ページ番号1006253 更新日 平成30年3月5日

アジア太平洋: LNG 液化プロジェ クト化の可能性ある注目ガス案件 (ミャンマー、パプアニューギニア、インドネシア)

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レポートID 1006253
作成日 2006-11-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG探鉱開発
著者
著者直接入力 坂本 茂樹
年度 2006
Vol 40
No 1
ページ数
抽出データ アジア太平洋:LNG液化プロジェクト化の可能性ある注目ガス案件(ミャンマー、パプアニューギニア、インドネシア) アジア太平洋地域のガス開発案件のなかに、将来のLNG事業となる可能性のある案件がいくつか考えられる。 ミャンマーのShweガス田開発、パプアニューギニア(PNG)・ガスプロジェクトでは、開発方式オプションの一つとしてLNG事業を検討している。両事業とも、当初計画はパイプライン・ガス輸出であったが、最近になってLNG事業化の可能性も高まってきた。 伝統的なLNG輸出国のインドネシアでは、スラウェシ(セレベス)島のミニLNG事業が実現する可能性がある。また、CO2処理問題の障害から、いまだ具体的な開発の目め処どが立っていないナツナ D アルファ・ガス田で、再度LNG事業化案が浮上してきた。 これらのLNG事業候補案件のガス田開発の状況を紹介してLNG事業成立の可能性を探り、併せてアジア太平洋地域LNGの今後の方向性を考える。 こうした要請に対して、アジア太平洋地域で進展しつつあるガス開発案件には、LNG事業となる可能性のある案件もいくつか含まれている。 図1に示した4件のガス開発案件の現況を以下に記し、それぞれのLNG事業化の可能性を探る。2. ミャンマー:Shwe等ガス田開発(1) ガス田開発の現況 韓国の大宇をオペレーターとする韓国とインド企業のコンソーシアムは、ミャンマー・アラカン沖合のA1、A3鉱区で3ガス田(Shwe、Shwe Phyu、Mya)を発見し、評価作業を継続中である。 大宇は2006年8月、鉱区内ガス田の可採埋蔵量を4.8?8.6Tcfに上方修正し、なおアップサイド・ポテンシャル(評価以上の埋蔵量)が見込めると発表した。開発方法としては、数年来の懸案であるインド向け輸出に加えて、中国、タイへのパイプライン・ガス輸出、さらにLNG2006.11 Vol.40 No.676明らかにし、複数の輸出国との間で売買契約交渉を行っている。 一方、エネルギー消費大国のインド、中国は、2004?06年にLNG輸入を開始しているが、将来の輸入量は、今後の国内ガス供給力の動向およびLNG購買力(彼らの希望価格で契約が締結できるか)によって幅が生じるものと考えられる。しかし、いずれにせよ、2010年以降はLNG輸入を増やしていくものと見られる。 総じて、アジア太平洋地域内のLNG需要は着実に増加する趨 なお、域外からのLNG調達可能性を見ると、インド、中国、タイ等がイランからの輸入を交渉しているが、国際政治上の障害、経済条件(売買価格)が合意されないなど、同国からのLNG輸入の具体的な目処は立っていない。 総じて、域外からの、将来のLNG供給には不確定な要素が多い。 このように不確定要素の多い、タイト含みでのLNG需給見通しの下では、やはり、新たなLNG供給源が求められる。にある。すうい勢せ1.アジア太平洋地域のLNG需給見通し LNG供給サイドでは、2008?12年にかけてサハリン、豪州のGorgon、Pluto、Ichthysなどの新規LNG事業の立ち上げが計画されている。しかし、複数の新規事業がコストアップや環境面の問題から、計画見直し等の課題を抱えており、操業開始には1?2年の遅れが発生するものと見られている。 一方、インドネシアでは、将来のLNG輸出と、国内供給向けに対するガス供給方針が定まっておらず、2010年以降のLNG輸出可能量に影響が出ることは必至と見られる。 需要サイドでは、まず日本、韓国、台湾の伝統的消費国の需要は、今後も堅調に推移するものと見られている。 また、シンガポール、香港、タイ、ニュージーランドなど、アジア太平洋地域内の数カ国・地域が、2010?12年ごろにかけて、新たにLNG輸入を開始することを~ャンマーミャンマーShweNatuna D AlphaブルネイブルネイBruneiBruneiArunArunマレーシアマレーシアMLNGMLNGBontangBontangSenoroTangguhTangguhPlutoPlutoGorgonGorgonScarboroughScarboroughAbadiAbadiDarwinDarwinSunriseSunriseIchthysIchthysBrowseBrowseNWSNWSLNGプロジェクト(稼働中)LNGプロジェクト(計画中)LNGプロジェクト(構想段階)パプアニューギニアパプアニューギニアPNG図1アジア太平洋地域の新規LNG候補案件事業化が候補に挙がっている(図2)。 オペレーターの大宇は、2009年までに生産を開始したいとしているが、2011年以降になるとの見方が有力である。 本ガス田開発は、経済的観点(事業採算)に加えて、政治的な事情に影響される可能性が高い。ミャンマーの現軍事政権は、人権抑圧など内政上の理由から国際的に孤立しているが、中国はミャンマー現政権と友好関係にあるなど、複雑な政治状況下にある。 該当するガス田の事業概要は、表1の表1ミャンマーShwe等ガス田開発事業の概要詳細アラカン沖合、西アラカン堆積盆地A1、A3鉱区92?105mShwe       2004年1月Shwe Phyu    2005年3月Mya         2006年1月C1(メタン)99%、 CO2 0.2%4.8?8.6Tcf +アップサイド・ポテンシャル(2006年8月、Gaffney & Cline評価)大宇(韓国、オペレーター)ONGC(インド)GAIL India(インド)韓国ガス公社パイプライン・ガス:インド:東北部諸州経由西ベンガル州向け60%20%10%10%中国:雲南省向けタイ:ヤダナ・ガス田経由(?)タイ国内パイプライン体系向けLNG:韓国、インド、日本向け(?) 2004年 ミャンマー/インド間のパイプライン・ガス輸出2005年 ミャンマー/中国間のパイプライン・ガス輸出項目場所鉱区水深ガス田発見ガス性状可採埋蔵量パートナー/権益開発方法ガス販売MOU(合意書)77石油・天然ガスレビューとおりである。 ガスの輸出方法の中で、インド向けパイプライン・ガス輸出が最も長い検討経緯を持つが、現時点では、いずれの方法に優位性があるかは断定し難い。 中国雲南省向けパイプラインでは、ミャンマー中部の森林地域を縦断するために最もコストがかかり、建設が難しいものと見られる。 タイ向けパイプラインは、ヤダナ(Yadana)・ガス田から既存のパイプラインにつなぎ込むことで、新設距離と建設コストを抑えることができる。しかし、既存のヤダナPL輸送能力増強が必要であり、Shwe等の生産ガス全量を引き取る需要をタイに期待することはできない。 パイプライン・ガス輸出は、売り先が限定され、価格交渉上の制約を受けるため、オペレーターの大宇は、国際価格で複数の需要家に販売可能なLNG事業を志向していると見られる。 一方、ミャンマー政府は、同国が国際的に孤立しており、LNG事業の資金調達や需要家開拓に困難が予想されること、また、早期の収入獲得が期待できることから、パイプライン・ガス輸出を志向しているといわれる。(2) LNG事業計画 とその長所・短所 LNG事業のオプションは、2006年8月にガス田埋蔵量が上方修正され、LNG事業化に必要な埋蔵量確保が確実になった後に、急速に浮上した。 本ガス田のLNG事業化を検討するに際して、表2のような長所と短所が考えられる。なお、これらの項目には、LNG事業に限定されず、ガス田開発一般に該当する項目も含まれる。 Shwe等ガス田開発は、ミャンマーの政治体制上のリスク、開発方法のパイプライン・ガスとの選択の問題はあるものの、LNG事業に必要な埋蔵量は確保でKス田ガスパイプラインガスパイプライン(計画中)Shweからの輸送ルートShweからの輸送ルート(計画中)KunmingCHINACHINABHUTANBHUTANBANGLADESHBANGLADESHMYANMARMYANMARShweShweJagdishpurKolkataINDIAINDIAHyderabadKakinadaDeen Dayal(GSPCL)Deen Dayal(GSPCL)Dhirubhai(Reliance)Dhirubhai(Reliance)ChennalYadanaYadanaYetagunYetagunTHAILANDTHAILANDBangkokBangkok図2ミャンマーShweガス田のパイプライン・ガス輸出ルート(案)げている。 オイルサーチ社は、2006年9月1日に、英BGグループとMOU(合意書)を締結し、共同でLNG事業検討を実施すると発表した。PNGガスプロジェクト・オペレーターのエクソンモービルは、LNG事業に関しては言及していない。(2)LNG事業とその長所・短所 オイルサーチ社は、LNG事業共同検討でMOUを締結したBGグループ、エクソンモービルとともにLNG事業を推進したい旨を表明している。 LNG事業経験のないオイルサーチは、BGの経験とノウハウに期待するところが大きいと考えられる。一方、大西洋LNG事業を基盤とするBGは、事業地域多様化の観点から、アジア太平洋地域のLNG事業に興味を抱いているものと見られる。 中国も、PNGのLNG事業に興味を示しており、2006年1月にCNPCがPNG政府とのLNG液化設備建設の調査実施に関して合意している。LNG事業が実現した優先としながらも、併せてLNGなどほかの開発オプションも検討している。 同社は、PNGガスプロジェクト以外のガス開発事業のオプションとして、LNG事業とともに、PNGポートモレスビー石油化学事業、燃料リサイクルを挙表2ミャンマーShwe等ガス田LNG事業計画の長所・短所項目長所 ガス埋蔵量技術的困難度短所 政治リスク(ミャンマー現軍事政権)コストアップ・リスクオペレーター・リスク現地の治安詳細8Tcf程度の十分なガス埋蔵量が見込める。ガス田の水深が浅く構造が複雑でないため、開発作業上の技術的困難が少ない。国際的な孤立状態にあることから、海外からの融資など資金調達、および長期売買契約を締結できる需要家の獲得に懸念がある。下記のコストアップ要因を抱えて、中東、豪州の有力LNG事業と競合できるかどうかが課題。経済発展の遅れたミャンマー国内で資材を調達できないため、ベース基地を含めてすべての資材を海外から持ち込む必要があり、ヤダナ、イェタグン(Yetagun)など他ガス事業の経験からも15?25%程度のコスト高になる可能性がある。国営石油MOGEのcarried interest*1、政府の事業equity取得要請。大宇はLNG事業の経験がなく、ガス田開発経験にも乏しいため、LNG事業化に伴う複雑なノウハウ、事業調整能力等が疑問視される。バングラデシュとの国境に近いアラカン地方は、イスラム、仏教徒住民間の対立感情が強く、治安が不安定。パイプライン等施設建設に際して、かつてヤダナ事業で見られたような住民間の対立、少数民族問題に伴う障害が考えられる。*1:carried interest(キャリード インタレスト)2人以上のワーキング・インタレストの共同保有者の間で、1人が他の者の探鉱・開発コスト・シェア分のすべてまたは一部を立て替え、将来生産があった場合、他の者のワーキング・インタレストのシェア分からこの立替金を回収することを取り決める場合がある。このときコストを負担せず、他の共同保有者に立て替えさせる者が保有している権利を特にキャリード・インタレストという(JOGMECホームページ「石油/天然ガス用語辞典」より抜粋)。2006.11 Vol.40 No.678きる見込みであることから、必要な条件がクリアされればLNG事業が選択される可能性があるものと考えられる。3.パプアニューギニア(1)ガス田開発の現況 エクソンモービルをオペレーターとするコンソーシアムが、Hidesガス田をはじめとする既存油ガス田のガス埋蔵量(約6.8Tcf)を、3,150㎞のパイプラインを建設して、豪・クイーンズランド州などに輸出する計画を進めている(図3)。 しかし、クイーンズランド州CBM(コールベッドメタン)事業等との競合、AGL(Australian Gas & Light)以外の豪州ガス需要家との販売契約が未締結であること、また昨今の事業コストの上昇など、現時点の進状況は必ずしも順調ではない。なお、パートナーのオイルサーチ社は2006年9月下旬、パイプライン計画を従来比で約400㎞短縮する見直し案を提案した。 事業概要は、表3のとおりである。 コンソーシアム・パートナーのPNG企業のオイルサーチ社は、豪州へのガス輸出(PNGガスプロジェクト)を第一捗ちしんょく鼾№ノは、中国も主要輸出先候補の一つになるものと考えられる。 LNG事業が実現する場合、生産開始は2013年ごろと見られている。LNG事業化に際して、表4のような長所・短所が考えられる。 本案件は、コンソーシアムが豪州向けパイプライン・ガス輸出を選択すれば、同事業を軸にガス田開発が進められるが、そうでなければLNG事業を選択する可能性が高い。 コンソーシアムは、2006年末までに、豪州向けガス輸出事業の可否に関する結論を出すものと見られている。4.インドネシア-1:スラウェシ島セノロガス田(1)ガス田開発の現況 インドネシア・中部スラウェシ(Sulawesi)Senoro-Toili JOBのセノロ(Senoro)地域(陸域)では、1999年に2.5Tcfのガス田が発見され、ドンギー(Donggi)LNG計画(近隣のプルタミナ鉱区内、ドンギー・ガス田の埋蔵量減少で実現せず)を含む、複数のガス事業計画が検討されてきた(図4)。 Senoro-Toili JOBオペレーターのメドコ(Medco Energi)は、セノロ・ガス田の段階的開発を計画しており、2005年5月に開発計画第1フェーズ(230MMcfd)の政府承認を受けた。同フェーズには、LNG液化プラント向けと地元のアンモニア工場向けのガス供給が含まれる。続いて6月に、豪州LNG Ltd.社が計画するミニLNG液化プラント(能力170万トン/年)に120MMcfdのガスを販売するという排他的契約が締結された(同年9月に排他性失効)。第2フェーズには、ジャワ島向けCNG事業計画等が含まれる(表5)。(2) 現在のLNG事業計画とその長所・短所 2005年末、セノロ・ガス田パートナー出所:Oil Search社HP図3PNGガスプロジェクト、パイプライン・ルート(右は2006年9月の改定案)表3PNGガス田開発事業の概要項目場所鉱区ガス田発見ガス性状可採埋蔵量パートナー/権益開発方法ガス販売契約詳細パプアン堆積(たいせき)盆地Hides、Kutubu、Gobe、Moran地域等の各ライセンス(陸域)Kutubu地域    1986年Hides       1987年Juha        1983年LPG/コンデンセート分を含む6.8Tcf +アップサイド・ポテンシャル39.4%エクソンモービル(オペレーター)44.2%オイルサーチ(PNG)10%AGL(豪州)3.4%日本パプアニューギニア石油MRDC(PNG政府系)3%パイプライン・ガス: 豪州クイーンズランド州等向けLNG国内化学プラント向け(建設検討中)AGL等の一部豪州企業とのパイプライン・ガス販売契約締結表4PNGガス田LNG事業計画の長所・短所項目長所 ガス埋蔵量液分の存在短所 コストアップ・リスク詳細Hides、Kutubuなど既存油ガス田の確認埋蔵量6.8Tcfに加えて、未開発のJuha鉱区の埋蔵量が期待できる。既発見油ガス田のガスはLPG/コンデンセート分を含み、事業採算良化が期待できる。・ PNG国内での資材調達ができないために、豪州など海外からの・ 内陸の高地森林地帯のHides、Juha等における新規ガス田開発資材の持ち込みが必要。は高コストが予想される。オペレーター・リスク事業推進者のオイルサーチはLNGを含むガス事業の経験がない。ただし、BG、エクソンモービルがパートナー(オペレーター)になれば、事業推進能力に問題はない。79石油・天然ガスレビュー\5スラウェシ島セノロ・ガス田開発計画の概要詳細項目場所中部スラウェシ、Banggai堆積盆地鉱区Senoro-Toili JOB(Joint Operating Body)ガス田発見Senoroガス田(陸域)      1999年ガス性状LPG/コンデンセート分を含む可採埋蔵量2.6Tcf (proven & probable)パートナー/権益 Medco Energi(オペレーター)50%50%開発・販売方法ガス販売契約プルタミナミニLNGプラント建設、地元アンモニア工場向け販売ジャワ島向けCNG事業アンモニア製造企業PT Panca Amara Utama向け60MMcfd(2005年3月)プルタミナが保有するMatindok鉱区のドンギー等ガス田から実施する計画といわれる。ドンギー・ガス田の埋蔵量は1Tcf程度と見られている。 また、販売先は、アジアの需要家(インド、韓国、中国、タイ等)への輸出を想定しているという。 2006年9月末、プルタミナとメドコは、ミニLNG計画のパートナーとして、入札によって10月に国際企業を選定すると発表した。8社程度の企業が事業参加に興味を示しているといわれ、中には日本企業も取りざたされている。 プルタミナとメドコは、本ミニLNG事業の投資額を6億5,000万?7億米ド出所:Medco社HP図4セノロ・ガス田位置図のプルタミナとメドコは、2トレーンのミニLNG計画(160万?170万トン/年)に合意した。 ガス供給は、セノロ・ガス田、および表6セノロ・ガス田LNG事業計画の長所・短所項目長所 ガス田開発の容易さ液分の存在プルタミナとメドコのLNG事業への意欲ガス田の好位置短所 ガス埋蔵量オペレーター・リスク25%超の国内供給義務国際取引上の信頼性治安詳細陸域で海岸にあるセノロ・ガス田は、開発が容易でコストも高くないものと想定される。適度のLPG/コンデンセート分を含む。以前インドネシアLNG販売者であったプルタミナは、自らのLNG事業実現への意欲が強く、メドコもガス資産商業化へのプレッシャーが強い。中部スラウェシは、インドネシア国内、海外市場向けともにタンカー輸出にとって地理的に有利。確認埋蔵量2.6Tcf(メドコ発表)はまだ未確定。メドコはLNG事業経験がなく、プルタミナも主体的に事業に関与した経験はない。両社の資金調達能力も限定的。ただし、技術、資金力のある国際企業がパートナーになれば、事業推進能力問題は解決する。25%超の国内供給義務が課せられると、供給比率の高さ(国際価格より割安と見られる)、価格問題で事業採算を悪化させる可能性がある。ボンタンLNGの輸出削減が取りざたされる折、海外LNG需要家の信頼性を得られるか。日本需要家はどのように見るか?スラウェシにはキリスト教徒とイスラム間の宗教的緊張がある。ル、生産開始を2009?10年ごろと見込んでいる。 このようにスラウェシのミニLNG事業計画は徐々に具体化しつつあるものの、依然として不透明な部分が多い。本ミニLNG事業計画の長所・短所は、表6のように考えられる。 スラウェシLNGをめぐる情報は錯綜して不明確な点が多かったが、2006年10月に国際企業のパートナーが選定され、事業推進態勢が決まれば、事業の方向性がある程度明らかになるものと期待される。5.インドネシア?2:ナツナ D アルファ・ガス田(1)ガス田開発の現況 ナツナ D アルファ・ガス田は、炭化水素の可採埋蔵量が46Tcfと推定される大規模ガス田だが、CO2が全気体の71%を占め、その除去が難しいために、具体的なガス田開発の目処が立っていない(図5)。 現オペレーターのエクソンモービルは、2005年3月にマレーシアのペトロナスおよびタイのPTTのそれぞれと、ガス田開発とパイプライン・ガス輸出を検討するMOUを締結したが、具体的な進展には至っていない。 2006年9月以降、プルタミナがエクソンモービルに代わる新たなパートナーを選定すると示唆したり(上流分野の協力にかかわるMOUを締結したStatoilが候補?)、インドネシア企業メドコがインドネシア市場向けに同ガス田開発の意向を表明するなど、新たな動きが見られる。 ナツナのガスを、東マレーシア・ビンツール(Bintulu)LNG液化基地まで海底パイプラインで輸送して液化するという案も浮上している。(2)LNG事業化提案とその見通し プルタミナは2006年9月下旬、同社がエクソンモービルおよびペトロナスの32006.11 Vol.40 No.680\7ナツナ D アルファ・ガス田開発計画概要詳細項目場所鉱区水深ガス田発見ガス性状可採埋蔵量パートナー/権益 エクソンモービル(オペレーター)ナツナ海、東ナツナ堆積盆地ナツナ D アルファ鉱区143mAL-1X(1973年)ほかC1(メタン)+LPG/コンデンセート 28%、 CO2 71%46Tcf76%プルタミナ24%パイプライン・ガス: マレーシア、またはタイ向けLNG:ナツナ島に液化基地、東マレーシア・ビンツール基地まで輸送(?)なし開発方法ガス販売契約ArunArunMalaysiaDuriSumatraSumatraNatuna D AlphaBruneiBruneiNatuna SeaMLNGMLNG(Bintulu)(Bintulu)BontangBontangLNGプロジェクト(稼働中)LNGプロジェクト(計画中)LNGプロジェクト(構想段階)ガスパイプライン(既存)ガスパイプライン(計画中)KalimantanKalimantanO?shoreMahakamSenoroTangguhTangguhSouth SumatraO?shoreNorth West JawaIndian OceanMaduraMaduraKangeanKangeanSemarangSemarangBanda Sea5 N05 S10095 E100500Km1000105110115120125130135図5インドネシアの新規LNG候補案件社共同で、ナツナ D アルファ・ガス田開発を検討していることを明らかにした(表7)。 開発方法は、ガスを海底パイプラインでペトロナスのビンツールLNG液化基地へ輸送して液化、またはエクソンモービルが操業するマレー半島東沖合のトレンガヌ・ガス田経由で、マレーシア幹線ガス・パイプラインPGU(Peninsular Gas Utilization System)に送り込む方法である。 ビンツールLNG基地で液化する案の場合、CO2をサラワク沖合の枯渇ガス田に貯留する計画といわれる。 ビンツール基地は、ナツナ D アルファ・ガス田に最も近い既存LNG液化基地であるが、それでも約450kmの距離があり、CO2を含むガスを海底パイプラインで輸送するのは相当のコストがかかるものと考えられる。 原油価格の上昇に伴って、LNG価格も高くなったが、ナツナ D アルファのガスをビンツールに輸送して液化する開発方法が採算ベースに乗るかどうかは、今後の調査が必要であり、現時点では定かではない。 ビンツール基地での液化案の採算性に疑問を呈する専門家もあり、本液化案はまだ検討段階初期の位置付けであろう。(3) エクソンモービルの現契約終結をめぐる問題(2006年10月中旬) ナツナ D アルファ・ガス田開発の現契約は1994年11月に締結され、1995年1月9日に批准された。 契約発効後10年(?2005年1月)で、81石油・天然ガスレビュー市場開拓と開発作業開始が規定されていたが、実際には事業の進展がなかったため、エクソンモービルは2004年12月に、2年間の契約期間の延長を申請していた(2007年1月まで)。 インドネシア当局はエクソンモービルに対して、2007年1月までに事業化方針を示さなければ契約を終結すると警告していたが、具体的な開発計画のないエクソンモービルは、さらに2年間の契約延長をもくろんでいた(2009年1月まで)。 2006年10月10日にプルノモ石油相が「契約に定めた作業が実行されていない以上、エクソンモービルとの契約は失効する」と発言した。これに対してエクソンモービルは「契約期間延長は可能のはずだ」と反論している。 インドネシア政府は、2007年に新たに入札を実施することを含めて、いくつかのオプションを検討中と伝えられるが、その見通しははっきりしない。6.候補案件のLNG事業化の見通し 以上述べた4件のガス開発案件中、スラウェシのミニLNG計画を除くと、いずれもLNG事業化が決まっておらず、他の開発方法との選択を経る手順を待たねばならない。それぞれの案件が抱える問題も少なくない。 しかし、まもなく事業実施の可否決定またはパートナー選定を予定する案件は、早晩事業の方向性が明らかになるものと見られる。4案件のうち、少なくとも1件程度は、LNG事業化が選択される可能性があるものと考えられる。 しかしながら、LNG中期需給のタイトな状況、開発作業中のLNG案件にかかわる不確定状況が当面続くと見られるため、個々の事業および需給動向の見方には注意を要する。(坂本 茂樹)
地域1 アジア
国1 ミャンマー
地域2 大洋州
国2 パプアニューギニア
地域3 アジア
国3 インドネシア
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アジア,ミャンマー大洋州,パプアニューギニアアジア,インドネシア
2006/11/20 [ 2006年11月号 ] 坂本 茂樹
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