97年セントリカに譲渡、後述)を含めた、英国内のガス資産の効率的運用にあったと言われる。ガス配給事業等、国内事業に注力してきた同社にとって、E&P部門設立が上流部門へのシフトを図る一つの転機となった。(1)  1948年設立の英国ガス委員(2)  86年の民営化を機に上流部門(3)  80年代末期、一連のM&Aに会(Gas Council)が母体へ進出 BGの歴史は、48年設立の英国ガス委員会「Gas Council」にさかのぼる。英国では第二次世界大戦後の48年に、約1,000のガス会社および事業体のすべてが統合され、同委員会と12地域の委員会の下に国有化された。 その後60年代半ばに、北海で天然ガスが発見され、ガスの重要性が高まる中、73年に同委員会は「英国ガス会社 86年12月、80年代の民営化の流れの中で、名称を「英国ガス株式公開(上場)会社(British Gas plc)」に変更した。同社は、国内のガス配給部門が中心であったが、民営化を契機に本格的に上流部門への進出を模索するようになった。また、民間企業であることもあって、人員削減も本格化している。 その後88年、民営化から2年も経ずよりポートフォリオ拡大 同社にとって80年代末期は、一連の企業買収・合併(M&A)により、ポートフォリオを拡大した時期にあたる。88年には「Acre」、「Bow Valley」等を買収した。さらに同年、グループ再編のため、米国独立系「Tenneco」の国際的上流利権を買収し、本格的に国際上流部門に参入した。なお、89年には「Texas Eastern」も買収している。27石油・天然ガスレビュー@このポートフォリオ拡大時期において、特に重要なのは「Tenneco」の買収である。同社の飛躍の歴史を考える上で、重要な意味を持っている。この買収を通じて、エジプト、トリニダード・トバゴ、インドネシア、チュニジア等に、初めて拠点を築くことが可能となった。同時に、この買収によって熟練したE&Pの人材を手に入れることが可能となったと言われ、これも飛躍の一因となった。Tennecoから獲得した資産は、その多くが現在の中核的資産となっている。(4)  エバンスの戦略 この時期に注目される動きは、89年に経営最高責任者(CEO)のロバート・エバンスが、3事業部への組織再編(①国内ガス事業、②探鉱・生産事業、③海外ガス)を行ったことである。 その目的は、中核である国内ガス配給部門の競争激化による収益の悪化を、国内外の精力的な探鉱・開発活動等で補うという考えに基づくものであった。なお、エバンスは経営戦略として、90年代までに総利潤の約4割を探鉱・開発事業から獲得するという目標を掲げた。(5)  90年代前半、国際進出をさらに進める。ただし探鉱よりも開発中心 90年代前半には、上流部門をさらに積極展開し、タイ(90年、ボンコット〈Bongkot〉開発の権益を取得)やカザフスタン(92年、カラチャガナク再開発に参加)等へも進出している。 また、国際展開を図る一方で、英国国内のガス田開発も積極的に進め、93年にはエベレスト(Everest)ガス田やロモンド(Lomond)ガス田の操業も開始している。ただし、英国でのElgin油・ガス田発見に関与した以外には、探鉱部門の業績は限定されていると評価されている。90年代初期~中期は、探鉱よりも開発面での成功が圧倒的であったとされている。 この時期は、上流・探鉱生産部門やグローバルガス部門の人員が増加した時期でもある。探鉱生産部門は、88年には約500人であったが、90年には約800人、92年には約1,200人となった。またグローバルガス部門は、88年の0人から、90年に約300人、92年には約600人となった。(6)  ブラウンの戦略 90年代前半の動きとしては、94年9月に当時の最高経営責任者であったセドリック・ブラウンが発表した戦略が注目される(ブラウンは過去に北海ガス田開発等を指揮した実績がある)。 その戦略の中核は、上流事業と下流事業の関連を強め、「価値の最大化」を達成するためのガス・チェーン技術を採用することであった。 ガス・チェーンは、さまざまな構成要素(生産、加工、輸送、貯蔵、流通、発電、売買等)からなり、各々の「分野」においてマージンを得る機会が必ず存在するので、広範囲に及ぶ技術を有効活用することにより、任意の中核部門の「分野」を調査し、最も有望な分野を探し出せる、としていた。 BGの企業構造は、地域ごとの事業を垂直的に統合するために確立された。(7)  94年当時の地理的ポートフォリオ 94年当時の地理的ポートフォリオの焦点は、南米(ボリビア、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン)、東南アジア、欧州、エジプト、パキスタン、トリニダード・トバゴ、チュニジア、米国等であった。当時の特筆すべき動きとしては、①カザフを新規中核地域として確立、②パキスタン・米国からの撤退等がある。アナリシスびチュニジアのミスカル(Miskar)ガス田の操業を開始した。いずれのガス田も、Tenneco買収により取得したものである。また90年代後半、現在の主力地域である大規模ガス田の発見に参加している。例えば97年以降、エジプトではロゼッタ(Rosetta)、サフロン(Saffron)、スカラブ(Scarab)、シミアン(Simian)等、ボリビアではマルガリータ(Margarita)、カザフスタンではカシャガンの大規模ガス田発見に参加している。(9)  97年の国内ガス配給部門(セントリカ)の分離と上流部門の縮小(モーカムガス田の譲渡) 前述したように、民営化したBGにとって、80年代末期~90年代後半は事業の大幅拡大の時期にあたるが、97年2月に実施された分社化も、大きな転期となる重要な出来事であった。 97年2月に同社は、①国内ガス配給を中心とするセントリカ(Centrica plc)と、②輸送・上流部門を中心とする、BG plc(輸送、国内外上流事業を含む)に分割された(図4参照)。 ここで注目されるのは、主力のモーカムガス田を、国内ガス配給事業が中心のセントリカに譲渡したことである。モーカムガス田は、現在でも英国において最大の生産量を誇るガス田である(05年実績)。モーカムガス田のセントリカへの譲渡により、BG plcのガス確認埋蔵量/推定生産量は大幅に減少した(後述[第2部])。これは、BG plcにとって大きな衝撃であり、海外事業展開を加速するドライビングフォースとなったと思われる。一方で、これまでの新規探鉱開発の成果が表れていたことも事実である。(8)  90年代後半、相次ぐ探鉱の成功 95年および96年に、トリニダード・トバゴのドルフィン(Dolphin)およ(10)  2000年:BGグループとLatticeグループに分割 分社化の動きはさらに続いた。00年には「BG plc」(輸送、上流事業、海外2006.7 Vol.40 No.428ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~97年2月00年10月02年10月出所:セントリカBritish Gas plcBG plcInfrastructureCentrica plcCustomersBritish Gasブランド名を継続使用BG Group plcLattice Group plcNational GridTransco plc図4BG分割の経緯の概略図含む)は、①海外上流部門を中心とする「BGグループ(BG Group plc、以下「BG」と表記)」、②輸送部門を中心とする「Lattice Group plc」に分割された(図4参照)。Lattice Group plcは02年10月に、現在のナショナルグリッドトランスコ(National Grid Transco plc)に名称変更している。 この分社化により、海外上流部門を中心とする、現在のBGの骨格がようやく固まることになった。 このように、分社化の動きにもまれながら、海外上流部門に船出したBGであるが、上流部門以外のガス配給事業等にも積極的に進出していた。従来、英国内の事業で培ってきた、ガス下流事業の中核競争力が発揮できる分野である。(11)  下流事業への進出例 92年にはガス配給を中心とするメトロガス(MetroGAS)に経営参画し、アルゼンチンの下流事業に進出したほか、95年にはムンバイのガス配給事業に参画、インドの下流事業にも進出している。さらに下流事業の進出で注目を集めたのは、99年のブラジルへの進出であった。それまで投資家の間では、上流部門以外の活動は、あまり注目を集めてこなかったが、ブラジルのガス下流ガス会社であるComgasを、シェルと共同で約10億ドル弱で買収したことで、一躍注目を集めるようになったと言われる。現在はComgasの過半数の株式を保有しており、BG下流事業の収益に貢献している。(12)  潜在成長性の高いLNG事業 ガス上流事業の進展に伴い、LNG事業(後述、第2章)も積極的に展開した。その背景として、トリニダード・トバゴやエジプトでの開発が進展したことがある。例えば、トリニダード・トバゴでは95年にアトランティックLNG社が設立され、翌96年には建設が開始されている。その後のBGの輝かしいLNGの歴史については、周知の通りである。ちなみに、それまでLNG事業は、税引き前利益ベースでグループ全体の約4%弱と小規模だった。 なお、BGのLNG事業展開に関して、ポイントとなった大きな動きは、03年のインドネシア・タングーからの撤退(BG権益:10.7%)であった。これにより実質的にアジア太平洋LNG市場から撤退し、大西洋LNG市場に集中することになった。以降、BGは大西洋LNG市場への選択と集中の方針の下で、上流から下流までのLNGバリューチェーンを展開することになった。 以上、BGの主な歴史・経緯に関して、上流部門を中心に簡単に記載した。なお、現在のCEO、チャップマンの経緯・戦略等が注目されているが(第2部で記載)、これまで第1部・第1章で見てきたように、チャップマン登場前にも(特に86年の民営化以降の動き)、さまざまな変革の動きがあったことを忘れてはならない。なお、次の第2章で現在の各地域別・国別のLNG事業展開を、第3章で現在の各地域別・国別の上流事業および下流事業展開を記述することとする。2. BGのLNG事業展開 本章では、BGのワールド事業展開の中でも最も成長し、大西洋市場を中心に飛躍を遂げつつあるLNG事業展開について記述する。 その後、第3章でLNG事業以外の、上流事業、下流事業について記述することにする。 なお、BGの特徴の一つは、上流が生産するLNGアウトレット確保のためのLNG受入基地の権益を大規模に確保していることである。 特に、米国の既存LNG受入基地では、トップの地位を占める。今後LNG輸入大国となる英国にも計画がある。 BGのワールドLNG事業展開を考えるとき、この視点は重要である。 同社は、ガスの生産、LNG液化、LNG購入、LNG受入基地などさまざまな事業展開を行っている。以下各事業について紹介する。29石油・天然ガスレビューAナリシスドラゴンLNG(英国)ドラゴンLNG(英国)プロビデンス(米国)プロビデンス(米国)ブリンディジ(イタリア)ブリンディジ(イタリア)ELNGELNG(T1/T2:エジプト)(T1/T2:エジプト)SegasLNGSegasLNG(購入のみ:エジプト)(購入のみ:エジプト)レイクチャールズ(米国)レイクチャールズ(米国)エルバアイランド(米国)エルバアイランド(米国)AtlanticLNG(トリニダード・トバゴ)AtlanticLNG(トリニダード・トバゴ)Paci?cLNG(実質凍結状態)Paci?cLNG(実質凍結状態)(生産:ボリビア。太平洋岸までP/L敷設(生産:ボリビア。太平洋岸までP/L敷設 液化基地:チリorペルー) 液化基地:チリorペルー)モーリタニアモーリタニアブラスLNGブラスLNG(購入のみ:ナイジェリア)(購入のみ:ナイジェリア)OKLNG(ナイジェリア)OKLNG(ナイジェリア)NLNGプラスNLNGプラス(購入のみ:ナイジェリア)(購入のみ:ナイジェリア)赤道ギニア赤道ギニア(購入のみ)(購入のみ)NIOCLNGNIOCLNG(撤退?:イラン)(撤退?:イラン)PipavavPipavav(凍結:インド)(凍結:インド)タングータングー(撤退:インドネシア)(撤退:インドネシア)図5BGのLNG事業の主要な展開概略図然ガスが国の経済の中心になっている。ガス工業が発展しており、世界的規模のアンモニア工場、メタノール工場も複数ある。 なお、トリニダード・トバゴの天然ガスの確認埋蔵量は、18.8兆立方フィート(以下「tcf」とする)(04年末、BP統計)となっている。BGはトリニダード・トバゴの液化プロジェクトである、アトランティックLNGトレインの1~4のすべてにおいて、権益に参画している。 内訳は下記の通りである。トレイン1(生産規模:310万t/年、26%;05年末)、トレイン2(生産規模:340万t、32.5%;05年末)、トレイン3(生産規模:340万t、32.5%;05年末)、トレイン4(生産規模:520万t/年、28.89%;05年末。昨年12月稼働開始)となっている(新規追加トレインも計画中)*2。販売先は欧米向け中心であり、主として米国・スペイン・プエルトリコ等に輸出されている(供給先企業:BG、スエズ、レプソルYPF等)。・主な経緯 トレイン1に関しては、93年事業化調査開始、94年FEED発注、95年アトランティックLNG社設立、96年建設開始、99年建設完了となっている。 LNG輸出開始時期は、トレイン1が99年、トレイン2が02年、トレイン3が03年、トレイン4が06年初頭であった。トレイン4の初カーゴは、05年に約20数年ぶりにLNG輸入国に転じた英国向けであった(アイルオブグレインLNG受入基地向け)。・ガス上流事業について BGは、液化基地への参画だけではなく、LNGを供給する上流のガス生産事業にも参画している。具体的には東部ではドルフィン/スターフィッシュ等、北部ではポインセチア/ハイキンテロ(チリ)キンテロ(チリ)LNGプロジェクト(稼働中)LNGプロジェクト(計画中)LNG受入基地(稼働中)LNG受入基地(計画中)(1)  LNG液化事業+ガス生産事業への参画 既存事業では、同社はトリニダード・トバゴ、エジプトを主力地域としている(図5)。ボリビア産ガスを使用した、LNG計画等もある。トリニダード・トバゴやエジプトを主力地域とする理由は、欧米市場に近いことのほか、これらの地域のガスが、欧米のガス基準に合致する低熱量ガスであることも理由の一つである(後述)。? 既存事業① トリニダード・トバゴ・LNG液化事業 トリニダード・トバゴは、カリブ海南端(ベネズエラ沖合)にある、二つの島からなる島国である。人口は約130万人(03年世銀データ)で、面積は千葉県よりやや広い。トリニダード・トバゴは、西インド諸島随一の豊かな炭化水素資源に恵まれ、石油と天嶼しとうょ*2:他社を含めた各トレイン構成(05年7月末)。トレイン1の構成:BG26%、BP34%、レプソルYPF20%、トラクテベル10%、NGC(トリニダード国営ガス会社)10%。トレイン2/3の構成:BG32.5%、BP42.5%、レプソルYPF25%。トレイン4の構成:BG28.89%、BP:37.78%、レプソルYPF22.22%、NGC11.11%。トレイン5/6の稼働も計画されており、BP、BG等が主体となっている。販売先は北米・欧州・ジャマイカ等が想定されている。2006.7 Vol.40 No.430ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~表1LNG液化事業+ガス生産事業への参画例(BG):トリニダード・トバゴプラントサイトPoint Fortin(トリニダード島南西部)トレイントレイン1トレイン2トレイン3トレイン4生産規模(万t/年)310340340520稼動状況稼働中稼働中稼働中稼働中BGの参画比率26.00%32.50%32.50%28.89%BGが参画する主なガス供給源ドルフィンスターフィッシュポインセチアハイビスカス販売先北米・欧州他ビスカス等のガス田に関与している(05年のBG生産量:1,800万バレル石油換算)。 なお、トリニダード・トバゴのガス田は、主として二つの区域で生産されている(図6)。 一つは東部海域(イーストコーストマリーンエリア;East Coast Marine Area〈ECMA〉)であり、ドルフィン、スターフィッシュ等のガス田が存在する(ドルフィン;Dolphin、ドルフィンディープ;Dolphin Deep、スターフィッシュ;Starfishの権益保有比率:BG50%〈オペレーター〉、シェブロン50%)。もう一つは北部海域(ノースコーストマリーンエリア;North Coast Marine Area〈NCMA〉)であり、ポインセチア、ハイビスカス等のガス田が存在する(例:ハイビスカスの権益:BG45.9%、ペトロリン;Petrotrin〈トリニダード国営石油会社〉19.5%他)・マーケット近接、低熱量、プラントコストダウンの実現等 トリニダード・トバゴのLNGは、主として欧米に輸出され、これまで大西洋LNG市場において確固たる役割を果たしてきた。その重要性は特に、米国市場において際立っており、04年のPoinsettiaChaconiaHibiscusIxoraNCMA Unit AreaCARIBBEAN SEAATLANTIC OCEANTOBAGOPORT OF SPAINTRINIDADPOINT LISASPHOENIX PARKBlock ECentral BlockBeach?eldPetrotrin Re?nery Pointe-a-PierreGULF OF PARIAAtlantic LNGPOINT FORTINPICTONVENEZUELABlock 3(a)ECMAStar?shBlock 5(a)Dolphin DeepDolphin Block 6(b)Loran/ManateeBlock 6(d)米国輸入LNGの実に約7割がトリニダード・トバゴ産である(図7)。 その成功の理由としては、①米国マーケットまでの距離が近いこと(例:トリニダード・トバゴ→米国エルバアイランド基地〈ジョージア州〉:約1,900マイル、往復航海日数:約10日)、②トリニダード・トバゴ産のガスが、欧米のガス品質基準に合致する低熱量であること(後述)、③税制面の優遇があったこと(10年間の法人税免除等)、④競争による効果的な入札を実施したことで低コストを実現できたこと*3、⑤少人口ながら世界的規模のアンモニア工場やメタノール工場が既存にあり、ガス工業から熟練労働力を調達できたこと??等が挙げられている。② エジプト・LNG液化事業、購入も 05年1月に、エジプトは世界で13番目のLNG輸出国となった(Segas LNG:スペインHuelva基地向け初出マレーシア3%豪州2%カタール5%18%アルジェリアトリニダード・トバゴ72%図6BGのLNG事業展開例(LNG液化事業+ガス生産事業):トリニダード・トバゴ図7米国のLNG輸入国別の割合(04年)*3:トリニダード・トバゴのLNGで採用されたフィリップス改良型カスケード方式は、69年に供給開始したアラスカのケナイのLNG液化プラント以降、採用されていなかった。しかし、トリニダード・トバゴのLNG液化プラントにおいては、2連合を競争させる効果的な入札を実施し、信頼性が高く価格競争力のある建設業者を選択し低コストを実現できたと言われる。また広く実証済みの技術と設備を利用してプロジェクト開発のあらゆる局面で競争力を高めた結果、トレイン1のコストは10億ドルを下回るレベルとなったと言われる。その結果、それまでの過去30年間実績のあった、APCI(プロパン予冷混合冷媒)方式の独占を破ることになった。この経験はトリニダード・トバゴとともに、主力地域となるエジプトに生かされることになった。*4:トレイン1の構成:BG、Petronas(マレーシア国営石油会社)各35.5%、Egas(エジプト天然ガス会社)、EGPC(エジプト国営石油公社)各12%、GdF(ガス・ド・フランス)5%。トレイン2の構成:BG、Petronas各38%、Egas、EGPC各12%。31石油・天然ガスレビュー\2LNG液化事業+ガス生産事業への参画例(BG):エジプトアナリシスプラントサイトIdku(アレキサンドリア東部)トレイントレイン1トレイン2生産規模(万t/年)360360稼動状況稼働中稼働中BGの参画比率35.50%38.00%BGが参画する主なガス供給源販売先WDDM鉱区トレイン2:BG全量購入(Simian/Sienna等)(イタリア・北米向け(※))初予定よりも稼働時期を早めたが(トレイン1が3カ月程度、トレイン2が9カ月程度早まったと言われる)、その専門性が発揮されたことも背景にある。 なお本年3月、日本企業の大阪ガスが、エジプトからスポット調達を行う方針であることが報道されている。? 計画①ボリビア他 LNG液化事業+ガス生産事業への参画計画例として、ボリビア等がある。しかし、ボリビアに関しては、本年5月のモラレス大統領による天然ガス国有化宣言に見られるように、先行きは不透明な状況にある。・政治的不安定、天然ガス国有化宣言の影響は? ボリビアは、ベネズエラに次ぐ南米West Delta Deep MarineMEDITERRANEAN SEASimianSolarSiennaSerpentSapphireEl ManzalaEl BurgDAMIETTAPORT SAID荷)。BGはEgyptian LNG(ELNG)の液化基地トレイン1・トレイン2に参画している(ELNGのトレイン1〈360万t/年、35.5%参画〉、ELNGのトレイン2〈360万t/年、38%参画〉)*4。 なお、ELNGのトレイン1、トレイン2ともに、05年に操業を開始しており、この年はエジプトのLNGの歴史にとって画期的な年となった。 また、BGは購入においても関与し、トレイン2の全量を購入している(トレイン1については、GdF〈ガス・ド・フランス〉が全量購入している)。販売先は、イタリア・ブリンディジ(Brindisi)受入基地が稼働(09年頃予定)するまでは主として米国向け、稼働後はブリンディジ基地向けの予定である。・ガス上流生産事業 BGは上流のガス生産事業にも参画しており、ロゼッタ鉱区、ウェストデルタディープマリン鉱区(West Delta Deep Marine;WDDM)=シミアン;Simian、シエナ;Siena、スカラブ;Scarab、サフロン;Saffronガス田=等でガス生産事業に関与している(図8)。なお、WDDM鉱区生産したガスの一部はLNGにも供給されている。トリニダード・トバゴ同様、上流から下流までのLNGバリューチェーンを構築している。BGのエジプトでの生産量は05年に急増しており(04年:1,400万バレル石油換算→05年:3,500万バレル石油換算)、BGの天然ガス単独の生産量としては、英国に次いで2位となっている。 エジプトの有望ガス田は、ナイルデルタ(Nile Delta)沖合(地中海)に集中しており、WDDM鉱区、ロゼッタ(Rosetta)鉱区(いずれもBGが主導)、West Mediterranean Deep鉱区(BPが主導)、East Delta Deep鉱区(Eniが主導)、Northeast Mediterranean Deep(NEMED、シェルが主導)などの開発が急ピッチで進められてきた。この結果、80年に3.2tcfであったガス埋蔵量は、90年に13.4tcf、00年に50.5tcfと急増し、04年には65.5tcfに達している(BP統計)。・エジプトLNG事業の主な特徴 エジプトLNG事業の主な特徴として、トリニダード・トバゴ同様、①市場マーケット(欧州市場)に近い地理的有利性、②エジプト産ガスの低熱量性(欧米市場ガス基準に合致)、③液化プラントにおいてもトリニダード・トバゴモデルを採用したこと等が挙げられる。 ELNGでは液化技術としてフィリップス・カスケード (Cascade)方式を採用しているが、この方式はトリニダード・トバゴでも採用されており、この分野では豊富な実績と高度な専門性を有する。稼働時期が遅れるLNGプロジェクトが多い中で、ELNGは当ScarabSa?ronSaurusSequoiaRosetta図8ALEXANDRIAIDKUEgyptian LNG Trains1&2EGYPTCAIROBGの事業展開例(LNG事業、上流事業):エジプト2006.7 Vol.40 No.432ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~(2)  LNG液化事業のみの参画 前述したトリニダード・トバゴのように、LNG液化事業とガス生産事業を一体化した展開以外に、LNG液化事業のみ参画する例も見られる。ナイジェリアのOKLNGがその一例だが、イランについては現在凍結中である。約850万tのLNG輸出を行った模様である。しかし今後ナイジェリアで計画通りにLNG液化基地が稼働した場合、10年前後に、LNG供給能力は5,000万t/年以上に達すると予想されている(なお、サブサハラ地域全体〈ナイジェリア、赤道ギニア、アンゴラ〉からのLNG供給能力は、約7,000万t/年に達①OKLNG(ナイジェリア) BGはナイジェリアのOKLNG(オロコラ〈Olokola〉LNG)に参画している(13.5%)。OKLNGの稼働開始は、10年の予定である。現在第1期として1,100万t/年(トレイン1/2)の規模のプラントが検討されており、本年中にFID(最終投資決定)を行われる予定である。また、第2期としてトレイン3、4の計画もあり、1~4で2,200万t/年への拡張計画となる(表4)。PERUlloPaci?cOceanTocopillaLa PazBOLIVIABRAZILOruroSucreVilla MontesAntofagastaPARAGUAYCHILEARGENTINA図9Paci? c LNG関係地図BOLIVIACharagua・今後の大西洋LNG市場でキーとなるナイジェリアのLNG BGは、大西洋LNG市場において、今後急速に成長するナイジェリアの重要性を認識しており、今後の重点エリアとする予定である。なお、ナイジェリアは05年実績で、CaipipendiLA PAZMargaritaTARIJAItauVILLAMONTESVILLAMONTESLa VertienteIbibobo-MistolPalo MarcadoLos SurisPARAGUAYCHILEARGENTINA図10BGの事業展開例(上流事業):ボリビア第2位の天然ガス確認埋蔵量を誇る(04年末:31.4tcf)が、BGはボリビア有数の埋蔵量保有会社の一つである(レプソルYPFやペトロブラス等も)。なお、BG全体の天然ガス生産量に占めるボリビアの割合は、05年で約4%である(石油ガス合計では2.5%)。 ボリビアでは、南部のマルガリータガスコンデンセート田(BG:37.5%、98年発見)等のガスを、太平洋岸までパイプラインで輸送し、ペルーかチリの海岸でLNG液化し、北米西海岸等に輸送するという構想(表3)があり、BGも参画している(37.5%とも。現在F/S中)(図9、図10参照)。しかし、ボリビアの不安定な政治状況等によとんり、現在は頓する形となっている。 本年5月、ボリビアのモラレス大統領は天然ガス資源の国有化を宣言したが、BG幹部は5月上旬、ボリビアは全体確認埋蔵量でも4%未満、グローバル投資の2%未満であるので、影響は軽微であると語っている。また、ボリビアの天然ガス国有化は違法か否かの質問に対しては、「詳細を理解する必要がある。現時点でのコメントは時期尚早。唯一の解決法は、企業・政府・利害関係者が着地点を探ることである」と述べている。またBGはボリビア~ブラジル間の国際パイプライン(BBP)にも参画しており、ボリビアでの今後の事業展開が懸念される。 BGは西アフリカのモーリタニアでもLNG液化基地建設を計画中であり、現在構想段階中である(プロジェクト名称:ボーリタリア〈Bauritania〉。BGはChinguettiフィールドなどに参画中)。挫ざ表3LNG液化事業+ガス生産事業への参画例(BG):ボリビアプロジェクトプラントサイトトレイン生産規模(万t/年)稼働状況BGの参画比率BGが参画する主なガス供給源販売先Paci? c LNG未定(ペルーまたはチリの太平洋岸)未定F/S中未定マルガリータ等北米西海岸他33石油・天然ガスレビューキる予定である)。今後、カタールとともに大西洋LNG市場の展開に重要な役割を果たすと予想されている。 OKLNGに関して、BGは本年2月、PDA(project development agreement)を締結している。内訳はNNPC(ナイジェリア国営石油会社)49.5%、シェル18.5%、シェブロン18.5%となっている。 OKLNGに関しては、本年4月、日本企業の双日と住友商事の共同出資会社であるLNGジャパンが、NNPCから事業会社の株式3%を譲り受けることで基本合意に達したと報道されている。②NIOC LNG(イラン) イランに関しては、NIOC LNG*5に関して、イタリアのENIとともに参画の交渉が続けられたようであるが、現在BGは不参加の方針のようである(ガス上流事業にも参加するのではないかとの報道もあった)。(3)  LNG購入のみ LNG液化事業+ガス生産事業(トリニダード・トバゴ等)やLNG液化事業のみの参画(ナイジェリア・OKLNG)を行わず、LNG購入のみのポジションを取るものも複数ある(西アフリカ地域等)。なお、BGは大西洋LNG市場のトリニダード・トバゴ等で、裁定取引(アービトラージ)の実績が豊富なトレーディング会社でもある。今後、大西洋LNG市場において、地理的に有利な西アフリカLNGの玉を利用した活動を活発化させるものと思われる。・ナイジェリア①ナイジェリア(NLNG)トレインプラスOK LNGラゴスGTLBrassBrassナイジェリアギニア湾 ナイジェリアのトレインプラス(トレイン4/5、計820万t/年)において、BGは250万t/年の購入契約を締結している(表5)。NLNGトレインプラスの購入者は、BGのほか、シェル、ENI(イタリア)、トランスガス(ポルトガル)、イベルドローラ(スペイン電力会社)等である。BGは最大の購入者であり、250万t/年を引き取っている(05年から20年間。米国のレイク・チャールズ向け等、LNGは欧州および米国に輸送される)。②ブラス(Brass)LNG(ナイジェリア) 本年2月、BGはブラスLNG(1,000万t/年。09年稼働予定)から200万t/年を購入する契約を締結した(2010年から20年間)。なお、BPやスエズもブラスLNGからの購入を決定した模様である。なお、ブラスLNGに関しては、治安・コストの問題等により、シェブロンが本年2月に撤退を表明している。1月にBPが、2月にBGが各々200万t/年のLNG購入契約(MOU)を締結したばかりであり、シェブロンの撤退に驚きの念を持った関係者は多い(シェブロンの代わりにトタールが参画する可能性もあるとの報道もある)。アナリシスニジェールチャドナイジェリアアブージャカメルーン稼働中建設中計画NLNGSoutheastLNGNLNGSoutheastLNGニジェールデルタ図11BGの事業展開例(LNG事業):ナイジェリア③赤道ギニア(西アフリカ) マラソン(米国系石油会社)や国営ソナガス(Sonagas)=赤道ギニア石油会社(国営赤道ギニア石油会社〈GEOPetrol〉)から権益移管=のアルバ(Alba)LNG(1トレイン340万t/年、07年稼働予定)においても、07年より20年間、LNG生産能力の全量を購入する契約を締結している(表6)。なお、マラソンは拡張分の追加トレインを、09年に稼働させる計画である。しかし、拡張のためには、少なくとも10tcfのガスが必要と言われており、ナイジェリアからガス供給を受ける構想もある模様である。なお、05年に、赤道ギニアのLNGプロジェクトに日本の三井物産(8.5%)と丸紅(6.5%)が出資を行うことで合意している。④ セガス(Segas)LNG(エジプト) 前述したように、ELNGトレイン1、2に関しては、BGにとってLNG表4LNG液化事業のみの参画例(BG):ナイジェリア・OKLNGプラントサイトトレインオロコラ自由貿易区(オグン州/オンド州)トレイン1~4生産規模(万t/年)2,200(550×4)稼働状況2010年頃稼動予定(T1/T2)BGの参画比率13.50%販売先北米・欧州他*5:供給ガス田:サウスパルス(フェーズ12)、総投資額10億ドル、生産能力900万~1000万t/年(450万~500万t/年×2トレイン)。現在、NIOC[イラン国営石油会社]が100%保有。2006.7 Vol.40 No.434ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~表5LNG購入のみ参画例(BG):ナイジェリアトレインプラス、ブラスLNGプラントサイトトレイン生産規模(万t/年)稼働状況BGの購入量(万t/年)購入開始年契約期間BGの参画比率販売予定先NLNG Plusトレイン4/5820稼働中Brassトレイン1/21,000(500×2)10年頃稼働予定25020005年20年間10年20年間0%0%北米・欧州他北米・欧州他備考米国レイクチャールズ他予定米国レイクチャールズ他予定表6LNG購入のみ参画例(BG):赤道ギニアプロジェクト生産規模(万t/年)稼働状況BGの購入量(万t/年)Alba LNG34007年頃稼働予定340購入開始年07年契約期間BGの参画比率販売予定先備考17年間0%北米・欧州他 米国レイクチャールズ他予定表7LNG購入のみ参画例(BG):エジプト、セガスLNGプロジェクト生産規模(万t/年)稼働状況BGの購入量(万t/年)購入開始年契約期間BGの参画比率販売予定先備考Segas LNG550稼働中7005年5年間0%北米・欧州他BGは供給ガス源の1つWDDM鉱区Scarab、Safronガス田の開発に参加よって、他社が苦労して取得した上流権益にも、たやすく参入できる結果につながったとも発言している。米国のLNG受入基地の使用権獲得は、それだけ大きな役割を果たしたとの認識である。BGは、欧州においては、既存LNG受入基地の権益を保有しないが、英国とイタリアで新規LNG受入基地に参画予定である。①米国・米国のLNG受入基地において、トップの地位を築く迫ぱ BGは、05年米国のLNG輸入量の約4割に関与しており、米国トップの地位を占める(その他はスエズ、BP、シェル、スタットオイル等)。現在米国では、カナダ産ガスの輸入量減少、米国国内生産の成熟化等を理由に、今後の天然ガス需給の逼化が予測されており、新規LNG受入基地計画が相次いでいる(現時点で、計画基地は60以上に及ぶ)。しかし米国では、LNGの安全性の問題や環境問題等を理由に、特に東海岸や西海岸で建設反対運ひっく地として米国で主要なポジションを築いており、また新規LNG受入基地としては米国、英国、イタリア等で計画がある。計画・米国LNG基地保有が強み ヒアリング先のBGの担当者は、BGのLNG事業展開にとって、米国にLNG受入基地の使用権を複数所有していることが特に強みであると語っている。その担当者は、01年にシェルとの競争に勝って米国でのLNG受入基地の使用権を取得したことが、現在のBGの事業展開にとって重要だったと振り返っている。これにより、大西洋LNGガス・チェーンにおいてBGが確固たるポジションを築くことが可能となった、とも述べている。さらに、この下流権益との交換に液化事業+ガス生産事業の統合プロジェクトであったが、本年1月に稼働したセガスLNGからは、05年から5年間の有期限のLNGの購入を行っている(表7)。(4)  LNG受入基地の事業展開 次に、LNG受入基地の展開を見ていくことにする。 LNG受入基地に関しては、既存基カメルーンアルバガス田赤道ギニアLNGマラボビオコ島赤道ギニア赤道ギニア稼働中建設中ガボン図12BGの事業展開例(LNG事業):赤道ギニア35石油・天然ガスレビューフ抽出(例えば、LNGからブタン、プロパン等を抽出)が可能な分離施設が設置されている。そのため、今後BGのワールドLNG事業展開をより有利にすると予想されている。米国のパイプライン品質基準に合致する、広範囲のソース調達が可能であることが注目される。アナリシスEverett(マサチューセッツ州)Providence(ロードアイランド州)Cove Point(メリーランド州)Lake Charles(ルイジアナ州)Elba Island(ジョージア州)Energy Bridge(ルイジアナ州沖合)既存LNG基地計画中LNG基地(BG分)図13米国の既存LNG受入基地とBGの計画LNG受入基地動が相次いでいる。撤退に追い込まれたプロジェクトも複数存在する。基本的に、メキシコ湾地域を除き、新規LNG受入基地の建設は進展しにくい状況にある(米国の既存LNG受入基地:大西洋岸に3、メキシコ湾地域に2の計五つ)。このような状況下で米国LNG市場で確固たる地位を築いているBGは、大きなアドバンテージを有する。 BGは、米国においてメキシコ湾岸・ルイジアナ州にあるレイク・チャールズ基地(15億立方フィート/日〈bcf/d〉、約1,140万t/年、本年拡張予定)の使用権を100%確保しているほか、大西洋岸ジョージア州にあるエルバアイランド基地(約325万t/年、約910万t/年の拡張計画あり)の使用権を65%確保している(残りはマラソンが保有)。新規受入基地としては、北東部にあるプロビデンス基地等が計画されている(表8)。ただし、プロビデンスに関しては、住民の反対運動等のため、実現には困難が予想されている*6。・熱量問題に対応可能なレイク・チャールズ基地 なお、熱量問題に対応可能なレイク・チャールズ基地も注目される。レイク・チャールズ基地は、高熱量のLNGに対応可能な(供給ソースのさまざまな熱量に対応可能な)、稀少なLNG受入基地である。中東産等、一般的に高熱量のLNGからも、重質分1,6001,4001,2001,0008006004002000②英国・英国:再びLNG 輸入国へ 英国は60年代に、世界で初めてLNGの輸入を開始した国である(初カーゴ:アルジェリア産。キャンベイ島向け)。北海ガス田の発見が相次ぎ、英国が天然ガス輸出国に転じたこともあって、これまでLNG輸入は中断していたが、北海ガス田の生産が成熟化したことにより、04年に再び天然ガス輸入国に転じた。このような事情を背景に、LNGについても英国は、05年から再び輸入国になった(アイルオブグレイン受入基地向け)。今後、英国では天然ガス需給1996979899200001020304 年図14米国のLNG輸入量推移(単位:万t)の逼迫が進展し、世界有数のLNG輸入大国となる見通しである。・ドラゴンLNG基地に権益 BGは、お膝元の英国において、ウエールズにあるミルフォードヘブン表8LNG受入基地の展開例(BG):米国ロケーション事業者使用権稼働状況既存米国Lake Charles(ルイジアナ州)Elba Island(ジョージア州)Trunkline LNGBG:100%Southern LNGBG:65%マラソン:35%稼働中稼働中計画米国Providence(ロード・アイランド州)KeyspanBG未定未定受入能力(万t/年)1,140(1.5bcf/d)325未定備考拡張計画あり(06年半ば2.1bcf/dへ)拡張計画あり(12年頃1.2bcf/dへ)Keyspan社の保有するピークシェービング用LNG貯蔵施設を改良するもの*6:プロビデンスプロジェクトは、キースパン(KeySpan)とBGグループの子会社であるBG LNGサービス社が共同で計画している(約1億ドル)。既存のピークシェービング用LNG貯蔵施設を改造し、LNG船の着桟および荷揚げが可能な受入基地へと改修するものである。2006.7 Vol.40 No.436ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~発電事業等)の積極的展開も見逃せない(アイルオブグレイン、キャンベイ島等のLNG受入基地に参画)。LNG受入基地を計画していたが、現在は凍結されている。③イタリア他 イタリアにおいてもブリンディジ基地(600万t/年)の計画がある(表10)。同計画にはイタリアの電力会社エネル〈Enel〉も参画の予定であったが、05年にエネルは撤退した。同計画に対しては、住民の反対運動が強く、実現には時間がかかる見通しである。また、BGはインドにおいても、ピパバブ(Pipavav、グジャラート州)においてOrmenLangeNyhamnaNORWAYSleipnerngaledパイプラインaL(Milford Haven)で計画されているドラゴンLNG(07年稼働予定、440万t/年、拡張計画あり)に参画している(図15)。これは、同じくミルフォードヘブンでエクソンモービル/カタール国営石油会社(QP)が計画しているサウスフック基地とは異なる。 ドラゴンLNGは、BGのほかマレーシアのペトロナス、オランダの石油精製会社ペトロプラスが計画しているもので、使用権はBGとペトロナスが、各々50%保有している(表9)*7。英国のLNG 受入基地に関しては、BGと関係が深いセントリカ(英国ガス配給、新設パイプライン既存パイプライン新規LNG受入基地既存LNG受入基地ガス田④チリ・注目されるチリLNG受入基地の動向~アジア太平洋LNG市場に新展開?~ 以上、米国、英国、イタリア等のLNG受入基地計画に関して記述してきたが、最近動きのあったチリに関して、触れることにする。BGのLNG事業展開は大西洋LNG市場が中心だが、06年にはアジア太平洋LNG市場のチリへの参入を果たした。 03年に発表したインドネシア・タングーからの撤退により、アジア太平洋LNG市場から大西洋LNG市場へ、選択と集中と図っていたBGであるが、チリへの参入でアジア太平洋LNG市場の今後の展開がどうなるかが注目される。他方、ボリビア産ガスのLNG輸出計画も、北米西海岸向け等アジア太平洋LNG市場にあるが、政治的混乱状況にあり、実質凍結状態にある。・チリのLNG受入基地の動向~BGはアジア太平洋LNG市場に復帰?~ 上述したように、本年2月、チリ(キンテロ)の落札者がBGに決定した(表11)。BGは、LNG受入基地のコンソーシアムを組むENAP(チリ石油公社)、エンデサチリ(発電事業者)、メトロガス(Metrogas、ガス配給会社)の3社と、LOI(Letter Of Intent)を締結している。EasingtonMorecambe (沖合)モーカム・サウスガス田TeessideSouth Hook(Milford Haven)Canvey Island(Milford Haven)Isle of GrainDragonBactonBBLパイプラインBalgzandインターコネクターパイプラインZeebrugge図15英国の主なLNG受入基地概略図表9LNG受入基地の展開例(BG):英国ロケーション事業者使用権稼働状況受入能力(万t/年)備考計画英国Dragon LNG (ウェールズ)(Milford Haven)BGペトロナス(マレーシア)ペトロプラス(蘭石油精製会社)BG:50%ペトロナス:50%07年稼働予定440拡張計画あり*7:04年のチリの天然ガス消費量は82億?。輸入量72億?である(輸入依存度約87%。輸入量全量をアルゼンチンに依存)。04年4月、アルゼンチンからの輸入制限により、チリはLNG受入基地の経済性を本格的に検討してきた。プラントサイト予定地は、首都サンチアゴ北西のキンテロ(Quintero)である。なお、04年11月、インドネシアと200万~400万t/年との購入に関するMOUを締結したとも伝えられていた(APEC[アジア太平洋経済協力会議]の二国間協議において)。一方で3月上旬、チリの前ラゴス大統領は、チリ南部Magallanes地方にあるフエゴ島のラゴメルセデス(Lago Mercedes)地域で、大規模な天然ガス鉱床を発見したことを明らかにしており、チリ国内ガス開発の今後の行方も注目される。37石油・天然ガスレビューAナリシス表10LNG受入基地の展開例(BG):イタリアその他ロケーション計画 イタリアBrindisi(イタリア南部プーリア州)*インドのPipavavに関しては、現在凍結中。事業者BG使用権稼働状況BG:80%TPA(第3者アクセス)向け:20% 09年頃稼働予定受入能力(万t/年)600備考05年、イタリア電力会社Enel撤退、BGの単独事業へ 今後、BGはコンソーシアムと、LNG受入基地の建設と、LNG供給に関して、独占的に交渉することになった。なお、入札は本年1月31日に締め切られ、応札者は明らかにされていないが、ウッドサイド、スエズ、レプソル等の名前が挙がっている。 チリは、アジア太平洋LNGプロジェクトの供給先になるとも期待されていた。供給源・価格の詳細は明らかにされていないが、供給源についてはおそらくBGの保有するLNGポートフォリオ(図16)から供給される見込みである(赤道ギニアが有力との報道もある)。オンライン情報等では、BGがLNG 事業展開において関与する、トリニダード・トバゴ、エジプト、赤道ギニア、ナイジェリア等が候補先となっている。BGブランドのLNGとして、供給源を特定せずに供給される可能性がある。アジア太平洋LNG市場で、新規にLNG購入契約を締結し、それを供給する可能性も否定できない。・チリLNG受入基地は、南米ガス戦略の一環? 受入能力は800万?/日(=約210万t/年。900万~1,500万?/日の数字も)、建設費は約3.5億ドルが見込まれている(3億~5億ドルとの数字も。受入基地のタイプにより建設コストは異なる)。建設には、ジェッティ(jetty、桟橋)や貯蔵タンク、気化設備、パイプライン(主要パイプラインにつなぐ)等の建設が含まれる。詳細スタディが、本年末完成予定である(その後最終契約締結)。建設開始は07年、稼働開始は09年の予定である(早ければ08年の可能性もある)。なお、契約趣意書の調印を行ったBG(南米)のリック・ワデル(Rick Waddell)は、「BGは南米での経験が豊富(ボリビア・アルゼンチン等)であり、かつ確実で長期的な供給を行うことが可能」とコメントしている。 ヒアリング先のBGの担当者は、チリへの進出は、アジア太平洋LNG市場への回帰というよりはむしろ、南米のガス戦略(図17)の関連であると述べている。今後のアジア太平洋LNG市場にどう影響するのか、注目される。NorthslopePL292/PL324他(ノルウェー)EL429/432,Bubbles,Copton他Interconnectorパイプライン(英国?ベルギー)20フィールド以上で生産中(Armada,Seymour他)(英国)Seabank他(英国)ポー川流域(イタリア)Serene(イタリア)Miskar他(チュニジア)チンゲッティ他(モーリタニア)Poinsettia/Hibiscus/Dolphin他(トリニダード・トバゴ)WDDM鉱区/ロゼッタ鉱区(エジプト)OPL332他(ナイジェリア)BBLパイプラインMargarita他(ボリビア)Comgas(ブラジル)BM-S-9,10,11他(ブラジル)上流生産(生産中)上流生産(探鉱・開発)下流会社発電SCPパイプライン(アルゼンチン?ウルグアイ)Metro GAS(アルゼンチン)図16BGのLNG事業の主要な展開概略図カラチャガナク(カザフスタン)CPCパイプラインクリシュナ・ゴダバリ堆積盆イスラエル沖/ガザ沖Block60(オマーン)Block7,8,9,(タイ)海南島沖(中国)Santa Rita他(フィリピン)GGCLMGLPanna/Mukta/Tapti(インド)Bongkot(タイ)Genting Sanyen(マレーシア)2006.7 Vol.40 No.438ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~表11チリのLNG受入基地概要プラントサイト受入能力稼働開始時期供給源キンテロ(Quintero。首都サンチアゴ北西部)約210万t/年(予定)09年予定(早ければ08年にも)詳細不明。BGが保有するポートフォリオから供給予定ダード・トバゴ産が占めているが、それは、同国産のLNGは熱量が低く、国内産ガスとの互換性があるためである。なお、アジア太平洋LNG市場で162,1160,1,1141,1134,1132,1122,1118,1116,1114,1AcceptableBut Content110,1082,1041,1011,1000,1000ーェウジプトルノカエスードア(Skikda)アラダアニェリルジルェリリトジーイアアシア(Arzew)カタナイネストアレラリマダブビオルーアアシネンドェリジーイルブンアーアマビオ0リ900図18主な生産国別の熱量(単位:Btu/cf)1,2001,1001,000But per Cubic Foot・欧米のガス基準に適合する低熱量ガス BGのLNG事業展開において、主力の販売先である米国、欧州のガスのユーザーに供給されるガスの熱量は、一般的に低い。BGは欧米ガス基準に適合が容易な「リーンガス(lean gas、低熱量ガス)」への対応の観点からも、相対的に熱量の低いトリニダード・トバゴとエジプトを主力地域にしている(「リーンガス戦略」と言われることもある)。その理由としてマーケットの近接性以外に、これら地域のガスが低熱量であることも重要である(図18参照)。例えば、04年の米国のLNG輸入量のうち、約7割をトリニURUGUAYBuenos AiresS o u t hA t l a n t i cO c e a nAA NA SEDECHILEQuinteroSantiagoB R A Z I LnPERUonaS o u t hf i cO c e a nBOLIVIAA N D E S La PazPARAGUAYPARAGUAYPARAGUAYnARGENTINAARGENTINAARGENTINAO図17チリおよび周辺諸国のガスPL(5)  低熱量ガス戦略について 以上地域別・国別に、BGのLNG事業展開に関して記述してきたが、BGのLNG事業展開を語る場合、BGが保有する低熱量ガスポートフォリオについて触れる必要があると思われる。BGのLNG事業戦略のポイントの一つである。75604530SnohvitSnohvitMurmanskMurmanskAlaska North SlopeAlaska North SlopeSakhalinSakhalinⅡⅡAtlantic LNGAtlantic LNGMariscal SucreMariscal SucreGassi Touill ELNGELNGBrass RiverBrass RiverEq. GuineaEq. GuineaAngolaAngolaNLNGNLNGSEGasSEGasQatargasQataNIOC LNGNIOC LNGOman LNGOman LNGBontangBontangTangguhDonggiDonggiGreater SunriseGreater SunriseDarwinDarwinGorgonNWSNWSPeru LNG (Camisea)Peru LNG (Camisea)Paci?c LNGPaci?c LNG図19世界の高発熱量プロジェクト(赤字)と低発熱量プロジェクト(青字)*8:南カリフォルニアのパイプラインガスの平均品質で見ると、熱量規格は約1,020Btu/立方フィートであり、低熱量である(またメタン含有率95%以上でメタンリッチである)。例えば米国西海岸のロングビーチ(Long Beach)基地では、輸入するLNGを適正な熱量にするため、C2+(エサナイザー)分離装置等を設置する予定である。なお、C2+等の処理は、ロングビーチ受入基地ではなく、近隣のコノコフィリップスの製油所で、処理される予定である(製油所までパイプラインを敷設し、C2+等を送出)。このため、ロングビーチ受入基地を計画するSES(サウンド・エナジー・ソリューションズ)にとって、熱量調整にかかる設備投資が軽減されることになる。SESは、コノコフィリップスとロングビーチの基地建設に関して、共同開発を行うことで合意したが、メジャー等複数ある候補のうち、コノコフィリップスを選択した理由の一つは、ここにもあるようである。通常であれば、熱量の高いLNGを輸入し、これをユーザーに供給する場合、熱量を適正にするため窒素と混入して、熱量を下げるのであるが、西海岸においては窒素基準(ガスに含まれる含有量の誤差基準)が東海岸と比較してより厳しいため、このような措置を行うこととなった。なお、04年10月、サンディエゴに本社を置く、エネルギー総合会社のセンプラ(Sempra)が、メキシコのバハ・カリフォルニア(Baja California)州にあるコスタアズル(Costa Azul)基地向けに、タングーからのLNG売買契約を締結したが、担当者によれば、タングー産のガスが低熱量であることが調達理由の一つであると述べていた。39石油・天然ガスレビュー沂巨謔ニして予想される米国西海岸では、さらにこの基準が厳格とも言われる*8。 中東産のガス(リビア等)、アジア太平洋地域のガス(低熱量のタングー等は除く)は、比較的高熱量のものが多いが、このようなLNGを、例えば米国市場に持ち込み、ユーザーに供給するためには熱量を下げる必要がある。そのため、例えば重質分の抽出(例えば、LNGからブタン、プロパン等を抽出)が可能な分離施設設備を備える、あるいは窒素設備を設置して熱量を調整する等の工程が必要となり、追加の設備投資が必要である。その点、低熱量のガスの場合、追加の設備投資を最小限に抑えられる。 BG幹部はよく、BGは低熱量のポートフォリオを保有すると説明するが、そのことは図19の「世界の高発熱量LNGプロジェクトと低発熱量LNGプロジェクト」でも明らかである。BGは低発熱量LNGプロジェクトにトリニダード・トバゴ、エジプトで参画中アナリシスであり、赤道ギニア、ボリビア等でも計画中である。ここでいう低発熱量の定義は、原則として米国のガス上限数値である1,050英熱量単位(Btu)/立方フィート(cf)をメルクマールに区分している。ただ一方で、米国レイク・チャールズ基地では、重質分の抽出が可能なLNG受入基地であり、今後の課題を見通した展開も同時に進めていることを見過ごしてはならない。3. LNG案件以外の上流事業および下流事業(ガス配給事業、発電事業等) これまで、BGのLNGの国際事業展開に関して記述してきたが、BGはLNGとは直接関係しないガス生産事業や、ガス配給事業・発電事業といった下流事業にも積極的な展開を見せている。それはLNGの展開例のような大西洋マーケット中心ではなく、ワールドワイドに広範囲に展開している。(図20)それらについて簡単に記述することにする。(1)  欧州①英国 BGのガス生産量(05年)のうち、英国での生産構成比は3割弱であり、主力地域の一つである。なお、他企業を含めた05年の英国全体の生産量では、BGの構成比は約7%である(エクソンモービル14%、BP12%、シェル11%、トタール10%、コノコフィリップス9%、セントリカ9%等)。 現在、BGは英領北海を中心に20以上のフィールドの権益を保有している*9。今後注目されるのは、本年稼働予定のバザード(Buzzard)である。バザードは01年に発見され、近年発見されたフィールドとしては最大級のものである。 国際ガスパイプラインでは、大陸側のベルギーのジーブルージュ(既存LNG受入基地あり)と、英国・バクトンを結ぶインターコネクター(現在稼働中)の権益を保有している(25%)。なお、インターコネクターは拡張計画が予定されている(本年末:165億?/年→235億?/年)。発電事業では、ブリストル近郊のシーバンク〈Seabank〉発電所に権益を保有している(50%、1130メガワット。北アイルランドでも発電事業を展開)。②ノルウェー BGは、ノルウェーに04年に参入しており、ノルウェーでの歴史はまだ新しい。PL335の鉱区ではオペレーターも務めている(52%、04年末)。ノルウェーに関して、BGはかなり積極的な動きを見せており、本年実施された第19次ラウンドでは、BGは他の企業を抑えて、最多の鉱区数を獲得している(オペレーター鉱区5件、ノンオペレーター鉱区3件)。鉱区取得面積でも全体の3分の1を占めており、今回のラウンドでのBGの積極的な動きには特筆すべきものがある。 なお、前回の18次ラウンドでは、鉱区面積の3%を獲得したにすぎない。英領北海の斜陽化が進行する中で、欧州地域では珍しくポテンシャルの余地を残すノルウェーへ注力していく方針のようである。③イタリアほか BGはイタリアで上流権益を保有し、発電事業も展開している。上流権益は、イタリア北部のポーバレーやシチリア海峡沖に保有していた。しかし、シチリア海峡沖に関しては、05年末にパンダ(Panda)フィールドの権益(37.5%)を、ENIとエジソンガス(イタリア)に売却し、ポーバレーへ「選択と集中」を図っている。発電事業ではSereneのプラントの権益を保有している(400メガワット、33.68%)。なお、スペインでは上流権益を保有し、探鉱活動を行っている。(2)  中央アジア① カザフスタン カザフスタンは、BG全体の天然ガス生産量の約9%を占める(05年実績。*9:アルマダ(Armada)、シーモラ(Seymour)、ブレーク(Blake)、イージントン・キャッチメント・エリア(Easington Catchment Area:ECA)、エベレスト・ロモンド(Everest and Lomond)、Jブロック・ジェード(J-Block and Jade)、エルギン/フランクリン(Elgin/Franklin)等である。2006.7 Vol.40 No.440ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~NorthslopePL292/PL324他(ノルウェー)EL429/432,Bubbles,Copton他Interconnectorパイプライン(英国?ベルギー)20フィールド以上で生産中(Armada,Seymour他)(英国)Seabank他(英国)ポー川流域(イタリア)Serene(イタリア)Miskar他(チュニジア)チンゲッティ他(モーリタニア)Poinsettia/Hibiscus/Dolphin他(トリニダード・トバゴ)カラチャガナク(カザフスタン)CPCパイプラインクリシュナ・ゴダバリ堆積盆イスラエル沖/ガザ沖Block60(オマーン)WDDM鉱区/ロゼッタ鉱区(エジプト)GGCLMGLBlock7,8,9,(タイ)海南島沖(中国)Santa Rita他(フィリピン)Bongkot(タイ)OPL332他(ナイジェリア)BBLパイプラインMargarita他(ボリビア)Comgas(ブラジル)BM-S-9,10,11他(ブラジル)上流生産(生産中)上流生産(探鉱・開発)下流会社発電SCPパイプライン(アルゼンチン?ウルグアイ)Metro GAS(アルゼンチン)Panna/Mukta/Tapti(インド)Genting Sanyen(マレーシア)図20BGの上流事業及び下流事業の主要な展開概略図石油単独では約46%)。BGは90年代前半に、カラチャガナク(Karachaganak)フィールドに進出しており、カザフスタンは早くからBGにとって主力地域の一つであった(05年末のBGの権益32.5%、05年生産量3,500万バレル石油換算)。カラチャガナクフィールドは、79年に発見された世界最大級ガスコンデンセート田の一つである(カザフ北西部)。確認24億バレルのコンデンセートと16tcf以上のガスが埋蔵されていると考えられ、今後も生産増加の予定である。カスピ海に面したテンギス油田と黒海のノボローシスクを結ぶCPCパイプラインの権益2%も保有する(図21)*10。 最近の動きで注目されるのは、05年4月に実施された、北カスピ海のカシャガンのPSA(生産物分与協定)権益(16.67%)を売却し、カラチャガナクへ「選択と集中」を図ったことである。カシャガンの売却の噂は以前からあったが、大手メジャーと比較して相対的に規模の小さなBGにとって、資本支出の水準、回収期間の問題等の影響があったとする見方がある(カラチャガナクでもコスト超過や遅延を経験)。カザフスタンの投資環境の観点やポートフォリオ分散の観点等、総合的に勘案して、この北カスピ海PSA権益の売却を決定したようである。ヒアリング先のBG担当者も、カシャガン撤退の理由として、「カラチャガナクと重なるとリスクエクスポージャーが大きすぎるため」と発言している。 BGはこの売却を通して、実に18億ドルの売却資金を手に入れた。ヒアリングを行ったBGの担当者は、カシャガンの売却資金がその後のBGの投資資金として大いに役立ったと語っている(中国2社[CNOOCとシノペック]の参入のおかげで、売却金額がつり上がったとも語っている)。(3)  北米①米国 米国で注目される資産は、アラスカ地域である。本年5月、BGはアラスカのアナダルコ保有鉱区にファームインを果たした(アナダルコ保有鉱区[東部ノーススロープ]の40%)。本年1月には、ノーススロープのフットヒルズ(Foothills)の33.33%を権益取得で合意している(なお、ノーススロープ全体の確認埋蔵量は約35tcfとも言われている)*11。 BGの最近の動きの背景には、15~*10:CPCパイプラインは、カスピ海に面したテンギス(Tengiz)油田を起点とし、他の油田の原油も合わせながら、カスピ海の北岸、コーカサス北麓を通り、黒海のノボロシースク(Novorosiysk)に近いオゼレイイェフカ(Ozereyekhka)ターミナルに至るもので総延長は1,580kmである。01年10月から稼働を開始し、開始時の能力は56万バレル/日、当初計画では2010年までに135万バレル/日へと拡大する予定であった。なお、拡大工事の完了時期は明確に報道されていない。カザフスタンにとっては、テンギス油田の開発の進捗に伴い、CPCの拡張は当然行われる必要がある。テンギス油田は、05年44万バレル/日、10年までに66万バレル/日まで増産される計画である。同パイプラインでの通油実績は公表能力を11万バレル上回る67万バレル/日となっており、既に限界に達している(IOD, 05/10/07)。通常、パイプラインは公表能力の20~25%程度の余力があるとされ、いましばらくはこの規模の操業は可能であるが、油田開発の進捗状況から見て、通油能力の拡大は焦眉の急となっている。*11:1月末、BGとアナダルコ(米国独立系石油会社)、ペトロカナダ(カナダ)は、ノース・スロー プの未探鉱地域であるフットヒルズの権益取得に関する合意書を締結した。41石油・天然ガスレビューAナリシスUKRAINEORENBURGRUSSIABOLSHOI CHAGANKarachaganakKAZAKHSTANCPCATYRAUKarachaganakCPC pipelineCPCASTRAKHANTENGIZNOVOROSSIYSKBLACK SEAGEORGIACASPIAN SEAAKTAU図21BGの事業展開例(上流事業、下流事業):カザフスタンる(EL429/432)。図22アラスカガスパイプライン計画概略図表12アラスカガスパイプライン計画概要17年頃に稼働予定のアラスカガスパイプライン(図22)(表12)へのガス供給目的があると思われる。現在、米国は世界最大のガス消費国であり(世界の約4分の1)、今後の天然ガス需給は急速に逼迫化すると見られる。そのためLNGが需給緩和の大きな目的を果たすと見込まれているが、アラスカガスパイプラインについても2025年頃には米国消費全体の約7%を満たすものと予想されており、需給緩和にある程度貢献すると見られている。 BGの幹部は今回の参入に関して、長期的に米国天然ガス需要に対応させるための、アラスカのプレゼンスに注目した結果であると述べている。今後のアラスカでの活動に関しても注目される。輸送能力完成予定時期建設コスト総延長区間口径(4)  南米 BGは以前から、南米地域をコアエリアの一つとして活動しており、今後も重点地域として活動する予定である。下流事業ではブラジル、アルゼンチン等で活動中である。最近の上流部門においては、ブラジルでの深海開発への参画が目立つ。また、本年5月に実施された、モラレス大統領によるボリビアの天然ガス国有化宣言に伴う、BGへの事業展開の影響に関しても注目される。生産者グループ②カナダ BGはカナダにおいても生産しており、BG全体のガス生産量構成比は約2%である(05年実績)。アルバータ州コプトン(Copton)等やブリティッシュコロンビア州バブルズ(Bubbles)、オジェイ(Ojay)等で、権益を保有する。05年5月には、Northwest Territoriesにある、マッケンジーバレーで新規鉱区を取得してい①ブラジル ブラジルは、BGの南米戦略にとって、ボリビアと並ぶ主要地域の一つである。上流事業のみならず、国際パイプラインやガス配給会社等、下流事業にも権益を保有する(図23)。・上流事業(鉱区取得も盛ん) BGはサンパウロ沖のサントス盆地の鉱区において権益を保有している。15~17年頃約200億ドル約5,600kmPrudhoe Bay(アラスカ)~米国中西部口径42~52インチ4bcf/d(LNG換算:約3,000万トン)供給元(1P:約35tcf:LNG換算約3,600万t/年)ノーススロープ(3P:約100tcf)BPエクソンモービルコノコフィリップス例えば、深海鉱区(水深2,000m以上)の、BM-S-9、10、11(各々の権益:30%、25%、25%)の権益を保有するほか、浅海鉱区(水深100~200m)のBM-S-13の鉱区でオペレーターを務めている(60%)。05年、BM-S-10、11、13において掘削が開始されたようである。 また05年10月に実施された第7次ラウンドにおいて、BGは海域41鉱区中4鉱区を落札している。BGは、サントス盆地で開発予定のMexilhaoガス田(BS-400)近傍の注目鉱区(S-M-508鉱区)を落札し、重点地域であるサントス盆地での鉱区拡大に成功したと伝えられている(ペトロブラスと共同。2006.7 Vol.40 No.442ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~第7次ラウンドの最高ボーナス額)。なお、第7次ラウンドのサインボーナス総額上位企業の第3位の企業がBGである(約6,900万ドル。ペトロブラス、レプソルYPFに次ぐ)。・下流事業(99年に参入、BBPの今後に不安) 99年、BGはシェルと共同でブラジルのガス配給会社である、コムガス(Comgas)の権益を取得した(約10億ドル弱)。上流部門で注目されるBGであるが、コムガスの権益確保は、BGの下流事業展開にとって重要な意味を持ったと言われる。コムガスはブラジル最大のガス配給会社であり、BGは約6割の権益を保有する(05年末、顧客数約48万戸)。04年売上高は約4億ユーロ(約800億円)であり、過去BGにとって重要な収益源になってきた。 またBGは、自社の活動拠点である、ボリビアとブラジルを結ぶボリビアブラジルパイプライン(Bolivia-Brazil Pipeline:BBP)に参画している(BG7.65%、ペトロブラス40.46%他。05年7月末)。BBPは、全長3,150km(ブラジル分2,593km)、輸送能力3,000万?/日である。なお、04年にはボリビアからブラジルに約71億?が輸出された。これは、ブラジルの天然ガス消費の約37%に相当する。現在、ブラジルは消費量の約半分にあたる、日量2,600万?(年間95億?弱相当)を輸入している。 ブラジルの国内供給量も増加傾向にあるが、消費の増加にとても追いつかない状況である。ボリビアのモラレス大統領の天然ガス国有化宣言以降、ブラジルではボリビアの天然ガスに依存しない方策を真剣に検討していると言われる(ルラ大統領:5月中旬の発言等)。5月24日、ペトロブラスのガブリエリ(Gabrielli)総裁も、09年のガス自給を目指すと語っている。 ブラジルが安価に調達してきたボリ43石油・天然ガスレビュー取得の動きなどが注目される。①チュニジア LNGとは関連はないが、チュニジアはBGにとって、主要ガス生産地域の一つであり、ガス生産量全体の約8%(05年実績)を占める(05年生産量:1,300万バレル石油換算)。BGはチュニジア最大のガス生産者であり、主力ガス田ミスカル(Miskar)の権益を100%保有するオペレーターである。場所は地中海沖にある。ガス供給は国内向けであり、チュニジアの国内ガス需要の約5割を供給している。96年に生産を開始した。②ナイジェリア 06年1月、BGは深海鉱区ブロックOPL332(ラゴス南東沖100km、水深100~1,000m)において、サハラエナジー(Sahara Energy)から権益の45%を取得することで合意した(オペレーター資格も)。05年のナイジェリア入札において、BGは応札したものの結局落札できなかったが、これにより、念願のナイジェリアの上流部門に足がかりを築くことになった(ナイジェリア国営石油〈NNPC〉とも生産分与契約〈PSC〉を締結済)と言われている。今後、LNG生産にも影響すビア産ガスの値上げも不可避であると言われており(ボリビア側は約2倍の7.5ドル/百万立方フィート〈mcf〉を提示したとの情報もある)、特にブラジルの国内総生産(GDP)の3分の1を占め、ボリビア産ガス依存の高い、サンパウロ州の打撃が深刻であると予想されている。BGにとっても、今後の中南米事業の展開を見通す上で、ボリビアの動きから目を離せない状況にある。 また、ボリビアのガス資源国有化の影響を受け、ブラジルは供給セキュリティの観点から、LNG受入基地建設の本格的な検討を開始した。5月中旬、ペトロブラスの幹部は、最低でも3カ所の受入基地を建設し、既に候補地選定に入っていると述べている(建設費は1基地あたり1億~3億ドルを予定)。②アルゼンチン他 BGは、ブエノスアイレスにある南米最大級のガス配給会社であるメトロガス(MetroGAS)の権益保有者である(BG約26%、顧客数約200万戸。販売量約81億?〈04年末〉)。また、国際ガスパイプラインで、アルゼンチンとウルグアイを結ぶ全長約400kmの、サザンクロスパイプライン(Southern Cross Pipeline:SCP)のオペレーターを務めている(40%)。Bolivia-Brazil PipelineComgas(5)  アフリカ BGは、80年代にTennecoからチュニジアの資産を取得しており、チュニジアも主力地域の一つである。最近ではナイジェリアの上流に参入した動き、リビアでの鉱区PARAGUAYBRAZILRIO DE JANEIRO?SAO PAULOBM-S-13BM-S-9,10,11Bolivia-Brazil PipelinePORTO ALEGREURUGUAYATLANTIC OCEAN図23BGの事業展開例(上流事業、下流事業):ブラジル驩ツ能性がある。 また、本年5月ナイジェリアで実施された国際入札において、BGは新たにサハラエナジーと共同で、286鉱区(旧213鉱区)を落札している(落札額:5,500万ドル)。なお、この落札はガスギャザリングとラゴスまでのパイプライン(約25億ドル)とのパッケージとなっている。③リビア 05年10月、新石油法(EPSAⅣ)による第2次公開入札が実施されたが、BGは26鉱区中3鉱区を落札した (図24)。シルテ盆地の2鉱区(123鉱区、サインボーナス各々750万ドル)と、クフラ(Kufra)の1鉱区である(171鉱区。スタットオイルと共同。サインボーナス100万ドル)。(6)  中東 中東において、上流事業はイスラエル沖、ガザ沖で行っている。本年4月、鉱区取得によりオマーンの上流事業に参入している。①イスラエル、ガザ沖 イスラエル沖、ガザ沖で活動しており、99年から00年にかけて、BGは一連のガス発見に貢献している。99年にオール(Or)、00年にガザマリーン(Gaza Marine)においてガスが発見されている。現在、商業生産に向けて準備中である。②オマーン(06年4月、Block60鉱区取得) 06年4月30日、BGはオマーンのBlock60のPSA契約を締結したと発表した。BGは今後5年間で総額1億5,000万ドルの投資を行う予定である。対象は1,500km2であり、有望なガスコンデンセート田アブブタブル(Abu Butabul)を含む。ちなみにBlock60はもともとBlock6内にありPDOアナリシス(Petroleum Development。構成:オマーン政府60%、シェル34%、トタール4%、Partex2%)が保有していたが、アブブタブルを含むBlock60が分離された経緯がある。 BGのチャップマンCEOは、オマーン進出によって、中東湾岸地域において念願の初参入を果たしたことに対し、重要な成果であると発言している(図25)。ただし、専門家の意見では開発コストや販売価格に関して懸念を持つ見方もある。開発コストに関しては、対象ガス田は複雑な構造を持つので高くつくとする見方がある。また、現在のBGのプランでは、オマーン国内向けの販売が中心となる予定であるが、国内販売ガス価格は百万Btuあたり0.8~1.5ドルと低価格になっていることも懸念材料の一つである(コンデンセートの販売価格がポイントとなるとの見方もある)。 一方でオマーンの石油ガス大臣は、オマーンの将来のガス供給不足を認識しており、今後新規のポテンシャルのnisaB naigalePPertaminaPetrobras/Oil Search012012013013014014015015015015015015015015015015015015015015015015015015015015015015015015015Medco/Vermex03003003003003003003003003003003003003103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103103174Sonatrach046046046046046046046046047047047047047047047047047047047047047047047047047047047047047047062062062062062062062062062062062062063063063063063063063063063063064064064064064064064064064064064064004004006006003003003003005005新日石・三菱商事01801801801801801801801881019019019019019019019019019019019018018020020021021034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034034350350350350350350350350350350350500500500500500500500500500500500500500500500500510510510510510510510510510510510510510360360360360360360360360360360360360360360360360360360360363652052052052052052052052052052052037037053053053053053053053053053053001001001001001001001001001001001001001001001001002002002002002002002002002002002002002002002002002Block1Block2Block1Block20160160160160160160160160160160160160163kcolB3kcolBBB44kcolBkcolB017017017017017017017017017017017CNPCTripoli03303303303303303303303303303303203203203203203203203203203203204804804804804804804804804804804804904904904904904904904956065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065065066066066066066066066066067067067067067067067067067067067067Amerada Hess068068068068068068068068068068069069069069069069069069070070070070070070070070011011007007010010008008009009Woodside/Oxy/Liwa石油資源・新日石三菱商事53024024023023025025Block4Block4Blockcol3kB0220220410413042042Block1Block2038038039039040026026027027Total、INPEXExxonMobil028028029029kcolB3044044olB1ck043043kcolB95kcolB42045045Oxy/Liwa061061058058058058058058058058059059059059059059059059059059059059kcolB1060060Statoil056056057057057057057057057057acianeryCacimroftalP 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HydronisaB kuzruMEni163163163163163163163163163361177177177177177177177177771160160160160176176176176176176176176176176176176176162162162162162162162162162162175175175175175175175175175175175175175174174163163161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161161177177177177Block1Block1Block2Block2Block4Block4Block3Block3Block4Block4EniTurkish 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arfuK200200200200200200200200200200200200200200201201201201201201201201201201201201201201201201199199199199199199199199199199199199199199202202202202202202202202202202202202202202203203203203203203203203203203203203203198198204204204204204204204204204204204204204204204204205205205205205205205205205205205205205205206206206206206206206206206206206206206206206206207207207207207207207207207207207207207208208Cyrenaica32KufraMurzuq6NationalOilCorporationJointVentureDivisionExplorationDepartmentDate:02/04/2005Contract Area6Sirt5O?shoreGhadames4Total26ContractArea(44Blocksin17Areas)図24リビアの第2次入札結果と第1次入札鉱区図(05年)2006.7 Vol.40 No.444ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~高いガス発見に期待しており、そのため今後の財政インセンティブや価格政策の変更の可能性もある(外資系企業にも魅力となる可能性もある)。なお、オマーン全体の確認埋蔵量は24tcfと言われている。最近、オマーン上流部門への外資の参入が続いており、オキシデンタルと三井石油開発、リワエナジー(Liwa Energy、アラブ首長国連邦〈UAE〉系の投資会社)等によるBlock54権益(5,600km2)の取得のニュースもあった。(7)  インド インドにおいて上流・下流事業、タイにおいて上流事業、マレーシア、フィリピンで発電事業を展開している。最近の動きで注目されるのは、マレーシア・クアラルンプールで本年6月に開催されたAOGC(アジア石油ガス会議)において、BGのチャップマンバーレーンカタールペルシャ湾FujairahSoharUAEマスカットCEOがアジア太平洋地域へ積極的に関与するとの発言を行っていることである。最近(6月初旬)、BGが中国の上流活動に初参入を果たした(南シナ海海南島沖。PSCA53/16、PSCA64/11等。CNOOCと合意)ことも、今後のアジア太平洋地域での活動を占う上でも注目される。・上流事業、下流事業ともコアエリアの一つ 前述したように、インドにおいてBGはLNG事業を凍結した模様であるが(ピパバブLNG受入基地)、インドガス事業のキープレーヤーの一つとして、ガス上流事業並びにガス下流事業を積極展開している(図26)。インドはタイ同様、アジア地域でのコアエリアの一つである。 インドでは現在、発電用に使用する天然ガスの消費が増大しているが、BGは今後とも増大していくと考えている。背景として、インドの発電用の天然ガス割合が世界平均(約20%)に比較して低く(約9%弱)、発電用において増加余地が大きいと判断しているようである。発電用以外に、産業用・商業用・家庭用でも増加余地が大きいと考えている*12。<Oman LNG>イランQalhat・上流事業:既存のTapti、Panna/Mukta、東海岸沖にも進出 BGのインドでのガス生産量構成比は、約4%(05年)である(石油単独では約7%)。BGは、ガス生産事業において、インド北西部沖合Taptiガス田(30%)、Panna/Mukta油・ガス田(30%)に参画している(02年、約3億5,000万ドルで取得)。その他の構成は、ONGC(インド国営石油天然ガス会社)40%、リライアンス・インダストリーズ30%となっている(BG/ONGC各々:ジョイントオペレーター)。 これらの油ガス田の合計は、04年において2,900万バレル石油相当の生産を行っており(約8万バレル石油相当/日)、インド全体の油ガス生産量の約10%を占めている。また、05年12月、BGはこれらTapti、Panna/Mukta以外に、ONGCとインド東部クリシュナ・ゴダバリ堆積盆で、三つの沖合深海探鉱鉱区の操業で合意したとも伝えられている*13。今後はインド東部沖合にも業容拡大を図りたいとの方針である(また05年4月、BGはTaptiガス田の拡張開発のために、約5億ドルを投資すると発表している)。・下流事業 またBGは、下流のガス配給会社に出資を行っている(グジャラート州、ムンバイ市)。下流事業進出の歴史は比較的早く、95年にインド東部ムンバイが拠点のガス供給会社のマハナガルガス(Mahanagar Gas Limited:MGL)に参画している(49.75%)。97年には、インド有数のガス供給会社グジャラートガス(Gujarat Gas Company Limited:GGCL)の権益の大部分を確保している(約65.1%)。スP/L上 ガ”48Saih Nihayda同2” ガスP/L3Saih RawlBarik オマーンサウジアラビアBlock60P/Lス ガ”16イエメンSalalah図25BGの事業展開例(上流事業):オマーン*12:インドの発電用の燃料構成に占める天然ガスの割合は、増加傾向にある。85年には2.5%、95年には6.0%、05年に8.8%(見込み)となっている。調査会社ウッドマック(Woodmac)の予測では、今後さらに増加する見込みであり、10年に10.8%、15年に12.7%に増加する見込み。一方で、発電用燃料構成に占める石油の割合は、1985年に7.1%、00年には5.1%を占めていたが、05年には0.5%(見込み) にまで低下している。10年も0.5%で横ばいの見込みである。なお5月、インドで初のLNGスポット調達がなされたが(約9ドル/百万Btuの高値、アルジェリアより調達)、背景にナフサの高騰のため高価格のLNGスポット調達でも、競争力があるからとする見方がある。*13:ベンガル湾クリシュナ・ゴダバリ堆積盆の開発は、高温・高圧で作業が難しいため、リライアンスのほかに、同地域でガス田を発見したグジャラート州石油公社やONGCも、資金力と開発の技術・経験を持つ外国企業との共同事業を模索していると伝えられていた。45石油・天然ガスレビューi8)  東南アジア BGは03年、インドネシアのタングー事業から撤退しており、東南アジア地域でのLNG分野のプレゼンスは現在ないが、タイにおいて上流生産活動を行っている。①タイ・主力のボンコット(Bongkot)の生産に従事 タイへの進出は90年であり、早くからの海外進出地域の一つである。タイの天然ガス需要の約2割を占めるボンコットガス田に進出し、現在権益の22.22%を保有する(図27)。ボンコットガス田は93年に生産開始している。構成は、BGのほか、PTTEP(タイ石油公社の上流部門子会社)44.45%(オペレーター)、トタール(33.33%)となっている。またBGは探鉱活動にも取り組んでいる(Block7,8,9)。②マレーシア、フィリピン マレーシアやフィリピンでは発電事業を展開している。マレーシアでは、首都クアラルンプール南部にある、Genting Sanyen Power(760メガワット)の20%の権益を保有している。またフィリピンにおいても、首都マニラが所在するルソン島南部で、発電事業に参画している(Santa Rita<505メガワット>の40%、San Lorenzo<1,000メガワット>の40%)。TURKMENISTANTURKMENISTANDauletabadDauletabadAFGHANISTANAFGHANISTANHeratHeratKabulKabulIslamabadIslamabadKandharKandharFaisalabadFaisalabadMultanMultanPAKISTANPAKISTANSuiSuiIRANIRANKarachiKarachiKotaDelhiDelhiCHINACHINAJagdishpurGujarat Gas Company Limited (GGCL)Gujarat Gas Company Limited (GGCL)BijaipurINDIAINDIADahej (Petronet)Hazira (Shell)UranHyderabadTaptiTaptiPanna/MuktaPanna/MuktaMumbai HighMumbai HighMahanagar Gas Limited (MGL)Mahanagar Gas Limited (MGL)Dabhol(Ratnagiri)アナリシスGas ?eldsGas PipelineGas Pipeline(Planned)LNG TerminalBG参画の下流会社BHUTANBHUTAN③BANGLADESHBANGLADESHKolkataMYANMARMYANMAR①②ShweShweKakinadaDeen Dayal(GSPCL)Deen Dayal(GSPCL)Dhirubhai(Reliance)Dhirubhai(Reliance)BangaloreKasargodChennalMangaloreKochi (Petronet)SRI LANKASRI LANKA図26BGの事業展開例(上流事業、下流事業):インドTHAILANDRATCHABURIBANGKOKCAMBODIARAYONGMYNMARBlock7Block8Block9ANDAMAN SEAKHANOMGULF OF THAILANDBongkot図27BGの事業展開例(上流事業):タイ2006.7 Vol.40 No.446ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~4. まとめ・・ BGはもはや、多くの人々がイメージするような国内ガス下流会社ではなく、世界的にLNG事業、上流事業、下流事業を展開する国際企業である。もともと国有化された企業でありながら、86年の民営化後、買収・事業再構築などを経て、ドラスチックに急成長した稀有の企業である。そのパフォーマンスは、他社と比較しても相対的に優れたものである。そのビジョンでも「Natural gas is our business」と明確に定義し、スーパーメジャーと差別化した、垂直統合されたガスメジャーとして、戦略的にニッチを確立している。その背景には、Tenneco等の思い切った買収戦略、上流会社の人材採用など多くの年数と過程を経て確立されたものである。 LNG/中流をテコとして国際上流展開する、垂直統合された「ガスメジャー」を目指すBGは、03年にインドネシア・タングーから撤退、大西洋LNG事業を中心に展開している。LNG事業展開として、現在トリニダード・トバゴ、エジプトを主力地域としている。その主な理由は、両国が欧米市場に近接していることのほか、両国のガスが低熱量であることである。BGは欧米のガス基準に適合する低熱量のポートフォリオを保有しており、戦略が明確である。 また、BG上流が生産するLNGからアウトレット確保のためLNG受入基地にも積極的に関与しており、米国において既存基地で確固たる地位を築いているほか、米国・英国・イタリア等でも、新規LNG受入基地を推進している。特に米国でのLNG受入基地参画に関しては、BGの優位性を特徴付けるものである。 BGは最近、上流事業において鉱区取得の動きが盛んであるが、05年4月に売却したカシャガン権益の売却での資金を得たことも大きな要因の一つである。最近の動きでは、ブラジルで最も有望と期待される鉱区を取得したほか、ノルウェーで実施されたラウンドでも、BGは他の企業・・を押さえて、最多の鉱区数を獲得している。ナイジェリアの上流でも、本年初参入を果たしたほか、リビアでも鉱区取得を行った。中東湾岸地域でも上流事業への参入を果たしている(オマーン)。つい最近では中国の上流にも参入している。ただ、最近の活発な鉱区取得の動きは、やや手を広げすぎている印象も受ける。政治リスクの懸念が残る国もあり、今後どういう成果を上げていくのか、展開が注目される。 BGは03年のタングー撤退以来、基本的にアジア太平洋LNG市場から撤退し、大西洋LNG市場に選択と集中を行っていたが、本年2月にチリのLNG受入基地への参入を果たし、また中国への上流参入に見られるように(今後の探鉱開発の結果によるが)、今後アジア太平洋LNG市場に本格的に復帰するかどうかが注目される。そうなれば、今後日本企業にとっても、より身近な戦略的パートナーに変わる可能性がある。・47石油・天然ガスレビューAナリシス参考文献1. BG Group Annual Reports and Accounts2. BG Groupホームページ、http://www.BG-group.com/3. セントリカホームページ、http://www.centrica.co.uk/4. The World Gas Handbook(2005~06)、Energy Intelligence Research5. 齊藤 晃、アジア・太平洋LNG市場に構造的な影響を及ぼす北米西海岸のLNGプロジェクトの現状と見通し、石油・天然ガスレビュー、2005.1 Vol.39 No.16. 齊藤 晃、英国:約20年ぶりにLNG輸入本格再開へ~勃興する英国のLNG市場~、石油・天然ガスレビュー、2005.9 Vol.39 No.57. 齊藤 晃、BG:南米初となるLNG受入基地落札(チリ)と、BGのワールドLNG事業展開例、JOGMEC動向レポート、2006.3月号8. 齊藤 晃、セントリカ:欧州下流企業の上中流事業参画およびLNG事業参画、JOGMEC動向レポート、2006.1月号9. 齊藤 晃、ボリビア:国民投票でLNG輸出政策 賛成上回るも前途多難?―アジア・太平洋LNG市場にも影響?―、JOGMEC動向レポート、2004.8月号10. 猪原 渉、エジプト:エジプトのLNG事業展開とわが国へのインプリケーション、石油・天然ガスレビュー、2005.5 Vol.39 No.311. 竹原 美佳、サブサハラ:拡大するLNG供給プロジェクトの行方、JOGMEC動向レポート、2006.3月号12. 米国・カリブの天然ガス/LNG事情、(財)天然ガス導入促進センター、2005.213. 各種石油公団資料14. 各種海外オンライン情報他2006.7 Vol.40 No.448ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~第2部 躍進するBG?それを可能にした要因は何か?1. 数値で見るBGの成長(1)  埋蔵量 世界における上流企業の中でのBGの埋蔵量の位置づけであるが、図28に見るように、メジャー以外の企業群の中ではCNOOCに続く埋蔵量を保有しており、上位の部類に属している。 図29は、BGの過去19年間の確認埋蔵量の推移である。第1部で記載した通り、86年のBow Valley、87年のAcre、88年のTennecoなどの買収により埋蔵量を増加させたが、97年に英国内下流部門をCentricaに分割した際にMorecambe田を譲渡したことを主要因として、大幅に埋蔵量が減少した。しかしながら、上流専業化した98年以降、急速に埋蔵量を回復・拡大させている。 地域別の推移を見ると(図32参照)、96年までは英国の埋蔵量が大半を占めていたのに比較して、97年以降は海外における積極的な探鉱開発や資産購入により、現在では埋蔵量の大部分が英国外に所在している(図30参照)。英国外の埋蔵量では、エジプトやトリニダード・トバゴなどの大西洋地域と、カザフスタン、タイ、インドといった百万boe4,0003,0002,0001,0000EnCanaOccidentalAnadarkoCNOOCboe:バレル石油相当出所:各社年報等から筆者作成BHP BillitonTalismanmperialIOMVMarathonHessXTOChesapeakPerto-Canada石帝発開BGCanadian Natural ResourcesApacheDevon EnergyNorsk HydroBurlington Resources国際油石図28石油・天然ガス埋蔵量アジア・中東地域の占める割合が大きい(BGは、同社年報における埋蔵量報告でカザフスタンをアジア・中東地域に分類している)。 BGの天然ガス埋蔵量は、BG保有の埋蔵量全体の約7割を占める。同様に天然ガス埋蔵量および生産量の比率が高い企業としては、カナダのEnCanaやアメリカのBurlington Resources(同社は本年1月にConocoPhillipsに買収された)などが挙げられるが、これらの企業は本拠地の北米の埋蔵量および生産がほとんどであり、BGのような世界展開は図られていない。 その意味では、BGは国際展開で大きな成功を収めているガス上流企業であり、世界的にも最も注目に値する存在といえよう(図31)。 図32は生産による埋蔵量の減少が、探鉱や資産取得などによりどれくらい賄われているかを示す指標である埋蔵量置換率(RRR)であるが、03年までは100%を大幅に上回っている。ピークは、資産買収を含めた02年であり、RRRは約400%まで達している。資産買収を除いたRRRも100%を大幅に超えており、同社の積極的な探鉱開発活動がうかがわれる。百万boe2,5002,0001,5001,00050001987天然ガス埋蔵量石油埋蔵量Centrica分社化に伴う埋蔵量減その他13%英国アジア・中東36%16%大西洋地域35%89919395979920010305年出所:年報等から筆者作成出所:年報等から筆者作成図29石油・天然ガス埋蔵量の推移図30埋蔵量の地域別分布49石油・天然ガスレビューAナリシス含む資産取得・売却除く資産取得・売却百万boe2,5002,0001,5001,00050001991英国外英国929394959697982000990102030405年出所:年報等から筆者作成%50045040035030025020015010050019982000出所:年報等から筆者作成990102030405年図31石油・天然ガス埋蔵量推移図32埋蔵量置換率(RRR)の推移%800700600500400300200100002出所:年報等から筆者作成01英国英国外全世界030405年図33再投資率千boe/d1,0008006004002000EnCanaBGDevonOccidentalBurlington ResourcesApacheAnadarkoTalisman石際国石帝発Marathon開油HessDominion Resources出所:年報等から筆者作成図34(英国外での比率が高まる生産量)05年石油・天然ガス生産量百万boe20016012080400199920000102030405出所:年報等から筆者作成図35石油・天然ガス生産量推移その他チュニジアトリニダードタイカザフスタンインドエジプトカナダボリビア英国2006.7 Vol.40 No.450 これを裏付けるかのように、海外を中心に投資活動も活発に行われてきている。図33は、毎年の探鉱投資支出と減価償却費(ともに3年平均)との比率を示したもの(再投資率)であるが、この比率はその企業の当該地域における積極性を示している。これを見ると、昨年までは英国での投資が減価償却費の範囲内で行われている一方で、英国外は減価償却費をはるかに上回るレベルの投資が行われている。 図34は、05年の生産量を他社と比較したものであるが、メジャー以外ではAnadarkoやMarathonなどの企業を抜き、4番目の位置までレベルを上げている。 また、地域別に生産量の推移を見ると、2000年以前は英国北海での生産が主体であったのと比較して、00年以降は英国外での生産割合が増加している。英国外の生産で大きな割合を占めていたのが、トリニダード・トバゴであるが、05年においては、エジプトでの生産が急増している(図35参照)。(2) 好調なBGの収益 BGは、ここ数年間、収益の面でも順調に業績を伸ばしている。05年の営業利益は、前年比61%と大幅に増加している。部門別では、営業利益全体に占める探鉱開発部門の割合が70~80%と大きく、収益の牽役となっており、前年比71%と大幅な伸びを示している。05年の大幅な伸びは、同業他社同引いけんんritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~海外・発電・輸送・電力その他LNG探鉱開発部門百万ドル5,0004,0003,0002,0001,000002出所:年報等から筆者作成01英国外英国内百万ドル2,5002,0001,5001,000030405年5000199920000102030405年出所:年報等から筆者試算図36営業利益の推移図37石油・天然ガス部門利益推移様、高油価・高ガス価の恩恵を享受したことに加え、エジプトでの生産開始など数量も増加したことが主な要因となっている。 LNG部門については、01年の売上高は8,100万ポンド(約1億1,600百万ドル)と、全体の売上高に占める割合は約3%と微々たるものであったが、02年以降順調に増加しており、05年は売上高の約30%弱を占めている。同部門の営業利益も、05年は取り扱い荷数が増加したことから、前年比約54%と大幅に増加している。 海外発電・輸送部門は05年に大幅な伸びを示したが、電力部門は前年比微減となっている。 探鉱開発部門の利益だが、地域別で、01年においては石油・天然ガスの75%を占めていた英国での利益が、海外での生産増加を受けて05年には約47%ま百万ドル50,00040,00030,00020,00010,0000EnCanaBGBurlington ResourcesApacheMarathonAnadarkoTalismanHessDominion ResourcesOccidental図382005年時価総額出所:年報等から筆者作成で低下している。05年は、大西洋地域およびアジア・中東地域での利益増加が収益に貢献している。この要因としては、エジプトにおける生産増加、カザフスタンでの生産分の石油・天然ガス価格の上昇が寄与しているものと推測される。 株式市場でも高い評価を得ている。時価総額は00年に落ち込むが、以降急回復しており、05年は約350億ドルに達している(図39)。05年の時価総額は、保有埋蔵量や生産量などが似た他社と比較しても高く評価されている(図38)。(3) 積極的な資本支出 資本支出であるが、ガスの輸送会社であるTransco社(現National Grid社)のBGからの分離以前は、輸送部門の投資額が相当の部分を占めていた。しかし、同社分離以降は探鉱開発部門の投資が主体となっている。また、直近の2~3年については、LNG部門の投資が急速に伸びている。百万ドル40,00035,00030,00025,00020,00015,00010,0005,0000199091929394959697982000990102030405年出所:年報等から筆者作成その他LNG探鉱開発部門百万ドル3,0002,5002,0001,5001,0005000199799出所:年報等から筆者作成9820000102030405年図39BGの時価額推移図40資本支出額推移51石油・天然ガスレビューリ入金増加株式発行子会社等からの配当等資産売却営業キャッシュフロー百万ドル6,0005,0004,0003,0002,0001,000002出所:年報等から筆者作成01030405年その他現預金増加借入金返済配当自社株買い会社買収設備投資百万ドル6,0005,0004,0003,0002,0001,000002出所:年報等から筆者作成01アナリシス030405年図41キャッシュの調達図42キャッシュフローの使途(4) キャッシュフローについて キャッシュについてだが、調達面を見ると、原資の大半は営業活動から得られるキャッシュフローである(図41)。05年は、資産売却によったキャッシュフローが約17億ドルあるが、これはカザフスタンのKashagan油田の売却により得られたキャッシュがほとんどである(BGはKashagan油田の売却により税引き前で約7億5,000万ドル、税引き後で約5億ドルの利益を得ている)。04年度の資産売却は、インドネシアのTangguh権益売却によるものであり、2億6,000万ドルのキャッシュを得ている。 他方、キャッシュの使途を見ると、大半が資本支出に充当されている(図42)。02年、04年には会社買収が行われている。05年は大幅に現預金が増加しているが、資本支出の水準が前年比でほとんど変わらない一方で、Kashagan油田など資産売却などで現金の流入があったことから、この部分が留保されているものと推測される。また、ExxonMobilやBPなどのメジャーと比較すると、キャッシュの資本支出への充当割合が多く、逆に自社株買いおよび配当への充当割合が低い。(5) 高い使用総資本利益率 図43は、使用総資本利益率を上位中堅11社で比較したものである。下流部門を含めた全社ベースでの算定であり、厳密に正確な比較はできないが、各社とも上流部門の占める割合が相当高いことから、大まかな傾向は把握できるものと思われる。その結果であるが、05年で約18%と、同業他社との比較では上位に位置している(これら11社の平均は約11%、図43参照)。この要因としては、BGは、利益率では他社と比較して平均程度であるが、資本の回転率がよいため、少ない資金でより多くの収入が得られている。同社は効率的な財務体質であるといえよう。(6) 従業員数 従業員数は、05年の全社ベース(年間平均)で5,400人弱であり、上流部門は2,000人強である。また、輸送部門の人員が海外で約2,200人程度存在25%20%15%10%5%0%Burlington ResourcesOccidental出所:年報等から筆者試算BGApacheEnCanaAnadarkoMarathonDevon EnergyTalismanHessDominion Resources図43使用総資本利益率(3年平均)その他人6,0005,0004,0003,0002,0001,00001999電力輸送LNG探鉱開発20000102030405年出所:年報等から筆者作成図44従業員数推移2006.7 Vol.40 No.452ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~する。この2~3年で探鉱開発部門およびLNG分門の人員を増強しているが、LNG部門の強化は著しい(図44参照)。(7) 今後も大きく成長する見通し 今後の見通しだが、06年の上流部門の生産は、石油では英国のBuzzard油田、Seymour油ガス田、モーリタニアChinguetti油田の生産開始、チュニジアのMiskarガス田の拡大による生産増加などが見込まれ、日量60万バレル(石油換算)の生産が見込まれている。また、LNG部門では、米国のLNG受入基地Lake Charlesの拡張工事が行われる予定であり、06年は年間710万トンのLNG生産が見込まれている。 07年から09年にかけては、石油では英国のBuzzard油田、ガスではチュニジアのHasdrubalガス田(石油の生産も見込まれる)の生産開始、カザフスタンのKarachaganakガス田、トリニダード・トバゴのDolphin油ガス田などの増産により、年率約5~7%の生産量の成長を見込んでいる。 また、2010年から12年にかけては、英国の既存油ガス田の減退による減少分を補って現在の生産量を維持する一方で、カザフスタンのKarachaganak油田の拡張、タイのBongkot油田、トリニダード・トバゴのManteeガス田、ボリビアのMargaritaガス田の立ち上がり、LNGではOKLNG、ELNGのトレイン3、Atlantic LNGの新トレインの立ち上がりが計画されている。 これらのプロジェクトにより、2012年までの間、年率6~10%の生産量の成長が見込まれており、2012年に日量約100万バレル(石油換算)の生産が計画されている。 LNG部門については、今後も拡大していく方針であり、液化設備の投資利益率を、06年には10%、06年以降は13%、LNGのマーケティングと輸送における利払い前税引き前利益率を06年は9%、09年には14%にすることを目標としている。2. 国際上流企業としてのBGの強さおよびそれを可能にしたものうひょう(2) 上中下流一貫操業 BGは“Integrated Gas Major”を標しているが、国際的な中・下流部門を構築したことが大きなメリットであり、そのメリットを大いに活用している。例えば、LNGについては、アメリカに大規模な保有基地能力を保有していることから、さまざまな地域、特に大西洋圏での上流資産取得が可能となった。また、昨年生じた天然ガス価格の高騰時でも、自らのガス田から原価でガス確保が可能となることや、長期契約およびスポット契約双方に対応することが可能となることに加え、上流権益獲得の際には、受入基地のシェアと引き替えに、好条件で上流権益の取得という取引が可能となる。榜ぼ(3) ニッチ市場 BGの海外進出で特徴的なのは、ニッチ市場に焦点を合わせ、集中的に投資を行っていることである。その例としるのではないかと思われる。 さて、90年代後半から飛躍的な成長を遂げてきたBGであるが、同社の強みについて述べてみたい。第1部で述べているとおり、同社が飛躍的に成長してきたのは、Bow Valley社、Tenneco社等の企業買収による経営資源の確保によるものが大きい。同時に、この資源を生かした有効な経営が実施されたことも大きな要因であろう。(1) プロの経営陣と明確な戦略・目標 具体的な同社の強みは、自らをガスのプロフェッショナルとして位置付け、この点に自らの強みを見いだし、自らを“Integrated Gas Major(統合ガスメジャー)”として、ガスの探鉱開発、上・中・下流の一貫統合を通じてガス資産の商業化を行っていくという点にある。BGは、低コストでかつ足の長い資産をベースとして成長を図っている。 低コスト戦略は非常に明快であり、企業価値の創造に合わないプロジェクトと判断すれば、インドネシアTangguhプロジェクトやカザフスタンのKashaganプロジェクトのような大プロジェクトであっても、撤退している。 また、地域的にも大西洋地域に焦点をあて、集中的に資産取得していったことも、明快な戦略の一つとして挙げられる。特にLNGについては、メジャーなど他社が二の足を踏んでいる時期に、上流の権益玉のアウトレットとしてアメリカに受入基地を建設するなど、早い時期に戦略的に計画を実施している。 経営陣は、ガスビジネスを知り尽くしているプロである。例えば、現在のトップはシェルからヘッドハンティングされた元上流技術者のChapman氏である。経営陣が、プロであるからこそ、明快でわかりやすい戦略、目標設定が可能となり、迅速な判断が可能になるものと思われる。また、従業員もプロであるからこそ、経営陣の策定した目標に対して適切な対策を提案でき53石油・天然ガスレビューAナリシス199697989920000102030405年BPBGConocoPhilipsExxonMobilOccidentalTotalMarathonApacheChevronHessAnadarkoTalismanRoyal Dutch Shell14121002468出所:年報等から筆者試算図45BGの埋蔵量置換コスト推移米ドル/boe注:Reserve Replacement Cost =(資産取得費+探鉱費+開発費)/資産売却を除く確認埋蔵量増加分出所:年報等から筆者試算図46埋蔵量置換コストドル/boeDevon EnergyEnCanaBGDominion ResourcesBurlington Resources0102030405年012345678出所:年報等から筆者試算図47生産コスト推移ドル/boe181614121002468%100806040200-20199598出所:年報等から筆者試算96979920000102030405年図48BGの純負債比率推移2006.7 Vol.40 No.454て、ブラジルとインドの国内向けにガス供給事業を行っていることが挙げられよう。受け入れ国にとっても、スーパーメジャーと比較して小回りがきくことから関係が築きやすく、BG側にとっても、まだ多くの競争相手が参入していない段階で、ある国において実態的に独占的な地位を得られるというメリットがある。(4) 経営の効率性-低コスト 財務面では、同社が標榜する“Secure low cost resources”のとおり、コストの低さがまさに同社の強みであろう。図45は、探鉱開発支出を埋蔵量の増加分で割った、埋蔵量置換コストである。上流事業を行っている会社は、減退していく埋蔵量を補填していく必要があるが、1バレル当たりの埋蔵量を獲得するのにどのくらい費用がかかったか、いかに効率的に埋蔵量の補填がなされているかを示す指標である。 図45を見るとBGは、Chapman現CEOの就任直前の96年では、業界でほぼ最低の数値(最高のコスト)であったが、低コストを目標にさまざまな企業努力が行われた結果、97年以降、大幅な改善が図られており、05年は約5ドル/バレルとなっていることがわかる。また、図46に見るとおり、この水準は、規模の利益の追求が可能なメジャー各社と比較しても勝るとも劣らない。 操業面でのコストも、他社と比較して抜きん出ている。図47は、バレルあたりの生産コストの比較である。BGはガスの生産比率が高いため、同様にガスの生産割合が多い企業との比較を行ったものである。 比較企業は、北米の地場企業が多いため、国際展開を図っているBGとの直接的な比較とはならない可能性もあるが、図47に明らかなとおり、他社と比較してBGのコストは圧倒的に低ritish Gas(BG)の躍進:日本上流業界の成功モデルにも ~英国の下流ガス国営企業から、世界の上下流一貫操業民間企業へ~%120100806040200-20BGAnadarkoApacheDominion ResourcesBurlington ResourcesDevon EnergyEnCanaHessMarthonOccidentalTalisman出所:年報等から筆者試算図49純負債比率ており、従業員もその意識で仕事に取り組んでいたようだが、現在のCEOであるChapman氏は米国の独立系企業的な企業を指向し、企業文化の改革を行ったようである。これに反発する相当数の旧British Gasプロパー従業員が離職したようである。BGは、新たにメジャーや独立系企業から若い人材を確保したということである。これらの社員は、成果主義で評価されたという。 さて、BGの強みや戦略については以上であるが、今後課題となる点について考えてみたい。 図50は、バレル当たりの地域別の収益性であるが、英国における収益性の方が海外より高い。特に03年から05年までの3年については、英国内でのガス価格の高騰の恩恵を受けている。カザフスタンのKarachaganak油ガス田で生産されるガス、およびエジプトで生産されるガス(LNG)を除けば、英国外でのガスはインドやブラジルなどの発展途上国の国内向けに販売されており、これら国内では相当のシェアを確保できているものの、廉価である可能性がある。 BGは、これら諸国の経済発展を見越して、上・中・下流の一貫操業を行っているものと思われるが、これら諸国の経済発展により、どの程度の価格改善が図られるか、また、生産量がどれくらい伸びていくかが鍵となろう。 また、プロジェクトの実施にあたっては、関係部門間の連携が緊密にとられ、目標達成に全社ベースで横断的な取り組みが行われていることも、同社の強みである。例えば、ヒューストンの下流部門とカイロの上流部門が緊密に連携をとっていることや、技術スタッフと事務スタッフの連携、技術スタッフ間の連携がとられているようである。大企業にありがちなセクショナリズムが極力排除されているようであり、会社の戦略に合致した形でのプロジェクト計画策定・遂行が可能になっている。(7) パートナーを通じた学習 プロジェクト実施にあたっては、ノンオペレータープロジェクトについては、学習のために自ら積極的にスーパーメジャーとの関係を築き、パートナー各社からさまざまなことを学び、得られた経験や知識を、自らのオペレータープロジェクトに応用していく努力も、積極的に行われてきたようである。ドル/boe1612英国英国外全世界位で安定している。特に03年からは、他社は生産コストの増加が顕著であるが、BGについては、上昇はしているものの上げ幅は穏やかなものに収まっている。(5) 財務の安定性 バランスシート面の大きな特徴としては、純負債比率が低いことが挙げられる(図49)。純負債比率は、有利子負債から現金を引いたものを資本勘定で割った指標であり、財務の安定性を見る際に用いる指標である。 この5年間は、同業他社の中で最も低い比率をキープしたのみならず、05年は現金の額が有利子負債の額を上回ったため、マイナスになっている(Kashagan油田の売却資金の流入がその要因と思われる。)。04年以前についても、他社と比較して最も低い値を保っており、財務についても安定性が確保されていることも特徴の一つであるといえよう。(6)  迅速な意思決定および社内での 連携 迅速な意思決定が行われていることも、大きな特徴であろう。スーパーメジャーと違い、人員も比較的コンパクトな企業であり、また、経営陣および従業員がプロであり、意思疎通がスムーズに行われ、迅速な決断が行われているようである。55石油・天然ガスレビュー(8) 企業文化の変化 90年代後半からは、企業文化の変化もあったようである。90年代の後半は、国営化時代のBritish Gasの文化が残っ8400102030405年出所:年報等から筆者試算図50地域別バレル当たり利益推移@英国での操業が収益に占めるシェアは大幅には増加しない可能性が高いものの、収益性が高いため、減退分をどれくらい補填できるかがポイントとなろう。 LNGについては、同社は世界的な優位性を持っており、この優位性が今後どのように発揮され、収益面に表れてくるか、注目されるところである。アナリシス3. まとめ BGは、特にこの10年間で飛躍的に成長を遂げており、現在は上流企業のトップパフォーマーとなっている。この要因としては、繰り返しになるが、企業買収による経営資源の拡大、大西洋圏への集中的な投資、ニッチ市場への集中的な投資、KashaganやTangguhプロジェクトからの撤退といった、自らの企業価値創造の方針に合わないプロジェクトからの撤退のような明快な戦略の策定・実行、コスト面では徹底的な管理による低コスト化、上中下流一貫操業のメリットの最大活用、社内での連携、迅速な意思決定、国営企業的企業文化からの脱却、またこれらの施策を打ち出したプロの経営陣の存在およびそれを実行可能としたプロの従業員の存在が挙げられる。 Cambridge Energy Research Associatesによれば、上流企業のトップパフォーマーの特徴として、オペレーターであること、ある程度技術的なスキルを持っていることに加えて、ポートフォリオの焦点とその深さ、投資方針の厳格な適用、買収戦略、長期的なビジョンがその特徴であるとしている(詳細は、本誌2006.5 Vol.40 No.3「国際石油天然ガス上流優良企業の条件」を参照のこと)。今までのBGは、まさに、この特徴を備えた企業であるといえるかもしれない。 また、BGは97年の分離により、主力ガス田であったMorecambeガス田をCentricaに譲渡したことにより、埋蔵量がほぼ半減し、同社にとっては大打撃となったが、その後の企業努力により埋蔵量および収益も回復している。このことは、危機的な状況にある企業であっても、経営いかんによっては、業界のトップパフォーマーとなり得るということの証左であると考えられる。参考文献1. BG Annual Reports and Accounts2. BG Group ホームページ3. 林薫(編集)、国際石油天然ガス上流優良企業の条件~日本企業の国際競争力向上に向けたCERAの提言~、「石油・天然ガスレビュー」2006.5 Vol.40 No.34. 各種オンライン情報著者紹介齊藤 晃(さいとう あきら)大阪府出身。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業。大阪ガス株式会社入社。2004年1月より現職。家族は妻と娘2人。岡崎 淳(おかざき じゅん)兵庫県出身、大阪大学卒。1990年に日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)入行。1999年に同行より石油公団に派遣、主に石油公団資産処分業務に携わる。2004年JOGMECに移籍。2004年3月まで石油公団に出向し、石油公団廃止まで公団資産処分業務に引き続き携わる。2005年11月から現職。2006.7 Vol.40 No.456
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2006/07/20 [ 2006年07月号 ] 齊藤 晃 岡崎 淳
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