ページ番号1006570 更新日 平成30年3月5日

続々と立ち上がるLNGプロジェクト-市場拡大と需給緩和をめぐる展望-

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レポートID 1006570
作成日 2015-09-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG市場
著者
著者直接入力 永井 一聡
年度 2015
Vol 49
No 5
ページ数
抽出データ JOGMEC調査部永井 一聡続々と立ち上がるLNGプロジェクト-市場拡大と需給緩和をめぐる展望-はじめに 天然ガスは、その環境負荷の低さ、豊富な資源量、使用時の機動性といった点から、将来の持続可能社会に向けたエネルギー需給において重要な位置を占め続けると認識されており、その需要は現在そして今後においても堅調に伸び続けると予測されている。 そして、天然ガスを液化したLNGは、パイプラインでの輸送が地理的・経済的に現実的ではない地域にとって天然ガスにアクセスするための重要な手段であり、近年急速な経済成長を続ける途上国においてもその導入が進んでいる。 一方、天然ガス、特にLNGについては、2011年以降価格の高騰が続きLNG輸入国にとって大きな問題になるなど、その価格動向と今後の需給が注目されるところでもある。 本稿では、LNGの需給見通し、特に供給側の能力拡大の動きとして、豪州・北米を中心として数多く立ち上がろうとしている開発中のLNGプロジェクトの動向について紹介する。また、LNG市場参画者の動きや将来のLNG価格水準の示唆等についても展望したい。1.天然ガス・LNGの需給見通し年20142013201220112010200920082007200620052004200320022001200019991998199719961995199419930出所:IEA Natural Gas Information、BP統計を基にJOGMEC作成図1世界の天然ガス供給量推移百万トン3,000LNGパイプライン2,5002,0001,5001,000500(1)天然ガス供給量推移 図1に世界の天然ガス供給量推移を示す。天然ガスの供給量は着実に増加しており、現在そのうちの約10%がLNGによるものとなっている。天然ガス供給量に占めるLNGの割合は年々増加し、中国、ブラジル、インド、台湾など新興国におけるLNG導入がその大きな要因となっている。(2)LNG需要推移と見通し 図2に、世界のLNG需要推移と今後の見通しを示す。 現在世界では、年間約2億4,000万トンのLNGが取引(需要)されている。2011年から2014年にかけてほぼ横ばいとなっているのは、原油価格高騰(特にアジアに39石油・天然ガスレビューアナリシスィける長期契約のLNG価格は、伝統的に原油価格に連動して決定される契約である)と日本の原発停止に伴うスポット市場における需給逼迫により、価格が(長期契約およびスポット価格ともに)高騰したことで、需要の伸びが抑制された形になっているためである。特に、急激な経済発展に伴い天然ガスの需要も急拡大すると見込まれていた中国とインドで、従来の予測ほどの需要増加に至らずLNG取引量の伸びの鈍化につながった。また、欧州においても、2010年の債務危機以降の経済低迷と発電部門における安価な石炭との競合により天然ガス需要は低迷し、LNG輸入も過去4年間低迷している。 しかし、天然ガスは中期的に有望なエネルギー源と期待されており、LNG需要も今後はやはり堅調に伸びていくと予想されている。 2020年時点では年間の需要として3億トンから4億トン、2030年時点では4億トンから5億8,000万トン程度になるとの見通しが出されている。(3)LNG生産能力推移と見通し 図3にLNG生産能力の推移と見通しを示す。 LNGの生産能力は、2014年末時点で約3億トン/年である。エジプトやアンゴラ等一部のLNGプラントは生産停止中となってはいるものの、LNGプラントの稼働率は通常90~95%程度以上(LNGプロジェクトは膨大な投資であり、経済性を維持するためにも高稼働率が必須となる)であることを考えると、年間LNG需要約2億4,000万トンに対して、生産能力には現状余裕があると考えられる。 一方、LNGの生産能力は、今後数年の間に急速に拡大していくことが見込まれ、現在建設中のプロジェクトだけを考慮しても、2018年には約4憶5,000万トン/年程度に達する見込みである。 したがって、少なくとも2020年までは、LNG需要に対してその生産能力には十分余裕があると考えられ、LNG需給は緩和状態が続くと考えられる。40高需要ケース低需要ケース年20302020201320112009200720052003200119991997199550040030020010019930出所: IEA Natural Gas Information、資源エネルギー庁委託調査「アジア・太平洋市場の天然ガス需給動向調査報告書」(2014年3月)を基にJOGMEC作成図2世界のLNG需要推移と見通し百万トン600年20172015201320112009200720052003200119991997199519931991198919871985198319811979197719751973197119690出所:各種情報を基にJOGMEC作成図3世界のLNG生産能力推移と見通し百万トン500北米欧州ロシア中南米オーストラリアアフリカ中東東南アジア4003002001002015.9 Vol.49 No.5アナリシス.新規LNGプロジェクトの進捗と見通し(1)LNG生産能力は大幅拡大の局面 前項でも述べたが、現在、LNG生産能力は大幅拡大の局面にある。 図4に示すように、2014年からの数年間において、世界各地でLNGプロジェクトが続々と立ち上がり、操業開始済みおよび現在建設中の案件(表1)だけでも右の生産能力が新たに追加されることになる。2016WheatstoneIchthys2015GorgonAP LNGG LNGSabine Pass百万トン500北米欧州ロシア中南米オーストラリアアフリカ中東東南アジア4003002001000200520062009出所:各種情報を基にJOGMEC作成2007200820102011201220132014201520162017図4世界のLNG生産能力推移と今後の主要プロジェクト計画表12014年~生産開始および現在建設中の主なLNGプロジェクトプロジェクト名国生産開始(年)パプアニューギニアオーストラリアPNG LNGQC LNGGorgon LNGAP LNGG LNGWheatstone LNGIchthys LNGPrelude FLNGDonggi Senoro LNGSabine Pass LNGCovePoint LNGCameron LNGFreeport LNGCorpus Christi LNGYamal LNG出所:各種情報を基にJOGMEC作成オーストラリアオーストラリアオーストラリアオーストラリアオーストラリアオーストラリアインドネシアアメリカアメリカアメリカアメリカアメリカロシア201420142015(予定)2015(予定)2015(予定)2016(予定)2016(予定)2017(予定)2015 2015~2017(予定)2017(予定)2018(予定)2018(予定)2018(予定)2017(予定)41石油・天然ガスレビュー1,560900780890840360200450(→1,800)5251,2001,3201,3501,650 アジア・豪州地域・・・合計約7,000万トン/年 北米(メキシコ湾岸)・・・合計約6,000万トン/年 ロシア・・・Yamal LNG 1,650万トン/年2017YamalPreludeCovePoint2018 CameronFreeportCorpus Christi さらに、北米地域(メキシコ湾岸、北西岸)、豪州地域には、これら以外にも計画・提案中のプロジェクト案件が多数存在する。ただし、大規模な投資を必要とするLNGプロジェクトは通常その生産能力の大半について顧客(売り先)を確保してから最終投資決定(FID)が行われるため、足元(~2020年)において生産能力が過剰気味となる状況が見えている現在、それら計画・提案中プロジェクトの実現性の成否は非常に不透明である。 また、2014年中盤からの油価下落等の影響で財務状況が悪化したプロジェクト参画企業も多く、FID前のプロジェクトでは、既にスケジュールの遅延、計画の保留・中止を発表した案件も既に複数出てきている。 2019年以降には、東アフリカ(モザンビーク、タンザニア)の大型LNGプロジェクト計画も控えており、LNGプロジェクト間の競合は一層激化していくだろう。生産能力(万トン/年)690850年2018(2)オーストラリアLNGプロジェクトの進捗状況 オーストラリアでは現在6件のLNGプロジェクトが建設中で、国別の生産能力としては2016年までに8,000万トン/年を超え(図5)、カタールを抜いて世界第1位に続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-ネる見込みである。同国のLNGプロジェクトは、大きく分けて、北西岸沖合のガス田を原料とするもの、および北東地域の陸上CBM(コールベッドメタン)を原料とするものとなっている。また現在建設中のプロジェクトの他にも、提案中・計画中のプロジェクトも多数に上る(図6)。 以下に主なLNGプロジェクト(建設中)の進捗状況等について述べる。百万トン/年100①Gorgon LNG ・ 参画企業:Chevron 47.3%、ExxonMobil 25%、Shell 25%、大阪ガス 1.25%、東京ガス 1%、中部電力 0.417% ・ 液化能力:1,560万トン/年(520万トン/年×3トレイン) ・ 2015年内に初カーゴ出荷予定North West ShelfDarwin LNGPluto LNGQC LNGAP LNGG LNGGorgon LNGWheatstone LNGIchthys LNGPrelude LNG80604020②Australia Pacific LNG(AP LNG) ・ 参画企業:Origin Energy Limited 37.5%、ConocoPhillips 37.5%、Sinopec 25%0199019952000200520102015年2020出所:Department of Industry(DOI);RBA図5オーストラリアのLNG生産能力推移Cash / MapleCash / MapleSunriseSunriseDarwinDarwinIchthysIchthysBrowseBrowseGorgonGorgonScarboroughScarboroughWheatstoneWheatstoneGeraldtonPreludePreludeNorth West ShelfNorth West ShelfPlutoPlutoCairnsTownsvilleNORTHERN TERRITORYQUEENSLANDWESTERN AUSTRALIAAlice SpringsG LNGG LNG AP LNG AP LNGQC LNGQC LNGQC LNGQC LNGFisherman’sFisherman’s Landing LandingBrisbaneSuratKalgoorlieSOUTH AUSTRALIANEW SOUTH WALESLNGプロジェクト(陸上)【操業中】LNGプロジェクト(陸上)【建設中】LNGプロジェクト(陸上)【計画中】LNGプロジェクト(FLNG)【建設中】LNGプロジェクト(FLNG)【計画中】ガスパイプライン(既存)出所:各種情報を基にJOGMEC作成AdelaideVICTORIAMelbourne0500KmSydneyCANBERRA図6オーストラリアの主なLNGプロジェクト422015.9 Vol.49 No.5アナリシスIndian OceanGreat Australian BightTimor Sea@・ 液化能力:900万トン/年(450万トン×2トレイン) ・ CBMプロジェクト ・ 2015年内にLNG生産開始見込み③G LNG ・ 参画企業:Santos 30%、Petronas 27.5%、Total 27.5%、KOGAS 15% ・ 液化能力:780万トン/年(390万トン×2トレイン) ・ CBMプロジェクト ・ 2015年後半にLNG生産開始見込み④Wheatstone LNG ・ 参画企業: Chevron 64.14%、KUFPEC 13.4%、Woodside 13%、PE Wheatstone 8%、九州電力 1.46% ・ 液化能力:890万トン/年(445万トン/年×2トレイン)(2,500万トン/年まで拡張可能) ・ 2016年生産開始予定⑤Ichthys LNG ・ 参画企業:国際石油開発帝石 62.245%、Total 30%、CPC 2.625%、東京ガス1.575%、大阪ガス 1.2%、関西電力 1.2%、中部電力 0.735%、東邦ガス0.42% ・ 液化能力:840万トン/年(420万トン/年×2トレイン) ・ 2016年末までに生産開始予定⑥Prelude FLNG ・ 参画企業:Shell 67.5%、国際石油開発帝石 17.5%、CPC 5%、KOGAS 10%  ・ 2017年生産開始見込み ・ 世界で初めてFLNGを採用 ・ 韓国サムソン重工(SHI)の造船所で建造中(3)北米LNGプロジェクトの進捗状況 図8に北米大陸の主なLNGプロジェクト計画を示す。北米大陸では、アメリカで現在5件のLNGプロジェクトが建設中である。現在最も進捗が進んでいるのはSabine Pass LNGプロジェクトで、アラスカを除けばカナダ・アメリカでは初めてのLNG輸出プロジェクトである。また、提案中のものを含めると、アメリカでは現在約30件以上のプロジェクトが、カナダでも約20件のプロジェクトが輸出許可を求めて申請中である。しかし、これら全ての申請プロジェクトで輸出許可が下りる可能性は高くはなく、また、輸出許可が下りたとしても、現在のLNGの市場環境に鑑みると、実現まで至るものはそう多くはないと考えられる。 北米のLNGプロジェクトからのLNG輸出は、世界初のシェールガスを含む天然ガスを原料とするLNGであると同時に、従来一般的だった原油価格に連動する価格体系ではなく、北米大陸のガス市場価格(主にヘンリーハブ)に連動する価格体系となっている。そのため世界の天然ガス取引および価格動向に大きく影響を与えるものとして注目されている。 以下に、主なLNGプロジェクト(建設中または最終投資決定済み)の進捗状況について記す。 ・ 液化能力:360万トン/年(LNG)(130万トン/年〈コンデンセート〉、40万トン/年〈LPG〉)①Sabine Pass LNG(アメリカ) ・ 参画企業:Cheniere出所:Shell図7PreludeFLNGのイメージ図43石油・天然ガスレビュー続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-@・ 液化能力:1,800万トン/年(450万トン/年×4トレイン) ※第5、6トレイン(各450万トン/年)を追加する拡張計画あり ・ 2015~2016年第1、2トレイン、2016~2017年第3、4トレイン生産開始予定 ・ 2015年内に第5、6トレイン着工予定②CovePoint LNG(アメリカ) ・ 参画企業:Dominion Cove Point LNG ・ 液化能力:525万トン/年 ・ 2017年生産開始予定③Freeport LNG(アメリカ) ・ 参画企業:Freeport LNG Investment、ZHA FLNG、Texas LNG Holdings、大阪ガスJLI(三菱商事、日本郵船) 16.6%、三井物産 16.6% ・ 液化能力:1,200万トン/年(400万トン/年×3トレイン) ※第4、5トレインを追加する拡張計画あり ・ 2018年生産開始予定⑤Corpus Christi LNG(アメリカ) ・ 参画企業:Cheniere ・ 液化能力:1,350万トン/年(450万トン/年×3トレイン) ※第4、5トレインを追加する拡張計画あり ・ 2018年生産開始予定⑥Pacific North West LNG(カナダ) ・ 参画企業:Petronas 62%、Sinopec 15%、石油資源開発10%、Indian Oil Corp. 10%、Petroleum BRUNEI 3% ・ 液化能力:1,320万トン/年(440万トン/年×3ト ・ 液化能力:1,200万トン/年(600万トン/年×2トレイン) ※第4トレインを追加する拡張計画ありレイン) ・ 2018年生産開始予定④Cameron LNG(アメリカ) ・ 参画企業:Sempra 50.2%、GDF SUEZ 16.6%、 ・ 2015年6月最終投資決定(条件付き)  (カナダのLNGプロジェクトで初の最終投資決定) ・ 2019年操業開始予定AuroraAuroraWCC LNGWCC LNGPrince RupertPrince RupertPaci?c NorthwestPaci?c NorthwestOregon LNGOregon LNGJordan CoveJordan CoveLNG CanadaLNG CanadaDouglas Channel(浮体式)Douglas Channel(浮体式)KitimatKitimatTriton LNG(浮体式)Triton LNG(浮体式)CANADAU.S.ASabine PassSabine PassGolden PassGolden PassFreeportFreeportMEXICOCameronCameronCove PointCove PointElba IslandElba IslandGulf Coast LNGGulf Coast LNGLake CharlesLake CharlesCorpus ChristiCorpus ChristiLNGプロジェクト【建設中】LNGプロジェクト【計画中】出所:各種情報を基にJOGMEC作成図8北米の主なLNGプロジェクト442015.9 Vol.49 No.5アナリシスq北米LNGプロジェクトの日本向け契約について〉 北米産LNGは、先に述べたようにヘンリーハブ価格に連動してLNG輸入価格が決まるとされているが、正確には液化加工委託契約をスキームとしたものである。つまり、液化加工契約保持者は、北米内のパイプライン天然ガス市場で自らガスを調達し、それらのガスを各LNG液化基地事業者に委託して液化、LNGとして加工する。その後、液化されたLNGをLNGタンカーに載せ日本に輸送する、もしくはさらにその先のLNG引き取り者に販売する、という仕組みだ。液化加工契約では、各液化基地の液化容量を契約によって確保するという形になっており、これはLNG自体を直接売買するこれまでのLNG調達方法とは異なる流れである(図9、図10)。 表2に、日本企業の北米産LNG調達契約について示す。(4)その他地域のLNGプロジェクト進捗状況 オーストラリア、北米地域以外の地域でもLNGプロジェクトは進捗している。ロシアYamal LNGは現在建設中、インドネシアDonggi Senoro LNGは2015年7月に生産を開始した。近年大規模な天然ガス資源が発見されている東アフリカにおいても、それらガス資源の商業化としてLNGプロジェクトが提案・計画されている。モザンビークの場合、最終投資決定(FID)をまだ行っていないが、2015年中に行われる可能性が高い。海外海外ガス田ガス田開発者※ガス田開発者とLNGプロジェクト事業者が同一事業者の場合もあるガス調達(天然ガス売買契約)LNGプロジェクト事業者(売り主)液化LNG液化基地日本LNG売買契約輸入LNG買い主出所:JOGMEC作成図9従来の一般的なLNG売買契約のスキーム北米ガス市場ガス調達※LNG調達者が自らガス市場で天然ガスを調達液化LNG液化基地事業者LNG液化基地日本液化加工委託契約輸入LNG調達者(液化加工契約保持者)(LNG売買契約)さらにLNGを別の買い主に販売する場合も出所:JOGMEC作成①Yamal LNG(ロシア、図11) ・ 参画企業:Novatek 60%、Total 20%、CNPC 図10北米のLNGプロジェクトにおける液化加工委託契約のスキーム表2日本企業の北米産LNG調達契約プロジェクト液化加工契約保持者(売り主)(基地事業者とは異なる)Freeport LNG大阪ガス 220万トン/年(2018年から20年)中部電力 220万トン/年(2018年から20年)東芝 220万トン/年(2019年から20年)LNG引き取り者(買い主)三菱商事 400万トン/年(2018年から20年)Cameron LNG三井物産 400万トン/年(2018年から20年)Engie(旧GDF SUEZ)  400万トン/年(2018年から20年)Cove Point LNG住友商事・東京ガス 230万トン/年(2017年から20年)(注)調達開始年は基地操業開始予定年とした。出所:各種情報を基にJOGMEC作成東京電力 40万トン/年(2018年から20年)東北電力 30万トン/年(2022年から16年)東京電力 40万トン/年(2018年から20年)東邦ガス 30万トン/年(2018年から20年)関西電力 40万トン/年(2018年から20年)東京ガス 52万トン/年(2020年から20年)東北電力 27万トン(2018年または2019年から20年)東京ガス 140万トン/年(2017年から20年)関西電力 80万トン/年(2017年から20年)45石油・天然ガスレビュー続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-0%  ・ 液化能力:1,650万トン/年(550万トン/年×3トレイン) ・ 2017年生産開始予定 ・ ウクライナ問題をめぐる制裁の影響で資金確保が懸念されていたが、中国の銀行からの融資を確約するなど、資金調達にもめどが立ったようだ。 ・ 夏季は、欧州向けに加え、北極圏航路でのアジア向け輸送を行う計画である。また冬季には、欧州地域で、同プロジェクト専用のアイスクラスタンカーから通常のLNGタンカーに積み替えを行ってから各地域向けに輸送することも計画されている。② Donngi Senoro LNG(インドネシア)%、KOGAS25 ・ 参画企業:Sulawesi LNG Development(三菱商事75%) 59.9 %、Pertamina Hulu Energi 29 %、PT Medco LNG Indonesia 11.1%  ・ 液化能力:200万トン/年 ・ 2015年8月出荷開始③モザンビーク(図12)(i)Mozambique LNG(Area 1)  ・ 参 画 企 業:Anadarko 26.5%、三井物産 20%、ONGC 16%、ENH 15%、Bharat Petroleum 10 %、PTTEP 8.5%、Oil India Ltd. 4% ・ 液化能力:1,200万トン/年(600万トン/年×2トレイン) ・ 初期開発コントラクターを選定(まもなくFIDの見込み)Winter routeYamal LNGSummer routeTrans-shipmentSouth AmericaLNG exportersLNG importers出所:Total、Novatek図11YamalLNGの輸出ルートMozambique LNGCoral FLNG出所:Mozambique LNG図12モザンビークの開発鉱区とLNGプロジェクト(ii)Coral FLNG(Area 4) ・ 参画企業:Eni 50%、CNPC 20%、Galp Energia (5)プロジェクトの競合は激化、油価下落の影響も含め10%、ENH 10%、KOGAS 10%遅延・中止となるプロジェクトも ・ 液化能力:250万トン/年 ・ 2015年FIDの予定 多くのLNGプロジェクトが提案・計画されていることで、LNGプロジェクト間の競合は激化している。一方、462015.9 Vol.49 No.5アナリシス014年中盤からの原油価格下落により石油企業の財務状況は悪化し、投資を抑える企業も出てきている。 LNG市場における生産能力過剰感(販売先確保が困難)や、プロジェクト建設案件が多数立ち上がることで労働力市場が逼迫し人件費が高騰していること、などにより、LNGプロジェクトの経済性確保が困難となっているのも事実。このため、計画を遅延(後ろ倒し)したり中止する案件も出てきている他、立地に伴う課題や申請手続きのタイムラグなどによってスケジュールを変更するプロジェクトもある。 さらに、Browse LNGプロジェクトのように、「市場の大きな変化」(おそらく油価下落による企業の活動停滞・減少によるサービスコスト低下を指すと推測される)を見込んで最終投資決定時期を遅らせているケースも見受けられる。 このように、これまでLNGプロジェクトの計画として挙がりながらも、既に事業としての計画を遅延・中止することを決定した案件、開発優先度を下げた案件を記しておく。① Bonaparte LNG(オーストラリア) ・ 参画企業:Engie(旧GDF SUEZ) 60%、Santos 40% ・ 2014年6月、プロジェクト見直しを発表。FLNGをコンセプトとして検討を進めていたが、これに加えて、パイプラインによってDarwinの陸上液化プラントに輸送する等、他のオプションも考慮して再検討② Arrow Energy LNG(オーストラリア) ・ 参画企業:Shell 50%、Petro China 50% ・ 2015年1月、プロジェクト中止を発表 ・ ガス田開発は継続③Scarborough FLNG(オーストラリア) ・ 参画企業:ExxonMobil 50%、BHP Billiton 50% ・ 世界最大のFLNGがコンセプト ・ 2015年5月、BHP Billitonが事業としての優先度は下がったと発言④Prince Rupert(カナダ) ・ 参画企業:BG Group ・ 2016年に建設開始を予定していたが、LNG市場状況を考慮して計画を延期。⑤Lake Charles(アメリカ) ・ 参画企業:BG Group、Southern Union ・ 価格動向およびコスト動向を注視するとして、FIDWA-30-RR 2TR/5WA-32-RWA-29-RWA-28-RTorosaBrecknockCallianceWA-31-R Browse joint venture permits Gas ?eldsBroomeDerby0100200kilometresHorizontal Datum: GDA 1994出所:Woodside図13Browseプロジェクトのガス田47石油・天然ガスレビュー続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-條冾?2015年から2016年に後ろ倒し⑥Lavaca Bay(アメリカ) ・ 参画企業:Excelerate Energy ・ 最近の経済情勢を考慮して、計画保留⑦ Browse LNGプロジェクト(オーストラリア、図13、図14) ・ 参画企業:Woodside 30.60%、Shell 27.00%、BP17.33%、MIMI 14.40%、Petro China 10.67% ・ FLNGを指向 ・ 「市場の大きな変化」に伴うコスト低下(ある分野のコスト削減率は15~30%との発表あり)を見込んで、FEED実施時期を後ろ倒し。2015年中盤にFEED作業に着手、2016年後半にFIDの予定。出所:Woodside図14BrowseプロジェクトのFLNGイメージ図3.LNGプロジェクトコスト低減に向けた動き 多数のLNGプロジェクト計画が提案され、プロジェクト間の競合は激化していることは既述した。また、LNGの需要を伸ばしていくためには、他燃料(主に石炭)に対しての価格優位性も重要となってくる。事実、2011~2014年にかけては、LNG価格の高騰によりLNG需要の伸びは鈍化した。 現在、LNGプロジェクトの開発コストは非常に高く、このコストはプロジェクトの経済性、そしてLNG自体の売価にも跳ね返ってくる。各企業は、こうした状況に鑑みて、LNGプロジェクトのコスト引き下げに向けた動きを見せ始めている。 LNGプロジェクトのコストは、大きく分けて、上流コスト(ガス田開発コスト)とLNG液化基地建設コストに分けられる。 上流コストは、油価下落に伴う企業の活動減退により、サービス市場が緩和してきているため、今後の開発コストは低下する方向にある。 一方、LNG液化基地の建設コストについても、各企業はその削減に向けて動き出している。一つは、液化基地のメイン設備である液化トレインの標準化・モジュール化である。これまでの液化トレインは、各プロジェクトの規模に応じてゼロから設計を行うという完全なオーダーメイドであった。この液化トレインを標準化し、量産型のものとすることで、設計等のエンジニアリングコストは削減可能となる。プロジェクト規模に応じた生産能力の調整は、液化トレインの設置数を変更することで対応するのである。 また、労働力コストの高騰も課題となっている。特にオーストラリアでは、近年資源ブームが巻き起こり、ガス田開発だけでなく、石炭や金属資源の採掘などとも労働力の奪い合いが発生していた。そのために作業員等を含め人件費が高騰、結果として建設コストは膨大なものに跳ね上がっている状況にある。各企業は、同時進行するプロジェクト数の監視・調整等を意識しながら、労働力市場を緩和させることで人件費を抑制し、コスト低減を目指している。4.新たなLNG輸出航路 新規LNGプロジェクトの立ち上がりに伴い、新たなLNG輸出航路も出現してきた(図15、図16)。 例えば、北米メキシコ湾岸のプロジェクトからアジア向けのLNG輸出においては、現在拡張工事が行われて482015.9 Vol.49 No.5アナリシス「るパナマ運河が使用される予定である。パナマ運河拡張後の通航可能船型は、全長366m、全幅49m、喫水長15.2mとなる計画で、メキシコ湾岸プロジェクト向けの新たなLNG船も各企業により多数建造される見込みである。パナマ運河の使用開始は2016年第2四半期とされ、日本向けのLNG輸出開始である2017年には間に合うようだ。なお、拡張後の運河通航料金は今年4月29日にパナマで閣議決定され、公表されている。 また、ロシアYamal LNGでは、北極圏航路を使用してのアジア向け輸出も計画されている。北極圏航路は、海水温上昇による北極海の氷減少に伴い活用が期待されてきた航路で、既にノルウェー産LNG等のアジア向け輸送などで実績がある。ただし、冬季についてはやはり海面が氷に覆われることから、北極圏航路によるLNG輸出は今のところ夏季限定となる見込みである。冬季については、アイスクラスタンカー(砕氷能力を持ったタンカー)で出荷されたLNGは、欧州地域内の港湾で通常のLNG船に積み替えを行い、そこからアジア等各地域に輸出されることも計画されている(2.(4)①のYamal LNGの項も参照)。ノルウェーアルジェリアカタールナイジェリアブルネイマレーシアインドネシア豪州北西岸パプアニューギニア豪州北東岸(コールドベッドメタン)トリニダード・トバゴ出所:各種情報を基にJOGMEC作成図15主なLNG輸送ルート(現状)LNG 輸送ルートロシアYamal LNGカナダ西海岸アメリカ北西岸アメリカメキシコ湾岸東アフリカ豪州北西岸および沖合豪州北東岸(コールドベッドメタン)出所:各種情報を基にJOGMEC作成図16主なLNG輸送ルート(将来)LNG 輸送ルート49石油・天然ガスレビュー続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-.LNG買い主側(日本)における価格適正化への取り組み ここで、LNGの買い主側(特に日本)の動きについても触れておきたい。 昨年来の原油価格下落とLNG需給緩和に伴い、最近のLNG価格は落ち着いている。しかし、2011年の震災以降、特に日本においてエネルギー源としてLNGの重要性が大きく高まるなか、その伝統的なガス市場構造と価格体系に起因した「アジアプレミアム」と呼ばれるLNG価格の高騰が続いた。 アジアプレミアムは、以下のような事態を契機として発生した。①原油価格連動のLNG価格体系 →原油価格が高騰するとLNG価格が高騰② 世界のガス市場が分断(北米、欧州、アジア)されており、各地域ごとの特性と歴史的背景によって個別の市場となっている(=取引流動性の欠如)。 → 各市場ごとに価格決定メカニズムが働き、各市場間で価格差が発生してもこれを解消する機能がない③ 日本(北東アジア)は天然ガス調達手段がLNGのみで、売り主に対しての交渉力が弱い → 天然ガスパイプラインを持つ欧州などはLNGによる調達と競合させることができ、価格引き下げの交渉が可能 こうした世界の天然ガス市場構造の特性が複合したことで、2011~2014年前半にかけてアジア地域向けLNG価格が相対的に高騰したというものである。 これらを受け、日本政府および日本の各LNG買い主は、「アジアプレミアム」を発生させ得る構造的な問題を解決し、将来にわたってLNGを適正な価格で調達できるよう、さまざまな取り組みを行っている。体系といわゆるアジアプレミアムに結びつく要因ともなっていた。しかし、2010年代に入って以降、生産者側・消費者側ともに参画者が増加し、世界のLNG市場は拡大してきている。市場拡大はすなわち取引の流動性向上につながり、そのなかで既存の契約体系にとらわれずに「多様化」を目指すことは、生産者間での競争をもたらすことにもなる。また、調達源の多様化は、買い主側にとっては供給安定性を高めることにも寄与する。 特に2010年代後半に向けて、LNGの需給そのものも緩和する見通しであるので、生産者側への交渉力を発揮し価格の適正化へ向けて動く大きなチャンスと言える。(2)北米産LNG調達の意味 前項で述べたように、アメリカ産LNGの日本への輸入は2017年より始まると見込まれているが、それらのLNGはアメリカ国内のガス市場価格(ヘンリーハブ)に連動するものであり、従来の原油価格連動の価格体系とは異なる。LNGにするための液化コストや、日本への輸送コストは上乗せされるが、結局は、アメリカ国内の天然ガス需給によって決定される価格のLNGが導入されることになる。原油価格の動向次第では従来の原油価格連動型のLNGと比べて必ずしも相対的に安価とはならない可能性もあるが、アメリカ国内の市場とはいえ天然ガス自体の需給を反映した、ある意味では合理的な価格決定方法である。 また、何よりも、分断されていた天然ガスのアジア市場とアメリカ市場をつなぐことにもなる。さらに、日本が調達するLNGにとって価格体系の多様化への一歩となり、売り主間の競争を呼び起こし、より安価なLNG調達の実現につながるものである。(1)多様化の指向 日本の買い主はLNG調達において、これまで以上に「多様化」を重要視するようになった。「供給源の多様化」「価格体系の多様化」「契約の多様化」などである。これまで、LNGの生産者側は、いわゆるスーパーメジャーと呼ばれる企業、もしくは国営の大規模石油・ガス会社の寡占状態にあった。また、2000年以前ころまでは世界のLNG取引の大部分を日本が占めていたように、需要者側も日本の買い主を含め一部の企業のみに限定され、石油等に比べると取引の流動性は非常に低いものとなっている。こうした市場構造が、硬直的なLNG契約(3)短期・中期契約の増加と新たな価格体系の導入 従来のLNG売買契約は、15~20年の長期契約が普通であったが、近年は2~5年を契約期間とする短期・中期契約も増えてきている。これは、日本の原発再稼働の見通しが不透明なことへの対応という意味も含め、やはり調達において流動性を高めたいとの狙いもあると思われる。なお、統計上はスポット取引での調達と短期契約による調達が同じ区分けで計上されることが多いのだが、正確には異なるものである。各機関がまとめている統計において、現状日本のLNG調達における短期・スポット取引の比率は約4分の1程度とされているが、中502015.9 Vol.49 No.5アナリシスgとしては大部分が短期契約であり、純粋なスポット調達は少ないと推測される。(4)買い主企業間のアライアンス 東京電力と中部電力が発表したLNGを含めた原料調達におけるアライアンス締結のように、買い主間での協力を強化する動きが出てきている。これにはもちろんバーゲニングパワー拡大の意味もあるが、LNGの場合、数量を多く買うからといって価格が安くなるわけではない。LNGの価格は契約したタイミング(需給やプロジェクト固有の事情など)によるところが大きいからだ。だが、調達数量は大きければ、少量ずつ購入する場合と比べて、購入方法や契約内容としての選択肢を増やし、交渉の幅を広げることが期待できる。企業間のアライアンス提携も、LNG調達方法の多様化へとつながり、交渉力の強化をもたらすことになるだろう。(5)仕向け地条項の撤廃へ 仕向け地条項とは、LNGの調達においてLNG船の行き先を規定している条項のことである。この条項はほとんどの既存LNG売買契約に組み込まれているとされ、LNG船は契約で規定された行き先以外の場所へ仕向け変更することはできない。これは、買い主が購入したLNGを第三者に直接転売することを事実上認めないことを意味しており、LNG取引の流動性を阻害している一要因と考えられている。 ただし、この仕向け地条項は、ある意味ではLNG取引明期に実操業面での安全担保にも寄与していたと考の黎えられる。従来の(特にEx-Ship取引を主流とする)LNG売買契約では「仕向け地」を指定する一方、LNGを輸送する「船舶」も個別船名として指定し、むやみに入港実績のない船・基地で受け渡しを行うことを防止する(LNG船の操船や受け渡し作業は熟練した知見と経験を要する)という意味合いも持っている。ただし、LNG産業・ビジネスは、既に黎明期は過ぎ去り、世界的に十分発展・拡大しており、現在はむしろ市場の流動性が求められる時れいめい代になっている。そのため仕向け地条項は取引の流動性を阻害するというマイナスの側面が大きくなっており、存在自体が好ましくないと評されるようになった。 仕向け地条項の撤廃は、経済産業省が掲げる「ガスセキュリティの強化に向けた課題と今後の取組の方向性」において「FOB契約における仕向地条項の撤廃」が重要課題として認識されている。各LNG買い主も仕向け地条項の撤廃が必要との認識の下、売り主側への働きかけを行っている。また、北米産のLNGについてはこのような仕向け地条項はないため、仕向け地条項の撤廃に向けた第一歩という意味でも北米のLNGの導入は日本の買い主にとって大きな意義を持つ。 ただし、仕向け地条項の撤廃が直接的に安価なLNG調達につながるというものでもなく、あくまで世界的な天然ガス市場の流動性向上のための必要要因という位置づけであると考えられる。あいたいひょうぼう(6)LNG取引市場の開設 2014年9月、Japan OTC Exchange(JOE)は、LNGの取引市場を開設した。これは、これまで相対取引が主で指標価格が存在していなかったLNG市場に鑑み、経済産業省のエネルギー基本計画でも標榜された、アジアにおけるLNGの指標価格の形成が目的となっている。同市場を通じてのLNG取引は容易に成立に至らなかったが、2015年7月31日に初めての取引が成立したとの報道がされている(取引量は最低取引単位である約5,000トン、約定価格は約8.1ドル/MMBtuとされている)。 元来、LNGプロジェクト(液化設備の建設)は、高額な設備投資に対するリスクを回避するため、長期契約でその生産能力枠の売り先をほぼ全量確保することが主流となっている。したがって、現状ではこういった公開市場に提供されるLNGのボリュームは限られたものになると考えられるため、当該市場を通してのLNG調達はまだ聞こえてこない。しかし、LNG市場が拡大し原油並にコモディティ化するような将来に向けて、このような市場の整備は有意義なものになるだろう。6.LNG価格の今後は? LNGの価格は、伝統的に原油価格に連動して決まる価格体系であるが、これまで述べてきたように北米産のLNGは北米天然ガス市場価格(ヘンリーハブ)に連動して決定される。アジア向けのLNGにも新たな価格体系が導入されることとなり、LNG価格の低下が期待されることになった。51石油・天然ガスレビュー続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-AメリカH・H価格ドル/MMBtuH・H連動(右軸→)76543130110907050原油価格ドル/bbl しかし、原油価格の変動次第では、必ずしもヘンリーハブ連動のLNGが安くなるというわけではなく、事実2014年の原油価格下落により日本向けLNGの価格も大きく下がった。 原油価格連動とヘンリーハブ連動のそれぞれのLNGの価格について、相関をグラフにすると図17のようになる。緑色の線が左軸原油価格との関係を示したもの(一般的とされる係数を使用)で、橙色の線が右軸ヘンリーハブ価格との関係を示している(ヘンリーハブ価格+液化コスト3.5ドル/MMBtu+日本までの輸送コスト3ドル/MMBtuと仮定した)。 原油価格は、多くの機関や企業の予測によると、今後斂する2016~2017年にかけて1bbl60~80ドルに収と見られているが、この価格を前提とすればLNG価格は9~11ドル/MMBtuとなる。 一方、アメリカのヘンリーハブガス価格は、米エネルギー省EIA(エネルギー情報局)の予測によると2016~2017年にかけて3.5~4ドル/MMBtuで推移すると見られており、LNG価格にすると10~10.5ドル/MMBtu図17300しゅうれん原油価格連動(←左軸)51015220LNG価格(日本着)ドル/MMBtu出所:各種情報を基にJOGMEC作成各指標価格(原油、ヘンリーハブ)と想定LNG価格となる。 他の燃料(石炭、石油、再生可能エネルギー)との競合や、これまでの価格推移、需要への影響等を考慮すると、やはりLNG価格として10~11ドル/MMBtuが、買い主が求める上限ラインであると思われ、また、プロジェクト間の競合が激化していることも含めると、この価格水準が何らかの目安になっていく可能性がある。まとめ 十数年前まではLNGは「特殊な」エネルギーであった。基本的には、必要とする者の必要とする数量に応じて生産設備を建設し、生産能力のほとんどは長期売買契約で確約され、需要量と生産能力は一致するものであった。LNG生産設備の稼働率は、その膨大な投資額と経済性確保の観点から、稼働率は90~95%以上を確保するのが普通で、トラブル等で生産が停止すれば途端にLNG需給は逼迫することになっていた。 近年、LNGに参画する需要者・生産者が増加し、原油などと同じように市場での取引が一般化・拡大化しようとしている。LNGは特殊なエネルギーではなくなりつつあるのである。 そして、2014~2018年にかけて複数のLNGプロジェクトが立ち上がり、LNG生産能力は大幅拡大の局面を迎えている。豪州・北米等、現在建設中のものだけでも合計約1億5,000万トン/年の生産能力が追加される。提案中のLNGプロジェクトも多数あり、乱立と言ってもよい状態である。LNGプロジェクト間の競合は激化していき、競争力のないLNGプロジェクトは淘汰されていくだろう。そして、需給バランスを見ると、生産能522015.9 Vol.49 No.5アナリシスヘ拡大により2020年までは、LNG需給は緩和の見込みである。これはLNGビジネスの歴史において初めての状況かもしれない。 ただし、2021年以降については、これらに続く新たなプロジェクトの進捗も含め、見通せない部分が大きい。新たなプロジェクトが立ち上がってくるかどうかは、今後の需要の伸び次第と言える。そして、需要の伸び率はLNG価格動向による影響が大きい。LNG価格が適正な水準を保持し、需要を促進していけば、必然的に新たな生産能力が必要となり、これに対する投資も続いていく。「適正な」と述べたのは、価格が安くなり過ぎればプロジェクトの経済性が低下し、生産者側の投資に対するインセンティブが確保できなくなってしまうからである。 もちろん、生産者側においてプロジェクトコストを低減する努力も必要不可欠なものになるだろう。北米や豪州だけでなく、巨大な資源量を持つ東アフリカ(モザンビーク、タンザニア)の大型プロジェクトなども、LNG業界への新規参入となる途上国としてどのような動きを見せるのか、非常に注目されるところである。 LNG価格は、ヘンリーハブ連動の価格体系導入も含め、今後価格体系は多様化していくことが見込まれる。そして、参画者の増加と買い主側の取り組みによって、取引の流動性も向上していくと思われる。ただし、他の燃料(石炭、石油、再生可能エネルギー)との競合や、これまでの価格推移、需要への影響等を考慮すると10~11ドル/MMBtuが何らかの目安になっていく可能性があり、これを超える水準となった場合には「高い」と認識するようになるだろう。 LNG産業は新規プロジェクトの多数の立ち上がりとともに市場の大幅拡大の局面を迎えている。そして、需給バランスの見通しを見る限り、買い主有利の「買い手市場」の時代に突入したと言える。逆に、生産者側にとっては大戦国時代とも言えるが、今後のLNG産業発展、ひいては天然ガスがエネルギーの中心として君臨できるかどうかに向けて、重要な時期にさしかかっていると言えよう。執筆者紹介永井 一聡(ながい かずあき)東京大学大学院工学系研究科修了。2002年、東京ガス株式会社入社後、主にLNG受入基地の操業管理、プロセスエンジニアリング業務等に従事。2013年4月より現職。趣味は毎週末興じる野球。最近のマイブームは、愛車に七輪を積んでドライブに出かけ、漁港等で調達した食材を浜焼きで食べること。53石油・天然ガスレビュー続々と立ち上がるLNGプロジェクト -市場拡大と需給緩和をめぐる展望-
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2015/09/15 [ 2015年09月号 ] 永井 一聡
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