ページ番号1006244 更新日 平成30年2月16日

中国国有石油企業が アフリカ進出に熱心な事情

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レポートID 1006244
作成日 2006-11-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業探鉱開発
著者 竹原 美佳
著者直接入力
年度 2006
Vol 40
No 1
ページ数
抽出データ アナリシスJOGMEC石油・天然ガス調査グループtakehara-mika@jogmec.go.jp竹原 美佳中国国有石油企業がアフリカ進出に熱心な事情 ここ数年、中国国有石油企業*1の国外進出先はかなりアフリカに偏っている。中国政府首脳のアフリカ訪問も盛んで、両者の動きは呼応しているように見える。 しかし、国有石油企業のアフリカへの進出が集中した理由は、政府の思惑というよりは、企業側の事情によるところが大きいと思われる。アフリカは、北部を除き一般的にカントリーリスクの高い国々が多いが、中国国有石油企業にとり、欧米石油メジャーとの競争を避けて参入できる魅力的なエリアである。中国国有石油企業は、北・西アフリカなど既存の産油国だけではなく、高油価を背景に、鉱区開放を進める東アフリカのようなフロンティア地域にも進出している。 ロシアへの参入が期待どおりに進展しなかったので、中国企業のアフリカへの期待は相対的に高まっている。また、中東原油に比べ割高なアフリカ原油の輸入比率が30%に高まっている理由も、政府の多様化戦略というよりは、製油所の高硫黄原油処理能力の増強が需要の伸びに追いつかず、中東原油輸入を思うように増やすことができないためだと思われる。 アフリカ産油国にとって中国政府は、人権問題や収支透明性などを強制せず、石油権益を提供すれば、巨額のインフラ整備を支援してくれる便利な存在であるため、産油国の方から中国政府に接近している側面がある。その是非はともかく、企業の参入は、しばしば中国政府の外交・資金支援を伴うことが多い。 もっとも、企業はすべて政府頼みというわけではない。油田開発から製油所まで手がける中国国有石油企業の事業形態や原油購入のバーゲニングパワーが産油国の要望と合致し、鉱区取得につながった側面もあると思われる。 ただし、権益は取得するだけではなく、利益を上げなければ意味がない。例えば、今年Sinopec Corp.はアンゴラの深海鉱区入札で、オペレーターではなく、マイナーシェアの参加にもかかわらず、3鉱区に約1,000億円のサインボーナス(鉱区取得契約調印時に支払う一時金)を支払った。中国政府から産油国政府への資金支援の是非や収支についてはさておき、企業自身の収益見通しや戦略に問題はないか疑問が生じる。また、国有石油企業3社ともに資産がカントリーリスクの高い地域に集中しているというリスクを抱えている。 もっとも、中国国有石油企業は、国内において独占的な地位にあり、安定した収益基盤を持っている。さらに、必要に応じ、政府に産油国政府との調整を求めることができる。だからこそ、さまざまなリスクを恐れぬ国際展開を行うことができる。中国国有石油企業の挑戦的な国際展開は今後も続くと思われる。はじめに ちょうど1年前、本誌(2005年11月号)において、“ビジネスと国策の「双頭の龍」”というタイトルで中国国有石油企業の国外進出状況について報告した(次頁、前回のポイント参照)。 最近は、ナイジェリアやアンゴラなどアフリカにおける中国首脳の外交と*1:中国国有石油企業とは、本稿では中国石油天然気集団公司(CNPC)、中国石油化工集団公司(Sinopec)、中国海洋石油総公司(CNOOC)を指す。それぞれの企業は、上場子会社である中国石油天然気股?有限公司(PetroChina)、中国石油化工股?有限公司(Sinopec Corp.)、中国海洋石油有限公司(CNOOC Ltd.)を有している。三大国有石油企業あるいは単に3社とした場合、PetroChina、Sinopec Corp. 、CNOOC Ltd.を指す。巨額のインフラ支援を伴う国有石油企業の進出について、主に国際政治経済の角度から、さまざまな分析がなされている。 本稿では、国際政治経済からの視点ではなく、石油業界の視点から分析を試みたい。特に、2005年末から2006年上半期にかけて続いたアフリカ進出に焦点をあて、政府と企業の思惑の違い、産油国やエネルギー専門家が中国政府の「資源外交」ならびに中国国有石油企業の国際展開をどう見ているか、三大中国国有石油企業の強みと課題はどこにあるのか、改めて考察したい。石油・天然ガスレビューAナリシス〔前回のポイント〕・政府は国際石油市場に全幅の信頼を置いておらず、 “戦略物資”を現物確保しておかないと安心できないという強迫観念から、外交・資金支援などを通じ、企業の国外進出を奨励していると思われる。・国有石油企業は、国内での特権的地位による強力な財務基盤に加え、必要に応じ政府の外交・資金支援を受け、積極的に国外進出を行い、企業規模の拡大、利益の増大を図る(時にはビジネスより、国策を優先しているように見受けられる事例もある)。・高油価で収入を得た産油国が強気の姿勢に転じ、下流投資や供給先の多様化を狙い、新たなプレーヤーである中国やインドなどに接近している。イランやベネズエラなど、政治的な思惑で接近する産油国も存在する。・産油国国有石油企業同士の提携は、順調に進めば、現在、投資が進まないと問題視されている探鉱開発部門への投資が進み、世界的な余剰供給能力の拡大につながり、高値が続く国際石油市場価格が安定に向かうプラスの要素もある。当面、彼らの取引量が占める割合は低いものにとどまり、欧米諸国や日本への影響は限定的である。・問題は定量的な影響ではなく、定性的な影響である。産油国同士の提携で中国がキープレーヤーとなることは、市場の不安定要因となるだけではなく、最大の石油消費国である米国の疑心暗鬼を増幅させ、両国の摩擦が高まっていく懸念がある。1. アフリカ進出の背景(1)キーワードは“調達の多様化”  中国のエネルギー戦略・政策のキーワードは“走出去”、“多様化”、“可持続”である。経済の持続的な成長を維持するため、“国外の市場・資源の利用”ならびに“調達の多様化”により、安定した供給を図ることを指す。 9月に北京で中国のエネルギー研究者や国有石油企業の幹部にヒアリングを実施した。 「なぜ中国政府は産油国への巨額のインフラ支援を行ってまで、国有石油企業の国外進出を支援するのか。結局のところ、政府は国際石油市場を信頼していないためではないのか?」と疑問をぶつけたところ、「政府は国際石油市場を信頼しており、国内においても石油製品価格制度の改革や取引の柔軟性を高めるなど、市場化を図っている。中国国有石油企業が国外で石油開発事業を行うことに注目が集まるが、それは調達多様化の一つの手段に過ぎない。消費抑制やバイオ燃料など代替エネルギーの開発も行っている」という答えが返ってきた。 確かに、中国は国家主導でバイオエタノールの導入を進めており(9省でバイオエタノール混合率10%のガソリン(E10)を導入)、生産能力は年間100万キロリットルに達している。①調達地域の多様化 -アフリカ原油で中東依存度を抑制 中国は1995年に石油の純輸入国となり、イランやサウジアラビアなど中東産油国からの原油輸入量が急増、1999年には中東からの原油輸入依存度が7割近くまで高まった。しかし、その後は5割前後を維持(2005年の中東依存度は約47%)している。 中国政府は、中東原油に過度に依存せず、調達先を分散することで供給リスクを低減することができると考えている。中国側の資料(文末の参考資料4)には、アフリカ原油について次のような記載がある。「アフリカ原油は、中東原油と同様マラッカ海峡を通過するが、ホルムズ海峡は通らず、中南米に比べ、輸送コストが安い」。 2000年以降、アフリカ(特にアンゴラ)からの輸入が増加した。アフリカ原油への輸入依存度は、1995年の11%から2005年には30%に増加した。中国の特異な点として、アンゴラやナイジェリアなど主要な産油国、あるいは%8070605040302010019951996199719981999200020012002200320042005年中東アジア・太平洋圏アフリカ欧米・中南米ロシア・中央アジア出所:China OGPにもとづき作成図1中国の地域別原油輸入比率の推移2006.11 Vol.40 No.62?総送L石油企業がアフリカ進出に熱心な事情スーダンなどの権益原油のみならず、コンゴ共和国や赤道ギニアなど生産量が多くない国からも輸入していることが挙げられる。 中国政府は、安定した供給のため、アフリカよりも近隣かつ地続きのロシアやカザフスタンなど中央アジア諸国からの供給を増やしたいと考えている。しかし、国有石油企業の探鉱開発事業への進出のみならず、パイプラインによる輸入計画も、中国側の期待どおりには進んでいないのが現状である。 カザフスタンから中国向けの原油パイプラインは2005年12月に完成し、2006年5月には原油が中国国境に届いたが、計量ステーションのトラブルにより遅延、7月にようやく供給が始まったところである。2005年のロシア・中央アジアからの原油輸入量は約28万バレル/日で、原油輸入に占めるシェアは1割程度である。今後、ロシアやカザフスタンからの輸入パイプライン建設が計画どおり進展した場合、2010年頃にはロシア・中央アジアから80万~100万バレル/日の原油が中国に供給される見通しである。その時点で中国の原油輸入量は500万バレル/日程度であり、ロシア・カザフスタン産原油が輸入に占めるシェアは倍の2割(石油消費の1割)程度にとどまる見通しである。 東南アジアでは、2002年にPetroChinaやCNOOC Ltd.が計1,000億円以上を投じ、Repsol-YPFやDevon Energyから、インドネシアにおける石油資産を買収した。また、ミャン表1中国の石油自給率の推移見通しマーについては、2004年以降3社が複数の探鉱鉱区を取得、探鉱活動を行っている。しかし、中国の旺盛な石油需要を満たすほどの供給は見込めないと思われる。 2005年に3社が相次いで進出した中南米やカナダ(オイルサンド)については、輸送コストや製油所の設備増強などの課題が未解決であり、現段階では信頼に足る供給ソースとは言えない。したがって、中国の旺盛な石油需要増加に応えるのは、やはり中東とアフリカであり、アフリカは中東への依存度を抑えるのに最も有効なエリアということになる。②調達手法の多様化 -コストベースで調達 中国政府が求める調達の多様化というのは、地域の多様化だけではなく、手法の多様化もある。1993年に石油の純輸入国(石油消費が国内供給を上回った)になった中国は、1970年代のオイルショックを経験していない。しかし、2004年以降の油価上昇は中国政府の危機意識を非常に高めるものであった。中国国有石油企業が国外で権益を取得し、石油を発見した場合、市場価格ではなく、生産コストベースで原油を安定的に調達することができる。これが、政府が企業の進出を支援する最大の理由の一つであるようだ。 ただし、2006年9月に行ったヒアリングで複数のエネルギー関係者に確認したが、中国国有石油企業は国外で生産した原油(権益原油)を国内に持ち帰る義務は課せられていない。企業は、生産した原油を採算を無視して中国国内に持ち込むことはなく、基本的に“高く売れる所で売る”。例えばCNPCがスーダン(Block 1/2/4)2025年14.210.725%3.5で生産しているナイル・ブレンドは大慶原油に近い性状であり、CNPCは恐らく自社権益分全量を中国国内で販売していると思われる(中国の2005年におけるスーダンからの原油輸入量は約13万バレルで、Block 1/2/4の生産量約30万バレルに対するCNPCの権益比率40%にほぼ相当)。しかし、中南米で生産した原油は重質で中国の製油所のスペックに合わず、輸送コストがかさむので、自国に持ち込むことはほとんどないとのことである。 国有石油企業幹部に、政府は企業が国外で生産した生産コストベースの割安な原油を持ち込んでほしいのではないかと尋ねると、「確かに政府は国内への供給が増えることを望んでいるが、企業が損をすることは望んでいない。企業が利益を上げれば政府の税収が増えるので構わないと考えている」という趣旨の答えが返ってきた。(2)アフリカ原油は魅力的 中国の報道によると、中国の石油輸入額は2004年に430億ドル、2005年は500億ドルに達している。アフリカの原油は、中東の原油よりバレルあたり数ドル程度割高であるが、中国が割高なアフリカ原油輸入を増加させているのは、供給の多様化を図るという目的だけではなく、思うように中東からの原油輸入を増やすことができないという事情がある。 石油の純輸入国となるまで、中国は、中東の高硫黄原油を処理する高度な設備を保有していなかった。中東の原油に比べアフリカ産原油は、一般的に割高だが、比較的軽質で、硫黄の含有量が低く、中国の大多数の製油所のスペックに合致している。製油所の高度化には多額の投資が必要なので、輸入を開始した当初は,大慶原油に近い性状のインドネシアの低硫黄原油を中心に輸入し、既存の製油所で対応してきた。単位:100万b/d2010年2015年石油消費国内生産ギャップ9.23.75.510.73.67.12020年12.33.68.7自給率出所:米国EIA International Energy Outlook2005にもとづき作成40%34%29%石油・天然ガスレビュー\2OPECバスケットならびに中国の主要輸入先の油種油種国名APIサルファ(%) 「中国原油供需及加工発展趨勢研究」(文末、参考資料12)によると、現在、中国の製油所処理能力は約650万バレル/日あり、高硫黄原油処理能力は90万バレル/日(処理能力の13%、原油輸入の33%)ある。中国は2005年に中東から約120万バレル/日の原油を輸入したが、このうち硫黄含有の低いイエメンやアラブ首長国連邦産原油などを除外すると、高硫黄原油は約90万バレル/日となる。Sinopec Corp.の年報によると、同社の2005年における高硫黄原油の処理量は約70万バレル/日である。同社が保有する浙江省鎮海・広東OPECバスケットSaharan BlendMinasIranian HeavyBasrah LightKuwaitEs SiderBonny LightArab LightMurbanBCF-17その他中東MasilaアフリカCabindaNile Blend中国アルジェリアインドネシアイランイラククウェートリビアナイジェリアサウジアラビアアラブ首長国連邦ベネズエライエメンアンゴラスーダンDaqing(大慶)中国32.3出所:Energy Intelligence Group省茂名など沿海部の大型製油所は脱硫装置を備えており、輸入原油の9割を処理している。 ちなみに、米国は原油輸入の3割をアフリカから輸入しており、中東原油依存度は1割程度である。(3)上流への進出が比較的容易 アフリカ産油国は、主要な産油国のなかで、外国企業に比較的好条件で門戸を開放している数少ない存在といえる(参考:アフリカにおける石油探鉱開発の概況を参照)。北アフリカを除き、カントリーリスクが総じて高く、インフラ整備も遅れているが、その分外国企業の投資を促進するため、企業へのリターンは相対的に高く設定されている。例えばSinopec Corp. が2004年に取得したアンゴラBlock 18の内部利益率(IRR)は15%(契約締結時の油価で計算)である。 また、開発途上国ではパイプライン建設などエンジニアリングサービス部門におけるビジネスチャンスもある。欧米日コンストラクターに0.110.081.771.952.550.270.141.780.792.530.120.050.1143.6 35.0 30.2 33.7 32.4 37.0 35.4 34.0 40.4 16.5 32.5 32.3 30.5 0.62アナリシス比べ、割安な価格がアフリカ産油国で受け入れられている模様である。 中国新華社の発行する石油雑誌「China OGP」は、中国国有石油企業のアフリカ進出の利点について次のように指摘している。①開発コストが比較的安い(10ドル/バレル程度)。②中国政府はアフリカのインフラ建設に巨額の投資を行うことが可能であり、現地で歓迎されている。③中国とアフリカは歴史的に政治・経済双方で友好関係にある。また、中国国有石油企業が中東やロシア(における石油探鉱開発事業)に参入することは難しいが、アフリカは中国国有石油企業の進出を許容する希少なフロンティアである。 同誌によれば、2010年頃までに中国の国外権益原油生産量は約100万バレル/日に増加する見通しで、アフリカが最大のシェアを占めることになるとしている。2005年末現在の約45万BOE/日(BOE:石油換算バレル)の2倍以上である100万バレル/日という数字の内訳について言及はなく、検証の必要はあるが、現在も中国における権益原油生産量の約8割をアフリカ(CNPCのスーダン)が占めており、昨年から今年にかけてCNOOC Ltd.やSinopec Corp.が開発・生産中の油田資産の買収を行ったのもナイジェリアやアンゴラであることから、引き続きアフリカが最大のシェアを占めることになる可能性は高い。参考:アフリカにおける石油探鉱開発の概況 アフリカの石油産業は、一般的に北アフリカ(サハラアフリカ)とサハラ砂漠より南のサブサハラに分けて論じられることが多い。 北アフリカのリビア、アルジェリアなどのアラブ圏産油国は、中東・北アフリカで一括されて“MENA”(Middle East and North Africa)と称されることがある。中央政府がアラブ系であるスーダンは、サブサハラではなく“MENA”に含めることが多い。本稿では、スーダンは“北アフリカ”の一つとして扱うこととする。 サブサハラは、石油という観点から、西アフリカと東アフリカに大別することができる。  西アフリカでは、ナイジェリア、アンゴラ、赤道ギニアなど、ギニア湾周辺に産油国がある。ギニア湾周辺産油国での生産の中心は、現在のところ浅海域である。しかし、1990年代にメジャーズが、深海(水深300m以深)で油田を発見した。今後は深海からの生産比率が高まっていく見込みである。大水深(水深1,500m以深)における探鉱開発も2006.11 Vol.40 No.64Aルジェリアアルジェリアチュニジアチュニジアリビア   リビア   ナイジェリアナイジェリアエジプトエジプトチャドチャドスーダンスーダン赤道ギニア赤道ギニアガボンガボンカメルーンカメルーンコンゴ共和国コンゴ共和国アンゴラアンゴラ40N3020100102030S100万バレル/日以上30万?100万バレル/日以上10万?30万バレル/日以上4万?10万バレル/日以上20W10010203040図2アフリカの主要産油国の現状(2005年)2004年石油生産量2005年石油生産量(見込み、1,000バレル/日)単位:千バレル/日3,0002,5002,0001,5001,000500ンボガンーャチドカルメニュチアジンゴ共和国ン コトプ赤道アニギダースアリェジアラゴンジエ0ジアリェイナビリアルア出所:OGJ図3アフリカの原油生産量盛んに行われている。 南アフリカ共和国および東アフリカでは、南アフリカ、モザンビーク、タンザニアなど一部の国で天然ガスの生産が行われているが、総じて探鉱密度の低い地域である。しかし、石油価格の高騰を受け、ケニアやウガンダなど東アフリカにおいても鉱区開放の動きがあり、英国のDanaや豪州のHardmanなど中堅石油企業の探鉱活動が活発になりつつある。 アフリカは天然ガス(LNG)輸出国としても重要な位置を占めている。北アフリカではリビア、アルジェリア、エジプトが天然ガス輸出国である。主に欧州向けにパイプラインガスあるいはLNGを供給している。 西アフリカでは随伴ガスの焼却処理(フレア)抑制やガスマネタイズという観点から、天然ガスの液化プロジェクトの計画が盛んである。現在、ナイジェリアではNLNG(Nigerian LNG)が欧州向けにLNGの輸出を行っているほか、Brass LNGやOlokola(OK)LNGなど複数の新規事業が計画されている。赤道ギニアではLNG液化プラントが建設中であり、アンゴラではLNG液化プラント建設計画がある。 ただし、アフリカにおけるLNG液化事業は、技術とノウハウを保有する欧米石油メジャーが中心で、これまで中国国有石油企業の同事業への進出はない。2. 政府の対アフリカ外交中国国有石油企業がアフリカ進出に熱心な事情(1)古い友人、新たなパートナー 2006年現在、中国はアフリカ53カ国中、47カ国と国交がある。中国とアフリカの関係は、1955年のバンドン会議以降50数年の長きにわたるものである。中国のアフリカ支援の目的は、当初は国連への復帰(1971年に実現、賛成76票のうち27票のアフリカ諸国の支持が復帰に重要な役割を果たしたとされている)であった。その後、1970年代後半の「改革・開放」政策実施までは、アフリカへの支援は“第三世界(開発途上国)の代表”あるいは台湾とアフリカの切り離しなど、主にイデオロギーを優先させたものであったと見られている(参考資料13ほか)。1975年のタンザン鉄道(タンザニア~ザンビア間)建設の経済協力は、中国がアフリカに対して行った代表的な協力プロジェクトとして知られている。 1990年代後半以降、中国のアフリカ支援は新たな局面を迎えた。1995年に江沢民主席(当時)がアフリカ5カ国を訪問したころから政府首脳の往来が石油・天然ガスレビューAナリシスし、非公式にはアフリカ最大の産油国ナイジェリアを推しており、石油資源目当てと指摘されている。②中国企業のアフリカ進出を明確に支援 「中国対アフリカ文書」において、中国政府は石油開発企業のアフリカへの進出を明確に支援する姿勢を示している。概要は以下のとおりである。・ 中国企業のアフリカ投資を奨励、支持しており、引き続き優遇借款と優遇輸出バイヤーズクレジットを供与する。・ 実力のある中国企業が、互恵・相互利益、共同発展の原則にしたがい、多様な形式の協力方式によって、アフリカ諸国と資源を共同で開発し、合理的に利用するのを奨励、支持し、アフリカ諸国が資源の強みを競争の強みに変えるのを助け、アフリカ諸国と地域の持続的な発展を図っている。(3) 中国政府の資源外交に対する外部の評価①産油国の評価 アフリカの産油国政府は中国について、欧米のように人権問題や収支の透明性などを強制せず、石油権益を与えれば巨額のインフラ投資をコミットしてくれる便利な存在である、と認識しているようである。チャドのデビー大統領は、米ChevronとマレーシアPetronasとの税金をめぐる係争の最中、「中国は、今後有力なパートナーとなり得る」と語っている。 もっとも、中国に対する批判もある。中国の衣料や家電製品などの流入により国内産業が打撃を受け、雇用喪失などが生じており、中国脅威論が浮上している。中南部のザンビアでは9月の総選挙を控え、野党候補が「私が当選したら中国資本を追い出す」と公約し、ムワナワサ大統領が公式に謝罪する事態となった。2006.11 Vol.40 No.66ひょうしている。外交部長政不干渉”を標助理(西アジア・アフリカ・北アフリカ担当次官)の呂国増(Lu Guozeng)は、2006年1月に行った内外ブリーフィングにおいて、「中国はアフリカの経済援助に政治的条件をつけておらず、援助によって圧力をかけることもなく、アフリカ内部の問題にとやかく言及したこともない」と強調し、欧米などからの新植民地主義との批判を暗に牽制した。 中国政府は、2006年1月に対アフリカ政策に関する初の政策文書「中国対アフリカ文書」を発表した。文書の内容は、建国当初からの対アフリカ政策と大きな差異はないように見える。主な内容は「政治面における平等と相互信頼、経済面における協力と利益共有、文化面における交流と相互参考を柱に、アフリカ諸国との新たなタイプの戦略的パートナーシップを構築、発展させる」というものである。 注目すべきは、国連についての言及であろう。文書は、アフリカ諸国が国際問題に対等に参与し、国連の役割強化にともに努力していくとしている。中国は、中国の人権問題に対する非難決議にアフリカ諸国から反対票を投じてもらう見返りに、スーダンの制裁決議(2004年9月)を棄権するなど、常任理事国の立場を巧みに生かした外交を行っている。ちなみに、中国は国連常任理事国のアフリカ枠をめぐり、ナイジェリア、南アフリカ、エジプトの三大候補を公然と支持榜ぼう活発になり、無償援助や借款の額が大幅に増加した。JETRO調査レポート「企業が変えるアフリカ」によると、中国は2004年末までにアフリカ48カ国で730件の無償資金プロジェクトを、21カ国で55件の優遇借款プロジェクトを実施している。また、人材育成分野の協力では、48カ国から約2,400人の公的機関職員が中国国内で研修を受けた。民間部門の人的交流として、年間1,200人におよぶアフリカ人学生を中国政府奨学生として受け入れており、2004年末時点でアフリカ50カ国から1万7,860人の受け入れ実績がある。 中国にとり、中南米・アフリカ市場は資源の供給元としてだけではなく、中国製品(衣料や家電)の販売先としても成長している。中国とアフリカの貿易額は、1950年代初頭の1,211万ドルから2005年には400億ドル近くに増加しており、現在、中国政府はイデオロギーよりも経済的な実利の追求(資源の獲得ならびに衣料や家電など中国製品の販売先)を優先している模様である。(2)政府の基本姿勢①“内政不干渉”と巧みな国連外交 中国は、基本的な外交方針として“内注:非州はアフリカを意味し、文章は“アフリカ大好き”の意。写1北京の地下鉄入口で見かけたポスター?総送L石油企業がアフリカ進出に熱心な事情②欧米政府機関等の評価 -資源外交に対する批判ア.中国の利己的な支援は、国際的な支援の枠組みを阻害 中国のアフリカへの利己的と見える資金支援は、OECD諸国が行ってきた開発途上国への支援枠組み(貧困解消や不正撲滅プログラム)を阻害するという批判がある。 世界銀行の主任エコノミスト、フランシス・ブルギニオン氏は「開発支援は共通ルールで行うべきである。資源国への影響力を強めるために支援をテコにする手法には異論がある。資源国における汚職が増加し、行政の透明化が損なわれ、投資環境は長期的にむしろ悪化する」と指摘している(日経, 2006/6/12)。 なお、CERA*2のエバンズ上級研究員によると、中国は2004年に実施したアンゴラへの20億ドルの低利融資のほかに、ガボンのダム建設への融資返済も石油で得ている模様である。確かに現物は確保できるが、低利融資は贈与の要素が強く、被援助国を利するだけで、直接購入する方が安いのではないかと疑問に思う。イ.企業への補助金(低利融資)は不公平競争を招く CERAのエバンズ上級研究員は、CNOOC Ltd.の米Unocal買収時における資金調達を例に挙げ、政府の企業への補助金支給は競争に不公平が生じると指摘した。実際、2005年にCNOOC Ltd.がUnocalに総額185億ドルで買収を提案した際、総額の7割におよぶ130億ドルを中国国有商業銀行である工商銀行の融資(劣後債融資45億ドル)と親会社CNOOCからの融資(無金利のつなぎ融資25億ドルおよび年率3.3%、30年の劣後債融資45億ドル)で調達しようとした。同時期にUnocalを買収しようとしていたChevron CEOのDavid O’Reilly氏は、CNOOC Ltd.の資金調達の方法は不公平であると批判した。また、Energy Intelligence は、格付けがBBB+のCNOOC Ltd.が金利2.2%で調達を行おうとしているが、AAのChevronが同じことをしようとすると金利3.5%となり、AAAのExxonMobil ですらCNOOC Ltd.を下回る金利で資金調達を行うことは不可能であると指摘している。③中国側の見解 前述の批判について中国のエネルギー関係者から、次のような反応があった。ア.支援の枠組みを阻害・中国の支援がアフリカの貧困解消を阻害し、不正腐敗を助長するという意見は納得できない。不正腐敗は被支援国側の問題で、支援があるから腐敗が起きるわけではない。・OECD諸国も債務返済のリスケジュールを行うことがある。初めから低利で融資するのは、手段が違うだけではないか。・政府のアフリカ諸国への低利融資について、中国は産油国だけに実施しているわけではなく、目的は資源獲得ではない。また、中国は返済に条件を付けたことはなく、石油での返済は産油国側が提案した。イ.補助金は不公平競争につながる 米エネルギー省(DOE)は、「ENERGY POLICY ACT」(2006年2月発表)のなかで、中国政府と国有石油企業の関係は“major question”としているが、中国の石油関係者は雑談のなかで、政府と国有企業は親子のようなものだと語った。政府の中国国有企業への低利融資について、「(金融機関も含め)国有企業は国がつくったものであり、資産は国家(人民)のものである。家族に優遇利率で貸すだけのことだ。貧乏人は金持ちを知るが、金持ちは貧乏人を知らないという言葉がある。中国(貧乏人)は欧米のことをよく研究しているが、欧米は中国のことを理解しようとしない。中国は成り立ちが違うことを、もう少し理解してほしい」と語っていた。3. 企業のアフリカ進出(1)企業の進出トレンド 中国国有石油企業のアフリカ進出は、2004年以降勢いを増した。特に2005年から2006年にかけて、件数、投資金額ともに顕著な伸びを示している。2006年現在、アフリカ15カ国で石油探鉱開発事業を行っている。 中国国有石油企業のアフリカへの進*2:Cambridge Energy Research Associates.Inc. 米国の民間エネルギー調査機関。出は、1995年のCNPCによるスーダンMuglad盆地Block 1/2/4(Greater Nile Project)権益取得で幕を開けた。 中国は、かねてからスーダンに経済援助を行い、親密な関係にあった。1995年にバシル大統領が訪中し、両国は対外援助協定を締結。CNPCはBlock 1/2/4鉱区の権益20%を取得した。その後も国連や米国の経済制裁に伴い、欧米企業が撤退するなか、CNPCはBlock 1/2/4権益の追加取得や新たにBlock 6やBlock 3/7でPS契約を締結し、現在では同国における主要な生産者となった。スーダンで生産される原油の35%(約13万バレル/日)は中国が輸入している。石油・天然ガスレビューAナリシス年2006(1?9月)127420052004222371436200312114200222112北米アジア太平洋中南米アフリカロシアCIS中東・北アフリカ1992?200130452212101520件出所:各種資料によりJOGMEC作成図4中国の進出件数の推移(石油探鉱開発事業のみ、 PL事業、合意段階は含まず)モロッコCNOOCCNOOCモーリタニアCNPCCNPCチュニジアSinochemSinochemリビアCNPCCNPCアルジェリアCNPCCNPCSINOPECSINOPECニジェールCNPCCNPCナイジェリアCNPCCNPCCNOOCCNOOCチャドCNPCCNPCスーダンCNPCCNPCSINOPECSINOPEC赤道ギニアCNOOCCNOOCサントメ・プリンシペCNPCCNPCSINOPECSINOPECガボンSINOPECSINOPECカメルーンアンゴラSINOPECSINOPECケニアCNOOCCNOOCマダガスカルCNPCCNPC生産中出所:各種資料によりJOGMEC作成図5中国国有石油企業のアフリカにおける主な進出国2006.11 Vol.40 No.68スーダン、イラン、カザフスタン、インドネシアなど18カ国で実施。検層チーム全662チームのうち、73チームが国外で作業を行っており、3,270坑で測定を行った。 坑井業務については、モンゴル、スーダン、カザフスタンなど13カ国で実施。1,001坑を対象に、改修(フラクチャリング、酸処理)、穿(パーフォレーション)などの作業を実施、872層でテストを行った。また、油田開発に加え、製油所ならびに石油パイプライン孔こせんうスーダンやナイジェリアなど20カ国で実施。同社の地震探鉱チーム全174チームのうち49チームが国外で作業を行っており、国外で2D地震探査3万8,437㎞、3D地震探査1万3,178?を実施した。 掘削業務については、2005年現在、オマーンやベネズエラなど28カ国で実施。同社が保有する924基のリグのうち、159基が国外で作業しており、734坑(累計14万㎞)を掘削。 検層業務については、2005年現在、 2003年から2004年にかけて、CNPCはスーダン周辺に事業を拡大、ニジェールやチャドなどで石油鉱区権益を取得した。 2004年には、Sinopec Corp.とCNPCが北アフリカ(アルジェリア)で複数の鉱区を取得した。 2004年以降、国有石油企業はナイジェリアやアンゴラなど西アフリカ深海に進出を始めた。2004年の新規進出国はサウジアラビアを除き、すべてアフリカである。西アフリカ深海は高額の投資が必要で、技術的な難易度も高いため、中国国有石油企業は数年前までは進出対象エリアとしていなかった。しかし、米国や香港におけるIPO(新規株式公開)に加え、昨今の油価高騰による利益増大などが中国企業を大規模・高額投資へ駆り立てているのではないかと思われる。ちなみに、PetroChinaは2005年に探鉱開発に約1兆2,500億円を投じている。CNOOC Ltd.の探鉱開発投資額は約2,600億円、精製・石化事業中心のSinopec Corp.はやや少なめだが、962億円を投じている。 CNOOC Ltd.は2005年から2006年にかけて、ナイジェリアにおける2件の資産買収に23億ドル(約2,700億円)を投じ、Sinopec Corp.は2006年の入札で、一つの深海探鉱鉱区に10億ドル(約1,200億円)という破格のサインボーナスを提示した。 2005年以降、国有石油企業はケニアやマダガスカルといったアフリカのフロンティア地域にも積極的に進出している。(2)各社のアプローチ①CNPC:低コストとスーダンでの実績で周辺国にアピール CNPCは国外進出にあたり、物理探鉱(地震探査)、掘削、検層、坑井作業など幅広い業務を提供している。 物理探鉱については、2005年現在ACT SYSTEMMYCK中国国有石油企業がアフリカ進出に熱心な事情表3中国国有石油企業のアフリカにおける主な進出事業(探鉱開発のみ)北アフリカ企業種別鉱区または油田名契約時期契約タイプSinopec Corp. 油田(陸上)アルジェリアSinopec Corp. 油田(陸上)油田(陸上)ZarzaitineGUERRARA / 418,419B,438AEL HADJIRA / 416A,4172003年12月リース契約(権益75%)、国際入札参加2004年7月PS契約2004年7月PS契約CNPCCNPCCNPCCNPCスーダン油田(陸上)Muglad盆地Block 61995年10月PS契約(95%)油田(陸上)Muglad盆地Block 1/2/41997年3月PS契約(40%)油田(陸上)Muglad盆地Block 3/72000年11月PS契約(41%)チュニジアSinochem油田(沖合)モーリタニアCNPCCNPC油田(陸上、沖合)油田(陸上)モロッコCNOOC Ltd.油田(沖合)リビアCNPC油田(沖合)サブサハラBilsa、Cosmos、Isis、Oudna、YasminBlock 12(陸上)、Block TA 13(沖合)、Block 21(沖合)Block 20Ras Tafelney Offshore Block 1~8Block 42002年1月PS契約 2002年、Atlantis社買収2004年9月PS契約2005年6月PS契約(ファームイン65%)2004年4月PS契約(ファームイン11.25%)2005年10月新石油法(EPSAⅣ)にもとづく第2次公開入札企業種別鉱区または油田名契約時期契約タイプ現況探鉱中探鉱中探鉱中生産中(4万バレル/日)生産中(30万バレル/日)、生産プラトー30万バレル/日(見込み)生産中(4万バレル/日)、生産プラトー30万バレル/日(見込み)生産中(1万バレル/日)探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中現況2005年3月2005年7月2006年5月(落札)PS契約(ファームイン、Sonangol Sinopec International Ltd.50%)PS契約(ファームイン、Sonangol Sinopec International Ltd.25%)PS契約締結(2006年11月) 2005~2006入札開発中、生産プラトー20万バレル/日(見込み)生産中(2.5万バレル/日)2004年2月PS契約2005年3月PS契約(ファームイン50%)2006年4月PS契約、2006年4月胡錦涛訪問に伴い契約締結2006年2月2006年1月2004年4月2006年1月2006年1月2006年6月(落札)2005年5月(落札)2005年5月(落札)2003年11月PS契約PS契約(ファームイン25%:Clivedenの現地操業会社権益をCITICと各25%取得)PS契約探鉱契約PS契約(ファームイン)ナイジェリアSouth Atlantic Petroleum(SAPETRO)から権益45%を取得(22.68億ドル)PS契約(ファームイン35%)ナイジェリアEmerald EnergyからOPL 229権益の35%を取得(6,000万ドル)PS契約、サインボーナス4鉱区計1,600万ドル、胡錦涛ナイジェリア訪問、インフラ投資40億ドルコミット2004年JDZ入札、ナイジェリア企業と共同で事業参加(権益比率10%)2004年JDZ入札、ナイジェリア企業との共同オペレーター(権益比率85%)探鉱契約探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中開発中開発中探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中探鉱中Sinopec Corp. 油田(沖合)Block 18アンゴラSinopec Corp. 油田(沖合)Block 03/05Sinopec Corp. 油田(沖合)Sinopec Corp. 油田(陸上)Sinopec Corp. 油田(陸上)ガボンケニアCNOOC Ltd.油田(沖合)赤道ギニアCNOOC Ltd.油田(沖合)Block 15/06、17/06、18/06LT2000、DR200、GT2000SalsichBlock 1、10A、9、L-02/03/04Block SチャドCNPCCNPC油田(陸上)Doba油田(陸上)PermitA(AreaⅠ、Ⅱ、Ⅲ)2004年2月Sinopec Corp. 油田(陸上)OML 64/66CNOOC Ltd.油田(沖合)OML 130ナイジェリアCNOOC Ltd.CNPC油田(沖合)油田(陸上、沖合)OPL 298、471、721、OPL 229732ナイジェリア/ サントメJDZPetroChina油田(沖合)Block 3Sinopec Corp. 油田(沖合)Block 6ニジェールCNPCCNPC油田(陸上)Bilma油田(陸上)Tenera2004年12月探鉱契約PetroChinaマダガスカル出所:各種資料にもとづきJOGMEC作成油田(沖合)Block 21042006年3月PS契約の建設を行っている。 2003年にアルジェリアAdar製油所統合プロジェクトを受注した。2005年末現在、評価井5坑、生産井6坑掘削、うち5坑でテスト、すべてで商業量の原油を発見した。製油所は2006年完工予定。CNPCの提示額は3億9,000万ドルで、2番目に安い金額を提示したSAIPEMの4億6,000万ドルを大きく下回っていた。また、第4次入札では2鉱区を落札した。 落札の主な要素は提示金額にあると思うが、スーダンや周辺国における実績の積み上げにより、アフリカにおけるCNPCの知名度は向上したと思われる。中国国有石油企業は、2005年9月に南アフリカのヨハネスブルクで開催された第18回世界石油会議(WPC)において、最も目立つ場所で大規模な展示を行っており、参加者を驚かせていた模様である。 また、リビアについて、CNPCは制裁下の2000年前後から何度か代表団を派遣し、進出の機会をうかがっていた。2002年に江沢民主席(当時)が、カダフィ大佐と石油・天然ガスおよび鉄道分野の協力について合意、同年CNPCはWaha油田からMeritachまでのパイプライン敷設工事を受注した。さらに、石油探鉱開発事業については、2005年1月、EPSA4(新石油法)による第2次国際入札でCNPCは初めて1鉱区(海上17-4)を落札した。CNPCは石油・天然ガスレビューP001-014_アナシリス1_竹原.indd 906.11.20 3:50:55 PMRスト回収率28.5%、サインボーナス608万ドルという条件で落札しており、常に高値買い、低い経済性で事業を行っているわけではないことが分かる。 しかし、2006年にCNPCがナイジェリアで落札した4鉱区については少々疑問が残る。2006年4月、中国の胡錦?主席がナイジェリアを訪問し、ナイジェリア政府とKaduna製油所投資、Plateau州発電所建設など、総額40億ドルの投資についてコミットした。このコミットにより、CNPCは4鉱区の優先参入権を取得、2006年5月の入札で落札した。サインボーナスは4鉱区合計で1,600万ドル(約19億円)である。深海鉱区が含まれていないため、サインボーナスは低めである。 しかし、鉱区取得プロセスが不透明であるだけでなく、取得した4鉱区の地質ポテンシャルはそれほど高くない模様である。4鉱区のうち、沖合OPL(Oil Prospecting License:排他的探鉱権)471を除く3鉱区は5月の入札対象鉱区ではない。陸上チャド盆地OPL 721、732は2005年の入札対象鉱区である。地場企業が落札したが、サインボーナス未払いにより権利を失効、今般、CNPCに付与された。OPL 721・732の位置するChad盆地Benueトラフ北東部は根源岩が分布していないのではないかという指摘もある。②SinopecCorp.:Sonangolとの提携で大躍進? 2004年、中国政府とアンゴラ政府はインフラ整備目的で20億ドルの融資をアンゴラに提供することで合意した。詳細は公表されていないが、中国輸出入銀行が金利1.5%、期間17年で実施、返済は1万バレル/日相当の原油で行っている模様である(Afroil,2004/10/05)。 また、2005年2月に曾培炎副首相がアンゴラを訪問した際、Sinopec Corp.とSonangolは①原油長期購入契約、②ジョイントベンチャー(Sonangol-Sinopec International Ltd.(以下、SSI)を設立、アンゴラ国内ならびに第三国における石油探鉱開発権益の共同取得③アンゴラ新規製油所建設投資について覚書(MOU)を締結した。 2006年の入札でSSIは一つの探鉱鉱区に10億ドル(約1,210億円)という史上最高額のサインボーナスを提示し、深海3鉱区(Block 15、17、18)の権益を取得した。Block 15、17、18(および今回の入札対象ではないが、Block 14)は、1990年代にアンゴラが公開した深海鉱区で、Chevron、ExxonMobil、Total、BPが取得し、20万バレル/日以上の油田が相次いで発見された“golden block”として知られている。今般、既発見油田の開発移行に伴い、鉱区の未発見部分が放棄され、入札に付された。 ただし、深海油田開発の経験がないSinopec Corp.は、両鉱区ともノンオペレーターかつマイナーシェアの取得にとどまっている。懸念事項として、突出したサインボーナスの存在が挙げられる。SSIのネットのサインボーナスは3鉱区合計で約9億ドル、権益は20~40%で、すべてノンオペレーターとしての参加である。ネットのサインボーナスで2番手のTotalは、2鉱区合計で約6億ドルのボーナスを負担が、深海鉱区のオペレーターシップを取得した。Sinopec Corp.は鉱区権益の獲得を焦るあまり、自社の期待収益率を高く見積もり過ぎたのではないだろうか。原油長期購入契約 2004年の中国におけるアンゴラからの原油輸入が輸入全体に占める比率は13%(32.4万バレル/日)であったが、2006年第1四半期に、同国は中国における最大の原油輸入国となり、輸入全体に占める比率は17%(約51万バレル/日)に達した。アンゴラから見ると、中国は原油輸出の35%(2004年)を占アナリシスめ、米国(40%、 2004年)に次ぐ輸出先となっている。 前述のとおり、2005年2月にSonangolとSinopec Corp.は原油の長期購入契約について合意している。具体的な量や期間は不明であるが、最近のアンゴラからの原油輸入増加の一因には、原油による融資の返済に加え、この長期購入契約分が含まれていると思われる。ジョイントベンチャーBlock3/05、(2005年11月) Block 3/80のPS契約満了に伴い、鉱区をBlock 3/05に改め、オペレーターのTotal権益50%をSonangolが取得、そのうち25%をSSIに譲渡した。Palanca油田などが生産中(約7万5,000バレル/日)である。Block3/05-A(2005年11月) Block 3のオープンエリアについてSonangolが2005年10月に開発ライセンスを取得し、Block 3/05-Aとした。その後Sonangolが権益25%、20%をSSIが取得した。Block18(2005年2月) 2004年、Shellはアンゴラ上流撤退に伴い権益50%をファームアウト。ShellはインドONGCとBlock 18の権益50%を譲渡することで合意していたが、アンゴラ政府は国営会社Sonangolに先買権を行使させ、SSIが権益50%を取得した。Block 18はBPがオペレーターを務めており、残りの50%を保有。現在、Greater Plutonio油田を開発中(生産プラトー20万バレル/日)である。新Block15・17・18(2006年6月) 新Block 15(面積2,974?)は沖合コンゴ盆地に位置する深海鉱区(水深700~4,000m)である。ExxonMobilがオペレーターを務めるBlock 15(当初面積4,200?)の開発移行に伴い放棄したエリアで、Kizomba A油田(現行生産量約25万バレル/日)などが生産中である。オペレーターはEni2006.11 Vol.40 No.60?総送L石油企業がアフリカ進出に熱心な事情ふっしょく(35%)で、Sinopec Corp.はSSIとして20%を取得した。 新Block 17(面積3,316.21?)は、沖合コンゴ盆地に位置する深海鉱区(水深600~1,900m)である。Totalがオペレーターを務めるBlock 17(当初面積5,007?)の開発移行に伴い放棄されたエリアで、Girassol/Jasmin油田(現行生産量約25万バレル/日)などが生産中である。Sonangolの入札説明資料によると、放棄部分の残存埋蔵量は16億バレル。オペレーターはTotal(40%)、SSIは27.5%を取得した。 新Block 18(面積4,621.14?)は沖合コンゴ盆地に位置する深海鉱区(水深750~1,750m)で、Block 18(当初面積4,915?)の開発移行に伴い放棄されたエリアで、オペレーターはBPで、Greater Plutonio油田を開発中(生産プラトー20万バレル/日)である。SSIは2005年にファームインした。Sonangolの入札説明資料によると、放棄部分の残存埋蔵量は7億バレルとされている。オペレーターはPetrobras(30%)でSSIは40%を取得した。新規製油所建設 Sinopec Corp.とSonangolはRobitoにあるSonaref製油所建設について、調印する見通しである。同製油所の原油処理能力は20万バレル/日、総事業費は35億ドルで、2010年に稼働を開始する予定である。製品の50%は北米向けで、残りはアンゴラ国内や欧州、ブラジルなどに供給する計画である。③CNOOCLtd.:競合回避、フロンティアへ? CNOOC Ltd.の国外進出は、ほかの2社に比べ、いわゆる政府資源外交との関連が薄い印象を受ける。 CNOOC Ltd.の国外進出戦略は、2005年の米Unocalの買収騒動後、変化したと言われている。CNOOC Ltd.のUnocal買収の主な目的は、企業規模の拡大と、Unocalがインドネシアなどアジアで保有するガス資産の獲得石油・天然ガスレビュール/日)である。同資産は、当初インドONGC/Mittal連合(2005年7月、国外石油・天然ガス共同事業会社を設立)が落札したが、インド政府は“リスクが高い”としてこれを承認せず、ONGC/Mittal連合は撤退した。 また、同年3月、CNOOC Ltd.はナイジェリア地場企業Emerald Energy(55%)から、沖合OPL 229の権益35%を6,000万ドル(約70億円)で購入することで合意した。 CNOOC Ltd.は開発資産だけではなく、新興産油国の赤道ギニア(沖合Block S)やフロンティア地域であるケニアで探鉱鉱区(Block 1、10A、9、L-2/3/4)を取得している。(3) 中国国有石油企業の進出に対する外部の評価 2-?において、中国政府の資源外交に対する外部の評価について述べたが、中国石油企業の進出自体に対する外部の評価はどのようなものであろうか。①産油国の評価 ナイジェリアは2006年の入札で、製油所や発電事業など下流への投資を入札参加の条件とした。下流への大規模かつ高額投資をコミットした中国CNPCやインドONGCは“戦略投資家”にあった。CNOOC Ltd.は天然ガス事業の発展という企業戦略を掲げており、また、同社の資産は石油に偏っていたため、Unocalの企業規模とアジアにおけるガス資産はCNOOC Ltd.の資産買収の対象として非常に魅力的であった。しかし、中国の政府系企業によるUnocalの買収は安全保障上問題があるとして、米議会を中心に反対の声が出た。CNOOC Ltd.は、米国側の懸念を払拭するため、北米資産の売却提示など、さまざまなロビー活動を行ったが、結局買収を断念した。この件以降、CNOOC Ltd.は政府と一体という印象を避けるようになったとされている。同社関係者によると、企業が支援を求めなければ、中国政府は特に支援を行わないとのことである。ちなみにCNOOC Ltd.の国際事業は、国際事業担当部署が案件を発掘、初歩的な評価を行う。その後、リサーチセンターが探鉱からエンジニアリング部門まで技術や経済性を審査、本部に報告し、最終的に本部が決断する、という流れになっている。 CNOOC Ltd.は2005年以降、アフリカにおける資産買収を積極的に行っている。 2006年1月、CNOOC Ltd.はナイジェリア民間企業South Atlantic Petroleum(SAPETRO)から、ナイジェリア深海OML(Oil Mining Lease:生産権)130の権益45%を22億6,800万ドル(約2,600億円)で取得した。同鉱区のオペレーターはTotalであり、Akpo油田が2008年末に生産開始予定(生産プラトーは約22万バレ写2今年完成したCNOOC Ltd.2棟目の本社ビル(樽を模している)Aナリシスジア国営石油企業(中国は“国有企業”と称するが、その他のNational Oil Companyは“国営石油企業”とするのが一般的)は、言われているほど世界中の石油資産を買いあさっているわけではない」と指摘している。アジア国営石油企業(NOC)5社(中国国有企業3社ならびにインドONGC、マレーシアPetronas)と、欧米石油企業(IOC)5社(BP、Devon、Eni、Conoco Phillips、Occidental)の2001年から2005年の資産買収の金額を比較すると、IOCは買収額が高い北米中心という要素があるものの、アジアNOC5社の資産買収額130億ドルに対し、IOCのそれは330億ドルに達している。(“The Impact of Asian NOC On The Upstream M&A Market”〈Wood Mackenzie May 2006〉、AWSJ 2006/6/9 “Asian Oil Myth debunked”記事で引用)。 Wood Mackenzieは、アジアNOCとIOCの競合について、①アジア国営石油企業の進出地域は政治リスク等が高いエリアに集中している、②IOCはプロジェクトマネジメントを生かし深海、非在来、LNGなどに投資を集中しているが、国営石油企業は同分野における競争力が低い、などの理由で、当面競合する可能性は少ないと見ていValueofAcquistionsCompleted2006.11 Vol.40 No.62ceponiSCOONCCGNOlatnediccOsanortePPOCCPNCINEアジアNOCとIOCの資産買収(2001~2005年)中国石油生産(2005年)(国外:約42万BOE/日)中国外10%中国90%図7中国国有石油企業の国外権益生産量府勢力は、CNPCが北部政府と結託し、石油資源を収奪していると考えている模様である。最近、アフリカの各地で貿易摩擦に起因する中国脅威論が表れており、石油産業もそのあおりを受けている模様である。noveD②欧米石油専門家の評価 DOEは、中国国有石油企業3社の国外進出の規模は小さく、脅威ではないと見ている。確かに中国の国内生産量と国外生産量を合計すると約400万バレル/日で、ちょうどExxonMobilの生産量に相当する。中国国有石油企業3社の2005年末現在の国外権益原油生産量は約45万BOE/日だが、これはExxonMobilの2005年末の北米外権益生産量約330万BOE/日の8分の1程度に過ぎない。 DOEはまた、中国国有石油企業は、スーダンなどカントリーリスクが高く、欧米石油企業が活動できないエリアで探鉱開発を行い、結果として国際石油市場への供給を増やしているという側面があると指摘している。 有力な石油コンサルタントであるWood Mackenzieは、「中国などアSourceWoodMackenzie図8noillim$SU1万2,000PB1万8,0006,0004,0002,0000として優先参入権を得た。新興産油国あるいはこれから鉱区開放を進めようとしている政府関係者は、とりわけ中国やインドに秋波を送っているようである。 しかし、中国やインドなどアジア国営石油企業に限った問題ではないが、雇用・調達等の面で現地への配慮を欠き、自社(自国)への利益還元を重視すると、地場から強い反発を招く。 CNPCは2005年にKaduna製油所経営権取得と改修工事を受注したが、従業員は“unwanted”としてCNPC従業員のKaduna製油所への入場を阻止、CNPCは改修工事のみ行うことになったと伝えられている(Afroil, 2005/9/20)。 また、2006年にCNPCがナイジェリアのニジェールデルタで4鉱区を取得した際、反政府組織MEND(The Movement for the Emancipation of the Niger Delta)は、「石油泥棒のCNPCを攻撃対象」とすると宣言している。 また、スーダン南部を取材した日本のあるメディア関係者が「中国はアリババ(=石油泥棒)」という落書きを見かけている。CNPCは現地で1万人以上を雇用(CNPCの関係者は、スーダンの地場雇用者は日当を払うとすぐに消えてしまい、労務管理が大変とこぼしていた)しているほか、Block 1/2/4付近で現地労働者の子弟向けに22の学校を建設するなど、地元との融和に努めている。しかし、南部の反政ExxonMobil石油生産(2005年)(国外:約330万BOE/日)北米19%北米外81%図6ExxonMobilの国外権益生産量フ提携が進展した理由は、政府外交や資金支援も重要な要素ではあったが、何よりもSinopec Corp.が相手の求めに柔軟に応じることのできる事業形態を保持していたことが有効に働いたと思われる。 アンゴラ政府およびSonangolは、原油輸出先を多様化すること、国内製油所を増強し、石油製品の輸入を減らすことを望んでいた。Sinopec Corp.は、原油購入におけるバーゲニングパワーを保持(中国における最大の石油精製企業であり、輸入原油の大半は同社が沿海部に保有する製油所で処理)していた。また、精製事業(製油所建設から操業まで)におけるノウハウを保有していたため、両者の提携がスムーズに進行したのではないかと思われる。 ただし、政府間の資金支援とは別に、Sinopec Corp.は1,000億円にもおよぶサインボーナス等高額の投資を行っている。生産油田を含め、複数の権益を取得はしたが、収益は今後の油価の推移により、大きく変わってくるだろう。③課題-ニッチ戦略とリスクのバランス 中国の国有石油企業は、後発であるがゆえに、ニッチエリア(リスクが高いエリア)への進出を余儀なくされた。中国における国外石油権益生産量の9割を、CNPCのスーダンとカザフスタンが占める。今後、Sinopec Corp.のアンゴラやCNOOC Ltd.のナイジェリア保有資産の権益原油生産量が追加される。China OGPが予測した、2010年の権益分原油生産量100万バレル/日は、これらを織り込んだものであろう(2005年末現在は45万BOE/日)。 Wood Mackenzieは、中国国有石油企業の国外における資産が政治リスクの高い国々に集中していることをリスク要因と指摘している。昨今の産油国における資源ナショナリズムの高まりや油価の推移いかんでは、今後事業収支に大きな影響が生じる可能性もある。 これは、中国企業3社だけではなく、いわゆるアジア国営石油企業全般にあてはまることである。彼らもそれを認識しており、エクアドル(2005年10月、CNPC/Sinopec Corp.資産買収)、シリア(2006年1月、CNPC/ONGC落札)や、コロンビア資産(2006年8月、Sinopec Corp./ONGC資産買収)の買収に見られるように、中国国有石油企業同士、あるいは中印企業が協調し、リスクを回避しようとする試みが始まっている。る。 一方、Eniは危機感を表明している。Eniは、産油国でナショナリズムが高まっており、国有石油企業のアプローチはIOCにとり今後脅威となるだろう。これまでのようなプロジェクトマネジメントにおける優位性だけではやっていけない。発電や製油所建設など産油国の求めるアプローチに柔軟に応える姿勢が必要ではないか、と指摘している(IOD, 2006/9/19)。(4)企業の強みと課題①国内の強固な財務基盤 中国の国有石油企業3社は、中国国内の大規模あるいは開発コストの安い油田の権益を保有する寡占企業である。石油特別収入税(超過利潤税)*3が導入されたとはいえ、PetroChinaの2006年上半期の純利益は1兆1,600億円で、Sinopec Corp.は約3,100億円、CNOOC Ltd.は2,346億円であった。中国国有石油企業が、リスクの高い地域で博とも思える大胆な国際展開を行うことができるのは、国内における独占的な地位と安定した収益基盤を持っているためである。打ちばく②柔軟な事業形態によるアプローチ Sinopec Corp.とアンゴラSonangolおわりに中国国有石油企業がアフリカ進出に熱心な事情 最近、中国国有石油企業のアフリカへの進出が突出して見えるのは、政府の対アフリカ戦略に呼応したものというよりは、企業自身の事情によるところが大きい。 中国国有石油企業はIOCの牙城である北米や欧州への進出は、CNOOC Ltd.のUnocal買収時のように、政治的理由で阻まれることもあるが、一般的には技術等の競争力で見劣りするため参入が困難である。深海やLNG液化事業も、ノウハウを持たないため、単独での参入は困難である。 中国にとって本命のロシア・中央アジア諸国への進出は、中国の期待どおりには進んでいない。アフリカは中国国有石油企業にとり、ポテンシャルが高く、原油の性状が好ましく、何よりも参入しやすいエリアなのである。 中国国有石油企業は、いつも政府の「資源外交」に頼っているわけではない。油田探鉱開発だけではなく、エンジニアリングサービスを提供することが可能な事業形態は、産油国政府の求めに合致しており、近年プレゼンスが高まっている。 企業の進出エリアは、欧米石油メ*3:中国国内で生産した原油の販売額40ドル/バレル以上に対し課税される。2006年3月26日以降が課税対象時期で、同年上半期の納税額は、CNPC13億ドル、Sinopec Corp.4億6,000万ドル、CNOOC Ltd.2億5,000万ドルであった。3社の利益は同税導入により15%減少したと報じられている。石油・天然ガスレビューAナリシスジャーとの競合を避け、リスクの高いエリアに集中しがちである。産油国の資源ナショナリズムの高まりや油価の下落などにより、今後、事業収支に大きな影響が生じる可能性もある。 リスクの高い地域で、博打とも思える挑戦的な国際展開を行うことができるのは、企業が国内における独占的な地位と安定した収益基盤を持っているためである。 CNOOC Ltd.のCEOである傅成玉(Fu Chengyu)氏は「アフリカ全域で進出機会を探している。リスクはあるが、長期的には企業にとり成長エリアとなると信じている」と語っている(China Daily, 2006/7/20)。 中国国有石油企業の国内における地位に大きな変化が生じる可能性は当面低いので、彼らの挑戦的な国際展開は今後も続くと思われる。主な参考資料1. The Impact of Asian NOCs on the Upstream M&A Market(Wood Mackenzie Corporate Insight May2006、Asian Wall Street Journal June 9th 2006)2. Angola 2005-2006 Licensing Round(Wood Mackenzie Upstream Insight May 2006)3. Untangling China’s Quest for Oil through State-Backed Financial Deals(Peter C. Evans and S. Downs, Policy Brief #154 The Brookings Institution May 2006)4.「石油中国」(鐘飛騰、林峰著 中華工商聯合出版社2006年3月)  5.「中国の海外石油・天然ガス獲得調査」(日本貿易振興機構2006年3月)6. 企業が変えるアフリカ-南アフリカ企業と中国企業のアフリカ展開(日本貿易振興機構アジア経済研究所 新領域研究センター2006年3月)7.「インド及び中国の中東産油国におけるエネルギー戦略」(中東協力センター2006年3月)8.ENERGY POLICY ACT 2005(The U.S. Department of Energy February2006)9.中国の対アフリカ政策文書(中華人民共和国日本大使館2006年1月)10.「11・5期の中国の石油精製・エチレン石化産業の展望」横井陽一氏(「化学経済」2006年8月)11.「中国能源報告(2006)」魏一鳴他 科学出版社12.「中国原油供需及加工発展趨勢研究」(中国国家発展改革委員会能源研究所 2006年3月)13.「アフリカに経済攻勢かける中国」(ル・モンド・ディプロマティーク 2005年5月) 14.中国が展開する非対称外交(ル・モンド・ディプロマティーク 2005年5月) 15.Asian Oils In Africa :A Challenge To The International Community(MEES April 24,2006)16.Active Sino-Africa energy cooperation(China OGP July 1, 2006)17.「リビア:第2次入札結果をどう見るか」石田聖JOGMEC石油天然ガス・資源情報2005年10月)18.「技術の視点」第1回アフリカで見てきたエネルギー業界の転換点 (兼子弘氏GAS AND RESOUECES 2005年11月)執筆者紹介竹原 美佳(たけはら みか)東京都出身平成5年4月:石油公団(当時)入団平成9年4月~13年1月:石油公団中国室平成13年~16年2月:石油公団企画調査部(中国担当)平成16年3月~現在:現職(中国ならびにサブサハラ担当)家族は夫、娘、猫2匹2006.11 Vol.40 No.64
地域1 アジア
国1 中国
地域2 アフリカ
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
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国6
地域7
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地域8
国8
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国9
地域10
国10
国・地域 アジア,中国アフリカ
2006/11/20 [ 2006年11月号 ] 竹原 美佳
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