ページ番号1006557 更新日 平成30年2月16日

欧州石油企業の活動と戦略

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レポートID 1006557
作成日 2015-03-23 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 企業探鉱開発
著者
著者直接入力 永井 一聡
年度 2015
Vol 49
No 2
ページ数
抽出データ JOGMECK YMCJOGMEC調査部永井 一聡欧州石油企業の活動と戦略はじめに 早くから石油産業を発展させてきた欧州には、米国と並んで多くの経験や実績を持つ石油企業が存在する。それらは「セブンシスターズ」を起源とするスーパーメジャーとまではいかなくとも、メジャーまたは準メジャー企業と称される規模で、世界で活動を展開している。もちろん、そのような大規模で活動できている企業は、元来もしくは現在も国営企業であるものも多く、国営だからこその資本力・技術力を持っているとも言える。 本稿では、欧州各国の石油上流部門を代表する企業のうち、スーパーメジャーを除くものについて、それぞれが持つ強みや事業の特徴を踏まえ、活動の動向と戦略について紹介したい。欧州を基盤とする代表的な石油企業について 図1に、欧州を基盤とする代表的な石油企業の売上高と生産量を示した。 Shell、BP、Totalは世界の5大スーパーメジャーに含まれる企業である。スーパーメジャーの動向についてはJOGMEC調査部内で他の担当者が動向を追っているのでここでは触れない。 本稿では、イギリスのBG Group、ノルウェーのStatoil、イタリアのEni、スペインのRepsol、ドイツのWintershallの5社の活動と戦略について紹介する。生産量[万boe/d]売上高[10億ドル]5004003002001000リギイell(hSンラオ・スダB)P(ギイ)スotal(リT)スンラG GroフB)スリギStatoil(出所:各社Annual Reportを基にJOGMEC作成生産量売上高)ツイドall(ーェウ)E)アuルノイp()ンintersh図1 欧州の代表的な石油企業の売上高と生産量sol(ni(リRpeタイスWイペ1. BG Group(1)会社概要 BG Groupは、近年、ガスメジャーと称されることもあるイギリスの企業である。国営British Gas Corp.に起源を持ち、元々はイギリス国内における天然ガスの購入・輸送・配給を独占的に行い、探鉱・開発部門にも進出していたが、その活動は小規模なものであった。 1980年代の国営企業民営化の流れのなか、1986年に同社も株式を公開し、British Gas plc.と社名変更、民営49石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 4915/03/02 10:54:13アナリシスOGMECK YMCまた、BG Groupが掲げる戦略では、LNGも極めて重要な位置づけとなっている。今後世界的に拡大していくガス需要に対してLNGが主要な役割を果たし、新たな出所:BG Groupホームページ図2BG Groupの設立の経緯その他<1%LNG輸送・販売LNG輸送・販売39%39%探鉱・生産(上流)探鉱・生産(上流)61%61%出所:BG Group Annual Reportを基にJOGMEC作成図3BG Groupの売り上げの部門別割合(2013年)化された。そして、この民営化から2年後の1988年に探鉱・生産部門を設立、本格的に天然ガスの上流事業に進出していくこととなり、さらに1997年にこの上流部門がBG plc.として分割・設立された。なお、1997年に分割された下流部門(英国内でのガス小売り部門)は現在のCentrica plc.である。BG plc.は、その後の2000年にさらに天然ガス輸送パイプライン事業部門をLattice Group plc.(現在のNational Grid plc.)として分割し、上流事業部門が現在のBG Groupとなった(図2)。(2) 探鉱・生産(上流)部門とLNG輸送・販売部門の2本柱う榜ぼ BG Groupの事業は、石油・天然ガスの探鉱・生産(上流)部門とLNG輸送・販売部門2本の柱としている。売上高では、約6割が探鉱・生産(上流)部門、約4割がLNG輸送・販売部門である(図3)。 探鉱・生産活動は世界20カ国以上で活動を展開(図4)し、既存インフラや地質情報が既に整備済みの既存地域と、リスクは存在するものの大規模発見が期待できる新規地域とに大別して戦略を掲げている。また、これらの取得機会を逃さないよう、迅速な意思決定を行うことも重要視し、そのような組織体制となっていることも標  BG Groupの生産量推移を図5に、2013年の生産量の各国別割合を図6に示す。2013年の生産量で最も多かったのはエジプトで、次いでイギリス、カザフスタン、トリニダード・トバゴ、アメリカ合衆国となっている。している。ひょうLNG 受入基地LNG 液化基地 (操業中)LNG 液化基地 (計画中)出所:BG Group ホームページ等を基にJOGMEC作成020004000Km図4BG Groupの上流事業活動地域と出資するLNG基地50アナリシス_永井.indd 5015/03/02 10:54:142015.3 Vol.49 No.2アナリシス彙oe/d天然ガス石油・液体分オーストラリアオーストラリア4%4%ボリビアボリビア6%6%JOGMECK YMCインドインド3%3%ノルウェーノルウェー0.3%0.3%エジプトエジプト18%18%チュニジアチュニジア6%6%ブラジルブラジル6%6%タイタイ6%6%イギリスイギリス16%16%アメリカアメリカ合衆国合衆国9%9%トリニトリニダード・ダード・トバゴトバゴ11%11%カザフスタンカザフスタン15%15%2004200520062007200820092010201120122013年出所:BG Group Annual Reportを基にJOGMEC作成出所:BG Group Annual Reportを基にJOGMEC作成BG Groupの生産量の国別割合(2013年)図680706050403020100図5BG Groupの生産量推移LNG供給源の確保が求められるとしている。自らのLNG事業を「独特なLNGモデル」と称し、多様なLNG供給源から競争力のあるLNGを市場へ供給することで、市場で確固たる地位を築き上げるとしている。BG Groupが販売するLNGのほとんどは、供給源を特定しないポートフォリオLNGと呼ばれるもので、自社のLNG上流権益の保有にこだわらず、BG Group自身が買い主となっているLNGからも供給されている(いわゆるLNGトレーディング)。BG GroupのLNG供給先は7割以上がアジアで、特に中国が全体の約4割を占めている(図7)。(3)近年の活動について イギリス北海、エジプトのナイルデルタ沖合、カザフスタンなど、既に十分な探鉱・生産実績のある地域に加え、近年はブラジル沖合Santos Basinのプレソルト鉱区の探鉱や、オーストラリア・クイーンズランド州の非在来型資源コールベッドメタン(CBM:Coalbed Methane=炭層ガス。オーストラリアではコールシームガス〈CSG:Coal Seam Gas〉とも言う。石炭層に吸着しているメタンガスで、近年アメリカやオーストラリアで開発が進められている)を原料ガスとするLNGプロジェクトなど、新たな地域・領域での事業拡大を進めている。また、北米からのLNG輸出となるアメリカ合衆国Lake Charles LNGプロジェクト、およびカナダ・ブリティッシュコロンビア州のPrince Rupert LNGプロジェクトにも参画している。①ブラジルでの探鉱活動 BG Groupは2000年にブラジルの南東部洋上Santos 51石油・天然ガスレビュー出所:BG Groupホームページ図7BG GroupのLNG供給源と供給先割合(2014年見込み)Basinのプレソルト鉱区3鉱区に参画して以降、ブラジルでの探鉱・開発活動を拡大させてきた(図8)。2013年には北東部洋上のBarreirinhas Basinの鉱区10鉱区を獲得した。これらの鉱区の多くはPetrobrasがオペレータを務めるが、BGが参画する鉱区内でこれまでに発見した埋蔵量の合計は60億boe(BG Group権益保有分として)になるとのことだ。 これらの油田は既に生産を開始しているものもあるが、計画中のものも全て含めた生産量合計(グロス)は260万boe/dと見込まれ、BG Groupにとって生産量拡アナリシス_永井.indd 5115/03/02 10:54:16欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMC大に大きく寄与しよう。 また、新たに獲得したBarreirinhas Basinの鉱区など、今後の探鉱への期待も大きく、BG Groupにとってさらなる埋蔵量・生産量の拡大につながるポテンシャルを大きく秘めた地域である。〈活動経緯〉2000年 Santos Basinの3鉱区を獲得2006年  BM-S-11鉱区Lula(Tupi)で石油・ガスを発見(可採埋蔵量83億バレル)2008年  BM-S-9鉱区Sapinhoa(Guara)で石油発見(可採埋蔵量21億バレル)     BM-S-11鉱区Iaraで石油発見(周辺鉱区を合わせて可採埋蔵量50億バレル以上)2010年 Lula油田で生産開始2013年 Sapinhoa油田で生産開始     Barreirinhas Basinで10鉱区を獲得②タンザニアでの探鉱活動とLNG計画 BG Groupは2010年にタンザニア洋上Block1、3、4の3鉱区(図9)に参加(2011年からオペレータ。現在の権益比率は60%)し探鉱活動中で、これまでに埋蔵量合計として15Tcfの天然ガスを発見した。Block1、3、4はモザンビークと国境を接する同国南部のRovuma~ Tanzania Coastal 堆積盆に位置し、最大水深が約3,000mの大水深鉱区である。 なお、Block2はStatoilが60%を保有しオペレータ(パートナーはExxonMobilで35%保有)を務め、Block2でも多くの天然ガスが発見された。 BG Groupは、この天然ガスの商業化手段として、LNGによる輸出プロジェクトを検討しているが、天然ガス関連法規が未整備であることなどによりその作業が滞っているので、最終投資決定は早くとも2018年になるという見方も出ている。出所:BG Groupホームページ図8BG Groupが保有するブラジルの鉱区52アナリシス_永井.indd 5215/03/02 10:54:172015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMC表1BG Groupがブラジルで保有する鉱区地域鉱区BG Group保有割合パートナー主な発見生産開始年等Santos BasinBM-S-9Barreirinhas BasinBM-S-11BM-S-50BAR-M-298、340BAR-M-215、217、252、254BAR-M-300、342、344、38830%25%20%100%75%50%出所: 各種資料を基にJOGMEC作成Petrobras45%、Repsol Sinopec Brasil25%Petrobras65%、Petrogal Brasil10%Petrobras60%、Repsol Sinopec Brasil20%-PTTEP Brasil25%Petrobras40%、Petrogal Brasil 10%Sapinhoa(Guara)、Lapa(Carioka)Lula(Tupi)、Iara2013年2010年Sagitario評価中探鉱計画中探鉱計画中探鉱計画中出所:BG Groupホームページ図9BG Groupが保有すタンザニアの鉱区〈活動経緯〉2010年  タンザニア洋上鉱区Blocks1、3、4に参画     PwezaとChewaで天然ガス発見2011年  Chazaで天然ガス発見     BG Groupがオペレータとなる2012年  Jodari、MziaとPapaで天然ガス発見2013年  Mkiziで天然ガス発見③LNGビジネスの拡大 事業戦略としてLNGを重要な位置づけとしているとおり、LNGプロジェクトへの参画も拡大する計画であ(表2)。る 2014年12月、オーストラリア・クイーンズランド州で進めるQC LNGプロジェクトが生産を開始し、2015年1月に第1船目の出荷を果たした。このプロジェクトは、世界で初めての非在来型天然ガス、コールベッドメタンを原料ガスとしたLNGプロジェクトである。BG Group53石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 5315/03/02 10:54:17欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMCのLNG供給ポートフォリオに組み込まれ、日本の東京ガスや中部電力にも供給されることになっている。 また、シェールガス革命によって天然ガス輸出計画が多数推し進められている北米地域のプロジェクトにも参画している。アメリカ合衆国のLake Charles LNGプロジェクトは、既存のLNG受入基地に液化設備を建設し、国内パイプラインガスを液化して輸出する計画で、2019年に生産開始の予定である。2013年8月にアメリカエネルギー省(DOE)により非FTA締結国向けの輸出が承認されている。カナダのPrince Rupert LNGプロジェクトは、同国ブリティッシュコロンビア州で生産される天然ガスを液化して輸出するもので、最大2,100万トン/年のLNG生産を行う計画である。表2BG Groupが出資するLNGプロジェクト液化能力(万トン/年) 生産開始年出資者199920022003200520052005計画中2014201420192019計画中計画中BP 34%、BG 26%、Shell 20%、CIC 10%、NGC 10%BP 42.5%、BG 32.5%、Shell 25%〃BP 37.78%、BG 28.89%、Shell 22.22%、NGC 11.11%BG 35.5%、Petronas 35.5%、EGAS 12%、EGPC 12%、GdF Suez 5%BG 38%、Petronas 38%、EGAS 12%、EGPC 12%BG、RWEBG 50%、CNOOC 50%BG 97.5%、東京ガス 2.5%BG、Southern Union CompanyBGBGBG国プロジェクト名トリニダード・トバゴ Atlantic LNGエジプトELNGオーストラリアQC LNGTrain 1Train 2Train 3Train 4Train 1Train 2Train 3Train 1Train 2310330330520360360N.A.425425アメリカカナダLake Charles約1,500Prince Rupert LNGTrain 1、21,400タンザニアTanzania LNG出所: 各種資料を基にJOGMEC作成Train 3700N.A.2. Statoil(1)会社概要 Statoilは、1972年にノルウェーの国営石油会社として操業を開始し、2001年より一部民営化が行われてきたが、現在も株式の67%は国が保有する。ノルウェーの石油・天然ガス開発で先導的・中心的な役割を果たす企業である。図10にStatoilの生産量推移を示す。 石油・天然ガスの探鉱・開発(探査、掘削、採掘)で高度の技術力を有し、特に長年の経験を持つノルウェー大陸棚における過去5年間の探鉱成功率は70%以上と、業界平均の49%に比べて際立った成果を上げている。また、同社は保有する油・ガス田の回収率目標を60%と掲げ、これまでの実績としても全油・ガス田平均で45%以上である(一般的には油・ガス田の回収率は平均して30~40%とされる)。この採掘技術の高さによって既存油・ガス田の埋蔵量を上乗せさせるなど成熟地域の再開発も進めているが、同国政府の新規鉱区公開に伴い、未探鉱の海域であるバレンツ海など北極圏側へも探鉱活動を拡大させている。 近年は南米やアフリカなどの新興国を含めた世界各国での探鉱・生産活動を拡大させ、活動地域は30カ国以上にのぼる(図11)。 また、欧州地域で現在唯一のLNG輸出プロジェクトであるバレンツ海Snohvit LNGプロジェクトにも参画し、2007年からLNGの生産を開始している。54アナリシス_永井.indd 5415/03/02 10:54:172015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMC(2)ノルウェーの石油・ガス産業における絶対的な地位 全社生産量の約7割はノルウェー国内での生産(図12)。また、ノルウェー1国としての石油・ガス生産量の約4割は同社が占める。同国大陸棚(ノルウェー領北海、ノルウェー海、バレンツ海)では約40のフィールド開発のオペレータを務め、その他にも多くの保有鉱区でオペレータとして探鉱活動を進めている。 ノルウェーの石油・天然ガス開発の中心は洋上で、ノルウェー領北海、ノルウェー海、バレンツ海の3地域に大別される。ノルウェー領北海は英領北海と同じく成熟化が進んだ地域とされるが、2007年にLundin PetroleumがEdvard Grieg油・ガス田を発見したことで同地域の探鉱対象に新たな地層・構造が加わった。特にノルウェー領北海中心部のUtsira High構造と呼ばれる堆積盆は多くの関心を集める地域である。Statoilは、2010年に同地域で埋蔵量18億~29億バレルとされる巨大油田Johan Sverdrup油田を発見し、現在開発計画の策定を進めている。一方、ノルウェー海、バレンツ海といった北方の海域は未探鉱の地域も多く、今後の探鉱が期待されるフロンティア地域とされる。Statoilもこれ200180160140120100806040200万boe/dユーラシア(ノルウェー以外)ユーラシア(ノルウェー以外)4%4%アフリカアフリカ11%11%南北アメリカ南北アメリカ14%14%ノルウェーノルウェー71%71%天然ガス石油・液体分20062007200820092010201120122013年出所:Statoil Annual Reportを基にJOGMEC作成図10Statoilの生産量推移出所:Statoil Annual Reportを基にJOGMEC作成図12Statoilの生産量の国・地域別割合(2013年)出所:Statoilホームページ等を基にJOGMEC作成図11Statoilの上流事業活動地域020004000Km55石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 5515/03/02 10:54:19欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMCら海域での探鉱・開発活動に積極的に参画、2011年にはバレンツ海Skrugardで石油を発見し、現在Johan Castbergプロジェクトとしてこれも開発計画の検討が進められている。①ノルウェー領北海Johan Sverdrupプロジェクト 現在Statoilが国内で最も重要視しているプロジェクトである。Johan Sverdrup油田は2010年に発見され、ノルウェー領北海で発見された油田でも最も大きな発見の一つとされる。ライセンスPL501とライセンスPL265の両鉱区にまたがる巨大油田である(図13)。現在、開発計画を策定中だが、その石油埋蔵量は現段階で18億~29億バレルと評価され、ピーク時の生産量は55万~65万b/dと見込まれる。これは現在のノルウェーの石油生産量の4分の1にあたる量だ。Johan Sverdrup油田の生産開始は、現在2019年を予定している。同油田開発への投資額は、初期フェーズで150億~180億ドル、完全開発には250億~320億ドルになると見積もられている。 2014年後半からの油価下落により、北海地域の各石油プロジェクトの採算性が疑問視されるなか、Johan Sverdrupプロジェクトの開発・生産の損益分岐点となる原油価格は40ドル/バレル以下とされるが、2015年1月時点(原油価格=45~50ドル/バレル)においても開発は予定どおり進めると見られている。出所:Norwegian Petroleum Directorate図13Johan Sverdrup油田の位置56アナリシス_永井.indd 5615/03/02 10:54:192015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMC②バレンツ海での探鉱活動とJohanCastbergプロジェ(3) フロンティア領域も含めた世界で拡大させる探鉱・クト開発活動 バレンツ海は北極圏に含まれ、気象・海象が厳しく、技術的に開発が困難とされる。その探鉱・開発活動は約30年の歴史を持っているとはいえ、環境影響への考慮やロシアとの境界問題の解決から間もないこと(2010年に両国間で合意)などから、鉱区公開は段階的に行われている状態で、まだまだ未探鉱の地域も多い。Statoilは長年の経験と高い技術力を活用し、バレンツ海での探鉱活動も積極的に進めている。図14にバレンツ海の鉱区図を示す。 バレンツ海中央部において、2011年にSkrugard、2012年にHavis、2014年にDrivisでそれぞれ石油を発見し、これらは現在、合計埋蔵量4億~6億バレルのJohan Castberg 油田開発プロジェクトとして計画が検討されている。しかし、北極圏に近いことで環境難易度が高い上、輸送パイプラインなどのインフラが整備されておらず、プロジェクト自体の経済性確保のためにはさらなる追加埋蔵量の発見が必要とも言われ、計画策定は難航しているようだ。2014年6月には、技術、コストの両面で検討期間がさらに必要だとして、開発コンセプト選定時期を従来の2014年末から2015年夏場へと後ろ倒しした。 とはいえ、Statoilはバレンツ海での探鉱活動をさらに展開する方針で、2014年には北部Hoop地域で掘削キャンペーンを展開したが、これまでのところ同地域での大きな発見はない。 ノルウェー領北海での生産がピークを過ぎていることもあり、国内ではバレンツ海などフロンティア地域に活動を広げる一方、近年では積極的に海外プロジェクトへの参画を推進している。既にStatoilはアメリカ、カナダ、ベネズエラ、ブラジル、アンゴラ、アゼルバイジャン、ロシア、モザンビーク、タンザニア、リビア、インド、インドネシア、オーストラリア等15カ国以上で探鉱・生産活動を展開している。出所:Statoil図14バレンツ海鉱区図出所:Statoilホームページ出所:Statoilホームページ図15Statoilのブラジル鉱区図図16Statoilのタンザニア鉱区図57石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 5715/03/02 10:54:20欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMC 長年にわたる北海での操業により、大水深域での開発・生産に高い技術(プレソルト開発を擁するPetrobrasと並び世界最高峰と称される)を有し、各国海上油田の開発に参入している。Statoilはまた、ブラジルの洋上Campos Basin、Espirito Santo Basin、Jequitinhonha Basinの深海地域での探鉱・生産活動を展開し、一部の鉱区ではオペレータも務めている(図15)。 また、2007年よりタンザニア洋上Block2(図16)に参入し、オペレータ(権益保有比率65%)として活動を行っている(パートナーはExxonMobilで35%保有)。2012~2013年にかけて、Zafarani、Lavani、Tangawizi、Mrongeと立て続けに天然ガスを発見し、2014年にもPiriとGiligilianiで同じく天然ガスを発見した。これまでにStatoilがタンザニアで発見した天然ガスは原始埋蔵量で21Tcfとされ、Block1、3、4の開発を進めるBG Groupと共同でのLNGプラント建設も検討されているが、BG Groupの項で述べたように、その進捗度ははかばかしくない。 なお、同じ東アフリカ地域のモザンビークにおいても2007年より洋上鉱区のBlock2、Block5に参入し探鉱活動を行っていたが、探鉱結果が芳しくないことなどを理由に2014年に撤退した。 その他、Statoilは、アメリカ合衆国のシェール資源やカナダのオイルサンドなどの非在来型資源、アラスカチュクチ海やグリーンランドなどのフロンティア領域での開発にも積極的に参画している。(4)積極的な探鉱活動からの資産の選択と集中 Statoilは、ノルウェー国内での活動も含め、自らが持つ高い技術力を活用して幅広く探鉱活動を進めながら、発見した資源の開発においては徹底した選択と集中を行っている。 特に北海(イギリス領、ノルウェー領ともに)での動きはその傾向が顕著だ。現在、大規模案件であるJohan Sverdrupの開発に資本を集中させる必要があるのも事実だが、小規模な資産については他企業への譲渡を積極的に行っている。このようなStatoilの企業行動は、他の中小規模石油企業にとって、優良な上流資産を取得するチャンスになっているとも言えよう。3. Eni(1)会社概要 Eni(Ente Nazionale Idrocarburi:イタリア炭化水素公社)は、ムッソリーニ政権によるイタリア国内石油産業の強化策に基づき、1926 年にイタリア政府が 60 %出資して設立された AGIP(Azienda Generale Italiana Petroli:イタリア石油公団)を主体に、同じくムッソリーニ政権により設立されたその他の炭化水素関係国策会社を再編して 1953 年に設立された石油企業である。設立当初はイタリア政府が株式を 100 %所有する国営企業であったが、1995 年以降、順次、政府保有株式の売却が行われ、2004 年末の時点で政府保有株式は、(間接に所有する株式を含めて)30 %まで減少している。ただし、イタリア政府は合併等、Eni の経営の重要事項に対する拒否権を保有する“黄金株”を所有しているので、その経営は依然、イタリア政府の強い影響力の下にある。 現在の Eni は、石油の上流、下流事業の展開だけにとどまらず、エンジニアリング、石油化学、発電事業まで手掛ける石油メジャーの1社であり、これら多部門にわたる事業を連携させながら、世界7大陸、約70カ国で活動を広げている。LNGについても、ナイジェリアやエジプトをはじめとする世界各地の液化プロジェクトに出資している他、欧州各地で受入基地の使用権も保有する。なお、先ごろロシアが建設計画の中止を発表した天然ガスパイプライン「サウスストリーム」に参画していた1社でもある。このプロジェクトで保有していた権益20%は計画中止発表後の2014年12月末にGazpromに売却することで合意した。 Eniの売上高の各事業部門別割合を図17に、石油・天然ガス生産量の推移を図18に、上流事業の活動地域を図19に示す。(2)アフリカへの焦点とカントリーリスクの影響 生産量の約半分をアフリカ地域が占めているように(図20)、Eniはアフリカ地域をコアエリアとしており、積極的な探鉱・開発活動を行ってきている。 Eniのアフリカでの活動は1954年のエジプトへの参入から始まった。その後、リビア、チュニジアなど北アフリカ地域、およびナイジェリア等へ参入し、2000年58アナリシス_永井.indd 5815/03/02 10:54:202015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMC万boe/d天然ガス石油・液体分2004200520062007200820092010201120122013年エンジニアリングエンジニアリング8%8%その他その他1%1%化学品化学製品4%4%E&PE&P23%23%石油精製・販売石油精製・販売41%41%ガス・電力販売ガス・電力販売23%23%200180160140120100806040200出所:Eni Annual Reportを基にJOGMEC作成出所:Eni Annual Reportを基にJOGMEC作成図17Eniの売上高の事業部門別割合(2013年)図18Eniの生産量推移出所:Eni Annuarl Report等を基にJOGMEC作成図19Eniの上流事業活動地域020004000Km代以降はモザンビーク、ケニア、ガーナなどサブサハラ地域へと活動地域を広げている。 Eniのアフリカ地域での生産量推移を図21に示す。リビア、エジプト、アルジェリア、アンゴラでの生産を順調に伸ばし、2000~2010年までの10年間でアフリカでの生産量は約2倍となった。 しかし、2011~2013年にかけては、特に石油の生産量が減少または伸び悩みの状態となった。これは主にリビア、ナイジェリア、アルジェリアでの内政混乱、治安悪化に伴う生産停止の影響を受けた形だ。 Eniは従来、「コストが低く資源埋蔵が有望な新興地域での探鉱を重視し、リスクをマネジメントしながらポートフォリオの拡大・多様化を進める」との戦略をとってきたが、近年まさにそれらリスクが顕在化した格好である。現状、この戦略を大きく変えるという情報は聞かないものの、ここ数年のこれらアフリカ諸国の政治的混乱に伴う売り上げへの悪影響から、その活動方針が転換を迫られる可能性もある。 一方、最近のアフリカ地域での活動では、探鉱で大成功を収め、大きな期待をかけて開発を計画している地域59石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 5915/03/02 10:54:21欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMC万boe/d天然ガス石油・液体分年20132012201120102009200820072006200520042003200220012000南北アメリカ南北アメリカ8%8%オセアニアオセアニア2%2%アジアアジア15%15%欧州欧州21%21%アフリカアフリカ54%54%120100806040200出所:Eni Annual Reportを基にJOGMEC作成図20Eniの生産量の地域別割合(2013年)出所:Eni Annual Reportを基にJOGMEC作成図21Eniのアフリカにおける生産量推移がモザンビークである。< モザンビークArea4における大規模ガス田発見と開発計画> Eniは、2006年にモザンビーク洋上のArea4鉱区(図22)を取得し、同国に参入した。Area4鉱区は最大水深約2,600mの大水深鉱区で、Eniはオペレータとして60%の権益を保有する。同鉱区のパートナーはENH(モザンビーク国営炭化水素公社。保有比率10%)、Galp(同10%)、Kogas(同10%)の3社である。 2011年にArea4のMamba South-1で最初にガス層を発見し、その後の評価で、原始埋蔵量は80Tcfとされている。ただし、このうちの48Tcfのガスは、Area4に隣接するArea1にまたがって賦存していることも判明しているので(Area1では2010年にガス層が発見されている)、EniとArea1のオペレータを務めるAnadarkoは、両鉱区にまたがるガス資源について統合して開発することを協議中だ。 並行して、EniはArea 4に独立して賦存する天然ガスをLNGとして開発・輸出するプロジェクトを計画、液化設備としてFLNG(浮体式液化設備)を採用することを検討している。こちらは現在FEEDを行っており、2015年中に最終投資決定すると見られる。 また、モザンビーク政府は国の発展に寄与する天然ガスの開発に前向きで、2014年8月には新石油法が成立した。天然ガスの開発に関する法律、税制などの枠組みが整ったことでモザンビークのLNG事業は前進を見せ、Eniは2019年の生産開始を目指している。出所:Eni図22Eniのモザンビーク鉱区図60アナリシス_永井.indd 6015/03/02 10:54:222015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMC(3)今後の戦略 Eniは、生産量を年率3%増加させ2017年までに50万boe/d上乗せする構えだ。探鉱活動を長期的な成長を支える柱と位置づけ、アフリカをはじめとした地域での開発を重点的に取り組む姿勢を鮮明にし、アンゴラやコンゴ、ケニア、ガーナなどで開発・生産を進める計画である。一方、ポートフォリオの多様化は継続され、欧州地域(ノルウェー、イギリス、イタリア)やアジア地域(カザフスタン、インドネシア)でも活動していく計画である。 また、2014年後半からの原油価格下落への対応としては、会社全体としてコストを10~15%削減するとはいえ、コアビジネスである上流事業に集約させ、アフリカで計画されているプロジェクトについては推進する方針である。4. Repsol(1)会社概要 Repsolは、スペインの石油部門の再編に伴い、1987年に国立炭化水素院INH (Instituto Nacional de Hidrocarburos)により国営の統合型石油・ガス企業として設立された。その後、1989年に民営化が開始され、1997年に完了した。1999年にアルゼンチンのYPFを買収してRepsol YPFと社名変更したが、その後2012年にアルゼンチン政府がYPFを接収したことから、再び社名をRepsolに戻している。 Repsolの事業は上流(探鉱・開発)、下流(精製・販売等)、LNGの3部門に分類される。そのうち、LNGについては、操業効率と利益を最大化するという方針の下、ペルーとトリニダード・トバゴのLNG関連資産をShellに売却するなど、2014年1月までにほとんどのLNG関連資産の売却を完了させた。現在、LNGに関連する保有資産は北アメリカとアンゴラにあるのみとなっている。また、Repsolは、スペイン最大のエネルギー・ユーティリティ企業Gas Natural Fenosaの株式の30%を保有する。 現在、上流事業から下流事業までを含め世界50カ国以上で事業を展開し、特に中南米では圧倒的なプレゼンスを見せている。探鉱・生産活動は、トリニダード・トバゴ、ペルー、ベネズエラ、ボリビア、コロンビア、エクアドルなど中南米と、アルジェリア、リビアなど北アフリカを主要活動地域としているが、近年、北米およびロシアなど新たな地域へも活動地域を広げている。 図23にRepsolの生産量推移、図24に上流事業活動地域を示す。10200504030万boe/d(2)南米でのプレゼンス Repsolの国・地域別生産割合を図25に示す。生産量の4分の3を南米地域が占めているように、下流部門における石油製品の販売も含め、Repsolは南米で圧倒的な存在感を示している。 最大の生産量を占めるトリニダード・トバゴには1995年から参画し、洋上鉱区(現在7鉱区に参画)の開発に大規模な投資を行ってきた。なお、同国Atlantic LNGプロジェクトにも参画していたが、2014年にShellに売却し、現在は上流事業に特化した活動が中心となっている。 ペルーでは、探鉱・生産および石油精製、Gas Natural Fenosaを通じての小売販売を行っている。ペルーにおいてもPeru LNGプロジェクトに参画していたが、これも2014年にShellに売却した。 ベネズエラでは7鉱区の権益を保有。現在、重点的に天然ガス石油・液体分200820092010201120122013年2007出所:Repsol Annual Reportを基にJOGMEC作成図23Repsolの生産量推移61石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 6115/03/02 10:54:22欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMC出所:Repsol ホームページ等を基にJOGMEC作成図24Repsolの上流事業活動地域ブラジルブラジル3%3%ペルーペルー9%9%アジアアジア4%4%アフリカアフリカ10%10%北米北米9%9%欧州欧州2%2%他南米他南米14%14%トリニダード・トバゴトリニダード・トバゴ39%39%ベネズエラベネズエラ10%10%※南米合※南米計75%75%出所:Repsol Annual Reportを基にJOGMEC作成図25Repsolの生産量の国・地域別割合(2013年)出所:Repsol Annual Reportを基にJOGMEC作成図26ベネズエラPerlaガス田鉱区図進めている開発として、Perlaガス田の開発とCarabobo重質油田開発があるが、油価の下落とベネズエラ国内の経済状況が悪化していることもあり、進捗は芳しくない。ることを決定、国内パイプライン向けに供給される見通しだ。なお、生産開始は2014年末の予定だったが、まだ開始したとの情報はない。①ベネズエラPerlaガス田開発 2009年、RepsolとEniは、ベネズエラ湾洋上のCardon IV鉱区(図26)でPerlaガス田を発見した。同ガス田の原始埋蔵量は16Tcfとされる。Perlaガス田で生産されるガスを液化して輸出する計画もあったが、2011年に政府が全てのLNG輸出プロジェクトを凍結す② ベネズエラCaraboboプロジェクト(オリノコ重質油プロジェクト) Caraboboプロジェクト(図27)は、同国オリノコベルトに埋蔵される超重質油の開発プロジェクトで、40年間にわたって40万b/dの原油を生産する大プロジェクトである。既に初期生産は開始したが、インフラや投資不足62アナリシス_永井.indd 6215/03/02 10:54:232015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMCから、その後の生産量は伸び悩んでいる。また、2014年後半からの油価下落によりオペレータである国有石油企業PDVSAも財務状況が厳しく、プロジェクトは停滞気味である。さらに、ベネズエラ政府としても石油政策の再考を迫られる可能性があり、今後の進展についても疑問視する向きもある。(3) 探鉱重視の成長戦略・油価下落状況下での資産拡大を狙う出所:Repsol Repsolは、2012~2016年の経営戦略で、総投資額の77%にあたる147億ドルを石油・天然ガスの探鉱・開発に充当するとしている。これにより、埋蔵量を2億~2億5,000万boe追加(現状実績:2011年末埋蔵量11億6,700万boe→2013年末埋蔵量15億1,500万boe)、生産量は年率7%で増加させ50万boe/dに到達させる見込みである。 2015年の重点探鉱・開発地域としては、アンゴラ、アルジェリア、コロンビア、ブラジル、リビア、アメリカ、ロシア、ルーマニア、ペルー、カナダが挙げられている。 一方、Atlantic LNGとPeru LNGの売却が完了した2014年以降、LNG事業への投資は行わない予定で、Repsolにとって現状、LNGは中核事業ではない。 また、油価下落が有利に働く中流・下流事業を展開し、保有するキャッシュも豊富なRepsolは、今般の油価下落を資産取得のチャンスだと捉えている。上流資産の取得だけでなく石油企業自体の買収についても機会を伺っ図27ベネズエラCaraboboプロジェクト鉱区図ているところだ。 実際、大規模な資産取得の動きとして、2014年12月にRepsolは、カナダのTalisman Energyを83億ドルで買収することで合意したと発表した。これにより、Talisman Energyが保有する各国の上流資産(アメリカ合衆国、カナダ、インドネシア、マレーシア、コロンビア、など)を獲得することとなり、これらを合計するとRepsolの生産量はほぼ倍増、そして特に北米大陸(カナダ、アメリカ合衆国)でのプレゼンスをさらに大きくさせることとなろう。5. Wintershall(1)会社概要 Wintershallは、1884年に掘削会社として設立されたのを起源とするドイツ最大の石油・ガス生産企業である。1969年に同国の化学会社BASFの子会社となり、現在もBASFグループの1社として、石油・ガスの生産部門を担っている(BASFの100%子会社なので、決算報告はBASFグループの1部門として会計される)。 事業の中心は石油・ガスの開発・生産だが、Gazpromとの合弁企業WINGASを通じて、ドイツ、イギリス、ベルギー、フランス、オーストリア、デンマーク、オランダ、チェコなどの欧州地域で天然ガスを販売している。 図28にWintershallの生産量推移を示す。(2) Gazpromとのパートナーシップとドイツ国内で培った技術を基盤とする活動戦略 図29にWintershallが探鉱・生産活動を行っている地域を示す。 ドイツ国内最大の油田である北海Mittelplate油田の63石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 6315/03/02 10:54:23欧州石油企業の活動と戦略OGMECK YMCまた、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビではADNOC(Abu Dhabi National Oil Company)と協力体制を敷き、Shuweihatサワーガス田開発プロジェクトを進めようとしている。石油・天然ガス計天然ガス石油・液体分20092010201120122013年権益50%を保有。また、ノルウェー、ロシアについても重要な資産ポートフォリオの一部として組み込んでいる。Gazpromとのパートナーシップを重視し、ロシアYuzhno Russkoyeガス田の権益35%を保有し同国でのガス生産を拡大している。 ドイツ国内の油・ガス田開発が同社の技術力の基盤で、国内生産により培ったEOR(石油増進回収)技術やサワーガス(H2SやCO2を多く含むガス)の生産技術、タイトガス採掘技術を海外のフィールドに適用することで国際的なプレゼンスの増大につなげるとしている。アルゼンチンでは15の油・ガス田の権益を保有するが、以上の技術を活用し非在来型資源の開発についても検討を進めている。10200万boe/d504030出所:BASF Annual Reportを基にJOGMEC作成図28Wintershallの生産量推移出所:Wintershallホームページ等を基にJOGMEC作成図29Wintershallの活動地域020004000Kmまとめ 今回取り上げた企業は、いずれも欧州を代表する石油上流企業であり、スーパーメジャーではないが、メジャー企業の一角もしくは準メジャー企業という位置づけである。64アナリシス_永井.indd 6415/03/02 10:54:242015.3 Vol.49 No.2アナリシスOGMECK YMC 各企業ともに強みとする地域・領域を持ち、これを基盤として世界横断的な事業拡大と業界でのプレゼンス増大を図っていると言える。BG GroupはLNGとその供給ポートフォリオを生かしたトレーディングビジネス、Statoilはノルウェー大陸棚での圧倒的な存在感とそこで培った探鉱・生産の技術力、Eniは中下流事業とエンジニアリング事業をシナジー(synergy:相乗)させた国際展開とアフリカ大陸での新規探鉱、Repsolは上流~下流までを包括する南米での圧倒的なプレゼンス、Wintershallはロシアとの協力体制と国内生産を基盤とする技術力といった具合である。 また、各社共通していることは、実績のある成熟地域での活動だけでなく、技術的・環境的・政治的といった各リスクを内在させながらも大規模な資源埋蔵の可能性を持つ新規フロンティアに積極的に参加していることである。 もちろん、リスクをはらんだ新規フロンティアに展開していくためには、これを支える資本基盤と経験、そしてリスク管理能力が必要となる。したがって、他企業がこれを模倣することは困難である。逆に、中小石油企業にとっては、このような強みを持つ企業とのアライアンス(alliance:連携)構築または取引等による関係性の強化を図っていくことで、新規フロンティアへの参入の足掛かりとし、将来に向けた成長と事業拡大を目指すこともできるのではないだろうか。執筆者紹介永井 一聡(ながい かずあき)東京大学大学院工学系研究科修了。2002年、東京ガス株式会社入社後、主にLNG受入基地の操業管理、プロセスエンジニアリング業務等に従事。2013年4月より現職。趣味は毎週末興じる野球。最近のマイブームは、自動車に七輪を積んでドライブに出かけ、漁港等で調達した食材を浜焼きで食べること。65石油・天然ガスレビューアナリシス_永井.indd 6515/03/02 10:54:25欧州石油企業の活動と戦略
地域1 欧州
国1 英国
地域2 欧州
国2 ノルウェー
地域3 欧州
国3 イタリア
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 欧州,英国欧州,ノルウェー欧州,イタリア
2015/03/23 [ 2015年03月号 ] 永井 一聡
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