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第50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して ー 世界一のLNG輸出国を目指す豪州 ー

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レポートID 1006413
作成日 2010-09-17 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG基礎情報
著者
著者直接入力 丸山 裕章
年度 2010
Vol 44
No 5
ページ数
抽出データ  エッセーJOGMECシドニー事務所丸山 裕章第50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加してー 世界一のLNG輸出国を目指す豪州 ーはじめに 筆者は、2009年8月15日からオーストラリア(豪州)・ニューサウスウェールズ(NSW)州の州都シドニーにて、JOGMECシドニー事務所勤務の任にある。赴任約9カ月後の2010年5月中旬、豪州第3位の人口のブリスベン市(クイーンズランド州の州都)で開催された第50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA:Australia Petroleum Production and Exploration Association)総会に出席する機会を得(写1)。た APPEAは、豪州の石油・ガスの探鉱・生産開発などにかかわる政府および民間企業などの関係者が一堂に会する豪州最大の石油・ガスビジネスの場であり、今回は第50回目という半世紀節目の総会であった(写2)。 第50回APPEA総会では、豪州のガス産業はいずれ世界一のLNG輸出国になり得る、との力強いメッセージを発信したと筆者は見ている。現時点のLNG輸出大国はカタールである。カタールが今後約8,800万トン/年の開発計画を変更しなければ、早ければ2018年ごろには豪州はこの数字を上回るLNG輸出を行うことができ得ると、APPEA総会のいくつかの講演は見通しを述べた。 また今総会のテーマである“エネルギー資源を未来の世代に”というメッセージも、豪州の石油・ガス産業への期待と温暖化防止対策の重要性を背景としたメッセージでもあった。 このエッセーが、読者にとって豪州の資源産業、とりわけ石油、ガスのエネルギー事情について知識を深め、豪州がLNG輸出大国の一つになりつつあることや豪州の都市の一端を知っていただくよい機会になれば幸甚である。出所:APPEAホームぺージ出所:筆者撮影写1APPEA総会の登録の様子写2オープニングの映像81石油・天然ガスレビュー1. 豪州の石油・ガスエネルギー産業の概要(1)資源産業の概要 豪州は石炭、鉄鉱石などの資源も豊かな国である。資源産業は豪州GDPの約8%(2007/2008年度)を占めるが、豪州からの輸出額で見ると半分以上は資源産業が賄っている。輸出額は大きい順に石炭、鉄鉱石、金などであり、これに石油(原油等)、ガス(LPG、LNG)が続いている。図1に主な資源分布図を示す。 豪州から日本への原油の輸出は2008年実績で4万9,000バレル/日、日本の総輸入量の約1.2%を占めている。一方LNGの豪州からの輸出の約80%は日本向けで、年間約1,500万トン(2008年)である。豪州は日本のLNG輸入先として、インドネシア、マレーシアに続いて3番目の位置にある。 豪州の石油・ガス産業は自由市場下で行われており、政治的にも2大政党により安定している。外国資本の参入については、豪州外国投資審査委員会(FIRB:Foreign Investment Review Board)の審査が必要であるが、豪州の国益という基準で審査される。BP社、Shell社、ExxonMobil社、Chevron社などの国際メジャー石油会社、タイ国営石油会社(PTT)および日本のInpex社などが、豪州企業であるSantos社、Woodside社あるいはOrigin社などとホ油・ガス上流部門で共同事業を数多く実施している。(2) 豪州1次エネルギー需給の実績と予測 豪州政府が2010年3月に発表した2029/2030年度エネルギー資源アセスメント(以下、豪州政府のエネルギー資源アセスメント)では、2029/2030年度の1次エネルギー需要について、現状との比較で総エネルギー需要が約33%増加すると予測している。地球温暖化防止を旗印としたCO2削減に向け、再生可能エネルギーを2030年までには20%導入することを目標としている。また化石エネルギーのなかでCO2発生量が相対的に少ない天然ガスの消費量増加を見込んでいる。石油消費は交通機関燃料(軽油、ガソリン、ジェット燃料)の増加などが牽引するエッセーものである。石炭の需要比率は低下するものの、依然として重要なエネルギーの一角を占める(図2)。(3)石油エネルギー 豪州地質調査所(GA:Geoscience Australia)によると、石油の確認埋蔵量は世界全体の0.3%を占める。原油が約14億バレル、コンデンセートが約27億バレル、LPGは約15億バレル、シェールオイル等が約220億バレル。また増進回収法(EOR)適用の結果得られる追加的石油は約11億バレル程度と推定している(図3)。ただ、GAは今後発見される石油資源は、油ガス田等の発見に伴うLPGやコンデンセートが大半と考えている。 また、国内石油生産と需要の推移予測は、図4に示すように特に原油の生出所:豪州農業資源経済局統計(ABARE)出所:豪州地質調査所(GA)資料図1豪州の主な資源分布図図3豪州石油資源ピラミッドa) 2007?2008(5772PJ)b) 2029?2030(7715PJ)Wind 0.2%Hydro0.8%Solar 0.1%Bioenergy3.9%Wind 2.1%Hydro0.6%Solar 0.3%Bioenergy 4.4%Geothermal 0.3%Gas21.6%Coal39.7%Oil33.6%出所:ABAREGas33.4%Coal22.8%Oil36.1%Naturally occurringLPG productionCondensate productionCrude oil productionConsumption(re?nery input)出所:ABARE資料図2豪州の1次エネルギー需要実績(2007/08年)と予測(2029/30年)図4原油等の生産と消費の推移2010.9 Vol.44 No.582?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-Net importsProductionConsumption出所:ABARE資料図5石油生産と輸入の推移(実績と推測)20102015Crude oil2020Condensate20252030Undiscovered crude oil and condensate出所:豪州地質調査所(GA)資料図6コンデンセートと未発見石油の生産予測産減衰傾向が大きい。他の先進国と同様に交通機関用燃料(ガソリン、軽油等)の消費増に対し、国内生産の石油ではこの需要増を賄いきれないのが現状。このため連邦政府は、ガソリン等燃料油を製品として輸入するとともにバイオ燃料の開発、coal to liquids(CTL)およびgas to liquids(GTL)などの開発促進も行っている。 連邦政府は管轄する3海里(約5,600m)以遠の沖合鉱区公開情報提供を例年このAPPEA総会で行い、外国企業を含む多くの企業による探鉱、開発を促進している。各州も3海里以内と陸上の鉱区公開情報提供をAPPEA総会の展示会の各州ブースで行っている。(4)ガスエネルギー GAによると、世界の在来型ガス資源埋蔵量は約6,534Tcf(2008年末)。83石油・天然ガスレビュー出所:豪州地質調査所(GA)資料図7豪州の石油生産/石油パイプライン等出所:豪州地質調査所(GA)資料出所:豪州地質調査所(GA)資料198019851990199520002005図8豪州ガス資源ピラミッド図9在来型LNGの生産推移また非在来型のガス資源埋蔵量は情報量が限られているが約3万2,500Tcfと推定されている。このうち豪州は2008年の統計で、確認ガス埋蔵量世界11番目(6,534Tcfの約1.7%、111Tcf)、また生産量は11番目(2008年の世界のガス生産量107Tcfの約1.5%、約1.61Tcf)となっている。 豪州のガス資源量は、図8に示すように、在来型ガス資源は確認埋蔵量として164Tcf、非在来型coal seam gas(CSG)は42Tcfと推定されている(豪州ではcoal bed methane<CBM>のことをCSGと称している)。CSGの未確認埋蔵量111Tcf、タイトガスの未確認埋蔵量は20Tcf、未発見の在来型ガス115Tcf以上、CSG250Tcf以上と推定している。未発見のタイトガスとシェールガスは推定不能としている。 豪州のLNGの生産に関しては、2008年で世界6番目(2008年のLNG貿易量は約1億6,800万トン、豪州はこのうち約9%を占めている)。 図9、図10に豪州の在来型ガスによるLNG輸出が順調に伸びていることと、非在来型ガスCSGの生産量のGッセーb) LNG exports by destinationIndia 1%Republic of Korea3%China18%Japan78%出所:豪州地質調査所(GA)資料出所:豪州地質調査所(GA)資料出所:筆者撮影図10非在来型ガス(CSG)生産とCSGのガス消費量割合推移図12在来型LNG輸出先写3オープニングで紹介された映像その1WorldAustralia出所:豪州地質調査所(GA)資料出所:豪州地質調査所(GA)資料出所:筆者撮影図11在来型LNG輸出量と輸出金額推移図13世界と豪州のLNG輸出能力と計画比較写4オープニングで紹介された映像その2推移とCSGの国内ガス消費に対する割合の増加の様子を示す。図10からは、CSGも順調に生産を増加させていることが分かる。 図11では在来型LNGの輸出量と輸出金額の推移を示す。また図12では日本が豪州のLNGの大口購買国であることが分かる。 豪州は、現在在来型ガスを生産、LNGとして輸出するプロジェクト計画を持ち、在来型ガスによるLNGプロジェクト計画は西豪州沖合北西大陸棚等のGorgon、Pluto、Wheatstone、Browse、Ichthysなどが大規模LNGプロジェクトとして建設あるいは設計業務等を進めている。またクイーンズランド(QLD)州の石炭層からCSGを抽出しLNG化する事業について、現時点では4つのプロジェクトが計画され、環境影響評価の実施など所要の作業が進められている。 図13では、これらの複数のLNGプロジェクトを含めて、豪州は今後LNG事業の拡大余地が十分にあることを示している。 なお、豪州政府のエネルギー資源アセスメントによれば、ガス資源は、豪州の人口増加(連邦政府は現在約2,200万人の人口が2030年には約3,500万人になると予想)による、都市ガス需要増やCO2削減に向けた一環としてガス発電需要増などの国内需給を勘案しても、十分な輸出余力があるとしている。2. 豪州の石油の発見とAPPEAについて APPEAは50年前の1959年に初めて組織化された。今総会初日、5月17日のオープニングセレモニーでは、会場の大きなスクリーンに50年前のAPPEA理事会の写真や、写3、写4のようにその後の石油、ガスの発見につながる陸上や海上での探鉱、生産の様子が小気味よく映し出された。 ここで豪州の石油の発見について簡単に振り返る。今回のAPPEAで配布された“Knights、Knaves and Dragons:50 years insides APPEA and Australia's Oil and gas Policies”からの引用であるが、およそ以下のような歴史が分かる。当時金鉱の掘削ブームであった1852年、南オーストラリア州の南端にあるCoorongという町で、警察の調査官であったMr. C. W. Suartが黒いゴム状の燃える物体が帯状に露出しているのを見つけたのが石油の初めての発見と言われている。この黒い物体は1860年代初めまで、地方の奇妙なものとして扱われていた2010.9 Vol.44 No.584?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-[トピックス1]豪州政府提案の新税「資源超過利潤税(RSPT)」について オープニングセレモニーでの以下の2つの基調講演では、当時業界の最大関心事項であった新税提案について提案側政府と業界代表が意見を述べた。① ファーガソン資源エネルギー観光大臣の基調講演ぜいゃく弱じ このセレモニーセッションは写5のように、ベリンダAPPEA CEOにより進められた。ベリンダCEOの淡々とした口調から紹介されたファーガソン資源エネルギー観光大臣の基調講演の趣旨は、以下のとおり(写6)。 豪州は1940年代に既に石油セキュ・ リティーに関しては脆であることを認識しつつ、それ以降の時の政出所:筆者撮影写5オープニングで司会のベリンダAPPEA CEO出所:筆者撮影写6基調講演を行うファーガソン資源エネルギー大臣 写3、写4のように会議のオープニングセレモニーで映し出されるいくつかの古い映像は、石油、ガスの発見が各家庭にランプや電気による明かりや暖かさをもたらしただけでなく、自動車や飛行機の燃料として使用され、豪州人の生活を飛躍的に豊かにしてきたことを伝えていた。音楽の効果もあり、見ていて一種の感動を覚えるものであった。映像の最後のスクリーンは、上流開発に伴う自然環境変化への配慮の大切さや、原住民アボリジニとの共存、子供たちの豊かな将来も、このエネルギーに大きく依存することを伝えていた。石油・ガス資源は次世代でも重要なエネルギーとして位置付け得るものであることを十分感じさせる演出であった。3. 第50回APPEA総会について概要 APPEA総会は入念なプログラムに沿って実施された。総会は2010年5月17日(月)~19日(水)までの3日間にわたり、参加者2,400人、講演会場は3つ、共通の講演を含め用意されたセッションは21あった。各セッションは3ないしは4つの講演で構成され、どれを聴いても興味があるテーマであった。しかし同時に行われるセッションもあることから、すべてを聴取することはできず、このエッセーでは以下のトピックスに的を絞り、講演等の情報をまとめた。 トピックス1;豪州政府提案の新税「資源超過利潤税(RSPT)」について。トピックス2;豪州資源エネルギー観光省(DRET)が発表する2010年沖合公開鉱区について。トピックス3;豪州LNG産業の将来について。トピックス4;展示会について、である。が、1859年に米国ペンシルベニアでEdwin Drake(通称Colonel Drake)が浅い土地から石油を発見したとの報を受け、豪州でもにわかに同様の物体を探すことが盛んになった。1866年7月には、アデレードのビジネスマンがCoorongケロシン会社を創設して黒い物体の発見に心血を注いだ。 同社は、Mr. Suartが黒い物体を発見した近傍で地下の掘削を行い同様の物体を探すことを試み、1868年に7.6mの深さまで掘ったが発見できずあきらめたという話もある。また、これとは別に、当時NSW州のブルーマウンテン地区近傍で他の石油ソースであるオイルシェールから石油が抽出されたとも言われている。 時代は飛ぶが、1959年に豪州各地での石油、ガスの発見につなげるため、時の連邦政府は「石油調査補助金法1959」を制定して石油探鉱事業を後押しした。この年にAPPEAは当時APEAとして誕生した。APEAは石油上流業界の利益のために政府との調整を担当した他、政府と一体になり探鉱、生産事業を協力、促進してきた。 豪州では、1964年に初めて商業ベースでの原油の発見、生産がBarrow島のCarnarvon盆地で始まり、更に1965年にはBass海峡のBaracoula盆地で原油、ガスの商業生産が始まった。その後の豪州の石油生産の推移を図14で示す。Crude,condensate(mmbls)LPG(mmbls)出所:APPEAホームページ図14豪州の石油生産推移85石油・天然ガスレビュー?は石油探鉱促進策を採ってきた。現在も石油の貿易収支は赤字であり、2015年には赤字額は300億豪ドルになると予想。これに関しては本日資源局が発表する2010年沖合公開鉱区情報に基づき、今後も多くの探鉱が実施され新たな油・ガス田が発見され、石油セキュリティー向上に資することを期待する。 ・ 今年(2010年)5月2日、資源産業界に対し資源超過利潤税(RSPT;Resources Super Profit Tax)の導入を政府提案したところ(注参照)。沖合の石油・ガス産業のうち既に開発が進んでいるPluto、BrowseあるいはWheatstoneおよび北西大陸棚での石油・ガス生産事業は既存PRRT(Petroleum Resources Rent Tax)の適用を受け、RSPTの適用外であるが、今後開発が進む陸上のCSG-LNG開発事業にはRSPTが適用される。この新税は今後成案に向けて関係業界の意見を聞くコンサルテーションを行い詳細な税設計を行うので、業界の協力を請う。 ・ 更に最近の石油産業界には、事故という大きな痛手が起きているところ。豪州では2008年7月にVaranous島でのガス爆発事故、2009年8月にはティモール海でのMontara沖合油田での油漏洩事故があったが、2010年4月に米国メキシコ湾で起きた原油漏洩事故は世界の石油産業に更に不幸をもたらした。豪州のMontara事故に関しては、6月までに事故調査委員会からの事故調査報告が政府に提出され、今後より安全な操業ができ得る規制等を行う予定である。 この講演に対し、APPEA総会最終日の5月19日には、野党自由党党首のアボット氏が基調講演を行い、RSPT導入の政府提案には断固反対する旨の講演を行った。ただ、聴衆である石油・ガス産業関係者からは、この発言に対し、例えば拍手喝采をするような雰囲気もなく、多くの聴衆は野党党首である政治家の意見として聞く立場を取っていた。政治的にも中立であるAPPEAの考え方が表れていた。<筆者の意見;豪州の石油セキュリティー向上に向け更に多くの探鉱が必要> 同大臣は、豪州の石油セキュリティーは脆弱であり、この克服のためにも更に多くの企業(外資も含む)による石油・ガス探鉱を歓迎する旨の発言を行っている。豪州は石油製品のほぼ半分は輸入に頼る現実が背景にある。 豪州における石油探鉱と生産事業での日本企業のプレゼンスは必ずしも低くはないが、豪州の石油生産量は2008年で約93万バレル/日、うち豪州から日本向けの原油輸出量は4万9,000バレル/日(日本の総輸入量の約1.2%)という数字になっている。筆者としては、わが国への石油供給リスク軽減および輸入先の多様化を図る観点からも、豪州における石油探鉱、生産事業への日本企業の参入拡大も一つの選択であると考えている。 また、同大臣は、その後の2010年6月、火災炎上と油漏洩のあったMontara事故調査委員会の結果報告を受けた際も、米国メキシコ湾での原油流出事故を受け米国とノルウェーが深海掘削事業の一時凍結を行っていることに関連して、豪州は同様の措置は採らないと明言している。この背景には、深海への掘削を行う基準(例えば圧力管理基準)を連邦政府と各州の規定を統一することで、事故を起こさない対策を採る一方、豪州の石油セキュリティー向上には更なる探鉱、生産事業が優先するとの事情も背景にあると筆者は見ている。エッセー② エリックAPPEA会長の挨拶について 続いて、エリックAPPEA会長の基調講演があった。その要旨は以下のとおり。 QLD州でのCSGは環境に優しく、 ・また電力需要増に対応できる魅力的な資源である。このCSGを含め今後の豪州の石油・ガス産業への投資は総額2,200億ドル(約18兆円)となる見通し。この資源開発ブームに対し資源労働者、技能技術者不足に対応する連邦政府のタスクフォース設置やQLD州の労働者訓練事業への補助に感謝する。 現下の政府提案の新税については、 ・石油資源産業も実効税率で50%以上になる税金を払うことになり間違った導入策である。新税は特にCSG-LNGプロジェクトに大きな影響を与えるだろう。重要なのは何が“超過利潤”なのか不明確であるということである。金融システムの脆弱化が起こるという事業環境下で、既に多くの資金を投入しつつあるCSG産業界にとって新税の導入は不透明な要因を増やし陸上石油ガス資源会社の経営の不安定さを助長しかねない。新税と同時に提案されている探鉱費還元プログラムは、増加する税額に対して何ら魅力的なものではない。むしろ今後の探鉱実績は非常に低下するだろう。新税は不安定な投資環境をもたらし、石油・ガス産業起しの投資先としての低い評価を惹かねない。仮に新税が適用されるとしても、新税はできるだけ井戸元での価値に課税すべきで、法人税の課税対象で、巨額経費の掛かるプロセス施設等へは課税すべきではない。APPEAとしてはこのような考え方を基本として今後の政府のコンサルテーション(協議)に協力を行う。じゃっき2010.9 Vol.44 No.586?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-<注:豪州政府提案の新税「資源超過利潤税(RSPT)」とその後の「鉱物資源利用税(MRRT)」について> 2010年5月時点で連邦政府から提案されていたRSPTは、その後資源産業界、特に石炭、鉄鉱石産業界からの強い反対を受けた。また政府の協議等のプロセスに対する不手際や他のいくつかの失政によるラッド首相(当時)の支持力低下も受けて、政権与党の労働党は、6月24日、党首をラッド党首からギラード氏に代えた。新税については、ギラード新首相は資源業界の意向くんだ新提案を7月2日に行った。等を汲 一方、石油・ガス産業界の動きとして、RSPTの影響を最も受けると言われたCSG-LNG業界を代表し、QLD州でCSG-LNG事業を進める英国のBGグループの子会社QGC社のタンナ社長が、ラッド首相(当時)に対し、既存の石油資源利用税(PRRT)の適用を直訴したと、6月16日に報道されていた。 こうした経緯等を踏まえ、7月2日にギラード新首相はRSPT導入提案を以下のような鉱物資源利用税(MRRT:Mineral Resources Rent Tax)に変更して再提案を行っている。 鉄鉱石と石炭を対象とする鉱物資源 ・利用税の導入。税率は30%。 現行の石油資源利用税(PRRT:・ Petroleum Resource Rent Tax)の対象を北西大陸棚を含むすべてのオフショア、オンショアの石油・ガスプロジェクトに拡大。これにより、新税導入による税収等の増収額は当初より15億豪ドル程度は減額するため、RSPTを財源とした税制改革案のうち、以下の内容の変更が併せて発表された。 法人所得減税率の引き下げを29%・ にとどめる(当初は、2013/2014年は29%に、2014/2015年に28%に下げる案であった)。・ 資源探鉱還付金制度(Resources 87石油・天然ガスレビューExploration Rebate)導入を取りやめる。 ここでは、連邦政府の公開鉱区情報の概要を記す。 ・<MRRTに係る今後の連邦政府の対応> ファーガソン資源エネルギー大臣と・ アーガスBHP Billiton会長を中心にPolicy Transition Group(PTG)をつくり、細かな点の協議を行う。 協議を必要とする具体的な項目は、 ・例えば25%の探鉱控除に含まれる控除項目、また2012年7月1日以降発生する投資の内容などが予想される。 その他;一方、今回のMRRT(石炭および鉄鉱石資源に適用。税率は30%)は、PRRT(従来、沖合の石油・ガス資源に適用。税率は40%)に比べ、一見、石炭、鉄鉱石産業界の税負担率が低くなるので、従来のPRRTを適用される石油・ガス資源産業界が不公平感から反発することも予想される。また、これまで7月末に発表される予定であった「Discussion Paper」の今後については、未定。 なお、この原稿を書いている7月17日にギラード新首相は、連邦議会下院を解散し8月21日に総選挙を実施すると発表した。これを受け今後MRRTは総選挙の審判を受けた新政権が取り扱う。仮に野党が政権を取れば、この提案は白紙に戻る可能性がある。[トピックス2]2010年度沖合公開鉱区について 例年、連邦政府の管轄する沖合3海里以遠の公開鉱区情報がこの会議で発表される(写7)。資源エネルギー観光省の展示ブースで関係情報の入ったキット(USBなど)が無料で配布されていた。また、各州の陸上および3海里以内の沖合鉱区公開情報も各州の展示ブースで必要な情報が提供されていた。<2010年豪州沖合公開鉱区の概要> この情報は、豪州資源エネルギー観光省のハートウェル資源局上級顧問からその概要が、その後にGAのバーネッカー部長から詳細が説明された。① 2010年の沖合公開鉱区は31鉱区 これらは5つの既存石油堆積盆地に属する鉱区(図15)。すべての鉱区について、豪州地質調査所が実施した地震探鉱データの結果や、地質調査レポート等が提供される。沖合鉱区の入札期限は2010年11月11日(最初の20鉱区)と2011年5月12日(あとの11鉱区)。出所:筆者撮影写72010年沖合鉱区情報を発表するGAバーネット部長出所:豪州地質調査所(GA)資料図152010年沖合開放鉱区の位置Gッセーa) Proven gas reserves to end 2008Russian FederationIranQatarTurkmenistanSaudi ArabiaUnited StatesUnited Arab EmiratesNigeriaVenezuelaAlgeriaAustralia0300600900Tcf1,2001,5002,000出所:ABARE資料図16世界のガス確認埋蔵量の比較(2008年)b) Gas production 2008Russian FederationUnited StatesCanadaIranNorwayAlgeriaQatarIndonesiaChinaUnited KingdomAustralia0510152025Tcf出所:ABARE資料図17世界のガス生産量の比較(2008年)ChinaIndiaAustraliaGermanyKoreaUSJapanUKCaliforniaMalaysiaThailandSingapore出所:SANTOS社の講演資料図18各国の発電に占めるガス火力発電の割合QatarMalaysiaIndonesiaAlgeriaNigeriaAustraliaTrinidad and TobagoEgyptOmanBrunei DarussalamUnited ArabEmiratesEquatorial GuineaNorwayUnited StatesLibya0102030出所:ABARE資料図19LNGの輸出量(2008年)2010.9 Vol.44 No.588② 各盆地の沖合公開鉱区の特徴等 Bonaparte盆地では、北部準州の2・ 鉱区と西豪州の1鉱区は比較的浅海で港湾施設等の整ったPetrelサブ盆地近傍に位置する。またAC10-1およびAC10-2は、これまでの試掘でも高い石油・ガス発見率であり、Vulcanサブ盆地に位置する。 Roebuck盆地のW10-2からW10-5 ・鉱区(計4鉱区)は、ガス資源が確認されている北Carnarvon盆地の隣のRowelyサブ盆地に位置する。既存の試掘井からは活発な石油システムの兆候が確認されている。 Carnarvon盆地に属する鉱区は炭・ 化水素の埋蔵が確認された域内に位置する。これらは、W10-7からW10-9 3鉱区(Beagleサブ盆地内で水深1,000m以上の深海)、W10-10からW10-14の5鉱区(Dampierサブ盆地内)、W10-15からW10-19の5鉱区(Barrowサブ盆地内)およびW10-20からW10-25の6鉱区(Exmouth PlateauとExmouth サブ盆地内)である。なお、W10-23~W10-25の3鉱区は既存のガス田(Pyreneesガス田)を含む域内で、試掘井Falcone-1Aは2005年にガスを発見済み。 Mentelle盆地内の鉱区(W10-26、1・ 鉱区)はフロンテイア領域で、これまでの地震探鉱データでは炭化水素の賦存兆候がある石油システム層が確認されている。またこの鉱区は深海(水深500~3,750m)に位置する。 Bight盆地のDuntroonとCedunaサ ・ブ盆地に位置するS10-1とS10-2では、これまで6本の試掘が行われたのみ。この鉱区は1万3,000km2の2D震探データがある。   なお、2008年公開鉱区では豪州三井石油開発(株)がWoodside社と組んで4鉱区を取得している。[トピックス3]豪州LNG産業の将来(LNG輸出世界一に向けて) 今回のAPPEA総会の講演の多くは、豪州のLNG産業が今後どこに向かうのかなどの見通しを述べたものが多かった。そのいくつかは豪州のガス産業、とりわけLNG輸出産業について「豪州はLNG輸出が今後世界一になるのでは」とのメッセージを発していた。<豪州のLNG産出能力> 豪州農業資源経済局(ABARE)などによると天然ガスの資源量は、豪州は世界でも11番目である(図16)。また2008年時点のガス生産量も11番目に位置する(図17)。 豪州のガス需給は、電力の約60%を石炭火力で賄っており、ガス火力発電はまだ9%程度。また人口も約2,200万人と少ないなどの理由で、ガスの供給余力は十分にあり、LNGにしての輸出余力がある(図18、図19)。  豪州は在来型ガスのほかに豊富にある石炭層からのCSGも、国内の都市ガスや電力用にも使われている。この資源量は米国に次ぐ2番目の量とも言われている(図20)。 このCSGをLNG化する事業として、QLD州のグラッドストン市(石炭の輸出積み出し港。また港内のCurtis島が外海の波を遮断するなど天然の良港に恵まれている)にLNG液化基地を建設して輸出するプロジェクトが、現時点で4つ進められている。この4プロジェクトだけでも年間5,000万トンのLNG輸出が計画されている。 既存の2つのLNGプロジェクト(ダーウィンLNGと北西大陸棚LNGプロジェクト)の他、これからの在来型ガスLNGプロジェクト(Gorgon、Pluto、Browse、Ichthysなど)およびCSG-LNGプロジェクトを合計すると?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-(図21)、Santos社の発表した図22に示すように、豪州は2018年ごろにはカタールを抜いて世界一のLNG輸出国になり得ると予測している。 また豪州資源エネルギー観光省(DRET)も将来の予想として8,000万トン/年以上のLNG生産、輸出が可能になると推定している(図23)。<豪州のLNGはどこへ輸出されるのか> 数年前には米国は世界最大のLNG輸入国になると言われていたが、2008年以降同国内でシェールガスの開発生産が本格化した結果、米国のガス需要はLNG輸入に頼る必要がなくなった。このため米国向け輸出を考えていたカタールのLNGの行き場はアジア地域や欧州へ向かうことが予想される。また、ロシアは旧東欧諸国間を経るパイプラインにより欧州諸国へガス供給を行ってきたが、ウクライナなどとのガス通過料金の支払い問題などで供給を削減する動きを起こした。このため、欧州諸国はガス供給途絶の危機感を抱き、エネルギーセキュリティー向上のためにガスをLNGとしてロシア以外から輸入する割合を高め、ロシアからのガス輸入依存率を順次低下させる傾向にある。 このような観点から今後生産が活発になる豪州LNGの供給先はどうなるのか、という問いに対し、APPEAのいくつかの講演はその見通しを示した。結論は、今後も供給先市場はアジア地域が主流になると思われるというもの。図24に示すようにSantos社は、アジア地域の需要予測とまだ未契約のLNG購入とのギャップが、豪州LNGの輸出先として考えられるとしている。実際アジア諸国のなかでは、シンガポール、タイ、ベトナムが今後国内出所:SANTOS社の講演資料図20世界の在来型ガスと非在来型ガス資源量Million Tons Per AnnumPotential Projects:including,Ichthys,Pluto T3,Browse,Darwin T2,Pilbara LNG,Wheatstone,Sunrise,Prelude and Bonaparte FLNG & additional Gladstone LNG Trains(100+mtpa)Gorgon,Pluto T2,Commencement of Gladstone Projects2020Plus20152013201120092007200520032001199919971995199319911989Pluto Train 1North West Shelf Train 5Darwin LNGNorth West Shelf Train 4North West Shelf Commencement120100806040200出所:Santos社の講演資料図22豪州とカタールのLNG出荷量(推定)出所:ABARE出所:資源エネルギー観光省(DRET)図21豪州のガス生産量と計画中のガスプロジェクト位置図図23豪州のLNG生産量予測89石油・天然ガスレビューGッセー中、BP社が石油・ガス等のエネルギー用途の方向性について示した(図26参照)ものが興味を引いた。 これによると石油やガスは、化学品の原材料、交通機関の燃料や潤滑油、発電や暖房用の燃料としての用途が依然残る。また非炭化水素系(再生可能エネルギー)エネルギーは主に発電用のエネルギーに使われるのではと推測している。<主なLNGプロジェクトの進捗状況> 豪州がLNG輸出世界一を具現化するために、現在計画されているLNGプロジェクト他について紹介する。これらはプロジェクトのアップデートとしてAPPEA総会で紹介、講演があったもの。なお、現在建設がほぼ90%以上進んでいるPlutoプロジェクトや、Chevron社らが進めるGorgonプロジェクト、日本のInpex社等が進めるIchthysプロジェクトの3プロジェクトについては、今回のAPPEAではそ状況について特に発表はされなの進かった。捗ちしんょく① Browse LNGプロジェクト このプロジェクトは在来型ガス田によるLNGプロジェクト。西豪州沖合のTorosa、Brecknock、Callianceの各ガス田からのガスを海底配管で集約ガス需要増を見込み、またエネルギーセキュリティー強化のためにLNG輸入計画を立てている。 また、これまで主要LNG輸出国であったマレーシアやインドネシアも国内需要(都市ガスや電力需要増)対応のため輸出余力が低下すると言われている。更に大口のLNG輸入国である日本、韓国、台湾と、今後LNG輸入基地の整備が進む中国も含めてアジア地域のLNG需要への豪州依存率は高くなると推定される。 価格面でも図25に示すように、豪州LNGは優位性が十分にあると言える。豪州の国内ガス価格はヘンリーハブ、欧州および英国のガス価格との比較でも低い。液化と運搬等のコストをオンしても、豪州産LNGの市場競争出所:Santos社の講演資料図24LNG需要予測と未契約のギャップ力は十分にあると推定できる。またアジア諸国への海上輸送も地理的に近いメリットもある。 このような周辺状況に加え、約8,800万トン/年までLNG生産を拡大すると言われているカタールが、これ以上の大規模なLNG開発を行わないと仮定すると、Santos社他の「豪州は2010年代後半には世界一のLNG輸出国になる可能性がある」という推測は、決して机上の空論ではないと感じた(図19参照)。<石油、ガス等の将来の用途の一考察> 限りある資源である石油、ガス、石炭等のエネルギー資源を今後どのように使っていくのかという課題は、地球温暖化ガスの削減努力を行いつつ、多くの国が経済発展のために更に多くのエネルギー確保が必要という非常に難しい問題である。一般的には、エネルギー効率を高め、有効かつバランスよく各種エネルギーを使用していくことが重要であることは言うまでもない。 APPEAの講演出所:Santos社の講演資料出所:BP社講演資料図25ガス価格の比較図26石油およびガス等の用途2010.9 Vol.44 No.590?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-し、生産されたガスからコンデンセート等を分離したドライガスを陸上に設置された液化装置でLNGとし出荷する(図27)。Woodside社とConocoPhillips社の共同事業。 計画では、3つのガス田から約13.3Tcfのガスソースから最終的に2ないしは3トレインで約1,200万トン/年のLNGと、約3億7,000万バレルのコンデンセートを生産、販売しようとするもの。ガスパイプラインは全長900kmになる。沖合約100mの浅海にガスの分離処理施設を設置し、ガスからメタンガス、コンデンセートおよびLPGなどを分離し、それぞれ陸上の施設に圧送する。陸上では液化装置の他に28万m3のLNGタンク1基、30万m3のコンデンセート用タンク、LNG他出荷用の桟橋が設置される予定。Woodside社はこの基地を拡張することについて2,500万トン/年まで可能としている(図28、図29)。 LNGの売り先については、中国のPetroChinaと台湾のCPCコーポレーションが長期購入仮契約を締結している。また2010年に環境影響評価の承WesternWesternAustraliaAustraliaTorosaTorosa認を受け、2011年にはFEED(事前エンジニアリング設計)を行い、最終投資決定(FID)は2012年央を目標としている。なお、LNGサイトは西豪州のKimberley地区に設置される予定。② Prelude FLNGプロジェクト 西豪州沖合のBrowse盆地内のShell社が権益を保有する4つのガス田からのガスを供給元としてLNG事業を行うプロジェクト。 Shell社はこれを洋上の船舶上に設置するガス液化装置でLNGを生産、また出荷を行う、いわゆるフローティング方式LNGプロジェクト(FLNG)としてプロジェクトを進めている(図30)。 Shell社は1960年代から海上での石油の生産、貯蔵、出荷を行う洋上生産Concerto(Shell 100%)Crux(Shell 100%ofgas from 2021)Libra(Shell 75%)Prelude(Shell 100%)BrecknockBrecknockWEL Operator Permit(Browse)Gas FieldCallianceCalliance出所:Shell社講演資料図30Preludeプロジェクトの位置図出所:Woodside講演資料図27Browseプロジェクトの位置図出所:Woodside講演資料出所:Woodside講演資料出所:Shell社講演資料図28海底配管を通じたガスの集約構想図図29LNGサイト構想図図31FLNGの構想図91石油・天然ガスレビュー剔?出荷施設(FPSO)技術を進化させており、FLNG構想も1999年から設計等を進めてきた。FLNGは比較的少量のガスソースでも経済的なLNG生産が可能であることや、環境面でも影響度合いを抑えることができるなどの特徴がある。図31に示すように生産されたガスは海底のマニフォールドで順次集約され、FLNG上のガス処理施設(コンデンセートの分離など)に直接送られ、更にドライガスはLNG化され一時貯蔵されて、FLNGから直接LNG運搬船に荷役することが可能。 このプロジェクトについてShell社は、2から3トレインで350万トン/年のLNG生産事業のFIDを2011年に行い、2016年から次世代型LNGとし出所:APLNG社講演資料写8CSG生産現場て生産、出荷することを目標としている。③ Australian Pacific LNG(APLNG)プロジェクト QLD州のCSG-LNGプロジェクトの一つ。Woodside社とConocoPhillips社が共同で進める非在来型のCSGをガスソースとするLNG事業。両社は、上流部門である石炭層からのガス生産事業と約450kmのパイプラインでLNGサイト設置予定のグラッドストン市までガスを運搬する事業について、Woodside社が操業を行い、グラッドストン市でのガス液化事業はConocoPhillips社が操業を行うとしている。LNGサイトはグラッドストン港内のCurtis島に設置され、当初は450万トン/年のLNGを生産する。 LNGの販売等はAustralian Pacific LNG社が担当し購入者との長期契約締結などを目指す(写8、写9)。 同社は、CSG-LNGの複数トレインのガスソースはCSG生産の盛んなSuratやBowenから供給されるとしている。ConocoPhillips社は燃焼カロリーが低いと言われるCSGからのLNG生産について、ベクテル社の技術と既にエッセー豪州で実績のある技術で対応可能としている。 APLNGプロジェクトは、2009年第3四半期には事前FEEDを終了し、2010年第1四半期には主要工事の入札も終了している。また2010年第1四半期には環境影響評価も終了し、関係政府の認可待ちである。2010年第4四半期には最終投資決定を行い、2014年からのLNG初出荷を目標としている(図32、図33)。④ PNG LNGプロジェクト 在来型ガスLNGプロジェクトしてExxonMobil社がパプアニューギニア(PNG)で初めてのLNG化を進めるプロジェクト。 PNGの首都ポートモレスビー近郊のLNGサイト予定地まで約700km(そ出所:APLNG社講演資料図33LNGサイト構想図(Curtis島に設置)出所:APLNG社講演資料出所:APLNG社講演資料出所:ExxonMobil社講演資料写9パイプラインの敷設工事図32APLNGプロジェクトの位置図図34PNG LNGの構想図2010.9 Vol.44 No.592?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-のうち海域部は約540km)のパイプラインでガスを運搬し、液化、輸出を行うプロジェクト。わが国の新日本石油開発㈱の子会社も本プロジェクトに参画し、当資源機構も借り入れ資金の一部について債務保証を行っているもの(図34)。 オペレーターのExxonMobil社から、このプロジェクトの陸域部のパイプラン敷設事業について、ガス田から海域までの間が急峻な山谷、滝や湿地帯であることから配管を敷設する事業は、種々の工夫と環境への配慮が必要との講演があった(図35)。 このプロジェクトでは年間660万トンのLNG生産を計画している。既に出所:ExxonMobil社講演資料図35ガスパイプライン敷設の構想図東京電力(株)、大阪ガス(株)、台湾のCPCコーポレーションと中国のSinopec社がLNG購入の仮契約を締結し、2009年12月に権益参加社間でプロジェクトの開発合意を得て、2010年3月には一部の工事が始まっている。2014年にLNG出荷を目標にしている。[トピックス4]展示会について 講演を行う会議場に広大な展示場が併設されていた。150以上の関係企業、関係政府機関、団体が展示を行うため、ゆっくり見ていると時間がいくらあっても足りないような状況であった。筆者が撮影した写真では、93石油・天然ガスレビューあまり混雑した様子が窺えないが、人気のある社のブースでは多くの人が意見交換を行ったり、展示物の説明を受けていた(写10)。 わが国企業としてはInpex社が展示ブースを設け、豪州での石油・ガス開発における現状などを紹介していた(写11)。また、この他APPEA総会のスポンサーとして大阪ガス(株)が名前を連ねていた。Woodside社、ExxonMobil社、Origin社など主要企業の展示ブースも目を引いた(写12、写13)。 展示内容は、各社、各団体の事業内容の紹介、配慮事項(安全や環境面)、個々のプロジェクトの概要、石油・ガス開発に関係する機器やサービス商品の説明、など多岐にわたっていて、パンフレットも用意されていた。また簡単なアンケートの実施や記念品(社名ロゴ等の入った帽子、シャープペンシル、ミニチュアのラグビーボール、ノート冊子、名刺入れなど)の配布なども行っていた。 石油、ガス産業に関係する企業等の多様性を理解できるよい機会となったが、3日間の会議の間を縫っての展示会見学は、出展社が多いこともあり、すべてを見ることはできなかった。 筆者は、このように豪州のみならずニュージランドの関係者も一堂に会するAPPEA総会において、石油、ガス産業における資源機構の役割等も知ってもらう機会も重要と考える。筆者は昨年度の後半に今年の機構ブース出展の候補としてAPPEAを本部担当者に打診したが、他国での同様の出展に比して優先順位が低いとのことで、残念ながら今年も出展は見送られた経緯がある。「百聞は一見かず」ということわざがあるように如に、ブースでは各社はまず見てもらうことに価値を置いている。このような観点からも今後、豪州APPEA総しぬ出所:筆者撮影写10APPEA展示場への入り口出所:筆者撮影写11Inpex社の展示ブース出所:筆者撮影写12Woodside社の展示ブース出所:筆者撮影写13ExxonMobil社とOrigin社の展示ブース?ヨの当資源機構ブースの出展の機会があればと望むものである。おわりに 初めて参加したAPPEA総会から、豪州経済を支える一大産業に働く者としての豪州の石油・ガス産業関係者に勇気と希望を与える大会であると感じた。また地元の大学生向けのワークショップが2日目に設けられていたり、展示会も、高校生らに開放された日があり、今後資源産業に携わる人材の発掘も十分念頭においた総会であった。 この原稿を書いている2010年7月中旬には、既に来年のAPPEA総会の準備が始まっていた。来年のAPPEAは、西豪州のパース市で2011年4月10~13日の日程で開催される。論文募集のメールがAPPEA事務局から関係者に送られている。 来年のAPPEAは、豪州における多くのLNGプロジェクトの新たな進展状況、とりわけ、日系企業がプロジェクトに参加しているプロジェクトの進展状況や、石油・ガス探鉱の大きな成果などが発表されることを期待して、このエッセーの終わりとしたい。閑話休題① APPEAのロゴマークについて APPEAの2010年ロゴマークは、地質モデルを表現しデザインされてい(図36)。デザインを担当したMr. J. るJacksonは“石博士”として知られ、地下の不思議な空間を芸術と科学という目からデザインしたもの。地中深くで、石油やガスが熟成されていく過程や、貯留されていく状態をモチーフにデザインが進められた。彼自身も石油会社Shellで働き、西豪州地区のAPPEAの議長を務めた人物。エッセー② ウェルカムレセプションの様子 総会前日の5月16日(日)には、会議の登録(レジストレーション)とともに、いくつかの催し物が行われた。そのうちの一つにウェルカムレセプションがあり筆者も参加した。レセプション会場に出向くと、写14のようなレトロ調の服装をした芸人が出迎えてくれた。会場では豪州産ビールやワインが振る舞われ、出席者らは1年ぶりの再会や初めての顔合わせを行う絶好の機会を得て、翌日からのAPPEA会議をよりリラックスして迎えることができる工夫がなされていた。 筆者も、ここで日本の横浜で日系企業が計画するLNGプロジェクトのエンジニアリング設計に日本のエンジニアリング会社と共同で携わっているというKBR社の人物と偶然挨拶を交わす機会があった。このようにウェルカムレセプションは、お互いを紹介し合う機会であり、特に大きな会議では期間内に知り合える機会もそう多くないことから、よい催し物である。③ APPEA総会が開催されたブリスベン市の概要 豪州は7州と1首都特別区からなる連邦国家である。ブリスベン市が州都のQLD州はそのうちの一つで、豪州の総面積の約25%を占め、人口は約380万人、外国からも含め観光客は年間210万人が訪れる州である。QLD州は全体が亜熱帯気候帯で、東側の沖合にグレートバリアリーフと呼ばれるサンゴ礁が発達し、ブリスベン市の沖出所:APPEAホームページ出所:筆者撮影図36APPEAのロゴマーク写15ウェルカムレセプションの様子その1出所:筆者撮影出所:筆者撮影写14ウェルカムレセプションの入口にて写16ウェルカムレセプションの様子その22010.9 Vol.44 No.594?50回豪州石油生産探鉱協会(APPEA)総会に参加して -世界一のLNG輸出国を目指す豪州-合から同州内ケアンズ市の沖合まで続いている。またサンゴ礁帯の中の島々のいくつかはリゾートを目的に開発され、スキューバダイビングなどのメッカとなっている(図37、図38)。 ブリスベン市は、QLD州の州都として政治、経済の中心都市である。現在人口は約180万人で、豪州ではシドニー市、メルボルン市に続き人口3位の都市である。1824年に当時のNSW州植民地政府が、現在の市の中心地に流刑植民地を設置したのが市の始まりであり、それまでは、原住民アボリジニのターバル(Turbal)と呼ばれる部族が住んでいた土地であった。1859年にQLD州はNSW州から分割された植民地であると宣言を行った。ブリスベン市が正式にQLD州の州都として認められたのは1902年である。 QLD州の主な産業は、製油、船舶荷役、製紙、金属加工や鉄道工場などの第2次産業、また金融サービス、IT、高等教育などの第3次産業も盛出所:APPEAホームページ図37ブリスベン市の位置出所:ブリスベン市観光協会ホームページより図38ブリスベン市の地図95石油・天然ガスレビューナ、ブリスベン市は、QLDを訪れる観光客の玄関都市としての機能も持っている。 市の中心をブリスベン川が流れ、市の中心部の川沿いは市民やビジネスマンの憩いの場として遊歩道、サイクリング道、またレストランなどが整備されている。今回のAPPEA総会もブリスベン川に沿って整備された一角を占める大規模なブリスベン・エッセーコンベンション・展示センターを利用して開催された(写17、写18、写19)。出所:ブリスベン市観光協会ホームページより出所:筆者撮影出所:筆者撮影写17ブリスベン市の中心街写18APPEA会場(ブリスベン・コンベンション・展示センター)の遠景写19APPEA会場入り口執筆者紹介丸山 裕章(まるやま ひろあき)〈学歴〉1980年、横浜国立大学卒業。〈職歴〉 大学卒業と同時に石油公団(当時)入団。備蓄業務部技術課長、石油天然ガス開発技術企画部研修チームリーダー、備蓄企画部国際課長等を経て、2009年8月よりシドニー事務所勤務。〈趣味〉 日本では職場の同僚と軟式野球で時々汗をかくこと。シドニーでは当面日本製カローラでシドニー郊外ドライブとデジカメでの風景撮影。〈近況〉 フラットがシドニー事務所から徒歩10分と近く、運動不足になりがち。休日はドライブも兼ねシドニ-の自然公園などに整備された遊歩道や市内散歩に励む。2010.9 Vol.44 No.596
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
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国・地域 大洋州,オーストラリア
2010/09/17 [ 2010年09月号 ] 丸山 裕章
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