ページ番号1006311 更新日 平成30年2月16日

カザフスタン地下資源法の改正について

レポート属性
レポートID 1006311
作成日 2008-01-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 古幡 哲也
年度 2008
Vol 42
No 1
ページ数
抽出データ カザフスタン地下資源法の改正について・カザフスタンのナザルバエフ大統領は2007年10月24日、同年9月下旬に議会を通過していた「カザフスタン共和国地下資源および地下資源利用法に関する修正・追加法案」(地下資源法)に署名して、法律が成立した。・改正法の施行により、同国の経済的なSecurityに悪影響がでる場合には、生産物分与契約(ProductionSharingAgreement:PSA)の条件の改定交渉を同国政府が強いたり、契約に定められた要件が満たされない場合にはカザフスタン政府がコントラクター(外資)の権益を剥奪したりすることが可能となった。・さらに、地下資源開発の契約方法や税制に関し、同国政府が再検討を始めたとの報道もある。・カザフスタンは、過去にも自国に有利に働くよう法改正を行ってきている。今回の法改正の評価は難しいが、同国の地質ポテンシャルが高いことは事実であり、コントラクターにとっては、これらのリスクをいかにして緩和することができるかが鍵となろう。・今後も海外からの石油開発投資を引きつける必要があるため、今回の改正法が濫用されることはないと思われるが、同国政府・国営石油会社(Kazmunaigaz、KMG)との交渉・協議等に際して、この改正法を背景に国際石油会社側の立場が弱まることは確実である。・格付け機関によるカザフスタンの格付けも低下した。今後の同国への石油開発投資のペースが落ちることが懸念される。1.地下資源法の改正に関する報道としている」と、大統領府報道局は述べた。 既にカザフスタン議会の下院・上院を、それぞれ2007年9月25日、9月26日に通過していた地下資源法の改正案に、ナザルバエフ大統領が10月24日に署名して、法改正が行われた。 当初はごく一部でしか報じられていなかったため、その真偽が確認できなかったが、その後、大統領府のホームページに、以下の内容が掲載されていることが確認できた。 国家元首(ナザルバエフ大統領のこと)は“カザフスタン共和国地下資源および地下資源利用法に関する修正・追加法案”に署名した。「この法案は、この分野(地下資源分野)の契約の締結と事業の遂行にあたって、国益を保護することを目的2.今回の地下資源法改正の改正内容・ カザフスタン政府が「戦略的に重要である」と定める地下資源鉱床を利用する事業に際し、地下資源利用者の行動が、カザフスタン共和国の安全保障に影響を与えるほどに経済性を損なわせる場合、同国政府は、国にとっての経済性を回復させることを目的として、地下資源利用者に契約条件の変更や追加を申し出ることができる。また、一定期間(※)の後に地下資源利用者が契約変更や追加に応じない場合には、当局が契約を一方的に解消することが可能(対価の支払いに関する規定なし)。(※) 「一定期間」の内容は次のとおりで、交渉の開始から契約解消までは、最大1年の猶予があるということ。 ①  政府が契約変更・追加の交渉開始を希望するレターを地下資源利用者に送付してから2カ月以内に、地下資源利用者から交渉開始に同意するレターが得られない、あるいは「交渉に応じない」旨を政府に伝えた場合(まず交渉に応ずるか否かを2カ月以内に返答)。 ②  ①により交渉開始に同意するレターが得られてから4カ月以内に、地下資源利用者と政府との間で契約変更・追加に関していかなる合意も得られなかった場合(上記2カ月+交渉期間4カ月)。 ③  ②により同国の「economic interest」を回復することに合意しておきながら、その後6カ月以69石油・天然ガスレビュー烽ノ変更契約にサインすることができない場合(上記2カ月+交渉期間4カ月+変更契約サイン期間6カ月)。・ これに加えて、地下資源利用者の契約履行状況が国益や安全保障の観点から適切かどうかをチェックし、適切でない場合は将来の契約履行を否認することが可能(2カ月前の事前通知必要)。3.当該改正法に対する反応 法律が制定される前の段階で、Kazakhstan Foreign Investors' Council Association(カザフスタン国際投資協会)、Kazakhstan Petroleum Association(国際石油会社・カザフスタン国内石油会社の業界団体)、International Tax and Investment Centre (非営利の研究・啓蒙団体、世銀・IMF等との関係が深い)、米国商工会議所、欧州ビジネス協会は、ナザルバエフ大統領あてに連名でレターを送付した。 当該レターの内容を含め、西側から提起された主な問題点は以下のとおり。・ 既存の契約で付与されている権利が剥奪されることは投資家にとって大きな問題だ。・ 憲法26.3条にて、裁判所のDecisionなくして財産が奪われることはない、と規定されている。そのほかの法律や国際的な合意から見ても、既存の契約を一方的に終結することはできないはずだ。・ たった2カ月前の事前通知で契約をrefuseすることは、問題を解決するために一定の猶予を与えるIndustry Practiceに沿っていない。カザフスタンが調印・批准済みのEnergy Charter TreatyやBilateral Investment Agreementにも沿っていない。・ カザフスタンが調印済みの国際的合意に基づけば、国営化を行う場合には適切な対価の支払いが求められているが、その点が明確になっていない。・ カザフスタン政府が「戦略的に重要な」プロジェクトか否かを一方的に定めることができる点が不透明。「カザフスタンにとっての利益に悪影響のある」場合とは何を指すのか不明。・ 今後のカザフスタンへの外国投資にも悪影響を与える。 しかし、上記レターに対するナザルバエフ大統領からの返答はないまま、2007年10月24日に大統領は法案に署名してしまった。4.カザフスタン政府からの新たなメッセージ/地下資源契約システムと税制の再検討 カザフスタン経済省国税計画部がワーキンググループを設置して、地下資源の開発契約のシステムと税制の改正をパッケージで検討を開始したと、2007年11月初めに報じられた。 国税計画部の主な論点は以下のとおり。既存の契約も適用すべきかどうかは、国税計画部の主張が報道によって異なっており、まだ方針がはっきりと固まっていないことがうかがわれる。・ PSAは透明性が低く、コントラクターにコストを抑えるインセンティブが働かない。・ また、契約上得られる利益の再配分のための契約条項がなく、PSAは好ましくない。・ PSAはカザフスタン独立後直後に締結された。当時、カザフスタンは、よりよい契約を締結するために必要なマンパワーも能力も持ち合わせていなかった。・ VAT(Value Added Tax:付加価値税)支払い免除などの特権は剥奪すべきである。・ ロイヤルティー率を上げるべきである。 このメッセージにいかなる背景があるのかは明らかにされていないが、地下資源法の改正と同様、カザフスタン政府が資源開発への関与を強める動きと考えられる。今のところ、その後の進展は報じられていない。5.今後の見通しについて カザフスタンは、これまでにも法改正により、KMGの参加比率を少なくとも50%以上と定めたり、他の石油会社が権益を売却する際にその権益を先に買い取ることができる権利を国に与えたりするなど、国際的な商慣行からはかなり無理なことをする前科があった。 今回の法改正に加え、税制改正・契約形態の再検討も進んでいることを踏まえれば、今後のカザフスタンへの投資は慎重に考えざるを得ないとする意見がある一方、今回の法改正の本当の狙いはカザフスタン政府と外国石油会社の間で交渉による友好的な解決を志向しているもので、評価できるとの向きもあり、判断が分かれている。 それでもカザフスタンは、国際石油会社がアクセス可能で、かつ巨大なポテンシャルが残っている数少ないエリアであり、引き続き国際石油会社の注目を集めるであろう。 高まる政治リスクをいかに緩和することができるのかが、今後のカザフスタンでの石油・ガス探鉱開発事業進出の重要な鍵の一つになっていくものと思われる。 ナザルバエフ大統領は「世界の国家競争力の上位50位に入る/世界の産油国上位20位に入る」という国家目標を掲げている。これを達成するためにはカスピ海上の探鉱・開発を進めることが必要であり、国際石油会社からの技術・ノウハウ・投資が必要と考えられ、カザフスタン政府が改正後の地下資源法をむやみに濫用する可能性は低いと思われる。 ただし、法律の運用方針が不透明であるため、地下資源の開発権益獲得交渉や操業に際して、外国石油会社の立場は弱まるはずであり、この点への留意は必要と思われる。過去には、カザフスタン政2008.1Vol.42No.170ッじランクである。カザフスタン当局は、グレードの低下と法改正の関係を否定しているが、さらなる投資離れの材料とならないかどうか懸念される。(古幡 哲也)はないが、Standard & Poorsはカザフスタンのソブリン・クレジット・レーティングを1ランク下げ、BBB―(マイナス)とした。これはInvestment Grade中、最低のランク(Speculativeランクのすぐ上)でありインド、ルーマニアと府に権益売買時の先買権を付与する法改正を行いながら、実際には自発的に権益を差し出させた例もあり、同じように運用される可能性もある。お、今回の法改正との関連性は定かで な71石油・天然ガスレビュー
地域1 旧ソ連
国1 カザフスタン
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
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地域8
国8
地域9
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地域10
国10
国・地域 旧ソ連,カザフスタン
2008/01/18 [ 2008年01月号 ] 古幡 哲也
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