ページ番号1006343 更新日 平成30年3月5日

インドネシア:CBM 開発への展望

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レポートID 1006343
作成日 2008-09-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG非在来型
著者
著者直接入力 坂本 茂樹
年度 2008
Vol 42
No 5
ページ数
抽出データ インドネシア:CBM開発への展望・インドネシア政府は、2008年5月末、Medco*1/Ephindo*2から成るインドネシア企業コンソーシアムと、同国最初のCBM(Coal Bed Methane:炭層メタンガス)探鉱・開発にかかわるPS契約(生産物分与契約)を締結した(南スマトラの鉱区)。その後、さらに新たなCBM鉱区の契約締結が続き、またVICO*3、PertaminaなどによるCBM開発計画も表明された。米国でCBMを含む非在来型ガス田開発が活発化し、豪州東部でCBMを原料ガスとするLNG事業計画が脚光を浴びるなど、世界的にCBM開発が活発化するなかにあって、世界でも有数の石炭資源を有するインドネシアにおいてもCBM開発が開始されようとしている。Shell、豪州Arrow Energyなど、CBM生産者を含む外国企業も同国のCBM開発に関心を寄せている。・インドネシア政府は、2003年に南スマトラのCBM実験プロジェクトを支援することで同国のCBM開発の検討を開始した。政府とADB*4が2002年に実施したCBM資源にかかわる共同調査によると、同国のCBM埋蔵量は453Tcfと想定され、世界でも有数の規模となる。しかし、インドネシアにおけるCBM開発は先行する米国、豪州とは異なってまだ初期段階にあり、短・中期的にガス市場に及ぼす影響は限定される。同国のCBM開発は経験が浅い上、技術の蓄積に乏しく、販売市場、開発資金、法制整備等に問題を抱える。また外資にとって同国の石油ガス上流事業自体が依然として厳しい投資環境にあるなど、解決すべき課題が多い。本稿は、インドネシアでいよいよ開始されたCBM開発の現況を概観し、今後の見通しと課題を検討する。1. CBM鉱区PS契約の締結 2008年5月28日、インドネシア石油・ガス上流企業のMedcoおよびEphindoは、インドネシア政府と南スマトラ堆積盆地におけるCBM鉱区のPS契約に調印した。インドネシアで最初のCBM開発のPS契約である。続いて6月26日、ジャカルタで開催されたCBM国際会議“Indo CBM 2008”においてさらに2件のCBM開発にかかわるPS契約が調印された。これらPS契約の内容は表1のとおりである。2008/6/262008/5/28締結日コントラクター地域鉱区名・Medco(オペレーター)・Ephindo2008/6/26Samantaka Mineral PrimaRidlatama Mining Utama出所:各種資料より筆者作成 インドネシア政府の支援により、南スマトラ産炭地域において2003年からCBM実験プロジェクトが実施されており、Medcoもこれに参加していた。数年の検討期間を経てPS契約が締結され、いよいよインドネシアでも本格的にCBM事業が開始されようとしている。エネルギー鉱物資源省によると、さらに50を超える企業がスマトラおよびカリマンタン島においてCBM鉱区のPS契約を申請しているという。 しかし、インドネシアの石油・ガス上流投資環境は、もともと経済条件が厳しいことに加えて、ことCBMに関しては表1CBM開発にかかわるPS契約南スマトラSekayuスマトラRiauIndragiri東カリマンタンBentian Besar投資額、作業当初2年で500万~750万米ドルを投資(生産井掘削)利益配分比率政府:55%事業者:45%政府:60%事業者:40% (両鉱区を合わせて)当初3年で政府:55%事業者:45%1,300万米ドルを投資*1:Medcoenergi、インドネシアの有力民間石油企業。1980年に掘削サービス会社として発足後、石油上流企業へと成長。*2:2005年に設立されたインドネシアの石油上流企業。2006年に石炭採掘ILTHABI REKATAMA社とコンソーシアムを組み、CBM開発を検討している。*3:Virginia Indonesia Company BPとEniがそれぞれ50%出資するガス生産共同事業会社。東カリマンタンSanga Sangaガス田のオペレーターでもある。*4:Asian Development Bank アジア開発銀行。73石油・天然ガスレビューN2007200620052004200320022001200019991998199719961995199419931992bcf/d生産量消費量012345678生産量消費量1,600千b/d1,4001,2001,00080060040020002991399149915991699179918991999100021002200230024002500260027002年出所:BP統計2008年6月出所:BP統計2008年6月図1インドネシアの石油生産・消費量の推移図2インドネシアのガス生産・消費量の推移実務経験、技術力の蓄積が乏しいため、商業生産に至るまでには困難が予想される。CBM事業実現には、政府支援や契約条件のインセンティブ措置が求められる。 以下に、CBM開発の現況と今後を展望する。2.インドネシアのCBM事業(1)政府のCBM開発検討開始 インドネシアでは1990年代半ば以降、国際石油企業の新規進出が減少して探鉱活動が落ち込んだことから、石油、天然ガスともに生産が低迷している。特に石油需給は2004年に純石油輸入国となり、原油生産の減少傾向に歯止めをかけることができずに需給ギャップが拡大している。一方、インドネシアは国内市場に石油製品を供給するための十分な原油処理能力を持たないため、石油製品輸入が増加している。数年来の原油価格高騰に伴って輸入製品価格も上昇し、国内石油製品市況を安定させるための補助金額が増加し国庫を圧迫するという悪循環が続いている(図1、図2)。 インドネシア政府は、国内市場の石油依存度を減らすために、天然ガス、石炭を含む国産エネルギー利用を進めようとしている。インドネシアには豊富な石炭資源があってCBM埋蔵量も豊富と見られ、CBMも将来の有望な国産エネルギーとしての役割を期待されている。出所:LEMIGAS資料(第2回IndoOGP2008、2008年2月)図3インドネシア政府が支援した南スマトラRambutan CBMフィールド インドネシア政府は、2003年にCBM開発促進のための国家チームを作り、翌2004年からCBM探査実験作業の実施、CBM開発にかかわる法整備、CBM生産技術の開発等の作業を開始した。チーム・メンバーは、LEMIGAS(エネルギー鉱物資源省傘下の石油ガス技術開発センター=チームリーダー)、BP Migasなど政府系機関が中心である。CBM探査実験作業は、最も高いCBMポテンシャルを持つと考えられる南スマトラ堆積盆地のRambutan地域で実施された(図3)。(2)インドネシアの石炭資源 インドネシアは石炭資源が豊富であるが、カロリーが高く高品質とされる無煙炭、瀝青炭の比率が低く、褐炭の比率が高い。褐炭はインドネシア石炭資源の約60%近くを占める。無煙炭、瀝青炭はカリマンタン島に多く、スマトラ島の石炭はほとんどが褐炭といわれる。褐炭はカロリーが低く、自然発火しやすい欠点があって輸送が難しいため、これまで石炭として利用されることが少なかった。しかし、南スマトラの石炭(褐炭)はガス資源密度が高いため、インドネシアのCBM開発では最も有望と見なされている。2008.9 Vol.42 No.574\2インドネシアの石油ガス埋蔵量表3堆積盆地ごとのCBMのポテンシャルおよび埋蔵量在来型資源石油天然ガス非在来型資源CBM埋蔵量89億バレル187 Tcf453 Tcf (possibleを含む)出所: 第32回IPA(Indonesian Petroleum Association)会議資料(2008年6月)(3)インドネシアのCBM資源 インドネシア政府が認識する、在来型および非在来型の石油ガス資源埋蔵量は表2のとおりである。 CBM埋蔵量は、インドネシア政府が2002年にADBと共同で実施したCBM埋蔵量調査に基づく。 インドネシアは453TcfのCBM埋蔵量を有する可能性があり、これは同国の天然ガス埋蔵量の2倍以上に相当する。このCBM埋蔵量規模は、ロシア、北米、中国、豪州と並んで世界でも5指に入る(図4)。 堆積盆地ごとのCBM推定埋蔵量を表3に示す。ポテンシャルが高いと見なされる堆積盆地は、スマトラ島の南スマトラ、中部スマトラ堆積盆地、そしてカ堆積盆地南スマトラBaritoKutei中部スマトラ北部TaranakiBerau 他スラウェシ、Bengkulu地域ポテンシャルスマトラ島カリマンタン島カリマンタン島スマトラ島カリマンタン島カリマンタン、スラウェシ、スマトラ島 他スラウェシ、スマトラ島高高高高中中低合計埋蔵量183 Tcf102 Tcf80 Tcf53 Tcf17 Tcf13 Tcf5 Tcf453 Tcf出所:LEMIGAS資料(第2回IndoOGP2008、2008年2月)リマンタン島のBarito、Kutei堆積盆地である。この4堆積盆地の合計埋蔵量は418Tcfとなり、インドネシアの全CBM埋蔵量の92%を占める。(4)インドネシア政府のCBM開発計画 政府は、2006年の大統領令5号として、インドネシアの長期エネルギー見通しを発表した。2025年をゴールとする中長期エネルギー供給政策を、石油消費比率の削減、それに代わるガス、石炭および新エネルギー比率の増大に置いた。CBMは地熱、バイオ燃料、原子力等とともに「その他」に分類される(図5)。 政府はさらに、図6に示すCBM開発ロードマップを作成して、CBM開発を推進しようとしている。 2008年上期に既に複数のCBM鉱区契約が調印されており、生産開始は2010年頃と推測される。中長期的なCBM生産量は、2015年に最大で100MMcfd、2020年に最大500MMcfd、2025年に最大1Bcfdと想定している。(5)CBM開発の法的枠組み CBM開発にかかわる法令は、2006年の「エネルギー鉱物資源相規則 No. 33/2006」を基にしている。CBMの所有権は州に%1009080706050403020100その他 5%その他 5%石炭 14%石炭 14%*その他 17%その他 17%ガス 27%ガス 27%石炭 33%石炭 33%石油 54%石油 54%2005年ガス 30%ガス 30%石油 20%石油 20%2025年*2025年「その他」17%分の内訳地熱バイオ燃料石炭液化5%5%2%原子力CBM(全体の1?2%)バイオマス水素燃料他5%出所: エネルギーMix(大統領令2006年5号)図5インドネシア政府の長期エネルギー見通し出所:LEMIGAS資料(第2回IndoOGP2008、2008年2月)図4インドネシア石炭堆積盆地のCBMポテンシャル75石油・天然ガスレビューP: CBM?1Rambutan(GOl Sponsor)EvaluationPP : CBM ? 1,2,3CBM Production (Projection)~100 MMcfdUSD 600 millionUSD 2.5 millionCBM Production (Projection)~1 BcfdPP CBM: ? 2,3(Private sponsor)2nd-5th KKSCBM Production (Projection)~500 MMcfdIncentive alteration20042006200720082009201020152025KKS increment / Production rate = 250 MSCFD/well2020Ministerial Regulation033/2006 & ContractModelFirst CBMProductionThe beginning of CBM Era(The 1st KKS)Legend:Govenment ParticipationProject EvaluationThe beginning of Commercial EraCBM ProductionPP : Pilot ProjectPSC : Production Sharing ContractInvestment and Production Projection出所:Ephindo社HP(Global Coal Bed Methane Energy Summit発表資料、2008年1月)図6CBM開発のロード・マップン島)から広域ガス・パイプラインを経由して、主要エネルギー消費地のジャワ島に供給する。3. 具体的なCBM開発計画(1)南スマトラ堆積盆地のCBM開発 南スマトラ堆積盆地は、インドネシアで最もCBM開発が有望な地域と考えられている。CBM資源の有望性に加えて、南スマトラから西ジャワへの幹線SSWJ(South Smatra-West Jawa)ガス・パイプラインが2007年3月に完成しており、今後、輸送能力の増強も予定されているため、将来、CBM生産が本格化した際に最大エネルギー市場のジャワ島に対するガス輸送が可能になるメリットが大き(図7)。い Medco/Ephindo鉱区を含む南スマトラのCBM事業は、探鉱から商業生産の可否を確認するまでに5年程度の期間を要すると考えられる。その間の試験生産段階では、生産物は鉱区近隣の肥料工場等小規模な産業用需要に向けられる。商業生産への移行が決まった後、生産物はスマトあるが、管理権は中央政府にあるとされる。インドネシアにおけるCBM開発は、経験、技術が乏しく、コストが高く、在来型石油ガスに比べて事業化に年数がかかると見られるため、CBM開発契約の経済条件に優遇措置を設けることが必要と考えられている。政府は現在、CBM開発にかかわる法的枠組みを作成中であり、程なく完成すると見られる。なお2007年11月に、CBM開発にかかわる利益配分比率の目安を、政府55%:コントラクター45%とすることが定められた。このCBM開発利益配分比率は、石油、ガスの標準的な数値(コントラクター取得率は、それぞれ15%、30%)に比べるとコントラクターに有利な条件となっている。(6)政府のCBM開発事業化の方針 政府は、CBMをまず国内市場向けエネルギー源として、下記のように段階的に事業化を進めようとしている。当初はCBM生産地域周辺の小規模需要向け供給から開始し、最終的には広域ガス・パイプラインを経由して最大消費地ジャワ島向けに供給することを念頭に置いている。① 短期(2010年)~ 地方のエネルギー基礎需要を充足させるため、家庭用、発電用に小規模な実験プロジェクトを実施。② 中期(2014年)~ 製鉄、発電など産業用および輸送用に供給する。③ 長期(2020年)~ CBM生産地域(スマトラ、カリマンタ105 N05 S10ArunArunMalaysiaDuriSumatraSumatraBruneiBruneiMLNGMLNGNatuna SeaBontangBontangKalimantanKalimantanOffshoreMahakamSouth SumatraOffshoreNorth West JawaIndian OceanSemarangSemarangMaduraMaduraKangeanKangeanLNGプロジェクト(稼働中)LNGプロジェクト(計画中)ガスパイプライン(既存)ガスパイプライン(計画中)SenoroSenoroTangguhTangguhBanda Sea095 E100500KmCEPU PSCCEPU PSC1,000105110115120125130135出所:各種情報・報道からJOGMEC作成図7SSWJガス・パイプラインを含むインドネシアのガス・パイプライン、LNG液化基地位置図2008.9 Vol.42 No.576奄フ相対的に大きな産業需要向けに供給される。最終的にある程度の量を安定的に生産できることが実証された後に、SSWJパイプラインを経由してジャワ島向け供給が行われると見られる。ジャワ島へのCBM供給が可能になり、国内ガス市場へのインパクトが判明するのは、2015~2020年頃になると考えられる(図8)。 南スマトラの主要ガス生産者であるPertaminaは、Sydney Gas 、Shellとそれぞれコンソーシアムを組み、同地域におけるCBM開発に乗り出そうとしている。Pertamina上流分野の幹部が2008年6月末に明らかにした。既に政府にCBM開発計画を提出しており、承認取得後、2008年内にも探鉱作業を開始する計画といわれる。5,500万ドルを投じてCBMの探鉱、開発を実施し、2~3年で商業生産を目指すという。Pertaminaは南スマトラにガス田を保有しており、SSWJガス・パイプラインを通じてジャワ島にガスを供給する主要生産者である。同地域のガス・マーケティングに精通していることから、CBM開発が軌道に乗れば、事業化に有利な立場にあると考えられる。(2) VICOによるSanga Sanga鉱区のCBM開発(カリマンタン島東部Kutei堆積盆地) VICO幹部は2008年6月中旬、同社のカリマンタン島東部Sanga Sanga鉱区においてCBM開発を実施するため、2015年までに50億ドルを投資する計画であることを明らかにした。同社は、Sanga Sanga鉱区に10TcfのCBM埋蔵量があると想定している(図9)。 VICOのSanga Sangaガス田はBontang液化基地向けの主要ガス供給元であり、1990年代はTotal/INPEXのマハカム沖ぐ1,200MMcfd以上の原料ガガス田を凌スを供給していた。しかし2000年以降、生産減退が進み、2007年の生産量はしの77石油・天然ガスレビューProject Area MapSouth SumatraLegendCoal Bearing FormationNeogenPaleogenCityCompanyShellCGRNEDOPrivateProject AreaCGR Report AreaPalembangPalembangSouth Sumatra出所:Ephindo社ホームページより図8Medco/EphindoのSekayu鉱区を含む南スマトラのCBM地域01020406080KmLampungKalimantanKalimantanINDONESIAIndian Oceanm002m001,0m002,0BangkaBangkaBontang LNG PlantBontang LNG PlantINDONESIAINDONESIASantan TerminalSantan TerminalWest SenoWest SenoSangaSangaSangaSangaBalikpapan RefineryBalikpapan RefineryRanggasRanggasGehemGehemOffshoreOffshoreMahakamMahakamTotalTotalGendangGendangGendaloGendaloMahaMahaVICO BlocksChevron BlocksGas FieldOil Field出所: 各種情報・報道からJOGMEC作成図9東カリマンタンBontang液化基地と原料ガスを供給するガス田群. インドネシアのCBM開発の展望と課題かさ(1)CBM開発の課題 インドネシアのCBM開発への課題は、技術的課題とコマーシャル分野の課題が考えられる。 既述のように、インドネシアは国内のCBM開発経験・期間が短く、開発技術の蓄積が乏しい。技術的課題としては、インドネシアの各地域で生産されるCBMの性状・特徴の把握、可採埋蔵量の精査、CBM生産コストの精査、随伴水の処理技術・方法の確立、利用可能な海外の既存技術の適用等が考えられる。 コマーシャル分野の課題として、まず、CBM生産がインドネシアの在来型ガス生産(ほとんどが陸域、浅海域)に比べてむと見られるため、CBM鉱コストが嵩区PC契約に適切なインセンティブ措置を盛り込む必要がある。政府は先にCBM鉱区の利益配分比率を在来型石油ガス鉱区に比べて有利な“政府55%:コントラクター45%”の標準を定めた。現在、政府はCBM探鉱にかかわる法令を準備中であり、間もなくその作業が完了する予定である。 次に、外資参入の必要性を念頭に置き、ガスを含む国内エネルギー市場の市場価格化を進め、エネルギー産業分野の投資環境を徐々に改善することである。在来型ガス開発事業に比べて事業採算に劣るCBM事業に外資を呼び込むには、不評であるインドネシアの投資環境の改善が必須である。(2)CBM開発の展望 インドネシアのCBM資源が有するポテンシャルは大きいが、同国のCBM開発はまだ初期段階にあり、その成果は今後の事業進展のいかんにかかってくる。 CBMの開発、生産で先行する米国は、既にCBM生産量を飛躍的に増大させて国内の主要ガス供給源としての立場を確立している。後続の豪州では、CBMは既に主要エネルギー消費地東部のガス供給の25%を占め、CBMを原料ガスとするCBM-LNGプロジェクトは新たなLNG事業形態として脚光を浴びている。これらの地域では、もともと国内に成熟したガス市場を持ち、輸送インフラ、法制度を含むガス供給態勢が整っていた。米国では在来型ガス生産量が頭打ち傾向にあり、新たなガス資源が登場して事業採算の目処がつけば自ずと生産が伸びる事業環境にあった。 一方、インドネシアは主要なLNG輸出国であるが、国内ガス市場は未熟でガス輸送インフラは限定されている。国内エネルギー価格は統制色が強いためガス事業の採算は必ずしも良好ではなく、エネルギー分野の投資環境は厳しい。東南アジアでは相対的になお豊富な在来型ガス埋蔵量を持ちながら、輸出と国内市場向けの両面をめぐって明確なガス事業政策を打ち出せておらず、外国石油企業の開発投資も及び腰の状態である。 2003年以降、政府主導でCBMの実験生産が実施されてきたものの、国内企業には生産技術の蓄積が乏しいため、その商業ベースの生産には米国、豪州以上に期間を要する可能性が高い。原油価格高騰のあおりを受けて、利用可能な国内エネルギー開発を促進しようとする機運が高まっている。この機会にガスを含むエネルギー産業の市場化、効率化を達成できれば、CBM生産もまずは国内市場向け主要エネルギー源の一つとして軌道に乗る可能性がある。しかし、全般的な成果が現れるのは早くても2015年以降で、中長期的観点からの事業になると考えられる。(坂本 茂樹)2008.9 Vol.42 No.578470MMcfdであった。今後、さらに生産減退が進むSanga Sangaガス田は、Bontang液化基地向けガス供給源としての役割を急速に減じていく。 VICOは有望なCBM賦存地域でもあるKutei堆積盆地にあるSanga Sanga鉱区内のCBMを開発してBontang液化基地に供給することで、同基地向け主要原料ガス供給者としての地位を維持しようとしている。同社はCBM生産量を、2010年に10MMcfd~30MMcfd、2015年に500MMcfdに引き上げることを目標にしているという。 カリマンタン島には大きなガス需要がなく、またエネルギー主要消費地ジャワ島へのガス・パイプラインが建設される可能性は低い。CBMをLNG用原料ガスとして使用することができれば、カリマンタン島で産出するCBMの商業価値は大きく高まる。VICOに限らず、Kutei堆積盆地でBontang液化基地に近い鉱区を保有するコントラクターは、すべて液化基地向けCBM供給者になる潜在的可能性を有する。しかし、豪州クイーンズランド州のCBM-LNG案件成立の経緯に見るように、CBMをLNG向け原料ガスとしての事業化に目安をつけるには10年以上の期間を要している。Kutei堆積盆地のCBMを液化基地に供給する事業がつけられるのは早くても化の目2015年以降と想定され、CBM供給を材料としてBontang液化基地の拡張が検討できるのは、2020年以降になると考えられる。ど処め(3)外国企業との共同事業の可能性 現時点でインドネシアのCBM開発に興味を示している外国企業は、Shell、Arrow Energy、Santos、Sydney Gas、LNG Japan、石油資源開発を含む数社といわれる。CBM開発にかかわる法定枠組みがまだ明確になっていないため、Pertamina等インドネシア企業との共同事業を実施することが当面の現実的な事業参入の方法であると考えられる。
地域1 アジア
国1 インドネシア
地域2
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国・地域 アジア,インドネシア
2008/09/19 [ 2008年09月号 ] 坂本 茂樹
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