CO2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車について
| レポートID | 1006321 |
|---|---|
| 作成日 | 2008-03-21 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガスレビュー 2 |
| 分野 | エネルギー一般非在来型 |
| 著者 | |
| 著者直接入力 | 小田 政幸 |
| 年度 | 2008 |
| Vol | 42 |
| No | 2 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | アナリシス中央精機株式会社小田 政幸CO2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車について1. はじめに 毎号、本誌に登場される執筆者各位は権威のある方々ばかりですが、今回は権威なき一庶民が登場する機会を得ました。ただ、私は車の部品メーカーの人間の立場から、車とエネルギーの関係を長年考え続けてきました。そして、低公害車として、LPG車がいかに優れているかの認識に至りました。しかし、現実には、LPG車は低公害車として世間から高い評価を得ている、とはとても言えない状況です。そこで、この場を借りて私は、自分の思いのたけを述べたいと思います。本稿が、皆様に、環境問題と車、あるいはエネルギーの問題を考える上でのヒントになれば、幸いです。2. LPG自動車とは(1)京都議定書に間に合うLPG自動車 LPG自動車(以下、LPG車)は革新的技術ではないが、都市環境と地球温暖化抑制効果では他の革新的技術に引けを取らない。燃料としても石油・天然ガスの採掘、精製時の随伴ガスで、わざわざ生産する燃料ではない。LPGの利用拡大は、原油や天然ガスの使用量抑制につながる。LPGの世界総生産は約2億トン/年、日本の消費量は約2,000万トン/年、このうち約150万トン/年がオートガスである。 これまでわが国は、石油枯渇、環境汚染問題などに真剣に取り組んできた。京都議定書を批准し、温暖化防止に意のあるところを示した。それから10年、運輸部門では、電気自動車(以下、EV車)、メタノール自動車(以下、メタノール車)、CNG自動車(以下、CNG車)、ハイブリッド車などを低公害自動車として国が認定している。しかし、LPGは日本語訳が液化石油ガスとの理由で、石油代替から除外されている。業界はさらに次世代技術として燃料電池車(以下、FC車)、水素自動車(以下、H2車)も推進した。 しかし、それらは10年を経たいま、背反事項も多く、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)の視点で見て、現在の技術レベルでは必ずしも効果があるのか?と疑問を抱く技術も少なくない。それは、究極の環境自動車と言われるFC車も例外ではない。なによりも、議定書の実質的規制カウント年である2008年~2012年には間に合わない技術が多い。その点、LPG車は都市環境(NOx、CO)に優れ、CO2発生量(ガソリン車比約?10%)が少なく(図1)、出力もハイオク車並み(先進型)、その上CO2より怖いPM*1さえゼロ(後述)の優れものである。 それに、なんと言っても①燃料が余剰気味(「日経」2007/9/17)、②カーメーカーは環境と社会貢献への宣伝効果が得られ、③利用者は燃料代が4割近くも安くなり、LPガス都市ガスLNG石油(ガソリン)石炭0 20 40 60 80 100 120温室効果ガス排出原単価 〔g-C/Mcal〕(真発熱量ベース)燃焼 設備 2次生産 輸送 生産出所:日本LPガス協会図1地球温暖化に関するCO2の環境負荷(LCA)*1:PMとは黒煙・浮遊粒子状物質(SPM)のことで、人の呼吸器に悪影響を与えるだけではなく、発ガン性などが研究されている。ディーゼル排出のPMは50nm以下が大半を占めると言われている。75石油・天然ガスレビュー008.3 Vol.42 No.276しついわ烈れ(3)LPG車を望む声は大きいく「タクシー業の 例えば、ある個人タクシー運転手曰利益は薄い。自由化で参入者も増え、競争は熾。タクシー専用車よりお客様が喜ぶクラウンロイヤルに乗りたい。乗客は、来た車に乗り、車種は選ばないというが、長距離客は同じ料金ならNECタクシー(ナビゲーション・ETC・クレジットカード装備車)を探して乗る」。 長距離を心地よく乗りたいのは乗客の心理である。個人タクシー業者が売り上げを増やす手段でもある。しかし、クラウンロイヤルのLPG車がない。年間50万~70万円の燃費差がある。70万円かけても改造したいが、先進型の部品がない。仕方なく160円/リッターもするハイオクガソリンのクラウンで営業する。 高級LPGタクシー車のニーズは首都圏でせいぜい5,000台位。これだとメーカーは動けない。そこで、せめて新車改造を、との声もあるが、同じく部品メーカーも現在の台数では簡単社製の高級LPG車のには動けない。2006年から韓国現輸入が開始されており、これまでに首都圏だけで100台ほど販売された。代ダヒュンイアナリシス(2)胎児にまでおよぶナノPM粒子 PM問題は、石原慎太郎・東京都知事がペットボトルで黒煙の粒子を示して知られるところとなった。規制強化で排出重量は激減したが、皮肉にも黒煙の粒子が微少化(ナノ粒子化)し、肺から血液に進入する結果となった。2007年12月、PMナノ粒子により妊娠ザルの胎児に細胞異常があることを京都大学が検証した。今後、重量ではなく粒子数規制が計画されており、課題は大きい。建築資材のアスベスト問題は本人の障害にとどまるが、ナノ粒子は子孫にまで及ぶとのことで、問題はより深刻である。そのナノPM粒子がLPG車からは発生しない(図2)。50mm以下50nm以下100nm以下2.5μm以下2.5μm以下粒子個数10μm以下粒子濃度1 10 100 1,000 10,000粒子径(nm)0.250.200.150.100.050重量及び個数(正規化)環境貢献の満足感も持てる。ところが、わが国ではこのLPG車の普及台数が減少傾向にある。国の排気ガス規制強化に伴い、カーメーカーは量販車種の開発に追われ、数の少ないLPG車にまで開発戦力を投入できない。いまでは、トヨタ自動車(以下、トヨタ)を除くすべての国内メーカーが、LPG車から撤退(2007年)している(後付市販業者はある)。しかし、諸外国ではLPG車を国の施策としてアピールし、積極的に開発・生産している。その事例を後述したい。国は議定書に間に合うようLPG車普及の枠組みづくりを推進すべきだと、強く思う。CO2PMNOxガソリンLPG車290.6g/km257.4g/kmクリーンディーゼル LPG車0.002g/kwh0.020g/kwhクリーンディーゼル LPG車 CNG車0.01g/kwh0.01g/kwh1.69g/kwh出所:日本LPガス協会図2CO2、PM、NOx比較ガソリンインジェクター出所:(株)コモテックLPGインジェクターLPG/ガソリン切替スイッチLPG/ガソリン切替スイッチ(LPG燃料計兼用)(LPG燃料計兼用)図5燃料噴PM粒子径と粒子重量O2センサー圧力調整器燃料パイプLPE(LPGコントロールコンピューター) LPGタンク(加圧用インタンクポンプ内蔵) ガソリンECU(ベース車ガソリン用エンジンコントロールユニット)出所:日本LPガス協会図3燃料噴射方式 先進型(マルチポイント液噴式)燃料スイッチインジェクターO2センO2センサー出所:日本LPガス協会(スロットル 位置センサー)TPS分配器(マニホルド絶対圧)MAPセンサー 温水ペーパライザー温水LPGタンク図4燃料噴射方式 旧型(キャブレター式)006 2007 2008 2009 2010年度出所:LPG自動車促進協図7普及目標台数単位:dB(A)の深刻化。京都議定書のCO2削減カウントの期間に入った、等である。運輸業LPガス事業流通業地方自治体サービス業製造業その他個人タクシー自動車教習所90,00080,00070,00060,00050,00040,00030,00020,00010,0000普及目標台数(台)い芥かじん車のトラック部 タクシーだけではない。宅配便や塵門でも同様である。LPGトラックなら、まず集配プラットでの作業環境は驚くほど改善され、休日や夕刻の静かな住宅街に配送に回っても環境汚染の心配は少なく、エンジン音も静か(図6)で、車両価格はディーゼル車より安く(約50万円)、ランニングコストも安い。しかし、宅配業界は、低公害自動車の認定を受けていないLPG車は購入しにくい。また、塵芥車はゴミを砕くガリガリ音とエンジン音でうるさい車の代表で、おまけにゴミ粉砕、止まる、動くの連続で燃料消費が多く、環境負荷は高い。こういう車こそLPG車化は最適である。LPG車拡販は結局、間接的に多くの国民が喜ぶことになる。新たな資金なしで国が施策としてできることである。CO2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車について(6) 京都議定書、閣議決定、サミットで声明文を出されたLPG車[京都議定書批准] 京都議定書の目標未達分は、途上国へのCDM(クリーン開発メカニズム)等で排出権を購入する。これでは真の削減ではなく、つじつま合わせではないかとの声もあるが、当初から承知の話ではある。その排出権は、結果的に日本の購入額が群を抜くだろうと聞く。省エネ技術が加盟国でいちばん進んでいるその国が、未達金?をいちばん多く払うというのは理解し難い。日本は市場原理最優先のため、国益確保に鎬を削る各国政府の環境戦略に対し後れを取ったのが原因だと、新聞・TVでは報じられている。 詰まるところ、この議定書は、環境問題を錦の御旗にしのぎ表1LPガス自動車の年度別普及目標台数(業種別)2010年目標台数85,000 60,00034,00021,00018,00015,00012,00010,0005,000260,000運輸業LPガス事業流通業地方自治体サービス業製造業その他個人タクシー自動車教習所年度別合計年度末累計出所:LPG自動車促進協年度別普及台数2006年3,3002,3001,30080070060040040020010,00010,0002007年9,8006,9003,9002,4002,1001,7001,5001,10060030,00040,0002008年16,30011,6006,6004,1003,4002,9002,2002,00090050,00090,0002009年22,90016,1009,1005,6004,9004,0003,3002,7001,40070,000160,0002010年32,70023,10013,1008,1006,9005,8004,6003,8001,900100,000260,000LPガストラック (エンジン回転数 : 720rpm)ディーゼルトラック (エンジン回転数 : 710rpm)出所:日本LPガス団体協議会図6アイドリング時の騒音レベル比較(4)LPG車26万台普及計画とは この優れたLPG車の普及率向上策として、経済産業省は2000年に京都議定書目標達成計画(2010年までにLPG車100万台普及)を策定し、そのミニマムケースで55万台(増販26万台)を達成すべく計画に盛り込んだ。これが26万台普及計画(図7、表1)である。26万台増販は、CO2換算で20万トンの削減に相当する。(5)追い風にあるはずのLPG車 LPG車には、実は追い風が吹いている。26万台計画の閣議決定。気候変動問題。ハイリゲンダム・サミットでの声明文。LPG車を優先する自治体の出現。トヨタが世界初の先進型LPG小型トラック1.5トンを発売。レアメタル問題が浮上。ナノPM問題77石油・天然ガスレビューAナリシス立て、国は国益確保、企業は利益確保の手段としてとらえていると思える。本当のところ、地球環境対策が最優先にはされていないことを、クールに受け止めないと、判断を誤る元になると思う。[閣議決定・ハイリゲンダム・サミット] 2005年に経産省の26万台普及計画を閣議決定し、現在に至っているが、LPG車導入の実態は増販どころか減少傾向にある(図8)。また、2007年6月のハイリゲンダム・サミットでLPG等の利用を促す声明文が示されたが、わが国ではなんの反応も感じられない。一体、閣議決定、サミット(2008年7月、洞爺湖サミット)とは、なんだろうか? 要は、LPG車の拡販のために国益、企業利益につながる枠組みができていないということに尽きるのではと思う。G8ハイリゲンダム・サミット成果声明文世界中6億台の自動車が2020年までに2倍になると予測されている。――中略――われわれは以下の措置を講ずる。エネルギー効率を高めるためバイオ、CNG、LPG(以下略)の割合を増加する措置を育成する。(2007年6月環境省資料より抜粋 12ページめ 運輸68.)3. 優れた機能のLPG車が減少する理由い(?)。したがって、前述のように各メーカーはLPG車から撤退していった? しかし、下の表2で分かるように、LPG車よりはるかに普及台数の少ないCNG車は生産が続行されている。不思議な現象である。表2環境自動車の普及台数普及台数(2006年)FC車メタノール車EV車CNG車ハイブリッド車LPG車出所:国土交通省自動車交通局64269,92831,500254,644294,657(3)LPG車へのさまざまな思い トヨタはタクシー、小型トラックともにLPG車を引き続き開発し、生産している。採算は度外視していると聞く。世界最高水準のLPG車の技術開発に成功しながらも、開発技術陣は恐らく、上司から高く評価される機会は少ないと(?)思う。利益貢献度からして仕方がない。それでも開発、生産が続くのは、トヨタには開発・営業・ディーラーに、使命感を燃やす志士たちがいるからだと思う。そのトヨタでも、台数の少ないLPG車を積極的に推奨するセールスマンは少ない。 ちなみに、2007年12月発売のトヨタの先進型1.5トンLPG車は、ブタンでもプロパンでもそのままOKで、低速トルクも高く、北海道の早朝でも問題ない。その素晴らしさは業界紙がそろって称賛するところである。しかも同クラスのディーゼル車よりも安く、維持費も安いの2008.3 Vol.42 No.278んじゅう填て(1)低公害自動車に認定されないLPG車 全国都道府県の市町村や宅配企業等は、塵芥車や宅配車等、低公害自動車の購入をするとき、LPG車を外すところも多い(優先している企業もあるが)。LPG車より所も少ない、充車両コストが高く、維持費も高い、充填時間も長い(結構つらい)、それでも「低公害自動車」に認定されているCNG車や、いま話題のハイブリッド車(小型トラックの走行実績で、LPG車はCO2でほぼ同等とする複数社のデータもある)等が選ばれる例が多い。低公害自動車に認定されていない事実はLPG車にとって厳しい。その他貨物乗用台340,000320,000300,000280,000260,000240,000220,000200,0000991199167999911出所:国土交通省自動車交通局5991499139912991899199910002100220023002400250026002700年2図8全国LPG車保有台数の推移(各年の台数は9月末現在)(2)販売台数が少ないLPG車 排気ガス規制対応は、当然ながら販売台数の多寡にかかわらず同じように必要である。カーメーカーはまず量販車種に戦力投入する。国が低公害自動車に認定もしていないLPG車の優先順位は低い。撤退しても心は痛まな齠冾熨≠「決着を望みたい。(6)市場原理に流されるLPG車 極論だが、市場原理に従えば石油会社は省エネ=売り上げ減になる。LPGが優れていると言えば、軽油やガソリンは相対的に価値が低下する。自動車メーカーも、数がまとまらない車両の開発は費用対効果の計算が成立しない。これは道理であり、当然である。26万台普及計画が予定どおり進んで55万台になったとしても、保有台数のわずか0.6%に過ぎない。石油会社も自動車メーカーも微動だにしないレベルである。 それより、国はCO2削減、都市環境改善のパフォーマンスが示せることの方が大きい。更に、LPG車の普及率向上は、わが国にとって次世代に重要なエネルギーになると確認されたDME車(ジメチルエーテル・後述)への転換時、有力な足掛かりにもなる。国のパフォーマンスは、京都議定書の目標達成行動として具体的見本を示すことができる。さもなければ、LPG車は市場原理に流され、普及が進まない。 こうん塵じ(7)TOPの決断は大きい ハイブリッド車技術は、トヨタだけが開発したわけではない。トヨタのハイブリッド車の市場投入時、採算性は全くなく、直近の経済原則判断を超えた決断がそこにあったと聞く。 世界のトヨタとして、環境貢献は使命ととらえたトップの決断(優先順位変更指示)があったと聞く。それが結果的に宣伝効果にもつながり、いまやハイブリッド車=トヨタは過言でない。 トヨタは時代の波に乗ったのではない。企業の使命感(高い志)から自ら波をつくり、しかも、その波を世界中に提供した。決断の力は大きい。波が来たら乗ろうとを思っていたところは、優れた技術を持ちながら、後拝する結果となった。各方面の指導者の方々にお願いしたい。LPG車は、既に優れた技術であることをご理解頂いているはずなので、「低公害自動車」に新たに認定し、あるいは認定するよう提言し、自治体や企業等に推奨して頂きたい。そして、LPG車の波をつくって、世界にその波を提供してほしい。にLPG車を、積極的に導入するユーザーは少ない。そのよさを知らないのである。どこへ行けば買えるのか? のレベルである。 さすがにLPG業界は死活問題だとして、これらの払拭活動に真剣に取り組んでいるが、弱い。それどころか、LPG車の普及が進めば政府が燃料税に目をつけ、LPG車が消滅するかも? それこそ死活問題だとして、本気でや普及活動をしていないとの揶さえ、まことしやかに聞かれるありさまである。・ディシジョンメーカー・販売店・ユーザーにガスアレ揄ゆルギー問題がある ガス=危険・不便・不安等の気持ちを持っていることがけから転落しも否めない。日本のLPG車は衝突しても、崖ても、車両火災が起きる確率はガソリン車よりはるかに低く(確かに、数十年前はLPG車が危険であった)、最も安全なことを知らない。・容器再検査が面倒 LPG車は、5~7気圧充填のLPG容器を車両から下ろして部品を外し、水圧検査までする。他方、CNG車は、200気圧もの超高圧ガスを充填するのに、CNG容器の再検査は車載のまま目視だけでよい。LPG車も、CNG車並みの再検査にならないだろうか。(4)規模の小さいLPG業界 CNG車の立ち上り時、ガスメーカーとカーメーカーが主導で開発・普及に心血を注いだ。ガスメーカーはLNGの消費拡大策(現状はLNGは不足気味)に、 カーメーカーはイベントの目玉商品に、として真剣だった。国も大いにこれを支援し、自治体にCNG車の導入を推奨した。残念ながらLPG業界は、同じ活動をするだけのエネルギーがなく、国の支援や推奨を受ける機会がつくれないことを、いま更ながら残念に思うことしきりである。現実は厳しい。(5)低公害車認定・問題は思いのほか大きい LPG車の優位性は既に認識され、環境省はLPG車を環境自動車と認めてグリーン税制優遇処置を、経産省も環境やCO2削減に効果があるとしてLPG車購入者や充填スタンドに補助金を出している。国交省も燃費基準を新たに作成し、基準に合格すれば環境貢献自動車と積極的に認めるようになった。事実上は低公害自動車である。だから、これでいいじゃないかと言う人もあるが、あたかも、同棲しているから結婚も同じと言うようなものだ。大いに違う。3省を纏めることは難しいとは思うが、議定書の実効果を国が示せるアイテムだと理解して頂き、まと79石油・天然ガスレビューCO2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車について. 国益・利益の裏に潜むもの(1) 市場原理はときとして怖い(温暖化対策でも犠牲にできないことがある!) 以下を現状批判と受け止めないで頂きたい。知識も見識もない私の、質問状と理解されたい。国益優先、利益優先は当然だが、背反事項も踏まえ、純粋に技術を考えてみることも重要ではないか。少なくとも以下のようなことが背反事項として“懸念”されることを念頭においた活動が望まれる。・バイオエタノール車=CO2フリーか 1リットルのバイオエタノールを生産(含む生産時の運搬など)するには、同量近くの石油が必要と聞く。これでCO2フリーと言っている。更に、生産方法にもよるだろうが、多くの場合10倍の量の真水が必要である。もちろん、循環はできるが汚染される。国によっては処理が不十分で深刻な飲み水の環境汚染もある。「バイオエタノールがCO2フリー」は議定書の「決めごと」と言う方もあるが、「決めごと」では済まされない。温暖化対策の名のもとに、食糧や水を浪費し、汚染する事になるからである。食糧を燃料にすれば世界的に食糧価格は上昇し、飢餓問題に発展するのはすでに現実である。地球でいちばん不足しているのは真水、次が食糧、3番めがエネルギーとのことである。バイオ燃料は、水と食糧の両方を犠牲にしていることを忘れてはならない。英国のフィナンシャルタイムス誌も、エタノールによるCO2貢献はせいぜい13~18%と報じている。さらに穀物生産のため、森林伐採(アマゾンでは毎年東京都の6倍の面積=写1)する等で間接的な逆CO2削減も考えると、犠牲はあまりに大きい。米国は食糧の輸出国であり、穀物の出所:NASAの『LBA-ECO』プロジェクト写1アマゾンの森林伐採アナリシス高騰は内心うれしいできごとであろう。日本はその逆である。一緒になってバイオエタノール(除く廃棄物利用)を貪っていいものだろうか。・飲料水汚染 いま、東アジアだけで7億人の人が危険な飲み水に冒されているという。日本人はコーヒーを飲む水で車を洗っていると言われるが、これには山と水田が大きく寄与している。落葉樹(利益にならない灌木が多い)が土を肥やし、そこから流れ出た水が海を肥やし、おいしい魚が捕れる。山崩れや洪水も防止する。水田は1,000年連作してもよい見事な耕地利用法で、この水田構造が里山を形成し、豊富な地下水の元になる。しかし、直近の市場原理で言えば、灌木では林業の生計は立たない。里山水田では生計は立ちゆかない。灌木も水田も次第に減少していく。おまけにおいしい魚も不足する。このままでは、やがて日本でも水不足が起こる。国が早い時期に「国家百年の計」で維持構想を立てなければ、市場原理の流れを止めることはできない。古くはマヤ文明も、分かっていながらこの水問題で滅亡したと聞く。・地下水位の低下 米国では、バイオ燃料用の穀物生産が進み過ぎ、地下水位が次第に低下している(2007/10/27,ワシントンポスト紙)。地下水が低下すると、穀物の単位面積あたりの収穫量は次第に減少する。将来へのツケは大きいかもしれない。・健康被害 科学誌「Environmental Science & Technology」2007年4月18日オンライン版は、エタノール燃料の人体への悪影響度を述べている。また、米スタンフォード大学大気科学者のMark Z. Jacobson氏らは、大気状況のシミュレーションで、E85燃料の車が広範囲で使用された場合、2020年時点で、大気中の発癌物質であるベンゼンとブタジエンは減少するが、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドは増加し、光化学スモッグの主成分であるオゾンも増加し、それに伴いオゾン関連の死亡件数が、ガソリンに比べ年間約200件の割合で増えることを示した。これらの原因による死亡率は、2020年には、ガソリン車に比べ全米で約4%増加すると予測している。バイオはCO2フリーだと、手放しで取り組むのではなく、取り組むなら併せてそれなりの覚悟も必要だと思うのである。がん①ハイブリッド車 内燃機関とモーターシステムの両方を持つわけだか2008.3 Vol.42 No.280O2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車についてら、当然のこととして乗用車で約100kg近く重く(小型ディーゼルトラックは200kg近く重い)、資源量も8~10%増える。 したがって、保有台数のわずか1%普及(80万台)でも、約8万トンの資源(含むレアメタル)が多く消費されることになる。電池寿命(含む資源廃棄)も課題だ。それに、ディーゼルトラックのハイブリッド化は、ガソリン車のハイブリッド化より原理的に効果は小さい。近い将来、DME車やクリーンディーゼル車が最大の競合相手になるかもしれない。燃費が安いことがすべての効果ではない。「国家百年の計」としてよく考える必要がある。②FC車 FC車は、本当に究極の環境自動車だろうか。少し考えてみると、疑問は多い。いま、1台あたり100gのプラチナが必要である。プラチナは1トンの鉱石から2g程しか取れないので、台あたり約50トンの鉱石がいると聞く。プラチナはレアメタルだ。仮に日本でFC車がわずか1%(80万台)普及しただけでも、鉱石は約4,000万トンも必要になる。しかも日本に皆無の資源だ。これが世界中に普及したら、資源国の山は崩壊し、河川に土砂が流れ、海は汚染される。加えて鉱石を削岩し、ダンプ輸送し、製錬する。更に、燃料の水素を生産・貯蔵(マイナス260℃冷凍貯蔵)・輸送(冷凍)・また貯蔵(冷凍)車両には70MPaの超高圧充填で電力を要する。そのうえ、超高圧容器も必要で、容器へのガス充填時間は長い。一体どれだけの石油を使うのか。これが究極なのか? まだまだ将来が楽しみの開発段階、と思われる。③CNG車 産ガス国に近く、そのままパイプラインで供給できる地域などと違い、わが国は、はるか9,000kmの彼方から出所:大阪ガス(株)写2LNG船天然ガスを輸入する。輸送効率を高めるためLNG(液化天然ガス、マイナス160℃で630分の1に凝縮)にする必要がある。LNGの課題は、①生産時に一部大気放出 ②冷凍輸送、貯蔵 ③解凍、パイプライン供給 ④超高圧充填(20MPa)、超高圧容器 ⑤充填所極少、長時間充填 ⑥タンカー輸送に要技術、要技術船員、空タンク帰国不可(メンブレム構造のため) ⑦基地タンク受け入れ条件調整 ⑧備蓄困難 ⑨パイプラインは国土面積の5~7%しか敷かれておらず、わが国の地形を思うときスタンドの全国展開は今後とも難しい⑩廃棄が課題で、廃棄メタンはCO2の20倍の温暖化効果ガス。修理時、廃車時等正当な方法で回収しているかは問題視されていない。リサイクルまで考慮したLCA(井戸からリサイクルまで)で評価すべきであろう。 そもそもCNG車は、車両価格が高いだけでなく、充填時間が長く、航続時間は短いので、環境問題を除けば使い勝手がよいとは言えない。わが国にLNGがだぶついているのならともかく、EV車、プラグインハイブリッド車の増大とともに、電力量が不足する現状を見るとき、環境改善のためとはいえ、天然ガスは、わざわざCNGにせず、そのまま発電用に使うのが効率的で理にかなっていると私は思うのだが、間違っているだろうか。④EV車・プラグインハイブリッド車 わが国の電力は不足している。エネルギー効率がよいとか悪いとかの議論の前に、EV車は当然ながら電気が必要だ。わが国では電気自動車の普及は発電の原子力化でガエル現象*2で、いを促進する。原子力の怖さは茹まより将来が怖い。使用済み燃料を輸送中テロで狙われたらと想像しただけでも肌寒くなる。危険はテロだけではない。使用済み燃料処理、産業廃棄物処理、作業ミス、地震・火災とさまざまある。100%安全な原発は現在の技術では無理と聞く。失敗したときの被害(放射能半減期は2万4,000年)は、CO2と比較できないほど大きいとの知見を持つ識者も多い。日本は原子力技術が高いだけに余計心配である。もちろん、原子力事故での死亡率は石炭より低いという識者がいることも事実だが、温暖化の名のもとに原子力を優先してよいものかと思う。エネルギーの多様化や生活習慣の改善が先ではないか? EV車の背反事項は意外に大きい。やるなら余程の覚悟が必要だろう。⑤ディーゼル車 構造上、駆動部と車両全体の強度・剛性が必要である。また、燃料噴射装置も高圧かつ高度な電子制御を要し、ゆ*2:カエルを最初から熱湯に入れると直ぐ飛び出して助かるが、徐々に熱していくと気づくのが遅れ絶命する。変だなと思うことも日常化すると真の問題に気づけず、悲惨な結果を迎えるの意。81石油・天然ガスレビューpォ能DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)、SCR(NOx用選択還元触媒)、OBD(車載式故障診断システム)などの装備を要す(白金必要)。また、ノイズ対策等も必要で、ガソリン車(小型トラック)比で優に50万円近く価格はアップする。なによりもPMナノ粒子は深刻で、妊婦本人はもとより胎児の血液にまで流入するとのことであり、臨床研究が進んでいる。医学的根拠に至る日も近いという。ディーゼル排ガスの環境対応技術は既に完了したと言う技術者もいるが、コストやナノPMを考えると問題は多く、深刻である。その点LPG、DMEは、このPM発生がない燃料であり後処理装置も不要の優れものである。⑥H2車 FC車の燃料部分と同じで、水素は現実には生産、貯蔵、輸送、貯蔵、充填、充填容器等々を考慮すると、まだまだ課題多き技術である。⑦LPG車 充填所が少ない(全国に約1,900カ所)、高圧容器(2MPa)が必要、容器再検査が面倒、修理技術者が少ない。ユーザーのみならず、関係者の理解不足等があるが、既に40年以上もの市場実績があるLPG車の背反事項は、実は意外と少ない。総理大臣がLPG車に試乗すれば政治家・官僚・庶民への影響は大である。英国は国王の公用車がLPG車である。⑧まとめ 技術の進歩は無限である。背反事項もいずれ解決される。だからどんどん行けでよいものか。世の中には限界ちとは“すぎる”こと。孔子は“過ぎたるはもある。過し”と、徳川家康は更に積極的に“及ばざ及ばざるが如るは過ぎたるより優れるなり”と、子孫に家訓として戒めている。また、実行については、フランスの作家、ロマン・ロランの言葉に「英雄は自分のできることを実行し、凡人はできもしないことばかり望んでなにもせず」とある。また、軍縮を成功させた米国のキッシンジャーは、世の中にはできることとできないことがある。なにができることかを見極める能力が重要と説く。そして、できると見極めたことは成功への枠組みを組めば必ずできる、枠組みの組み方が重要と述べたと聞く。敗戦後のわずかな期間に経済大国にまで成長させた優れた官僚と政治家を持つわが国に期待するところは大きい。あやまごと(2)各国の熾烈な戦略に利用される温暖化対策・米国(原子力・バイオエタノール) 米国は、既に石油輸入国である。中東依存を特に警戒し、エネルギーの自給率向上策は、国防上大きな意味がアナリシスむさぼあるらしい。そこで、貪りとも思えるほどにバイオエタノール生産に力を入れ、食糧自給率が約120%もあるのにブラジルにまで農地を購入し、バイオ燃料を国策として生産している。戦闘機、爆撃機もバイオ燃料は確認済みである。しかし、バイオエタノールは、日本のように食糧自給率30%台で、更に全体食糧の30%を食べ残し等で廃棄する国が考えることではないと思う。また、米国は、スリーマイル島での原発事故以来30年間、一つもつくらなかった原発を、2007年12月、日本円にして6兆円もの政府の債務保証を付けて積極的に建設(1基予算6,000億円~8,000億円)することを閣議決定(その後修正案が出て現在攻防中)し、約30基が新たに計画されているという。・ドイツ(再生可能エネルギー・バイオディーゼル) 温暖化対策に熱心だが、CO2削減のためでも原子力発電はしない(ただし、現在再検討中)。再生可能エネルギーが基本。太陽光、風力などを徹底し、世界の先端をいく。都市構造も考慮し、自転車が有効利用できる工夫も多い。また、糞尿(家畜)のエネルギー利用等、住民参加の活動が目で見える。ディーゼル車社会に基軸を置き、バイオディーゼル燃料も進められている。バイオ燃料は前述のとおりだが、国に強い覚悟があって、節度を以て進められるものと望んでいる。しかし、今後(2015年頃~)ナノPM規制が厳しくなるにつれ、コスト・環境の両面で、軽油によるディーゼルは非常に苦しい状況が、既に予想されている。・ロシア(天然ガス) 1991年、ソ連崩壊後のロシアは、環境問題をこれからの世界課題にと考えた。そして1992年6月、リオデジャネイロで地球サミット(国連環境開発会議・世界100カ国の元首参加)の開催に貢献した。そして2007年4月、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」で環境問題は正式に世界問題として定着したが、そもそも口火はロシアが切ったと聞く。そのロシアは、石油も天然ガスも世界有数の埋蔵量を誇っており、このところの価格高騰で潤っている。欧州ではロシアからの天然ガス輸入も多い。京都議定書批准(1990年比)で、結果的に最も大きな利益が生まれる国である。 更に米国との色々な協議が水面下で進んでいるとの情報も聞く。環境問題は、単に技術問題だけでなく、政治・経済も絡むと思わざるを得ないところがわれわれには難しい。・中国 (石炭・原子力・DME) 中国も深刻な石油輸入国で、米国と同様、エネルギーの国防上の問題は大きい。そこで、ほとんど無尽蔵と言われる石炭の有効利用が避けて通れない。しかし、石炭2008.3 Vol.42 No.282O2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車についてるのは原子力だ。困ったことに、安全面を除けば非常によい技術である。しかし、原子力はいまより将来が怖い。背反事項が大きすぎる。私は、原子力よりも、やがて開発が進む日本近海のメタンハイドレードを思うとき、日本はガス燃料の有効利用をどこよりも真剣に国策として取り組むべきだと思う。ここは市場原理ではいけない。ディーゼルエンジン用ガス燃料のDMEも取れる。日本もエネルギー資源国になれる。DMEは、なんと言っても深刻なナノPMの発生がなく、後処理すら不要だ。PM規制強化で車両の高コスト化にあえぐトラック業界には、DMEは救世主になるかもしれない。それでも、DME車の普及への枠組みづくりにおける国の姿勢は、市場原理に委ねたい意向と聞く。日本のDME技術は隣国中国(中国は国策化)の環境汚染防止にも、国家レベルで支援できるレベルである。LPG車普及は、このDME車普及にも大きく役立つのである。(3)大学による市場原理抑止力 大学教授ともなると、分野ごとに表も裏も深く知っている。この国にとって、真の温暖化対策はなにが正しく、また正しくないかもよく知っている。権威もある。しかし、わが国の市場原理パワーは手強い状況である。国の判断を助けるため、正しい意見を主張すると、結果的に他の先生や企業を批判していると誤解される結果になりやすい。この狭い学界の中では難しい。だから先生も答えることには慎重になる。 また、大学はやはり革新的で尊い研究テーマでないと取り組み難いかもしれない。 以上、詰まるところ、あるべき姿への主導は志ある政治家や官僚に期待すること大である。わが国がエネルギーで先頭に立てる千載一遇のチャンスである。国の仕事は、正しく市場原理が機能する仕組みづくりであって、事態が盛り上がったら支援することではない。分散発電燃料電池SOFCDME路線バス地域冷暖房用コジェネ家庭用一般ガスDME2次受入基地DME燃料使用工場利用は必ずしも温暖化対策に有効とは言えない。その被害を最小限に食い止める策として石炭のDME化があり、これを国策とした。ディーゼルエンジンに適し、PMはゼロ、CO2もNOxも少ない。更に、石化製品が高効率に生産できる優れものである。しかし、中国での石炭採掘時の事故や大気汚染は、日本人の想像を絶する醜状である。それに、中国は南水北調*3で知られるように、水が極端に不足する国である。石炭利用には多量の水を必要とする。DMEは水の面でも有効で、わが国にはこれらを支援する技術がある。日本への環境汚染も考慮し、なんとか技術支援できないものかと思うことしきりである。恐らく近い将来、国家レベルで交渉の場が持たれることになるかと思われる。その中国も原子力には積極的だ。まるで世界中が原発ブームで、第1次、2次世界大戦時のスパイラルに関連づけて考えるのはいき過ぎだろうか。・日本(原子力・石油・天然ガス・HV・GTL・DME) わが国の温暖化抑制策の目玉はドイツと違い、石油・天然ガスの次はなんといっても原子力である。現状はハイブリッド(HV)車の評価が高く、われもわれもとなびいているが、資源問題で限界があると見る。 石油も天然ガスもほとんど資源ゼロの日本が頼りにすDMEスタンドDME大型トラックDMEスタンドDME路線バス水素スタンドDME燃料電池自動車DMEごみ収集車DME発電所DME輸入受入基地DMEタンクローリーDMEタンカーDME製造工場(天然ガス、炭層メタン、石炭、石油随伴ガス) 出所:JFEホールディングス(株)図9DMEがつくるクリーンな街5. LPG車各国の事例 エネルギーの安全保障(安定供給)、地球環境(各種規制物質)、気候変動抑制(CO2)等を国は求めるが、LPG車は国が本気でそうしたテーマに取り組んでいると*3:水不足の中国が、揚子江の水を大運河で黄河に結ぶ計画(3路線)のこと。現在進行中。いうパフォーマンスを見せる、絶好のアイテムだと思う。その覚悟を示す各国の例を見ると、香港政府は1999年、ディーゼル排ガスで汚れた街を、タクシー(含む小型バ83石油・天然ガスレビューAナリシスス式タクシー)すべてをLPG車に切り替え、都市環境を一気に改善した。シンガポール政府は既に、タクシーをCNGからLPGに切り替える方針を決定して準備を進めており、2008年3月に日本のLPG業界を視察する予定である。中国広州市も全タクシーのLPG車化をしたとの報道(日中経済通信社,2007/12/21)がある。韓国に至っては既に200万台(日本は29万台)のLPG車が走行中で、公共の足であるタクシー、レンタカー、弱者支援として福祉車両、更に7人以上の乗車定員がある車にLPG車を認めている。燃料価格はガソリンの約半分である。政府が経済原則の波をつくり、結果として日本とは反対に、韓国すべての自動車メーカーが先進型LPG車を生産している。また、2007年12月の大統領選終了後、更に石油資源節約のため、軽自動車のLPG車化とLPGハイブリッド車を認めることにし、およそ240万バレル/年の原油消費量削減を決定した(KBS)。英国では、王室各位が使用する公用車の一部がLPG車で、エリザベス女王は公務の際、可能な限りこれらのLPG車を使用されるとのことである。 イタリアでは、130万台程のLPG車が普及、他にもポーランド70万台、オーストラリア60万台、ロシア50万台、メキシコ40万台、オランダ40万台、チェコ、フランス、ブルガリア…と続く。世界ではLPG車はクリーンエネルギーの代名詞となりつつある。 こうした趨勢のなかで、日本のLPG技術は世界最高レベルにあるのに普及が進まない。環境だとかCO2削減とか言うけれど、結局、国は国益、企業は利益に終始するのは当然なのだろう。「よい物なら市場原理で売れるはず」と言うが、その上にもう一つ原理が重なっている(オーバーライドルール)と、よい物でも売れない。ルールを最上段から統制するのが国の役割と思う。市場原理はその下で動くものであることを忘れないでほしい。 国が、市場原理の心理をうまく「仕組みで機能」させることで、LPG車は普及する。これは国にしかできなてつを踏むことなくい。政府は国益をかけ、京都議定書の轍真剣に取り組み中と推察する。世界はいま、「金本位制からCO2本位制」に移ったという人もいる。経済を牛耳るのは金ではなくCO2だというのである。各国はCO2関連の仕組みづくりとその実行に熾烈な戦いを仕掛けてきている。省エネ技術は世界一なのに、最も多額の排出権購入を余儀なくされる事態を、一日も早く払拭してほしい。6. 国へのお願い(1)心の問題 “車づくりは人がつくるので人づくりが大切”とはトヨタ自動車名誉顧問である豊田英二さんの言葉である。CO2削減や環境改善も結局は人が進めるので、人の心が大切なはずだが、実態は、高度な技術開発(もちろん大切)を追うあまり、足下に、比較的容易で直ぐできるLPG車があるのに、有能な官僚が(当時の事情もあったと思うが)LPGの日本語訳問題(石油液化ガス)で外した低公害自動車認定の復活をいまだ進めていない。LPGは石油や天然ガスからの随伴ガスであり、わざわざつくる燃料ではない。インド洋、太平洋を経由して、せっかく輸入したLPGが最近余剰気味で、他国に転売する動きがあるとは情けない。石油代替の「心」は石油使用量を減らすこと。LPGをうまく使って新たな原油や天然ガスの輸入量を減らすのが、いちばん初めに必要な手段ではないか。 正に「心の問題」ではないのかと思う。は必死に省エネ活動を開始した。高度な省エネ技術の開発に着手すると同時に、1従業員まで含めた全員参加で“行ったこと”がある。それは、事務所の蛍光灯1燈ごとにプルスイッチを付け、席を離れるときには、そのつど消灯したことである。電気担当者曰く、蛍光灯は点灯時に電力を多く使うので点滅の繰り返しはかえって省エネにならない、と。しかし大切なことは、高度な技術とまずできることを同時に、全員参加で実行したことである。プルスイッチはその心意気を示すものだという。省エネムードを高め、技術開発に結びつく、その心が大切である。そして日本は世界一の省エネ国になった。FC車、ハイブリッド車も素晴らしい一面を持っているが、直ぐやれるLPG車は蛍光灯のプルスイッチのようなものだと思う。やったからといって地球にどれだけ貢献できるというものではないが、大切なことは、論理ではなく、まず行動することである。(2)製造現場の省エネ活動に学ぶ 1974年、第1次オイルショックのとき、日本の製造業(3)甘利経済産業大臣の提唱 甘利明・経済産業大臣は2007年12月の特別講演(第2回 環境エネルギー課題解決のための賢人会議)で、ポ2008.3 Vol.42 No.284O2削減に即効性・実際的効果が得られるLPG自動車についてスト京都議定書の条件として1)主要排出国全参加2)各国国情配慮の枠組み3)省エネ技術で環境と経済の両立 を提唱したが、ハイリゲンダム・サミット声明文のLPG車他の拡販策を政府主導で実現すれば、大臣の提唱しは一層価値あるものと確信する。“百聞は一見に如かず”である。政府の力を世界に見せることが提唱効果を最も上げる。前述のとおり、わが国はLPG車の有用性を認識しているわけだから、もっと意識的にLPG車を①低公害自動車に認定し②自治体等に推薦し③主要企業にもLPG小型トラック等を推奨し、高級乗用車の改造を可能にし④LPG車生産メーカーを評価し⑤マスコミにプレスリリースする。できれば、道路公団、日本郵政、日本たばこ、大手宅配便企業、中小企業の小型トラックなどにLPG車を推奨する──ことを提案したい。 ほとんどお金はかからない。正に心の問題である。LPG、天然ガス、水素、バイオ、石炭(DME)、太陽熱、地熱、波力、風力、廃棄物の燃料化等、エネルギーは多様化の時代を迎えている。いつまでも、自動車用燃料は常温で液体で、とこだわっている時代ではない。FC車もCNG車もH2車も、燃料は常温で液体ではない。 単に市場原理だけでは統制は取れない。日本国民の百年の計を語れるのは立場上、国のみである。EUは27カ国も抱えて温暖化統制(キャップアンドトレード)に取り組んでいる。日本はただ1国だけの統制である。国の指導力を大いに期待したい。 ユーザー側も、最も省エネの進んだ日本が、最も排出権に多額の資金を流出させるような理不尽を余儀なくされていることを、もう一度かみしめたい。いまの日本にそんな余裕はない。1人1人が蛍光灯のプルスイッチを引く、全員参加の省エネ活動が世界第1の省エネ国となったことを思い出し、「低公害自動車に認定」されたら、ユーザー(国家機関、自治体、企業、一般)はLPG車の利用拡大に協力し、京都議定書目標の実現に協力しよう!とお互いに呼びかける。こういう行動を起こすことが重要だと提唱し、結びとしたい。執筆者紹介小田 政幸 (おだ まさゆき)ふるさとは、波静かなる三河湾国定公園に位置する愛知県蒲郡市形原町。人口1万3,000人で漁業用ロープで全国一の生産量を誇り、温泉もある風光明媚な町。戦争で親を亡くし、叔父夫婦に育てられ、学歴は高卒(昭和37年)だが、この年の進学者は50名(卒業生250名)で、境遇を考えると高卒でも感謝の心境。職歴は、トヨタ系の自動車用ホイールメーカー(LPG容器も生産)の中央精機(株)に就職し、製造現場から始め、管理部門、製造課長等を経験し、副工場長、技術部長、常務取締役を経て現在(64歳、常勤顧問)に至る。趣味は音楽で、高校まで吹奏楽部でバリトンを、会社ではクラリネット、サクソフォンなどを演奏したが、いまはゴルフ一筋。現在の興味はエネルギー関係。このことで社会に少しでも貢献したい気持ち。家族は妻・長男夫婦に孫1人の5人家族。85石油・天然ガスレビュー |
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