ベネズエラ: PDVSAのLNG輸出計画など最近の動向
| レポートID | 1006344 |
|---|---|
| 作成日 | 2008-09-19 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガスレビュー 2 |
| 分野 | 天然ガス・LNG探鉱開発 |
| 著者 | 舩木 弥和子 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2008 |
| Vol | 42 |
| No | 5 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | ベネズエラ:PDVSAのLNG輸出計画など最近の動向・PDVSA(ベネズエラ国営石油会社)は同国東部のSucre州にLNGプラントを2トレイン建設し、Plataforma DeltanaとMariscal Sucreから天然ガスを供給し、2014年よりLNG輸出を開始する計画を明らかにした。このプロジェクトにはPDVSAの他、Galp(ポルトガル)、Enarsa(アルゼンチン)が参加するが、PDVSAはChevron、Shell、StatoilHydro、Sonatrach、QatarGasなどとも参加について話し合いを行っている。ベネズエラは、米国、ヨーロッパ、アジアだけでなく、ブラジルやアルゼンチンなど中南米諸国にもLNGを供給する計画である。しかし、ベネズエラでは、ガス需要の伸びに生産が追いつかない状態にあることや投資環境が悪いことから、このLNGプロジェクトの実現については懐疑的な見方をする向きもある。・PDVSAは、オリノコベルトのCarabobo第1鉱区だけでなく、Carabobo第2、第3鉱区の入札も実施することを明らかにした。また、PDVSAのLuis Vierma副総裁 によると、国営石油会社を中心に実施されてきたオリノコベルトの埋蔵量評価作業は間もなく終了する予定である。・PDVSAは中国からリグを導入したり、マチュア(成熟)油田の入札を計画するなど探鉱・開発促進策を採っているが、サービス会社のジョイントベンチャーカンパニー化を計画していると伝えられ、当面、探鉱・開発活動の活発化は期待できないと考えられる。LNGタンク3基、二つのバースを建設するとしており、Ramirezエネルギー石油大臣によると、第3トレインについても既に検討が始められているという。事業コストはガス田開発に30億ドル、パイプライン敷設に13億ドル、2トレインの建設に73億ドルが予定されている(図1、図2)。 事業の参加比率はPDVSAが60%、ポルトガルのGalpが15%、アルゼンチン国営石油会社Enarsaが10%とされている。 PDVSAによると、Galp、Enarsaの他に、Chevron、Shell、StatoilHydro、ベネズエラLNGプロジェクト 概要ガス田パイプライン液化トレインPlataforma DeltanaBlock2 Loranガス田(オペレーター Chevron)Mariscal Sucre(オペレーター PDVSA)トレイン 1(470万トン/年)PDVSA 60%GaIp 15%Enarsa 10% 他トレイン2(470万トン/年)事 業コスト30億ドル13億ドル73億ドル出所:PDVSA資料よりJOGMEC作成図1プロジェクトの概要1. PDVSA、2014年にLNG輸出開始を計画ふつ設せ 2008年5月、PDVSAはベネズエラ東部Sucre州Guiria市CigmaにLNGプラントを建設し、2014年(2011~2013年との情報も)にLNG輸出を開始する計画、Gran Mariscal de Ayacucho(Cigma)プロジェクトを明らかにした。 PDVSAが発表した計画によると、当初、PDVSAは2トレインを建設し、第1トレインにはChevronが開発中のPlataforma Deltana Block 2のLoranガス田から、第2トレインにはPDVSAが開発を行うMariscal Sucreからガスを供給する計画である。そして、Loranガス田、Mariscal SucreとCigma間にパイプラインを敷し、それぞれ天然ガス750MMcf/dを供給する。液化設備能力は第1トレイン、第2トレインともに470万トン/年とされている。そして、PDVSAは、最終的には4トレイン、69石油・天然ガスレビューonatrach、QatarGasが参加を検討中で、特に、ShellはPDVSAにヨーロッパ市場へのアクセスやマーケットのノウハウなどを提供する可能性があるとしている。また、インド企業やGalpに出資しているEniが参加するとの情報もある。さらに、PDVSAは、三菱グループ、LNGジャパン、伊藤忠商事、丸紅、三井物産といった日本企業がファイナンス面で参加することを期待しており、これらの企業が参加することにより、アジア市場へのアクセスが可能になるとしている。 PDVSAはLNGのマーケットとして、米国、ヨーロッパ、アジアといった既存の市場に加え、ブラジルやアルゼンチンなど中南米の新しい市場にも注目していく方針である。2008年6月27日には、チャベス大統領とブラジルのルラ大統領が会談し、ベネズエラからブラジルにLNGを供給することでMOUを締結した。ブラジル向けのLNG輸出開始時期や経済条件は明らかにされていないが、チャベス大統領は、ベネズエラの最初のLNG輸出はポルトガルとブラジル北部向けになる予定であると語った。 対象ガス田であるLoranガス田は、ベネズエラとトリニダードの国境にまたがって位置しており、トリニダード・トバゴ側ではBlock 6DのManateeガス田となっている。ベネズエラはトリニダード・トバゴと、2007年2月に同ガス田から生産される天然ガスを両国が73対27で分割すること、3月に同ガス田を最も効率的な方法で共同開発し、コストと利益を分割することで合意していた。 同ガス田の埋蔵量は10Tcfで 、 Plataforma Deltana Block 2の権益の60%およびトリニダード・トバゴBlock 6Dの権益の50%を保有するChevronがオペレーターとして開発を進めており、2009年に生産開始の予定である。ベネズエラはLoranガス田で生産されるガスについて、トリニダード・トバゴからLNGとして輸出する可能性も検討していた。 また、Cristobal Colonプロジェクトの規模を縮小し継承したMariscal Sucreは、ExxonMobil、Shell、三菱商事が撤退した後頓挫していたが、ブラジルでガPATAOMEJILLONESMariscal SucreMariscal SucreDRAGONRIO CARIBELNG液化プラントGPOGPOGPEGPECOROCORO132 Km o 36”トリニダード・トリニダード・トバゴトバゴ115 Km o 36”ベネズエラベネズエラLORAN(MANATEE)Block 2Block 2Block 1Block 1295 Km o 36”Block 4Block 4Block 3Block 3Block 5Block 5Plataforma DeltanaPlataforma DeltanaVenezuelaVenezuela出所:PDVSA資料よりJOGMEC作成図2ベネズエラLNGプロジェクト関連地図ス需要が高まっていることからPetrobrasが開発、生産に参加することを検討していた。しかし、埋蔵量は巨大ではなく、技術的にも難しく、現状では液化コストが高い上、ベネズエラが価格の安い国内に多く供給することを希望するなど技術面、経済面で問題が多いことから、Petrobrasも同プロジェクトに参加しないことを決定した。2007年後半からは、ベネズエラが単独で沖合プラットフォームやガスパイプラインのEPC(Engineering , Procurement , Construction)契約の入札手続きやガスコンディショニングプラントの建設を開始するなど、進展が見られるようになっていた。さらに、2008年1月には、PDVSAと米国のサービス会社Cameronが、同プロジェクトのDragon、Pataoガス田開発用の資材、機材供給契約(1億9,000万ドル)を締結した。PDVSAは2008年6月に1坑目の掘削を開始し、3年間で合計60坑を掘削するとしている。なお、ベネズエラはMariscal Sucreで生産された天然ガスの半量を国内市場に供給するとしている。 ベネズエラはガス需要の伸びに生産が追いつかず、2007年末からコロンビアより80MMcf/dのガスを輸入している。2012年にはベネズエラのガス生産量が増加し、ベネズエラからコロンビアにガスを逆送する計画であるが、ベネズエラがLNG輸出を開始するとしている2014年頃までに需要の増加を上回る生産増を期待することは難しいとの見方もある。 また、オリノコベルトの超重質油プロジェクトや操業サービス契約が、PDVSAが過半を所有するジョイントベンチャーカンパニーに変更されたことから、プロジェクトに参加する企業は計画している投資が国有化されないという保証を得たいと望んでいるが、これについても現在のチャベス政権下では見通しは定かではないとの見方もある。 BP統計によれば、ベネズエラの2007年末の天然ガス確認埋蔵量は世界第8位の182Tcfと豊富で、また、Plataforma DeltanaやMariscal Sucreで開発が開始されるつつあるのは確かであるが、以上のような点からLNGプロジェクトの実現については懐疑的な見方をする向きもある。2008.9 Vol.42 No.570. オリノコベルトの状況(1)Caraboboの3鉱区の入札を実施 PDVSAは、2008年2月にオリノコベルトのCarabobo第1鉱区の開発に関して入札を計画していると発表したが、6月に入りCarabobo第1鉱区だけでなく、Carabobo第2鉱区、第3鉱区の入札も実施することを明らかにした。入札が3鉱区同時に行われるのか、1鉱区ずつ行われるのかは明らかにされていない。PDVSAは入札への参加を求める企業のリストを作成中で、間もなくタイムスケジュールが発表される予定と伝えられている。なお、各鉱区の権益の60%以上をPDVSAが保有することになっている他、PDVSAによれば、各鉱区最低80億ドルの投資が必要という。 3鉱区のうち、Carabobo第1鉱区はPetrobrasが埋蔵量評価作業を行った鉱区である。Petrobrasはベネズエラから同鉱区の権益比率を10%とするよう求められていたが、シェアが大きい方が十分な利益を上げられるとし、これを40%とするよう主張していると伝えられていた。このCaraboboの3鉱区の入札を行うことを明らかにした際に、ベネズエラはPetrobrasが Carabobo第 1鉱区の権益の10%を保有すると発表した。しかし、7月初旬に、PetrobrasはCarabobo第1鉱区の権益の40%を保有したいと考えており、ルラ大統領とチャベス大統領が協議を重ねたが、権益の10%を保有することしか認められないので、Petrobrasは入札に参加し権益の40%取得を目指すとの意向を表明した。(2)埋蔵量評価終了へ PDVSAのLuis Vierma開発・生産担当副総裁 は、国営石油会社を中心に実施されてきたオリノコベルトの埋蔵量評価作業を間もなく終了する計画で、2009年には新しい活動が行われているだろうと語った。 6月に入り、オリノコベルトでは、チリの国営石油会社EnapがAyacucho第5 鉱区、LukoilがJunin第3鉱区の埋蔵量評価作業を終了し、PDVSAからの開発許可を待っていると伝えられている。一方、PDVSAは5月中旬に、CNPCとJunin第4鉱区についてジョイントベンチャーカンパニーを設立し、共同で開発を行うことで合意した。また、6月下旬には韓国のKNOCとオリノコベルトの開発で協力することについて原則合意、最終合意に向けて2008年下半期にソウルで閣僚級の会合が開かれることになった。さらに、ベネズエラ、ボリビア、キューバ、ニカラグアのジョイントベンチャーカンパニーPetroalbaがBoyacaのいずれかの鉱区で探鉱・生産を行うことが明らかにされた。 PDVSAとパラグアイ国営石油会社Petroparも、PetroparがBoyaca第2鉱区での探鉱・開発に参加することについて協議中であるという。5月にPDVSAとGalpがBoyaca第6鉱区で埋蔵量評価を実施することで合意しており、まだ、埋蔵量評価が十分に行われていない鉱区もあるが、オリノコベルト全体としては埋蔵量評価作業は終了に向かいつつあるようだ。 なお、このように超重質油生産の経験のない企業がオリノコベルトでの開発や生産にあたることを懸念する向きもあるが、PDVSAのラミレス総裁は、Caraboboにアップグレーダーを3基(2013年、2014年、2017年操業開始、197億ドル)、Juninに2基(2014年、2017年操業開始、131億ドル)設置し、2021年までにオリノコベルトからの生産量を290万b/dに増やすとしている。3. 探鉱・開発状況性もあり、掘削活動は依然として停滞していると考えられる。また、チャベス大統領は、サービス会社のジョイントベンチャーカンパニー化を提案したと伝えられており、さらに探鉱・開発活動が停滞することが懸念される。(1) 2008年中にマチュア油田の入札を計画 ベネズエラ政府は、2008年に26のマチュア油田の入札を実施する計画である。入札に際しては、PDVSAとのジョイントベンチャーカンパニーに変更した時に石油会社に発行されたバウチャーを利用できる。また、バウチャーを保有する企業は入札手続きを経ずにエネルギー・石油省を訪れ、PDVSAが支援を求めている油田を確認することができるという。(2) 中国からリグが到着するものの、掘削活動は停滞 6月に入り、中国製リグ3基がZulia州に到着した。中国からはリグ13基が提供されることになっていて、既に2007年11月にこのうち2基をAnzoategui州で受領している。 ベネズエラの稼働リグ数は、エネルギー石油省によると2007年12月時点で156基とされているが、OPECのオイルマーケットリポートによると2008年4月時点で82基とされている。2007年7月にRamirezエネルギー石油相は、十分なリグを確保できないためにPDVSAの操業は緊急事態にあることを認めたが、この時点のベネズエラで稼働中のリグ数は112基であった。OPECの数字から、リグ数は昨年よりも減少していると推定され、探鉱・開発活動は停滞を続けていると考えられる。 政府は、5月にマチュア油田の入札を実施すると発表、6月には中国から待望のリグが到着したことをアピールした。しかし、リグ数は2007年よりも減少している可能(3)サービス会社も国有化の危機に チャベス大統領は、サービス会社に対しても、操業サービス契約やオリノコベルト超重質油プロジェクト同様に、PDVSA71石油・天然ガスレビューニのジョイントベンチャーカンパニー方式に変更するよう促している。PDVSAのVierma副総裁によると、既にSchlumbergerとPDVSAがジョイントベンチャーカンパニー化について話し合いを行っている。PDVSAはこれまでに、中国、ベラルーシとリグ製造、地震探鉱に関するジョイントベンチャーカンパニーを設立している。おわりに チャベス大統領は、2008年6月18日に欧州議会が不法滞在の外国人に対する強制収容や強制送還などの規制を承認したことに対し、EUへの石油輸出を停止したり、EUからの投資に対して何らかの行動をとる可能性があると警告した。国内でLNGプロジェクトやオリノコベルトの開発を推進するとともに、このように対外的にも引き続き強硬な姿勢をとっているチャベス大統領だが、原油生産量の伸び悩みに不満を抱いていて、生産量を増加させるために、間もなくPDVSAの人事異動を行うのではないかとの情報もある。 11月に地方選挙を控え、2007年12月の憲法改正の国民投票に続き連敗を避けたいチャベス大統領としては、貧困層に対して手厚い政策をとる必要があり、そのためには増産を図り、石油収入を増やすことが必要不可欠の前提であると考えていよう。PDVSAは、貧困層救済のための社会プロジェクトに2007年第1四半期は5億6,200万ドルを充てたが、2008年第1四半期に26億8,000万ドルを充てている。PDVSAの人事異動により短期的に増産を実現できるのか、LNGプロジェクトやオリノコベルトの開発を順調に進めることができるのか、チャベスかじ取りの手腕が注目され大統領の今後の舵る。(舩木 弥和子)2008.9 Vol.42 No.572 |
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