ページ番号1006457 更新日 平成30年2月16日

Petroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011

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レポートID 1006457
作成日 2012-01-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 技術探鉱開発
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2012
Vol 46
No 1
ページ数
抽出データ JOGMEC石油調査部伊原 賢Petroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011はじめに 筆者は、2011年10月30日から11月2日まで米国のデンバーで開催された2011年SPE(Society of Petroleum Engineers:世界石油工学者協会、118カ国の会員数約9万7,000人)のATCE(Annual Technical Conference and Exhibition:年次総会、ホームページ:www.spe.org/atce)に参加し、最新の石油工学に触れる機会を得ました。得られた情報を基に、Petroleum Engineerの取り組む技術トレンドを探ります。 1950年代にM. King Hubbertが唱えたピークオイル論は「原油の生産は資源量に制限される」ということでしたが、これは今、正しくなかったことが判明しました。長期的には資源は有限ですが、短中期的にはそうとも言えないのです。 生産能力の限界に筆者を含む技術者は挑戦しているところです。Hubbertが唱えたピークオイル論は米国48州では該当していましたが、超大水深(例えば、ブラジルのサブソルト)での近年になってからの探鉱成功などが生産能力拡大に寄与している状況を見ると、ピークオイル論では説明に無理が生じます。テキサスA&M大のStephen Holditch教授が提唱した「資源量のトライアングル」は非在来型の油やガスは、地下から取り出しにくいが、その資源量は豊富であることを示しています(図1)。しかし、非在来型の油やガスは、その生産予測世界全体の原油の残存確認可採埋蔵量の支配埋蔵量へのアクセスが縮小する投資機会に対応した石油開発の対象は、在来型から非在来型資源へシフトその開発はどのような技術トレンド?資源量に限界地下から取り出しやすい1,000md在来型ガス10md技術の進歩資源量が豊富地下から取り出しにくいタイトガスコールベッドメタン0.1mdシェールガス非在来型ガス0.001mdメタンハイドレート国際石油会社が完全にアク国際石油会社が完全にアクセス可能な埋蔵量セス可能な埋蔵量7%7%ロシア系企業の埋蔵量ロシア系企業の埋蔵量16%16%国営石油会社の埋蔵量国営石油会社の埋蔵量65%65%国営石油会社の権益持ち分(埋蔵量)国営石油会社の権益持ち分(埋蔵量)12%12%出所: 2008 PFC Upstream Competition Service 資料を基にJOGMEC石油調査部作成採算コスト(ドル/バレル)超大水深超大水深(1,500m?)(1,500m?)氷海氷海大水深大水深(300?1,500m)(300?1,500m)オイルシェール採油増進法重質油生産済み中東・OPECの原油中東外の在来型原油8070605040302010001,0002,0003,0004,000可採埋蔵量(10億バレル)出所:IEA,SPE資料よりJOGMEC石油調査部作成5,0006,0001md=9.87×10-16 m2 ※md(ミリダルシー)=「浸透率」の単位(岩石中のガスの流れやすさを表す)出所: SPE 103356論文 を基に作成図1在来型の油やガスの支配状況がもたらす非在来型資源へのシフト59石油・天然ガスレビュー エッセーk海北海メキシコ湾メキシコ湾大西洋太平洋太平洋西アフリカ沖西アフリカ沖インド洋既存の大水深フィールド既存の大水深フィールド今後の大水深フィールド今後の大水深フィールドブラジル沖ブラジル沖モザンビーク沖モザンビーク沖出所: NHKテレビ 視点論点「海底油田の世界的現状」2010年8月23日放映図2大水深での石油開発エリアが難しいのです。米国発のシェールガス革命も10年前には、そのことを予測する者はほとんどいませんでした。 近年、石油開発をめぐる環境の変化には、油価の高値変動、イージーオイル(在来型油田)の減退、新規需要市場の登場、技術者の人材入れ替え、低炭素化、資源ナショナリズムの台頭などが挙げられます。このような環境変化の下では、国営石油会社(NOC)の支配力と、国際石油会社(IOC)の力と技術トレンドとの関係は図1のようにまとめられると筆者は考えています。 2009年の世界の原油生産は、日量8,500万バレルでした。2019年の需要は日量9,500万バレルと予想されています。既存の在来型油田の減退を考えれば、単に日量1,000万バレルを積み増せばよいというわけではなく、日量4,500万バレルの新規生産が必要となるでしょう。生産能力を新規で日量4,500万バレル積み増しするには、氷海や大水深での石油開発(図2)に加え、非在来型の油やガスの起源や生産技術をしっかり理解した上で、技術力・投資・人的資源の投入が必須となります。 このように、埋蔵量へのアクセスが縮小する投資機会に対応した石油開発の対象は、在来型から非在来型資源へとシフトするでしょうが、その開発はどのような技術トレンドをもって進められるのでしょうか? 筆者は、米国・デンバーのコンベンションセンター(写1)で2011年10月30日から11月2日にかけて開催された出所: 筆者撮影写1デンバーのコンベンションセンター2011年SPEのATCEに参加し、最新の石油工学に係る情報を収集しました。ここで、石油工学とは、石油・天然ガスの掘削、油層管理、生産に関す602012.1 Vol.46 No.1エッセーo所: 筆者撮影出所: 筆者撮影写2展示会場の入り口写3展示会場る技術の総称で、これなくして、地下の石油・天然ガス資源を地上に取り出すことはできないといっても過言ではありません。SPEはその技術者集団です。 本稿では、まず、2011年SPEの年次総会の概要を述べます。次に年次総会で取り上げられ、筆者が興味を持ったテーマでの議論を時系列的に紹介します。 最後に、今回のSPE年次総会で得られた情報を参考に、当面の可採埋蔵量の積み増しをコントロールすることになる石油開発技術のトレンドをまとめます。2011年SPE年次総会の概要 SPEが主催する情報交流の場は、過去の事実を議論するSPE Technical Conference(秋の年次総会ほか)、現在の動向を議論するApplied Technology Workshop(ATW)と、未来の技術展開を議論するSPE Forumで構成されます。 2011年のSPE年次総会は、世界中から9,150人ほどの参加があり、発表論文・ポスターは約400件で、以下の6分野/50セッションに分かれて発表されました。1. Drilling and Completions2. Project, Facilities and Construction3. Production and Operations4. Reservoir Description and Dynamics5. Management and Information6. Health, Safety and Environment/HSE 展示会場は、約9,800m2(3,000坪弱)の広さで大小取り交ぜて300社の参加がありました(写2、写3)。 総会のテーマは、New Perspectives(石油工学を中心とした情報交流を通じた、石油開発の新展望)。油価の高値(総会開催中WTI 90ドル/バレル台)、石油・天然ガスの需要拡大、石油工学技術者の中高年化ほかを反映して、SPEに属する技術者は、利益追求のみならず、人材の確保と非在来型のタイトオイルやシェールガス、大水深開発といった非在来型の資源開発に注力すべきであるという意味に捉えました。 繰り返しになりますが、2009年の世界の原油生産は、日量8,500万バレルでした。2019年の需要は日量9,500万バレルと予想されます。既存の在来型油田の減退を考えれば、単に日量61石油・天然ガスレビュー出所: SPE写4Alain Labastie氏1,000万バレルを積み増せばよいというわけではなく、日量4,500万バレルの新規生産が必要となるでしょう(IEAシナリオに基づく2011年SPE会長Alain Labastie氏談:写4)。この生産能力拡大へのチャレンジは壮大です。 石油開発は、2010年4月に起きたメキシコ湾のマコンド坑井の暴噴・油流出事故や、シェールガス開発に伴う飲料水用の地下水や地表の汚染疑惑により、負のイメージが強められています(特に西洋諸国において)。生産能力を新規で日量4,500万バレル積み増しするには、環境派のNGOなどの世論と、理路整然とした透明性のある直接Petroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011ホ炭(瀝青炭?無煙炭)無機物(灰)液体有機物メタン(吸着)固体有機物(陸上植物)露天掘り乾留オイルシェールコールベッドメタン水抜き減圧浅い深度でバクテリアが軽質油を分解軽質油露天掘り水蒸気により地下流動化重質油オイルサンド(超重質油)長い時間をかけて移動在来型油田生成油水圧破砕タイトガス生成プロセス地下から地上に取り出す手段未生産ガス在来型ガス田シェールガス長い時間をかけて移動生成ガス水平坑井+水圧破砕水平坑井+水圧破砕タイトオイル流れやすさが非常に劣る岩石への移動液体有機物固体有機物(藻)無機物移動した油残留油固体有機物無機物移動した油移動したガス残留ガスグラファイト(石墨)無機物石油根源岩未熟成地下3,000m地下3,000m地下の温度100℃地下の温度100℃油を生成地下5,000m地下5,000m地下の温度167℃地下の温度167℃ガスを生成*石油根源岩: 経済的な石油炭化水素量を発生し得る能力のある岩石で、通常細粒の泥岩、頁岩(シェール)ならびに炭酸塩岩である。出所:奥井明彦、各種資料に基づき作成有機物に富むと同時に、その有機物の性質は石油炭化水素を発生しやすいものでなければならない。図3非在来型の油やガスの起源と生産技術対話を通じて、負のイメージを和らげ、原油や天然ガスという人類にとってかけがえのないエネルギー源を供給してきた業界に対する理解を勝ち取らねばなりません。 その上で、非在来型の油やガスの起源や生産技術(図3)を理解し、技術力・投資・人的資源の投入が必須となります。SPEは世の中に対して、事実に基づき、中立で高度な石油工学(Petroleum Engineering)の知見を伝える使命があります(ロビー活動はダメ)。負のイメージをよきものに変えるには時間がかかります。しかし、いったん得たよきイメージを失うのは簡単です。 風力や太陽光といった再生可能エネルギーの台頭もあるでしょうが、世界における石油・天然ガスの1次エネルギー源に占める割合は半分を超え続け、原油需要は2030年には日量1億2,000万バレルに達するとも言われています。この石油・天然ガスの上流業ちまた界の好景気に人と技術を注入することで、上流業界は、巷で言われる斜陽産業ではなく、石油・天然ガス資源の可採埋蔵量を積み増す一方、環境面にも考慮した経済合理的な資源開発に大きく貢献する産業であり続けられると思います。本総会におけるパネルディスカッション、発表論文や展示を見聞きすることで、その実現に必要な技術の進展を実感できました。 油価低迷時の1990年代に多くの石油会社がその技術開発活動を低下させたなかで、「将来の技術開発を担うのは誰か?」というのが、近年の石油開発業界の大きな課題です。技術者として石油開発(いわゆる上流)業界に入る若者が減り続け、業界の平均年齢は、40歳代後半に入っており、30歳代が少なく、技術の空洞化の危機が迫っています。石油開発サービス会社は、技術の伝承のため、若手や後進国でのトレーニングにも力を入れているところです。 2004年以降の油価の上昇は、大学で石油工学を学ぶ学生数を増やしましたが、現在いる人たちとこれからの若者で業界を支えるには、各自が持つ知見を若者と共有、あるいは彼らにそれを伝授すること、若者が石油開発に夢や強い関心を持つべく草の根の啓蒙活動を精力的に行うことが極めて大事です。 JOGMECからは、筆者の他に、技術部の西崎職員、佐藤亮職員が参加。日本人の参加者は、早稲田大学の森田教授、栗原教授と両先生の学生15名ほど。またConocoPhillipsの古井氏、Chevronの吉岡氏、INPEXヒューストンの中島嬢を加え20名強でした。2011年SPE年次総会の個別内容 10月30日は掘削システムの自動化に係るパネルディカッションに参加し622012.1 Vol.46 No.1エッセーNリーン降下、チュービングへのコントロールライン装着、多段階の水圧破砕、生産中の検層にまで広がりつつある。・ 掘削機器の動きと掘削作業パネル の操作の連結を、Lap Topコンピューター上で再現。掘削作業のトレーニングに使用されるとのこと。 ・ パネルディカッションには、100名ほどが参加。【10月31日(月)】<午前> ? Opening General Session:Enhancing Standards and Best Practices in the Oil Industry<午後> ? Special Session: Economic Modeling in Oil and Gas Markets ? CMG社のプレゼン:Software Tools for Unconventional Completions(@展示会場) ? University Alumni Reception:University of Tulsaオープニングセッション:Enhancing Standards and Best Practices in the Oil Industry ・ 年次総会のオープニングの挨拶をしたPetronas CEOのDato Shamsul Azhar Abbas氏(写5)。 ・ HSEを認識し、世論の支持を勝ち取るには、石油開発業界における作業基準とベストプラクティス(最良の実行)はどうあるべきかについてのパネルディスカッション。・ 課題:業界団体の役割、技術的解 決策の底上げと共有、業界と政府・利害関係者との関わり。出所:筆者撮影写5Dato Shamsul Azhar Abbas氏左からChad Deaton氏(司会者)、Matthias Bichsel氏、Jose Formigli氏、William S. McArthur氏出所: 筆者撮影写6パネルディスカッション司会者とパネリストました。10月31日から11月2日までの3日間は、テクニカル・セッションに参加するとともに、展示会場も見て回りました。11月3日はデンバー近郊のWattenbergガス田の貯留層の露頭見学に参加し、Muddy(J)砂岩、Codell砂岩、そして、シェールオイルで注目されるNiobrara頁岩ほかを見る予定でしたが、天候不良により、急ょ中止となりました。遽き 以下、パネルディカッションの概要と、参加したテクニカル・セッションにおいて興味を引いた発表論文の抄録を中心に記します。【10月30日(日)】パネルディカッション:「Drilling Systems Automation Technical Session:DSATS」への参加 ・ 油井やガス井の掘削において技術者の平均年齢は、40歳代後半に入っており、30歳代が少なく、技術の空洞化の危機が迫っている。・ 大手の石油開発サービス会社 (Schlumberger、Halliburton、Baker Hughes、Weatherford)や石油会社(Shell、Apache)の有志が、掘削システムの自動化の現実と課題を、2010年よりSPE内にDSATSという分科会をつくって議論している。自動化により、技術を空洞化させることなく経済合理的に掘削作業の質や安全性の向上を目指すというもの。 ・ 自動化と作業トレーニングの両立が大事。・ 掘削システムの自動化は、掘削作 業自体のみならず、坑井の仕上げ・(マルチラテラル坑井への)リエントリー作業、掘削流体の取り扱いにまで広がりつつある。それを可能とするセンサーの適用も進んだ。・ 具体的には、専門技術者を必要と する取り扱いが複雑な、パーフォ)、出砂対策用のスレーション(穿孔こせんう63石油・天然ガスレビューPetroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011・ 大手石油開発サービス会社Baker HughesのCEOであるChad Deaton氏が司会。パネリストは、Shellのプロジェクト・技術担当役員Matthias Bichsel氏、Petrobrasのプレソルト執行役員Jose Formigli氏、NASAの安全・ミッション保証局長William S. McArthur氏(写6)、ルイジアナ州選出上院議員Mary Landrieu嬢(ビデオ出演)。・ 石油開発は、2010年4月に起きた メキシコ湾のマコンド坑井の暴噴・油流出事故や、シェールガス開発に伴う飲料水用の地下水や地表の汚染疑惑により、負のイメージが強められつつある(特に西洋諸国において石油業界の評判は芳しくない:銀行と同程度)。生産能力を新規で日量4,500万バレル積み増しするには、NGOなどの世論と、理路整然とした透明性のある直接対話を通じて、負のイメージを和らげ、石油や天然ガスという人類にとってかけがえのないエネルギー源を供給してきた業界に対する理解を勝ち取らねばならない。ルギー源の52%を担う。・ 安全に係る文化をその価値、行動 をよく分析し、トップマネジメントが率先し、業界全体として、世の中から正のイメージで見られるように継続的に、安全の文化を構築していくことが大事。安全に係る少数意見にも耳を傾ける必要がある(NASAの安全・ミッション保証局長William S. McArthur氏談)。・ 石油開発の安全管理は、トップマ ネジメントが率先して、地球環境保護の見地から、世論と透明性のある直接対話を行うことで実現できる。スペシャルセッション:Economic Modeling in Oil and Gas Markets・ 発表論文SPE 147227:油価には産 業化と都市化に伴い、20年から70年にわたる長いレンジの上下サイクルトレンドが大きく四つ見られるという統計分析(サイクル1:1850~1884年、サイクル2:1884~1966年、サイクル3:1966~1996年、サイクル4:1996年~、図4)。・ IEAの2011年予測では、2035年 時点で石油や天然ガスは世界のエネ・ シェールガス開発とLNG貿易との 関係:2010年米国の国内ガス生産SC 1?1850-1884SC 21884-1966SC 31966-1996SC 41996-?1.20.80.40.0-0.4-0.8187519001925195019752000年SC (Super Cycle) in real oil price using the CPI as a price deflatorPrincipal component in the super cycle of metals prices出所: SPE147227図4油価のサイクルトレンドの23%はシェールガスからのものとなり、米国のガス輸入量は2007年から2010年の間に43%も減少した。2035年には天然ガスの実質輸出国となるとの見方あり。一方、中国では2020年までに国内ガス生産が50%増との見方。非在来型ガスの占める割合は12%に。「シェールガス」が世界のエネルギー事情を一変させる可能性を指摘。CMG社のプレゼン:Software Tools for Unconventional Completions・ ノースダコタ州Bakkenシェール層 (孔隙率4~12%、浸透率0.005~1ミリダルシー、有機物含有率8%)に掘削され、多段階の水圧破砕を実施した水平坑井に対し、どのような手順で油層シミュレーションを行うかのプレゼン。マイクロサイスミックのデータをシミュレーターに取り込み、計算セルのなかで、できたフラクチャーに数ダルシーとシェールマトリックスと比べ100万倍程度の浸透率を与える。シミュレーション技術の進歩により、多段階の水圧破砕によってできた複雑なフラクチャー・ネットワークのなかのガスの流れの再現も簡便にできるようになった。生産挙動のヒストリーマッチング作業も1週間から1日程度に短縮。・ 発表論文SPE 146104:Strategies to Minimize Frac Spacing and Stimulate Natural Fractures in Horizontal Completions:Barnettシェールのデータを取り入れ、シェール層の応力分布を3次元モデルで解析。多段階水圧破砕において、段ごとの間隔をガス生産増のためにどの程度縮められるかの検討。400ftの間隔だとフラクチャーはシェール層を真っすぐ貫くが、300ftだとフラクチャーの伸びがだんだん傾斜。642012.1 Vol.46 No.1エッセーetroleum Industry in the Process of Capture, Storage, and Use of CO2 ? Topical Luncheon:Executive Management View on Developing Liquid-Rich Shale Basins<午後> ? Special Session: Rocky Mountain Region Panel?Considerations for Liquids-Rich Horizontal Wells ? Annual Reception and BanquetCCSの実践に対する石油開発業界の役割(図6)・ 2008年のSPE年次総会において、 Carbon Capture & Sequestration (CCS)に係る委員会を新たに設置して、CCS実践の手助けとなるような技術ガイドラインの策定を行うことになった。・ 本特別セッションでは、その後の 技術進展、世論との関わり、国際協力、経済的効果について紹介された。・ 世界のエネルギー需要は今後25年 間に40%増との予想。石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料の占める割合は75%を超えよう。その結果、世界のCO2排出量は2005年の27ギ水平坑井水平坑井400ft300ft250ft250ft200ftフラクチャーの伸展が近傍の応力方向を変化させ、近傍のフラクチャーの伸展方向に変化が生じているからだ。250ftでは隣同士のフラクチャーがシェール層内で導通することも。200ftに間隔が狭まると、幾つかのフラクチャーはつくることができなくなる(図5)。したがって今後は、シェール層の応力分布と水平坑井の配置から、フラクチャーの閉塞圧を解析し、フラクチャーの伸展と段ごとの水圧破砕の順番を考える必要があろう。University Alumni Reception:University of Tulsa ・ 31日夕方に開催されたタルサ大石油工学科の同窓会に出席し、旧友や恩師と親交を深めた。高油価安定に伴う、石油・天然ガス上流の仕事量や大学での石油工学専攻学生数の増加は明らかであり、皆忙しさを口にしながらも、晴れやかな表情で歓談の輪が広がった(写7、写8)。シェール層シェール層出所: SPE146104図5多段階水圧破砕における段ごとの間隔とできたフラクチャー伸展(計算例)【11月1日(火)】<午前> ? Special Session:Role of the 出所:筆者撮影出所:筆者撮影写7タルサ大留学時の恩師Dr.Brill(石油開発における多相流解析技術の権威)と写8Weatherford、C-FER Technologies(エドモントンの検査会社)、Petrobrasの友人と65石油・天然ガスレビューPetroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011ワだ幅が大きく、定まっていない。 ・ 製油所へのCCS適用は発電所へのCCSよりもコスト高。 ・ 米国の現在のガス価(約4ドル/百万BTU)では石炭価格(1~2ドル/百万BTU)との差が少なく、ガスサイクルコンバインド発電の方が、石炭火力にCCSを併設したものより、経済合理性がある。 ・ 聴衆の1人、ヒューストン大のEconomides教授は、「本セッションではCCS実践への楽観イメージが強く打ち出されていた。CCS実践の課題解決には100年オーダーの時間が必要で、ファイナンスや規制の整備が考える時間オーダーとは全くマッチしていない」と批判した。トピカル・ランチョン:液体分が豊富なシェール堆積盆地(図7)を開発する際のトップマネジメントの視点 ・ コロラド州とワイオミング州にまたがるNiobraraシェールにおける中・軽質油開発の動き。Niobraraは完全にシェールとは言えず、テキサス州のAustin Chalkに似た炭酸塩岩。 ・ Niobraraシェールはデンバーの北側のJulesburg堆積盆地に位置し、1万5,000坑もの既存の垂直井があったが(Wattenbergフィールド)、どれも10バレル/日程度と低生産レートであった。 ・ ノースダコタ州のBakken、テキサス州のEagle Fordと比べ人がかなり住んでいる(250万人、70万戸)。・ 近年、水平坑井と多段階水圧破砕 の併用により、Niobraraのシェールや炭酸塩岩から中・軽質油が生産できることが分かってきた(Anadarko社のGoff井は油1,100バレル/日、ガス250万ft3/日を記録)。1年に100坑の水平坑井を掘削予定。全体66上げねばならない壮大な計画だ。・ 現実を見ると、米国のSACROC油 田でのCO2-EORでは、油生産に伴うCO2を除けば、購入したCO2の92%を地下に固定化できている。正の側面だ。しかし、この場合はCO2のCaptureコストがネックとなっていない(CO2ガス田からのCO2供給)。・ しかしCCS実践の課題は多く、 Captureコストの低減、(商業化前の)実証試験の実施、ファイナンスや規制の整備、世論の支持と課題は山積だ。モニタリングの技術課題も残されている。米国ではCO2の排出元と固定先が東部と西部に分かれているのも厄介な問題だ。CO2-EORだけでは、発電所からの排出CO2を処理するのは無理。帯水層に固定化する際も、代わりに出てくる水の量が膨大。水攻法と同程度の作業が必要。・ CCSのコスト:Capture 15~75ド ル/トン、Transport 1~8ドル/トン、Sequestration 0.6~8ドル/トンとガトン*1から2030年には40ギガトン、2050年には60ギガトン(4~7℃の気温上昇)に増えるとのIEAの予測あり。電力部門が特に多い。・ 後進国に石炭火力は多く見られ、 ここ20年の伸びは大きい。ガス火力に転換すれば、2050年のCO2排出予測60ギガトンは半分に減らせるだろう。・ 脱原発の動き、再生可能エネルギー のコストや出力面での不安定性を考えれば、非在来型ガスの登場がもたらした世界の天然ガス埋蔵量の急増は、エネルギーミックスを考える際の当面の安心材料となろう。・ CO2排出を減らす目 として考えられている「大気のCO2濃度450ppm、気温上昇2℃のシナリオ」では低炭素社会の実現策の一つとして、CCSが挙げている。CCSが機能するには、2015年までに18プロジェクト、2020年までに100、2040年までに2,100、そしてなんと2050年までにプロジェクトの数を3,400まで押し処どめCO2地中貯留法1.枯渇油田・ガス田への貯留2.石油・天然ガス生産増進回収による貯留3.帯水層への貯留(a:海域 b:陸域)4.炭層への固定原油・天然ガス生産CO2圧入CO2貯留3a23b14炭層1km帯水層枯渇油田・ガス田帯水層EOR(石油増進回収)2km出所:IPCC、2005年図6CCSにおける地下貯留のイメージ2012.1 Vol.46 No.1エッセーv画では1,200坑まで増やす。・ Wattenbergフィールドは垂直井で 開発を継続し、そこに面的に重なるJulesburg堆積盆地では、深部の成熟した石油根源岩をターゲットに水平坑井で開発する。 ・ 関連業界と歩調を合わせ、地域コミュニティと緊密な連絡を取ることが開発の鍵。水井戸の水質検査も頻繁に実施しているとのこと。水圧破砕に用いるトラック輸送を減らすべく、水のパイプライン輸送も実施。水圧破砕に用いた水のリサイクル・再利用も実施。・ 「水平坑井+多段階の水圧破砕」の 場合、「垂直井+水圧破砕」に比べ使う水の量は270倍ほど多い。したがって、水圧破砕によるケーシングパイプの磨耗も環境汚染につながる可能性がある(写9)として、ケーシングパイプの圧力も監視。油層圧があまり高くないため、人工採油法も検討。・ コロラド州・ワイオミング州の地元 経済には、雇用創出と税収増で貢献。液体分が豊富ないわゆる「タイトオイル」を取り出す水平坑井に関する考察・ 米国の石油生産量は2008年まで下 げ止まらなかった(1995年860万バレル/日、2000年800万バレル/日、2008年690万バレル/日)のだが、2009年より一転して増産(2009年740万バレル/日、2010年770万バレル/日)に転じた。2年連続の増産は25年ぶりの快挙で、2008年の経済危機を考えると信じ難い事実。これに大きく貢献したのが、シェールオイルの生産だ(図7)。シェールオイルの生産にもシェールガス同様に水圧破砕技術が使われる。の流路をいかに確保するかの鍵となる技術であることは言うまでもない。・ 高品質なプロパントと増加する生 産レートや総推定生産量との関係をイメージ化(図8)。シェールオイル開発の場合、油価が50ドル/バレル以上だと、粗利益率は急に上昇することが分かってきた。・ 水圧破砕と、それによってできた 割れ目の支持材(プロパント)が、シェールオイルの貯留岩から坑井へ・ ノースダコタ州のBakken、テキサ ス州のEagle Ford、コロラド州のNiobraraという「タイトオイル」の開埋蔵場所はどこか?モンタナ州とノースダコタ州にまたがるBakken,Three Forks構造ワイオミング州とコロラド州にまたがるNiobrara構造(2010年10月に伊藤忠、2011年4月に丸紅が参入)テキサス州のEagle Ford構造が有名(2011年6月に日揮、三井物産が参入)Coalbed gas在来型の油・ガス田WaterWaterContinuous oil accumulation(連続した油の集積)OilGasWaterCardium,VikingHeathCane CreekWasatchGreen RiverOil GenerationWindow(油生成ウィンドウ)非在来型の構造Bakken,Three ForksカナダUticaNiobraraMowryUSAMonterreyGranite WashNiobraraBarnettMarcellusBone Spring/AvalonWoodfordSpraberryメキシコEagle FordTuscaloosa出所:筆者撮影出所:USGSの資料に基づき作成写9C-FER Technologies(エドモントンの検査会社)の展示ブース図7米国における液体分が豊富なシェール堆積盆地67石油・天然ガスレビューPetroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011告?關カ産量生産レート粗利益率大小高強度均一サイズ耐熱性中強度不均一サイズ低強度不均一サイズ大セラミック樹脂コーティングの砂粒流 路コスト砂粒小出所:SPE資料を基に作成出所:筆者撮影図8水圧破砕による岩石中の流路のヒエラルキー写10Dr.Kazuioyoshi Minami氏発が盛んになってきた動向の紹介。 ・ 開発課題には、貯留層の挙動把握、多段階水圧破砕の手順、水圧破砕後の戻り水(フローバック)と生産量の関係、水圧破砕の作業員の確保、坑井のモニタリング(圧力・温度)、地上の坑井位置の削減、フラクチャリング流体の選定が挙げられており、開発業者はベストプラクティスを求めつつ、石油サービス会社と協力して、開発を行っているところ。Annual Reception and Banquet・ 出席者約900名。 ・ Technical & Professional Awards Presentation・ 2011 SPE President Alain Labastie (Total) gave his “State of the Society”address and passed the presidential gavel to 2012 SPE President Ganesh Thakur(Chevron)・ 筆者のタルサ大留学時代の同窓生で PetrobrasのDr. Kazuioyoshi Minami(ブラジルへの移民の日系2世)が、ブラジルにおける多相流・人工採油法・大水深開発に係る技術開発、および石油工学教育に関する30年を超える貢献を認められ、Project, Facilities, and Construction Awardを受賞した(写10)。【11月2日(水)】<午前> ? Special Session:Environmental Considerations in Shale Play Development ? SPE President's Luncheon<午後> ? Sand Control, Fracture Monitoring ? Multiphase Flow, Completionシェール開発への環境面からの視点・ フラクチャリング流体の取り扱い については、大量の水(1坑井あたり3,000~10,000m3)の利用に対する配慮と、水確保に関する不安材料解消の両面から、水圧破砕後に地上に戻る水(フローバック)を処理して再利用することが主流になりつつある(図9)。・ フローバックを再利用するために 必要な水処理の主要なポイントは次の3点と考えられる。 ① 塩分濃度の低減 ② 浮遊固形分(TSS:Total Suspended Solid)の除去 ③ スケール生成物質(TDS:Total Dissolved Solid ほか)の除去  ①はさまざまな添加剤の作用を妨げる、地中における地化学的反応で固体が析出してガス流路を閉塞する恐れがあるためと推定される。②はガス流路の閉塞と関連するほか、摩擦低減剤の効果が弱まることを警戒するからだ。③は坑内や地層中でスケール*2が付着し、岩石の孔隙やガス流路の閉塞をもたらすからだ。③において処理すべきスケール生成物質には、フローバックに溶解している自然界の放射性物質(NORM:Naturally Occurring Radioactive Material)も含まれる。   フローバックに地下の放射性物質が溶解することは、シェールガス開発に特有の問題ではなく、溶解している放射性物質の強度もそのままならば健康に全く問題ないレベルだ。しかし、フローバックの再利用によってその濃度が上昇し、水に対する溶解度の限界を超えるとスケールとなって沈積し、ある程度の強度の放射線源となることが警戒される。・ 天然ガスの開発・生産活動は、浅 部の帯水層や地表の水源を汚染するリスクをはらむ。干ばつ時の掘削や水圧破砕用の水確保も容易ではない。規制や水質検査、米国環境保護局EPA、米国議会、産ガス州政府との連絡調整がリスク軽減に必要だ。それらをクリアした上でシェールからのガス生産が可能となる。682012.1 Vol.46 No.1エッセー?200台のトラックがフラクチャリング流体用の水を運ぶトラック上のポンプでフラクチャリング流体(水、砂、化学物質)をガス井に圧入ガス井から天然ガスを生産ガス井から回収された水は、地表のピットにためられ、水処理プラントへトラックで移送ガスの貯蔵タンク天然ガスはパイプラインで市場へピット帯水層ガス井0ft1,0002,0003,0007,000シェールからのガスが割れ目を通ってガス井へ流れる砂は人工的につくられた割れ目が閉じないように支える割れ目水、砂、化学物質の混相流割れ目Marcellusシェールガス井はシェール層に沿って水平に掘られるシェールはガス井へ圧入されたフラクチャリング流体によって段階的に破砕される出所:米国環境保護局EPA資料を基に作成図9水圧破砕におけるガスとフラクチャリング流体の動き ・ ペンシルベニア州のMarcellusシェールにおいては、「生産水とフローバックのリサイクル」は必須の作業になろうとしている。  そのきっかけは2011年4月半ばに州の環境保護局から出された通達「15の水処理プラントがMarcellusシェールにおける生産水とフローバックの処理を中止」だ。処理された水を河川に投棄することも中止された。ペンシルベニア州では、それまでフラクチャリング流体の3分の2がリサイクルされていた。シェールガス開発業者は、環境論者、政治家、地権者と開発の是非をめぐって係争の場に立たされている。Marcellusシェールでガス開発を行う業者の一つRange Resources社では、生産水とフローバックをほぼ100%リサイクルしている。4月半ばのペンシルベニア州環境保護局からの通達は、その方向性を強めるものだった。   ピッツバーグの水処理業者Kroff Oil Services社はフローバックの100%リサイクルの実践面と安全面を説いている。Range Resources社のフローバックのリサイクルは2009年8月に始まり、2010年には96%のリサイクルに成功した。フローバックのリサイクルと生産水の処理を行っていくうちに、新鮮な水がいつもフラクチャリング流体に必要でないことも分かってきた。地表に戻る。フラクチャリング流体用の水を運搬するトラック代もばかにならない。その意味でもリサイクルは水圧破砕のコスト減につながる。ガス井から回収された水は、地表のピットにためられる(図9)。坑井元の簡易的な水処理装置で水をある程度浄化し、再利用する技術も実用化されている(Halliburton社の水処理技術CleanWave)。トラックに搭載されたCleanWave装置はコロラド、ノースダコタ、ルイジアナ各州で稼働中だ。大気チェックも行っている。・ ペンシルベニア州の環境保護局は、 坑井位置、周辺自治体、ガスの生産、開発業者/オペレーターの情報を公開している(FracFocus.org)。・ フラクチャリング流体の水は、ガ スの本格生産開始前に10~30%が・ テキサス州では産出水の地下への 処分圧入コストが安いため、フラクチャリング流体の再利用は5%にとどまっている(テキサス大の調査)。しかし、同州のEagle Fordシェールの開発ブームは干ばつ地での水の69石油・天然ガスレビューPetroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011蝸ハ利用となるので、坑井元での水処理・再利用は、その必要性が高まるだろう。・ 多くの水圧破砕をより少ない水で行 う際の教訓としては、ある程度汚れた水を再利用する技術が大事だ(処理して飲料水に近い水をつくることではない)。カナダのHorn Riverシェールでは塩分濃度の高い帯水層からの水をフラクチャリング流体に活用している。フラクチャリング流体の質についての共通の基準(バリウム、硫酸塩の含有量)はまだない。・ フラクチャリング流体のリサイクリ ングの経済性は、ペンシルベニア州の水処理プラントがMarcellusシェールからの生産水とフローバックの受け入れ・処理を完全に終えた時、突然悪くなるだろう。坑排水の地下への圧入はペンシルベニア州では認められていないため、州外(オハイオ州)への長距離輸送が必要となる。圧入チャージは1.5~2ドル/バレル、輸送トラック代は100ドル/時が相場だ。・ 坑排水のピット貯留がかなわない 場合には、坑排水を坑井元で浄化することになる(Vapor Recompression)。Purestream Technology社のチャージは3.5~7.5ドル/バレルだそうだ。・ Marcellusシェールからの水の特徴 として、海水よりずっと塩分濃度が高く、ストロンチウムやラジウムを含む。1日100万ガロン(3,785m3)の水処理能力を持つプラントは400トンの廃棄物を出す。フローバック中のバリウム含有量は3~17g/?だ。バリウム、鉄分、ストロンチウム、硫酸塩、スケールの取り扱いが大事になる。カートリッジ型フィルターでは固形分の15~20%しか除去できない(テキサスA&M大Burnett教授)。坑排水の圧入と水の処理・浄化のコスト比較が必要だ。・ 開発業者はベストプラクティスを 求めつつ、石油サービス会社と協力して、開発作業を行っているところだが、情報公開の徹底、地元住民との対話がシェールガス開発作業の継続の前提となるだろう。SPE President's Luncheon・ Dr. Ganesh Thakur(写11)、2011 SPE President, Vice President at Chevron Energy Technology Company会員主体の協会としたい。ともに活動することが協会発展の道。技術課題として、回収率の向上(35→65%)、石油工学の教育と啓蒙を挙げたい。・ Mr. Alain Labastie, 2010 SPE President, Engineering Adviser of EOR Technologies at Total. ・ SPEの現状:会員数は10万人に近づく。安全基準の徹底(大水深開発、多段階の水圧破砕)。2007年に策定された資源量および埋蔵量に関する新基準“Petroleum Resources Management System 2007”(PRMS)が世界に浸透。 ・ SPE役員と名誉会員の紹介。顕著な活動を行ったSPE支部の表彰。サンドコントロール、フラクチャーのモニタリング・ 発表論文SPE 146231:大水深の砂 岩層を対象とした坑井では油層の減退に伴い、ケーシングやサンドスク出所: SPE写11Dr. Ganesh Thakur氏High pressure event occurred by communicationto the un-perforated sand layerFrac Pack PkrCasing damage by tensionUn-perforated sand layer just abovethe compacting reservoir sandPotential screen erosion due tohigh velocity ?ow/high drawdonExternal shear forcesinduced by reservoircompactionStronger screen basepipe resists shrinkageHigh shear stress atthe welded screens(Screen rapture)Highly depletedreservoir sandSump pkr8-1/16”出所:SPE146231図10キャップロック中の層序学的な異常がケーシングへの引っ張りとつながり、生じた損傷とサンドスクリーンに生じた大きな剪断応力(イメージ)702012.1 Vol.46 No.1エッセー梶[ンの損傷を報告。その損傷事例に対してジオメカニクス(岩石と土せん壌の力学:引っ張り、圧縮、剪断、曲げ)の見地から解析。キャップロック中の層序学的な異常がケーシングへの引っ張りとつながり、生じた損傷とサンドスクリーンに生じた大きな剪断応力(図10)を3次元の非線形有限要素モデルで再現し、損傷を避ける坑井仕上げのガイドラインを提案。ConocoPhillipsの古井氏と早稲田大学の森田教授の発表。・ 発表論文SPE 145949:Barnett、 Woodford、Marcellus、Eagle Ford各シェールエリアに施した数千の水圧破砕の事例に対して、10年間にわたるマイクロサイスミックと地層の傾きを測るチルトメーターにより水圧破砕で生じた割れ目の高さと近傍の帯水層の深度を計測した(実データ)。両者がつながっているという根拠は一つも発見されず(図11)。水圧破砕で生じる割れ目は横に広がっても高さには限界がある。1970年代に実施した鉱山での実験データや過去に確立されたフラクチャー理論、地質の堆積環境はそれをサポート。HalliburtonのFisherとWarpinskiの発表。多相流、坑井の仕上げ・ 発表論文SPE 146448:傾斜管内 の高粘性の油(0.2~1.1Pa・s)-水の二相流挙動に係る実験研究。油の見かけ速度0.1~1m/s、水の見かけ速度0.1~0.5m/s。コアアニュラーフロー(コア環状流)を中心とした流動様式が120点観察され、先に開発されたメカニスティックモデルと比較検証され、モデルの問題点(管断面に占める水の割合を大目に予測)も指摘できた。タルサ大の発表。 ・ 発表論文SPE 147225:Marcellusシェールからのガス生産が減退した際にプランジャーポンプを採用すると坑井の水平部分に残された液体分の回収が可能となる。Range Resources社の発表。・ 発表論文SPE 146489:カナダの Horn River(図12)シェールガスの開発では、マルチラテラル井の水圧破砕の段数が急増するに伴い、用いる多量の水の確保が課題。(飲料水には用いないサワーで塩分濃度の高い)帯水層のDebolt層に水井戸を掘り、ESPにて効率的に多量の水(水平部分1本あたり8,500m3)を確保できる目処が付いた。EnCanaの発表。【11月3日(木)】フィールドトリップ・ デンバー近郊のWattenbergガス田 の貯留層の露頭見学は天候不良により前日の11月2日午後に中止が決定。・ Greenhorn石灰岩層、Muddy(J)砂 岩、Codell砂岩、そして、シェールオイルで注目されるNiobrara頁岩ほ(図13)を見学する予定であった。かフィールドトリップが中止となったMarcellus Mapped Frac TreatmentsDeepest aquiferFracFrac Stages(Sorted on Perf Midpoint)Eagle Ford Mapped Fracture Treatments151101151201251301Frac Stages(Sorted on Perf Midpoint)Deepest aquiferFrac01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,000Depth(ft)02,0004,0006,0008,00010,00012,00014,000Depth(ft)Barnett Mapped Frac TreatmentsDeepest aquiferFracFrac Stages(Sorted on Perf Midpoint)Woodford Mapped Frac TreatmentsDeepest aquiferFracFrac Stages(Sorted on Perf Midpoint)01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,00010,00011,000Depth(ft)02,0004,0006,0008,00010,00012,00014,000Depth(ft)出所:SPE14594971石油・天然ガスレビュー図11水圧破砕で生じた割れ目の高さと近傍の帯水層の深度(実データ)Petroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011スめ、代わりにそのガイド冊子を入手。・ ガイド冊子「デンバーの北側の Julesburg堆積盆地の非在来型石油システム」:コロラド鉱山大のStephen A. Sonnenberg教授著 ・ 米国が非在来型の開発に向かった背景の説明には説得力あり:在来型探鉱が難。失敗井コストが控除対象に。石油会社の株の69.5%は機関投資家が握る(業界1.5%、個人投資家29%)。機関投資家は石油会社に成長ポテンシャル、リスク低減、高収益を求める。機関投資家のアセットマネージャーはM&Aの対象となる会社を探す(収益性の悪い会社はすぐに売ろうとする)。油価の変動は大きい(1990年代終わり10ドル/バレル、2008年7月140ドル/バレル)ので、石油会社は探鉱からリスクの少ない採掘に移行(探鉱井の減少)。貯留岩貯留岩貯留岩PIERRE SHALE深度(ft)SUSSEX (TERRY) SSPIERRE SHALESHANNON (HYGIENE) SSPIERRE SHALESHARON SPRINGS MEMBERSHARON SPRINGS MEMBERNIOBRARA“A”4,3004,8006,800貯留岩NIOBRARA“B”NIOBRARANIOBRARA成熟した石油根源岩をターゲットにした非在来型資源開発へのシフト(面的のみならず深度方向の広がり・連続性を重視)。坑井寿命の長さ(30年)や生産減退率の低さを重視し、いわゆる石油開発の「機械工場化」が求められている。開発井の成功確率が100%に達しつつある非在来型資源開発も登場。・ 米国の地質調査所USGSは、非在来 型石油システムを探すのに有益な評価スタディを過去に実施している(図14)。石油システムでは根源岩(有機物の熟成度)、シール、有機物から生成した炭化水素の移動経路、貯留岩、貯留のタイミングについて、明らかにした。HORNRIVERFortNelsonCalgary01,000km出所:SPE146489NIOBRARA“C”FT HAYS LIMESTONECODELL SANDCARLILE SHALEBRIDGE CREEK LSHARTLAND SHALELINCOLN LSGRANEROS SHALED SANDJ2 SANDJ3 SANDSKULL CREEK SHALESKULL CREEK SHALEDAKOTA SAND貯留岩根源岩根源岩出所:Clayton, Swetland 1980年図12カナダのHorn Riverの位置図13デンバーの北側のJulesburg堆積盆地の地質層序7,100まとめGREENHORN LSGREENHORN LS7,6007,800・ 現在埋蔵量の大半(70%弱)が産油 国のNOCに握られている環境下では、IOCや独立系石油会社(インデペンデント)は、新規油田開発よりも既発見油田からの生産促進に軸足を置かざるを得ず、投資機会は縮小していると考える。・ 縮小する投資機会に対応した開発 技術のトレンドを整理するには、石連続性のある炭化水素集積在来型の炭化水素集積石油システム炭化水素貯留岩の境界地 表貯留岩トラップ(油田)石油システムトラップ断層原油・ウエットガスの生成ゾーンドライガス(メタン主体)の生成ゾーン移動出所:Magoon, Dow 1994年を修正根源岩根源岩基 盤基 盤原油・ウエットガスの生成上限ドライガスの生成上限ft8,0004,00000  100  200  300Miles図14非在来型石油システムのイメージ722012.1 Vol.46 No.1エッセー精ソ格変動下における石油開発技術の適用と、それを担う人材確保の行方という観点から物事を分析する必要がある。今回のSPE年次総会からの情報を基に技術トレンドを考えてみた。 ・ SPE年次総会は、言うまでもなく、石油工学者(Petroleum Engineers)にとって1年で最大の展示を備えた学会で、学術的にも最も権威があると言われている。今回も米国の大学を中心に、多くの大学院生が発表をちょうで論理構行っていたが、英語も流暢成もしっかりしており、業界の技術者の裾野の広がりは世界的に維持できていると感じた。アジアからの貢献としては、米国留学中の中国人やインド人の学術発表数が多く、彼らが石油工学の発展に寄与しているのは、もはや常識である。日本人も早稲田大学を卒業した若い人が、そのまま当地の大学院に進学し石油工学を勉強し、米国企業へ就職、あるいは就職を目指している姿が見られる。・ SPE年次総会の一環として10月31 日夕に開催されたタルサ大の石油工学科の同窓会に出席し、旧友や恩師と親交を深めた。高油価に伴う、石油・天然ガス上流の仕事量や大学での石油工学専攻学生数の増加は明らかであり、晴れやかな表情での歓談の輪が広がった。・ 展示場では例年どおりSchlumberger、 Halliburton、BJ Services、Baker Hughes、Weatherfordといったソフト・ハードをコンサルティング(専門家)とともにオペレーターに提供できる大手の石油開発サービス会社がスペースも多くとり、観衆を集めていた。ここ数年の傾向だが、製品のカタログを渡すというよりも、大型スクリーンでのPC画面やDVDの上映が目に付く。油層シミュレーションモデルの紹介では、油層全体が3次元にまた時間経過とともに、油層飽和率の変化が視覚的に適切に捉えられるインターフェイスがパソコン画面上で実現できるのは、6年程前から一般的な技術になっている。2004年来、高油価が継続し、油田操業により多くのお金がかけられ、リモートモニタリング技術や動く3次元油層モデルを使って、生産量増加のための坑井の追掘や改修といった油層管理の意思決定時間の短縮が図られている。   もちろん、油田の現場をよく知り、データをよく見極める目を持った専門家の存在が、その前提としてあるが、大手サービス会社の油田操業現場への技術提供がかなり細部にまで進んでいる。極論すれば、油田操業会社の技術者はサービス会社の提供する技術のよし悪しを判断・管理する役回りになっているように感じられた(詳しい技術の中身の理解はあまり要求されない)。 ・ 現在埋蔵量の大半(70%弱)が産油国のNOCに握られている環境下では、IOCや独立系石油会社は、新規油田開発よりも既発見油田からの回収率向上や生産効率向上を目指した技術(インテリジェントウェル;IW、EOR/IOR、水平坑井、多段階の水圧破砕)の適用や非在来型資源(タイトオイル、シェールガス)の開発に軸足を移している。一般に油価<参考資料>SPE-ATCE2011 Conference ProgramSPE-ATCE2011 Proceedings (CD)73石油・天然ガスレビューPetroleum Engineerの取り組む技術トレンド2011フ高騰下では、技術改良・技術開発が進む。油価の長期的な動きを十分意識しつつ、開発資材コストの高騰と、改良・開発された技術の適用の度合いが、当面の可採埋蔵量の積み増しをコントロールすることになる。・ また、展示場では、Saudi Aramco が2005年来、人材リクルートのコーナーを大きく設けている(いい人材が展示場にはあふれている?)。確認埋蔵量2,600億バレル・日産900万バレルを誇る世界最大の原油供給者Saudi Aramco。一方、BPブースはマコンド坑井の暴噴・油流出事故の影響を引きずっているのか、展示会場の端にあった。よきイメージは失うのは簡単だが、回復するには時間がかかりそうだ。 ・ 年次総会では、例年3日目にSPE会長主催の昼食会が催される。石油・天然ガスの掘削、油層管理、生産に関する技術はメジャーのみならず、可採埋蔵量の65~70%を支配する産油国の国営石油会社、インド、中国ほかへと、全世界的な広がりを見せている。SPE会長の挨拶も、石油開発技術のグローバル化を強く意識し、環境対策を取りつつ、可採埋蔵量の積み増しを着実に進め、石油需要の伸びにも応える供給努力を続け、世の中からよいイメージをもたれるようにしたいとのメッセージであった。・ SPEのみならず、AAPG(地質)、 SEG(物探)などの技術会議に出て、最新動向を肌で感じ、かつ、発表を行うことは大変貴重な経験であり、JOGMECの(特に技術部に属する)若手技術者の認知・技術レベルの底上げには欠かせないと考える。世界における石油・上流産業におけるJOGMECの認知向上および組織発展のためにも、30歳代までの若手技術者は特に積極的に参加・発表を行い、自らの技術レベルを磨いてほしい。・ 来年の年次総会は、米国テキサス 州のサンアントニオで2012年10月8~10日の日程で開催予定。テーマはunconventional wisdomで、引き続きタイトオイルやシェールガスといった非在来型の油ガス田の開発技術の進展に焦点が当たるようだ。<注・解説>*1 : 1ギガトンは10億トン*2 : スケール:溶解限度を超えて析出した固形物。水中に存在する化合物のうち、ある種のものは、水に対する溶解度が有限であり、その濃度が溶解度を超えるとスケール(またはスラッジ)を生成する。スケールが生成されると、管路においては管路抵抗の増大、ヒーターや熱交換器では熱効率の低下をきたし、更に進めば、管路が閉塞される。スケール対策は、各種設備の効率と安全性を維持する上で、重要な役割を担う。執筆者紹介伊原 賢(いはら まさる)1983年、東京大学工学部資源開発工学科卒業。1991年、タルサ大(米国オクラホマ州)大学院石油工学修士課程修了。1994年、東京大学博士号(工学)取得。石油学会奨励賞受賞。1983年、石油公団(当時)入団。技術部、石油開発技術センター、アラブ首長国連邦(UAE)ザクム油田操業、生産技術研究室長、天然ガス有効利用研究プロジェクトチームリーダー、JOGMECヒューストン事務所長ほかの勤務を経て、2008年7月より石油・天然ガスの上流技術の調査・分析業務に従事。専門は石油工学とC1化学。主な著書:「石油・天然ガス資源の未来を拓く」石油技術協会(共著)2004年11月「石油資源の行方」コロナ社(共著)2009年4月「天然ガスパイプラインのすすめ」日本工業出版(共著)2011年3月「シェールガス争奪戦」日刊工業新聞社 2011年9月月刊科学雑誌「Newton」大特集 電力とエネルギー(協力)2012年1月趣味はへぼゴルフ、ホットヨガ、グルメ(和食中心)、アニメ、デザイン。故郷の博多に加え、現在横浜の住環境も堪能中。742012.1 Vol.46 No.1エッセー
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2012/01/20 [ 2012年01月号 ] 伊原 賢
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