ページ番号1006367 更新日 平成30年3月5日

繰り返されたロシア・ウクライナ 天然ガス紛争

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レポートID 1006367
作成日 2009-03-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG基礎情報
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2009
Vol 43
No 2
ページ数
抽出データ アナリシスJOGMEC調査部本村 眞澄繰り返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争・ ロシアがウクライナに供給する2009年の天然ガス価格は、ロシアが$250/1,000m3を、ウクライナが$235/1,000m3を主張して譲らず、2009年契約が締結できないまま2009年1月1日を迎えた。ロシア側は、ウクライナ向けガス輸出分に相当する1/3の量の天然ガスを削減した他、欧州向けガスについて契約量を輸出した。・ ロシアの立場は、天然ガス価格を国際価格へシフトしようとするものであり、中央アジアから輸入する天然ガスも2009年から国際価格で受け入れ始めている。このロシアによる中央アジアからのガスのウクライナへの価格転嫁を、ウクライナが国内の経済問題から拒んでいたというのが実情である。・ 2006年の紛争時に比較して、欧州各国は天然ガスの地下貯蔵設備の拡充に努めてきており、現在、多くの国で2~3カ月分の備蓄がある。今回の紛争の解決を急ごうとするインセンティブは必ずしも強くなかった。・ その後、1月5日には欧州への供給量が減少し、ロシア側はウクライナが抜き取っているとして、供給を制限、両国間は非難合戦となり、ロシアは1月7日に欧州への輸出を完全停止した。13日、EUからの監視団を受け入れ、輸送再開を期すも、ウクライナ内の輸送態勢が整わず、供給不能となった。・ 17日、モスクワでEUも参加する関係国首脳会議が開かれ、翌18日のプーチン・ティモシェンコ両首相の会談で基本合意に達し、19日にはGazpromとNaftogaz Ukrainyが天然ガス供給契約に調印し、問題は解決した。20日には、欧州において天然ガスの供給再開が確認された。き轢れあつ・・ 新しい合意内容は、石油価格を欧州と同様の石油製品価格に連動したフォーミュラ方式とし、2009年第1四半期を欧州価格の2割引きの$360/1,000m3、契約期間は11年、2009年の通過料は$1.7/100km/1,000m3の据え置きにするというもので、ティモシェンコ首相は「ウクライナの勝利」と宣言した。 ウクライナは昨年後半からの世界的な経済危機によって、アイスランドと並び最も打撃を受けた国で、IMFから$165億の融資を受けることになった。天然ガス価格の引き上げは、経済破綻寸前であることから国内的には受け入れ難く、ロシアに対して非妥協的な「瀬戸際外交」を展開して問題を国際問題化させたが、最終的には当初とそう変わらない条件でロシア側の要求を受け入れざるを得なかった。問題を解決することであった ロシアの当面の狙いは、ガス価格をめぐるウクライナとの経済軋が、更にエネルギー通過国としてのウクライナの信頼性の低さを国際社会にアピールすることにをもくろむNord Stream, South Streamの建設を促進しようとするものであより、ウクライナ迂る。しかし、ロシアの欧州への天然ガスの輸送停止は初めての事態であり、欧州側のロシアに対する不信感はこれまでになく高まっている。ロシアを供給地としないNabuccoパイプライン計画に関する動きも活発化している。 ウクライナのパイプラインは老朽化が進んでおり、この改修が次なる重大問題として浮上してくる。ロシア側はこれに資本参加することにより改修・維持し、かつ管理したい意向であるが、ウクライナ側は強硬に反発している。回かうい・・1石油・天然ガスレビュー009.3 Vol.43 No.22アナリシスい回かうた。1月13日の供給再開が不首尾に終わった際に、Barroso委員長は「ロシアとウクライナは自らの約束事を果たす能力がないことがこれで明らかになった」*2と発言しているが、EUは基本的に、両国に対して適切な対応を求めるという姿勢である。 事態は、1月19日のロシア・ウクライナ両国ガス企業による2009年分の契約締結により収束するが、この無意味な紛争については、かなりの批判が両国に対して巻き起こった。紛争の終結直後から、EU関係各国から、そに上っているNabuccoパイプラインの計画従来、俎に関する議論が走り出している。 EU側がNabuccoパイプラインを推進するのは、エネルギー通過国としてのウクライナが信頼できないということが根拠であるが、同時に今回の事態で、エネルギー供給国としてのロシアの信頼性が損なわれたことも、もう一つの根拠とされている。ウクライナの問題点は明白であるものの、ロシアによる供給停止に至った経緯に関しては、ロシア側によれば責任はすべてウクライナ側にあるということで水掛け論になっている。実際、Nabucco計画は供給ソースが不十分であること、グルジアを経由することで、産業側やファイナンス側はかねて疑問を呈して来ていることには変わりはなく、政治分野の人々が一斉に走り出した観がある。 一方、ロシアがかねて推進していたウクライナ迂ルートであるNord StreamとSouth Stream計画に関しても推進の機運が高まっている。その論拠は、これもエネルギー通過国としてのウクライナの信頼性の低さであって、エネルギー供給国としてのロシアに関しては信頼できるとの前提に立っている。すなわち、ポイントはウクライナを迂回することにありロシアから欧州へのエネルギー供給は安定的なものになるとの考えである。ロシアとEUは、ウクライナが通過国として信頼できないという点では一致しており、供給国としてのロシアの信頼性に関して議論が分かれているというのが実情である。 当初の報道では、Nabuccoの関係国は2月4、5日に、ウィーンで政府間合意を結ぶべく意気込んでいたが、2月5日には関係国の一つであるブルガリアのGeorgi Parvanov大統領はモスクワにいた。Nabuccoの政府間合意に関する会議は延期された模様である。Parvanov大統領は、プーチン首相とSouth Streamに関してだけでなく、ボスポラス迂回石油パイプラインである上じょう1. はじめに(1)繰り返されたガス紛争と2006年の事例との違い ロシアとウクライナの天然ガス紛争が再び繰り返された。前回の2006年1月の紛争は大きく報道されたが、3日で終結しており、欧州消費国において天然ガスの圧力低下はあっても、実質的な供給停止はなかった。この時、米政府はロシアによるエネルギーの政治利用であるとしてロシアを非難し、欧米ジャーナリズムも発足間もない親米・親欧州のユーシェンコ政権に対して同情的で、ロシア非難に終始した。一方、この時のエネルギー専門家の見方は、ロシアが近隣国への天然ガス輸出価格を低水準に抑えて懐柔を図ろうとする政治的思惑から決別して、国際的な価格水準への段階的引き上げ、すなわちビジネス志向へと転換した経済事案であるというものであった。 ロシアの政策転換は、2004年のグルジアの「バラ革命」や、2005年のウクライナの「オレンジ革命」によって、これまでの補助金付与的な低価格政策がなんの効力もないことが明らかになったことが背景にあると思われる。フリステンコ産業エネルギー大臣(当時)は、この政策転換は補助金という価格抑制策を放棄し、市場価格への移行を迫るWTOの政策に即したものと説明した。 しかし、今回の紛争は3週間に及び、かつ欧州消費国で天然ガス供給が停止する事態となり、これまでで最悪のケースとなった。欧州各国の天然ガス貯蔵施設はかなり拡充が進んでおり、多くの国は備蓄ガスの充当で対応し、パニック的な反応はあまり見られなかった。当事者であるウクライナもガス備蓄が約4カ月分あり、交渉の進展事態に切迫感はなかった。これは、後述するように、2009年の先行きのガス価格の下落も視野に入れた戦術でもあった。ただし、ブルガリアなど天然ガス地下貯蔵設備の整備の遅れている国は苦境に立たされる事態となった。 報道について見ると、2006年のガス紛争以来、事実の検証が進むという学習効果により、前回のようなパニック的な報道は影を潜めた。新聞論調では、ウクライナの変革の進まない産業構造と、IMF融資に頼らざるを得なくなった経済破綻など、鳴り物入りで始まった「オレンジ革命」の結果への幻滅と、今回の瀬戸際的な外交政策に対する疑念から、ウクライナに対する批判が出始めるようになった*1。一方、Gazprom側はEUに対して、事前に十分な説明を行い、事態を透明化することに努めJり返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争Burgas-Alexandroupolisラインについても協議したと報じられた*3。 ブルガリアはNabuccoに参加すれば、通過タリフ(関税)を得ることができる。しかし、ロシアの主唱するSouth Streamに参加した場合、ギリシャ向けルートもあることからNabuccoに参加した場合の倍近い通過タリフを得ることができるだけでなく、ボスポラス迂回の石油パイプラインの通過タリフと、安定的となる石油供給を前提とした石油精製プラントの建設も不可能ではない。更に、Gazpromは、従来年間310億m3と言われていたSouth Streamの容量を470億m3にまで拡張するとの計画を表明した(ただし、これはNord Streamの事業停滞をある程度見越した計画変更である可能性も否定できない)。 当然ながら、ブルガリアは二股を掛けた資源外交を展くみすることは得策でなく、一開している。極端に一方に与方の計画が頓挫すれば当然乗り換える積もりであろう。自国の立場を少しでも高く売り込むことをもくろんでいると言える。(2)ガス紛争に関する主な経緯 日々の紛争に関する詳細なクロノロジーは付録に記した。以下に要点を記す。・ ロシアとウクライナの2009年天然ガス供給に関しては、2008年10月2日のプーチン・ティモシェンコ両首相間で、3年間の段階的値上げで合意した。その後の報道で、2009年は取りあえず約4割の値上げで$179.5→$250/1,000m3とすることで合意したとされる。ただし、その後Gazpromは、Naftogaz Ukrainyに対して滞納金約21億ドルの支払いを要求し、支払いがない場合には2009年契約を締結しないとの条件をつけ、緊張が高まった。・ 2008年12月29日、ロシアは既定方針の$250/1,000m3を主張したのに対し、ウクライナはガス価格を$201/1,000m3と主張。12月31日、ウクライナ側は$235/1,000m3とパイプラインタリフの10%値上げを主張した。21億ドルの滞納金に関してはウクライノルウェーノルウェースウェーデンスウェーデンフィンランドフィンランドMurmanskShtokhmanovミンスクベラルーシベラルーシ400400Bovanenkovオオオオーーーースススストトトトリリリリアアアアノノルルドド((270)270)ムムーースストリトリポーランドポーランド12001200300300モスクワ「北光」「北光」「ヤマル・ヨーロッパ」「ヤマル・ヨーロッパ」「「兄兄弟弟」」「「連連合合」」KazanOrenburgKarachaganakKarachaganakロシアロシアYamburgYamburgZapolyarnoeZapolyarnoeMedvezhyeUrerngoyUrerngoyMedvezhyeカザフスタンカザフスタントルクメニトルクメニスタンスタンCACCACBeinei300300CAC-3CAC-3ウウズズベベキキススタタンン500500Turkmenistan-ChinaTurkmenistan-ChinaKorgasルーマニアルーマニアブルガリアブルガリア140140ササモルドバモルドバキエフウクライナウクライナErzurumグルジアグルジアアルメニアアルメニアアゼルバイジャンアゼルバイジャンTransTrans-Caspian-Caspian7070イランイランウウスススストトリリーームム550550ナブッコナブッコトルコトルコ160160Blue StreamBlue StreamSamsanDauletabadDauletabadYoloten GunortaYoloten Gunortaロシアからのガス輸出 単位:億mロシアからのガス輸出 単位:億m33出所:RPIを基にJOGMEC作成図1ロシアから欧州に向けての天然ガス・パイプライン3石油・天然ガスレビューiからGazpromに対して$15億ドルが支払われ、残金は$6.14億となった。・ ロシアからウクライナに供給する2009年の天然ガス価格は、合意しないまま2009年1月1日となり、契約が成立しないことから、欧州向けのガス輸出はそのまま維持し、ウクライナ向けのガス輸出は停止された。・ その後、1月5日には欧州への供給量が減少し、ロシア側はウクライナが抜き取っているとして、供給を制限、両国は非難合戦となり、ロシアは1月7日に欧州への輸出を完全停止した。13日、EUからの監視団を受け入れ、輸送再開を期すも、ウクライナ国内の輸送態勢が整わず、供給不能となった。・ 17日にモスクワでEUも参加する関係国首脳会議が開かれ、翌18日のプーチン・ティモシェンコ両首相の会談で基本合意。19日にはGazpromとNaftogaz Ukrainyが天然ガス供給契約に調印し、問題は解決した。20日には、欧州において天然ガスの供給が確認された。「兄 弟」「兄 弟」パイプラインパイプラインベラルーシベラルーシSudzha計量ステーションPisarevka計量ステーションアナリシスてすむ。 1月2日の時点で、ウクライナは早くもEUによる仲裁の可能性を模索したが、EU議長国であるチェコのボンドラ副首相は、欧州には十分な天然ガス備蓄があることから影響は出ておらず、本件がビジネスをめぐる紛争で、かつbilateral issueであるとして、仲裁要請を拒否した経緯がある。 ただし、ブルガリア等バルカン諸国では地下貯蔵設備がほとんどなく、今回の供給停止に際しては、折からの厳寒の気候もあって、大きな打撃を被った。 ウクライナには、13カ所の天然ガス地下貯蔵設備があり、約4カ月の備蓄期間がある*4。このため、早期に交渉妥結のインセンティブが働かず、年越ししても交渉が長引いた要因の一つとなった。Comparison of storage capacities and natural gas consumptionBn,m39080706050403020100GermanyStored working gas (Bn,m3)Gas consumption 2006 (Bn,m3)22%16%26%ylatIrFanceNetherlands13%4%UKHungary11%28%Poland29%27%Czech RepublicAustriaポーランドポーランドスロバキアスロバキアウシュゴロドハンガリーハンガリーキエフ「連 合」「連 合」パイプラインパイプライン出所:Wingas 資料よりウクライナウクライナバリューイク計量ステーション図3各国の天然ガス備蓄水準ルーマニアルーマニアモルドバモルドバアゾフ海天然ガス地下貯蔵施設100Kmセバストポリ黒 海出所:JOGMEC図2ウクライナ国内の天然ガスパイプライン(3)各国の天然ガス備蓄レベル 今回の供給停止において、それほどパニックに陥らなかったのは、天然ガス地下貯蔵設備の能力が十分認識されていたことによる。欧州主要各国の地下貯蔵の水準を図3に示す。すなわち、英国を除くほとんどの国は、2~3カ月の天然ガス備蓄を持っており、供給ソースをロシア以外に振り替えれば、更なる期間、影響を被らなく(4)最終的な合意 1月19日、Naftogaz UkrainyのOleh Dubyna社長とGazpromのMiller社長は、プーチン・ティモシェンコ両首相の立ち会いの下、10年間の天然ガス供給契約に調印した。 新しい合意内容は、ガス価格を欧州と同様の石油製品価格に連動したフォーミュラ方式とし、2009年第1四半期は欧州価格の2割引きの$360/1,000m3、契約期間は11年間、通過料は2009年は据え置きの$1.7/100km /1,000m3というものである。供給量は例年は550億m3であったが、2009年は400億m3とする。これは、価格の高い2009年初頭に関しては、なるべく備蓄ガスで対応するというものである。今回決定した価格方式は、欧州と同様にフォーミュラに基づくもので、欧州価格が2009.3 Vol.43 No.24Jり返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争$495/1,000m3であるのを国境までのネットバック価格$450/1,000m3とし、更に2009年に限りその2割引きの$360/1,000m3としたものである。2010年は欧州水準となる。 ガス価格の$360/1,000m3は第1四半期の分である。油価の下落が完全に石油製品価格に反映するまで半年近くかかるとされ、欧州市場での石油製品価格はこれから大きく下降に向かう。Gazpromによれば、2009年の欧州における平均価格は$280/1,000m3であり、ウクライナにおける平均価格は$250/1,000m3となる*5。一方、ティモシェンコ首相によれば、2009年の平均ガス価格は$228.8/1,000m3と予測し*6、今回の妥結内容については、昨年来の交渉条件に比較して優位にあることから、「ウクライナの勝利」と宣言した。 欧州と同様のフォーミュラに基づく10年間の長期契約になったということは、これまで年中行事のように繰り返されてきたガス紛争が、今後は当分の間なくなるということである。 通過料に関しては、2010年1月からは、欧州水準の約$2.5/100km/1,000m3となる*7。 残された問題は、$11億と言われるGazpromの被った売り上げ減という被害、約$6億の未払いの滞納金、「技術的」ガスの支払い、の3点である。 一方、ロシア側の得た成果は、欧州価格並みへのガス価格の引き上げ、フォーミュラに基づく長期契約、ウクライナ国内での天然ガス輸送のEU監視団によるモニター制の導入(ただし、ウクライナ側の主張では2009年1月のみの措置)の3点で、大きな進展と言える。 なお、Vedomosti紙が報じた契約書の内容によれば、天然ガス価格は、先行する9カ月間、すなわち2008年4月から12月までの重油と軽油の価格に基づき、公式によって算定したものである。また、契約期間は2009年1月1日から2019年12月31日と11年間であるという*8。 ただし、ウクライナのユーシェンコ大統領は、この合意を当初の主張より高い価格での合意であることから「ウクライナの敗北」と呼び、ティモシェンコ首相の合意を、大統領令に違反しているとこれまでにない激しさで批判を加えている。ウクライナ国内の分裂状態は、2010年1月の大統領選挙で決着を付けるしかない。ちなみに、昨年12月時点でのウクライナ国内の世論調査では、大統領に相応しい人物として、地域党のヤヌコビッチ党首が19.8%、ティモシェンコ連合のティモシェンコ首相が15.8%、ユーシェンコ大統領は4.5%と報じられている*9。ふさわ2. ウクライナの天然ガス・パイプライン・システムの実情と問題点 ロシアからウクライナを経由して欧州に至る天然ガス・パイプライン網を図1に、ウクライナ国内の天然ガス幹線パイプラインを図2に示す。ンとなった。欧州主要部への天然ガス供給は、このパイプラインを通してなされている。(1)ウクライナを経由する天然ガス・パイプラインの実態① 「兄弟(Bratstvo, Brotherhoood)パイプライン」 「兄弟」パイプラインはウクライナ国内を西方に延び、チェコ経由で欧州に供給するラインで、1月6日から減少が目立ち、7日には完全停止した。 同パイプラインは、1967年にウクライナから当時のチェコスロバキアへ、ソ連から初めて域外を目指すパイプラインとして建設されたもので、翌年にはオーストリアのBaumgartenまで延長され、最初の西側への輸出用天然ガス・パイプラインとなった。更に、1973年10月にはTransgasパイプラインが建設されて当時の西ドイツまで延長され、東西両陣営を結ぶ初のエネルギーライ② 「連合(Soyuz)パイプライン」 「連合(Soyuz)パイプライン」は主に南西方向へ供給するラインで、1月5日からギリシャ、クロアチア、ブルガリア、マケドニア、トルコに影響が出始め、1月7日には完全停止した。天然ガス貯蔵施設を持たないブルガリアが等が影響を被った。 同パイプラインは、ボルガ=ウラル堆積盆地のOrenburgガス田が開発された際に、1978年に新たにバルカン半島方面までを視野に入れウクライナ南部に向けて建設されたパイプラインである。これは更に、モルドバ、ルーマニア、ブルガリアを経由して1987年6月には、トルコまで延長されている。5石油・天然ガスレビューAナリシスめ、ロシアからウクライナへのガス供給がブロックされたものと思われる。 ただし、ロシアは当初、モルドバやブルガリアでの天然ガス不足を懸念しており、同地域へのガス供給を優先させると発言もしていた。ウクライナ側がこれを真に受そんけ、ロシア側の意向を忖して、まずはモルドバやブルガリアへの供給ができる「連合(Soyuz)パイプライン」からの輸送を優先して準備にあたっていた可能性もある。ロシア側が意図的に、当初通告していなかったSudzhaからの輸送を開始して、ウクライナの非協力的な姿勢を国際的にアピールしようとしたとの指摘もあるが、両者の意思疎通の不足がトラブルの原因であることは明らかである。 なお、モニターに関してウクライナ側は、欧州からの監視団によるキエフのNaftogaz本社におけるガス輸送スクリーンへのアクセスを拒否する状態にあり、EUのBarroso委員長はウクライナ側のこの点を、より非協力的な態度として指摘している*12。度たく(3) ウクライナ側の要求する「技術的(technical)」 ガスについて ティモシェンコ首相は、13日の送ガスが不首尾に終わったことについて発言し、ガスの圧力低下はウクライナ側によるガスの抜き取りによるものではなく、欧州向けパイプラインのブースターを稼働させるために必要なガスを使用していたためであり、その量は2,200万m3/日になると述べた*13。これは、年間80億m3、すなわちウクライナのロシアからの輸入量の15%に相当し、尋常ではない規模である。しかも、ウクライナ側の認識では、これはパイプラインシステムを機能させるのに必要なガスであり、無料で提供されるべきであるとしている。これについては、西側エネルギー企業のコンソーシアムが、1月17日に協議を行い、ウクライナへの天然ガス供給で対応することとなった。 Gazpromが技術的ガスと呼ぶものには次の3種類がある。① パイプラインの充填ガス(パイプ・フィル)② コンプレッサーステーションにおいてガスタービン等の燃料として使われる燃料ガス③ バルブの開閉に必要となるシリンダー等に使用するガス 量的な面で言うと、①はパイプラインの口径により異なるが、基本的に膨大であり、②の燃料ガスは送ガスの2009.3 Vol.43 No.26③ 「北光(Northern Lights)パイプライン」 同パイプラインのうち、ベラルーシのミンスクから南たどに枝分かれし、ウクライナの西縁部を辿り、Uzhgorod経由でチェコに至るラインは、1月7日に閉鎖された。ただし、ベラルーシ、ポーランド経由でドイツに至るラインは通常どおり稼働した。これについて専門誌は、ロシア以外の供給ソースを探していた欧州に天然ガスを安定的に供給したのは、他ならぬポーランド経由のロシアからの天然ガス・パイプラインであったと皮肉っている*10。(2)1月13日の供給再開の内情 既述のとおり1月13日、ウクライナは欧州からの監視団を受け入れてウクライナ時間8:00am(モスクワ時間10:00am)に、ウクライナ中央北国境にあるSudzhaガス計量ステーションから日量7,600万m3(280億m3/年)の天然ガス輸送を再開した。ウクライナ側関係者の説明では、ウクライナ西部の国境を越えて欧州へガスが到達するのに36時間を要するとしていたが、供給開始から3時間後、輸送圧が上昇しウクライナ側で輸送がブロックされていることが判明した。このため、ロシアからの天然ガス供給は再び停止した。 Naftogazによれば、ロシアからのガス供給は、Sudzhaからでなく、PisarevkaおよびValuykiの計量ステーションからなされるべきであったという。Gazprom側の説明では、こちらはウクライナ東部の重工業地帯に向かうラインであり、同国の国内需要の最も大きい地域で、欧州への輸出再開にはつながらないという。 これに関して13日夕刻、Gazpromのメドヴェージェフ副社長は、「ウクライナが1月1日から、欧州向けガスをすべて国内向けに回すよう輸送システムを変更した結果であり、当初から欧州向け供給の維持を意図していなかった」としてウクライナを非難した。一方、NaftogazのDubyna社長は、同日、技術的な理由でウクライナの欧州向けパイプラインを開けられなったことを認め、「Gazpromから要請された方法を使うと、国内のいくつかの地域でガス供給ができなくなる」と釈明した*11。 図2から明らかなように、当初ガスを送ったSudzhaステーションは、「兄弟」パイプラインにあり、同パイプラインが欧州向けであることから、ロシア側が欧州への輸出を志向していたことは明らかである。図2には天然ガスの地下貯蔵設備が記入してあるが、これらがキエフ周辺でのガス消費に活用された可能性が高く、この場合には天然ガス・パイプラインを逆走させるために、ロシア国境付近のバルブを閉じていたと考えられる。このたJり返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争8%程度の水準、③は非常に微量で量的なカウントには入らない。今回の場合、ウクライナ側が必要とした「技術的」ガスは、年間輸入量の15%という量から判断して、①と②の双方を含むものと思われる。 石油の場合は、パイプ・フィルはパイプラインを機能させるため、その設備の一部となっていることからパイプライン会社が所有するのが通常であるが、1973年にソ連から西ドイツへ天然ガスの供給が始まった際には、生産地であるウレンゴイ・ガス田からドイツ国内のターミナル直前まで、その区間の天然ガスはソ連の所有物という契約であったという。 今回、ウクライナはロシアがパイプラインを停止した後も、パイプ内の充填ガスを使った可能性が高く、この分に関しても、ウクライナ側には支払いの義務が生じると思われる。また、②については、パイプラインの通過タリフに当然含まれるものと思われるが、両国の契約が不完備であった場合には、紛争の要因となり得る。 この技術的ガスの供給に関して、その後、Gazpromが欧州のバイヤーに対してコンソーシアムを組んで対応することを提案した。メンバーとなるのは、Eni(伊)、 E.ON Ruhrgas(独)、GdF Suez(仏)、OMV(墺=オーストリア)、Wingas(独)、Gas Terra(蘭)である*14。これは、ウクライナ側の主張を受け入れたものと思われる。ただし、ウクライナが、平均$153.9/1,000m3で「技術的」ガスを購入するとの報道もなされており*15、情報が十分出ていない感がある。 一方、今回ロシア側はガスの安定供給を名目に、国際企業体構想を取り上げ、欧州主要国政府やガス企業にその必要性を説明し、一定の理解を取り付けた、との報道もなされており*16、上記のコンソーシアムが単なる「技術的」ガスを扱うにとどまらない可能性がある(後述)。(4)天然ガス価格の推移 ロシアから欧州方面に輸出される天然ガス価格の2005~2009年の推移を表1に示す。西欧、旧東欧諸国と、CISのなかでもバルト3国は10年間の契約で、特に独、伊、仏、デンマークのエネルギー企業とは20~25年の長期契約を結んでいる。天然ガス価格は、欧州での石油製品に連動する方式である。ウクライナ、ベラルーシ、モルドバ、アルメニア等は1年ごとの固定価格契約となっていたが、ウクライナは今年から11年契約となった。 ここでは、いずれの国においても天然ガス価格は引き上げられ、欧州の市場価格に引き寄せられている。ウクライナに当初提示された$250/1,000m3という価格は、この時点で$450/1,000m3といわれる欧州価格(ネットバック)の約半分であり、日本の新聞も「Gazpromが当初提示していたのは国際価格以下で、そう不当とも思えない」*17との論評を加えている。 このなかで、ベラルーシとアルメニアの天然ガス価格の低さが際立っている。これは、一部の報道で、親ロシア政権において天然ガス価格の優遇措置を受けており、ロシアによるエネルギーの政治利用は明らかだ、との指摘がなされているが、これは皮相な観察と言わざるを得ない。ベラルーシは2005年には国営ガス・パイプライン会社のBeltransgazの株式の50%、および国際パイプラインであるYamal-Europeパイプラインの100%をGazpromに売却した。アルメニアは、2006年にイランからの天然ガス・パイプラインをGazpromに売却した(これはイランからのパイプラインのコーカサス地方へのそれ以上の伸長を未然に摘み取るための対抗策でもある)。これら国家資産の切り売りに対する見返りとして、天然ガス価格の割引がなされているのが実態である。し表1ロシアから欧州各国への天然ガス価格国 名EU EstoniaLatvia Lithuania BelarusUkraine MoldovaGeorgiaAzerbaijanArmenia 2005年250 90 92~94 85 46.68 50 80 63 60 54 2006年245~285 190 130~145115~155 46.68 95 110~160 110 110 110 2007年293 260 217 210 100 130 170 230ー110 2008年369 340340353127.9179.5 250235ー110出所:各種報道を基にJOGMEC作成単位:USD/1,000m3備 考2009年495(Q1)340(Q1)340(Q1)353(Q1)160親露政権、PL売却360(Q1)315(Q1)ー154アゼルバイジャンからガス輸入ガス2007年輸出開始親露政権、PL売却7石油・天然ガスレビューAナリシス做なする発言と思われる。最悪の場合には権益売却を迫られることのないよう、そけんうした動静を牽 今回のロシアの一貫した強硬姿勢について、ロシアのコメルサント紙は、「今回の紛争を利用してウクライナのパイプライン運営にGazpromを参加させ、欧州への輸送網を完全に掌握する狙い」と指摘した*20。前述のロシア主導でのEni(伊)、 E.ON Ruhrgas(独)、GdF Suez(仏)、OMV(墺)、Wingas(独)、Gas Terra(蘭)などによるコンソーシアムの結成に関しては、ウクライナのパイプラインシステムの国際管理が噂されており、今後の動きが注目される。 ウクライナとしては、このような構想が、今回のようみされることのないな紛争を決着させる「落とし所」と看よう、必死で防戦に努めているところである。い制せ(6)中央アジアからの天然ガスの買い付け 2008年3月11日のGazpromと中央アジア3カ国の国営石油会社との合意で、中央アジアからロシアへの天然ガス価格は「欧州基準」へシフトすることになった。同年3月13日、ロシアは、ウクライナに対しては、天然ガス価格を「中央アジア基準」にするとした。これは、対中輸出を進めるトルクメニスタンを牽制することが主たる目的であるが、同時に間接的にウクライナに対しては、欧州価格を提示したものであり、中央アジア諸国からの値上げ要求をのむと言っても、そのツケはほとんどウクライナに負わせるとした決定である。この時、ウクライナ側からの反発がほとんどなかったが、ここにきて泥沼化の様相を呈することになった。 ロシアが買い付ける中央アジア産天然ガスの価格を表2に示す*21。ただし、別の報道ではトルクメニスタンからの買い取り価格は、1月初めで$365/1,000m3 *22とのことで、情報ソースにより依然として開きがある。ちなみに、昨年のロシアが購入したトルクメニスタン産天然ガス価格は、1~6月が$130/1,000m3、7~12月が$150/1,000m3で、年平均$140/1,000m3であった。かし、これとても、段階的な値上げが図られている。 ただし、両国がともに親ロシア政権であることは偶然ではない。すなわち、政権の性格からして、自国資産のロシアへの売却にはあまり抵抗がないという背景がある。ロシアの最大の関心は、ガス輸出の80%を担うウクライナの輸出用高圧パイプラインであり、これへの資本参加が可能になればパイプラインのモニターが可能となるため、過去にもウクライナに対して再三資産売却を打診した経緯がある。しかし、ウクライナからは強烈な拒絶に遭っている。2007年にロシア側が、パイプライン資産の買い取りを打診した際には、ティモシェンコ首相はウクライナ資産への外資導入を禁止する法律までつくって対抗した。 Gazpromは既に、西欧側でもInterconnectorの10%、Bacton-Balgzand Line(BBL)の9%、ドイツ国内のdistributorであるWingasの49%の株式をそれぞれ取得し、欧州におけるガス輸送網の確保を戦略の柱の一つとしている。(5)ウクライナにおけるパイプラインの老朽化への対策 ウクライナの天然ガス・パイプラインは老朽化が進んでいるが、それを修復するだけの経済的な余裕がない。2002年6月の初めには、プーチン大統領、クチマ・ウクライナ大統領、シュレーダー独首相(いずれも当時)の間で、ウクライナのガス・パイプライン・システムを改修し操業する、(ただし所有するのではない)国際コンソーシアムを設立することで合意した*18。この計画はその後の「オレンジ革命」で頓挫し、その代替としてバルト海を経由するNord Stream構想へと引き継がれていった。ウクライナのパイプラインに関する国際管理の構想は当時からあった。 ウクライナのユーシェンコ大統領は13日の記者会見で、「ロシアとのガス紛争は独立と主権のための戦いでとも思える発言を行っているが*19、これある」と大は、支払い不能に陥ったウクライナが「敗戦処理」として、輸出用幹線パイプラインに対する何らかの国際管理や、裟さ袈げおお表2ロシアが買い付ける中央アジア産天然ガス1,000m3あたりの価格国 名KazakhstanUzbekistanTurkmenistan出所:PON,2009/1/062008年価格2009年価格$180$145$140$340$305$340対ロシア輸出量5 Bcm/年10 Bcm/年備 考50~60 Bcm/年ウクライナで$380/1,000m32009.3 Vol.43 No.28Jり返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争3. 今回の天然ガス紛争の意味合いについて(1)天然ガス紛争に関する政治的な議論 多くの報道は、今回の事件を経済事件ではなく、ロシアによるユーシェンコ大統領懲罰という政治的なゲームと見ている。多くの一般紙に見られる観測は、「オレンジ革命を遂行し、NATO加盟を目指すユーシェンコ政権は、ロシアにとって敵対的なものであり、同政権を排除することにはロシア外交として高い優先度がある。今回の紛争はウクライナへの天然ガス供給を停止することで、ウクライナ国民に対してエネルギー支配権をロシアが握っていることを知らしめ、ユーシェンコ政権の弱体化を図り、NATO加盟を阻止しようとするものである」といったようなものである。 これに対する反論として、まず歴史的な事実を挙げておきたい。 ソビエト連邦崩壊後では、ウクライナに対して1994年3月、12月、1997年7月、1999年11月と4回の供給停止があり、クラフチェク政権(1991年12月~1994年7月)、およびロシア協調のクチマ政権(1994年7月~2004年10月)下での出来事である。すなわち、ロシアは、特段反ロシアを掲げる政権でなくとも、天然ガス供給停止を断行していることになる。ロシアが政治的な理由からクチマ政権を追い詰めようとしたことはない。クチマ政権時代の天然ガス供給停止は、あくまでガス料金の不払いがその理由であった。今回に限って、その目的が経済でなく政治であると主張するためには、90年代の天然ガス供給停止と異なることの根拠を示す必要があるだろう。(2)中間業者RosUkrEnergoの問題 この他、ロシアとクチマ人脈が利益を得ている中間業者RosUkrEnergoの影響が、事態を複雑化させているとの指摘もある(図4)。 中央アジアの天然ガスについては、フロリダ登記のItera、次いでハンガリー法人Ural Transgazが扱っていたが、同社は2004年7月、ウクライナ当局から捜査を受けた。この時、トルクメニスタン側ではエネルギー担当で日本にも知己の多かったGurbanmuradov副首相が収賄の疑いで逮捕されている。 同社を廃止してその直後に、クチマ大統領(当時)とプーチン大統領(当時)との間で、設立したのがRosUkrEnergoであり、これに近い人脈の資金源との噂がある。この株主は、Gazprom 50%、Reifaisen銀行(クチマ-ヤヌコヴィッチ人脈のウクライナ人ビジネスマン2006年のスキームウクライナロシア欧州市場へ(需要の25%がロシアから)1,200億m3@450ドル/1,000m3ナフトハス(Naftogaz)400億m3@360ドル/1,000m3ウクルガスエネルゴ(UkrGazEnergo)ナフトハス50%ロスウクルエネルゴ50%自国産ガス200億m32009年のスキームロスウクルエネルゴ(RosUkrEnergo)ガスプロムバンクライファイゼン・セントラルバンク50%50%50億m3@340ドル/1,000m3100億m3@305ドル/1,000m3500億-600億m3@340ドル/1,000m3ガスプロム(Gazprom)カザフスタンウズベキスタントルクメニスタンウクライナロシア欧州市場へ(需要の25%がロシアから)1,200億m3@450ドル/1,000m350億m3@340ドル/1,000m3カザフスタンナフトハス(Naftogaz)自国産ガス200億m3出所:JOGMEC400億m3@360ドル/1,000m3ガスプロム(Gazprom)100億m3@305ドル/1,000m3ウズベキスタン500億-600億m3@340ドル/1,000m3トルクメニスタン図4ロシア・ウクライナの天然ガスの流れと中間業者9石油・天然ガスレビューAナリシスDmitro Firtash<90%>とIvan Fursin<10%>が所有)50%である。しかし、2006年のウクライナ問題を処理する過程で、2月、突如第2中間業者UkrGazEnergoが設立された。これはウクライナ国内での天然ガスを扱う業者で、株主はRUE50%、Naftogaz50%(つまりロシアが1/4)である。これは、その時期からしてユーシェンコ大統領の影響の大きい中間業者と見られている。してみると、今回の天然ガス紛争は、ロシア、ウクライナ双方の前近代的な利権構造が問題を複雑化させていると見ることができる。そして、これはメドヴェージェフ大統領が排除を目指す一方で、Gazpromに連なる人脈では関はら与が多いという、複雑で微妙な問題を多く孕んでいる。 昨年秋には「ティモシェンコ連合」とヤヌコヴィッチ元首相の地域党(第1党)の連立の話が最終的にに頓挫した理由は、ティモシェンコがRosUkrEnergoの排除に固執したためと言われている*23。 同じ時期、10月2日にいったんプーチン・ティモシェしょうけつンコ間で合意した2009年の天然ガス契約がその後紛糾し、このような猖獗極まる展開になった背景に、このようなウクライナ・オリガルヒの存在があるとする見方がある。 今回は、GazpromとNaftogazとで直接契約が結ばれたことから、RosUkrEnergoは排除された。2008年3月のプーチン・ティモシェンコ会談では、UkrGazEnergoを排除することで合意した。すなわち、この時点でウクライナ国内企業に対するGazpromの株式保有はなくなった。 このような不透明な組織がいかなる人脈で動き、今回のような紛争でどのような影響を与えていたのかは報道も少なく不明である。ただ、ロシア・ウクライナ問題が本質的に持っている分かりづらさの背景には、このような不透明な政治が招いた組織があり、ロシア・ウクライナ両国は対立すると同時に、関係者たちがさまざまなレベルで交差し合っているというのが現状である。4. 今回のガス紛争の背景(1)ウクライナ側の戦略 ロシアの強硬姿勢は、ガス料金の未払い問題解決への意気込みと解釈できるが、1月第2週までのウクライナ側の強硬姿勢(obstinacy)も際立っていた。ここには、経済的な苦境から、これ以上失う物がないウクライナの「瀬戸際戦略」*24が読み取れる。更には、“the-worse-the-better”strategyと評する専門家もいる*25。③ 今回の通ガス停止は、Gazpromに多大な経済的損失を与えており、その額は1日で約$1億と言われている。これは、通過国の持つ侮れない影響力を資源国に対して示したことになったと言える。ただし、これはGazpromに損害を与える行為であり、当然ながら追って賠償責任の議論が出てこよう。① そもそも、ウクライナは経済破綻状態にあり、2008年暮れには国際通貨基金(IMF)から$165億の借り入れを行っている。ロシア側の要求する$6.14億の未払い金については、支払う意思が基本的に乏しい。② ウクライナとしては、天然ガス価格の先行きの下落を見込んでおり、2008年内にロシアとガス価格について妥結する意思はなかった。欧州市場での天然ガス価格は石油製品に連動している。昨年7月以降の原油価格の急落は、約半年で石油製品価格に反映すると見込まれており、ウクライナは時間を稼げば交渉を有利に展開できると見ていた。ウクライナは約4カ月分のガスを貯蔵しており、このような対応が可能である。④ ウクライナはロシアに対抗することで、欧米の支持を取り付けるという、2006年の事例の再現を狙った節がある。ただし、1月1日以降の実際の欧州での世論は、むしろウクライナ批判が目立っており、このもくろみは外れたと言える。⑤ ウクライナは供給停止状態を続けることでエネルギー供給国としてのロシアの評価を下げ、欧州においてロシアを除外する天然ガスルートの議論が高まることをもくろんだものと思われる。これは、表面的には成功したと言える。ちなみに1月16日、IEAはロシアに代替するエネルギーソース開拓の必要性を表明している*26。もちろん、EUはウクライナに対しても通過国の責任を指摘しており、その成果はプラスマイナスゼロと言うできであろう。2009.3 Vol.43 No.210Jり返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争 今回の混乱の最大の理由は、ウクライナ政府部内の足並みの不統一、具体的にはユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相の間の確執にあろう。両者は、2009年末にも行われる予定の大統領選への出馬の準備に入っているが、現職のユーシェンコ大統領は経済政策の失敗から、支持率は前述のとおり5%程度と言われている。一方、ティモシェンコ首相は、かねてポピュリスト的な政治手法を得意としていたが、実際のロシアとの交渉でも成果を上げており、ユーシェンコ大統領としてはこれをつぶす必要から合理性に欠ける政治決断を続けたものと思われる。これが、ロシアとの2008年10月の実質合意の破棄となって表れており、交渉を繰り返さざるを得ない状況をつくった。 ティモシェンコ首相は東部の重工業都市ドニエプルペトロフスクの出身で、その政治基盤には親露勢力が多い。大統領選を意識してか、昨年夏から旧来の親欧米路線から親露派に転換したと言われ、2008年8月のグルジア紛争の際にも沈黙を守り、強硬なロシア批判を展開したユーシェンコ大統領との立場の違いを明確にしている。今回は、このようなウクライナ政界の内部対立が全欧州に悪影響を与えた格好になっており、これがウクライナに対する同情が一切沸き起こらなかった理由でもある。唯一の解決策は、大統領選の実施であろう。(2)ロシア側の戦略 ウクライナに対するロシア側の批判は、「世界のどこに、エネルギーをただで受け取れる国があるだろうか」という、ロシア下院CIS委員会のザチューリン副委員長の発言に集約されていよう*27。 また、ロシア側としてはエネルギー通過国としてのウクライナの信頼性の低さを強く国際社会に訴えることで、現在進めているNord StreamとSouth Streamという二つのウクライナ迂回パイプライン計画の推進に弾みをつけたい意思がある。Nord Streamに関しては、フィンランド、スウェーデン等がバルト海の環境問題を盾に、捗がはかばかしくなく、ここでNord 建設計画の進Streamの必要性に関する認識が高まることは追い風である。 South Streamに関しては、通過国グルジアの不安定性、ソースとなる埋蔵量の不足により、グルジアを経由するNabuccoパイプライン計画が後退するなかでその存在感を高めているが、事業の緊急性を認識させる上で、ウクライナ問題を利用できると考えているものと思われる。とはいえ、現下の国際的な経済危機によって全体の進捗が遅れることは避けられないと思われる。しんちょく(3)EU側の動き EUは、当初ロシア側が緊密な連絡をとって対処したことから、1月4日まで2国間問題との理解で、仲介に入ろうとはしなかった。1月7日に、送ガスが完全にストップしたことから、EU議長国であるチェコのTopolanek首相が介入を始めたが、終始中立的な姿勢を維持していた。これが、2006年時の対応と違う点である。更に、EUのBarroso委員長もTopolanek議長もウクライナに対しては、同国のEU加盟問題に関して悪影響がある旨警告しており、EU側の不快感はウクライナに対してより強い。 一方、Nabuccoパイプラインに関しては、示し合わせたかのように、紛争終結後から活発に動き出している。1月23日、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、トルコの各国代表はブリュッセルのECに集結した他、1月27日には、ハンガリーのブダペストで、“Nabucco Summit”を開催、ハンガリーのGyurcsany首相、EU議長のTopolanekチェコ首相、アゼルバイジャンのAlyev大統領らが参加し、計画実現を目指す宣言を採択した。Gyurcsany首相は、「Nabuccoは純粋にビジネス案件ではなく、欧州にとってエネルギー安全保障の問題である」と、同パイプラインが政治的な意味合いがあると発言した。ここでは、欧州投資銀行(EIB)に対して25%の融資要請などがなされたが、これに対しEIB側は「更なる情報が必要だ」と慎重な姿勢を示した*28。2月4~5日にはウィーンで政府間合意書に調印することを目指していたが*29、6月まで延期された模様である。 Nabuccoは、総工費79億ドル、総延長3,300km、第1期(2013~2018年)輸送量80億m3、第2期(2019年~)輸送量310億m3という計画であるが、アゼルバイジャンのShah Denizガス田の最大生産量は年間160億m3であることから、追加の埋蔵量が必要である。これをイランのガス田に求めるかという点に関しては、依然論争が絶えず決着していない。近年では、トルクメニスタン、エジプト、イラクなどの供給ソースが取りざたされているが、複数の天然ガス田の開発のタイミングを合わせて、1本のパイプラインで送るというのは、大きな困難を伴う。 更に、グルジア通過という問題を抱えている。サーカシビリ政権に対しては、予測し難い(unpredictable)性格があるとして、ファイナンス関係者は慎重に対応している。産業界の慎重な姿勢に比較して、政治側が勢いづいている状況があり、表向きはウクライナ問題の結果を踏まえた形となっているが、紛争解決直後から各国首脳をそろえた国際会議が目白押しとなるスケジュールには、異様な印象がある。11石油・天然ガスレビューAナリシス パイプラインの通過国となるトルコは、1月19日、紛争が解決する前から、トルコのEU加盟が阻止されるならば、Nabucco計画を見直すと宣言し*30、今度はNabucco計画を人質にとる動きを見せたが、これも同計画が既にスケジュールに入っているかのような対応ぶりである。更に、トルコは通過ガス量の15%をタリフとして要求しており、EC(European Commission)のエネルギー担当委員Andris Piebalgsは、Nabuccoが前述の供給ソースの問題とともに、トルコという通過国の問題を抱えていることを念頭に置き、二つの問題があると指摘している*31。トルコは、アゼルバイジャンに対しては、ギリシャ向け天然ガスを通過させるのではなく、国境で買い取り、これをギリシャに対して販売している。これは、エネルギー憲章条約第7条の「通過の自由の原則」に抵触するのだが、EU側は黙認している状況である。これがNabuccoにも適用されるとなると、問題化する可能性がある。 一方、影響の大きかった東欧諸国では、ロシアからのパイプラインによるガス輸送から、LNGや原子力発電へシフトする構想が相次いで発表された*32。ポーランドは、2020年までに1~2基の原子力発電所建設(現状は95%が石炭火力)とLNG受入港の建設を促進する。クロアチアは、Adria LNGの沖合受入施設(100億m3/年)の建設を促進する。資金規模は10億3,000万ドルで、ドイツのE.On Ruhrgasが最大のパートナーとなる。ハンガリーは、クロアチア経由のLNG導入を進める方針で、そのために、首相がオマーン、カタールを訪問した。 EU加盟時に稼働を停止させた旧式の原子力発電所を再開する動きが、ブルガリア、スロバキアであり、クロアチアとセルビアも検討に入っている。(4)米国の関与の可能性 1月25日、プーチン首相はテレビのBloombergに出演し、「ウクライナのガス問題に関して政治的な混乱を増幅させたのは米国の前大統領である」と、ジョージW.ブッシュ前大統領を名指しで非難した。 また、ここ数年のウクライナで起こったことは、米国の前政権とEUの活動の結果であるとし、更にオバマ新政権に対しては「慎重ながらも楽観的だ(“cautiously optimistic”)」と付け加えた*33。 連邦下院経済政策事業経営委員会のYevgeniy Fedorov委員長も、今回のウクライナとのガス紛争において、米国によるウクライナに対する関与があったことを指摘している*34。また、メドヴェージェフ大統領は1月13日、ウクライナの非妥協的な態度の背景には、昨年12月19日に交わされた米国とウクライナの間の戦略合意があるとして米国を強く非難した*35。 2006年のガス紛争の際には、ライス国務長官、チェイニー副大統領らがこぞって、ウクライナへの天然ガス供給停止に関しエネルギーの政治利用だとしてロシアを非難した。今回、わずかに国務省のWood副報道官レベルでの批判にとどまり、政権交代期という事情もあるとはいえ、そのローキーぶりは極立っている。 この具体的な内容は不明であるが、CGESのロシア・パイプライン専門家であるJulian Leeは、EUによるNabuccoパイプライン計画が遅々として進まないことに対して、米政権がいら立ちをもって見ていることを指摘している*34。これは、その後のNabucco計画の迅速な動きと符合する。ただし、これに関しては何ら裏付けとなる具体的な情報は出ておらず、単なるロシア側の疑心暗鬼から出た発言と見る専門家もいる*36。<注・解説>*1: PIW, 2009/1/12, 日経, 1/09, IHT, 1/07*2:World Gas Intelligence, 2009/1/21*3: PON, 2009/2/05*4: FT, 2009/1/15*5: IOD, 2009/1/21*6: PON, 2009/1/23*7: IOD, 2009/1/21*8: Vedomosti, 2009/1/23*9: 毎日, 2009/1/29*10: PIW, 2009/1/12*11: 毎日, 2009/1/142009.3 Vol.43 No.212Jり返されたロシア・ウクライナ天然ガス紛争*12: PON, 2009/1/15*13: 日経, 2009/1/14*14: IOD, 2009/1/20*15: Prime-Tass, 2009/1/21*16: 毎日, 2009/1/24*17: 日経, 2009/1/08*18: Nefte Compass, 2002/6/13*19: 毎日, 2009/1/14*20: 日経, 2009/1/15*21: PON, 2009/1/06*22: FT, 2009/1/08*23: 毎日, 2009/2/12*24: Energy Compass, 20009/1/16*25: Radio Free EuropeのRussia Today のコメンテーターPeter Lavelle, RadioFreeEurope, 2009/1/07*26: PON, 2009/1/19*27: Christian Science Monitor, 2009/1/16*28: International Oil Daily, 2009/1/28*29: International Oil Daily, 2009/1/26*30: Gas Matters Today, 2009/1/20*31: PON, 2009/1/28*32: PON, 2009/1/22*33: The Moscow Times, 2009/1/27*34: Julian Lee(2009),What is blocking a solution to the Russia-Ukraine gas dispute ?, FSU Oil & Gas Advisory, 2009/1/15、Centre for Global Energy Studies. *35: IOD, PON, 2009/1/14*36: Jonathan Stern氏の見解(2009/2/04)、なお、本稿の脱稿後にOxfordエネルギー研究所からPirani, Stern, Yafimava“The Russo-Ukrainian gas dispute of January 2009:a comprehensive assessment”が公表された。(http://www.oxfordenergy.org/pdfs/NG27.pdf)。これは、最も詳細な論考である。資料 ロシア・ウクライナのガス紛争経緯時 期内 容2008年10月2日 ロシアがウクライナと3年間の段階的値上げで合意(その後、2009年は取りあえず約4割値上げの$179.5 → $250/1,000m3とすることで合意したと報じられる)。10月26日 ウクライナ、IMFから$165億の融資枠受ける。12月18日 Gazpromが、Naftogaz Ukrainyに対して滞納金21億ドルの支払いを要求。併せて支払いがない場合には200912月29日 ウクライナがガス価格を$201/1,000m3と主張。ロシアは$250/1,000m3を主張。12月30日 GazpromのMiller社長:滞納金を支払わなければウクライナへの供給を停止すると警告。年契約を締結しない意向を表明。12月31日2009年1月1日ウクライナは$235、およびパイプライン・タリフの10%値上げを重ねて修正。ウクライナがGazpromに対して$15億ドルの支払い。残金$6.14億。プーチン首相、EUのBarroso委員長に天然ガス供給に関してEUに影響の及ぶ可能性を電話で事前通告。契約不成立によりモスクワ時間10:00am、ウクライナ向けガスの供給停止。ウクライナへの供給価格について2009年第1四半期には欧州と同一レベルの$418/1,000m3が必要とMiller社長が発言(契約不成立の場合のdefault positionでの価格)。1月2日 ウクライナ、EUによる仲裁の可能性を模索するが、EU議長国であるチェコのボンドラ副首相は、欧州に影響が出ておらず、本件がビジネスをめぐる紛争でかつbilateral issueであるとして仲裁要請を拒否。<次項に続く>13石油・天然ガスレビューAナリシス1月3日 Gazprom、ウクライナのガス抜き取りに関して、ストックホルム国際仲裁栽判所に提訴する意向を表明。1月4日 現状、欧州におけるガス価(ネットバック)としては$495/1,000m3になっているとMiller発言。1月5日新たな供給量減少の国はギリシャ、クロアチア、ブルガリア、 マケドニア、トルコ、スロバキアの6カ国。プーチン首相がウクライナ経由欧州向けガスからウクライナ抜き取り分を削減するよう指示。ウクライナの裁判所は対抗措置として、同国経由でのロシア産ガスの欧州向け輸送について、従来の通過料では実行しないようNaftogazに命じるよう決定。1月6日 欧州向け供給量が約8割減。ブルガリア、ギリシャ等6カ国で供給途絶。Gazpromはウクライナが欧州に向かうパイプライン4本のうち、3本を止めたと主張。ウクライナ経由欧州向けガスの輸送は、Gazpromによればウクライナが4本目のパイプも止め、完全停止したと発表。Naftogazはロシア側が完全停止と発表。プラハで開催されたEU議長と首脳の会談で、議長国チェコのTopolanek首相は、「供給が早期に再開されないならば、EUとして介入を強める」と表明。スズキがハンガリー工場の操業を停止。Wood米国務省副報道官は、ロシアによる欧州への供給停止について、容認できないとロシアを非難。深夜から翌8日未明にかけて、モスクワでGazpromのMillerとNaftogaz UkrainyのDubyna両ガス企業代表が事前打ち合わせ。その後、ブリュッセルに移動。1月7日り込み、ロシア側は直ちにガス輸送再開の意向表明。1月8日 午後、Miller、Dubynaの両ガス企業代表とPiebalgs(EU)がブリュッセルで会合。EU監視団をウクライナに送1月10日 EU議長国であるチェコのTopolanek首相はロシアを訪問し、ロシア・ウクライナの国際監視団を派遣することで合意。ロシアは参加要請。同日、Topolanek首相、ウクライナも訪問。ウクライナ、国際監視団の同国への受け入れで合意。その後、ウクライナ側が「ウクライナは抜き取りをしていない」旨の但し書きを合意書に書き加えたため、ロシアのメドヴェージェフ大統領が合意破棄を宣言。ガスの輸送再開は延期。1月11日1月13日1月12日 ウクライナ側が但し書きを撤回。天然ガス輸送契約調印。ハンガリーのガス企業Emfeszがガスの輸送を妨げたとしてNaftogasに$3,000万ドルの賠償請求。ウクライナ時間8:00am(モスクワ時間10:00am)に、ウクライナ中央北国境にあるSudzhaガス計量ステーションから日量7,600万m3(280億m3/年)の天然ガス輸送を再開するも、3時間後、輸送圧が上昇しウクライナ側での輸送がブロックされていることが判明。ティモシェンコ首相によれば、これはウクライナ国内用に使われるもので技術的な対応が困難であるとして、ピサレフカ、バリューイクなど他の計量ステーションへルート変更を要請(P4の図2参照)。また、パイプラインの圧力を維持するための「技術的(technical)」ガスが日量2,100万m3必要と表明。一方、メドヴェージェフ大統領は、同日の事態に対して「不可抗力(force majeure)」を宣言。Barroso委員長はロシア・ウクライナに対して法的措置も辞さないとの考えを表明。ブルガリアのスタニシェフ、スロバキアのフィツオ両首相がモスクワ訪問、対応を協議。メドヴェージェフ大統領は、関係国の首脳会議を17日、モスクワで開催するようBarroso委員長に提案。ウクライナは反対を表明。Topolanekチェコ首相は、今回の問題がウクライナのEU加盟問題に影響が及ぶ可能性を示唆。モスクワでメドヴェージェフ大統領、チェコのMertin Rimanエネルギー相、ECのAndris Piebalgsエネルギー委員等が会合。呼び掛けられたウクライナのYushchenko大統領は不参加。Gazprom、イタリアのEniを含むエネルギー企業のコンソーシアムが、ウクライナが必要とする「技術的」ガス15億m3を供給する件で協議。ドイツのE.On Ruhrgas、フランスのGdF Suezも参加の意向。プーチン・ティモシェンコ首相協議。1月14日1月17日1月18日 プーチン・ティモシェンコ首相協議(2日目)。ウクライナ向けガス価格で基本合意。欧州並み価格の2割引き、通過料は据え置きとする。2010年は、ガス価格、通過料ともに欧州並み。19日までに合意文書作成を指示。1月19日 Naftogaz UkrainyのOleh Dubyna社長とGazpromのMiller社長は、プーチン・ティモシェンコ両首相の立ち会1月20日 欧州各国で天然ガス供給を確認。いの下、10年間にわたる天然ガス供給契約に調印。紛争事態は完全に終息。執筆者紹介本村 眞澄(もとむら ますみ)[学歴] 1977年3月、東京大学大学院理学系研究科地質学専門課程修士修了[職歴] 同年4月、石油開発公団(当時)入団。98年6月、同公団計画第一部ロシア中央アジア室長。2001年10月、オクスフォード・エネルギー研究所客員研究員。04年2月、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEG)石油・天然ガス調査グループ主席研究員(ロシア担当)。[主な研究テーマ]ロシア・カスピ海諸国の石油・天然ガス開発と輸送問題[主な著書] 『ガイドブック 世界の大油田』(共著)技報堂出版、1984年 、『石油大国ロシアの復活』アジア経済研究所、2005年、『石油・ガスとロシア経済』(共著)北海道大学出版会、2008年[趣味] ブルーグラス2009.3 Vol.43 No.214
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2009/03/19 [ 2009年03月号 ] 本村 真澄
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