ページ番号1006461 更新日 平成30年2月16日

Oil & Gas国内現場での四方山話 ~第3回 国際石油開発帝石株式会社:直江津LNG受入基地の概要~

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レポートID 1006461
作成日 2012-03-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 技術探鉱開発
著者
著者直接入力 赤坂 雅章
年度 2012
Vol 46
No 2
ページ数
抽出データ 国際石油開発帝石株式会社 LNG受入基地建設本部直江津LNG受入基地建設事業所長赤坂 雅章Oil & Gas国内現場での四方山話~第3回 国際石油開発帝石株式会社:直江津LNG受入  基地の概要~ 本連載企画の第1回歴史ある中条油業所の活動、第2回国内最大級の勇払油・ガス田の開発に続き、今回は現在建設中の直江津LNG受入基地を紹介します。3回にわたりご紹介したそれぞれの現場が関わる事業の内容・状況は三者三様ですが、共通しているのは地元地域との共存を図り、エネルギー資源確保に向けての弛まぬ努力を払う姿勢です。こうした操業・建設に携わる人々の思いが少しでも読者の方々に伝わっていればと思う次第です。 今回の連載は本号をもって終了となります。本企画にご協力いただいた執筆者をはじめとする関係者の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。はじめに 2014年の操業開始を目指し、現在、新潟県上越市に建設中の直江津LNG受入基地は、国際石油開発帝石株式会社が初めて保有・運営するLNG受入基地となります。ここでは、弊社における本基地の位置付けと、その概要を紹介するとともに、建設途上ではありますが、基地の計画上配慮した事項、建設上の節目となる幾つかの工事イベント、地域との関わり等を紹介させて北カスピ海沖鉱区(カシャガン油田等)ACG油田ADAMA鉱区サハリン Ⅰ南長岡ガス田南ナトゥナ海 B鉱区マハカム沖鉱区/アタカ・ユニットセブク鉱区(ルビーガス田)ベラウ鉱区(タングー・ユニット)マセラ鉱区(アバディガス田)ジョスリン・オイルサンドプロジェクトShip Shoal 72鉱区Main Pass 118鉱区West Cameron 401/402鉱区ルイジアナ州・リース鉱区コパ・マコヤ鉱区グアリコ オリエンタル鉱区エル・オアールⅠ/Ⅱ鉱区オハネット鉱区コンゴ民主共和国沖合鉱区WA-35-L鉱区(ヴァンゴッホ油田)WA-43-L鉱区(ラベンスワース油田)JPDA03-12鉱区(バユ・ウンダン油ガス田)JPDA06-105鉱区(キタン油田)北カンポス沖フラージ鉱区WA-37-R鉱区(イクシス・ガスコンデンセート田)生産中開発中開発準備作業中(既発見)開発検討中(既発見)出所:国際石油開発帝石株式会社 IR資料図1 プロジェクト一覧図77石油・天然ガスレビュー エッセー「ただきます。1. 弊社の概要と主要な開発プロジェクト・事業 弊社は、2008(平成20)年10月に国際石油開発(株)と帝国石油(株)との経営統合により誕生し、以来、約3年強、順調に成長を続けて、現在、世界26カ国に事業展開しており、わが国最大の原油生産量および埋蔵量規模を有する石油開発会社です。2011年3月末時点で推進するプロジェクトは71を数え、世界の主要な産油・産ガス地域をほぼカバーしています。また、日本における最大のエネルギー開発企業として、わが国へのエネルギーの安定供給を使命とし、それと併せて、総合エネルギー企業として豊かな社会づくりに貢献することを経営理念としています。 長期成長目標としては、次の2点が挙げられます。・石油・天然ガスの開発事業をより持続的に拡大し、2010年代末頃に日量80万~100万バレル(原油換算)程度の生産量を有するメジャーに準ずるグローバル企業を目指す。・内外における石油・天然ガスの開発をコア事業としつつ、ガスサプライチェーンの上流から下流までの確立を図るとともに、非在来型炭化水素資源や新エネルギー開発などの新事業にも積極的に取り組み、多様なエネルギーを開発し供給する企業へ成長していくことを目指す。 次に、弊社がオペレーターとして操業を目指し、現在、開発中の海外の2大プロジェクトを紹介します。 まず、イクシス・プロジェクトについて。西オーストラリア沖合の鉱区で発見されたガスを、北部準州の都市ダーウィンに液化プラントを建設し、 LNG生産量250万トン/年(第1次開発)アバディLNGアバディLNGプロジェクトプロジェクト(インドネシア)(インドネシア)ジャカルタ事務所ジャカルタ事務所イクシスLNGイクシスLNGプロジェクトプロジェクト(オーストラリア)(オーストラリア)ダーウィン事務所ダーウィン事務所LNG生産量840万トン/年パース事務所パース事務所LNGプラント建設イメージ図出所:国際石油開発帝石株式会社 アニュアルレポートFLNGイメージ図図2 イクシス・アバディ プロジェクト概要直江津LNG受入基地関原ガス田(地下貯蔵)新青梅ライン南長岡ガス田東京ライン新東京ライン松本ライン甲府ライン入間ライン静岡ライン両毛ライン第二駿河幹線清水LNG袖師基地南富士幹線出所:国際石油開発帝石株式会社図3 国内パイプラインネットワークLNGとして年間840万トンを生産・輸出するもので、2016年第4四半期の出荷開始を目標に、本年(2012年)1月、最終投資決定を行い、海上および 陸 上 のEPC(Engineering、Procurement、Construction)作業に着手しました。 もう一つが、アバディ・プロジェクトです。インドネシア領アラフラ海の鉱区で発見されたガスをFLNG*1と言われる洋上の液化設備を設置し、当初計画として年間250万トンのLNGを782012.3 Vol.46 No.2エッセーカ産・輸出しようとするものです。この二つのプロジェクトを足し合わせますと、現在の日本のLNG輸入量の15%以上を供給することが可能な規模に相当します。 一方、国内事業としては、これまでも天然ガス事業として上流から下流まで完結した流れを保有していました。上流側では、主として陸上のガス田を探鉱し発見したガスを生産プラントで処理した後、長距離の高圧天然ガスパイプラインネットワークを通じて沿線の都市ガス事業者や工業用需要家の皆様に販売しています。2010年度の販売量は約17億2,000万m3で、LNGに換算しますと約120万トンになります。 ガス田としては、1984(昭和59)年から生産を開始している新潟県長岡市の南長岡ガス田が現在の主たる供給源であり、そこで生産される天然ガス開発・生産液化輸送・気化ガス供給(アバディプロジェクト生産テスト)(ボンタンLNGプラント)(ダーウィンLNG出荷バース)(直江津LNG受入基地)(静岡ライン)■海外で発見した油・ガス田の早期商業化■引き続き積極的な海外探鉱・開発活動を推進■大規模LNGプロジェクト(イクシス、アバディ)の着実な推進■国内天然ガス事業の拡大に繋がる新たなガス調達に道を開く自社LNG受入基地の建設■国産天然ガスと海外LNGの最適活用■国内パイプラインネットワークとの有機的結合出所:国際石油開発帝石株式会社図4 ガスサプライチェーン2007年2008年2009年2010年マイルストーン▼プロジェクト公表(8月9日)▼プロジェクト公表(8月9日)(9月10日)▼確認書(新潟県・上越市・当社)(9月10日)▼確認書(新潟県・上越市・当社)▼工事正式着工▼工事正式着工 (7月8日) (7月8日)用地造成と取得浚渫調査・設計埋め立て工事港湾計画の一部変更航行安全委員会海上防災対策委員会審議会環境影響評価報告書準備書評価書第1期土地取得(18ha)▼第1期土地取得(18ha)▼第2期土地取得(7ha)▼第2期土地取得(7ha)▼公共工事建設残土公共工事建設残土港内浚渫土港内浚渫土港内浚渫土港内浚渫土地方港湾審議会(5月)▼地方港湾審議会(5月)▼▼交通政策審議会港湾分科会(7月)▼交通政策審議会港湾分科会(7月)現地調査(4季)現地調査(4季)▼方法書公告・縦覧開始▼方法書公告・縦覧開始▼準備書公告・縦覧開始▼準備書公告・縦覧開始▼評価書公告・縦覧開始▼評価書公告・縦覧開始出所:国際石油開発帝石株式会社図5 計画公表から着工までのスケジュール79石油・天然ガスレビューを関東甲信越一円に広がる総延長約1,400kmのわが国最大のパイプラインネットワークにより、1都7県の需要家の皆様に供給しています。2. 直江津LNG受入基地の位置付け…ガスサプライチェーン 図4は、天然ガスの開発・生産、液化、輸送、気化、ガス供給という、天然ガス生産の坑井から需要家の皆様のガス受け入れ口に至るまでの全工程を示したもので、総称してガスサプライチェーンと呼んでいます。 今回、弊社パイプラインネットワークの北側の要衝に位置する直江津LNG受入基地が完成することで、これまで独自に行われてきた海外のLNG開発事業と、国内の幹線ガスパイプラインネットワークを結び付け、海外で生産した自らのLNGと、自らの国内ガス事業インフラとを一貫した形で繋げるガスサプライチェーンが実現します。これによって国内天然ガス事業の持続的な成長が図れるだけでなく、海外天然ガス田の開発事業として、上流から下流までを包括したリスク対応力の高い天然ガス事業モデルが実現することとなります。 単一の企業がサプライチェーン全体を運営・管理することは世界的にも大なことであり、日本のエネル変に稀ギー供給の安定化にも寄与できるものと考えております。まれつな3. LNG受入基地の着工までの準備 図5に基地着工に必要な一連の行政対応として、用地取得関連、港湾計画の一部変更、環境影響評価といったプロジェクトの実施の前提条件となる各項目をプロジェクトのマイルストーン(里程標)と併せて示します。Oil & Gas国内現場での四方山話 ~ 第3回 国際石油開発帝石株式会社 : 直江津LNG受入基地の概要 ~. 直江津LNG受入基地の概要 直江津LNG受入基地は、新潟県上越市の直江津港内で、先行する中部電力(株)上越火力発電所の西側の埋め立て地に位置し、約25ha(南北660m×東西380m)の敷地面積を有しています。基地の場所と基地内の配置計画イメージを写1、写2に示します。 当初の計画として、基地内には、国内最大級の地上式PC-LNGタンク*2(18万k?)×2基を建設し、海水を熱源とするORV(オープラック式気化器)と、予備機として製造ガスを燃焼して気化熱源とするSMV(サブマージド式気化器)により、750万Nm3/日(240t/h)のガス製造能力を持つことになります。その他の主要設備の諸元を表に記します。表に記載のほか、将来の各種設備増設を考慮し、基地内に設備増設用地を確保しています。 また、本基地は、主に、LNGタンク(機械)、LNGタンク(土木)、プラント設備、桟橋設備の4区分、並びに、基地とパイプラインネットワークを結ぶ接続パイプライン工事をそれぞれに発注しており、工事区分ごとのし危険物取り扱い用の1バースを追加する、という港湾計画の一部変更を行うとともに、17万m3級LNG船の航行安全を確認するため、航行安全委員会並びに海上防災対策委員会が開催されました。 また、環境影響評価については、新潟県環境影響評価条例に従って実施されました。特に、LNG気化器で使用した後の冷却された海水の排水温度の影響については、模型実験により軽微であることが確認されています。つ渫せ 2007年8月の本プロジェクト実施公表後、工事着工までの諸手続きに約1年半を要しました。当初建設用地は、新潟県が公共工事等の建設残土により埋め立てを進めていましたが、2008しゅん土で埋め~2009年に直江津港の浚立てが促進され、最終的に2010年3月に用地全体を取得しました。 当該埋め立て地は港湾計画上は公共埠頭用地であったため、弊社埋め立て地を公共埠頭用地から危険物取り扱い施設用地へと、またバースについても公共埠頭3バースから2バースに変更直江津港建設地中部電力(株)上越火力発電所1.9m1.9m放水口護岸放水口模型サーミスター水温計実験水槽測定用架台取水管排水出所:国際石油開発帝石株式会社図6 実際の海域の1/50スケールでの冷排水拡散状況の模型実験出所:国土交通省 北陸地方整備局 新潟港湾・空港整備事務所出所:国際石油開発帝石株式会社写1 直江津港内位置図写2 直江津基地 鳥瞰図(3D)802012.3 Vol.46 No.2エッセーH程表を図7に示しました。 総事業費は、土地取得も含めて約1,000億円、2013年夏季の第1船入船、2014年からの操業開始に向けて、現在、建設工事の最中です。5.基地の特徴・配慮事項 国内の既存のLNG受入基地は、関東・東海・近畿といった太平洋沿岸や瀬戸内海沿いに位置するものが大半でした。これらの比較的、穏やかな気象エリアに立地する基地に比べ、新潟県の日本海沿岸地域の特徴として、特に冬季に、強風・降雪の厳しい気象条件が挙げられます。具体的には、気象庁の過去30年(1981~2010年)の平年値データとして、降雪については、厳冬期(12月~2月)の3カ月間の平均降雪量:537cm、最大積雪量:121cmにもなり、強風については、10m/s以上の強風発生日が、12月:4.9日/1月:5.9日/2月:4.2日と関東・東海の沿岸地区に比べても倍程度の条件に相当します(市内の最寄り観測点である高田<降雪>/大潟<風>のデータ)。 建設段階においても、冬季は強風、降雪のため労働安全衛生法の基準に照らしてクレーン作業、足場作業等がほぼ不可能となるため、屋外作業はかなり制限されます。そのため、それを見越して工事工程を計画しています。そのほかにも、厳しい環境を配慮した設備仕様や、耐震設計上の配慮事項等、本基地の特徴を以下に紹介します。5.1 冬季対策 冬場の降雪・強風などの気象に対して、次のような対策を取っています。1) LNG受け入れアームへの油圧式クイックカプラの採用 船と陸上受け入れアームの接続方法については、石油等の常温流体では、クイックカプラ等が使用される場合が81石油・天然ガスレビュー表直江津LNG受入基地の主要設備諸元設備区分LNG貯蔵設備 LPG貯蔵設備 BOG処理設備LNG払い出し設備LNGガス化設備熱量調整設備計画仕様180,000k? 地上式PC貯槽 × 2基(将来: +1基増設)1,100t 球形貯槽 × 2基低温LPG地上式貯槽 × 1基高圧BOG圧縮機(レシプロ) 8t/h × 2基低圧BOG圧縮機(レシプロ) 8t/h × 1基BOG再液化装置 8t/h ×1式 プライマリーポンプ 120t/h × 260m ×6基セカンダリーポンプ 85t/h ×2,160m ×4基 40t/h ×2,160m ×2基オープンラック式気化器 80t/h × 3基サブマージド式気化器 130t/h × 1基液・ガス式熱量調整設備 400t/h出所:国際石油開発帝石株式会社2009年地盤改良・杭・基礎版地盤改良・杭・基礎版2010年基礎版・防液堤基礎版・防液堤2011年防液堤防液堤2012年2013年防液堤開口部閉鎖 側部冷熱抵抗緩和材防液堤開口部閉鎖側部冷熱抵抗緩和材底版・屋根底版・屋根屋根・屋根浮上屋根・屋根浮上側部側部耐圧気密試験エアパージ耐圧気密試験エアパージ杭・基礎杭・基礎配管架構・機器据え付け配管架構・機器据え付け配管・保冷・電気・計装・テスト・試運転配管・保冷・電気・計装・テスト・試運転取放水・桟橋取放水・桟橋桟橋桟橋タンク土木タンク機械プラント整備桟 橋接続パイプライン材料手配・現地工事材料手配・現地工事※冬期間(11月~3月間で3.5カ月程度)は荒天で屋外クレーン作業不能を見込む出所:国際石油開発帝石株式会社図7 発注区分ごとの大工程表出所:直江津LNG受入基地 建設記録(工場立会試験)写3 油圧式クイックカプラOil & Gas国内現場での四方山話 ~ 第3回 国際石油開発帝石株式会社 : 直江津LNG受入基地の概要 ~Cく 同様に、屋外のグレーチング等の塗む装を行わない鋼製の無材についてはメッキ処理を施しますが、一般の亜鉛メッキに比べて、耐久性の高いアルミメッキを採用しました。み板をグレーチングにした鋼製階段のみとしました。また、同様の理由で架構類のステージ・作業床については、スリップ等による転倒防止の意図からま鋼板等の鋼板製の床を用いず、グ縞しレーチング床としました。5.2 塩害対策 「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会)等によれば、北海道から北陸にかけての日本海沿岸は、強風のために塩害影響度の高い範囲が海岸から100mと示されています(その他の地域では、海岸から20m)。 プラント設備は、ほとんどの機器・構造物が鋼製であるため、塩害対策は基地計画において、極めて重要な課題でした。1) 重防食塗装等 防食対策として、屋外設置の設備・構造物については、ポリシロキサンエポキシ系の重防食塗装を実施します。国内では、重防食塗装としてフッ素樹脂系の塗料の採用例が多いのですが、ポリシロキサンエポキシ系の塗料は、海外メジャー等での採用例が多く、弊社でも洋上生産設備や、直江津港内の原油貯蔵設備(弊社の関連会社)での使用実績があり、その性能が実証されているものです。2) 重機によるメンテナンス対応 各種の回転機や熱交換器は、定期的に開放点検を行う必要があり、一般的には、開放作業を容易に行うため、機器ごとに、専用のつり架構やクレーンを具備する場合があります。しかし、本基地では、塩害等での腐食懸念がある設備・構造物を最小化するものとして、開放点検用の屋外構造物・常設機械は極力設けずに、移動式クレーン等により開放を行うこととし、そのためのメンテナンススペース、レイアウトに配慮しました。5.3 その他 (地盤改良、緑化計画)1) 地盤改良 既述のとおり、本基地の敷地は、ごく最近に造成された埋め立て地です。そのため、取得した時点の地盤状態は、必ずしも建設用地として良好なものでなく、地盤沈下や地震時の液状化が心配される状況でした。そのため、主な設備区画については、SCP(Sand Compaction Pile)工法による地盤改良を行いました。これは、埋め立て地盤ありますが、極低温流体であるLNGは国内では一般的にボルトによるフランジ接続が採用されてきました。大口径のアームの場合、このフランジ接続作業は操作員に大きな負担がかかっており、特に、冬季の強風・降雪といった荒天下での作業は、安全上も懸念されるものでした。 本基地では16インチのアームが4本設置されますが、アームメーカーにより新規に商品化された油圧式クイックカプラ(写3)を採用することで、桟橋上での屋外作業の軽減化を図りました。なお、このタイプのものは、隣接する中部電力(株)上越火力発電所でも採用されており、本基地は、それに次ぐ国内2例目となります。2) 主要機器の屋内設置 冬季の降雪状況と後述の塩害・腐食対策の一環として、太平洋岸の基地では、屋外設置とされている用役系の水ポンプ、海水ポンプ類についても、本基地では、屋内設置として冬場でも点検等が可能な状況にしました。3) 通路・ステージの降雪対策 既述の南長岡ガス田のプラントでも同様ですが、積雪時に屋外での通路の通行性等を確保するため、各種の屋外階段は、コンクリート製を排除し、踏出所:直江津LNG受入基地 建設記録写4 地盤改良工事状況822012.3 Vol.46 No.2エッセー舶ェに、砂杭を打ち込んで、地盤の圧密化を図るもので、約2mピッチで計3万4,000本の砂杭を打設しました。2) 植栽計画 工場立地法で緑化面積が規定されており、本基地の場合、約6haの緑地が必要となります。しかし、強風・海水飛沫による塩分の影響を受ける環境は、植物の生育にとっても厳しい条件です。そこで、北陸地域の海岸部植生調査等を踏まえ、十分な緑を確保できるよう、最近、各種メディアでも取り上げられている”宮脇方式”による植栽計画を進めています。”宮脇方式”とは、出所:「直江津LNG受入基地パンフレット」図8 直江津基地 緑化イメージ出所:直江津LNG受入基地 建設記録写5 基地近傍での種子の採取出所:直江津LNG受入基地 建設記録写6 育苗ハウスと基地内の試験植樹83石油・天然ガスレビューOil & Gas国内現場での四方山話 ~ 第3回 国際石油開発帝石株式会社 : 直江津LNG受入基地の概要 ~嵭ホ広葉樹の環境保全林をつくるために、ポット内に生育させた多種類の地元の自然種の小さな苗木を高密度に植栽する方法のことです。 工事と並行して、クロマツをはじめとする高木類に、ハマナス、ハマゴウといった低木類、ハマヒルガオなどの地被類の種子を、上越市の沿岸地域で採取し、基地の近傍に仮設ハウスを造って約3年かけて苗を育てます。地元で得た種子から育成することで、強い緑を得られることが期待できます。併せて、基地敷地内の一角に、土壌条件を変えた数パターンでの試験植樹を行って生育状況を確認しており、その結果から、最終的な樹種選定をする予定です。育成の効率・歩留まりを考慮し、現在100万本以上を育苗中であり、2013年10月までに、高・低木、地被類を合計で60万本敷地内に植栽し、豊かな森づくりを目指しています。6.工事概要 建設工事の大工程は、既出の図7のとおりですが、本工事では、工事記録として定期的に、建設現場の空撮を行っています。ここでは、それらを抜粋して現在(2011年12月)に至るまでの現地の工事状況の変遷を紹介します。6.1 工事進捗 写7は、着工以降、まず土木工事としてLNGタンクの地盤に鋼管杭の打設を終え、1基目のタンクの上に基礎版コンクリートを施工し始めた頃のものです。写真右下にあるのが弊社および施工メーカーの現地仮設事務所です。次に写8は、LNGタンクの機械工事が始まり、LNGタンク土木工事で進める防液堤の施工と並行して、防液堤底部でタンクの鋼製屋根を製作していた頃の様子です。 写9に至りますと、プラント設備の出所:直江津LNG受入基地 建設記録写72009年10月工事状況出所:直江津LNG受入基地 建設記録写82010年11月工事状況出所:直江津LNG受入基地 建設記録写92011年5月工事状況842012.3 Vol.46 No.2エッセー末ア管理棟事務管理棟中央制御棟中央制御棟非常用GT非常用GT発電機室発電機室保全棟保全棟センターラックセンターラック温水ボイラー室温水ボイラー室BOG圧縮機室BOG圧縮機室ポンプピットポンプピットORVORVSMVSMV放水路放水路放水ピット放水ピット熱調設備室熱調設備室ユーティリティーユーティリティー設備室設備室取水ピット取水ピットLNGタンクLNGタンク球形LPGタンク球形LPGタンクタンクAタンクBタンクAタンクBタンクBタンクBタンクAタンクA低温LPGタンク低温LPGタンク取水路取水路桟橋(外航WP)桟橋(外航WP)配管橋配管橋2011年11月01日 基地西側上空より撮影2011年11月01日 基地西側上空より撮影出所:「直江津LNG受入基地パンフレット」写102011年11月工事状況工事も始まり、LNGを気化する熱源となる海水取放水路の工事、LPG球形タンクの基礎工事、各種設備を結ぶ配管等が載るラック類、並びに各種設備建屋の建築工事等が始まっています。写真では見えにくいのですが、桟橋設備用の海中の鋼管杭も一部施工が進んでいます。 最後の写10が最新の状況で、詳細は後述しますがLNGタンクの防液堤底部で製作していた鋼製屋根が、正規の位置に据え付けられ、その内部では、断熱施工や、鋼板の溶接などのLNG機械工事が進んでいる最中です。 また、プラント設備としては、LPG球形タンクの本体組み立てが完了し、その他の設備エリアでも主要機器を設置するための土木工事や、中央制御室となる建屋類の建築が敷地内の各所で並行して進んでいます。桟橋ではLNG船の係留・受け入れ設備を設置するためのコンクリート床板が完成したところです。6.2  HSE(Health・Safety・Environment)活動 弊社はHSE活動を最重要課題としてトップマネジメントがその責任者となり、安全・衛生・環境におけるマネジメントシステム(HSEMS)を構築し、安全確保に取り組んでいます。当建設工事では、日常の安全パトロールはもちろんのこと、KY(危険予知)活動、作業別ミーティングに加え、弊社スタッフと請負業者の監督クラスの方々と合同で、外部の講師を招いた「リスクマネージメントセミナー」、AEDを用いた「救急救命講習」等を受講し、発注者・請負者一体でのHSEのレベルアップを図ってきました。 着工後の1年間は、LNGタンク土木工事業者だけで、100名前後の作業員で進められる工事でしたが、現在では、基地内の工事全体で600~700名程度が作業に従事しています。かつ、LNG基地と既存のパイプラインネットワークとを繋ぐ接続パイプライン工事も当事業所で管理しているため、そちらでも100名程度が作業をしております(着工から2011年8月までの工事の総労働時間は、弊社も合わせると延べ約150万時間になります)。更に、2012年には、機器の据え付けや、配管工事が本格化することもあり、1,000名以上になるものと見込まれており、今後も安全作業を第一優先として工事を進めていきます。7.工事イベント これまでの工事のなかで、大規模構造物であるLNGタンクならではの工事が幾つかあり、以下に紹介させていただきます。① LNGタンク基礎版のコンクリート打設(2010年4月/5月) 1基あたり18万k?ものLNGを貯蔵するLNGタンクは、巨大土木構造物であり、基礎版と呼ばれる円盤状の底面部分のコンクリートだけでも約8,000m3あります。この基礎版を一昼夜かけてコンクリート打設するため、周辺のコンクリートプラントを占有することになり、休日を選んで打設工事を実施しました。 コンクリートミキサー車も延べで2,000台程度が必要との見込みから、約200台のミキサー車を擁して平均で10回転することになりました。基地内でも、ミキサー車が遅滞なく均等・85石油・天然ガスレビューOil & Gas国内現場での四方山話 ~ 第3回 国際石油開発帝石株式会社 : 直江津LNG受入基地の概要 ~6ナックルプレート内槽側板最上段内槽屋根板(骨)外槽屋根板(骨)側部ライナプレートレベリングワイヤーシール大型送風機ワイヤー固定治具ワイヤーガイドローラー防液堤エアー取り入れ口エアー取り入れ口12345678910118109防液堤内径 φ83.2m防液堤内径 φ83.2m1143内槽内径 φ81m内槽内径 φ81m12567約29.4m約29.4m約54m約54m約10.6m約10.6m出所:直江津LNG受入基地 工事説明資料図9 屋根浮上 概要説明図円滑に動くよう、検査・打設・洗浄等の綿密な手順を計画・実施し、また、それだけの通行量があるため、地元の皆様のご迷惑にならないよう、基地周辺での交通渋滞防止の誘導員を配置し、主要な道路近傍での騒音測定を実施しながらの工事でした。② LNGタンクの屋根浮上(エア・レイジング)(2011年7月/9月) LNGタンクは、間に断熱層を有する内・外槽の2重構造のタンクであり、ドーム状の屋根部分は、一般鋼材製の外槽屋根と耐低温鋼材製の内槽屋根の2重構造の屋根で、施工手順上、タンクの底部で組み立てられます。出所:直江津LNG受入基地 建設記録写12周辺道路での誘導と構内での打設待ちミキサー車の行列状況出所:直江津LNG受入基地 建設記録写11底版コンクリート打設状況2012.3 Vol.46 No.2エッセーョ根とコンクリート製防液堤がそれぞれ完成した後に、底部で組んだ屋根は、エアブロアを使って内部を空気圧(500mmAq程度)で加圧し、外気圧との差圧を浮上の駆動力として、防液堤上部まで浮上させます。浮上後に、防液堤上部の固定用金物と屋根を溶接で固定し、屋根浮上工事が終了します。 内外槽合わせて総重量2,000t以上の屋根が、空気の力によって、3時間程度で約30mの高さを浮き上がる特殊な工事となります。 LNGタンクの屋根浮上はLNG基地ならではの特殊工程であり、当日は、地元メディアや、上越市長、上越市商工会議所会頭といった地元の著名な方々や、業界関係者の方々も見学に訪れました。 また、近隣住民の方々にとっても、屋根浮上により本基地の外観が、僅か数時間で様変わりすることもあり、基地の近くの公共施設をお借りし、地域の皆様のための見学スポットを設けて、その様子を見学していただきました。8. 地域との関係づくり これまで、地域の皆様のご理解とご協力を得て工事を進めてきましたが、より一層、地域との融和を図るため、次のような取り組みを行ってまいりました。出所:広報 直江津LNG受入基地写13LNGタンクの建設状況を見学される市長・商工会議所会頭8.1  地元への工事概要説明・広報の発行 本基地では、毎年の年度末に、中部電力(株)とともに、地元町内会長をはじめ、関係者に対し、翌年度の工事概要の説明を行っています。また同じく年度末に港湾管理者が主催する港湾整備工事の事業説明会に出席し、地元漁協等に対して翌年度の工事概要(主に海上工事)を説明しています。このほか基地と弊社パイプラインネットワークを結ぶ接続パイプライン工事に関し、必要に応じてパイプラインが通過する地区住民に対し事前に工事概要説明を行っています。これらの正式な説明会のほか、工事の現状をご理解いただくために、隔月で広報を発行し、近隣の皆様との良好な関係構築に努めています。図10に、以前に発行した広報を掲げます。8.2 地域イベントへの参加 当基地では、行政機関や地元団体が開催する各種行事に積極的に参加し、LNG受入基地建設工事の概要説明やパネル展示、工事記録のDVD放映、記念品の配布などを行っています。これらを通じて地域住民の皆様と交流を図るとともに、弊社事業への理解を深めていただいております。以下に事例を挙げます。出所:直江津LNG受入基地 工事説明資料87石油・天然ガスレビュー写14タンク屋根浮上時の外観 (見学スポットより)Oil & Gas国内現場での四方山話 ~ 第3回 国際石油開発帝石株式会社 : 直江津LNG受入基地の概要 ~o所:広報 直江津LNG受入基地図10広報(2011年8月発行号)① 「直江津港の歴史と佐渡展」への参加(直江津港活性化協議会イベント2010年10月) 同協議会は、直江津港周辺の商店街の活性化を図ることを目的に設立された団体で、年間を通じてさまざまなイベントを開催しております。上記イベントは、同協議会がより多くの市民に来ていただこうと、JR直江津駅に近い大型ショッピングセンターのイベント広場を利用して開催されたものです。当社もこれに参加しLNG基地のパネル展示や概要説明を行いました。また基地緑化のため育成中の苗木の一部を無料配布し好評を博しました(写15)。出所:国際石油開発帝石株式会社写15イベント参加状況その1882012.3 Vol.46 No.2エッセーA 「青少年のための科学の祭典」への参加(新潟県・上越市などが共催2011年1月) 上越市内のイベント会場において新潟県等が共催する「青少年のための科学の祭典新潟県大会」が開催され、弊社は実験ブースおよびPRブースを設け、この祭典に参加いたしました。当基地で取り扱うLNGが-162℃であることから、その超低温の特質を知ってもらおうと、実験ブースでは「体験しよう超低温の不思議な世界」と題して、-196℃の液体窒素を使って超低温で瞬時にバナナを凍らせ釘を打ったり、ボールやバラ等がどのように変化するか体験してもらいました。参加した子供たちは初めての体験に「-162℃と聞いてビックリした、バナナもカチカチだった」と感想を述べていました(写16)。用の苗木の一部を無料配布するプレゼント企画も大変好評でした。(写17)おわりに③ 「直江津港フェスティバル」への参加  (直江津港活性化協議会イベント、毎年8月開催。2009年より参加) 直江津港佐渡汽船ターミナル前をメイン会場に「直江津港フェスティバル2011」が開催されました。三度目となる当基地のブース出展では、基地概要のパネル展示や工事記録のビデオ放映等を行い、来場の方々に当基地への理解を深めて頂きました。また基地緑化 まだ、建設工事は、半ばを過ぎたばかりですが、今後も地域の皆様の理解を得ながら、安全・円滑に進めるよう努力していきます。 最後に、本基地の計画・建設に際して、さまざまなご協力をいただいている地域住民の皆様をはじめ、上越市、新潟県、並びに、隣地の中部電力(株)上越火力発電所に、深く感謝いたします。出所:国際石油開発帝石株式会社出所:国際石油開発帝石株式会社写16イベント参加状況その2写17イベント参加状況その3つふ設せ<注・解説>*1: FLNG(Floating Liquefied Natural Gas):LNGの貯蔵能力を有する船もしくはバージ上で、海洋ガス田から生産された天然ガスの不純物除去・液化を行いLNGを生産・貯蔵し、輸送用のLNG船へ出荷する洋上のLNG液化基地。陸上にを削減できること、沿岸液化プラントを建設する場合と比較して、海洋ガス田から陸上までの海底パイプライン敷部の開発を伴わないため環境負荷を低減できること、等の利点がある。また、移動が可能なため、従来は開発対象とならなかった中小規模の海洋ガス田の開発手段としても有力視される。いろう洩え*2: 地上式PC-LNGタンク:従来の地上式LNGタンクは、耐低温鋼の内槽と一般鋼材による外槽、その内外槽間に断熱層時に備え、コンクリート製の防液堤をを有する金属2重殻構造と言われるもので、更に、タンク周囲に万一の破損漏具備していた。PC式は、この外槽と防液堤を一体化したタンクで、防液堤は内部に敷設するワイヤで事前に圧縮力をかけることで強度を増したプレストレストコンクリート(PC)を用いている。89石油・天然ガスレビューOil & Gas国内現場での四方山話 ~ 第3回 国際石油開発帝石株式会社 : 直江津LNG受入基地の概要 ~キ筆者紹介赤坂 雅章(あかさか まさあき)〈学歴〉1981年、東京理科大学理学部卒業。〈職歴〉同年、帝国石油(株)(当時)入社。石油・天然ガスの開発、生産業務に従事。1994年から企画関係(電力、LNG等)を経て2009年より直江津LNG受入基地建設事業所長。〈趣味〉趣味は鉄道模型(HOゲージ)のほか、カラオケと日本酒少々。〈近況〉運動不足解消のため、週3~4日のスポーツジム通いと休肝日を設けています。902012.3 Vol.46 No.2エッセー
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2012/03/19 [ 2012年03月号 ] 赤坂 雅章
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