ページ番号1006488 更新日 平成30年2月16日

上海ハブ、シェールガス大国誕生か?― 中国のガスをめぐる状況 ―

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レポートID 1006488
作成日 2012-11-20 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発非在来型
著者 竹原 美佳
著者直接入力
年度 2012
Vol 46
No 6
ページ数
抽出データ JOGMEC石油調査部竹原 美佳上海ハブ、シェールガス大国誕生か?― 中国のガスをめぐる状況 ―はじめに  中国は世界第7位の産ガス国だが、2012年の天然ガス輸入量は約400億m3(3.9Bcfd)、輸入比率は約3割に達する見通しである。  中国政府は、上海の石油製品輸入価格を基準とする欧州型の天然ガスネットバック価格制度導入を漸進的に進めている。将来、米国のヘンリーハブのように中国向けの輸入ガス契約が“上海ハブ”を基準とする可能性がある。中国における“上海ハブ”に基づくLNG輸入契約価格が、日韓のLNG契約価格に影響を及ぼす可能性は十分にある。  中国における都市ガスの6割が天然ガスに転換した。天然ガス火力発電設備容量は2010年の2,400万kwから2015年には4,000万kw以上に増加する見通しである。しかしガス火力は石炭火力に比してコスト競争力がなく、シェールガスを含む安価な国産ガスの安定的な供給が担保されない限り、天然ガスの発電分野における役割は引き続きピーク調整等、限定的なものにとどまる見通しである。  中国は世界最大のシェールガス資源量を持つとされ、内外の関心が高まっている。政府はエネルギーの安定供給、自給率向上のためシェールガスの早期開発に意欲的であるが、PetroChinaは技術の成熟度や経済合理性から、シェールガスの評価を進めつつ、米国同様タイトガスやCBMの開発を先行的に進めている。シェールガスの大規模開発は少なくとも2020年以降になる見通しである。  2020年頃までの需給ギャップを埋める輸入ガスのインフラ整備と、ガスの調達について輸入LNGのインフラ整備と調達はおおむね供給見通しと合致しているが、輸入パイプラインガスのインフラ整備やガス開発は供給計画を下回る懸念がある。とう汰た  2020年以降の中国における天然ガス需給は不確定要素が多い。シェールガスの開発が順調に進展し、される。一方、2030年前後に米国同様供給が拡大する場合、調達コストの高い輸入ガスから淘シェールガスの開発が順調に進まない場合、輸入LNGへの依存を強める可能性もある。これは日韓等周辺のガス消費国あるいは天然ガス開発事業者の双方にとって悩ましい問題である。1. 中国の天然ガス需給、価格(1) 天然ガス需給のギャップ拡大、パイプラインガス輸入がLNGを猛追 中国は世界第7位の産ガス国である。日本の消費量相当を生産しているが、都市化と経済発展に伴い需要が急速に伸びており、2009年には、消費国として日本を上回る世界第7位、アジア最大の天然ガス消費国となった。 2011年は国産ガスの供給が前年比1割伸び、1,000億m3の大台を越えたが、消費の伸びは前年比2割増とさらに高く、消費量は1,300億m3(13Bcfd)に達した(図1)。香港への輸出量*Ⅰを差し引いた天然ガス純輸入量は前年の130億m3(1.3Bcfd)から2倍強の279億m3(2.7Bcfd)で、輸入比率は2割に上昇した。天然ガス輸入の内訳はLNGが1,220万トン(168億m3)、中央アジアからのパイプラインガスが143億m3である。パイプラインガスの輸入量は中央アジアパイプラインの昇圧ステーション増設などに伴い前年に比べ3倍(96億m3)伸び、LNG輸入の伸び(285万トン≒39億m3)を上回った。 経済減速により2012年上半期の天然ガス消費の伸び率は前年同期比12%程度にとどまっており、経済減速の影響は天然ガスにも及んでいるようだ。しかし201227石油・天然ガスレビューアナリシスハ年の天然ガス消費は1,500億m3(14.5Bcfd)、輸入は約400億m3(3.9Bcfd)、輸入比率は3割に近付くと思われる。(2)増える輸入、上昇する価格 中国は2006年にLNGの輸入を開始した。その輸入量が世界のLNG貿易量に占める割合は前年の3%から2011年には5%に増え、台湾の輸入量をわずかに上回った。しかしこれでも日本や韓国に比べると輸入量は少ない(図2)。 中国のLNG輸入は20年前後の長期売買契約を結んでいる豪州、カタール、インドネシア、マレーシアからが多い(図3)。豪州のLNGが輸入に占める比率は2011年には3割に減少し、カタールやインドネシアからの輸入比率が2割に増加している。 中国の2011年のLNG平均輸入価格は8.8ドル/MMBtuであった。2003年前後の買い手市場の市況で締結した長期契約による調達が5割程度を占め、日本に比べ平均調達価格は約6ドル/MMBtu安い。しかしここでも国際石油価格の高騰とカタール(ほぼ石油等価の長期契約)やスポット(現物)調達が増加したことに伴い、調達価格は上昇傾向にある。2012年6月のLNG平均輸入価格は、前年同月比4割増の11.6ドル/MMBtuに上昇した。ちなみに日本の同月のLNG平均輸入価格は16.8ドル/MMBtuで、依然中国と5ドルの差がついている。 2012年上期、右肩上がりの中国の輸入LNG需要に異変が生じた。2011年に遼寧(大連)や江蘇(如東)など新規の受入基地が稼働したこと、福建など既存受入基地のフル稼働に向けた稼働率引き上げ(ランプアップ)に伴い、LNGの輸入総量は前年比3割増加した。しかし基地ごとの状況を見ると、広東は前年比5%、上海はランプアップの最中であるにもかかわらず前年比13%輸入量が減少した(図4)。この局地的な輸入減少の原因としてLNGの価格高騰、PetroChinaの幹線パイプライン延伸によるパイプラインガス供給増加、さらに今年は水力発電の稼働率が高く、ピークロードの天然ガス火力発電所向けのLNG需要が低下したことなどが指摘されている*Ⅱ。2012年1~7月のパイプラインガス輸入量は118億m3で、初めて同時期のLNG輸入量800万トン(110億m3)を上回った。 パイプラインガスの輸入は2010年に開始した。現在中国は2010年に運用を開始した中央アジア天然ガスパイプラインを通じ、トルクメニスタンから輸入を行っている。2011年通年の輸入量は143億m3(1.4Bcfd)で、平均輸入量は3,900万m3/日であった。輸入量は昇圧ス億m3/年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年1?6月1,5001,3001,1009007005003001000?100%302520151050国産ガスLNG輸入パイプラインガス輸出消費伸び率(%)出所:BPStatisticalReviewofWorldEnergy2012に基づき作成図1中国の天然ガス生産・消費量世界の天然ガス消費世界のLNG貿易量パイプライン(国際取引)22%その他12%米国3%日本32%世界の天然ガス消費量3兆2,229億m3LNG取引10%国内取引・自家消費68%世界のLNG貿易量3,308億m3欧州27%韓国15%台湾5%中国5%出所:BPStatisticalReviewofWorldEnergy2012に基づき作成図2世界の天然ガス消費・LNG貿易量(2011年)年20112010200920082007豪州マレーシアインドネシアカタールその他02004006008001,0001,2001,400万トン/年出所:ChinaLNGWeeklyに基づき作成図3LNGの国別輸入量282012.11 Vol.46 No.6アナリシス世界の天然ガス消費世界のLNG貿易量パイプライン(国際取引)22%LNG取引10%国内取引・自家消費68%日本32%韓国15%中国5%台湾5%欧州27%米国3%その他12%50300250200150100500万トン2011年1?6月2012年1?6月広東福建上海江蘇遼寧出所:ChinaLNGWeeklyに基づき作成図4基地別に見た輸入量テーションの増設などに伴い前年に比べ3倍(96億m3)伸びている。2012年6月時点の平均輸送量は約5,900万m3/日、2012年通年の輸送能力は200億m3/年(2Bcfd)に達する見通しである(図5)。2011年の平均輸入価格は323ドル/1,000m3(約8.6ドル/MMBtu)である。(3)“上海ハブ”価格?!市場価格化を目指す中国のガス 中国政府は現在天然ガスの市場価格化を漸進的に進めている。 世界の天然ガス市場は大きく分けて北米、欧州、東アジアの3市場に分けられる。米国のガス・LNG価格はヘンリーハブ(HenryHub)という市場価格に基づいて決まる。欧州のガス価格は基本は長期契約(石油製品)だが、近年スポット取引(NBP〈NationalBalancingPoint〉他)が増えている。しかし東アジアの日本、韓国、中国が輸入するLNG価格は、日本の原油平均輸入価格JCC(JapanCrudeCocktailPrice)価格に基づく長期契約である(図6)。また中国が中央アジアから輸入するパイプラインガスの国境(新疆)渡し価格は、中央アジア諸国がロシア経由で欧州に輸出するパイプラインガス価格(石油製品価格準拠)を基準に輸送費を加味した欧州ネットバック価格である。 中国政府は国産ガスの基準卸価格および輸送価格(タリフ)を設定し、小売価格は地方政府が設定している。卸・基準卸価格の計算式百万m3/月2,0001,8001,6001,4001,2001,0008006004002000 17出所:ChinaLNGWeekly等に基づき作成263452010年2011年2012年89101112月図5中央アジアからの天然ガス輸入量小売価格について生産コストに企業の利潤を上乗せしたコストベースで決定している(2011年の大手国有石油企業3社の天然ガス平均販売価格は5ドル/MMBtu前後)。地方政府による小売価格の変更は公聴会を経る必要がある。 中国が2006年にガス(LNG)の輸入を開始した当初は割安な契約条件のLNGが多く問題が生じなかった。しかし、2010年以降欧州ネットバック価格ベースの割高な中央アジアからのパイプラインガス輸入量が増加したことに伴い問題が生じた。中央アジアからのパイプラインガス輸入価格は国内の卸価格を上回っており、逆ザヤ分は輸入事業者であるPetroChinaが負担していて、同社の収益圧迫要因となっている。PetroChinaの年報によると、2011年の同社パイプライン事業は214億元(約34億ドル)の損失が発生し、収益は前年比23.9%減少した。 中国政府は、2011年12月から南部の主要消費地である広東省とその隣の広西自治区の2地域で、天然ガス卸価格を市場価格と連動させる試行価格制度を実施した。 天然ガス試行価格制度は前年の上海における重油・LPG平均輸入価格に基づき、上海を基準市場としてガス価格を決定する。その上海価格を基準に輸送費を加え、各地のガス価格を決定する欧州型のネットバック方式を採用している。試行制度では輸入重油(60%)、輸入LPG(40%)の加重平均、熱量等価(重油1万kcal/kg、P(天然ガス)=K×(α×P′(重油)×H″(天然ガス)+β+P″(LPG)×H″(天然ガス)×(1+R)H(重油)H′(LPG)● P(天然ガス):基準市場卸(シティゲート)価格 元/m3  ● K:割引係数、暫定値0.9  ● α、β:重油加重(60%)LPG加重(40%)● P′(重油)、P″(LPG):期間内の海関統計における輸入価格 元/kg● H(重油)、H′(LPG)、H″(天然ガス):熱量(低位)、重油1万kcal、LPG1万2,000kcal、天然ガス8,000kcal  ● R:天然ガス増値税(VAT)率:現行13%※「天然ガス基準卸価格を市場価格と連動させた試行価格制度を試験的に実施する通知」(12月26日(発改価格【2011】3033号)に基づき作成29石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-基準卸価格の計算式k 米欧 州北東アジア30市場価格指標:Henry Hub,Socal出所:JOGMEC作成長期契約価格+市場価格①大陸:長期契約価格 指標:石油製品(Gas Oil,Fuel Oil)②英国:市場価格 指標:NBPスポット価格③ベルギーZeebrugge、オランダTTF、 他に西欧/中欧でも市場取引拡大長期契約価格指標:JCC原油価格図6世界3市場における天然ガス価格構造ドル/MMBtu試行価格施行前試行価格施行後(2011年12月26日?)参考 北京市非民生小売り(高)参考 北京市非民生小売り(低)広州非民生小売価格(高)広州非民生小売価格(低)第2西気東輸パイプライン広東省卸価格輸入LNG(B)広州シティゲート試算輸入LNG(A)広州シティゲート輸入パイプラインガス新疆国境2520151050上海価格(推計)ドル/MMBtuLNG日本 CIFLNGEU CIF天然ガスNBPLNG中国 CIF天然ガス(新疆国境)天然ガス上海(試行)200920102011年出所:ChinaLNGWeekly等に基づき作成16141210864出所:BP統計、中国海関統計等に基づき作成図7天然ガス輸入価格図8天然ガス試行価格制度施行後の広東省天然ガス卸・小売価格(輸入パイプラインガス、LNG価格は2011年CIF平均)LPG1万2,000kcal/kg、天然ガス(低位発熱量)8,000kcal/m3とする。また天然ガスの利用促進のため暫定的に1割を減じる(計算式に係数0.9を乗じる)。中央政府によるパイプライン輸送料(タリフ)の統制は維持することとなっている。 2011年の価格は2010年の上海における重油・LPG平均輸入価格に基づき、広東省のガス卸価格上限を2,740元/m3(約11.6ドル/MMBtu)、広西自治区のガス卸価格上限を2,570元/m3(約10.9ドル/MMBtu)と設定した。中央政府は上海基準価格そのものは公表していないが、最近開通した国内パイプラインタリフから類推すると、英国指標価格のNBPに近い8ドル/MMBtu前後であると思われる。これにより、輸入パイプラインガス価格の逆ザヤが完全に解消したわけではないが、妥当な水準に近付いたと言える。 この通知を受け、広東省は2012年7月に中央アジアからの輸入ガスを広東省に輸送する第2西気東輸パイプライン(後述)の広東省のガス価格に関する臨時通知*Ⅲを発表した。2011年11月28日から2014年12月31日までの広東省におけるガス卸価格を3,003元/1,000m3(477ドル/1,000m3、約12.7ドル/MMBtu)と決定した。内訳はガス価格2,740元/1,000m3(435ドル/1,000m3、約11.6ドル/MMBtu)、同省内のパイプライン輸送費が263元/1,000m3(42ドル/1,000m3)である。 中国政府は今後、この試行価格制度を段階的に全国で展開していく計画である。近い将来米国のヘンリーハブや欧州NBPのように“上海ハブ”が中国の天然ガス指標価格となり、中国向けの輸入ガス(パイプラインガス・2012.11 Vol.46 No.6アナリシスNG)の契約価格は“上海ハブ”に基づいて決まるようになる可能性がある。上海ハブはあくまで中国国内向けの価格である。日韓など周辺の天然ガス消費国は発電消費が主体で、産業・都市ガス主体の中国とは天然ガスの消費構造が異なるので“上海ハブ”をそのまま導入することは妥当ではないかもしれないが、中国における“上海ハブ”に基づく輸入ガス(LNG)契約価格が日韓のLNG契約価格に影響を及ぼす可能性は十分あると思われる。 ちなみに広東省はエネルギーの輸入依存度が高く、天然ガス非民生小売価格が3,700~4,900元/1,000m3(15~20ドル/MMBtu)と国内有数の高さに設定され、値上げ後も小売価格が卸価格を上回っている(北京市の非民生小売価格は広東省の半値に近い8~12ドル/MMBtuに設定されている)(図8)。2. 天然ガス関連インフラ整備とシェア攻防(1) CNPC(PetroChina)幹線パイプラインの東部、南部延伸 中国における天然ガスの主要プレーヤーは圧倒的な供給力を誇るCNPC(PetroChina)である(図9)。 国産ガス生産の7割強を占めるCNPC(PetroChina)は天然ガス幹線パイプライン網の9割以上、約5万km*Ⅳを保有している。CNPC(PetroChina)の天然ガス供給は幹線パイプラインを消費地の東部、南部に延伸することで伸びている。CNPCは2015年までにパイプラインの総延長を9万kmにする計画である。 中国の天然ガス生産の5割は新疆(タリム)、長慶(オルドス)、四川盆地など西部の堆積盆である。ガス資源が西部に偏在し、パイプラインが整備されていなかったため1990年代まで消費は産地周辺の限定的なものであった。 しかし1997年、陝西省を含むオルドス盆地から北京向けの陝京パイプラインが開通、2004年には新疆タリム盆地やオルドス盆地で生産する国産ガスを上海ほかの東部地域に供給する約4,000kmの西気東輸パイプラインが開通した。2011年には中央アジアのガスを新疆で受け入れ、湖南省や湖北省など内陸部を南下し広東省にCNPC(PetroChina)SinopecCNOOCその他供給(国産+輸入)70%8%16%7%国産ガス供給75%10%7%9%02004006008001,0001,2001,400億m3到達する(支線により上海等東部への供給も行う)総延長約8,600kmの第2西気東輸パイプラインが開通した。香港向けの支線建設も進んでいる。このように都市部向けの幹線パイプラインの整備が進んだことで天然ガスの消費が伸びた。 10月には第3西気東輸パイプラインの建設も始まった。新疆(ホルゴス)から福建(福州)まで主幹線、支線8本を合わせ総延長8,704km(うち幹線)で、輸送能力300億m3/年、総事業費1,160億元(1兆5,000億円)である。新疆(ホルゴス)~寧夏中衛は2013年、中衛~江西吉安は2014年、吉安~福建(福州)は2015年稼働開始の予定である。PetroChinaは第3西気東輸パイプラインについて、初めて民間とのJVによる建設を行う。鉄鋼大手の宝鋼、全国社会補償基金ならびに都市インフラ投資基金とJVを設立する。第3西気東輸パイプライン総事業費のうちJVが625億元を拠出する。PetroChinaが300250200150100500億m3/年四川(Sichuan)タリム(Talimu)長慶(Changqing)2005200620072008200920102011年出所:BP統計、各社年報に基づき作成出所:PetroChina年報に基づき作成図9企業別天然ガスの供給状況(国産、供給全体)図10PetroChinaの3大ガス供給地域生産推移31石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-8%7%70%75%10%7%9%16%鴻Vア→中国ロシア→中国(東ルート)(東ルート)ハバロフスク大慶大慶油田ハルビン綏芬河二連油田吉林瀋陽撫順ウスリースクナホトカウラジオストクフフホト北京秦皇島京京陝陝石家荘濮陽天津済南泰安曹妃旬大連威海青島江蘇南京上海咸陽西安鄭州淮北ラサ四川ガス田川気東送川気東送宜昌達州成都武漢杭州九江寧波平湖ガス田天然ガスパイプライン(稼働中)天然ガスパイプライン(建設中)天然ガスパイプライン(計画・構想中)LNG受入基地(稼働中・建設中)LNG受入基地(計画中)LNG液化基地(計画中)FSRU(建設中)昆明ミャンマー → 中国ミャンマー → 中国出所:各種情報に基づきJOGMEC作成南昌長沙重慶貴陽福建柳州広州茂名広東深?南寧香港珠海堪江北海海南崖城ガス田図11中国の主な天然ガスパイプラインおよびLNG受入基地52%、宝鋼と全国補償、都市インフラ基金が各16%出資することになっている。 CNPC(PetroChina)は輸入パイプラインガスも一手に担っている。稼働中の中央アジア天然ガスパイプラインはCNPC(PetroChina)が資源国と共同で建設・操業している。現在建設中のミャンマーから雲南省向けの天然ガス輸入パイプラインは2013年開通予定である。また将来ロシアからの天然ガス輸入が実現する場合、そのパイプラインもCNPC(PetroChina)が担うこととなる。 このようにPetroChinaはパイプライン網の東部、南部沿海地域への延伸を進めており、同社の優位性は将来的にも揺るぐことはないと思われる。しかし広大な国土におけるパイプライン網の整備には時間がかかり、パイプラインガス空白地帯へのガス供給で、小型LNGや国産LPG、CNOOCのLNG内航船ビジネスが一定の役割を果たすことになると思われる。(2) CNOOCのLNG内航船による市場シェア拡大、生き残り戦略 CNOOCは国産ガス生産に占める比率は1割弱だが、輸入LNGについては中国におけるリーディングカンパニーである。主要市場である東南沿海地域に複数の輸入LNG受入基地を保有しており、輸入ガスを含めた供給比率は国産ガス供給比率の2倍の16%である。これまでCNOOCは、広東や福建などの南部市場で独占的に輸入LNGを供給していた。しかしPetroChinaは幹線パイプライン網の東部、南部地域への延伸を進めており、CNOOCの南部におけるガス供給独占は破られようとしている。これに対しCNOOCはLNG内航船により内陸部のパイプライン空白地帯にLNG供給を行うことで市場拡大、東部・南部市場での生き残りを図ろうとしている。 2012年9月、CNOOC傘下のEnergyTechnology&ServicesLimited(CNOOCEnerTech)は小型LNG船2隻(積載容量3万m3、年間LNG取り扱い量90万トン、全長185.2m、ディーゼル・電気駆動)の建造について国内造船3社(中国船舶工業集団〈CSSC〉傘下の滬東中華ならびに上海江南と中国船舶珠江〈CSIC〉傘下の大連船舶工業)に対し指名競争入札を実施した。年内に落札者が決定し、2014年に引き渡し予定である。CNOOCは揚子江沿いの内陸部都市向けにLNGの再販を行う計画で、湖北省黄石や江蘇省張家口に小型のLNG受入基地を建設する計画を進めている。 入札に参加した3社のうち、LNG船の建造実績があるのは滬東(Hudong)中華のみである。滬東は広東LNG受入基地向けに3隻、福建受入基地向けに2隻の計5隻を引き渡し、さらに福建基地向けに1隻建造中である(いずれも積載容量は14万7000m3)。このほか、滬東は32ゴルムド蘭州第2西気東輸第2西気東輸第3西気東輸第3西気東輸玉門西西気気東東輸輸長北ガス田中衛銀川靖辺長慶油田カラマイ油田阿拉山口カラマイ独山子コルガスウルムチ輪南吐哈油田タリム油田?善塔中油田青海油田花土溝渋北ガス田中央アジアパイプライントルクメニスタン→中国トルクメニスタン→中国(ウズベキスタン・(ウズベキスタン・ カザフスタン経由) カザフスタン経由)ロシア→中国ロシア→中国(西ルート)(西ルート)2012.11 Vol.46 No.6アナリシスo.建設地設計液化能力(万t /年*)3.635.96.01.01.73.61.73.61.21.21.923.96.012.02.43.67.212.03.614.423.97.21.23.67.27.212.07.22.44.87.27.215.612.012.07.24.8濮陽(Puyang)シャンシャン(Shanshan)海口(Haikou)?為(Jianwei)江陰(jiangying)北海(Beihai)蘇州(Suzhou)泰安(Tai'an)成都(Chendu)西寧(Xining)合肥(Hefei)オルドス(Erdos)晋城(Jincheng)珠海(Zhuhai)石柱(Shizhu)沁水(Qinshui)銀川(Yinchuan)沁水(Qinshui)鄂托克前旗(EtuokeQianqi )烏海(Wuhai)達州(Dazhou)蘭州(Lanzhou)壁山(Bishan)オルドス(Erdos)蘭州(Lanzhou)磴口(Dengkou)晋城(Jincheng)磴口(Dengkou)包頭(Baotou)安陽(Anyang)磴口(Dengkou)蘭州(Lanzhou)晋城(Jincheng)2期沁水(Qinshui)靖辺(Jingbian)蘭州(Lanzhou)2期前郭(Qianguo)12345678910111213141516171819202122232425262728293031323334353637カザフスタンロシアモンゴルキルギス2新疆ウイグル自治区新疆ウイグル自治区タジキスタンパキスタンカシミール内モンゴル自治区内モンゴル自治区12241920262831青 海青 海甘 粛甘 粛102917寧 夏寧 夏35山 西山 西陝 西陝 西北 京北 京天 津天 津8山 東山 東河 北河 北301黒竜江黒竜江37吉 林吉 林遼 寧遼 寧北朝鮮韓 国チベット自治区チベット自治区ネパールブータンバングラディシュインド22253236161833341327河 南河 南21重 慶重 慶湖 北湖 北94四 川四 川雲 南雲 南ミャンマーベトナムラオスタイ2315貴 州貴 州広 西広 西63海 南海 南江 蘇江 蘇5711安 徽安 徽上 海上 海淅 江淅 江湖 南湖 南江 西江 西福 建福 建台 湾台 湾広 東広 東14出所:ChinaOGP等に基づき作成*LNG1t≒1,379m3とする*330日稼働とする図12主な小型LNG液化プラント(2011年8月現在)カ所の充ステーションがある。CNGは熱量ベースでガソリンや軽油より2~3割安い。広東省中山市や海南省など南部都市の一部ではガソリンとCNG価格を1:0.75で固定させていると報じられている*Ⅴ。また中国では天然ガス自動車への改造費が安く、マイカーユーザーはCNGタンクを搭載することへのこだわりが弱く、天然ガス産地の四川、新疆、山東省を中心に天然ガス自動車が普及した。ガソリン消費の1割、軽油消費の2.5%を占める存在に成長している模様である*Ⅵ。 現在主に普及しているのは扱いやすいCNG車だが、PetroChinaなどがLNGトラックの普及を図っている。PetroChinaによると、現在LNGトラックの改造費は6万~8万元/台(75万~100万円)でPetroChinaが陝汽延安専用車公司と共同で開発した軽油と天然ガスのハイブリッド車の場合、軽油価格7.5元/?(約98円)、LNGが価格4.5元/?(59円)という前提の下、年10万km走行すると燃料費を7.45万元(97万円)節約でき、1年で改造費を回収できるという。またLNG大型トラックの充填費は1回約1,000元(約1万2,500円)で、600km走行可能、充填時間は約3分とのことである。 新疆広匯のシャンシャンプラント(36万トン/年)のように数千キロ離れた華南、華東などのサテライト市場にん填てじゅう2011年1月にはExxonMobilのパプアニューギニアLNG向けにLNG船4隻の建造を受注した(2015~2016年の引き渡し)。また9月にはSinopecが滬東に豪州APLNG向けのLNG船4隻(17万4000m3、2015~2017年の引き渡し、ディーゼル・電気駆動、2隻の追加オプションあり)を発注した。(3) 幹線パイプラインの間隙を縫う小型LNG  (天然ガス自動車の隆盛、LNG車勃興) 2001年以降、中国各地で小型のLNG液化プラント(1万~36万トン/年)が建設されている。2011年には少なくとも35プラントが稼働、液化能力は合計300万トン/年に達した。300万トン/年は中国の標準的なLNG受入基地1基地分に相当する。ただし供給の不足により稼働率は6割以下の模様である(2012年に8プラントが新たに稼働。8月現在、液化能力は400万トン/年に達したとの報道もある)。 小型LNG液化プラント隆盛の背景として、導管整備の遅れと石油代替としての自動車用圧縮天然ガス(CNG)需要の伸びが挙げられる。中国政府は消費抑制の観点からCNGなどの石油代替品を奨励している。2011年末時点で100万台以上のCNG・LNG車、約1,50033石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-NGローリーによる供給を行っている事業者がある。導管整備の遅れで東部や南部沿海地域で高値のサテライト市場が形成されており、LNGローリーの輸送費を加味してもサテライト市場への供給は経済性があるようだ。後述するが鉱区(坑井)ごとの生産量が少なく、幹線パイプライン建設が見合わない炭層ガス(以下、CBM)は自動車用CNG向けの小型LNG液化プラントの隆盛で開発が進んだ側面がある。 しかし小型LNGはあくまで輸入LNGや幹線パイプラインの補完的存在で、今後東部や南部沿海地域でLNG受入基地や幹線パイプラインの建設、導管整備が進むにつれ、小型LNG液化プラントのサテライト供給における役割は限定的になると思われる。すでに今年は第2西気東輸の広東省への供給開始や発電需要の減退を受け、小型LNG需要が落ち、サテライト市場価格が大幅に下落した(例えば珠江デルタのサテライト価格は1月から6月で400元/トン下落した)*Ⅶ。また、政府は2011年7月に「都市液化天然ガス(LNG)プラント建設基準」を公布(2011年12月1日施行)した。供給源を確保せず、無秩序に計画された小型LNGプラントは淘汰されていく可能性がある。3. 天然ガスの分野別消費(1) 都市ガスの天然ガス転換進む  ~全国都市ガス発展12次五カ年計画~ 中国の天然ガス消費(2010年)は産業4割、発電2割、輸送1割、民生部門が3割を占める(図13)。日本は天然ガス消費の6割強を発電が、民生部門が3割、産業が1割を占める。 中国の都市ガスは、1970年代まで日本においても使われていた石炭から製造するガス(3,500kcal/m3)、LPG(2万6,180kcal/m3)、天然ガス(8,500kcal/m3)*1が使われているが、近年都市ガスにおける天然ガスの利用が伸びている。都市ガスにおける天然ガス消費は2005年の210億m3から2010年の488億m3へと伸び(図14)、都市ガスに占める比率は3割から6割に上昇した(図15)。また都6005004003002001000億m3石炭ガス消費量(億m3)天然ガス消費量(億m3)LPG消費量(億m3)*200520062007200820092010年産業42%民生等29%交通輸送9%発電20%出所:中国能源統計年鑑に基づき作成図13中国の分野別天然ガス消費(2010年)億m3/年2,0001,5001,0005000その他石炭ガスLPG天然ガス200520102015(計画)年出所:中国能源統計年鑑に基づき作成出所:中国能源統計年鑑、全国都市ガス発展12・5計画に基づき作成図14都市ガス消費量の推移図15都市ガス供給の現状342012.11 Vol.46 No.6アナリシス産業42%民生等29%交通輸送9%発電20%sガスにおける天然ガスの利用人口は、2005年の7,000万人から2010年には1億7,000万人に増加した。ちなみに中国の5割が都市化したとされるが、石炭ガスは2,800万人、LPGは1億6,500万人が利用しており、中国の都市ガス利用人口は約3億6,000万人で、その利用率は3割程度である。 中国政府は天然ガスの供給増加を見越し、都市ガスの天然ガス転換をさらに推し進める計画である。政府(住宅都市建設部)は2012年7月、「全国都市ガス発展12次五カ年計画」(以下、「都市ガス12・5計画」)を発表した。同計画によると、天然ガス消費が都市ガスに占める比率は2010年の63%から2015年には67%(1,200億m3)に増加する見通しである。ちなみに都市ガスにおけるLPG消費の比率は、2010年の23%から2015年には13%(232億m3)に低下する見通しである。る。パイプラインは新疆から山東、浙江、広東向けで総延長7,373km、設計輸送能力は300億m3/年(2.9Bcfd)、総事業費1,300億元(206億ドル)、供給源は新疆地域の事業者から調達する。2015年稼働を目指している。8月には石炭大手中煤と石油・石炭の売買における戦略的提携で合意している。 ただし中国の研究によると、現在石炭ガス事業は軒並み赤字とのことである*Ⅷ。煤炭科学研究総院北京煤化工研究分院のスタディによると、1トンの石炭で約300m3のガスが製造できる。原料となる石炭価格は現在約300元/トンだが、石炭ガス1m3あたりのパイプラインへの卸価格は1.2~1.5元/m3で、これでは厳しそうだ。ただ石炭ガス事業者は将来の天然ガス価格が市場化され、石炭ガスの卸価格も引き上げられると期待しているようである。(2)都市ガスにおける石炭ガス需要再燃? 石炭ガスは日本においては天然ガスの登場とともに淘汰されていったが、「都市ガス12・5計画」によると、石炭ガスは2010年の14%(280億m3)から2015年には20%(350億m3)に増加する見通しである。上海などの都市部で天然ガスへの転換が進む一方、江蘇省など一部の地域では需要が伸びている。これを受け、新疆などで石炭ガス事業が活性化している。発電大手の大唐などのエネルギー関連大手企業や民間の石炭採掘企業などが石炭ガス事業に乗り出しており、政府認可事業が4件(大唐が内モンゴルで手がける40億m3/年、大唐が遼寧阜新で手がける40億m3/年、匯能が内モンゴルで手がける16億m3/年、慶華が新疆で手がける13.5億m3/年)の計110億m3/年がある。このほか、主として新疆、内モンゴル、安徽等で15のモデル事業がある。また、国有石油企業も石炭ガス事業に乗り出している。PetroChinaは新疆で生産された石炭ガスを第3西気東輸の供給源として活用する模様である。2012年9月に約10億元(130億円)を投じ、中国初の大口径石炭ガス輸送パイプライン(新疆伊寧~ホルゴス間64km、口径1,219mm、設計輸送能力300億m3/年)を完成させ、複数の事業者と石炭ガスの買い取りで合意した。第3西気東輸パイプラインへのガス供給の17%(50億m3)をこの石炭ガスでまかなう計画である。熱量の低い石炭ガスを天然ガスパイプラインに混ぜることは経済性が低下するが、流すガスが足りないか、地域振興など政策的要因が働いているのではないかと思われる。 Sinopecは東部、南部向けの専用の石炭ガス長距離パイプラインの建設を計画し、政府(NDRC)に申請してい(3)天然ガス火力発電は漸増 発電分野における天然ガス消費量(2010年)は約185億m3で、天然ガス消費に占める比率は約2割である。同年の天然ガス火力発電設備容量(2010年)は約2,400万kw(24GW)で中国の発電設備容量の約2%を占める。ただし主にピーク調整に使われ、平均稼働率は2~3割とされている。中国の発電電力量(2011年は日本の約5倍の約4兆7,200億kw/h)の約8割は石炭が占め、天然ガスの比率は風力や原子力(約2%)を下回る。 2011年に中国電力企業連合会のウェブサイトで示されていた発電における第12次五カ年計画では、天然ガス火力発電は“適度に発展させる”ことになっており、2015年時点で3,000万kw(全設備容量の2%)、2020年に4,000万kw(全設備容量の2%)となっていた。しかしその後天然ガス火力発電所建設計画は上方修正されたようだ。2012年9月時点で稼働中のガス火力設備容量は約3,000万kwあり、さらに建設中が1,000万kw、計画中が3,000万kwある。2015年時点で設備容量は4,000万kw以上になる見通しである。2010年をベースに試算した場合、2015年で設備容量が4,000万kwの場合、天然ガスの発電分野における消費量は約310億m3となる。計画中のものが順調に立ち上がり、2020年に7,000万kwに達した場合、天然ガスの発電分野における消費量は約540億m3となる。また現在は2~3割程度とピーク調整にとどまっている稼働率が向上すれば、消費量はさらに加速することになる。 しかし1.(3)で述べたとおり、中国は天然ガスの市場価格化を進めている。天然ガスの市場価格化(=価格引き上げ)は輸入パイプラインガス価格の適正化につな35石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-ェって国内供給が安定するが、一方で石炭火力発電に対するコスト競争力は低下する。中国の発電電力量に占める天然ガスの比率は消費地の東部・南部沿海地域においても2%程度だが、これを米国並みの2割に高めるには中国がシェールガス大国となり、安価な国産ガスが長期にわたって安定的に供給されることが必要不可欠である。シェールガスの量産化には時間がかかるので、当面天然ガス火力発電はピーク調整の役割にとどまると思われる。4. 2020年以降のガス供給の担い手は?(1)中国はシェールガス大国となるのか? シェールガスオイルは頁岩(シェール層)に含まれる油やガスを指す。米国では技術革新により開発・操業コストが低下したことで供給が伸びた。米国のエネルギー省エネルギー情報局(EIA)は、2005年のエネルギー長期見通し(AnnualEnergyOutlook)において2020年に米国のLNG輸入は1,500億m3/年(1億1,000万トン)に達しLNG輸入大国になると示していたが、その後のシェールガス増産を受け、2011年の見通しでは2035年時点の天然ガス純輸入は2009年の11%から2035年には1%に大幅に低下すると下方修正している。また日本を含むアジア諸国へのLNG輸出計画が進んでいる。 さて、そのシェールガス先進国、米国のEIAは2011年4月、「世界のシェールガス資源量評価」(“WorldShaleGasResources:AnInitialAssessmentof14regionsOutsidetheUnitedStates”)を発表した。中国世界のシェールガス資源量評価(技術的回収可能量※)※市場に出回る経済合理的な回収量は、市場ガス価によるため、技術的回収可能量より小さい。北 米南 米欧 州アフリカアジア・大洋州合 計Tcf1,9311,2256391,0421,7856,622北 米北 米カナダ388アメリカ合衆国862メキシコ681コロンビア19ボリビア48チリ64南 米南 米欧 州欧 州ヨーロッパその他19ノルウェー83スウェーデン41ポーランド187リトアニア4ウクライナ42トルコ15デンマーク23ドイツ8イギリス20オランダ17フランス180ベネズエラ11ブラジル226西サハラ7モロッコ11アルジェリア231チュニジア18パラグアイ62ウルグアイ21アルゼンチン774中国1,275アジア・大洋州アジア・大洋州パキスタン51インド63オーストラリア396アフリカアフリカリビア290南アフリカ48536図16世界のシェールガス資源量評価(2011年4月現在)2008年世界の天然ガス消費量:106Tcf (日本:3.3Tcf)2009年世界の(在来型)確認残存埋蔵量:6,400Tcf資源量が評価されたシェールガス盆地国別の技術的回収可能量(Tcf=兆立方フィート)名#国出所:米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)よりJOGMEC作成2012.11 Vol.46 No.6アナリシスフ技術的に回収可能なシェールガス資源量は1,275Tcf(36兆m3)で、米国を上回る世界最大のシェールガス資源国であると評価した。これを受けて内外で中国がシェールガス大国になるのではないかとの見方がある。 シェールガスの早期本格開発を目指す政府の取り組み 中国政府はエネルギーの安定供給や自給率向上という観点からシェールガスの早期開発に意欲的である。ただ中国におけるシェールガス調査はまだ初歩的な段階にある。政府のシェールガスに関する主な動きは以下のとおりである。・2004~2009年にかけて国土資源部や中国地質大学が中国西部、南部8省・自治区(雲南、貴州、広西、湖南、湖北、四川、重慶、陝西)を対象に基礎調査を実施。・2010年8月、PetroChina探鉱開発研究院(河北省廊坊)に国家能源シェールガス研究開発(実験)センターを設立。・2009年11月:中米首脳会談においてシェールガス・イニシアチブ合意。・2010年5月:中米戦略・経済対話において、中国国家エネルギー局と国務省は「中米シェールガス資源タスクフォース活動計画に調印。・2010年8月:中国、シェールガス・イニシアチブ会議に参加。・2010年11月:中国は世界シェールガス会議に参加、米地質調査所(USGS)専門家訪中、データ評価等協力で合意(国家能源局とUSGSがワーキンググループを組成。2011年9月までに3度の専門会議を開催した模様)。・2011年6月、国土資源部がシェールガス1次入札実施。・2011年12月、国務院はシェールガスを独立鉱種(127番目)として批准。・2012年1月、国家重大基礎研究計画(973計画)における「中国南部の古生界シェールガス埋蔵のメカニズム解明と潜在的資源の評価」に関する基礎研究」広州で開始。・2012年3月、国土資源部は「全国のシェールガス資源の潜在力ならびに有望鉱区の評価結果」について発表。・2012年3月、中国政府は「シェールガス第12次五カ年計画」を公表。・2012年6月、国家能源局はシェールガス開発推進会議を開催。・2012年9月、国土資源部はシェールガス2次入札実施。【全国のシェールガス資源の潜在力および有望鉱区の評価結果】 2012年3月、中国国土資源部は全国シェールガス資源の潜在力および有望鉱区の評価結果についてプレス発表を行った。陸上を五つの地域(①上部揚子江、②雲南貴州広西、③中・下部揚子江と東南、④華北・東北、⑤西北・青海チベット)に分け、41の堆積盆地・地区、87ユニット、シェールガスを含む57の層準を対象に調査・評価を実施した(図17)。国土資源部油ガス資源戦略研究センターを筆頭に国内の関連石油企業、大学、地質調査機関・研究院27単位420人が参加した。 評価の結果、シェールガスの地質資源量は134兆m3、チベットを除く地域の(技術的に)回収可能な資源量は25兆m3(885Tcf)と判明した。そのうち、既に商業生産を行っているかシェールガスが発見されている地域(開発の実現性が高そうな地域)は、88万km2、地質資源量は96兆m3で(技術的に)回収可能な資源量は16兆m3(563Tcf)である。 四川、重慶、貴州、湖北、湖南、陝西、新疆等の地域(四川盆地、重慶東部、湖北省西部、貴州広西地区、オルドス・タリム盆地)の埋蔵・生産ポテンシャルが高い。 また資源は豊富で規模開発が可能だが、地質条件が複雑で異なるタイプがある。探鉱開発技術が先進国と差があり技術革新が必要。探鉱は始まったばかりで、開発加速までに時間と技術等の条件が整う必要がある*Ⅸ。【シェールガス第12次五カ年計画】 2012年3月、シェールガス第12次五カ年計画を発表した。第12次五カ年計画期間(2011~2015年)を産業発展の基礎となる時期と位置付け、資源の評価、研究開発を進め、中国の地質条件に適したシェールガス探鉱開発技術を形づくり、重要な設備の自主開発を行うとしている。そして2015年までに「全国のシェールガス資源ポテンシャルの調査・評価を行い、原始埋蔵量1兆m3(35.3Tcf)、可採埋蔵量2,000億m3(7Tcf)を確認し、シェールガス65億m3/年(6.3Bcfd)を生産する」という目標を設定した。また政府は次の第13次五カ年計画(2016~2020年)をシェールガス産業における飛躍的な発展期と位置付けている。2020年についてはシェールガス生産を600億~800億m3/年(5.9~7.8Bcfd)という野心的な生産目標を掲げている。【シェールガス開発推進会議】 2012年6月、国家能源局がシェールガス開発推進会議を開催した。出席者は政府機関が国家発展改革委員会、37石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-鴻Vアモンゴル内モンゴル自治区内モンゴル自治区北 京北 京天 津天 津甘 粛甘 粛寧 夏寧 夏河 北河 北山 西山 西山 東山 東青 海青 海黒竜江黒竜江吉 林吉 林遼 寧遼 寧北朝鮮韓 国四 川四 川陝 西陝 西重 慶重 慶貴 州貴 州河 南河 南湖 北湖 北江 蘇江 蘇安 徽安 徽上 海上 海浙 江浙 江湖 南湖 南江 西江 西福 建福 建台 湾台 湾雲 南雲 南広 西広 西広 東広 東ミャンマーベトナムラオスタイ海 南海 南出所:各種情報に基づきJOGMEC作成中国における主なシェールガス評価・調査・入札対象地域ス開発を構築することが話し合われた。また財政(補助金)、税制優遇策、探鉱リスク、鉱業権管理、研究開発(R&D)、設備の自主開発に係る政府支援策について話し合われたようである。【シェールガス鉱区入札】 中国は2011年6月、1次入札を、2012年9月には2次入札として20鉱区を公開している。入札は国土資源部が所管している。シェールガス胚胎の可能性がある地域111万km2のうち、入札対象地域は35万km2であり、その多くは地質条件が複雑など条件の劣る地域という冷ややかな見方がある。①1次入札 2011年6月、シェールガス1次入札が行われた。対象は貴州~重慶~湖南に位置する4鉱区(計1万1,000km2)で、入札参加資格(PQ)を取得したのは中国の国有、地方政府系企業6社(PetroChina、Sinopec、CNOOC、陝西延長、CUCBM、河南煤気)であった。Sinopecが重慶~貴州に位置する南川(Nanchuan)鉱区(2,198km2)を落札、重慶~貴州~湖南に位置する秀山(Xiushan)鉱区(2,039km2)を地方のCBM企業である河南煤気が落札し、貴州の綏陽(Suiyang)・鳳岡(Fenggang)鉱区(2鉱区計38キルギス新疆ウイグル自治区新疆ウイグル自治区チベット自治区チベット自治区ブータンバングラデシュネパールインドカシミールタジキスタンパキスタンカザフスタン図17EIA評価1次入札2次入札科学技術部、財政部、国土資源部、国家能源局である。国家発展改革委員会はシェールガス12次五ヵ年計画の取りまとめを行っている。科学技術部は国家重大基礎研究計画「973計画」を主管している。シェールガスについては「中国南部の古生界シェールガス埋蔵のメカニズム解明と潜在的資源の評価に関する基礎研究」が「973計画」に含まれている。この研究には中国科学院広州地球化学研究所、蘭州大学、中国鉱業大学、南京大学、CNOOCなどが参加していはいいの可能性る(シェールガス胚が高い四川等の有望鉱区を押さえているCNPCやSinopecなどは参加していない)。財政部は予算、財政支援で関与している。国土資源部は鉱物資源や鉱区の管理(ライセンス発行)、入札、資源・埋蔵量認定を主管している。シェールガスは天然ガスとは別に独立鉱種(中国での172番目の鉱物)と指定されている。国家能源局はエネルギー行政を所管している。 劉鉄男国家能源局長は会議の冒頭、「米国におけるシェールガスの大規模な商業開発は世界のエネルギー構造に変革を、天然ガス需給に影響をもたらしている。中国においてシェールガス開発計画を推進し、速やかな産業化を実現し、天然ガス供給を確保し、エネルギー自給率を引き上げることはエネルギー安全保障において重要である」と述べた。 国有大手3社(CNPC、Sinopec、CNOOC)、国内石炭大手の中煤、国有CBM企業のCUCBM、陝西延長石油、河南煤気が会議に参加した。国有3社、陝西延長はシェールガス鉱区を保有、探鉱井掘削実績がある。CUCBMはシェールガス1次入札に参加した。河南煤気はシェールガス1次入札で秀山鉱区を落札した企業である。中煤は現在のところ鉱区を保有しておらず探鉱も行っていない。 会議では資機材の自主開発化戦略として大型のフラクチャリング用ポンプ車、ブリッジプラグ、高効率ドリルビッド等設備の自主開発を進めることや、国際協力と自主開発の結合により中国の地質条件にあったシェールガ胎た2012.11 Vol.46 No.6アナリシス,753km2)は落札者がなかった。 1次入札では入札参加は国内企業のみであり、外資は中国企業が鉱区を落札した後に探鉱・開発事業に参加することが可能とされた。(0.2Bcfd)である。 陝西延長石油はオルドス盆地でシェールガスを対象とした探鉱井を複数掘削している。 CNOOCは貴州Xiangyangzi鉱区等を保有しているが活動状況は不明である。 外資の動き PetroChinaなど大手国有石油企業とShellの提携が先行し、Eniがこれに続く。米国でシェールガス・タイトオイルの開発を行っている中堅のHessが新疆でタイトオイルの共同調査を行っている。米サービス大手のSchlumbergerが重慶市政府と提携し、調査井9坑を掘削している。順シ【Shell】 外資で最も早く中国のシェールガス開発に参加した。チョワンフー川2009年9月、PetroChinaはShellと富(Yongchuan)シェールガス鉱区(面積3,732km2)の共同評価契約について合意した(2012年3月、共同評価契約からPS契約に切り替えている)。2012年10月、同鉱区の陽(Yang)201-H2井においてこれまでで最高の1万5,900Mcf/日のガスフローが得られたようである。ヨンュン(Fushun)-永②2次入札 2012年9月国土資源部は、第2次中国シェールガス鉱区を公開した。対象は1次入札より規模が大きい。重慶、貴州、湖北、湖南、江西、浙江省、安徽、河南の8省(市)の20鉱区(総面積2万2km2)が公開された。 今回は入札参加要件が緩和された。資本金3億元(約38億円)以上の石油・天然ガスの探鉱開発を実施できる資格を備えた中国国内企業、あるいは探鉱開発を実施できる資格を備えた国内外企業とのジョイントベンチャー(JV)が入札に参加できる。つまり外資は国内企業とJVの形で入札に参加することができることになった。探鉱権は期間3年、探鉱投資額は年3万元以上、義務井500km2あたり2坑である。落札者は探鉱計画で定めた度について書面で管理機探鉱を実施し、作業量や進関に承諾を求める必要がある。中国国内企業70社以上が入札に参加したようだ。捗ちしんょく シェールガス探鉱開発状況 中国では2010年頃から2012年6月までにシェールガスを対象とした探鉱(調査)井62坑を掘削、24坑でガス徴が見られている。シェールガスの探鉱開発はPetroChinaやSinopecが既に探鉱ライセンスを取得している既存の油ガス鉱区と新たに鉱区設定された地域で行われている。中国政府の調査によると、シェールガス胚胎の可能性がある地域が111万km2の面積にわたるが、その7割は既存の油ガス鉱区内に位置している。 中国で先行的にシェールガスの探鉱開発を行っているのは、同国最大の石油天然ガス開発企業であるPetroChinaで、四川盆地において重点的に探鉱を進めている。PetroChinaは国家の先行試験開発鉱区に指定されている四川盆地の威遠(Weiyuan)と長寧(Changning)鉱区で探鉱を進めており、これらの先行試験開発鉱区から2015年に10億m3/年(0.1Bcfd)のシェールガスを市場に供給する計画である。 Sinopecは山東、山西、陝西、安徽、貴州、江蘇省でCBMおよびシェールガスの鉱区を保有し、複数の探鉱井を掘削している。四川・重慶地域において良好な成果が得られている。2012年3月、Sinopecの四川元覇(Yuanba)21井で1万7,900Mcf/日のガスフローを得ている。Sinopecの2015年のシェールガス生産目標は20億m3【ExxonMobil】 ExxonMobilは2011年7月、Sinopecと四川盆地Wuzhishan-MeiguEast鉱区で共同スタディ契約を締結。内容は既存震探データの再処理・解析、現地調査、サンプル収集とラボにおける評価を行っているようだが詳細は不明である。【HESS】 HessはPetroChinaと新疆三塘湖盆地でシェールオイルの共同評価を実施している。対象は上部ペルム系Lucaogou層である。根源岩TOCは平均5.44%。浸透率は0.01ミリダルシー(mD)。2015年1万6,000バレル/日、2020年4万バレル/日の生産を目指している。2011年にHessは大慶Yongle-Toutai鉱区でシェールオイルの共同評価を行ったが、地質条件が複雑で資源量も商業量ではなく既に撤退している。【Eni】 Eniは四川でPetroChinaと共同スタディを行う。 CNPCのウェブサイト(6月19日)によると6月11~15日にかけてEniの視察団がEni、PetroChinaで共同調査を行う予定の四川省西南ガス田鉱区に調査団を派遣、39石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-]価したが、PetroChina西南分公司は両構造の4,000mより浅いエリア(深いと浸透率が低くなり、坑井の掘削・仕上げコストがかさみ経済性が損なわれる)の資源量を145~363Tcfと、EIAよりかなり低く評価している。②技術の不足:自主開発vs.IOCとの提携、米サービス企業の活用 多段階フラクチャリングなどの開発技術が不足しているが、国内企業を優先し、国産化志向があり開発速度が緩慢になる恐れがある。米国のように中小の石油企業が地主から土地を借り、坑井掘削を進め、中小のサービス企業が参加し、競争によりコスト低減が実現でき、シェールガスの生産が伸びたケースとは状況が大きく異なる。中国三大石油企業は傘下に物理探査からロジスティクスに至るまで技術サービス会社を有しており、国外にも積極的に進出している。彼らは極力傘下企業を使う方針である。③ロジスティクス: 幹線パイプラインの不足(第三者アクセスの問題を含む)山間部や砂漠、逆に人口密度の高い地域などでは掘削可能地域が限られ、シェールガス大規模開発の適地確保、機器の輸送が困難な地域がある。小学校のグラウンドほどの平地が必要と聞くが適地の確保と、土地の造成、機器の輸送インフラ整備はコスト増につながる。④水資源:北部や西部における水資源の不足 シェールガス開発には水圧破砕(人工的に割れ目をつくる)の際、大量の水(一つの坑井に3,000~1万m3)の水を必要とするので、その確保や排水処理が課題となる。中国は北部や西部において深刻な水不足に直面している地域があるが、現在調査・評価が進められている南部地域は水資源が豊富であり、水の確保について大きな問題はないと思われる。ただし環境意識が高まる中国で、特に大手のPetroChinaは排水処理や土地使用について慎重に対処する必要がある。 PetroChina西南分公司は、運河や河川の水を処理してフラクチャリング作業を実施した。また威遠鉱区の威(Wei)28井ではフローバック後のフラクチャリング流体のリサイクルを試みている。(2) 国産ガス供給を担うのは当面タイトガス 前述のように、中国政府はエネルギーの安定供給、自給率向上のためシェールガスの早期開発に意欲的である。しかしPetroChinaや内外の専門家からは“シェール40ーー渓シ馬マ予備調査・評価を実施した。 視察団は“鉱区”概要について報告を受け、鉱区内の地質と掘削過程で得られた地下の状況、シェールガスの西南地区における分布やリザーバー特性について鉱区の実務者と交流した。 その後視察団は長寧県双河鎮シェール露頭地域においロンて実地観察を行い、シルル系龍(Longmaxi)層のシェールの形状について理解した。さらに視察団は“鉱区”の地形、人文風俗および水資源の供給等の外部環境についても実地調査を行った。【DartEnergy】 ShellとPetroChinaが買収した豪CBM企業ArrowEnergyは2010年7月、国外事業部門をスピンオフしてDartEnergyを設立した。現在豪州、中国、インド、インドネシア、英国、ベルギー、ポーランドでCBMの探鉱を行っているが、そのDartEnergyは河南煤気と秀山(Xiushan)鉱区の一部を共同調査することで合意した模様である。米サービス大手Schlumberger、中国のシェールガスサービス企業に投資 中国の油ガスサービス企業の9割は三大石油公司傘下にあるが、中小サービス企業が約1,200社存在する。 Schlumbergerは2012年7月、香港のサービス企業AntonOilfield Serviceの株式20.1%を8,000万ドル(約65億円)で取得し、第2位の株主となった。AntonOilfieldServiceはPetroChinaやSinopecにサービスを提供しており、Schlumbergerは中国のシェールガスサービス事業へのアクセスの足がかりになると考えている。 また同年9月、Schlumbergerは香港のサービス企業AntonOilfieldServiceとの提携に続き、重慶市政府とシェールガス開発に係るJVを設立した。JV出資比率は公表されていないが恐らく50:50と見られる。既にこのJVによりQianye-1井を含む9坑を掘削している。 中国におけるシェールガス開発の課題①地質条件: 中国は米国より地質条件が複雑(頻繁な地震により大きな地殻変動あり)である。四川やタリム盆地の貯留深度が深いエリアでは4,000~6,000mの掘削が必要で、コスト上昇、経済性悪化につながる恐れがある。 EIAは2011年4月のレポートで技術的回収可能資源量1,275Tcfのうち、四川(龍馬渓Longmaxi・?竹寺Qiongzhusi構造)の技術的回収可能資源量を692Tcfと2012.11 Vol.46 No.6アナリシスnまったようである。 CNPC勘探開発研究院(廊坊)のWanYujin氏*3は、中国のタイトガス生産量は2015年に300億m3(3Bcfd)、2030年に400億~600億m3(3.9~5.9Bcfd)に増加するとの見解を示している。メジャーのタイトガス開発への参加【Shell】 ShellはPetroChinaとオルドス盆地長北(Changbei)鉱区でタイトガスの共同開発を行っている。2005年にPS契約を締結、2007年商業生産を開始。現在35億m3/年(0.3Bcfd)を生産中で2期開発を準備中である。 このほか四川金秋(Jinqiu)鉱区のタイトサンド開発について2010年3月にPS契約を締結した。20億~30億m3/年(0.2~0.3Bcfd)の生産を目指している。【Total】 TotalはPetroChinaとオルドス盆地南蘇里格(Sulige)鉱区でタイトガスの共同開発を行っている。2006年にPS契約を締結、蘇里格ガス田は、PetroChinaが北部を単独で開発、南部をTotalと共同開発しており生産は順調に伸びている模様である。2010年の生産量は100億m3/年(1Bcfd)、2015年には250億m3/年(2.4Bcfd)に達する見通しである。小型LNG液化事業、CNG自動車でCBM開発進展 CBM(coalbedmethane、中国語では“煤層気”)は石炭の生成過程で生じ、地下の石炭層(またはその近傍の地層)中に貯留されたメタンを指す。米国のCBM生産は天然ガス供給の2%を占めている(図18)。 中国政府が行ったCBM資源評価によると、2,000mより浅いところにあるCBMの資源量は36.8兆m3(約1,300Tcf)である。現在、主に山西省沁水、オルドス、新疆ジュンガル盆地で開発・生産中である(図19)。開発中の主な貯留層は、石炭系から二畳系の石炭層で、貯留深度が400~700mの比較的浅いところで行っている。上記の開発地域で2011年までに約5,400坑が掘削されている。 世界最大の産炭国、消費国である中国は2011年に石炭(原炭)約35億トンを生産し、33億トンを消費した。2009年以降、石炭についても純輸入国となり、2011年の石炭純輸入量は約1億7,000万トン(輸入比率は消費の5%)に達した。 中国でのCBM開発は炭鉱の爆発事故を防ぐためのガス抜きという発想で、1990年代から開発が始まった。492276691%23%26%9%9%10%21%シェールガスタイトサンドガス2%海上ガス田コールベッドメタン油田に随伴するガスガス田199520002005201020152020202520302035年%実績2010予測%3025201510501990出所:EIA図18米国の天然ガス供給(2011~2035年)ガスの開発は着実に進めつつ、タイトガスやCBMを先行開発することが現実的”という声が強まっている。これを受け、PetroChinaは技術の成熟度、経済合理性から、シェールガスの評価は進めつつ、米国同様タイトガスやCBMの開発を先行的に進めると思われる。当面はシェールガスではなく、タイトガスやCBMが中国の天然ガス供給を支えていくことになると思われる。本格的な開発に入ったタイトガス タイトガス(中国語で“緻密(砂岩)気”)は浸透率の低い砂岩(中国では0.1ミリダルシー〈mD〉以下)に含まれるガスを指す。タイトガスはシェールガス同様、水圧破砕や水平坑井により生産を行う。米国において40年以上の生産実績がある。現在タイトガスは米国の天然ガス供給(約6,500億m3/年〈63Bcfd〉)の約3割を占めている(図18)。 中国のタイトガスは主に長慶(Ordos;オルドス)、四川(Sichuan)、新疆タリム(Talim)盆地、松遼(Songliao)盆地に胚胎しており、技術的に開発可能な資源量は12兆m3(420Tcf)程度とされる。これまでにオルドス盆地では蘇里格(Sulige;スリグ)や子州(Zizhou)ガス田が、四川盆地では合川(Hechuan)ガス田が、松遼盆地では徐深(Xushen)ガス田などが発見されている(図19)*2。オルドス盆地蘇里格ガス田を中心にタイトガスの生産が行われており(タイトガス生産の8割はオルドス盆地)、2010年の生産量は160億m3(1.6Bcfd)で中国の天然ガス生産の約2割を占めている。 中国では1970年代からタイトガスの存在が確認されていたが、彼らの言うところによると“三低”(低浸透率〈Lowpermeability〉で、地層圧力が低く〈Lowpressure〉、低賦存〈Lowabundance〉)という課題を抱え、開発が進まなかった。しかし天然ガス需要の高まりと技術革新により2006年頃からタイトガスの大規模開発が41石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-Wュンガル盆地ジュンガル盆地松遼盆地松遼盆地トルファン・ハミ盆地トルファン・ハミ盆地タリム盆地タリム盆地南蘇里格南蘇里格(Sulige South)(Sulige South)陜甘寧陜甘寧チャイダム盆地チャイダム盆地蘇里格蘇里格(Sulige)(Sulige)生産中生産中1.5Bcfd1.5Bcfd(オルドス)(オルドス)盆地盆地徐深徐深(Xushen)(Xushen)北京北京(渤海湾)(渤海湾)華北華北盆地盆地長北長北(Chaybei)(Chaybei)四川盆地四川盆地合川合川(Hechuan)(Hechuan)金秋金秋(Jingin)(Jingin)出所:各種情報に基づきJOGMEC作成図19主な油ガス堆積盆地と開発中の主なタイトガス田イリイリジュンガル盆地ジュンガル盆地(新疆)(新疆)ハイラル盆地ハイラル盆地(大慶)(大慶)松遼盆地松遼盆地(吉林)(吉林)トルファン・ハミ盆地トルファン・ハミ盆地二連盆地二連盆地タリム盆地タリム盆地チャイダム盆地チャイダム盆地(青海)(青海)オルドスオルドス盆地盆地(長慶)(長慶)(遼河)(遼河)北京北京華北(渤海湾)盆地華北(渤海湾)盆地(勝利)(勝利)沁水沁水盆地盆地四川盆地四川盆地雲南・貴州・広西 地域      雲南・貴州・広西 地域      100Tcf 超100Tcf 超35?100Tcf35?100Tcf出所:各種情報に基づきJOGMEC作成図20主な油ガス堆積盆地とCBM資源CBMは地層圧力、生産井の急激な減退などの課題があり多数の坑井掘削を行うためコストがかさむ。またガス田ごとの生産量が少なく、単独ではパイプライン建設などのインフラ投資を行うことは経済合理性にかなわず、開発が難しかった。またCBMのライセンス(中央政府発行)と炭鉱(地方政府発行)のライセンスの重複発行による係争も生じ開発は進まなかった。 CBMは2009年前後から開発が進み出した。政府のCBM開発促進策(価格自由化、補助金、税制優遇策など)、ライセンス問題の解決もさることながら、最大の原因として2.(3)「幹線パイプラかんきを縫う小型LNG」で述べたとインの間おり、導管整備の遅れによってパイプラインの空白地帯に生じたサテライト市場と、その市場にLNGローリー車でサテライト供給を行う国産小型LNGビジネスの隆盛が挙げられる。山西省を中心にCBMを原料とする小型のLNG液化事業が数多く展開している。ただしPetroChinaが幹線パイプラインの広東等南部地域への延伸を進めており、今後サテライト市場の規模は縮小する可能性がある。 CBMの第12次五カ年計画によると、2010年のCBM年産量は15億m3であった。またCMM(CoalMineMethane;炭鉱採掘過程で発生・回収されるガス)は年産量が75億m3(利用量は23億m3)であった。国家能源局は第12次五カ年計画期間中にCBM生産量を300億m3/年とする目標を設定した。目標のうち160億m3/年はCBMで基本的に全量利用、あとの140億m3/年は炭鉱におけるCMMの利用率を60%に高めるとしている。隙げ(3) 需給ギャップを補完する輸入ガス調達  (LNG、パイプラインガス) 中国の天然ガス消費は2015年には倍増し、2,700億m3(26Bcfd)に達する見通しである。2015年時点の需給ギャップは約1,100億m3(11Bcfd)に達し、パイプラインガスによる輸入660億m3(6.4Bcfd)、輸入LNG約3,200万トン/年(440億m3〈4.3Bcfd〉)で補う計画のようだ。2015年時点の輸入LNGのインフラ整備と供給見通しはおおむね合致しているが、パイプラインガスのインフラ整備は供給計画を若干下回る懸念がある。422012.11 Vol.46 No.6アナリシス合川(Hechuan)合川(Hechuan)金秋(Jingin)金秋(Jingin)長北(Chaybei)長北(Chaybei)南蘇里格(Sulige South)南蘇里格(Sulige South)徐深(Xushen)徐深(Xushen)蘇里格(Sulige)生産中1.5Bcfd蘇里格(Sulige)生産中1.5BcfdJザフスタンTurkmenistan-ChinaTurkmenistan-ChinaAlmatyShymkentShymkentキルギスタンウズベキスタンCentral Asia-CentreCentral Asia-CentreBozoiBeyneuアラル海カスピ海トルクメニスタンタジキスタンBagtiyarlyk Block中 国イランダウレタバードガス田南ヨロテンガス田アフガニスタン0100200400km出所:JOGMEC作成図21中央アジアの天然ガスパイプライン網 輸入LNGインフラ整備計画とLNG調達 輸入LNGのインフラ整備は一部の稼働中の基地の増強と、2013年以降立ち上がる基地のランプアップを考慮すると、2015年時点は大体供給計画どおりに進展しそうである。 中国では現在LNG受入基地6基地が稼働中である。2011年に江蘇省如東、遼寧省大連基地が運用を開始し、2012年9月に浙江省寧波基地が試運転を開始した。6基地の受入能力を合わせると約2,200万トン/年(約300億m3/年)となる。2006年に運用を開始した広東(大鵬)受入基地はタンクや気化器を増設し、受入能力を当初の370万トン/年から680万トン/年に増強している。福建、上海、江蘇、大連基地はランプアップ中(フル稼働に向けて稼働率を引き上げている)である。また、福建基地についてCNOOCは25億元(約330億円)を投じ、LNG貯蔵タンク(16万m3)を2基増設し、16万m3×6基とする計画を進めている。 中国は現在LNG受入基地5基地(広東珠海、天津FSRU*4、河北〈曹妃甸〉、山東、海南〈洋浦〉)の建設を進めている。広東珠海、天津FSRU、河北(曹妃甸)基地は2013年の稼働開始の見込である。山東、海南(洋浦)は2014年稼働開始の見込みである。これら5基地の1期受入能力を合わせると1,420万トン/年(約200億m3/年)となる。 このほかSinopecは、同社2基地目となる広西北海LNG受入基地(300万トン/年)の建設準備を進めており、CNOOCは広東省深?LNG受入基地(400万トン/年)建設について2012年6月に国家発展改革委員会の承認を得た。いずれも2015年中の稼働開始を目指している。 稼働中5基地、建設中5基地、建設準備中2基地の受入能力を合わせると4,320万トン(約600億m3/年)となる。中国3社は2002年から2012年にかけてLNGの長期売買契約(期間15~25年)を締結しており、2015年頃稼働基地の必要とするLNGの調達はおおよそ完了している。輸入パイプラインガスインフラの現状 輸入パイプラインは、インフラ整備やランプアップのペースから2015年時点では供給計画を若干下回るのではないかと懸念される。【中央アジア天然ガスパイプライン】 中央アジア天然ガスパイプライン(ラインA・B)はCNPCがトルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタンと共同で建設し、2010年に運用を開始した(図21)。中国国境(新疆)まで総延長2,006km(トルクメニスタン188km、ウズベキスタン525km、カザフスタン1,293km)で、ラインAとラインBを合わせた輸送能力は400億m3/年(3.9Bcfd)である。現在の輸送量は約5,500万m3/日で運用開始から2年半で200億m3/年までランプアップが進んだところである。現在の主な供給源はトルクメニスタンのバグチャーリク(Bagtiyarlyk)鉱区(CNPCが100%PSA権益を保有)と、Turkmengazのマライ・ガス田である。 将来的には南ヨロテンガス田からの供給が期待されている。南ヨロテンガス田は1990年以降発見されたガス43石油・天然ガスレビュー上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-?@ 国中  国貴陽貴陽安順安順ミッチーナミッチーナ端麗端麗マンダレーマンダレー大理大理楚雄楚雄昆明昆明曲靖曲靖保山保山玉渓玉渓雲 南雲 南安寧(計画中)(計画中)文山文山蒙自蒙自ベトナムベトナムチャウッピューチャウッピューミャンマーミャンマーラオスラオス出所:JOGMEC作成Sinopec 製油所PetroChina 製油所ガスパイプライン<建設・計画中>原油パイプライン<建設・計画中>石油製品パイプライン<稼働中>石油製品パイプライン<計画中>都匀都匀河池河池広 西広 西南寧南寧欽州柳州柳州貴港貴港北海北海茂名図22ミャンマー~中国間の石油・天然ガスパイプライン田のうち最大級のガス田で、確認・推定埋蔵量(2P)が約100Tcfとされている。中国はその開発資金を融資しており、将来はここからの供給が期待できる。2012年9月、周永康中国共産党中央政治局常務委員(CNPC元総経理)がトルクメニスタンを訪問、CNPCの天然ガス処理プラント等を視察した。南ヨロテンのガスを処理する第2天然ガス処理プラント(処理能力100億m3/年)は中国石油工程建公司(CPECC)がEPCを受注、4月に着工、現在86%完成しているという。第2ガス処理プラント完成によりトルクメニスタンから少なくとも300億m3/年の供給が現実的になってきた。 現在CNPCは中央アジア天然ガスパイプラインの増設(ラインCの建設)を進めており、一部区間は着工した。ラインCはトルクメニスタン~ウズベキスタン~カザフスタン~中国国境まで1,840km、設計輸送能力250億m3/年、総事業費は38億ドル(10億ドルは中央アジア諸国との折半出資、あとの28億ドルは銀行融資により調達。投資回収は2015年を予定)。ラインCの供給(250億m3/年)についてトルクメニスタンとウズベキスタンからそれぞれ100億m3/年を、50億m3/年はカザフスタンから輸入することになっている。 カザフスタン区間ベイニュー(Beyneu)-ボゾイ(Bozoi)-シムケント(Shymkent)まで1,475kmのパイプラインの建設はカザフスタン側との交渉が難航し、完工が数年遅れるという見方があるが、CNPCは8月に一部区間(Bozoi昇圧ステーションからバイコヌール宇宙基億m35,0004,0003,0002,0001,0000国産ガス(含む非在来)輸入ガス12次五カ年計画目標値(2011年3月)IEA(2011年11月)CNPC(2012年4月)出所:IEA等に基づきJOGMEC作成図232020年の天然ガス供給見通し地付近のジュサルイ〈Zhusaly〉までの572km)について着工したことを明らかにした。1期のBozoi-Shymkentは2013年秋の完成を目指す。当初の輸送能力は25億m3/年だが、2014年末にBozoi昇圧ステーションが完成すると、輸送能力は60億m3/年になると報じられている*5。またBeyneu-Bozoi間2期パイプライン(311kmのパイプラインおよびクズル〈Kzl〉-オルダ〈Orda〉の昇圧ステーション建設)は2014以降着工する計画とのことである。 ウズベキスタン区間のパイプラインの能力は、100億m3/年。2010年6月、ウズベキスタン、中国両政府は国営UzbekneftegazからCNPCに100億m3/年の天然ガス442012.11 Vol.46 No.6アナリシス沂汲キること、CNPCとUzbekneftegazのJVであるAsiaTransGasは2013年中に中央アジアPL(ウズベキスタン区間)を建設することで合意した。2011年12月にウズベキスタンのガズリ(Gazil)において起工式を行った。ウズベキスタンは2012年8月から中国に天然ガスの供給を開始しており、年末までに40億m3を輸出する見通しと報じられている。【ミャンマー~中国間天然ガスパイプライン】 CNPCはミャンマーから中国向けの天然ガスパイプラインの建設も進めている。ミャンマーのチャウッピュー(Kyaukpyu)から雲南省昆明(Kunming)まで原油パイプラインと並行して建設する天然ガスパイプライン(設計輸送能力120m3/年、口径1,016mm)は、ミャンマー区間(約800km)の建設が8割完了しており、2013年6月に全線開通予定と報じられている(図12)。 供給源はミャンマー沖合シュエ(Shwe)ガス田である。シュエガス田は韓国大宇などが開発しており、2013年に生産開始予定である。ミャンマーはCNPCと2008年12月に売買契約を締結、中国向け供給は約50億m3/年で、パイプラインの設計輸送能力を大きく下回っているようである。【ロシアからの天然ガス輸入をめぐる状況】 中国はロシアから天然ガスを輸入する案件について10年以上ロシアと交渉を行ってきた。2010年9月のメドヴェージェフ大統領訪中時、ロシアと中国は天然ガスについて包括的合意をみた。両国は2011年7月1日に輸出契約を締結し、2015年に天然ガスの輸出を開始(30年、300億m3/年)することを目指すとした。現在両国は600億m3/年の供給で交渉しているとも伝えられる。しかし最終的な売買契約締結やパイプラインの建設には至っておらず、供給開始は2020年以降となる公算が高い。 中国向けの天然ガス輸出交渉が進まないロシアは、中国のシェールガス開発進展に強い関心を抱いているようである。2012年7月、ロシアGazpromは中国のシェールガスプロジェクト視察のため専門家チームを訪中させる可能性があると報じられた。その後、CNPCの関係者は「Gazpromは長らくシェールガス革命を軽視していた。ロシアが専門家を送りたいというのは投資ではなく、進捗状況を確認したいためだろう。シェールガス開発技術はロシアにはなく米国にある。ロシアが求める中国の都市ガス事業への参加はPetroChinaではなく、地方政府が所管している事項だ。ロシアが中国にガスを販売しなければ国産のガスを使うだけだ」と強気(冷ややかな)見方を示していたと報じられた。中国がシェールガス開発と輸入LNGインフラ整備を加速し、ロシアから中国向けのガス600億m3/年の一部、あるいは全量が宙に浮く可能性がある。日本にとってこれは、近隣から安定的にガスを調達する好機とも考えられる。おわりに (2020年以降の需給ギャップをめぐる不確定要素) 2020年の天然ガス需要についてCNPC関係者から4,000億m3/年(39Bcfd)という見方*6が出ており、12次五カ年計画策定前後に比べ需要は上積みされている(図23)。ただし2020年以降の需給は、天然ガスの市場価格化に向けた改革やCBMやシェールガス等非在来型ガスを含む国産ガスの供給など多くの要素が絡み判断が難しい。 まず国産ガス供給を2,000億m3/年としているが、中国におけるシェールガスの本格的な開発は2020年以降の見通しで、タイトガス・CBMを含む供給で2,000億m3/年まで増やせるのかは不明である(石炭合成ガスを含むオールガスで2,000億m3/年としているのかもしれない)。また輸入ガスは2,000億m3/年(輸入LNG600億m3/年〈4,380万トン/年〉、輸入パイプラインガス1,400億m3/年)という供給計画があるが、ロシアからの天然45石油・天然ガスレビューガス供給は2020年以降の見通しなので、輸入パイプラインガスの数値達成は中央アジアとミャンマーだけでは実現が難しいと思われる。 中国はロシアとの合意を急いでいるようには感じられないが、ロシアと売買契約を結び2020年頃には輸入を開始するのか、それともシェールガスを含む国産ガス開発を加速させつつ輸入LNGインフラ整備を進め、ロシアのパイプラインガス抜きで当面を凌 2020年以降の中国における天然ガス需給は不確定要素が多く、予断を許さぬものがある。シェールガスの開発が順調に進展し、2030年前後に供給能力が拡大する場合、調達コストの高い輸入ガスから淘汰されることは必至である。一方、シェールガスの開発が順調に進まない場合、輸入LNGへの依存を強める可能性もある。ぐのか。しの上海ハブ、シェールガス大国誕生か? -中国のガスをめぐる状況-oodMackenzieは中国の2030年のLNG需要を740億m3/年(5,400万トン/年)と見ている*7。日韓等周辺のガス消費国あるいは天然ガス開発事業者の双方にとって悩ましい問題である。<注・解説>*Ⅰ:香港への2011年の天然ガス輸出量は32億m3*Ⅱ:ChinaLNGWeekly2012年9月10日*Ⅲ:天然ガス管網公司の広東省における臨時価格通知(粤価[2012]147号)*Ⅳ:2011年末のCNPC保有天然ガスパイプラインの総延長は約5万km、そのうちPetroChinaが3万6,000km*Ⅴ:InternationalOilDaily2012年7月31日*Ⅵ:ArgusChinaPetroleum2012年6月30日*Ⅶ:ChinaLNGWeekly2012年9月10日*Ⅷ:ChinaLNGWeekly2012年9月10日*Ⅸ:http://www.mlr.gov.cn/wszb/2012/yyqzy/zhibozhaiyao/201203/t20120301_1068963.htm*1:中国能源統計年鑑2011*2:“中国非常?天然气?源勘探??与政策思考”潘?平 国際石油経済(2011年6月)*3:“CurrentStatusandProspectofExplorationandDevelopmentofTightSandGasinChina”   (YujinWan2012WGC)*4:浮体式貯蔵・気化設備*5:ChinaLNGWeekly2012年7月2日*6:中国石油(CNPC)経済技術研究院徐博高級工程師(2012年4月第7回LNG国際セミナー)*7:“ProspectsforShaleGasDevelopmentinAsia”(CSIS2012年8月)執筆者紹介竹原 美佳(たけはら みか)神奈川県川崎市在住平成5年4月:石油公団(当時)入団  9年4月~13年1月:石油公団中国室  13~16年2月:石油公団企画調査部(中国担当)  16年3月~現在:現職(中国およびサブサハラ・アフリカ担当)暑さも和らぎ、12月のミニ駅伝(5km×4人)に向けてトレーニングを始めました。体力をつけ、今後も分かりやすい情報発信に努めたいと思います。462012.11 Vol.46 No.6アナリシス
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国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アジア,中国
2012/11/20 [ 2012年11月号 ] 竹原 美佳
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