中東地域の天然ガス(下)― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―
レポートID | 1006397 |
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作成日 | 2010-01-20 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガスレビュー 2 |
分野 | 天然ガス・LNG市場 |
著者 | |
著者直接入力 | 石田 聖 |
年度 | 2010 |
Vol | 44 |
No | 1 |
ページ数 | |
抽出データ | 40スタンベキ60ウズトルクメニスタンアシガバットマシュハッドブルガリアイスタンブール30ボスポラス海峡40黒海サムスンブルサダ-ダネルス海峡イズミールアンカラトラブゾンテッサロニキ40アシリギアテネグルジアトビリシアルメニアロシア50エレバンアゼルバイジャンバクーカスピ海トルココンヤカイセリ+バンディアバクールタブリーズアフガニスタン-30パキスタン クウェートクウェートシラズアブシェールラビア湾バンダルアッバス-イランイランケルマン-イスファハンザ ク ロ ス 山 地アバダンバグダッドイラクナシリアバスラエルビル-モスルキルクークテヘランコムアラクアンタルヤクレタ島ニコシアキプロス地中海レバノンベイルートアダナアレッポラタキアシリア,ヒムス,ダマスカスアレキサンドリアイスラエルポートサイドアンマン30カイロシナイ半島スエズエジプトアシュートヨルダンヨルダンアカバタブーク峡海バハレーンカタールホズアブダビアラブ首長国連邦ドバイルムオマーン湾マスカットメディナジュベールダンマンダーランリヤドサウジアラビア ズャヘ ジ ヤンブールクソールアスワンオマーン20漠砂リハルアブル,ジェッダメッカ-ア シ ー ルポートスーダン紅海西部砂漠北 回 帰 線20川ルイナサラーラ,サナアAlホデイダ,イエメンアルムッカラインド洋アデンバブアルマンデブ海峡アデン湾50ソコトラ島(イエメン)60-エリトリアマッサワアスマラ40ジブチスーダンオムドゥルマンハルツーム青ナイル川白ナイル川500 Km030(注)本号の記述の範囲は緑線で囲まれた諸国とする。なお、(上)にて淡緑色線で囲まれた諸国については記述した。図30本号の記述の範囲はじめに 石油・天然ガスレビュー2009年11月号(上)に引き続き中東地域の天然ガス事情について述べることとしたい。本稿で言う中東地域の地理的範囲は、図30に示すように西をエジプト、東をイラン、北をトルコ、南をイエメンで境される諸国とした。 また、本号では(下)として、(上)に引き続いてエジプト、イスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン、レバノン、シリア、イランおよびトルコの諸国の天然ガス事情について述べ、さらに、天然ガス供給地域としての中東地域の今後のありようと輸出の可能性などを考察することとしたい。アナリシスJOGMEC中東事務所 所長石田 聖中東地域の天然ガス(下)― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―2008200720062005200420032002200120001999199819971996199519941993199219911990198919881987198619851984198319821981198010億m /年3生産量消費量6050403020100出所:BPStatisticalReviewofWorldEnergy,June2009(BP統計2009)により筆者作成図31エジプトのガス生産量と消費量の推移1. 各国の事情(続き)(9)エジプト ― 供給不安をかかえるエジプトのガス生産 ― エジプトは古くからの産油国ではあるが、原油の産出は、このところ漸減傾向にあり、かわって天然ガス(以下、とくにことわりのない限りは「ガス」は天然ガス*45を意味することとする)の生産が増大している。2008年のガス生産量は589億m3(56億8,000万cf/日:BP統計2009)で、アフリカ大陸では、アルジェリアに次いで第2位となっている。 2000年以降、ナイル・デルタ沖合いのガス田からのガス生産量が急増したことによって、エジプトの国内ガス消費量は着実に伸びているものの、2005年以降は大幅な輸出超過の状況が続いている(図31)。1石油・天然ガスレビュー パイプライン12.6%16.1%9.2%6.6%6.3%13.1%29.0%L N Gアナリシスヨルダンイスラエルおよびシリア【パイプラインガス計】米国メキシコアルゼンチンベルギーフランスギリシャスペイントルコ英国中国インド日本韓国台湾【LNG計】(10億m )32.720.142.861.561.120.080.081.060.164.910.080.080.250.262.212.130.0814.06(%)16.10.816.99.26.60.50.56.30.929.00.50.51.51.513.112.60.583.1(注)少数点以下第2位を四捨五入したためLNG(%)の小計は、各国合出所:BPStatisticalReviewofWorldEnergy,June2009(BP統計2009)計(%)となっていない。より筆者作成10億m /年3発電セメント工業用CNGメタノール・肥料製造ガス化学品製造用民生用工業燃料用石油産業用(ガス圧入、ガスリフト、燃料)19/2018/1917/1816/1715/1614/1513/1412/1311/1210/1109/1008/0907/0806/0705/0604/0503/0402/0301/022000/0199/200098/9997/9896/9795/9694/9593/9492/9391/9290/9190807060504030302010100(注)エジプトの会計年度は7月1日に始まり、翌年の6月30日に終了する。そのため、同国の政府発表や経済指標等の記述には、西暦で2年にまたがった記述が行われる。たとえば、この図の「01/02」は2001年の後半と2002年前半を統合した会計年度の数量という意味である。出所:EUアラブ・マシュレクガス協力センター、リチャード・クピツ氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料(データの原出典はEGAS)より筆者作成図32エジプトの天然ガス国内需要内訳の推移図33エジプトのガス輸出先34°35°レバノンゴラン高原33°UNIFILティレキルヤットシェモーナナハリーヤアッコ北部ハイファティベリア湖ティベリアナザレタマール・プロスペクト(タマール-1井によりガス発見)33°鉱区境界線既発見集ガス構造プロスペクト石油パイプラインガスパイプライン同(計画)1020304050 60 km地中海32°ヨルダン川トゥルカルムナブルス西岸地域ハデラネタニヤ中部ヘルツェリアテルアビブテルアビブーヤフォバトヤムダリット・プロスペクトハイファアフラOrラムララマラジェリコヨルダン死海アクカラクアスサフィ31°ガザマリンNir アシュドットエルサレムエルサレム(マリ-B)アシュケロンキルヤットベツレヘムガザガットへブロンエジプトからの供給ラインガザカーンユニスエルアリシュ33°ベエルラファン34°南部ベエルシェバディモーナゼーファ35°032だ33°° 図32に1990年以降のエジプトのガス需要の内訳および2020年までの需要予測を示した。エジプトの発電設備は約80%が火力発電であり、残りの20%が水力発電(そのほとんどはアスワンハイダムによる)である。きもあったが、火力発電は、かつては石油焚現在では全てがガス焚きに転換されている。エジプトのガスの消費のうち、約65%が発電用である。この傾向は今後とも引き続いていくものと思われ、電力需要の増大により、ガス需要も増加していくものと思われる。 エジプトのガスの輸出は、2003年に初めてヨルダン向けに11億m3をパイプラインを通じて輸出したことに始まる。その後、エジプト国営石油会社(EGPC)およびエジプト国営ガス会社(EGAS)と外資との合弁で液化プラントを2004年、2005年にそれぞれナイル・デルタの海岸部に位置するイドゥクーとダミエッタで操業させ、LNGとして輸出が可能となった。2008年には欧州、米国などにガスをLNGとして140億m3(約990万トン)輸出し、パイプライン経由でヨルダン・シリアおよびイスラエルへ28億6,000万m3を輸出した(図33)。 エジプトは、イスラエル建国以来敵対関係にある同国に対して2008年5月からガスを輸出している。ArabGasPipeline(以下、AGP)で送られているガスをエジプトの地中海港湾都市エルアリッシュで分岐し、イスラエ31°出所:各種資料より筆者作成図34イスラエルおよびガザ沖の天然ガス資源とパイプラインルのアシュケロンまで敷設された約100kmの海底パイプラインで、送ガスしている(図34)。エジプト・イスラエル合弁企業EastMediterraneanGas(EMG)が建設と操業に当たっている*46。 エジプトのガス企業担当者は、この17億m3/年にのぼるイスラエルへのガス輸出に関して、政経分離を強く2010.1 Vol.44 No.120億m /年3908070605040302010863155輸出需要019701975198019851990199520002005201020152020出所:OME主催MIEC-CGEMPConference(2005年4月)におけるマンフレッド・ハフナ―氏の発表資料(http://www.dauphine.fr/cgemp/Manifestations/MIEC/OME.pdf)より筆者作成8,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,0000百万m /日3敷設長輸送能力km07/0806/0704/0502/0300/0198/9996/9794/9592/9390/9188/8986/8784/8582/8380/81180160140120100806040200出所:EGASホームページ(http://www.egas.com.eg/Egyptian_Natural_Gas/Establishing_gas.aspx)より筆者作成図35エジプトの国内パイプライン網の整備状況の推移図36エジプトのガス生産、輸出の実績と予測中東地域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―5045403530252015105 0-5年末時点での残存埋蔵量 (兆m )3年間の埋蔵量増減 (%)ガス埋蔵量 ( 兆m :年末時点)3年間埋蔵量の増加 (%)20052004200320022001200019991998199719961995199419931992199119901989198819871986198519841983198219817060504030201002.01.81.61.41.21.00.80.60.40.20年末時点での残存埋蔵量 (Tcf)出所:EUアラブ・マシュレクガス協力センター、リチャード・クピツ氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料(データの原出典はエジプト石油省)より筆者作成図37エジプトのガス埋蔵量の推移と伸び率向けとして確保していた。しかし、同基地の建設の遅延により、スポット市場での販売に意欲的となっている。 エジプトLNG(ELNG)の生産量は増加しているものの、GdF*50向けの契約が2013年に失効することなどのため、アルジェリアを含む地中海沿岸からの欧州向けLNG供給割合は2005年の39%から2020年には15%程度まで減少すると予測されている。(10) イスラエル・パレスチナ自治区・ヨルダン・レバノン ― 大規模ガス資源の発見は今後も続くか? ― 政治的にも宗教的にもまったく異なるこれら4カ国ではあるが、国内にガス資源が乏しく、今後おもにエジプ主張している。しかし、EMGは現在百万Btu(英熱量単位)あたり2.75米ドルという国際市場価格よりも低い価格で輸出しており、エジプトの国家資源が流出していること、パレスチナ人弾圧を続けるイスラエルのエネルギー源になっているとして、エジプト国民には大きな不満が生じている。 エジプト政府は、さらに国内主要エネルギーのガス化を推し進めており、国内ガスグリッドは飛躍的に整備されてきている(図35)。国内各所に工業拠点を設けているが、同予定地にはパイプラインを整備して、工場立地の前にエネルギー供給を確保している*47。 前述のとおり埋蔵量および生産量は比較的順調に増加しており、一部観測では図36に示すように、2020年時点で300億m3以上の輸出能力が期待されることが予測されている。しかし、近年その伸び率は鈍化しており(図37)、また国内需要の増加率はさらに大きなものとなっており、近い将来供給不安が起こりかねない。また、エジプト政府は、国内へのガス供給価格を2ドル/百万Btu程度に抑えており、国際石油企業の増産意欲をそぐことになっている。政府としては、高いコミットメントをもつLNG長期契約や比較的高価格が期待されるスポットでのLNG輸出を志向しているものと思われ、パイプラインを通してマシュレク諸国*48に流れているガスの供給懸念もある。 2008年後半以降の経済低迷によるLNG需要の落ち込み、欧州の受け入れ基地の建設遅延によって、エジプトから欧州向けのLNG販売は低迷している。主要プレイヤーのBG*49は当初、エジプト・イドゥクーの第2トレインでの全量をイタリア・ブリンディジ同受け入れ基地3石油・天然ガスレビューgを供給源としてガスグリッドが形成されることが予想されることから、本稿では一項として記述することにする。・イスラエルの天然ガス転換 イスラエルは、国内産油量が1,000バレル/日以下であること、国家安全保障のためエネルギー源の多様化を図る必要があることから、ほとんどを輸入に頼る石油への依存低減につとめている。発電向けを中心にガスの利用拡大を計画している。2003年にはほぼゼロであったガス消費を、2010年には約80億m3/年へ、さらに2015年には約120億m3/年まで拡大する構想で、一次エネルギー構成の25%を天然ガスとすることとしている。この背景には、イスラエルの沖合いマリ-Bガス田(図34:埋蔵量1.1Tcf)の生産が2003年に開始されたことが主な理由である。現在、同ガス田から18億m3/年を購入しているが、2015年に契約が満了する予定で、代替のガス源確保に腐心している。・急増が予想されるヨルダンとレバノンの天然ガス需要 ヨルダンは、エジプトからのパイプラインガスの供給によって、エネルギー消費構造は劇的に変化してきている。図33に示したように2008年にエジプトから輸出されたパイプラインガスの約95%がヨルダン向けであった。発電用が多くを占める同国のガス需要は2003年より急増している。また、ヨルダンでは人口が都市部に集中していることから、タウンガスの使用も急増している。予想以上に需要が急増していることから、当初予定されていたサムラ発電所などの増設分に対する供給について、エジプトはコミットをとりやめた。 2006年3月、エジプト、シリア、ヨルダン、トルコ、レバノンおよびルーマニア間で、AGPのシリアからトルコ国境までの延伸が基本合意された。さらに、2008年1月トルコとシリアはアレッポとキリス間の63kmのパイプライン敷設で合意した。この建設によってAGPはトルコのパイプライン網に接続される。2011年までの完成を予定している。 シリアからレバノンへ延びる支線については、AGPのシリアのアル・ライアン=ガス・ギャザリング・ステーションとレバノン北部のダイール・アマール発電所(435MW)はすでにガスル-1パイプラインによって、2005年に連結されている。敷設がほぼ完工した2005年に、レバノンのラフィーク・アルハリリ元首相が暗殺され、シリアの関与が取りざたされ、両国の関係は悪化した。2008年8月にレバノンのミシェル・スレイマンアナリシス大統領は、シリアのバシャール・アルアサド大統領と会見し、その後関係は急速に改善した。2009年11月よりシリアを経由してガス供給が開始された*51。しかし、エジプトはヨルダンに30億m3/年、シリアに22億m3/年を供給することで合意しているが、現在、AGPネットワークのレバノンへのエジプト産ガスの送ガス量は十分ではない。すなわち、これは当初エジプトとのスワップ協定でレバノンはシリア産ガスを輸入することを意図していたが、シリアが純輸入国となった現在はこの協定は履行されていない。 1970年代からの内戦状態によって長らく経済的にも破綻状況であったレバノンであるが、内戦終結とともに湾岸地域各国からの投資が再開されてきた。首都ベイルートは、往時の「中東のパリ」の面影を回復しつつある。こうした状況から、エネルギー需要も急増しており、図38に示したように、現在の需要量である18億m3/年から、今後10年間で2倍以上になることが予想されている。6.05.04.03.02.01.0010億m /年32005201020152020KBR, 1998MEW, 2003WB, 2004MEW, 20050.83.10.52.33.72.93.22.54.33.13.93.05.03.44.5(注)図中の略号 KBR:旧KelloggBrownRoots、MEW:MinistryofEnergyandWater,Lebanon、WB:WorldBank の予測と予測した年出所:EUアラブ・マシュレクガス協力センター、リチャード・クピツ氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料より筆者作成図38レバノンのガス需要予測・東地中海沖合いでの大規模ガス田の発見 東地中海パレスチナ自治区ガザ沖合い海域のメッド・ヤブン鉱区内のガザマリン・ガス田(推定埋蔵量1.7Tcf)(図34)は、BGが1999年にパレスチナ自治区政府と25年間のガス探鉱・開発に関する契約を調印し、探鉱を進めて発見されたものである。BGが90%、Consolidated2010.1 Vol.44 No.14トいる。シリアはダマスカス近郊のダイール・アリ発電所ほか各地の発電所の燃料となっている。 図39は、シリアのガス需給のOME*56による予測である。シリアは今後とも国内需要が生産を大きく上回り2020年時点で、100億m3/年程度の純輸入国となることが予測されている。図40は、EUアラブマシュレクガス協力センター*57のAGP沿線のガス需給の予測である。この予測によれば、レバノンを含めたエジプト→ヨルダン→シリアでは、2020年時点において完全な供給不足の状態に陥ることが予測されている。こうした中でシリアは、イラン産ガスのトルコ経由AGPを逆送するかたちでのガス輸入を志向している。 シリアは2007年10月に、イラン政府とガス協力に関する覚書を締結している*58。内容は、2009年よりイラン産ガスをトルコ経由で年間30億m3を10億ドルで輸入するというもので、既存のイラン北西部とトルコ東部13031輸出需要生産輸入10億m /年3100019701975198019851990199520002005201020152020出所:OME主催MIEC-CGEMPConference(2005年4月)におけるマンフレッド・ハフナ―氏の発表資料(http://www.dauphine.fr/cgemp/Manifestations/MIEC/OME.pdf)より筆者作成図39シリアのガス生産、輸出の実績と予測10億m /年3需要供給供給余力供給不足60.050.040.030.020.010.00.0供給不足2005200620072008200920102011201220132014201520162017201820192020(注)この図はMEES2009/2/28にも引用されているがMEES誌の説明は「シリアのガス需給」とされており間違い。出所:マシュレクガス協力センター資料(http://www.eamgcc.org/archive/docs/File/Presentation%2026th%20January%202009%20Jim%20Deacons%20City%20Gas%20conference.pdf)図40マシュレク(AGP沿線)諸国のガス需給予測ContractorsInternationalCompany(CCC)*52が10%の権益を保有している。将来、イスラエルへの有望なガス供給源になると目されていた同ガス田については、BGとイスラエル当局との交渉が2007年12月に休止され、その後、BGはエルサレムの事務所を閉鎖した。両者の価格交渉の折り合いがつかなかったこと、何よりも2007年以来ガザ地区での政治を主導するハマスの自治区政府内での位置づけや、イスラエルとの敵対姿勢等の山積する政治的問題が尾を引いたものと思われる。 米国ノーブル・エナジー社は、2009年1月、イスラエル沖合い北部のマタン鉱区内タマール-1井の掘削によって、大ガス田を発見した。同坑井は、同国北部のハイファ港から沖合い約90kmの水深約5,500ft(約1,700m)に位置する。同ガス田の埋蔵量は5Tcfとされている。今後近接する予想集ガス構造(プロスペクト)の掘削や、ハイファ沿岸から約50km沖合いの水深約1,100mに位置するミカエル鉱区内のプロスペクトの掘削が計画されている。イスラエル各紙は、この発見によって同国のガス需要がまかなえるほか、国外へガス輸出の可能性をも報じている。今後、エジプト・ナイルデルタ沖合いと同様に、大規模なガス田の発見が続くことが期待される。2009~2010年には、隣国レバノンの海域の鉱区公開も予定されており、海域での資源をめぐる紛争が発生しないことが望まれる。 イスラエルは、同国の長年の懸案プロジェクトである沖合いLNG受け入れ基地*53につき、2010年中に企業と建設/運営/譲渡(BOT)契約を結ぶこととしている。同基地の受入能力は最大1,600万m3/日(約58億m3/年、LNG約410万トン/年)となる見込みで、国内の主要ガスグリッドに接続される。操業開始は2013年10月以前が予定されている。前述の沖合い大規模ガス田の発見により見直すべきであるとの考え方もあるが、同国政府はガス供給安全保障に向けた供給源多様化対策の一環という位置付けで、同プロジェクトの実施を決定している。 同様の計画はレバノンにおいても進行している*54。(11)シリア ― ガス純輸入国に転落 ― シリアのガス需給状況については、得られる統計の最終年である2006年には、62億5,000万m3のガスを生産している(eia統計*55)。2006年までは国内需要はすべて国内生産でまかなわれていた。2008年のヨルダン-シリア間のAGP開通によって、現在エジプト産ガスを13億m3/年輸入している。このガスは、一部は国内既設パイプラインを通して、主に各地の発電所に供給され5石油・天然ガスレビュー中東地域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―ツなぐパイプラインを使い、トルコのガスグリッドを経由し、イラン産ガスを当初の北行計画を逆送する形でAGPに送ることとしている。両国は、イスラムの教義は異なるものの、反米・反イスラエルではしばしば共同戦線をはってきた。今後の動向が注目される。 シリアでは、このところガスを燃料としたスチームによる重質油の回収プロジェクトがブームの様相を呈している*59。契約上、操業にかかる随伴ガスの使用については、鉱業権者が自由に使用できることになっている。今後、随伴ガスの使用についても制限が加えられる可能性もある。(12)イラン ― 石油生産維持のためのガス圧入と「大国意識」が障害に ― イランは、ロシアに次ぐ世界第2位の天然ガス埋蔵量を誇り、2008年末時点での埋蔵量は、29兆6,100億m3(1,045兆7,000億cf、世界の16.0%):(BP統計2009)である。これは、世界最大のノースフィールド・ガス田を有しLNG輸出を急速に拡大しつつある世界第3位カタールの埋蔵量25兆4,600億m3(899兆3,000億cf、世界の13.8%)を上回るものである。10億m /年3910・高まる国内天然ガス需要 しかし、イランは約6,700万人の人口をかかえており、ガスの消費も米国、ロシアに次いで世界第3位となっており、ガス輸入量が輸出量をわずかに上回っている(図41)。 イランのガス輸出入実績を図42に示す。1970年代には、旧ソ連邦へ大量に輸出していたが、90年代末からはトルクメニスタンからの輸入が大幅に増加した。2008年にはトルクメニスタンから65億m3、アゼルバイジャンから4億m3を輸入しており、トルコへ58億m3輸出している(BP統計2009)。 イランでは近年、暖房需要が増加する冬期において国内のガス供給に支障が出たり、トルコ向けの輸出を一時的に停止したりする事態が発生している。2008年初には、前年末にトルクメニスタンからのガス供給が一時停止されたことに加え、イラン国内が例年を上回る量の積雪と異常低温によって、ガス消費量が増加したために国内のガス供給に支障が生じ、その後トルコ向け輸21543876アナリシス出をしばらく停止した。 イラン政府は、①外貨獲得のため原油を輸出することを志向しており、国内のエネルギー供給を石油製品からガスに転換すること、②原油の増産・生産維持のためガスを油田に圧入すること、③石油化学原料としてのガスの利用を促進し、石油化学製品として付加価値を高めること、④パイプライングリッドの整備およびLNG関連施設を建設することによってガスの輸出を拡大すること、などの施策を実施している。埋蔵量が豊富なことから今後、重要なガス輸出国になる可能性も秘めているが、これらの政策によりガスの国内需要が増加する可能性があること、イラン核開発問題と西側諸国からの経済制裁120110100908070605040302010010億m /年3生産量消費量19701975198019851990199520002005出所:BPStatisticalReviewofWorldEnergy,June2009(BP統計2009)により筆者作成図41イランのガス生産と消費の推移輸出輸入旧ソ連邦向けトルクメニスタンからトルコ向け(アルメニアおよびアゼルバイジャン・ナクチェバン地域向けを含む)アゼルバイジャン向け01970197219741976197819801982198419861988199019921994199619982000200220042006出所:CGES(CentreforGlobalEnergyStudies)、マノウシェフルー・タキン氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料より筆者作成。原出典は、OPEC統計、BP統計など図42イランの天然ガス輸出入の実績2010.1 Vol.44 No.16ク退していく油層内部の圧力を維持して原油の生産維持を図る方法として一般的である。イランは、中東産油国のなかでも比較的早い時期から原油生産を開始しているために老朽化した油田を数多くかかえており、OPECのなかでアルジェリア、ベネズエラに次いで、ガス圧入量は274億m3で第3位となっている*61。図43には、油田へのガス圧入量のイラン国営石油会社(以下、NIOC*62)による予測、図44には、中東地域の国別圧入量の推移と予測を示した。イランが他の国と比較して実績予測とも非常に大きな量となっており、今後数年間で3倍以上に増加するとの予測であることが分かる。ちなみに、イ2018161412108642010億m3/日その他カタールオマーンUAEイエメンイラン200020022004200620082010201220152020出所:GasTech2009におけるFACTS社フェシャラキ氏講演資料「TheMiddleEastGasRevolution:ANewParadigmoraTemporaryShift?」より筆者作成に見られる政治的な問題があることから、場合によっては、国際市場へのガス供給量は大きく左右されることが予想される。 現在、天然ガスはイラン国内一次エネルギー供給の約55%を占めている(BP統計2009)。図4(上)に示した通り、イランの発電構成の約72%がガスを燃料としている。電力需要は年間10%程度ずつ増加しているとされ、今後とも発電用のガス需要は増加することが見込まれる。イランは、1979年のイラン革命以来、国際社会の中で孤立状態が長らく続いている。政権からの国民の離反を防ぐ目的もあってか、しばしばポピュリズム的な政策がとられることが多い。エネルギー価格についても、ガスには多額の補助金が投入され極端な低価格*60となっていて、浪費を招いていると指摘されている。 油層へのガス圧入は、原油の生産によって一般的には12010080604020010億cf /日10億m /年312108642201320122011201020092008200720062005200420032002200120000出所:第2回イランガスフォーラムにおけるアイアマック・アディビ氏講演資料「AReviewoftheLNGIndustryanditsEconomics:GasExportOptionsforIran」http://training.nigc.ir/files/files/workshop/IGF%202008-Part%201.pdfより筆者作成中東地域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―図43イランのガス圧入量の実績と予測図44中東諸国の油田ガス圧入量の推移と予測表7イラン国内ガス幹線パイプライン(IGAT)名称距離口径備考IGAT Ⅰ1,260kmIGAT Ⅱ約1,250kmIGAT Ⅲ780km40/42インチ56インチ56インチ旧ソ連邦とのガス販売契約により1970年から送ガス開始したが 1993年に終了した。1975年に2,800万m3/日(100億m3/年)→4,500m3/日(160億m/年)の拡張工事が終了。17カ所のブースター基地を有する。現在、主にクゼスタン州産の随伴ガスの北部地域への送ガスに使用されている。ビッド・ボランド処理センターからアガジャリなどの南部各油田を経て、アゼルバイジャン国境のアスタラまで。IGAT Ⅰに並走する。1978年に着工、1981年完工。輸送能力7,400万m3/日(270億m3/年)、うち170億m3/年が、旧ソ連邦時代のアゼルバイジャンほかに供給されていた。1985年に、旧ソ連邦への輸出は終了した。1988年に国内向けのグリッドとして再開された。7カ所のブースター基地を有し、IGAT Ⅰとは支線によって連結している。現在、本パイプラインは南部のカンガン・ガス田およびナール・ガス田から非随伴性のガスを北部の消費地に送ガスしている。南部アッサルヤから北方のテヘラン方向に敷設されている。建設は4期に分けられており、第1期は、Stroytransgaz(露エンジニアリング会社)によって2001年に完工した。能力は、8,500万m3/日 (310億m3/年)、6カ所のブースター基地を有する。イラン北部および北西のアルダビル州の貯蔵施設へのアクセスを確保するためにNIGC は現在サベハ、ガズビンおよびラシュト近郊までの延伸部を建設中である。271kmの伸延部は、56インチで、一部は供用が開始されている。7石油・天然ガスレビューAナリシスIGAT Ⅳ1,080kmIGAT Ⅴ504kmIGAT Ⅵ609 kmIGAT Ⅶ902 kmIGAT Ⅷ1,050 kmIGAT Ⅸ1,900km56インチ56インチ56インチ能力は1億1,000万m3/日(400億m3/年)。幹線部は、サウスパルス・ガス田のアッサルヤ処理プラントからテヘランの南西郊外のサヴェハ・ブースター基地間。ファルス州向けの第1区間351kmは2004年から操業。サヴェハまでの第2区間は2006年操業開始。5本の支線があり、多くは2006年より操業を開始した。幹線部に追加ブースター基地を建設中。能力は、7,500万m3/日 (270億m3/年)。サウスパルスのフェーズ6-8で生産されたサワーガスをクゼスタン州油田ほかの油田の圧入用に送ガスしている。5ブースター基地を有する。アガジャリ油田の現在の生産量は18万バレル/日であり、ガス圧入および再開発によって1970年代の100万バレル/日以上への回復が計画されている。2008年8月完工。ガス源はサウスパルスのフェーズ9および10で、ブシェール州およびクゼスタン州のガス需要、南部の諸油田への圧入を目的として計画されている。同ラインはIGATⅤに並走する。能力は1億1,000万m3/日(400億m3/年)。5基のブースター基地を有する。2005年に建設が開始され、2008年の第4四半期に完工した。42~56インチ東部のシスタン州およびバルチェスタン州へガスを供給する。また、IPIパイプラインの一部となる。ガス源はサウスパルスのフェーズ9および10、キーシュ・ガス田。イランシャハールからホルムズガン州およびケルマン州に供給予定である。建設工事は順調に推移しており、2009年前半現在敷設は約5分の2を完了し、完工は2010年の予定。56インチ56インチサウスパルスからサファ・シャハ-ルおよびナイエンの近郊を通過し、テヘラン第5パイプラインに接続する。10カ所のブースター基地が建設中である。サウスパルスのガスをパルシャンガス処理センターへ送ガスする一部区間125 kmは2006年に供用を開始した。全区間は2009年に完工予定。ブースター基地は、2010年までに順次稼働の予定である。アッサルヤからガスをトルコ国境に近い西アゼルバイジャン州のバザルガンにアフワズ、ケルマンシャーおよびミアンドアブ経由で送ガスものである。能力は1億1,000万m3/日 (400億m3/年)で、最終的にトルコ経由でガスを輸出しようとするものである。ガス需要の増加によって最終的に17ブースター基地を建設する。2008年11月、トルコ・TPAOが、120億ドルを投資し、サウスパルスのフェーズ22~24および同パイプライン建設にかかわることが合意された。出所:各種資料より筆者作成ランがガス圧入のために使用するガスの量は、カタールがLNGとして輸出するガス量より多い。 表7は、国内ガス・パイプライン・プロジェクトの状況を示したものである。イランではガスパイプラインはIGAT*63と呼ばれている。IGATⅠ~Ⅵは操業中で、現在、このうちIGATⅦおよびIGATⅧまでが建設中である。・サウスパルス・ガス田開発の行方 イラン最大のガス田はアラビア湾にあるサウスパルス・ガス田である。このガス田は、カタールのノースフィールド・ガス田と同一集ガス構造とされており、イラン側をサウスパルス・ガス田*64と呼んでいる。サウスパルス・ガス田の埋蔵量は、ガス約14兆m3(約500Tcf)およびコンデンセート約180億バレルとされており、ガス埋蔵量は世界全体の約8%、イラン全体の約40%を占めているとされる(図45)。IEAによれば、図46に示す通り、今後10年間はサウスパルス・ガス田からの販売ガス生産量が過半を占めることが予想されている。併せて、IEAによる生産量およびその内訳の予測を図47に示す。25020010億m /年3アガールカンガンカンギランナールサウスパルスその他の既存ガス田150新規開発サウスパルスノースパルスキーシュタブナクカンガンカンギランナールその他464 Tcf50 Tcf48 Tcf30 Tcf20 Tcf16 Tcf13 Tcf444 Tcf100500200420082012201620202024 2028203040.9%42.7%2.8%1.9%4.6%4.4%1.5%1.2%出所:ダイヤモンドガスレポート第850号4ページほかより筆者作成出所:IEAディディエール・ホウシン氏のEuro-ArabGasForum(2009年3月:フランス・パリ)における講演資料より筆者作成図45イランの油・ガス田別ガス埋蔵量図46イランのガス田別生産見通し2010.1 Vol.44 No.18?健n域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―10億m /年3700600500400300200100020072008200920102011201220132014201520162017フレア発電計画輸出量生産予測量および計画輸入量圧入工業用および民生用生産予測量出所:IEAディディエール・ホウシン氏のEuro-ArabGasForum(2009年3月:フランス・パリ)における講演資料より筆者作成図47イランのガス生産と消費内訳見通し NIOCによって、サウスパルス・ガス田を含めてアラビア湾内のガス田開発を行う会社として、1998年に設立されたPOGC*65は、表8に示したようにサウスパルス・ガス田を複数のフェーズに分けて開発を進めている。これらのフェーズは、合計24フェーズで、現在第1~5フェーズおよび第9、10フェーズが生産を開始している*66。イランからのLNGによるガス輸出実績はないが、フェーズ11~14がLNGプロジェクトによる輸出向けとされている。 サウスパルス・ガス田の生産ガスをフィードする3つのLNGプロジェクトがある。表9に示した通り、①ParsLNG計画は、(生産能力)500万トン/年のトレイン2基からなり、NIOC、仏トタールおよびペトロナスが参画している。②イランLNG(生産能力各500万トン/年×トレイン2基)計画は、NIOCの全額出資によって設立されたIranLNG社が単独で事業を進めている。このプロジェクトは、サウス・パルスの第12フェーズとも呼ばれている。イランは2009年3月、同プロジェクトについて、中国企業ら3社から成るコンソーシアムとの間でLNG共同生産に向け約33億ドルの契約を締結表8サウスパルス・ガス田の開発計画フェーズ名開発企業フェーズ 1(1997年9月契約) *Petropars(イラン)フェーズ 2、3(1997年9月契約)*Total(仏)40%Petronas(マレーシア)30%Gazprom(露)30%フェーズ 4、5(2000年7月契約)フェーズ 6、7、8(2002年10月契約)フェーズ 9、10(2002年9月契約)*Eni(伊)60%Petropars(イラン)20%NICO(イラン)20%Petropars(イラン)60%*StatoilHydro(ノルウェー)40%*LG E&C(韓国)IOEC(イラン)OIEC(イラン)事業概要国内向けに天然ガスおよびコンデンセートを生産。当初計画より約5年遅れて2004年4月よりフェーズ2、3事業に次いで生産開始。国内向けに天然ガスおよびコンデンセートを生産。2002年3月より生産開始。このフェーズがサウスパルスで最初の完成。2002年11月よりピーク生産量になる。2003年第2四半期にすべての施設の操業権はNIOCに移管された。国内向け天然ガスおよびコンデンセート、LPG等生産。2004年10月より生産開始、完全操業は2005年4月より。陸上施設は現代エンジニアリング(韓)が施工。生産ガスはおもにEORのためのガス圧入用としてイラン南西部アガジャリ油田に供給される。遅くとも2009年初に生産開始見込みであったが、再度延期。国内向け天然ガスおよびコンデンセート、LPG等生産。2008年中に生産開始見込み。2007年完成予定であったが、未完。投資額:40億ドル。フェーズ11~14はLNG事業:表9フェーズ 15、16(2006年6月頃契約)フェーズ 17、18(2006年6月契約)ハタモル・アンビア建設本部(Khatam Al-Anbia Reconstruction Headquarters)IDRO(Industries Development and Renovation Organization : イラン)OIECIOECフェーズ 19、20、21未定フェーズ22、 23、24(2006年7月合意、契約未了)*TPAO(トルコ)国内向け天然ガス、コンデンセート、石油化学向け原料等生産。国内向け天然ガスおよび石油化学原料、輸出用コンデンセートを生産。2007年7月開発作業開始。投資額:20億ドル。2006年2月に入札公告を新聞等に掲載。Shell、Total、Eni、StatoilHydro、Sinopec、Lukoil、BHP、Petrobrasが資格審査を通過したとされているが、契約未了。NIOCはイラン企業の51%以上の参画を規定。国内向け天然ガス、石油化学向けエタン、LPG、輸出用コンデンセート、硫黄を生産する予定。国内向け天然ガス、石油化学向けエタン、輸出用LPG、コンデンセート、硫黄を生産する予定。TPAOは、トルコ経由欧州向けパイプラインの一部であるIGATⅨと合わせて120億ドルを投資の予定。(注)*はオペレーター出所:JOGMEC石油・天然ガスレビュー 2008年11月号 石澤英俊「大きなポテンシャルを秘めるイランの天然ガス・石油事情」(http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200811_063a%2epdf&id=2150)ほかより筆者作成9石油・天然ガスレビュー\9イランのLNG開発計画LNG計画名称および対象ガス田生産量(万トン/年)関係企業事業概要アナリシスParsLNG計画(サウスパルス フェーズ11)IranLNG計画(サウスパルス フェーズ12)(500×2トレイン)1,0001,000(500×2トレイン)Total(40%)、Petronas(10%)、NIOC(50%)Petropars。2007年5月にOMV(オーストリア)と10%権益譲渡で確認書締結。インド企業と協議中とも言われる。生産開始は2014年とされていたが、トタールはコストと政治的な困難性から投資決定できず。遅れは必至。生産開始見込み時期:2012年頃PersianLNG計画(サウスパルス フェーズ13、14)1,600(800×2トレイン)Shell(英蘭)、Repsol YPF(スペイン)、NIOCSouth Pars LNG450NIOC、CNPCNorth Parsガス田(原始埋蔵量約59Tcf)2,0002006年12月にCNOOC(中国)とNIOCがMOU締結Qeshm LNG345(115×3トレイン)NIOC、LNG Ltd.(オーストラリア)Golshanガス田および Ferdowsiガス田N.A.2007年1月にSKS Ventures(マレーシア)とNIOCがMOU締結。同12月にガス田開発について両者が契約締結。生産開始見込み時期:2014年頃フェーズ13については、シェル、レプソールは撤退を決定し、NIOCは単独で国内向けのガス開発を志向している。プラントは、アッサルヤに予定。ガス源はサウスパルスのフェーズ14とされるが、既にPersianLNG用とされている。投資額合計160億ドル以上(ガス生産約50億ドル、ガス液化設備約110億ドル)、4フェーズで開発、操業開始まで約8年。プラントはケシム島に予定。2010年の第1四半期に3トレイン(能力各115万トン/年)のうちの第1トレインを完成させる予定。ガス源とされるガス田は現在国内用に開発されている。ガス田開発契約は60億ドル相当。MOUでは、投資額合計160億ドル程度(ガス生産約50億ドル、ガス液化設備約110億ドル)とされている。(注)Golshanガス田は原始埋蔵量約50Tcf、Ferdowsiガス田は原始埋蔵量約10Tcfとされる。出所:JOGMEC石油・天然ガスレビュー 2008年11月号 石澤英俊「大きなポテンシャルを秘めるイランの天然ガス・石油事情」(http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200811_063a%2epdf&id=2150)ほかより筆者作成。したことを明らかにした。プロジェクトは2期に分け実施し、年間1,000万トン以上のLNG生産を目指すという。③PersianLNG(生産能力810万トン/年のトレイン2基)は、世界最大のトレインを擁することになり、NIOC、シェル、RepsolYPFが参画している。さらにNIOCは、CNPC(中国)との間で、450万トン/年規模のSouthParsLNG計画に合意しているが、協定では、すでにPersianLNG向けに予定されているサウスパルス・フェーズ14の生産ガスを使用することとしていることなど、事態は混沌としている。 ノースパルス・ガス田については、同ガス田を4フェーズで開発して2,000万トン/年のLNGを生産するとの覚書を2006年12月、NIOCはCNOOC(中)と締結している。その他、ゴルシャン・ガス田(沖合約65km)とフェルドウシ・ガス田(沖合約85km)でもLNG計画が模索されている。 しかし、これらの計画については、国際石油会社側とイラン側との交渉が長期化していること、米国による制裁によって新鋭技術が使えないことなどにより、計画に対する最終的な投資決定が行われておらず、具体的な事業には着手されていない。 LNGを含めた2020年までの輸出入予測を図48に示した。10億cf/日10億m /年3輸出(LNG)輸出(パイプライン)輸入純輸出(パイプライン+LNG)純輸出(パイプラインのみ)97531-1-3200020022005200620072010201220152020806040200-20出所:第2回イランガスフォーラムにおけるアイアマック・アディビ氏講演資料「AReviewoftheLNGIndustryanditsEconomics:GasExportOptionsforIran」http://training.nigc.ir/files/files/workshop/IGF%202008-Part%201.pdfより筆者作成図48イランのガス輸出能力の見通し・パイプラインによる輸出計画 パイプラインによる輸出については、2007年7月、トルコとの間でイラン産およびトルクメニスタン産ガスのトルコ経由でのヨーロッパ向け輸出に関する覚書が締結された。1997年以来、トルクメニスタンからのガス輸入が継続されており、イランの国内需要によって、トルコへの輸出量が左右される懸念はあるが、欧州へのガ2010.1 Vol.44 No.110X輸送の中継地としてのイランの役割は今後とも大きくなると思われる(図42)。 2009年5月、イランからアルメニアへ全長約149kmのパイプラインによるガス輸出が開始された。販売量は、20年間で約360億m3とされ、2010年末に300万m3/日(11億m3/年)、最終的に630万m3/日(23億m3/年)のガスを供給する予定である。なお、アルメニアはガスの支払いのため、ソヴィエテラ原子力発電所からの電力をイランに輸出することによるバーター契約とされている。国境を接しているトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンへの輸出入ルートについては図49に示した。 NIOCは、CrescentPetroleum*67(以下、クレッセント)とアラビア湾内にあるサルマン油ガス田からのガス輸出に関する契約を締結している。当初の輸出開始予定は2005年12月であったが、輸出は開始されていない*68。アラビア湾内のキーシュ・ガス田(埋蔵量36Tcf)から、オマーンへの輸出についても、資金難、コンデンセートの得率が極めて低く、経済性に問題があることなどから、進捗は思わしくない*69。クウェートとの間で2005年3月、2007年から25年間のガス輸出に関する覚書を締結したが、具体的な進展は見られない。バハレーン向けにも、既に交渉が開始されているが、妥結するには数年程度かかると思われる旨、イラン当局は発言している*70。 イランから湾岸諸国への輸出ルートおよび域内のパイプライン計画については、図50に示した。中東湾岸地域では、前述のとおりガスの供給不足を補うため、手近なイランから調達しようという考えがあるが、現在国内産ガスに支払っている価格の2倍、3倍は支払う必要があり、足元を見たイランとの間の価格交渉はほとんどが頓挫している状況にある。 イランのサウスパルス・ガス田から、陸路パキスタンを経由してインドの既存幹線パイプラインであるHBJライン*71に接続する総延長2,775kmのIPI(イラン-パキスタン-インド)ガスパイプライン計画は、イランの天然ガスをインドとパキスタンに供給する事業である。1993年、イランとインドが両国間の陸上パイプラインに関する覚書を締結して企業化調査が開始された。当初のBHPによる企業化調査*72では、40億ドル程度のコストと結論されたが、2005年半ばに、投資額が70億ドルに上方修正された。パイプラインの輸送能力は、最終的に1億5,000万m3/日(=53億cf/日)となるとされている。10050km040”カスピ海アスタライランタブリーズ②ノルドゥズ/メグヒ30”①バザルガンナヒチェバン16”③ジョルファ40”トルコアルメニアガンジャ(キロヴァバッド)ミンガセビールミュススルユスムガイトバクーキュルダミールアゼルバイジャンアゼルバイジャンアリ・バイヤミナゴルノカラバフチャンカンディ(ステパナケルト)①2001年よりのトルコ向け輸出ルート。2009年にプラトー量の9億7,000万cf/日に達した。②パイプラインは2007年3月に完工。実際の輸出開始は2008年。ガス量は1億600万~2億2,000万cf/日、電力とのバーター契約。③2,900万~3,400万cf/日のガスをアゼルバイジャンの飛び地であるナキチェバン地域に輸出。アスタラを経由するアゼルバイジャンからの輸入のスワップ取引の一部である。矢印はガスの流れの方向を示す。出所:第2回イランガスフォーラムにおけるアイアマック・アディビ氏講演資料「AReviewoftheLNGIndustryanditsEconomics:GasExportOptionsforIran」http://training.nigc.ir/files/files/workshop/IGF%202008-Part%201.pdfおよびその他の各種資料をもとに筆者作成図49イランの北西部諸国向け天然ガス輸出入ルート油田ガス・コンデンセート田0100kmイラン⑦②バハレーン③ドハーン油田キーシュ島①⑤④アサルヤ湾 ファルシイラクルメイヤ油田クウェートクウェートシティドラ・ガス田⑥ブシェールアラビアサウジアラビアリヤドガワール油田ドーハカタールアブムーサムバラク油田シャルジャタウィーラアブダビオマーン湾マスカットアラブ首長国連邦オマーンシャイバ油田①サルマン油田-ムバラク油田-シャルジャ(クレッセント)パイプライン計画、②キーシュ島-オマーン・パイプライン計画、③ファルシガス田-バハレーン・パイプライン計画、④IGAT4、⑤IGAT5、⑥ブシェール-クウェート(アフマディ)パイプライン計画(260km)、⑦IGATⅦ(IPIパイプライン計画イラン国内区間)、赤色実線は既存のドルフィン(ラスラファン-タウィーラ)パイプラインを示す。出所:第2回イランガスフォーラムにおけるアイアマック・アディビ氏講演資料「AReviewoftheLNGIndustryanditsEconomics:GasExportOptionsforIran」http://training.nigc.ir/files/files/workshop/IGF%202008-Part%201.pdfおよびその他の各種資料をもとに筆者作成図50湾岸地域の域内ガスパイプライン・イランの輸出パイプライン計画11石油・天然ガスレビュー中東地域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―Aナリシスタシケントキルギスルンナン(輪南)ドゥシャンベタジキスタン中 国ウズベキスタントルアシハバードクメニスダウレタバッドタンアフガニスタンハラットカブールイスラマバードンタスキパカンダハールバクーテヘランイランアッサルヤーバンダル・アッバースイランシャハ-ルバハレーンカタールIGAT Ⅶ IPI ラインIPI ラインカラチIGATⅦ(イラン国内幹線)アラブIPIラインマスカット首長国連邦IPIC(インド接続ライン)パルス-アジア・ライン(カシミール区間)同(中国区間)TAPIラインインド、パキスタンの既設ラインオマーンスイムルタンニューデリーネパールジャグディッシュプールビジャイプール ラインインドJBHハジラムンバイ(ボンベイ)出所:イラン石油省、アクバール・トルカン次官のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料「Iran'sNaturalGasExporttoEurope&Asia」およびその他の各種資料をもとに筆者作成図51イランからの西アジア・中国向けガス輸出パイプライン計画アルメニアアルメニアイェレバンアゼルバイジャンアゼルバイジャンバクートルコトルコガスパイプライン(既存)ガスパイプラン(建設中、計画)LNGプラント(計画)0100200300kmアスタラトルクメニスタンタブリーズラシュトカズビンゴルガンサリネカテヘランカンギランマシュハッドアフガニスタンパキスタンイランヤズドケルマンIGATⅧイスファハンIGATⅠ,ⅡアラクIGATⅨバグダッドイラクイラクIGATⅦパルスLNGペルシャンLNGイランLNGサウジアラビアサウジアラビアノースパルスカンガンサウスパルスサルコウムサルコウムバンダルアッバースパルスナールナールシラーズアグファールⅣⅤダランダランATTGAIGIクウェートクウェートクウェートシティーラバン島ガシューガシューケシム島バハレーンリヤドドーハカタールシリ島アブダビ出所:IEA「NATURALGASMARKETREVIEW2007」(http://www.iea.org/textbase/nppdf/free/2007/Gasmarket2007.pdf)147ページ図42およびその他の各種資料をもとに筆者作成図52イラン国内の幹線パイプライン2010.1 Vol.44 No.112 2009年以降、インドは東海岸沖合いガス田からの生産開始で国内ガス需給ギャップがほぼ解消されている。一方、パキスタンは2009~10年にガス需給不足が顕在化すると予想され、ガス輸入が必要となってくる。インドは契約に参加しなかったが、2009年5月、2013年末から約7.6億cf/日のイラン産ガスのパキスタン向け輸出に関する最終契約が調印された。IPIパイプラインのイラン国内分は、アッサルヤ~イランシャハール間パイプライン(IGATⅦ)である。そもそもは国内パイプラインとして建設されているもので終着地のイランシャハールが、パキスタン国境からわずか200kmに位置することから、同パイプラインの短距離の延伸によって、パキスタン向けにガスを供給できる体制となる。 さらに、イランはIPIパイプラインのインドへの延伸をとりやめ、パミール高原を越え、中国新疆ウイグル自治区への供給を志向している(図51)。 欧州向けには、ナブッコ・ガスパイプライン計画(後述)により、最大輸送能力310億m3/年が想定されており、イランはガス供給源の一つとして有力視されている。しかし、イランはナブッコ計画とは独立して、サウスパルス・ガス田から、トルコ国境までのIGATⅨパイプラインの建設を計画している*73(図52)。このパルス(Pars)・ガスパイプライン(ペルシアン(Persian)・ガスパイプライン)構想の建設費は40億ドル程度、ガス輸送能力は370億m3/年程度であるとされる。 このように各種輸出計画が暗礁に乗り上げてしまっている。イランでは、ガスの輸出は政治的に非常に人気のない政策である。長年にわたって、石油産業を自らの手でマネージしてきたイラン人には、非常に強い自負があり、外国資本の開発事業への参画は困難な面が多々ある。また、ガス輸出についても価格面などで容易に妥協しない。こうしたことから、イランの石油・天然ガス開発事業については、外国石油企業等との間で多くの覚書や基本合意書が締結されているが、その実現は難しい。これらの問題の原因は、技術・資金的な問題と言うより、多分に「大国意識」、宗教観の違い、政治体制などによるものであるといえよう。(13)トルコ ―さらに増す「エネルギー回廊」としての存在感― 20年ほど前のトルコ・アンカラの冬は寒く凍てつき、どんよりと霞んでいた。このアナトリア高原のg大は、国内ガス幹線パイプラインの整備(図54)に呼応するものである。トルコは日本同様、国内資源に乏しく、炭化水素資源消費量に対する国内生産量は石油6.2%、天然ガス2.4%とごくわずかである。一次エネルギー消費構成をみると、日本の天然ガス16.6%に対して、トルコは31.6%とEU諸国と同様となっている(図55)。 その地理的、地政学的位置からトルコはエネルギー回廊としての存在感が近年とみに増している。図56に示したとおり、ガスパイプラインの国内縦貫部分は48インチ径で整備されている。図57は、トルコのガス供給元を会社別に表したものである。過半がロシアGazprom(以下、ガスプロム)からの供給となっている。2003年に黒海を横断するブルーストリーム・パイプラインが完成したことによって、それまでのブルガリア経由に加えて、ロシアからの直接供給が可能となった。2007年にはカスピ海のアゼルバイジャン・シャーデニス・プロジェクトのガスを、南コーカサス・パイプラインを通じて輸入開始した。 一方、2001年12月、イランからのガスが本格的にトルコに輸出され始めた。現在、イランにとって、最大の輸出先がトルコであり、トルコもガス輸入の20%をイランに依存している。イランは、前述のとおり欧州へもガスを輸出しようとしているが、この点からも「回廊」としてのトルコは重要である。2007年7月にトルクメニスタンからのガスをイラン経由でトルコに送ガスし、さらに欧州へ輸出するとの覚書が両国間で交わされた。この覚書では、サウスパルス・ガス田のフェーズ22~24における開発権をTPAOに譲渡することも決められた5,700万トン(11.2%)1,570万トン(3.1%)石油天然ガス石炭原子力水力発電1億2,870万トン(25.4%)2億2,180万トン(43.7%)750万トン(7.3%)8,440万トン(16.6%)総エネルギー需要:5億750万石油換算トン日 本3,040万トン(29.6%)3,230万トン(31.5%)3,240万トン(31.6%)総エネルギー需要:1億260万石油換算トントルコ出所:BPStatisticalReviewofWorldEnergy,June2009(BP統計2009)により筆者作成盆地に位置する首都は、石炭による暖房によって冬期にはいつもスモッグが街を覆っていた。しかし、この10年ほどで環境は急速に改善してきた。それは、エネルギーのガスへの転換によるところが大きい。トルコのガス生産は315億cf(約8億9,000万m3:2007年eia統計)である。一方、消費量については図53に示したように、発電用を中心として近年急激に伸びており、1990年の約35億m3から約366億m3(1兆2,925億cf:2007年eia統計)に急増している。トルコのガス利用は1980年代後半に始まったに過ぎないが、需要の平均年間成長率は、2000年以降約14%である。この急激なガスの消費量の200820072006200520042003200220012000199919981997199619951994199319921991199019891988198710億m /年3工業用住宅用肥料製造発電35302520151050(注)2008年は、第3四半期までの実績。出所:Botas、シケール・アリカン氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料「ImportanceofBigPlayersInDevelopingGasIndustry」をもとに筆者作成図53トルコの天然ガス消費の推移 総延長(km)年間延伸長(km)3,50012,0243,00011,62910,6208,7217,8096,0785,2454.5103.4901,4901,7311,8992,5002,0001,5001,0008458458451,0351,2201,2201,2701901851,23919314231,704174111.6931,8781,8781,0207358339122,0001221,009500395020092008200720062005200420032002200120001999199819971996199519941993199219911990198914,00012,00010,0008,0006,0004,0002,0000(注)2009年は計画数量。出所:Botas、シケール・アリカン氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料「ImportanceofBigPlayersInDevelopingGasIndustry」をもとに筆者作成。中東地域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―図54トルコの幹線天然ガスパイプラインの整備推移図55トルコと日本の一次エネルギー構成の比較13石油・天然ガスレビューAナリシスらからかンタスニMメCク16 BルトVanイCラMンからイランDiyarbakirBatman?irnakKars48”アルメニア0 B1Do?ubayazit48”I?dirArdahanOrduTrabzonGiresunGumu?haneArtvinRizeBayburtHorasanErzincanErzurumA?ri由経ン)イラプイ16 BCMグルジアイバルゼアンャジMCB 6.6ラCクM0 B1イからイラク40”MardinSilopiLNG液化基地 稼動中LNG液化基地 構想・計画段階LNG受入基地 稼動中LNG受入基地 計画(承認済・建設中)LNG受入基地 構想・計画段階LNG受入基地 計画中止Elazi?MalatyaAdiyamanArabanBozovaDortyolGaziantep?anliurfaシリアGプCPトM経か由ら)4 B?skenderunHatayエ(ジA黒 海ZonguldakBartinCaycumaらパか・アムシーロリトスール(ブSamsun48”AmasyaTokatSivasCankiriCorumAnkara48”YozgatKirikkale40”48”Kir?ehir40”48”Kayseri40”Nev?ehirKofcazKirklareliEdirne24”36”CS-2stanbul?アシリギM.Ere?lisi30” BCM5.2 ナイジェリア)LNG Can+(アルジェリア 16”CanakkaleCS-424”KaracabeyEre?li18”CS-3?zmit24”Sakarya36”BilecikCS-524”Bursa20”24”16”Bolu24”BalikesirKutahyaEski?ehir40”YapracikAlia?a24”24”Manisa?zmirU?akTurgutluAfyon東西 : 6BCM, トランスガス : 8BCM14 BCMブルガリア経由ロシアからCS-1アリガルブAydin40”40”KonyaAksaray40”Ni?deDenizliMu?laBurdurIsparta16”Seydi?ehirAntalyaEre?liKaramanAdana40”MersinCeyhanKahramanmara2010.1 Vol.44 No.1142008200720062005200420032002200120001999199819971996199519941993199219911990198919881987(注)2008年は、第3四半期までの実績。出所:Botas、シケール・アリカン氏のNorthernArabianPlateOilandGasSummit(2008年10月:トルコ・アンタルヤ)における講演資料「ImportanceofBigPlayersInDevelopingGasIndustry」をもとに筆者作成図57トルコの天然ガス供給元10億m3アゼルバイジャンスポットNLNG(ナイジェリア)Sonatrach(アルジェリア)NIGC(イラン)Gazprom(ロシア)4035302520151050が正式契約は未了の状況にある*74。前述のサウスパルス・ガス田からトルコのバザルガンへのIGATⅨパイプライン計画にもトルコは参画の予定である。 トルコにはLNG輸入基地が2カ所存在する。アルジェリアおよびナイジェリアとLNGの長期売買契約を締結している。イスタンブールに近いマルマラ基地が、1994年よりアルジェリアからのLNGの受け入れを開始した。同基地の受入能力は52億m3/年(同約370万トン/年)で、トルコ国営のガスパイプライン会社であるBOTAS*75(以下、ボタシュ)が保有・運営している。一方、同国Egegazは、2001年にアリアガ基地を完工したが、2006年12月まで同基地は使われていなかった。ロシア/イランからのパイプラインガスの供給量削減に直面したボタシュが、2006年10月に同基地の受入能力の一部である80万トン/年を利用するとの契約が締結され、アリアガ基地がLNGを受け入れを開始した。地 中 海キプロス国家幹線パイプライン地域幹線パイプライン建設中のパイプライン計画中のパイプラインレバノンBELガス田輸入地点地下貯蔵施設ブースター基地現在の輸入量(プラトー量)契約量輸入計画量 (注)トルコ国内の地名表記はトルコ語とした。出所:IEA、UBS、ボタシュなど各種資料をもとに筆者作成図56トルコの幹線天然ガスパイプライン網?健n域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―2. 域外への搬出 ロシアを除けば、天然ガスの生産、埋蔵量とも今回記述した中東地域が最大である。欧州の旺盛なガス需要やロシアからの供給に常に付きまとう政治的な不安感からEUは中東地域および周辺の地域からの天然ガスの安定的な供給を志向している。 一方中東諸国は、国内のガス需要とそれに見合うだけのガスの生産について常に不安感は持ちつつも、ガスの輸出による外貨獲得を狙っている。この傾向は、イラン、イラク、エジプトで強くなっている。(1) ナブッコ・パイプラインはサウスストリームと一体化? それとも白紙となるのか? イタリアの第2の国歌ともいわれる「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」で有名な歌劇「ナブッコ」(Nabucco)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲し、1842年にミラノ・スカラ座で初演された。ナブッコとは、日本では一般的にネブカドネザルとして知られるバビロニアの王の名前である。この歌劇と同じ名を冠したナブッコ・パイプラインは、中央アジア、イラン、ロシアなどの天然ガスをトルコ経由で欧州に送るという遠大なパイプライン計画である。 ナブッコ計画は、トルコからオーストリアのバウムガルテンまで総延長3,300km、送ガス能力310億m3/年の多国間パイプライン建設事業で、総事業費79億ユーロが予定されている(図58)。トルコ→ブルガリア→ルーマニア→ハンガリー→オーストリアのルートで、第1フェーズには、トルコのアンカラとオーストリアのバウムガルテンを結ぶ2,000kmのパイプラインが建設される。トルコまたはグルジアとイランの国境間は、トルコの既存パイプライン設備を暫定的に2年間使用される予定である。事業スケジュールは、2011年に着工、第1フェーズ完工後の2014年からは80~100億m3を、第2フェーズ完工後の2019年からは310億m3を欧州へ輸送するというものである。Turkey-IranTurkey-IranテブリツネカテヘランバグダッドトルクメンバシBTEバクーエレバンBTEトビリシサムスンエルツルムドズグバアクタウue StreamlB(SS)プラハウィーンブラチスラバブダペストリュブリャナ ザグレブナブッコキエフキシニョフサラエボベオグラードブカレストローマポドゴリツァプリシュティナSS-1チラナソフィアスコピエamer SthtuSoオトラントSS2-TGIコミチニTGIイスタンブールアンカラカラチャベイアテネゼイハンイスカンディウムアレッポ(アラブガスパイプライン)AGPベイルートテルアビブITGI : BTE : SS1 : SS2 : トルコ-ギリシャ-イタリア ガス インターコネクターバクー-トビリシ-エルツラム ガスパイプラインサウスストリーム・プロジェクト北部区間サウスストリーム・プロジェクト南部区間既設ガスパイプライン計画ガスパイプライン東西ガス輸出コリドール(カスピ海諸国よりの輸出路)対応するロシアによるプロジェクト出所:CESCOMMENTARY(2008/3/19)http://www.energiasportal.com/download/379/をもとに筆者作成図58欧州へのガス幹線パイプラインの路線計画15石油・天然ガスレビューAナリシスストリーム・パイプライン・プロジェクトが公表された。同パイプラインの海域区間は、既存ブルーストリーム・パイプラインのロシアの起点であるドズグバから、黒海を横切りブルガリア沿岸のバルナまで900kmにわたる。16.67%16.67%16.67%16.67%BulgarianEnergyHolding16.67%TRANSGAZ S.A.ENERGY HIGHWAY OF THEFUTURE16.67%出所:各種資料をもとに筆者作成図59ナブッコ・コンソーシアムの資本構成800700600500400300200100010億m /年3EU-27 の需要EU-27 の生産1980 (*)2000200620152030EU-27域内の生産と消費の間には最大6,000億m /年の需給ギャップが生じる。3出所:ナブッコ・コンソーシアムのプレゼンテーション資料(たとえばhttp://www.energy-community.org/pls/portal/docs/43796.PDFなど)を引用して筆者編図図60ナブッコ・コンソーシアムによる欧州の天然ガス需要予測 図59に示した通り、ドイツのRWE、オーストリアのOMV、ハンガリーのMOL、ルーマニアのトランスガス、ブルガリア・エナジー・ホールディングス、トルコのボタシュの6社がおのおの約16.67%(6分の1ずつ)を保有するコンソーシアムが建設する。 大量のガスを輸送する計画であるが、欧州は今後10年でさらに1,500億m3のガス需要増が見込め(図60)、ナブッコとサウスストリーム計画(後述)の供給能力を合わせても、ガスが不足した状況となるので当然競合はない、と楽観的な見通しをコンソーシアムは述べている。 しかし、同プロジェクトは、確固たるガス供給元からの供給契約が締結されていないため、計画が遅延している。さらに、ガスプロムとEniが後押しするロシア産のガスを南欧に供給するという競合プロジェクトであるサウスストリーム計画の脅威にもさらされている。表10に、トルコを経由する欧州向けパイプラインの概要を示した。 2009年7月EU加盟4カ国(オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア)とトルコは、アンカラでナブッコ・ガスパイプラインに関する政府間基本合意書に調印した。ナブッコ・パイプラインは、欧州のエネルギー供し、トルコ経由でカ給に強い影響力を持つロシアを迂スピ海圏からオーストリアまで天然ガスを運ぶ計画で、欧州のエネルギー安全保障上の重要なプロジェクトになっている。しかし、現在イランからの供給については、前述のとおり非常に脆弱な体制となっている。一方、ロシアはトルコに対してブルガリア経由で140億m3/年、ブルーストリーム経由で160億m3/年の供給能力があり、合計すれば年間300億m3/年が供給可能である*76。 2007年6月ガスプロムとEniが覚書を締結し、サウス回かうい表10トルコを通過する欧州向けパイプライン計画の概要プロジェクト名ナブッコ参加企業OMV(オーストリア)MOL(ハンガリー)Transgas(ルーマニア)Bulgaria Energy Holding(ブルガリア)Botas(トルコ)RWE(独)投資額送ガス量距離・ルート79億ユーロ310億m3/年(650億m3/年まで増強可能)3,300kmトルコ国内→オーストリア(ウィーン近郊バウムガルテン)サウスストリームガスプロム(露)Eni(伊)ITGI (Interconnector-Turkey-Greece-Italy)Edison(伊)DEPA(ギリシャ)86億ユーロ630億m3/年海底部3.5億ユーロ陸上部6億ユーロ当初、80億m3/年、その後120億m3/年に増強する計画ドズグバ→黒海海底区間900km+陸上<北西方面:SS1>オーストリア(バウムガルテン)、スロベニア<南西方面:SS2>ギリシャ・イタリアギリシャ陸上590kmアドリア海横断210km(ポセイドンパイプライン)ギリシャ~トルコ285km出所:JOGMEC石油・天然ガスレビュー 2009年9月号 古幡哲也「ユーラシア:天然ガスをめぐる攻防が白熱」(http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200909_071t%2epdf&id=3411)ほかより筆者作成2010.1 Vol.44 No.116?健n域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―ブルガリア国内の陸上部分には、オーストリア/ルーマニアへ向かう北西ルートと、ギリシャ/イタリアへ向かう南西ルートの、異なる2ルートが検討されている(図58)。 ナブッコ計画へのガスの供給元に関しては依然として不明確なままであるが、ここへきてナブッコ・コンソーシアムの構成メンバーであるOMVおよびMOLは、2009年5月、クレッセント、DanaGas*77(以下、ダナ・ガス)とともに国際企業連合を組織し、80億ドルを投じてイラク北部のホールモール・ガス田とチェルチェマル・ガス田を開発して年間300億m3のガスを生産し、イラクの国内市場への供給に加え、トルコや欧州市場への輸出を目指す計画を明らかにした。図61にこの企業連合の資本構成を示す。OMV、MOLがGCC諸国の企業・政府と緊密な関係にあることが分かる。クレッセントとダナ・ガスは2007年4月にクルド地域政府(KRG)とホールモール・ガス田を開発し、クルド地域内の発電所へガスを供給する契約を締結し、既に生産および供給を開始している。しかし、両ガス田の生産能力は30億m3/年程度と想定されており、新たな生産目標の実現可能性については懐疑的な見方もなされている。 Edison*78およびDEPA*79が推進するトルコ~ギリシャ~イタリア間相互接続パイプライン(InterconnectorTurkey-Greece-Italy:ITGI)により、カスピ海周辺地域で生産された天然ガスがトルコ・ギリシャ経由を経由してイタリアへ供給可能となる。ギリシャ~トルコ間の輸送能力は115億m3/年である。DEPAは、アゼルバイジャンからトルコ経由で7億4,000万m3/年のガスを購入する契約を締結している。(2)LNG 今回記述した中東域内のLNG輸出国は、カタール、UAE、オマーン、イエメンおよびエジプトである。一方、LNG輸入国は、トルコおよびクウェートである。輸出国のうちカタールについては、モラトリアムの継続でノースフィールド・ガス田の埋蔵量に対する懸念は払しょくできないものの、2010年までには7,700万トン輸出体制が整い、世界一のLNG輸出大国の地位は不動となるであろう。2008年後半以降の金融危機以降、景気後退の影響により世界のガス需要は減少しており、東欧などに販路を拡大しようとしている*80が、カタールにとっては、今後供給先の確保が重要な課題となっている。 一方、他の4カ国は、LNGプラントへのフィードガスの供給懸念が常に付きまとうだろう。しかし、パイプラインガスに比べて格段にフレキシビリティが高いLNGであるがゆえ、消費国側への供給には特段の問題は発生せずに推移すると思われる。イランは、LNG輸出を志向しているが前述のとおり、価格交渉や核開発問題をめぐる「大国意識」が払しょくされない限り、2015年ごろまでのLNG輸出はかなり困難であると考えられる。(ハンガリー)(アブダビ)出資:19.6%出資:23%出資:10%出資:10%出資:40%出資:40%Pearl Petroleum(操業地:KRG)(シャルジャ)Crescent Petroleum(シャルジャ)Crescent Petroleum(シャルジャ)(オーストリア)出所:各種資料をもとに筆者作成図61イラク・クルド地域において操業するパール・ペトロリアムの資本構成3. 域内の需給と輸出の見通し 今回記述した諸国について、2020年の各国のガス・バランスを考察してみた。本誌の趣旨はいわゆる学術雑誌ではないことを念頭に、考えられうるもっともリーズナブルな予測をもとに考察してみた。しかし、あえて確固たる前提はおかないことにした。前提となる建設計画、政治動向、経済動向の詳細は吟味していない。それは何が起こるか予想できない中東地域のことであるからである。 表11には、2020年の中東地域各国のガス需給についてまとめた。これをもとに、表12には、ガスの供給元と供給先、移動はパイプラインによるのか、LNGによるのかを一覧表にしてみた。これに対応する形で、図62には、本稿で取り上げたマシュレク諸国とトルコのガスの流れとその量、同様に図63に、(上)で取り上17石油・天然ガスレビュー\112020年の中東諸国の天然ガス生産・消費・輸出入予測アナリシス国名輸入輸入(LNG)(P/L)生産小計国内消費輸出輸出(LNG)(P/L)小計自給率(%)概括的なシナリオ(1)クウェート303020026026026077北部ガス田の開発により自給を達成。ただし、一時的なLNG輸入があり得る。不足分は石油にて代替。イランからのパイプラインガスの供給が開始される。(2)サウジアラビア1,0001,0001,0001,000100国内ガス開発が進行するものの、国内需要を充足するにとどまる。不足分は、石油で代替。(3)バハレーン5020025025025080(4)UAE303009001,2301,14070201,23079(5) オマーン50250300150150300167イラン・ファルシガス田からの輸入が開始される。アワリ油田の深部ガス開発は順調に推移するが国内需要増加のすべてをまかなえない。国内サワーガス田開発は進行するが、依然としてカタールドルフィンパイプラインのガス供給に期待。イラン・サルマン油田の随伴ガスの供給見通しなし。ドバイはカタールほかからLNG輸入開始。増量の期待ができないUAE経由カタールのガス。イラン・キーシュ島からの送ガスが開始される。LNG用には国内産ガスが充当されるが大幅な輸出の増量は期待できない。(6) カタール(7) イエメン1,7501,7502301,2003201,750761LNG8,000万トン/年体制ができる。110110101001101,100YLNGは当初生産量より増量なし、フィードガスの不足が問題。不透明部分が多く、治安の回復状況によって大きく左右される。クルド自治区からの輸出分も含む。アカス・ガス田の開発が軌道に乗れば、シリア向けは大幅に増量が期待される。(8)イラク300300200100300150(9) エジプト1,0501,050770200801,050136国内消費の拡大、生産の伸び悩み。(10)-1イスラエル203010015015015067沖合いガス田の開発。不足分はエジプトおよびガザからのパイプラインガス、LNGで対処。(10)-2パレスチナ(ガザ)(10)-3パレスチナ(西岸)(10)-4(10)-5ヨルダンレバノン305651020020565405550401520400ガザマリンガス田の開発、イスラエルに輸出。政治的な安定と周辺諸国との協調がカギとなる。1556540000ヨルダンからパイプラインの延伸。国内需要は、AGP経由のエジプト産ガスに頼らざるを得ない。イラクのガス開発が軌道に乗れば、パイプラインの延伸もありうる。AGP経由のガスは、トルコに流れない。シリア経由のガスは、増量期待薄。LNG受け入れ基地が建設される。(11)シリア1005015015015033AGP経由のガスは、トルコに流れない。(12)イラン1501,8001,9501,1702005801,950154(13)トルコ200825101,0357153201,0351(注)単位は億m3/年、生産ガス量は油田圧入などを除いた販売ガス量、また湿性ガスも除いた。出所:各種資料より筆者作成パキスタンまでのIPIパイプライン(一部)は完成。LNGプロジェクトも大幅に遅れながらも一部は操業開始。トルクメニスタンからのガストランジットについては疑問がある。輸入ガスで国内分は充足。イランからの輸入がそれほど期待されないため、ロシアからのガスが中心となり、輸出余力はそれほど大きなものとならない。げたアラビア半島の諸国およびイラクについて、概念を示した。(1)果たしてガスは域外に流れるのか?東側への流れ 東側への流れについて考察してみた。今回取り上げた中東域内からパイプラインガスとして輸出が今後10年間で考えられるのはIPIパイプライン経由のみである。構想があるがほぼ実現ができないものとしてドルフィン・パイプライン*81のパキスタンへの延長、またカタールノースフィールドからアラビア湾の海底を経由して直接パキスタンに陸揚げし、その延長としてインドも供給先として視野に入れているものがある。 IPIパイプラインについては、前述のとおり、価格交渉が頓挫していること、イラン国内需要が今後増えるこ2010.1 Vol.44 No.118e供給国の輸出量記載以外の国20701503201,20010010080200701501,150100160域外パキスタンアルメニアギリシヤ2030202652520020030016010050370160151510580200320160100420220トルコイランシリアレバノンヨルダンパレスチナ(西岸)イスラエル(2) (3) (4) (5)(10)-1域内(10)-3(10)-4(10)-5(11)(12)(13)供給先中東地域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―表122020年の中東諸国の天然ガス輸出入の供給国・仕向け国別予測156015503305020505651001501,025300252001,830(注)単位は億m3/年、水色網かけ部はLNGによるもの、オレンジ色網かけ部はパイプラインによるものをそれぞれ示す。出所:各種資料より筆者作成とからイランとしては輸出を強くは望んでいないこと、さらに、インドの需要が今後10年間程度は国内産ガスで充足される予想*82から少なくともインドへの延長は絶望的であるといえる。 パキスタンは、国内ガス幹線パイプライン網が発達していることから、IPIパイプラインの接続は望んでいるものの、輸出元がイランであることが最大のネックとなっている。すなわち、価格の大幅な上昇を受け入れざるを得ないことなどである。パキスタンは、中東地域最大のLNG供給元であるカタールから約1,700km(ラスラファン-カラチ間の航路距離)に位置している。パイプラインガスとCNG*83・LNGの輸送距離の優劣の分岐点は2,000~3,000kmとも言われ*84、この距離はパイプラインガスが圧倒的に有利だと言える範囲ではない。筆者は、2020年までには、イランからパキスタンへのパイプラインによるガス輸送が始まると予想した。しかし、インドと違って、今後ガス需給ギャップが大きくなると考えられるパキスタンへは、さらにLNGでの供給が適切とも言える。最近の中東地域で開催されるLNGに関するカンファレンスで、パキスタンのガス業者、パイプライン業者の参加が非常に目立つ。これは、こうした事情を反映しているものと考えられる。(2)果たしてガスは域外に流れるのか?北西側への流れ 北西側、すなわち欧州への流れについて考察してみた。前述のとおり、記述した中東域内から北西方向、すなわ19石油・天然ガスレビュー651515570102020101040オマ|ン20UAEバハレ|ンクウ|トエ203001515303030記載番号国名記載番号(4)UAE(5)オマーン(6)カタール(7)(8)イエメンイラク(9)エジプト域内(10)-2 パレスチナ(ガザ)ヨルダンシリア(10)-4(11)供給元(12)イラントルコロシアトルクメニスタン記載以外の国記載以外の国(13)(域外)(域外)(域外向けパイプライン)(域外向けLNG)供給先国別の輸入量Aナリシスアゼルバイジャンからトルクメニスタン・アルメニアへトルクメニスタンからグルジア経由アゼルバイジャン・26525150230160トルコ10715ブルーストリーム経由ロシアから140ブルガリア経由ロシアから生産量:消費量:2030ギリシャへアルジェリア・カタール・エジプトなどから3002003020レバノン10シリア生産量:消費量:40生産量:消費量:501501070イスラエルヨルダン生産量:消費量:100150生産量:消費量:5020155?15パレスチナ(ガザ)生産量:消費量:20565パレスチナ(西岸)生産量:消費量:5イラン生産量:消費量:1,8001,170パキスタンへ20020090GCC諸国へクルド自治区生産量:消費量:300200イラクエジプト(下) にて取り上げた諸国180生産量:消費量:1,050770パイプラインガスの移動方向と量LNGによる移動方向と量(注)単位は億m3/年、背景色が淡青色の国・地域は純輸出、オレンジ色は純輸入をそれぞれ示す。出所:各種資料をもとに筆者作成図622020年の中東域内のガスバランス予測(マシュレク諸国・イラン・トルコ)ち欧州に流れることが予想されるパイプラインルートは①AGP、②ナブッコ、③サウスストリームおよび④ITGIである。欧州委員会(以下、EC)は、ロシアのガス供給についての懸念から、供給元の分散を図る目的で、欧州企業の計画や沿線国への支援を行っている。しかしながら、①については、前述したとおり供給元であるエジプトの生産拡大が伸び悩むこと、沿線諸国のガス消費が急増することが予想されることから、もはやトルコのガスグリッドにさえフィードできないことが予想される。②については、コンソーシアムを組成する各企業は、その実現に積極的ではあるが、基本的にフィードガスの供給元が確保されていないことから、その実現はかなり疑問視される。また、同コンソーシアム組成企業の中にあっても温度差はかなりあるようである。筆者が直接インタビューしたこれらの企業の幹部の中には、まじめにその「実現性」を熱っぽく語る者から、「ナブッコであろうが、サウスストリームであろうが、ガス値段が安く有利な方に味方する」とする者までさまざまであった。ナ2010.1 Vol.44 No.120?健n域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―ブッコ・コンソーシアムの構成社幹部ですらこんな感じであると、いくらECが旗を振っても、近々の計画実現は困難な印象であった。むしろGazpromが主導するサウスストリーム計画が日の目を見る可能性が大きいと言える。 しかし、はたして需給関係からナブッコにせよ、サウスストリームにせよ、パイプラインの新設の必要性がどの程度あるのであろうか?ナブッコ・コンソーシアムは、図60に示したように、今後の欧州のガス需要の拡大を前提としている。しかし、ノルドストリーム初め、北および東側から欧州へ向かっての供給ラインの計画は目白押しの状況である。また、「ウクライナ問題」によるロシアからのガス供給途絶があったとはいえ、ウクライナ経由の既存施設が使えなくなったわけではない。筆者の予想によれば、トルコを通過するガス量は、2020年時点で最大でも500億m3/年程度と見積もられる。中東地域のガス供給、またトルコの既存施設容量を考えた場合、既存のイラン国境からアンカラまでの48インチライン(図56)を使えば、現在ナブッコ計画に供給がコミットされるであろうガス量については十分に送ガスできる。また、ブルーストリーム上陸地点のサムスンからアンカラまでの48インチラインに加えて、ロシアからの第2ブルーストリームができた場合には、サムスン→アンカラ→ブルガリアあるいはギリシャ国境までのライン増設によって十分に対処できるであろう。そうなると、もはやナブッコ・ラインの必要性も、サウスストリームの必要性もなくなる。こうしたやり方が、それぞれの思惑を満たし、もっともコストを低減できる方法として考えられる。20カタール生産量:消費量:1,75023030015301,170域外諸国へ70200パキスタンへ100域外諸国へ域外諸国へ150アゼルバイジャンからトルクメニスタン・クウェート域外諸国から15150265トルコへ30生産量:消費量:200260バハレーン15生産量:消費量:20025030生産量:消費量:イラン1,8001,170イラク300200生産量:消費量:100シリア・トルコへサウジアラビア1,0001,000生産量:消費量:100域外諸国へイエメン生産量:消費量:11010UAE9001,140生産量:消費量:オマーン20生産量:消費量:250150(注)単位は億m3/年、背景色が淡青色の国・地域は純輸出、オレンジ色は純輸入をそれぞれ示す。淡緑線に囲まれた諸国は(上)にて取り上げた。サウジアラビアの灰色背景色は、ガス(乾性ガス)の輸出入がないことを示した。出所:各種資料をもとに筆者作成図632020年の中東域内のガスバランス予測(イラク・GCC諸国・イエメン)21石油・天然ガスレビューAナリシスまとめ これまで、本号ではエジプト、アラビア半島諸国、マシュレク諸国、トルコおよびイランのガス需給の現状を概観してきた。 (上)において、天然ガスの需要増大と供給不足について、4つの主要な原因があると推定した。すなわち、①域内ガス価格が世界市場価格に比べて著しく安い、②人口の急増、経済発展に伴う電力・水需要の増加を充当するための発電・造水施設の建設・維持において、燃料として天然ガスを使用することが、設備費・燃料費ともに安い、③ガス発電・造水施設は、多くの社会的、技術的な制約を受ける原子力発電、また可能性を秘めながらもいまだエネルギー供給の主役とはなりえない再生可能エネルギーに比べて、容易に建設・維持できる、④石油焚きのようにSOxの発生による環境対策が必要ないこと、なによりも世界的な重要イシューとなっているCO2発生量が石油に比べて大幅に抑制できること、などによるとした。 とにかく、一次エネルギー源として天然ガスは使い勝手が非常に良く、地球環境保護に対する優位性もある。さらに、中東地域では、理由は様々であるが、非常な低価格である。安価な天然ガス価格に慣れた中東諸国は、今後市場に即した新たな価格体制を受け入れていかなければならないであろう。 使い勝手が良いことから、インフラ、すなわちガス幹線パイプラインの整備によって需要が急拡大するといった従来はあまり予想できなかった現象が中東地域でも現出している。この「いたちごっこ」とも言える現象は、人間の根本的な欲望を充足するものであって、回避はなかなか困難であろう。2020年ごろまでに、ガス幹線パイプラインはこの地域の隅々まで張りめぐらされるであろう。これは、域外の人間にとっては一大事となることも考えられる。考察で述べたとおり、域外の人間が資源が潤沢にあって輸出余力が大きいと思っていた中東諸国は、じつはその実力がなくなる可能性が大きい。 逆の立場で見れば、エネルギー供給の多様化が進み、天然ガス幹線パイプライン網の整備がなかなか進まない日本は、再生可能エネルギーも含めたエネルギー供給の多様化(ベストミックス)を重点的に進めれば、中東地域からのエネルギー供給が途絶する事態となっても生き残っていけるのかもしれない。<注・解説>*45:天然ガスの定義については、たとえば日本エネルギー学会誌85巻1号 70-76「天然ガス田(液化天然ガス(LNG)(1))」を参照いただきたい。*46:JOGMEC石油・天然ガス資源情報「イスラエル・パレスチナ自治区:ガス資源開発が平和をもたらすものとなるか?」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0906_out_f_il_ps_gaza_gas_egypt%2epdf&id=3283*47:エジプト国内パイプライン網については、JOGMEC石油・天然ガス資源情報「エジプト・ヨルダン・シリア・イラク:新時代を迎えたマシュレク諸国のガスパイプライン・ネットワーク ―ArabGasPipeline―」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0907_out_f_eg_jo_sy_iq_gas_pipeline_agp%2epdf&id=3368 を参照されたい。*48:アラビア語で「陽が昇る」意味、転じてアラブ諸国のうち地中海東部のヨルダン、シリア、レバノンを言う。比較的良く使われるモロッコ、アルジェリア、リビアなどの国を言う「マグレブ」の対語。*49:旧英国国営BritishGas。1986年に民営化されたのち、事業再編で、同社の事業はいくつかの企業に分割された。現在のBGグループは、1999年に主に英国以外の事業、資産を引き継ぎ、ガス探鉱・開発・生産、LNG事業、パイプライン事業、発電事業を行う会社として設立された。LNG事業の推進に積極的で、トリニダード・トバゴ、エジプト等でLNG事業を展開しており、米国への最大のLNG供給業者となっている。*50:フランスの公営企業であったフランスガス公社(GazdeFrance、GDF)は、2005年に株式の一部が公開された。操業地域は、フランス以外では、ベルギー、イギリス、ドイツ、その他のヨーロッパ諸国に拡がる。2008年にSuezと合併し、GDFスエズが設立され、欧州第2位の総合エネルギー会社となった。本来のガス下流業務のほかに、天然ガス上流部門や水供給などにも進出している。*51:MEES 2009/10/262010.1 Vol.44 No.122?健n域の天然ガス(下) ― 今後の生産、消費、輸出の展望 ―*52:レバノン系の有力ファミリー(サバハ家、コウリィ家)が保有する建設会社。中東地域の多くの石油・天然ガス関連施設の躯体工事やパイプラインの敷設工事を実施している。高度な技術を必要とする超高層ビル工事にもビジネスを広げている。レバノン内戦により本社はベイルートからギリシャ・アテネに移った。傘下に石油探鉱・開発会社も有し、イエメンなどで探鉱作業を行っている。*53:http://uk.reuters.com/article/idUKL0510301220070605 ほか*54:レバノンエネルギー・水省幹部談*55:以下断りのない限り、「eia統計」は、米国エネルギー省 EnergyInformationAdministration-EIA-ホームページ CountryEnergyProfileshttp://tonto.eia.doe.gov/country/index.cfm からの情報を言うものとする。*56:MediterraneanEnergyObservatory:地中海および沿岸域で操業するエネルギー企業で構成される非営利団体。同地域のエネルギー需給などの関連研究を行い、カンファレンス等も開催している。*57:EU委員会のサポートにより設立された非営利組織。マシュレク諸国のガスの適正利用促進のため啓蒙活動、技術者訓練などを行っている。本部はダマスカスに所在する。当初は、AGPを通して欧州へガスが安定供給されると予想されていたが、沿線各国の消費増大により、EU委員会の思惑は外れた。*58:DownstreamToday:http://www.downstreamtoday.com/news/article.aspx?a_id=8021*59:たとえばシノペック(中)による重質油生産企業TanganyikaOilの買収など。MEES2009/1/19*60:たとえば、発電所への供給価格が最も安く11.5セント/百万Btu、商業用が最も高くて78.4セント/百万Btu(2005~2006年)ダイヤモンドガスレポート第850号 7ページ*61:出所:OPEC統計2008*62:NationalIranianOilCompany、1951年に設立された、探鉱・生産・精製・販売を行う一貫操業国営会社。サウジアラビア国営のサウジアラムコに次いで世界第2位の国営石油・天然ガス会社である。*63:アイガットIranGasTrunklineイラン国内ガス幹線パイプライン*64:石油・天然ガスレビュー 2006年9月号、森島宏「石油天然ガスのトリビア(その3)~ちょっとした疑問、質問にお答えします~」を参照 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200609_093e%2epdf&id=691*65:パルス・オイルアンドガス会社〈POGC:ParsOilandGasCompany〉*66:MEES2009/10/19ほか*67:UAEシャルジャに本社をおく中堅石油企業。中東湾岸地域を対象とする事業を行っている。最近は、イラク・クルド地域におけるガス開発に取り組んでいる。*68:石油・天然ガスレビュー 2009年11月号、石田聖「中東地域の天然ガス(上)―今後の生産、消費、輸出の展望―」(以下、(上)と記載)28ページ、JOGMEC石油・天然ガス資源情報「DanaGasの挑戦 注目される湾岸地域初の民間ガス会社」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0707_out_f_ae_danagas_kurd_iran_02%2epdf&id=1746*69:(上) 32ページ*70:(上) 28ページ*71:インドの主要なガス幹線パイプラインで、通過地点の名前をとってTheHazira?Bijaipur-Jagdishpur(HBJ)Pipelineと呼ばれる。*72:「ProposedIrantoIndiaOverlandGasPipeline:ProjectOverview」http://www.bhpbilliton.com/bbContentRepository/Presentations/IndiaOilGasConfence.pdf など*73:2008年9月のイラン石油省トルカン次官の発言、2008年10月トルコ・アンタルヤで開催されたNorthernArabianPlateOilandGasSummitでの同次官のプレゼンテーションほか*74:MEES 2009/10/26*75:ボタシュ。トルコ国営のパイプライン会社。国内に約12,000kmのガス幹線パイプライン、3,400kmの原油パイプラインを有する。BTCパイプライン事業にも参画している。近年はLNGの輸入も手がけ、中・下流総合エネルギー会社として躍進している。*76:JOGMEC石油・天然ガス資源情報「ロシア/トルコ:サウスストリームとナブッコが並立、一体化への布石か」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0908_out_i_South%2dStream%2dTurkey%2epdf&id=3395*77:JOGMEC石油・天然ガス資源情報「DanaGasの挑戦 注目される湾岸地域初の民間ガス会社」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0707_out_f_ae_danagas_kurd_iran_02%2epdf&id=1746*78:Edisonは、イタリアにおいて電力事業で第2位、ガス事業において第3位の会社である。2005年12月にEdF(ElectricitedeFrance:フランス電力会社)が筆頭株主になった。近年、天然ガス上流事業にも進出して埋蔵量は2億1,000万石油換算バレル、生産量1万6,000石油換算バレル/日である。23石油・天然ガスレビューAナリシス*79:ギリシャ・ガス公社、2009年7月には、同社と国営のブルガリア・エナジーホールディング(BulgariaEnergyHolding)およびEdisonとともに、ギリシャ・ブルガリア間天然ガスパイプラインの建設および管理を請け負う企業の設立およびガス供給企業の設立に関して合意している。*80:MEES2009/7/6、MiddleEastOil&GasMonitor2009/6/30ほか*81:JOGMEC石油・天然ガス資源情報「カタール・UAE:ドルフィン・ガスパイプラインが完成―GCCのガス利用は新たな段階へ―」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0707_out_f_qa_ae_dolphin_pipeline%2epdf&id=1774*82:JOGMEC石油・天然ガス資源情報「インド:リライアンス社東海岸沖合ガス田生産開始、LNG輸入・鉱区入札への影響」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0906_out_m_in_d6_gas_production%2epdf&id=3295*83:CompressedNaturalGas、生産ガス田等から天然ガスを物理変化を伴わない高圧状態でスチール製などのボンベに封じて消費地まで運ぶ方法。パイプラインやLNGなどと違って設備への初期投資額が少ないことから今後普及が期待される。JOGMEC石油・天然資源情報「CNG船によるガス開発はついに実現するのか?」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0809_out_c_cng_transport%2epdf&id=2095 ほかを参照。*84:JOGMEC石油・天然ガスレビュー2005年9月号、鈴木信市「中小天然ガス田マネタイゼーションの新展開~新しい開発手段の特徴と可能性について:試論~」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200509_045a%2epdf&id=631<本稿で使用した主な単位の換算>ガス生産量・処理量:1億m3/年≒967万cf/日 1億cf/日≒LNG2,000トン/日ガス埋蔵量:1億m3≒35.31億cf 100億m3≒3.53Tcf 1Tcf≒283億m3発電容量(能力):1,000kW=1MW、1,000MW=1GW=100万kW【参考文献】1.NATURALGASSURVEYMIDDLEEAST&NORTHAFRICA2009:ARABPETROLEUMRESEARCHCENTERの“BAHRAIN”、”EGYPT”、”IRAN”、”IRAQ”、”JORDAN”、”KUWAIT”、”LEBANON”、”OMAN”、”QATAR”、”SAUDIARABIA”、”SYRIA”、”UNITEDARABEMIRATES”、”YEMEN”各項目2.中東動向分析(財)日本エネルギー経済研究所 中東研究センター3.JOGMEC石油・天然ガスレビュー2008年11月号、石澤英俊「大きなポテンシャルを秘めるイランの天然ガス・石油事情」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200811_063a%2epdf&id=2150執筆者紹介石田 聖(いしだ ひさし)専門は構造地質、石油地質。1978年新潟大学大学院理学研究科修了後、石油公団入団。中国、インドネシア、オーストラリアほかの探鉱作業、石油探査技術の研究・開発に参画。4回目の海外駐在で、2006年8月よりJOGMEC中東事務所(在アブダビ)に勤務。前号に引き続き本号を執筆し、自分の勉強不足を痛感している。天然ガスは、「魔物」である。使い勝手が良いだけに、往々にして浪費することになる。調和のとれた生産・流通・使用が望まれる。2010.1 Vol.44 No.124 |
地域1 | 中東 |
国1 | イラン |
地域2 | 中東 |
国2 | イスラエル |
地域3 | アフリカ |
国3 | エジプト |
地域4 | |
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国5 | |
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国10 | 国・地域 | 中東,イラン中東,イスラエルアフリカ,エジプト |
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