ページ番号1006340 更新日 平成30年2月16日

躍進するPetrovietnamの分析とベトナム・ガス事業の展望

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レポートID 1006340
作成日 2008-07-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業探鉱開発
著者
著者直接入力 坂本 茂樹
年度 2008
Vol 42
No 4
ページ数
抽出データ アナリシスJOGMEC調査部坂本 茂樹(編者)躍進するPetrovietnamの分析とベトナム・ガス事業の展望はじめに 本稿は、2008年3月にJOGMECがコンサルタント会社WoodMackenzieへ委託して実施した「ベトナムの投資可能性」調査のなかから、国営石油企業Petrovietnamの分析、およびベトナム・ガス事業の展望の2項目について概説したものである。 ベトナムは最近の好調な探鉱成果により外国石油企業の関心を引きつけている。さらに石油ガス産業を発展させるとともに、Petrovietnamが近隣諸国NOCに倣って海外事業を展開するためには、同社の決断の遅さ・不明確さを含む経営体質を改善することが望まれる。またベトナムのガス産業は歴史が浅く、今後の発展余地が大きいが、環境問題対策に関連する将来の発電用石炭消費量によっては、ガス消費量に幅が生じてくることが考えられる。1. ベトナムの石油ガス事業の概要 ベトナムは東南アジアの新興産油国であり、Bach Ho原油生産の拡大で1990年初頭にベトナム探鉱ブームを引き起こした。さらに2000年以降に新規油田発見が続き、再度国際石油企業の注目を集めている(図1、図2)。 一方ガス消費は、1990年代半ばにBach Ho油田随伴ガスの発電所向け使用が開始され、非随伴ガス生産開始は2002年であって歴史が浅く、東南アジア主要産ガス国と較べて生産量も少ない(図3、図4)。 ベトナムの石油ガス探鉱・開発契約の財務条件、特にガスの条件は、東南アジアのなかでもとりわけ厳しい部類に入る。大きな特徴は、生産物に占めるベトナム政府の取り分比率が高いことである。 遅れて産業化を開始したベトナムのインフラ設備は、急速に増加するエネルギー需要に追いついておらず、後追い状態になっている。ガス需要の伸びが、特に発電部門において顕著である。既存のインフラ設備が不足して中国マレーシアインドインドネシアベトナム年20072006200520042003200220012000199919981997199619951994千b/d4,0003,5003,0002,5002,0001,5001,0005000年中国マレーシアインドインドネシアベトナム2007200620052004200320022001200019991998199719961995199419938642010億バレル201816141210出所:BP統計2008年6月出所:BP統計2008年6月図1アジア主要産油国の石油埋蔵量の推移図2アジア主要産油国の石油生産量の推移35石油・天然ガスレビュー「るにもかかわらず、ガス消費は発電部門と南部の産業用分野において急速に増加している。現在の炭化水素生産は石油主体だが、残存埋蔵量はガスが石油を上回っていると見られるため、長期的にはガス生産量が石油生産を上回っていくものと考えられる。 ベトナム政府は、国営石油会社Petrovietnamを通じて、エネルギー産業を独占的に配下に置いている。ベトナムは、地質構造が複雑で石油契約の財務条件が厳しく、開発作業が遅れているなど石油開発事業をめぐる環境は厳しいが、地質ポテンシャルへの期待と最近の石油発見率が良好であることから、海外石油企業の注目を集めている。 Petrovietnamは1977年に設立され、1990年に再編成された後、1992年に首相府の管理下に置かれた。 Petrovietnamは国内のすべての石油活動に責任を持つ。同社は、まだ探鉱権益が付与されていない地域にかかわるすべての権限を保有し、生産分与契約(PSC:Production Sharing Contract)*1 の条件にかかわるすべての項目を統轄している。 Petrovietnamの生産資産はベトナム国内が中心であり、マレーシアにも生産資産を保有している。また中央アジアのカザフスタン、コーカサスのアゼルバイジャンの生産資産を購入しようとしている。海外で積極的な探鉱活動を実施している対象国は、マレーシア、インドネシア、ペルーの3カ国である。アナリシス Petrovietnamの国際事業展開は歴史が浅く、海外の石油ガス上流資産が限定されているため、将来のコア資産はなお国内資産が中心である。 ガス産業を見ると、BPがベトナム初の非随伴ガス田Lan Tay/Lan Doの生産を開始してPhu My発電所へのガス供給を始め、ガス消費が本格化してから、ベトナムのエネルギー消費構造に変化が生じている。 ベトナムのガス・インフラ設備は、主に、沖合ガス田からガス消費者である海岸の発電所へ生産ガスを輸送する海底パイプラインである(Bach Ho油田~Phu My発電所へのパイプライン、Lan Tayガス田~Dinh Coガス処理ターミナルへのパイプライン等)。 ベトナムの発電設備能力の合計は、11GW(2006年)であり、電源内訳では水力発電が最大で、これに火力発電が続く(ガス、石油系、および石炭火力)。地域別に見ると、北部は水力発電と豊富な石炭を燃料とする石炭火力が主である。経済発展が進む南部では、やはり水力発電が主であるが、以前は石油系火力発電がそれに続き、最近ではガス火力発電の比重が高まっている。 Bach Ho油田の随伴ガスおよびナムコンソン地域の沖合ガス田開発がベトナムのガス産業を離陸させ、今後も南部のガス火力発電事業の促進に貢献するものと期待されている。2000200320012002マレーシアミャンマー2004年200720052006タイベトナム10億cf/d199919941995199719961998インドネシアブルネイ87 65 4 3 2 1020042007年20052006タイベトナム2000200320012002マレーシアミャンマー兆立方メートル3.503.002.502.001.501.000.500.00199419991995199719961998インドネシアブルネイ出所:BP統計2008年6月出所:BP統計2008年6月図3東南アジアの国別ガス埋蔵量の推移図4東南アジアの国別ガス生産量の推移*1:1960年代前半からインドネシアで普及し、その後、産油各国で採り入れられた石油探鉱・開発に関する契約でサービス契約の一種。通常PS契約と略称される。PS契約では従来の利益配分方式の探鉱・開発契約と異なり、生産物自体を産油国と外国石油会社間で分けあう点が特徴的である。外国石油会社は、産油国または産油国国営会社の作業請負人(コントラクター)として作業を行い、併せて必要な資金と技術を提供する。探鉱の結果、商業規模の石油の発見があった場合、生産物から現物で投下資金を回収するが、通常、実費相当分はコスト原油として先取りすることができ、コスト回収後の原油を産油国と外国石油会社間で分けあう形式の契約である(JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典より抜粋)。2008.7 Vol.42 No.436iするPetrovietnamの分析とベトナム・ガス事業の展望2. Petrovietnamの分析 Petrovietnamは設立以来、ベトナムの石油ガス産業の上流および精製・販売分野の石油ガス統合企業として歩んできた。同社は、関連子会社および共同事業会社を通じて、ベトナムのエネルギー分野に独占的な地位を有している。また、多くの子会社を通じてすべての石油事業に関与しており、販売を含むガス事業をも管理下に置いている。(1)Petrovietnamの企業戦略 Petrovietnamは政府が100%を保有する国有石油会社であり、その事業戦略には国家のエネルギー政策が大きく反映されている。ベトナム首相府はPetrovietnamの収益力を向上させるため、2006年に同社を100%保有の子会社の統轄会社へと改組した。2020年ごろまでのPetrovietnamの企業目標には、次の項目が含まれる。① 国内石油ガス探鉱活動の推進と石油ガスの増産 多くの生産事業は、Petrovietnamと外国石油企業(Petronas、ConocoPhillips、ロシアZarubezhneft等)との共同事業によって実施されている。② 長期的な国内市場向けエネルギー調達の観点から、海外における石油ガス探鉱生産活動(E&P事業)およびエネルギー取引を拡大させる 海外のE&P事業は、アルジェリア、インドネシア、マレーシア等において、当該国営石油企業との共同事業の形態が多い。③ 石油精製事業と国内市場向け石油製品供給の促進 国内の製油所建設計画は大幅な遅れを生じていたが、第1製油所計画(Dung Quat製油所)は確定し、続いて第2、第3の製油所建設を検討中である。(2) Petrovietnamの事業推進能力とこれまでの事業実績 Petrovietnamは、近年、石油ガス産業に外国資本の投資を呼び込むことに成功を収めているが、パートナーとの企業目的が異なることから、さまざまな問題点が顕在化している。Petrovietnamの成功点、失敗点として、それぞれ以下の項目が挙げられる。Petrovietnamの官僚的企業体質が、共同事業会社の円滑な運営にとって阻害要因となっていることが指摘されている。a. 成功点・外国石油企業との共同事業を促進し、ベトナムを東南アジアの主要石油ガス生産国に育て上げた。・近年の外国石油企業(BP、Petronas、Conoco-Phillips等)との共同事業会社設立の成功とこれらによる探鉱の成功。・1998年に南東部海岸にDinh Coガス処理ターミナルを建設し、国内ガス需要に対処した。・2002年にBPとの共同事業として、BPが操業するLan Tay/Lan Doガス田からDinh Coガス処理ターミナルへのNam Con Sonガス・パイプラインを建設した。・アルジェリア、インドネシア、マレーシアを含む海外探鉱、生産資産の取得。CEOHead, Planningand Investment VP Logistics,Commerce and Services VP FinanceHSEand TechnologyExplorationand Production EngineeringandConstruction PetrochemicalsandRefineriesGas BusinessPower and GasDung QuatRefinery出所:WoodMackenzie図5Petrovietnamの組織37石油・天然ガスレビューAナリシスMalaysiaVietnamCoreNon-Core出所:WoodMackenzieMatureImmature図6Petrovietnamのポートフォリオ(1,000 boe/d)300GasLiquids年2030202820262024202220202018201620142012201020082006200420022000250200150100500出所:WoodMackenzie図7Petrovietnamの石油・ガス生産プロファイル百万ドルPetronasPTTEPPertaminaPetrovietnam50,00045,00040,00035,00030,00025,00020,00015,00010,0005,0000Upstream NPVMalaysiaOmanPakistanEgyptThailandSudanIndonesiaVietnamTurkmenistanMauritaniaChadMyanmarIran(注)10%割り引き後の現在価値出所:WoodMackenzie図8アジアNOCの上流分野での商業価値比較2008.7 Vol.42 No.438b. 失敗点・Petrovietnamの官僚的体質および外国石油企業との衝突に起因する、Dung Quat製油所、Nam Con Sonパイプラインを含む多くのプロジェクトの遅延。・ロシアZarubezhneftとの共同事業会社Vietsovpetroの経営は、近年パートナーとの衝突が多く、問題含みとなっている。・Dung Quat製油所建設事業に際して、いったん決まったパートナーが次々と撤退する結果を招き(Total、LG Group-Petronas-Conoco-Stone、Webster-CPC-China Development Co. consortium、Zarubezhneft)、大幅な遅延を生じた。(3)Petrovietnamの主要資産 Petrovietnamの資産内容は、国内資産に大きく依存している。国内資産は、主力のBach Ho油田の生産減退が進むものの、主にCuu Long堆積盆地において近年発見された新規油田が今後、順次生産を開始することから、バランスの取れた資産構成と考えられる(図6、図7)。 海外事業展開が遅かったことから、海外に所有する資産は隣接するマレーシアのPM3鉱区に保有する生産資産の他は、アルジェリア、インドネシア等に限られる。(4)東南アジアNOCとの比較 東南アジアの主要国営石油会社は、マレーシアのPetronas、インドネシアのPertamina、タイのPTTEP、そしてベトナムのPetrovietnamである。4社の上流分野での商業価値を比較すると、Petronasは国内資産にくまなく権益を保有し、海外資産も充実していることから他3社と比べて圧倒的に商業価値が高い。他3社はほぼ類似した資産価値であるが、歴史が浅く海外展開の遅れたPetrovietnamは、4社のなかでは最も資産価値が低い(図8)。(5)Petrovietnamの強み/弱点 Petrovietnamは主要アジアのNOC4社のなかでは規模、資産価値ともに最小であり、特に経営状態に優れるマレーシアPetronas、タイPTTEPに大きく水をあけられている。深海開発能力、LNG事業ノウハウ、EOR技術を含む先端技術・ノウハウを所有しないため、経営体質が見劣りする。Petrovietnamは近隣諸国のNOC、特にPetronasと良好な関係にあり、経営技能を習得する機会はあると考えられるが、その道のりは遠いと言わざるを得ない。Petrovietnamをさらに成長軌道に乗せるたiするPetrovietnamの分析とベトナム・ガス事業の展望めには、まず企業体質の改善が求められる。官僚的企業体質、遅い判断過程と意思決定、賄賂など汚職体質の改善がその改善すべき項目であり、時宜を計った対処が望まれる。 Petrovietnamの強み、弱み等を次に記す。わいろa. 強み・政府に厚く配当する結果、自社のプロジェクトに対する投資に制限が生じるc. 事業機会・国内および海外のE&P事業、石油精製能力、ガス・パイプライン等多様な分野において同時に進行する投資機会・国内で最大の生産資産を有する独占的な上流企業・今後生産を開始する油・ガス田を含む、国内の石油・ノン・コア事業の民営化・アルジェリア、ペルー等の海外探鉱推進ガス資産バランスが取れている・短中期の生産成長力に優れ、手元資金が豊富b. 弱み・官僚的経営体質が顕著で、投資決定と承認タイミングが遅いd. 懸案事項・長期的な石油ガス生産減退とキャッシュフローの縮小・国内の全般的な産業分野に投資が必要であるため、石油ガス上流分野への投資に制限が生じる懸念・政府の社会経済目標が、共同事業パートナーの経・汚職体質への対処営目標としばしば矛盾を生じる3. ベトナムのガス事業の展望(1)ガス供給ポテンシャル ベトナムのこれまでの大規模なガス発見は、南部沖合堆積盆地に集中している。主要油田が立地する南東部のCuu Long堆積盆地およびNam Con Son堆積盆地、そしてベトナム南西部沖合のMalay堆積盆地である。 現在、ガスを生産してベトナム国内市場に供給している油・ガス田は、次のとおりである。① Bach Ho/Rong油田の随伴ガス Bach Ho/Rong油田は、Cuu Long堆積盆地に位置し、ベトナムとロシアの共同事業会社Vietsovpetroが操業にあたっている。Bach Ho油田はベトナムを代表する大規模油田である。これら油田の随伴ガスが海底パイプラインで陸上の発電所に輸送され、発電用燃料として利用されている。② Rang Dong/Phuong Dong油田随伴ガス(Block 15-2) Rang Dong、Phuong Dong油田はやはりCuu Long堆積盆地に位置しており、日本ベトナム石油(株)が操業する油田である。Rang Dong油田は1998年に原油の生産を開始した。2001年にRang Dong油田からBach Ho油田へのガス・パイプラインが完成し、Rang Dong油田随伴ガスが発電用燃料として使用できるようになった。当初は無償で供給されたが、2003年末に商業ベースのガス取引が開始された。③ Lan Tay/Lan Doガス田(Block 06-1) Block 06-1はNam Con Son堆積盆地にあってベトナム南東岸から約370kmの沖合に位置し、BPをオペレーターとするコンソーシアムが操業を行っている。1993年にLan Tay/Lan Doガス田(非随伴ガス)が発見され、2000~2001年にかけてPetrovietnamとのガス販売等にかかわる契約が締結された後、開発作業が開始された。生産ガスはNam Con Sonガス・パイプラインで南東部沿岸のDinh Coガス処理ターミナルに送られ、コンデンセートを除去した後、ドライ・ガスはPhu My発電所および隣接する肥料工場で発電用燃料と肥料用原料として使われる。④ Rong Doi/Rong Doi Tayガス田(Block 11-2) Cuu Long~Nam Con Son堆積盆地にまたがるBlock 11-2は、韓国KNOCをオペレーターとするコンソーシアムが操業しており、1990年代半ばにRong Doi/Rong Doi Tayガス田が発見された。ガス田発見としては、BPが発見したLan Tay/Lan Doガス田に続くものである。ガ39石油・天然ガスレビュー008.7 Vol.42 No.440アナリシス 上記のガス生産事業が、既存の販売契約に基づくガス供給を実施しており(総量で約800MMcfd)、2015年ごろまで現在規模のガス供給を維持できるものと見られる。一方、2010年以降、Chevronが探鉱・評価作業中のMalay堆積盆地52/97、48/95 & B鉱区ガス田、および、これから順次生産開始されるCuu Long堆積盆地の新規油田(Su Tu Den、 Su Tu Vang等)の随伴ガスの供給が増加すると期待される。(2) ガス供給のインフラ設備:ガス・パイプライン 既存のガス・パイプラインは、沖合油・ガス田からベトナム南東部と南西部沿岸のガス処理施設およびガス火力発電所へのガス輸送を担っており、次の系統から成る(表、図10)。① Bach Ho油田・Rang Dong油田 → Dinh Coガス処理施設 → Ba Ria発電所 本パイプライン事業は、それまで利用されずにフレアされていたベトナムの主力油田Bach Hoの随伴ガスを初めて国内で発電用に利用するプロジェクトであり、1995年に開始された。2001年に、Rang Dong油田からBach Ho油田へのパイプラインが完成して、Rang Dong油田随伴ガスの利用も同様に開始された。② Lan Tayガス田・Rong Doiガス田 → Dinh Coガス処理施設 → Phu My発電所(Nam Con Sonパイプライン) BPが発見したLan Tay/Lan Doガス田の生産ガスを発電用に利用する初めての非随伴ガスプロジェクトである。パイプラインは2001年に建設が着工され、2002年にガス輸送が開始された。またKNOCのRong Doiガス田からの支線は2002年11月に完成した。20002002200420062008201020122014201620182020年Bach Ho/Rong_PVEPLan Tay/Lan Do_PVEPRong Doi/Rong Doi Tay_PVEPRang Dong_PVEPPhuong Dong_PVEPSutu Den/Sutu Vang_PVEPCa Ngu Vang_PVEPCai Nuoc_PVEPPM3 CAA_PVEPCa Voi/Ac Quy_PVEPKim Long/Ac Quy_PVEPBlock 15-1Block 05-2Block 12WThanh LongBlocks 01 and 02Block 52/97Hoa MaiMoc TinhBlock 11-2(注)10億Btu/d≒100万cf/d出所:WoodMackenzie図9ベトナムの油・ガス田別ガス生産ポテンシャル・プロファイルス生産は2006年12月に開始された。生産ガスはNam Con Sonガス・パイプラインを経由して、Petrovietnamに販売され、Phu My発電所および隣接する肥料工場で消費される。⑤ PM3 CAA(Commercial Arrangement Area、マレーシアとの境界線地域) PM3鉱区は、マレーシアとベトナム間の沖合境界線が定まっていない地域にある。しかし、2000年に両国間で同地域内での資源開発と生産物配分にかかわる協定が合意され、また、PM3 CAA鉱区のガス田が延長するベトナム領海内の46-Cai Nuoc PSCとのユニタイゼーション契約が締結された。Petrovietnamは両鉱区の生産物の50%を引き取る権利を有する。2,0001,8001,6001,4001,2001,0008006004002000bBtud表既存のガス・パイプラインの詳細パイプライン起点パイプライン終点Bach Ho油田Rang Dong油田Dinh Coガス処理施設Lan Tayガス田Dinh Coガス処理施設Bunga Raya油・ガス田Dinh Coガス処理施設Bach Ho油田Ba Ria発電所Dinh Coガス処理施設Phu My発電所Ca Mau発電所オペレーターPetrovietnamPetrovietnamPetrovietnamBPBPPetrovietnam距離107km45km 9km370km 29km325km輸送能力200 MMcfd100 MMcfd-700 MMcfd700 MMcfd200 MMcfd20120121121122122ChevronChevron123123124124POGOPOGO125125126126127127ONGC-V.ONGC-V.128128ONGC-V.ONGC-V.Nam Con Son Basin0m00,2000m,3③ Bunga Raya油・ガス田(マレーシアPM3 CAA鉱区) → Ca Mau発電所 PetrovietnamはマレーシアPM3 CAA鉱区生産ガスの50%引き取り権を有しており、2007年末に完成した本パイプラインで、ベトナム側鉱区の生産ガス輸送も行う。 先述したように、新規油田およびガス田生産開始に伴い、新たなガス・パイプライン建設が計画されている(図12)。④ Su Tu Trangガス田 → Dinh Coガス処理施設(パイプライン距離130km) ConocoPhillips等を中心とする共同操業会社Cuu Long JOCが操業する15-1鉱区(Cuu Long堆積盆地)では、2005年にSu Tu Den油田が生産を開始し、今後鉱区内の油・ガス田が順次生産を開始する。同鉱区内Su Tu Trangガス田は2012年ごろに生産を開始すると見られ、同時期までに同ガス田から陸上のガス処理施設までのパイプラインが建設される可能性が高い。CHINACHINAHainanIslandm001,0101101SantosSantosg Hg Hoonn102&106102&106PetronasPetronas107107PVPVSSHanoi103103PVPV104104asin asin g Bg Boonn112&113112&113VietgazpromVietgazprom114114115115105-110/04105-110/04111/04111/04116116Dung Quat117117118118119119CAMBODIACAMBODIAPhnom PenhVIETNAMVIETNAMHo Chi Minh1OMonno Li snua g2Ba RiaPhu MyuCBCa Mau3hevronBC52/97ChevronMalay Basin 製油所(計画中)発電所発電所(計画中)MYANMARMYANMAR油田ガス田ガスパイプラインガスパイプライン(計画中)オイルパイプライン堆積盆地LAOSLAOSTHAILANDTHAILANDBangkok⑤ Hai Thach/Moc Tinhガス田(05-2、05-3鉱区)→ Dinh Coガス処理施設(Nam Con Son第2パイプライン、パイプライン距離340km) BPは、Lan Tay/Lan Doガス田の北方に隣接する05-2、05-3鉱区にHai Thach/Moc Tinhガス田を発見し、2006年に同ガス田開発計画の素案が承認された。しかしガス輸送方法が定まっていない。既存のNam Con Sonパイプラインとは別に、Nam Con Son第2パイプラインを建設する計画もオプションの一つである。この第2パイプライン・オプションが採用された場合は、2012年ごろまでにガス田開発とパイプライン建設が進められる可能性がある。2002200420062008201020122014201620182020年2,5002,0001,5001,000500MMcfd02000Bach Ho to Phu MyBlock B to OMonNam Con Son 1 and 2Su Tu Trang to OnshorePM3 CAA to Ca Mau出所:WoodMackenzie図11ベトナムのガス・パイプライン輸送能力の推移41石油・天然ガスレビューMALAYSIAMALAYSIAINDONESIAINDONESIA出所:各種情報・報道からJOGMEC作成図10ベトナムの既存ガス・パイプライン(図中と本文中の番号を参照)躍進するPetrovietnamの分析とベトナム・ガス事業の展望AナリシスCHINACHINAHainanIslandm001,0101101SantosSantosg Hg Hoonn102&106102&106PetronasPetronas107107PVPVSSHanoi103103PVPV104104asin asin g Bg Boonn112&113112&113VietgazpromVietgazprom114114115115105-110/04105-110/04111/04111/04120120121121122122ChevronChevron123123124124POGOPOGO125125126126127127ONGC-V.ONGC-V.128128ONGC-V.ONGC-V.Nam Con Son 5Basin0m00,2000m,3116116Dung Quat117117118118119119CAMBODIACAMBODIAPhnom PenhVIETNAMVIETNAMHo Chi Minh47OMonuCBCa Mauo Li snua gnBa Ria6hevronBC52/97ChevronPhu MyMalay Basin MALAYSIAMALAYSIAINDONESIAINDONESIA製油所(計画中)発電所発電所(計画中)MYANMARMYANMAR油田ガス田ガスパイプラインガスパイプライン(計画中)オイルパイプライン堆積盆地LAOSLAOSTHAILANDTHAILANDBangkok⑥ 52/97、48/95 & B鉱区→ OMon発電所(パイプライン距離400km) オペレーターのChevronは52/97、48/95 & B鉱区(Malay堆積盆地)のガス田開発を進めており、順調に進展すれば2011年ごろまでにガス生産が開始される。その場合、沖合ガス田からガス供給先のベトナム南西部OMon発電所へのガス・パイプラインが建設される。⑦ Phu My発電所地域 → OMon発電所(ベトナム南部陸上の東西接続パイプライン、パイプライン距離180km) ベトナム政府のガス・マスター・プランによれば、ホーチミン市近郊のPhu My発電所地域と西方のOMon発電所のパイプラインを相互に接続する計画である。2002200420062008201020122014201620182020年On-Grid PowerCaptive PowerNon-Power2,0001,8001,6001,4001,2001,00080060040020002000bBtud(注) 10億Btu/d≒100万cf/d   On-Grid Power:広域供給用の発電所、Captive Power:自家消費用の発電所、Non-Power:肥料を含む産業用出所:WoodMackenzie図13ベトナムのガス需要想定出所:各種情報・報道からJOGMEC作成図12ベトナムの将来のガス・パイプライン建設計画(図中と本文中の番号を参照)(3)ガス価格 東南アジア産油国のなかで、ベトナムのガス田開発とその利用開始時期は最も遅く、ガス産業は国営石油会社Petrovietnamを通じて政府の強い管理下にある。ベトナムのガス価格は、政策的に低く価格設定されたマレーシア*2を除き、東南アジア市場で最も低い水準にある。最初にガス利用が開始されたBach Ho油田では、Petrovietnamがベトナム発電公社に販売する随伴ガス価格は2ドル/MMBtu台にあると見られる(2007年価格)。民間企業のBP、国営企業のKNOCが販売するLan Tay/Lan Doガス田、Rong Doi/Rong Doi Tayガス田の売価であっても、3ドル/MMBtu台にとどまっている。(4)ガス需要と見通し 政府の政策に基づき、ベトナムガス需要のほとんどが発電用である。もともと東南アジアでは暖房需要がないため家庭用ガス需要が成立し難く、同地域で発展した輸出用組み立て加工産業のエネルギー消費形態が電力であ*2:マレーシア政府はエネルギー価格への補助金負担を削減するため、2008年5月の石油製品値上げに続き、6月に電力料金、ガス価格を大幅に引き上げることを決め、7月から実施する。2008.7 Vol.42 No.442iするPetrovietnamの分析とベトナム・ガス事業の展望るため、産業向け電力需要が大きい。勢い、タイ、マレーシアのような輸出型製造業が発達したアジア中進国のガス需要は電力向け比率が高い(輸送ロス等を除いてそれぞれ65%、90%)。ベトナムでは、ほとんどすべてのガス輸送パイプラインが発電所向けに建設されているため、ほぼ全量が発電所、および隣接する肥料工場など産業施設で消費されている。 将来は一般産業向けのガス供給も増加すると見られるが、2020年ごろまでのガス需要想定では、消費量の80%以上を発電用が占める構造に大きな変化はないと見られる(図13)。(5)電力需給と電力用燃料 用途別の電力需要は、50%弱が家庭・業務用、残余を産業用が占める構造が継続すると考えられる。 東南アジアのなかでは遅れて産業化を開始したベトナムでは、1990年代中ごろまで電力需要が小さく、供給の70%強が水力発電によって賄われていた。やがて産業化が進展し、ガス供給が開始されてから、徐々にガス火力発電比率が増加してきた。しかしガスの国内供給力には限界があり、またベトナムは石炭産出国でもあることから、将来は、石炭火力発電所設備が増えると考えられる(図14)。ベトナムの政府部内では、各部局によって異なるさまざまなエネルギー供給計画が検討されており、統一的な政府見解が見えにくい。2007年に政府が作成したガス・マスター・プランではガス発電比率が高まり、2010年以降ガス輸入国になるとの見解が示されている。しかし、近隣にはガスを容易に調達できる相手国がなく、LNGを国際市場価格で大量に購入することは考えにくい。ベトナムがLNGを購入できるのは、国産ガス価格を大幅に値上げできたときのみである。ガス消費は国産ガス供給の範囲内にとどまり、相対的に安価な石炭火力発電による電力供給比率が徐々に高まる可能性が高い。 地域別に見ると、先に産業化が進展したベトナム南部は、既存発電設備能力が相対的に大きい。また既発見のガス供給力が大きいことから、新たに建設される発電設備はガス火力発電所(コンバインド・サイクル:ガス・火力)の比率が高まると考えられる。一方、北部は2000年以降に産業化が進展した。石炭と水資源が豊富であることから、新規発電設備は石炭火力と水力発電所の比率が高くなると考えられる。両地域間では産業化の経緯とその基盤が異なり、南部のエネルギー需要が引き続き北部の需要を上回ると考えられることから、北部から南部への送電量の拡大が考えられる。(6)ガス供給と需給バランス 現時点で契約済みおよび契約可能なガス田からの供給量は限定されており、2010年以降は既存ガス供給が想定需要を下回ると見られる。 しかし、ベトナムには2010年以降に新規ガス供給が可能になると見られる既発見ガス資源が多い(図15)。先に将来のガス・パイプライン建設見通しに際して言及したChevronの52/97、48/95 & B鉱区(Malay堆積盆地)、Cuu Long JOCが操業する15-1鉱区(Cuu Long堆積盆地)、さらにBPの05-2、05-3鉱区を含む地域のガス020002002200420062008201020122014201620182020年Contracted & CommittedBlock 05-2Block 52/97Hoa MaiKim Long/Ac Quy_PVEPBlocks 01 and 02Block 11-2Block 12WBlock 15-1Moc TinhCa Voi/Ac Quy_PVEPThanh Long(注)10億Btu/d≒100万cf/d出所:WoodMackenzie2,0001,8001,6001,4001,2001,000800600400200bBtud20062008201020122014201620182020年CCCTWindHydroST(注) CC:combined cycle gas turbine(ガス使用)、CT:coal-fired turbine(石炭使用)、Wind(風力)、Hydro(水力)、ST:steam turbine(石炭使用)出所:WoodMackenzie60,00050,00040,00020,00010,000030,000MW図14電源別の発電量見通し図15ガス供給見通し43石油・天然ガスレビューong Hong Basin20 TcfMalay Basin12 Tcf出所:WoodMackenzieアナリシスPhu Khanh Basin35 TcfCuu Long Basin30 TcfSouth Con Son Basin10 tcf図16BPによる未発見ガス埋蔵量の見通し供給ポテンシャルである。これらの地域の多くで既に新規石油ガスが発見されており、ガス商業化のめどが立てば開発移行される可能性が高い。(7) 未発見ガス・ポテンシャルと将来のガス事業の展望 ベトナムの既存石油ガス生産地域であるCuu Long堆積盆地、Nam Con Son堆積盆地は、なお相当量の未発見ガス埋蔵量を有すると考えられる。ベトナムで最初に非随伴ガスのLan Tay/Lan Doガス田を開発したBPは、2007年11月に開催された第3回ベトナム石油ガス会議において、図16に示す未発見ガス埋蔵量の見解を発表した。 BPは、Cuu Long堆積盆地の未発見ガス埋蔵量を30Tcfと見ている。さらに、未探鉱地域の中部沖合Phu Khanh堆積盆地および北部トンキン湾沖合Song Hong堆積盆地に、相当量の未発見埋蔵量を見込んでいる。しかし、北部および中部の探鉱地域は深海域であるため、ガス生産コストが上昇することを念頭に置く必要がある。 今後のベトナムのガス産業を展望するにあたって、次のような課題が考えられる。 最大の課題は、ベトナム政府とPetrovietnamは、国内ガス価格がガス探鉱と事業化に与える影響を十分に認識していない点である。ガス価格問題は、将来ベトナムがLNGを含むガス輸入を検討する際にも重要な項目である。 ベトナム国内には、なお豊富な未発見エネルギー資源があると見られるが、それでもガス輸入が検討されることが考えられる。ベトナム政府とPetrovietnamは、国内のガス探鉱を進めるには適切なガス価格が必要であることを認識しておらず、ある程度高い価格でガス購入契約を締結する意思がない。それでも、ガス輸入を検討しようとするのは、環境対策問題である。最近ベトナムの首相が北京を訪問した際に石炭多消費に伴う環境の悪化を目の当たりにして、環境対策上、ガス使用の有用性を認識したと伝えられる。首相府のイニシアチブにより、エネルギー供給計画(PDP6)で計画されていた石炭火力発電所に代わり、より多くのガス消費が選択される可能性もある。そうなった場合は、将来のガス消費が本稿で示したガス需要想定を上回る可能性がある。 インドネシアのナツナDアルファ・ガス田は距離的にはベトナムに近い。同ガス田はCO2含有率が高く、開発コストが高額になるため、まだ開発方法は定まっていない。ベトナム市場向けパイプライン・ガス供給も一つの可能性と考えられる。2008.7 Vol.42 No.444
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国・地域 アジア,ベトナム
2008/07/18 [ 2008年07月号 ] 坂本 茂樹
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